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出発

読んで下さっている皆様方、おはようございます!

執筆終了いたしました。

お楽しみください。

「アーゼ様、リーゼ様。アーサーと名乗る者が来ております。」


「「お通しして頂戴。」」


俺は部屋に入ると立ったままアーゼ様の正面に立つ。


【先日は失礼を致しました。お呼びと伺いましたが?】


「ああ、愛しのアーサー様。またお会いできて嬉しいですわ。」


「ねえ、貴方。姉様の前なのよ?跪いたらどうなの!?」


【・・・。】


「リーゼ、良いのですよ。」


「でも!姉様!」


「良いと言っていましてよ?」


アーゼ様が睨む。


「っひ。申し訳ございません!姉様。」


お仕置きが怖いのだろうか?

リーゼ様が大人しくなった。


「アーサー様。私の側に来て下さいまし。」


手を差し出して来るがそんな事をしに来たのではない。


【アーゼ姫殿下、先にお話をお願い出来ますか?】


「んんっ、そ、そうでしたわね。我が国の物資を前線へ、補給物資を最前線まで届けて頂きたいの。よろしいかしら?」


【ヘファイストスから伺っておりますので構いません。それでその物資は何処にあるのですか?】


「我らが公国の公都の城にありますわ。それで、この首飾りをお持ち下さいませ。」


跪き受け取る。

紅い、ルビーの首飾りだった。


【これは?】


「私はまだ参れませんので代わりの者だという証明になりますの。で、ですが・・・。」


何かを言い渋っている様だ。


【それでは早速行ってまいります。】


「アーサー様、そのまま前線の戦いに加わって頂きますわ?大丈夫かしら?」


「リーゼ!?」


「だって姉様が言いにくそうですし、私はこの者の実力を知りませんのよ?」


リーゼ様がそう言うと残像を残してリーゼ様の後ろに立ちダガーを首に当てる。


【え?・・・っひ!?いつの間に!?】


「「「リーゼ様!?」」」


護衛の動揺が伝わって来る。


「皆、動かぬように。」


アーゼ様がそう言うと護衛の人達が騒めいている。

俺の動きが見えなかったのだろう。


【リーゼ様、これでも不足がありますか?】


俺がそう言うと怯えたのだろうか?


「わ、分かったわ。認めてあげるわ。だ、だからその物騒な物を、お、降ろして頂戴!」


残像を残しスッと消えると元の位置に戻る。


「リーゼ、アーサー様の実力はこんな物ではなくってよ?」


「わ、分かりましたわ。姉様。」


「それでは早速向かって頂けますか?我らが国、オルタンシア公国へ。」


【かしこまりました。】


そう言うと詠唱を始める。


【では公国で!リターン!】


リターンの魔法を使う。

景色が歪みだす。

直るとフェアリーゲートの前にいた。

真っ暗だったので暗視の魔法を使う。


「・・・1th ナイト・サイト。」


そしてオルタンシア公国と思いながらフェアリーゲートに入る。

周りの景色が変わる。

ゲートを出ると景色もそうだが空気も違っていた。

どうやらオルタンシア公国に着いたらしい。


【・・・。】


どっちが王都だ?

地理感無いぞ?

そう思っていると馬の蹄の音が聞こえて来た。

警戒していると右手の方から騎馬が近づいて来た。


「馬上より失礼いたします。アーサー様で間違いはございませんか?」


【アーサーは俺です。どちら様ですか?】


「良かった、やっと会えました。公国の騎士で、コールと申します。アーゼ様からの頼みでお待ちしておりました。」


【では、コール殿、早速物資の所へ連れて行ってもらえるかな?】


「証を!ああ、暗視のポーションは使っておりますので!」


アーゼ様から貰った首飾りを掲げる。


「確認致しました。馬にお乗り下さい。」


そう言われたので飛び乗る。


「では、向かいます。」


オルタンシア城へと向かうのだろう。

しばらく進むと城壁と城門が見えて来た。

時差とかもあるのだろうか街の中は真っ暗だった。

街灯すらついていない。

そんな中、正面の大門に着く。


「騎士コールである!客人をお連れした!開門を!」


「・・・確認致しました。橋を降ろします。しばらくお待ちを。」


堀に跳ね橋が下りると渡り外門を通る。

この辺りは住宅地のようだ。

進むにつれ、段々と家が大きくなっていく。

この辺りは貴族様の屋敷なのだろうか?


しばらくして城の内門に着く。


物資の所に行くのかと思っていたのだが謁見の間に案内される。

こんな事をするより早く物資を届けたいのだがね?

アーゼ様はこんな事は言っていなかったな。

謁見の間に着くと扉が開く。


「ガリファリア王国より、冒険者アーサー様、御入来です!」


俺はツカツカと進んで中に入る。

なんで無駄に広いんだろうね?

後、国の名前を出されても俺は国家で働いているわけでは無いのだからね?

そう思っていると左右に貴族だろうか?

片側で二十五人程ずつで約五十人並んでいる。

玉座の十m程前で跪く。


【お呼びにより参上致しました。】


「ふむ、そなたが冒険者アーサーか、苦労を掛ける。」


【っは!】


「よくぞ公国へ来てくれた。本日は疲れを癒したまえ。明日は晩餐会の予定があるのでそれに参加するようにな。」


ん?

前線に行くのではなかったのか?

アーゼ様には物資を運ぶように言われたが?

それに戦争中に晩餐会だって?

その分を戦費に回したらどうなのだろうか?


何を考えているんだろう?


「公王様に申し上げます。私は前線へ物資を届ける様にときつくアーゼ様とリーゼ様より言われて参りました。その後は前線に出ますのでその申し出は御遠慮させて頂きます。」


アーゼ様の代わりだと言っていた首飾りを見せる。


「無礼な!」


「公王様の事を軽んじているのではないか!」


「これだから冒険者と言う輩は!」


「アーゼ様に目を掛けられて勘違いしておるな!」


等々、声が上がるが俺はそんな事をしに来たのではない。


【公王様!前線で戦っている者達は、今か今かと物資を待ち望んでいるはずでございます。一刻も早く前線へ届けたいと思います。】


「だが、明日には愛娘のアーゼが戻って来るのだぞ?」


ん?

名前を呼ぶのはアーゼ様だけ?

リーゼ様も帰還するんだよね?

何か違和感を感じるね。


【聡明なアーゼ様やリーゼ様であれば私の申す通りにして下さるでしょう。】


「リーゼの事は申すな!・・・ふむ、そうか。愛しいアーゼが言うのならば仕方があるまい。冒険者アーサーよ、前線へ物資を届けてもらおう。近衛兵、早速案内せよ!」


【かしこまりました。】


立ち上がると礼をして部屋を出る。

リーゼ様、何かやってませんよね?

何故アーゼ様は愛娘でリーゼ様の名前を言うと敬遠するのだろうか?

リーゼ様に対する雰囲気が悪いな?


扉が閉まる。


ギルドの規定では直接の依頼の時は自己責任だったはずだ。

だが、あの人達を見ていると、とてもではないが受けるのをやめようと思わすにはいられない。

しかし、一度受けてしまったのならギルドから何らかのペナルティが来るはずだ。

それでは容易に止める事は出来ない。


だが、同じ人間として民達や兵士達の事を思ってやって来たのだ。


ジャスティン達には貧乏くじを引かせてしまったかな。

しかし公王様の態度、気になるな。

アーゼ様には愛娘というぐらい目をかけているようだが、リーゼ様には拒否と言うよりは拒絶しているような印象を受ける。

何かあったのだろうか?


機会があれば聞いてみよう。


さてと、補給物資だから食べ物だよね?

早い所運んで士気を回復させてあげよう。

戦闘の状況も気になるしね。


近衛兵の案内で俺は物資があると言う所へと向かう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


扉が閉まると早速貴族達が物申して来る。


「公家の首飾りを持っているとはいえあの態度!」


「王よ!あまりにも無礼ではありませんか?」


「左様です!まるで礼儀もなっていない。」


「これだから冒険者等を雇うのは反対なのです。」


「下賤な冒険者風情が!」


「静まれ、皆の者。可愛い娘、アーゼが絶大な信頼を寄せる者ぞ?ここは我慢するのだ。」


室内はまだザワザワとしている。

王は冒険者であるアーサーの事を軽んじていた。


おのれリーゼめ、余計な者を寄越しおって。

・・・ああ、愛しのアーゼ。

早く戻っておいで。

義父(ちち)がお前を待っているよ。

今度こそ、その純潔を捧げておくれ。


アーサーとか言ったか、あの者。

まさかアーゼに言い寄るとは。

厄介者が来たようだな。

アーゼの為に早めに切り捨てるか。

何かに憑りつかれたように不気味な笑いをし公王はそう思っていた。


その隣には何者かが立っていた。


「ふぃふぃふぃ、上手く行っているようですね。」


その人物は愚かな公王を見てそう言っていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺は物資集積場に来ていた。


うず高く積みあがった物資はほとんど食料であった。

良く見ると芽の出ているジャガイモばかりなので不審に思い案内してきた衛兵に問いかける。


【こんな食事では士気が上がらないのでは?】


「はっはっは、平民の兵士ですぞ?食えるだけありがたいと思わないといけませんよ。」


その近衛兵は笑っている。

うーん、兵隊の事は考えていないような返事だ。

そういえばお金が無いって言ってたな?

それにしてもお粗末すぎるだろう。


【公国は兵士を軽んじているようですね?】


「貴公、頼むから他の者、特に貴族様の前でそんな事を言ってくれるなよ?」


【貴族とは戦の先頭に立ち、兵を率いて民や国を守る者達の事を言うのではありませんか?】


「それはそうだが・・・。」


【五十人も謁見の間に集まっているのに戦場へ行っている貴族は何人いるのでしょうね?】


「・・・。」


この反応だと一握りだけなのだろうか?

いや、一人でもいれば良いのだろうか?

アーゼ様やリーゼ様、その弟に申し訳ないとは思わないのか?

これでは末期と言わざるをえない。


【その様子だと誰もいないんじゃありませんか?】


「貴公、それ以上は言わない方が身の為だぞ?」


【脅されても何も出ないですよ?】


「・・・。」


剣に手を掛けて来た。


【貴方に俺を取り押さえる事は出来ませんよ?試してみますか?】


こんな事をする為にルイスや皆とあんな事をしたのではない。

こんな事をする為にアーゼ様とリーゼ様に協力をしたのではない。

いい加減にして頂けないだろうか?

イライラをぶつけてやろうか?


威圧する様に睨んでやる。


「っひ・・・い、いや結構だ。」


【・・・では早速運びますね。戦場までの地図を頂けますか?】


「わ、分かった。」


そう言って、近衛兵は慌てて地図を取りに行ったようだ。

俺はうず高く積みあがっているジャガイモを箱ごとバックパックに入れて行く。

バックパックには「腐りかけたジャガイモの箱」になっているぞ?

これが補給物資で間違いないんだろうね?

近衛兵が戻ってくる頃にはすべての箱をしまい終わっていた。


近衛兵から地図を受け取ると確認して現地に向かって走り出す。

暗視の魔法を使っているので地図は良く見える。

「測量」も行っていないような酷い地図だった。

こんなんじゃ碌な事になっていないな。

ジャスティン達を誘ったのは間違いだっただろうか?


そう思ったがあくまで増援なのだと割り切る事にした。

此処まで読んで下さり、ありがとうございます!

まずはいつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

毎回ありがとうございます!

すごく励みになります!

今日は成人式ですね・・・(遠い目

3連休も今日で終わりですね。

皆様はいかがお過ごしでしょうか?

私は自堕落な・・・げふんげふん。

いえいえ、普通な生活を送らせて頂いております。

それでは 次話 夜襲(仮 でお会いいたしましょう!

お疲れさまでしたー!

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