万が一の為の準備
皆様方、こんばんは!
執筆終了しました!
それではお楽しみください!
朝食が終わるとアーゼ様とリーゼ様に呼ばれていると言う事で三階に向かう。
「アーゼ様、リーゼ様。ヘファイストス殿です。」
「「お入りになって頂いて。」」
二人からの返事が来て部屋に入る。
おお、今回は何もしていないようだ。
あの匂いもしない。
毎回この部屋に来るとドキドキするんだよね。
いつも通りアーゼ様の前で跪く。
リーゼ様が定位置に着くとアーゼ様から話が始まる。
「ヘファイストス様。今日の朝食も美味でした。貴方に感謝を。」
「美味しかったわ、ヘファイストス様。貴方に感謝を。」
【御二人にそう言って頂けるとは望外の喜び。】
「ふふふ、ええ、貴方には感謝しているのよ?アーサー様の件やオーガの牙、武器の事、とても感謝しているわ。」
「そうね姉様。感謝しているわよ。ヘファイストス様。」
【いえいえ、私は手配をしただけですので喜んで頂けたならありがたく。】
「そう、いよいよ明日になってしまったのね。」
アーゼ様はそう言って窓の外を見る。
それは公国の方を見ていたのだろうか?
アーゼ様は本当に公国の事を考えておいでなのだろう。
その様子を見ていたリーゼ様が元気づけるように言う。
「姉様、公国は負けたり致しませんわ!」
「そうねリーゼ。強力な助っ人を頼んだのだから、負ける訳にはいかなくてよ?」
【先日の件はアーサーに伝えてありますので時間の手配は滞りなく。】
「そう、それを聞いておきたかったのよ。では明日、十時にフェアリー・ゲートで待つわね。」
【私は行けませんがご武運を、アーゼ様、リーゼ様。】
「・・・貴方には本当に感謝してますわ。」
「・・・そうね、姉様。」
二人に見つめられる。
ヘファイストスとして会うのはこれで最後かもね。
「公国が無事でしたらまたお会い致しましょう。・・・下がって良いわよ。」
【それでは失礼致します。】
部屋を退出した俺は準備を整えるとミカはすでに来ていた。
紅茶を飲んでいる様だ。
ルイス達は秘薬の採取に向かったようだ。
皆の顔を見ておきたかったのだが。
俺は紅茶を飲んでいるミカの所へ向かう。
【おはよう、ミカ。】
「おはよう。あの双子ちゃんに呼ばれたって?何かされたの?」
【お礼を言われただけだよ。今までありがとうってさ。】
席に座ると女将さんが紅茶を持って来てくれた。
「小僧、何かは分からないがやる事をやっておいで。そんでここに戻って来るんだよ?」
【女将さん・・・。】
「まだまだレシピを教えてもらうんだからね。」
背中をバシバシと叩いて来る。
【女将さん宿の部屋をしばらく借りておきたいんだ。】
「しばらくって何日だい?」
【これで・・・お願いします。】
そう言って白金貨を握らせる。
「小僧、お前さん・・・ふん、これでしばらく面倒を見てやる。だがね小僧!」
ギロリと睨まれた!
【は、はい!?】
「次回の更新があるんだから必ず払いに来なよ?」
そう言ってまた背中をバシバシ叩いて厨房へ戻って行った。
いつもありがとうね女将さん。
紅茶を飲み終わったミカが言って来る。
「良い女将さんじゃないの。」
【そうなんだよね。良い人すぎて宿から出ていけなくなっちゃうんだ。】
「アハハ、そろそろ行きましょうか!」
少し温くなった紅茶をグイッと飲み干しミカと一緒に通りに出る。
【そうだミカ、お昼と午後に約束があるからその時間は抜けるね。】
「ええ、アタシも試したい事があるから良いわよ?」
【何だよ試したい事って?】
「言う訳無いでしょう?バーカ!」
例の変な顔をしている。
【ぐぬぬ、帰ってきたら覚えてろよ?】
「・・・無事に帰って来なさいよ?」
【もちろんさ、ルイス達を悲しませちゃうからね。】
「絶対だからね?」
【ああ、絶対にだ。】
「それなら良いわ!」
ギルドへの道を二人で歩く。
またこんな日々が送れるように頑張ろう。
さてと今日は何本作れるかな?
そんな事を考えながらギルドへと向かうのであった。
ギルドに到着する。
ナナリーさんはいなかった。
あの双丘を拝んでおきたかった。
いや、また帰って来れば良いんだ。
弱気になるんじゃない。
カウンターのお姉さんに挨拶をするとナナリーさんはお見合いらしかった。
上手く行くと良いなと思うのと大切な人を取られるという心の葛藤があるのに気づいた。
ナナリーさんも俺の心にいるんだ・・・。
けれど俺にはルイスがいる。
悔しいが・・・応援しよう。
部屋に着きしばらくミカと一緒にロングソードを打って行く。
「くっそー!やっぱり出来が違うわね!何なのよ!絶対に秘密があるのよね!」
スキルのおかげとは言えない。
だが、そんなミカを見ているのは楽しい。
俺は午前中で八本のロングソードが打てた。
【ミカ、今は楽しそうじゃないか?】
「そうね楽しいわ!」
【それは良い事だ。】
「アンタを追い抜くって決めたのよ・・・。」
【そんなに簡単には追い付かせないぞ?】
「分かってるわよ!だから無事に帰って来なさいよね!」
どうやら集中出来ないようだ。
ミカは作ってはやり直しを繰り返している。
作業中にも何度も何度も帰って来なさいねと言われる。
ミカにも心配させている様だ。
俺は駄目なヤツだな。
【ミカなら九十点の物が出来るよ。】
「違うわ!100点を作るのよ!だから、さっさと戻ってくるのよ?」
【分かってるさ、心配してくれてありがとうミカ。】
「心配なんかしてないわよ!」
【真っ赤になって言われてもなあ。】
「熱いだけで赤くなんかなって無いわよ!で、アンタは何を作ってるのよ?」
【料理で使う秘密兵器だよ。】
「今日の夜のなのかしら?」
【そうだけど?ミカも食いに来るか?】
「もちろん行くわよ!」
時計を見ると十一時三十分だった。
秘密兵器をバックパックにしまう。
【じゃあ行ってくるよ、ミカ。】
「気を付けなさいよね!」
【じゃあ、また後で!】
そう言って鍛冶場を出て行く。
「本当に帰って来なさいよ?馬鹿。」
ミカはそう言って涙を拭っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ギルドを出ると銀行を目指して歩いて行く。
銀行の近くに既にルイスがいた。
慌てて駆け寄る。
【ごめんごめん、待たせちゃったかな?】
「大丈夫よ、待っていないわ。」
【皆は?】
「もうすぐリズが連れて来るわ。いなかったら銀行前で待つように言ってあるの。」
【そっか。じゃあ、行こうか。】
「ええ、貴方。」
銀行内に入ると今日は結構な数の人が並んでいた。
二人で入金のカウンターに並ぶ。
三十分程だろうか?
ようやく順番が来たようだ。
【あ、レヴィアさん、お久しぶりです。】
「確かルイス様でしたね。お久しぶりでございます。またご来店下さってありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ。あの時は済みませんでした。」
「いえいえ、ところでそちらの・・・男性はっ!?」
何でだろうか初対面のレヴィアさんがすんごい顔で睨んで来る。
美人さんに睨まれる謂れはないんだけれどな?
【パートナーのヘファイストスです。先日はルイスがお世話になったようで、ありがとうございます。】
「お、お世話何てとんでもございません。それでは入金でございますね?ギルドカードと現金の提示をお願い致します。」
睨まれていたのは気のせいだったのだろう。
今はニコニコしている。
【ルイス、ギルドカードを出してね。】
「ええ。」
バックパックから袋に入れてあるお金を取り出す。
【これを彼女の口座に入れて下さい。】
「かしこまりました。」
レヴィアさんが魔道具にお金を入れて行く。
五分程だろうか金額が提示された。
「金貨五十六枚と大金貨二十六枚と白金貨十一枚でございますね。高額の入金には手数料として大銅貨一枚がかかりますので御了承下さいませ。」
「ねえ、ちょっとこんなに入れちゃって良いの?」
【構わないさ。それにまだ金貨100枚は持っているんだ。】
もちろん嘘である。
バックパックには金貨10枚と銀貨100枚、銅貨1000枚が入っているのみ。
これは『アリステリア様』から貰ったお金と同額だ。
何でも良いから不安を感じたくなかった。
ようするにゲン担ぎである。
【それと私の口座のお金をすべてルイスの口座へ移動させたいのです。】
「ちょっと待ってよ!それじゃあ!」
【構いません。お願いします。】
立ち上がって抗議しようとするルイスの肩に手を置き座らせて続ける。
「かしこまりました少々お待ち下さい。それでは旦那様のギルドカードをお願い致します。」
ギルドカードを渡す。
ルイスは静かになったようだ。
「口座の金額確認はなさいますか?」
【はい、お願いします。】
「銅貨六枚、大銅貨三枚、銀貨九枚、小金貨八枚、金貨六枚、大金貨十五枚ですが、よろしいですか?」
【はい、お願いします。】
「ねえ、全部移動させる事は・・・無いんじゃないの・・・。」
ルイスが震えている。
だが構わない。
少しでも皆の事を思えばこそなのだ。
【いいんだよルイス。レヴィアさん・・・このまま続けて下さい。】
「・・・かしこまりました。それでは御入金させて頂きます。」
そう、万が一の事も考えておかないとね。
「入金が終わりました。ルイス様、金額を確認なさいますか?」
「・・・結構です。」
「かしこまりました。ではカードをお返し致しますね。」
カードが戻って来る。
作った時が懐かしいな。
ふふっ、そうそう、アリスと一緒に作ったんだ。
その後に皆と会ってさ・・・。
まだ皆はボロを着ていてさ・・・。
ふと、ルイスを見ると自分のカードをジーっと見ている。
【どうかしたの、ルイス?】
「・・・いいえ、何でも無いわ。」
「それでは、またの御利用をお待ちしております。ルイス様、旦那様を大切になさって下さいね。」
レヴィアさんは何かを察してくれたのだろう。
それを聞いたルイスの目から涙がこぼれる。
「はい。世界で一番大切な人なんです。・・・お気遣いありがとうございます。」
また泣かせてしまった。
ごめんね、ルイス。
泣き止んだルイスと手を繋いで二人で銀行から出る。
外に皆がいた。
【お待たせ、皆。】
「お兄さん、ルイス姉、やっと来たー!」
「二人共・・・待ったの・・・。」
「二人共、遅かったですね!」
「ヘファさん、ルイスちゃんお腹が空いたのです!」
そんな皆にお昼御飯のリクエストを聞く。
「お兄さん!お昼にはお兄さんの手作りの御寿司が食べたいわ!」
「そうです。大トロを是非・・・。」
「良いですね!食べたいです!」
「アリスも食べたいのですー!」
【しょうがないな、じゃあ宿に戻ろうか。】
「「「はーい!」」」
皆は元気良いな!
宿屋に戻ると皆にカウンター席に座ってもらって好きな寿司を食べてもらった。
うん、平和が一番だね。
ただ、ルイスだけは元気がなかった。
此処まで読んで下さってありがとうございます!
まずはいつものから!
評価、イイネ、ブックマーク等々。
大変に!
ありがとうございます!
励みになります!
年末の総合評価が500ぐらいだったのに今では750ポイントですよ!
拙者の稚拙な物語を読んで下さっている方がこんなにいるとは・・・
感謝の極み!
ありがとうございます!
それでは 次話 秘密兵器(仮 でお会いしましょう!
お疲れさまでした!




