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いつものが危機

いつも読んで下さり、ありがとうございます!

執筆終了いたしました!

それではお楽しみください!

無事にオーカムに帰って来た。


時間は十七時ごろだろうか?

今日、交流があったガーゴイル族の事を思い浮かべる。

どの人も良い人達だった。

女王陛下には最後まで料理人と思われていたようだったが。


違うからね?

鍛冶師だからね!

そこ!

料理しかしてないとか言わない!


おっほん!

とにかくオーカムに帰って来たのでいつもの宿屋へと向かう。

西門から中央広場へ歩いていると見かけた背中があった。


【こんばんは、ダンさん。】


「ん?おお、アーサー様じゃねえか!ヒック。」


酔っぱらっている。


「アーサー様はよぉ?何処で何をしていたんだよぉ?ヒック!」


訂正しよう。

ずい分と出来上がっている。


【貴方が来て下さると思って、秘密兵器を作ってきたんですよ。もちろんジャスティンさん達の分もですが。】


「俺はまだ行くとは言ってねえぞ~?」


【・・・相棒は行く気ですからね?】


そう言ってフード越しにダンをジーッと見る。


【ご苦労なこったな。俺はまだ探し物に用があるからよぉ。ヒック。またなぁ~。】


そう言ってフラフラと西町の奥の方へ歩いて行った。

探し物?

ダンの消えた方を見つめる。

探し物が何なのかは俺には分からない。


【来てくれるよね、ダン。】


俺はそう言って宿屋に向かう。

マントを脱ぎバックパックにしまうと入り口を潜る。


女将さんに挨拶をしようと思ったのだがいなかった。

晩飯時にどうしたんだろうか?

女給さんが二人で仕込んでいたので声を掛けてみた。


【え!?アーゼ様が帰ってきていない!?】


「「ヘファ君、シッー!」」


女給さん達から聞いた話では西街の様子を見に行ったきり戻って来ていないという話だった。

それで女将さんがリーゼ様に呼ばれているのだと言う。

何で女将さんが?

俺が帰って来たのを気づいたルイスが側に寄って来る。


「ねえ、何かあったの?女将さんも見ていないし。どうしたのかしら?」


ルイスから心配そうな声が掛かる。


【ルイス悪いけど今日は皆で食べておいて。】


そう言うと三階に駆け上がる。


「もう、おかえりなさいも言って無いのに。」


そう言ってルイスは階段を見上げるとテーブルに戻って行った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


三階に上がるとアーゼ様とリーゼ様のいるだろう部屋を目指す。


ん?

入り口に護衛がいない?

ドアをノックする。

話声がするが返事がない。

もう一度ノックする。


「しつこいわね、誰よ!」


【ヘファイストスです、リーゼ様!】


「入りなさい。」


【失礼致します!】


部屋の中に入る。

テーブルのいつもアーゼ様が座っている席にリーゼ様が座って女将さんと話をしていたようだ。


「よかったわね、女将。代わりの者が来たわ。」


「小僧・・・。」


ありゃ、珍しい。

女将さんが弱気だ。


【どうしたんですか、女将さん?】


「いや、どうもしないさね。」


「あら?そんな余裕があるのかしら?この宿に滞在中にこんな事になるなんて。少なくても営業停止ぐらいはお咎めがあるかもしれないわね?」


【リーゼ様!?】


お咎め?

なんでそんな事になるんだろうか?


「何かしら?ヘファイストス様?」


【約束の前日に申し訳ございません。アーゼ様がいなくなったとお聞きしましたが?】


「約束なんて今はどうでも良いの!護衛と官をすべて出して探させているわよ!?・・・それで貴方は何もしてくれないのかしらね?」


【情報を頂けますか?そうすれば女将さんの代わりに手伝える事もあるでしょう。】


「小僧・・・。」


【良いんですよ、女将さん。】


「女将、下がりなさい。その代わりにこの者を使うわ。」


「・・・済まないね、小僧。」


そう言って女将さんが部屋を出て行く。

ずい分肩を落としていたようだったが大丈夫だろうか?

それにしても、一体何があったのだろうか?

早速、リーゼ様の話を聞く。


「北西の魔法陣の視察に護衛と官とオーガの牙を連れて向かっていたのよ。魔法陣を調べていたらいつの間にか姉様がいなくなっていたわ。」


【詳しい場所等はお分かりになりますか?】


「それに、これよ。」


羊皮紙を投げて来る。

慌てて内容を読む。


【これは、魔人語!?】


「現場に落ちていたのよ。貴方にはこの文面が読めるの?」


【不思議ですね?】


「何が不思議なのかしら?」


【この文面ですよ。これは魔人族の使う公用語でございます。翻訳しなければ普通の人には読めません。なので通常は大陸共通の公用語を使うでしょう。】


「・・・そこから何か分からないかしら?」


【脅迫状になっております。これは犯人を魔人族にする為の偽装かもしれません。文面に致命的な証拠となる文字が描かれております。】


「何ですって!?」


【『Бехемод』これは悪魔族の使う文字で『ベヘモド』と読みます。そこからの推測になりますが。】


「続けて頂戴。」


【はい。あくまで推測ですが、アーゼ様かリーゼ様のどちらかが目当てではないかと思われます。】


「と言う事は・・・もしや!?」


【左様です。悪魔族に攫われた可能性があります。お二人のどちらかがいなければ封印の魔法が使えないとバレたからでしょう。】


「・・・見事に出し抜かれたようよ?私達も!オーガの牙もね!」


【はい、ただ護衛の方々はともかく、そうそうオーガの牙が出し抜かれる程の者がいるとは思えません。】


アンナは優秀だからね。

そのアンナを出し抜ける人物がいるとは思えなかった。

そう、魔法以外では。


「でも!現に姉様はいなくなったのよ!?」


リーゼ様はイライラしているのか親指の爪を噛み、爪先を何度も床に打ち付けている。


【リーゼ様、何か変わった事はありませんでしたか?何でも良いのです、思い出して頂きたい。】


「あの時はそうね・・・夕刻も近い中、姉様が何かの魔法陣を調べていたのよ。でも少し目を離したらもういなかったのよ!」


うん、それだね。

多分だが魔法のトラップだ。


【分かりました。アーサーに連絡を取ります。】


「あら?ふふふ、良いのかしら?」


【何がでございますか?】


「姉様が攫われた事はオーカム伯にも抗議文を送っておりますのよ?姉様が無事に戻る事を期待しておりますわ!」


怒り心頭のリーゼ様とこれ以上言い合っていてもらちがあかないだろう。


【かしこまりました。】


部屋を出ようとすると背中に声が掛かる。


「我が国が滅亡の前にその身の心配をした方がよろしいのではなくって?ヘファイストス様?確か貴方が太鼓判を押してくれた冒険者達よね?」


【アーゼ様は必ずオーガの牙が無事に見つけてくれるでしょう。必ずです!】


そう言うと一階に降りる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「リーゼ姫殿下から至急の抗議文が来ておるだと!?」


「はい父上、アーゼ姫殿下が行方不明になった事が書き殴られております。それに・・・。」


「続けよ。」


「はい、ヘファイストス殿から勧められたオーガの牙なる冒険者達が役に立たなかったとの事も書かれております。」


「オーガの牙じゃと!?まさかとは思うが、あんちゃんが公国の姫様達と関わっておるのか!?」


「どうやらその様でございます。」


「ふむ。公国の件、誘導せずに行けそうじゃな。」


「かの御仁はそのような運命にあるのかもしれませんね。」


「係わってしまっているのなら構わん。あのあんちゃんなら上手くやるじゃろう。」


「左様でございますね。では父上、騎士団の『援軍』は出さなくてもよろしいですか?」


「それで構わん。国王様の御不興を進んで買わなくて良くなったからの。」


「かしこまりました。それでは騎士団はその様にしておきます。」


「レガイア。ミスリルインゴットはどうなっておるのだ?」


「申し訳ありません父上。未だ手に入っておりません。」


マグヌスの馬鹿者が、放逐したのにまだ不始末を押し付けてきよるわ!


「あんちゃんが戻って来るまで時間が掛かろう?だが、それまでには手に入れよ。」


「かしこまりました、父上。」


そう言ってレガイアが部屋を出て行く。


アーサー、いや、あんちゃん。

係わってしまったのか。


今の暗愚な国王では公国に援軍は出さんじゃろうしな。

わしの目論見ではこれで王国は不利になるのう。

そう思ったが・・・あの、あんちゃんは何か期待させてくれるんじゃよな。


わしはあんちゃんの無事を気まぐれな創造神様に祈るのじゃった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「お兄さんだ!お帰りなさいを言う前にどこ行っちゃうのよー!」


リズはそう言うと頬にキスをして来る。


「ヘファさん・・・お帰りなさい・・・。」


「お帰りなさい、ヘファさん!」


「お帰りなさいなのですー!」


「お帰りなさい、貴方。」


【ただいま、皆!ルイスちょっと来てくれる?】


ルイスの手を引いて俺の部屋に来てもらう。


「御飯も食べてないのに連れ込んで何する気なのよ!」


【ルイス、真面目な話なんだ。聞いてくれるかな?】


「え、ええ、分かったわ?」


簡単に事情を説明する。


【ルイス、貴族様の一人が誘拐された。俺はこれから探しに行って来るから皆とここにいるんだ。】


「分かったわ。でもなんで貴方が行くの?」


【攫われた貴族様が宿に泊まっていたってだけで女将さんに罰が下りてしまうらしい。そうなると、この『いつもの場所』にいられなくなる。】


「え!?それは、大変な事ね・・・。」


【そうだ、だから直接俺が探しに行く。】


「分かったわ。皆の事は任せて!」


【頼んだよルイス。】


部屋を出て行こうとすると呼び止められる。


「忘れ物よ?」


【ん?】


ルイスがキスをして来た。


【ありがとうルイス。これで百人力だよ。】


「気を付けてね?」


【当てはあるんだ。じゃあ行って来る!】


「行ってらっしゃい!」


そう言って俺は部屋を出る。


「あの人が無事に戻ってきます様に。後、無茶をしませんように。『アリステリア様』御加護を。」


ルイスはそう『アリステリア様』に祈っていた。

此処まで読んで下さり、ありがとうございます!

それではいつものを!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

いつも!

ありがとうございます!

大変に、励みになっております。

早い物で70話目。

そして過行く2023年。

忘年会だったので遅くなりました。

今日で仕事が終わりました。

皆様もお疲れ様です。

お正月休み中は新作ではなく旧作の手直しをしようと考えております。

楽しみにして下さっている方々には申し訳ありません。

それでは 次話 捕らわれのアーゼ(仮 でお会いしましょう!

お休みなさいませ!

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