準備は入念に
いつも読んで下さっていらっしゃる方々、こんばんは!
初めましての方々も、こんばんは!
執筆終了しました。
年末、しかもクリスマスですね。
関係なく仕事をしておりました。
おっと、それではお楽しみください!
商業ギルド。
ここは商人や関係者が集まっている寄り合い所でもある。
街で商売をする者、その許可を取る者、または商品の売り買いをする所でもある。
色々な目的がありその専門職が集まる場所でもある。
中でも鍛冶師、その力を使い武器や鎧、はては鍋等まで作る。
魔物等の危険な生き物に立ち向かう為に、この世界では必須な職人達である。
その中でも最高峰、鍛冶師の職人達が目指す「全ての六人の鍛冶師」と呼ばれる六人だけに許された位がある。
ただ、代替わり等があり現在のオラ・エクスィ・スィデラスは六席中、四人の席しか埋まっていない。
その六席が順に第一席「紅玉」、第二席「藍玉」、第三席「翠玉」、第四席「黄玉」、第五席「白玉」、第六席「黒玉」である。
現在の空席は第一席と、第三席。
彼らはこの大陸において絶対的な支持を受ける鍛冶師達なのである。
全ての席はその名にある通り、この大陸にある全ての国の『尊爵』と言う特別な位を与えられている。
公爵よりも上のその地位により、その腕には絶対的な信頼が寄せられ国や金銭等には縛られない。
国という垣根を超えた至高の鍛冶師達なのである。
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その黒玉の鍛冶師は体調不良で伯爵家のベッドで転がっていた。
アイツは知らないようなのでこのままの気持ちの良い関係でいたい。
アタシが黒玉だなんて知られて跪くアイツなんて見たくない。
そう、今の関係が心地良いのだ。
それなのでアイツが宿に帰る時に大回りをしてからお世話になっている伯爵邸へと戻っている。
そう、今の関係が壊れる事をアタシは恐れているのだ。
寝返りをうつ。
こんな事をしていないでアイツの鍛冶仕事を見て勉強したいというのは知識欲であろうか?
目を瞑るとあのハンマーの音が聞こえる様だ。
明日までには収まってくれると良いわね。
そう思い目を閉じる。
カーンカーン!
そう!
そこを、その調子で鋼を打つのね!
そして焼き入れを・・・。
何度も繰り返した作業だ。
だがアイツが行うと全然違う物が出来上がる。
この差はいったい何なのだろうか?
残念ながら自分の中で答えは出ない。
アイツ、絶対に藍玉より上よね・・・。
そう思い繰り返して見て来たアイツの技術を思い出す。
その、正確で緻密な作業。
こんな事が出来るのはこの国、いや大陸だけでもアイツだけだろう。
いっそ、オラ・エクスィ・スィデラスに推薦を・・・。
いや、駄目だ。
今のアイツはそんな事は望んでいないであろう。
それにこの関係を失うのが怖い。
悪魔族との戦争にアイツが参加をする。
その技術は失うにはあまりにも大きすぎる。
そんな事を考える。
「ふぅ、男に生まれたかったわ。」
そう呟くとまた見た物を思い出す。
信じられない出来栄えの剣だった。
彼女の師匠である元、翠玉の爺様の物よりも切れ味が上だった。
絶対にあの技術を手に入れて目標にたどり着く。
そう思うのだが、また痛みが襲い掛かって来た。
だが、耐えられない痛みではない。
やりたくても出来ないこの女の体が恨めしい。
早く休んだ分を取り戻したい。
明日にはアイツに一歩でも追い付いて見せる。
遠い背中だが絶対に・・・。
そう思いながら目を閉じた。
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ミカが来なかったので一人でギルドへ来た。
ナナリーさんとアリシアさんがいる。
【二人共、おはようございます!】
「おはようございます。ヘファイストス様ー!」
ナナリーさんは俺の顔を見るとニコニコしている。
うん、今日も良いねと双丘を見る事も忘れない。
「おはようございます。ヘファイストス様。」
アリシアさんが微笑んでいる。
あれ?
微笑んでいる!?
やはり『アリステリア様』みたいだった。
ジーっと見惚れてしまう。
「ヘファイストス様もアリシアさんが気になるんですねー?」
そう、ナナリーさんに言われて我に返る。
【そんな事は無いですよ!ナナリーさんにはナナリーさんの魅力があるんですからね!】
胸を盗み見る。
ふふふ、これはちょっとやそっとの魅力ではない。
いかん、姉に対して・・・いやそれ以上に大切な人に対して失礼だろう。
俺の中で大切になってしまっている人に思う。
そう、これは秘めなければいけない思いだ。
「他の女性にも同じ事を言われてますよねー?」
【他の女性には言ってませんね。ナナリーさんにだけ言ってますね。】⦅キリッ⦆
「アハハ、じゃあ、そう言う事にしておいてあげますー。」
今日もそのカウンターに乗っている物を心の中で拝む。
とにかく笑顔が戻って良かった。
安心をする。
やはりこの人には笑っていてほしい。
「それでは今日も頑張って下さいねー。」
【うっす!頑張ってくるですよ!ナナリーの姉さん!】
「あはは、ではいってらっしゃいませー!」
【行って来るですよ!アリシアさん!】
「いってらっしゃいませ。」
二人にそう言って鍛冶場に向かう。
さて、気を取り直して準備、準備っと。
鍛冶場に向かい時間になるとロングソードとツヴァイハンダーを作る。
練成の必要材料は多分魔法ギルドに行かないと手に入らないだろうから作り終わったら行ってみよう。
魔法ギルドって言うぐらいだからあってほしい・・・。
あるよね?
今日もハンマーの音が響いて行く。
午前中にロングソードを四本とツヴァイハンダーを三本作れた。
ツヴァイハンダーも、これでスキルに最適化されただろう。
今後集中すればもっと時間を短縮して作れるかもしれない。
これもどんどん検証して行こう。
・・・俺もミカに負けない様に頑張ろう。
鞘を作り剣を収めると片付けを済ませ、作った物をバックパックに入れる。
さて、魔法ギルドに行こうかね。
たしか北通りだったはずだ。
ナナリーさんとアリシアさんに挨拶をして魔法ギルドへと向かうのだった。
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魔法ギルド。
塔の様な建物だった。
北通りにはいつもの宿屋があるのだが初めて来た。
俺は入り口を潜るとカウンターに向かう。
ウィザードハットを被った男性職員に話しかける。
【こんにちは、素材の確認をしたいのですがどちらに行けばよろしいでしょうか?】
「こちらのカウンターでやっておりますので大丈夫ですよ?何をお探しですか?」
ここで大丈夫だったか。
良かった。
では早速聞いてみよう。
【『レリックの欠片』を探しているのですが、ありますか?】
「はい、でも今は成功の出来た例の無い錬成スキルの素材なのですが一体何をされるのですか?」
【それは秘密ですよ。まだ実験段階なので発表が出来ないのです。】
「なんと!それは素晴らしいですね!ここの三階の実験室ではレリックの研究がされておりまして色々と試されておりますよ。よろしければ実験のレポート・・・。」
やばい、話が止まらない。
どうしよう。
・・・十分経っても止まらない。
「と、言う訳で、ですねレリックの有用性が発見されてのですよ。」
このタイミングだな!
【で、何個ありますか?】
「あ?おっと、お待ちくださいね。えーっと現在は二十六個ございますね。」
【一つおいくらですか?】
「希少素材ではございませんので一個、大銅貨一枚でございますね。」
【では、全部下さい。】
「かしこまりました。」
代金を支払い皮袋に入ったレリックの欠片を二十六個を手に入れる。
早速バックパックにしまっているとまた始まってしまった。
「バックパックですかそれは、かの偉大なモンスターでありますグレーター・ドラゴンの血液とベヒモスの皮とエンシェント・ドラゴンの心臓と鱗でできておりまして・・・。」
付き合わないといけないのだろうか?
うっとりとしたように話している男性職員の前を静かに離れると隣の女性職員に声を掛ける。
【あの、すみません。『魔力の残骸』と『魔力化の種』は置いてありますか?】
「はい、ございますよ。良いですよね、この光沢。惚れ惚れしますね。後は・・・。」
ちょっと待て!
この人もかよ!
脱線しかけたので強引に軌道修正する。
【値段はいくらになりますか!?】
「え?折角の良い所ですのに・・・魔力の残骸が銭貨二枚と魔力化の種が銅貨一枚ですよ。」
【100個ずつ頂けますか?】
「かしこまりました。」
そう言うと革袋に分けて入れてくれた。
支払いをして革袋を二個貰う。
「ありがとうございました。また、ご利用ください。」
【えっと、実はまだありまして、『悪魔の爪』は売ってますか?】
「悪魔の爪!それはかの『ファイヤー・デーモン』が、ドロップすると言う伝説の・・・。」
【そこまでで結構なのでありませんか!?】
また脱線しかけたので強引に軌道修正する。
こんな人ばかりなのだろうか?
非常に疲れる。
「・・・在庫を確認致しますね。」
そう言うと不機嫌そうに台帳を見ている。
「現在は二十三個ございますね。」
【全部下さい。】
手早く買ったほうが良いだろう。
「小金貨二枚と銀貨三枚ですがよろしいのですか?」
【結構です。下さい。】
子袋に入れて渡されたので料金を支払う。
「その悪魔の爪は希少素材の中でも大変に希少でございまして、その輝きを見て下さい。硬度も高くてですね・・・。」
【ありがとうございます!】
そう言って説明だか発表だか分からない物を聞くのを途中でやめた。
そんな事をしている時間は無い。
次だ、次へ行くぞ!
二階の売店のような所で書写の道具を買うとスペルブックを作る。
『書写スキル』を使いレリックの欠片と悪魔の爪を使い一緒に購入した魔法のスクロールから『悪魔特効』のスペルブックを作り上げる。
ラフィアが使いこなせるのが4thから5thまでなので念の為に6thの魔法までを書き写しておくか。
自分のフルスペルブックから呪文を写し取って行く。
二十分程で出来上がった。
これで最適化されるだろう。
そうだ。
ここまでするとルーンブックが欲しくなるよね。
俺は何も書かれていない魔法のスクロールと魔力化の種からルーンを収めるルーンブックを二冊作る。
ルーンブックはマーカーの魔法で情報として焼き込んだルーン石を十ヶ所挟んで置ける本である。
お土産の十個入りのお饅頭が入っている箱を考えて頂ければ分るだろうか?
饅頭がルーンで箱が本である。
ついでに言うと一ページ目を開いた本の左側に記憶先の一覧、右に記憶したルーンが十個はめ込める物だ。
後は念の為、各所でマーカーをしておくか。
一階のカウンターでルーン石を二十個買っておく。
これは6thのマーカーという魔法を使う事で転移用の位置を記憶する道具である。
その記憶したルーン石に、4thのリターンの魔法を使う事により記憶したルーンの位置に戻って来れる便利アイテムだ。
欠点としては本人しか転移できない事と、阻害を受けている場所では使用不可能な事だろう。
魔術ギルドの外に出た俺はいつもの宿屋の前でマーカーの魔法でルーン石に記憶する。
ルーン石をルーンブックに挟む。
石の名前が街の名前になっていたので『帰る場所』と名称を変更する。
自分用のルーンブックに入れバックパックにしまう。
中央の噴水に歩いて移動した。
此処でもルーン石に記憶しておく。
『中央噴水』と書いたルーンを二個作る。
自分の分とラフィアの分だ。
ルーンの記憶を済ませた俺は宝石店を探す。
しまった!
そう言えば町の地図を買っていなかった。
店の場所が分からない。
ゲームの時は、宝石屋、または雑貨屋で売ってたな。
仕方が無いが地図を買いに冒険者ギルドへと急ぐ。
途中で雑貨屋を見つけた。
もしかしてと思い入ってみる。
やはり宝石が置いてあった。
ゲーム知識だが入って正解だった。
えっと、ルビーはあるかな?
銀貨一枚か思ったより高いな。
だが、多少高くともここは買っておこう。
料金を支払いルビーを三十個手に入れる。
他の宝石はアース・エレメンタルから多少手に入れてあるので今回は大丈夫だろう。
矢も購入しておく。
一本銭貨三枚で在庫が500本あったので全部買う。
これだけあれば大丈夫だろう。
ゲーム知識だとこれで『錬成』が出来るはずだ。
何か掘り出し物は無いかと店内をうろつく。
ん?
雑貨屋に竹串?
なぜかほしくなったのでこれも買っておこう。
料理に使えるしね。
ついでに銀行に行き銅貨などを両替して金貨等に変えておく。
よし、これでルイスにもお金が渡せるね。
さてとエギエネスシティに向かおう。
銀行を出て周辺地図を取り出す。
【フェアリー・ゲートは・・・西だな。】
西門から街を出て行く。
念の為フード付きのローブを装備する。
しばらく歩くとフェアリー・ゲートが見えて来た。
地面にキノコで直径五m程の円が描かれておりその中心に高さ三m程の青く輝く楕円のゲートがたたずんでいる。
まだ使える期間なんだな。
タイミングが合って良かった。
念の為に近くでルーン石を二個記憶する。
フェアリーゲートと記して二冊とも挟んでおく。
これで準備は大丈夫だろう。
俺は楕円形をしているゲートに入る。
頭の中でエギエネスシティと念ずると周りの景色がゆがんで来る。
ゆがみが収まると周りの景色が変わっていた。
ゲートの外に出る。
そこはゲートから大きな門までの両側に柱の並び立つ草原だった。
此処まで読んで下さってありがとうございます!
いやぁ、評価ポイントが550ポイントを超えていて目を疑っちゃいましたよ。
ダッシュで近所のケーキ屋へショートケーキ1個買いに行きました!
メリークリスマス!
1人だけれど・・・
いつものをば!
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いつもありがとうございます!
大変励みになります!
それでは 次話 ガーゴイル族の街(仮 でお会いいたしましょう!
おやすみなさい!




