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大切な温もり

いつも読んで下さっている方々、こんばんは!

初めましての方々も、こんばんは!

久しぶりに連投してみます。

それではお楽しみください。

「・・・。」


「・・・・・・。」


ん?


「・・・!」


なに?


「・・て!」


なにかきこえる。

まわりはまっくらだ。


「・きて!」


なにかいっている?


「おきて!」


おきて?

おれはねているのか?


「お願いだから起きて!」


【もうちょっとねむらせてくれないかな、つかれたんだ。】


「皆もいるのよ!いいから起きなさい、ヘファイストス!」


【みんなってだれだ?】


「嫌よ!起きて!貴方!」


「あなた?そういってくれるきみはだれなんだい?」


「お兄さん、起きて!」


「ヘファさん・・・。」


「起きて下さいです!」


「ヘファさん、起きるのです!」


「起きなさい、ヘファイストス!」


【まだ、ねむっていたいんだよ。】


「いい加減に起きなさい!ヘファイストス!」


【・・・るいす?】


めのまえがしろくなる。


ん?

ここはどこだ?

やわらかいもののうえでねているようだ。

いしきががはっきりして来た。

かおの上に雫が降って来る。

雨にしては少ないな。

そう思っていると声が掛けられた。


「お寝坊さん。やっと起きたのね?」


ルイスの声だ。

膝枕されているようだ。

ああ、声を聴いていると安心する。

ルイスの声をもっと聴いていたい。

その体にぎゅっと抱き着く。


【ルイス、俺ね頑張ったんだよ。】


「そうね。」


【とっても頑張ったんだ。】


「そうね、偉いわ。」


頭を撫でられる。

心地良い。

涙が出て来た。


【でも力が・・・出なくなっちゃってさ。】


「うん。」


【そうしたらさ・・・真っ暗になっちゃってさ。】


「大丈夫だったの?」


【・・・怖かったんだ。】


「今は怖くないのでしょう?」


【ルイスの声が聞こえたんだよ。】


「そうね。ずっと呼んでいたのよ?」


【ありがとうね、ルイス。】


手を握られた。

その温もりが温かかった。


「無理しちゃダメって言ったじゃないの?」


【そうだったね。】


「心配かけて!」


【ごめんね、ルイス。】


「ミカさんとナナリーさんにもお礼を言わないとダメよ?」


【後でも良い?】


「どうして?」


【もう少しこうしていたい。】


「もう少しだけですからね?」


【うん・・・ありがとう、ルイス。】


「無事で良かった・・・。」


【ルイス、泣いているの?】


「どうして?」


【涙かな?冷たいよ?】


「馬鹿な人が悲しませたのだから、それぐらい我慢しなさい。」


【ごめんね、ルイス。】


暖かくて気持ち良い。

このままでいたいな。


「何を考えているの?」


【ルイスが今日は優しいなって思ってね。】


「ごめんなさいね。」


【ルイス、何で謝るの?】


「気付いてあげられなくて・・・ごめんなさい!」


そう言うと両手で顔を覆う。


【ルイス、泣いちゃ嫌だよ。】


「ごめんなさい。」


【泣いちゃ嫌だよ。】


「ごめんなさい。」


【そんなに謝ると黙らせちゃうよ?】


「ごめんなさい。」


そう言っているルイスの膝の上に座って唇にキスをする。

ルイスが背中に手を回してくる。

愛おしい。

そうしてルイスの背中に手を回す。

胸に顔をうずめる。

今日は許してくれる。

頭を抱えられる。


【ルイス、柔らかいね。】


「貴方だけの物よ?」


【俺だけのルイス。】


「なあに?」


【もうちょっとこのままでも良い?】


「・・・あー、おっほん。」


ん?

ミカの声が聞こえる。


「アタシは別に構わないけれど他の子達には刺激が強いから・・・そろそろやめた方が良いんじゃない?」


【え!?】


声のした方を見る。

ニヤニヤしているミカと真剣な顔をしている皆がいた。


【リズ、ベス、マオ、アリス!どうしたの!?】


と、言って時計を探す。

二十三時三十分頃だった。


【皆、どうしてここにいるの!?】


「・・・アタシが宿屋に声を掛けたからね。」


ミカがそう言うとリズが頬を張って来た。


パシーン!


「お兄さんが心配かけるからじゃない!」


リズが抱き着いて泣いている。

するとベスが進み出て来て頬を張る。


バチン!


「ヘファさん・・・ヘファさん・・・。」


そう言って抱きついて来た。

マオが俺の頭に拳を落とす。


ゴツンッ!


「家族に心配をかけたらダメ・・・ですよ!」


珍しくマオが泣いている。


アリスが進み出てチョップして来た。


ペシッ!


「心配をかけた・・・罰なのです!」


そう言って抱き着いて来た。

皆が泣いている。

・・・鳴き声の大合唱だ。


周りを見るとギルドの職員さん達が微笑んでくれている。

慌ててお礼を言う。


【皆さん、ありがとうございました。】


そう言って頭を下げる。


「治療スキルで出来るだけ見たけれど異常は無かったよ。心労が増えていたんだね?」


白衣を着ている。

お医者さんだろうか?

そう言ってくれるので元気良く答える!


【ええ、もう俺は大丈夫ですよ!】


「うーん、医師としては休みなさいと・・・言っても休まなそうだね?」


【やる事があるので!】


「目標や、やる気は大事だけれども家族に心配を掛けないようにしなさい。今日は帰ってゆっくりと眠る事だ。いいね?」


【分かりました。ありがとうございます。】


そういえばあの音が聞こえなくなったな。

何だったんだろう?


「あ、そう言えばナナリーさんが露店で現金を見てくれているのよ!」


思い出したのかルイスが慌ててそう言って来た。


【外は寒いだろうに。急いで回収に行かないとね。】


そう言うと「ご迷惑をおかけしました!」と言って皆で露店の場所に向かった。


「「「気を付けて下さいね。」」」


ギルドの人達に見送られて露店に向かう。

露店に着く所で気づいたナナリーさんから声が掛かる。


「ヘファイストス様!?大丈夫なんですかー!?」


【ええ、少しぼーっとしますが眠れば大丈夫との事なので帰ってゆっくりしますよ。】


「本当に良かった。それで現金はどうされますかー?」


【バックパックにしまっておきますね。】


そう言ってバックパックに入れて行く。


「ルイスさん、無事で良かったですねー!」


「はい、ありがとうございました。ナナリーさん!」


「いえいえ、当然の事をしただけですよー!」


二人が抱き合って泣いている。


【ナナリーさん、御迷惑をおかけしました。ありがとうございます。】


「当然の事をしただけですよ。無事なら良いんです。またギルドに来て元気な姿を見せて下さいねー。」


【はい、また明日、いやもう今日か。会いに行きますね。】


「ふふ、職員がお待ちしておりますねー!」


ナナリーさんが涙を拭う。

悲しませちゃったね。

このままじゃあ一生駄目な弟みたいだ。

気を付けよう。


「それでは失礼しますねー。」


「「「おやすみなさいー!」」」


そう言ってギルドへ帰って行くナナリーさんを皆で見送ってからいつもの宿屋に戻って行く。


「ほんっとうに!お兄さんはアタシが見ていないと駄目ね!」


「そうです・・・心配しか掛けないのは減点です・・・。」


「ヘファさんは一人で頑張りすぎなんです!」


「ヘファさん疲れたのです。おんぶしてほしいのです!」


「アリス、それなら私がするわよ。」


【ッシー!皆、夜遅いから静かにしようね。】


「「「はーい!」」」


皆はいつもの調子を取り戻したようだ。

宿屋に入るとまだ起きてくれていたようで女将さんが近寄って来た。


【ただいま。女将さん。】


「お帰り、小僧・・・無事なようだね?」


【心配をおかけしました。】


「明日も貴族様の料理があるんだからね。頼むよ小僧。」


背中をバシバシと叩かれる。

そう言った女将さんの眼から雫が飛んだのは気のせいだったのだろうか?


【任せて下さい!】


「今日の所はこれで体を拭いてゆっくり寝な!」


俺とルイスの分の湯桶を出してくれた。

料金を払おうとするときつく言われる。


「今日はサービスにしてやるよ。湯は沸いているからさっさと体を拭いてゆっくり休みな。」


これが母親と言う物だろうか?

その心遣いに感謝する。

ありがたい。


【ありがとうございます、女将さん。】


「ゆっくり休みなよ、小僧。」


皆の方を見るとルイスがアリスに何か囁いていた。

何だろう?

まあ良いか。


湯桶を持つと部屋に行き、頭を洗い体を拭った。

タオルで良く頭を拭く。

うんサッパリしたね。


そう言えばアリスがいないな。

ああ、そうかルイスと喋ってたし、あっちの部屋かな?

今日は寂しいけれど一人でゆっくり出来ると言った所だろう。

気を遣わせちゃったかな?


寝間着に着替え湯桶を返却し部屋に戻る。

ドアを開けると部屋の中に寝間着に着替えたルイスがいた。


【あれ?どうしたのルイス?】


「・・・あのね、今日は一緒に寝ようと思って。」


顔が真っ赤だった。


【あれ?じゃあ、アリスは?】


「今日は部屋を変わってもらったの。」


【そっか、じゃあ寝ようか。】


明かりを消しベッドに入る。

ルイスは何故かモジモジしていてベッドに入らない。

しばらくこっちを見ているようだ。

どうしたんだろう?


【ルイス、体が冷えるよ?】


「あのね・・・貴方に温めてほしいの。」


そう言うと一緒のベッドに入って来た。


【え?ルイスさん!?】


俺が慌てているとルイスが気を使ってくれる。


「疲れているんでしょう?」


そう言って抱き寄せて来る。

胸に顔がうずまる。

心地良い。


そうだ、丁度良い。

ルイスと話をしよう。


俺はゆっくりと状況を話始めた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「貴方は嘘をついたのね?」


【うん、ごめんね。でも、心配させたくなかったんだよ。】


「どうして?それは貴方がやらないと駄目な事なの?」


【皆には内緒だよ?・・・実は俺がオーガの牙のアーサーなんだ。】


「え!?嘘!?」


【この世界には今世の勇者様がいないんだってさ。】


「そうなの?」


【詳しくは言えないんだけれど、その責任が俺にあるのかもしれないんだ。】


「どうしてそう思うの?」


転移する前に助けちゃったとは言えない。

黙っていると何かを察してくれたようだ。


「分かったわ。聞かないであげる。」


【・・・ありがとう、ルイス。それでね、公国の人達を見過ごせないんだよ。】


「貴方の事だから、止めても行くのでしょう?でも必ず帰って来ると約束して。」


【前向きに頑張ってみるよ。】


「駄目よ、約束して頂戴。」


抱き寄せる手に力がこもる。


【じゃあ、御褒美が欲しいな。】


「何が欲しいの?」


【帰ってきたらで良いんだ・・・ルイス・・・君が欲しい。】


真剣な目でルイスを見る。


「・・・や、約束してくれたら良いわよ?」


月明かりだけだがルイスが真っ赤になっているのが分かった。


【じゃあ約束する。必ずルイス達の元に帰って来るよ。】


「本当ね?」


【うん、必ず・・・。】


だが急に眠気が襲って来る。

意識が遠くなるのを必死にこらえる。


「安心して、どんな事があっても貴方の側にいるわ。」


ギュッと抱きしめてくれる。

こんなにも安心出来るんだ。


【うん、ありがとう・・・ルイス。】


「私だって温もりを与えてあげられるのよ?それにもっと頼ってよね?」


【うん・・・分かってるよ。柔らか・・・いよ。】


「貴方の物ですからね。」


【うん・・・ルイスは俺の物だよ・・・誰にも・・・渡さないよ。】


ものすごい眠気が襲って来る。

だが、まだこの温もりを味わっていたい。


「眠くなってきたの?」


【うん・・・このまま・・・寝て・・・良い?】


「良いのよ、ゆっくり休んで頂戴。」


【ありがとう・・・ルイ・・・ス。】


我慢の限界になった俺は眠りについた。


「お休みなさい、貴方。お疲れさまでした。」


そう言って俺のおでこにキスをすると、ルイスにも眠気が襲ってきたようだった。

此処まで読んで下さってありがとうございます!

まずはいつもの!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

本当に!

ありがとうございます!

執筆して思う所がありまして、文字だけで表現する難しさを改めて思い知りました。

これからも頑張りますので今後共よろしくお願いいたします!

それでは 次話 人生初デートなんだけど(仮 でお会いしましょう!

皆様、お休みなさい!

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[良い点] ミカ邪魔ばかりするな 
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