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依頼とコンソメスープ

いつも読んで下さっている方々、こんばんは!

初めましての方々もこんばんは!

執筆終了しました!

お楽しみください!

椅子に座ったアーゼ様が早速言ってくる。


「では、ヘファイストス様。お答えを聞かせて頂けますか?」


【アーゼ様とリーゼ様の御期待にはお答えしたいのですが、やはり私ごときでは難しいです。申し訳ございません。】


「ここまでやっておいて断るのは無しよ?ね、姉様?」


いつもの位置に着いたリーゼ様がそう言って来るが代わりに提案をしてみる。


【護衛ではお役に立てませんが鍛冶師としては御期待に添えるかと。】


「どういう事なのかしら?」


【護衛の方々の剣とは別に、五十本の鋼のハイクオリティーのロングソードを作らせて頂きます。ただしお金は支払って頂きますが。】


「ふむ・・・。」


そう言って考え込むアーゼ様。

跪いている俺の目の前で足を組んでいるのでおみ足が良い感じで見える。

綺麗だなと思っていると目が合った気がした。

慌てて視線を逸らす。


「仕方ありません。今回はそれで手を打ちましょう。で、期間はどのぐらいになるのかしら?こちらは十日も待てませんが?」


【それでまず、明日になりますが、護衛の騎士方々の六人分の剣をお作りしましょう。五十本は別にお作りしますので、少しお時間を下さいませ。】


そうすると信じられないという様にリーゼ様が言ってくる。


「嘘を付かないで!一日で六本も剣を作れる訳ないじゃない?」


【私には出来ますのでお任せ下さい。】


「貴方ねえ!?」


「リーゼ、落ち着きなさい。では、ヘファイストス様。先程の見事な剣を六本、明日中に作って下さるかしら?」


【かしこまりました。必ずお作り致しましょう。】


「ガラテア、彼の使っていた剣はどうだったのですか?」


ガラテアさんが一歩進んで答える。


「はっ!私の鉄の剣を切断出来る程の逸品でございます!もしその剣があれば我々の戦闘力は跳ね上がる事でしょう!」


「そうですか、それ程の物なのですね?」


「はっ!」


そして一歩下がり列に戻る。


「ふ~ん、それならば安心出来ますわね、姉様。」


「そうねリーゼ。ではヘファイストス様、剣の事お頼み致しますわよ?」


【お任せ下さい。】


そう言って頭を下げる。


「今日の所は下がりなさい。」


【っは!御期待に応えて見せましょう。】


俺はそう答えて嫌な感じのする部屋から出る。


ん?

何か視線を感じるぞ?


護衛の人達が俺の方を見ているようだ。

正確には腰の剣をだろう。


その視線を感じながら一階に降りる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「姉様、お考え直し下さい!やはりあの者を護衛を付けておくべきでは?」


「リーゼ、街中ですからそこまで心配する事はありませんよ。それに戦力の底上げが出来るのです。それで今回は目をつむりましょう。」


「でも!姉様、」


リーゼが文句を言おうとしたので右手をあげて黙ってもらう。


「悪魔封じの結界の様子によっては、援軍を頼む事が出来ないかもしれません。その場合、我らは本国で決戦になる恐れがあります。戦力の底上げは必須なのですから・・・。」


そう言って護衛達を見る。


「ガラテア、本当にあの剣が明日中に六本出来ると思いますか?」


「アーゼ様には申し訳ありませんが無理でしょう。彼の自信は気になりますが通常の鍛冶師なのですから良くて三本でございましょう。」


「あれだけ大見得を切ったのにですか!?」


リーゼが怒りをあらわにするが私には分かっていた。

伯爵家に剣を収めていたのは彼なのだろう。

彼の持っていた剣はドリュカス老の言っていた鋼のハイクオリティーのロングソードだった。


レガイア様は彼が五日で四十本近く作ったのだと言う。


武器に興味のない私でも美しいと思ってしまう程の逸品だった。


「あの者の力。是非我が国に・・・。」


そう思っているとドアがノックされる。

護衛の騎士だろう。

そろそろ時間かもしれない。


「入りなさい。」


「姫殿下様方、オーガの牙が来たとの事です。」


オーガの牙・・・一人欠けておりますが、噂通りならば良いのですけれど。

さて、魔法陣の様子を見ておきましょう。

今日は北東と南東の魔法陣に向かう予定ですわね。


「すぐに、まいりますわ。」


支度をし、リーゼと供に部屋を出て一階に向かう。

一階に着くと四人の者が跪いて来る。

アーサーとやらを除いたこの四人の方々がそうなのでしょう。


「オーガの牙、リーダーのジャスティンと申します。この度はご依頼いただきましてありがとう存じます。本日から護衛を・・・」


気を使い、丁寧に挨拶をしているが私の興味は別の所にあった。


ヘファイストス・・・。

私達の魔力にも反応していたし、剣の腕前と言い本当に鍛冶師なのだろうか?


ああ、是非この手で調べてみたい。

あの方の秘密を服を一枚ずつ脱がすように・・・ふふっ。


「姉様?」


リーゼの声で我に返る。

リーダーと名乗った方に微笑んで言う。


「本日はよろしくお願い致しますわね。オーガの牙の皆様。本日の予定はまず北東にある養護院の慰労が目的で・・・。」


本来の目的は魔法陣の確認だが街に視察と説明して馬車に乗り込む。


オーガの牙の方々はそれぞれで馬を使っていた。

馬が四頭いると言う事はそれなりに稼いでいるのね。

稼いでいると言う事、それならば少しは安心出来るでしょう。


ああ、楽しみが一つ増えましたわ。

ふふふ、あの素顔の奥にはどんな秘密があるのかしらね?


そう考えていると目的地へと馬車が向かって行く。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺が一階に降りると支度をしたルイス達がいてくれた。


俺の姿を確認すると皆が駆け寄って来る。


「大丈夫だった?また何かやって無いでしょうね?」


ルイスさん、もう少し俺を信用してくれても良いんじゃないだろうか?


「お兄さん、心配してたんだからねー!責任を取って結婚してよね!」


リズさん何の責任だろうか?


「ヘファさんはもっと自分の行動に責任を持つべき・・・。」


そうだね。

今の俺の心に刺さる言葉だよ、ベスさん。


「ヘファさん、無礼討ちなんですか?」


マオさん、ずいぶん物騒だね。

しかし誰から習ったんだい?


「ヘファさん、大丈夫なのですかー?」


アリスさん唯一まともな慰めをありがとう。


【大丈夫だよ、剣を作る様に依頼されただけだよ。】


「本当に?」


ルイスが心配して聞いてくる。


【本当、本当。】


「それなら良かったわ。」


ルイスがそう言うと皆が離れて出かける用意をしだす。

俺は鍛冶場の予約を取ったらポーションを作っておこう。

秘薬が結構貯まってるしね。


時計を見ると九時三十分頃だった。


女将さんに挨拶して通りに出る。

ルイス達とはここから別行動だ。


「「「いってらっしゃーい」」」


【いってくるね!】


見送ってくれる皆に手を振り商業ギルドへと向かう。

ポーションと言えばそろそろ道具が無くなりそうだったな。


バックパックを確認する。

やはり擂鉢と瓶が足りなくなりそうだ。

丁度良い。

帰りに露店で擂鉢と瓶を購入していこう。


そう考え歩いていると商業ギルドが見えて来た。

ミカと鎧を作りに来て以来だ。

久しぶりだな。


扉を潜り中に入る。

カウンターにアリシアさんがいたので声を掛ける。


【おはようございます、アリシアさん。明日からの鍛冶場の予約を取りに来たのですが空いていますか?】


「おはようございます。ヘファイストス様。お調べしますので少々お待ちください。」


アリシアさんはそう言って微笑んで書類を取り出す。

ん?

微笑んだ!?

そう、微笑んだのである!


【アリシアさん、自然に微笑んでいましたね。】


そう言うと頬を染めながら俺を見る。


「まだ申し訳ないが出来ませんが最近、愛想が良くなったと言われます。」


おお!

すごい進歩だ!


【良かったですね、アリシアさん。】


俺が見つめていると今度は顔が赤くなった。

ん!?

顔が赤い?


【アリシアさん、もしかして羞恥も覚えましたか?素晴らしいですね!】


「これが羞恥・・・恥ずかしいと言う事ですね。」


【そうです!その調子で一緒に勉強していきましょう!】


手を握ると更に顔を赤くする。

握った手を離すと照れながら予約を入れてくれる。


「ヘファイストス様のおかげですね。それでは鍛冶場の予約をお取り致します。」


【ふふ、お願いします。】


その赤くなったアリシアさんを微笑ましいと思い見ている。

書類が出来上がったので確認をしてからサインをし、料金を支払う。


「明日からですが一号炉となります。時間は十時から十七時までとなっておりますので注意して下さい。」


【分かりました。それではまた明日!】


「お気をつけてお帰り下さいませ。」


挨拶をすると微笑んで見送ってくれたのだった。

少し嬉しくなって扉を潜ろうとすると時刻は十時三十分になる所だった。


通りに出る。

えっと、次はポーションの道具だな。


先程考えていた道具を思い出すとポーション屋を探す。

店を見つけると擂鉢を十個と瓶をあるだけ購入する。

他の店にも入りその店でも瓶を買い占める。

ある程度の瓶が揃ったので丁度良いなと思い宿に戻る。


扉を潜り女将さんに挨拶をする。

手が空いていたので台所に行き女将さんに出汁の取り方を教える。

試しに寸胴鍋でコンソメスープを作ってみせる。


にんじん、セロリ、玉葱等、香味野菜を寸胴鍋に入れる。

続けて牛肉(牛すじ、すね肉、牛骨)や鶏肉や鶏ガラも入れる。

水を入れ煮込む。

スキルのおかげで十五分でブイヨンが出来あがった。


本来は灰汁を取りながら二時間ぐらい煮込むんですよと忠告をしておく。

女将さんがメモを取りながら聞いている。


ちょっと優越感。

スキル様ありがとう。


肝心な事として鳥ガラは良く洗う事と、野菜は小さく切ってしまうと煮崩れしてしまい濁りの原因となる事を説明する。

挽肉、卵白、人参、玉葱、セロリ等の香味野菜を入れて煮込む。

ここでは昆布も入れる。


出汁のうまみが増すからだ。


玉葱、人参、セロリはみじん切りにしておく。

木のボウルに鶏ひき肉、卵白、切った野菜を入れ、粘りが出るまでヘラでよく混ぜる。

全ての材料を鍋に入れる。

軽く混ぜるとスキルのおかげで黄金色のコンソメスープが出来上がる。

ここでの注意点等を女将さんに言ってメモしてもらう。


早速実食。

うん・・・美味しいね。


「美味いね!小僧、アタシにも作れそうだ!」


女将さんはそう言って喜んでくれた。

本来なら二時間とか煮込むので時間がいくらあっても足りない。

全工程で一日とか掛かると思う。


女将さんに頼み鑑定を掛けさせてもらうと料理スキルが74あったのでこれなら大丈夫だろう。

見かけに寄らず可愛い名前だったのは内緒にしておいた方が良いよね?

バレたら後が怖い。


後は天然酵母を使った白パンの作り方も教えておく。

こちらは俺が持っている酵母を素に女将さんに作ってもらった。

焼き立てを食べてもらう。


「ほーこりゃあ美味いね。黒パンをパンと呼べなくなっちまうね。」


と、言っていたので付け足しておく。


【酵母が大切なんですよ。これが無いと出来ませんからね。】


そう言っておく。


女将さんが酵母の作り方もメモを取っていたのでこれからは美味しい白パンが毎日食べられるだろう。

一度に色々教えて込んでも難しいだろうと思ったので今回は二品だけ教えた。

ちょっとだけ先生の気分。

俺がニコニコしていると声がかかる。


「また教えておくれよ!」


そう女将さんに言われた。

片付けて、手を洗い部屋に戻る。


部屋に着くと夢中でポーションを作る。

気が付くと十五時を知らせる鐘が鳴っていた。


もうすぐルイス達が戻ってくる。

皆、喜ぶだろうな。

今夜は美味しいスープが飲めるかもしれないよ?


そう思うと引き続きポーションを作って行くのだった。

此処まで読んで下さってありがとうございます!

まずはいつものを!

評価、イイネ、ブックマーク等々、いつもありがとうございます!

大変、励みになっております!

いつもポカミスをして細かい修正をしております。

文章の大幅な変更などは行っておりませんのでご安心ください。

楽しんで下さっていればありがたいです!

それでは 次話 こんそまじゃありません(仮 でお会いしましょう!

それではお疲れさまでした! 

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― 新着の感想 ―
[一言] 「護衛の方々の剣とは別に50本の鋼のハイクオリティーのロングソードを作らせて頂きます。ただしお金は支払って頂きますが。」 お金は支払って頂くと言っても、額を決めてなかったら、相手の言う額で…
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