紅の目と金色の目の双子
いつも読んで下さっている方、こんばんは!
初めましての方、こんばんは!
執筆終わりました。
よろしければお楽しみください。
朝御飯が終わると皆が各々の部屋に戻って行く。
さてと、俺も支度をするかな。
ルイス達は相変わらず秘薬の採取だ。
椅子から立ち上がる。
女給さん達がお皿を片付けていると、女将さんに貴族様の女護衛さんが話していた。
「今日の食事はとても美味かった!礼を言いたいと我が主達が料理人に会いたがっているのだが、女将が作った物なのか?」
「ああ、それならあの小僧だよ。」
女将さんは俺を指さす。
え?
俺ですか、そうですか。
「ほう、平民でこれだけの物を作れるのか。小僧付いて来たまえ。」
【ヘファイストスと申します。】
初対面で小僧呼びかよ。
一応名乗っておいたが、また貴族様か。面倒臭いが仕方が無い。
そう思ったが大人しく付いて行く。
やはり三階だったか。
三階に上がると左に曲がり進んで行く。
部屋の前に行くと二人の騎士だろうか護衛がいた。
騎士さんがドアをノックする。
「『アーゼ様』、『リーゼ様』、料理人を連れてまいりました。」
「「お入りになって頂いて頂戴。」」
女の人の声?
そう言えば貴族様は二人いるって言ってたな。
と、入り口で考えていると・・・。
「小僧、さっさと入らないか!」
急ぐように言われたので部屋の中に入る。
部屋を見ると大きなベッドと大きなテーブルセットが置いてあり二人の女の人が椅子に腰を掛けている。
ん?
顔がそっくりだな?
姉妹かな?
あれ、何か違和感がある。
そう思っていると声が掛けられた。
「貴方様が今朝の食事を作って下さったのかしら?」
【左様でございます。お初にお目にかかります、ヘファイストスと申します。】
「まあ、御丁寧にありがとう存じます。私は『アーゼ・フォン・フェアゲッセン』と申しますの。」
「アタシは『リーゼ・フォン・フェアゲッセン』って言うの。アーゼ姉様とは双子なの、よろしくね!」
ふむ、双子だったか。
二人共ロングの髪の毛であれ?
違和感の正体に気が付いた。
ああ、目と髪の色が違うんだ!
アーゼ様は紅の目に金色の髪、リーゼ様は金色の目に銀髪をしている。
二人共、美人さんだ。
二人共髪を両側でツインテールにしている。
十六~七歳程だろうか?
ゴシックロリータ風の服を着ている。
アーゼと名乗った女の子は黒を基調としたもの。
リーゼと名乗った女の子は白を基調としたものを着ている。
壁側に護衛が三名立っていて先ほどの小僧呼ばわりした護衛が隣に並んだ。
壁側に四人、入り口に二人の計六名。
貴族様にしては護衛が少ないのではないだろうか?
それに何だろうか?
此処にいると嫌な感じがして落ち着かない。
「私達はある用件があってこの街を訪れています。そこの話はご容赦下さいませ。」
「秘密なの、でもね貴方が私達の物になるなら教えてあげても良いわ?」
「もう、リーゼ!はしたない事は言わないで頂戴!お礼を言う為に呼んだのでしょう?」
「はーい、姉様。」
そう言うと二人共立ち上がって俺の前に来る。
俺は跪く。
「今朝の料理とても美味しく頂きました。それにとても楽しめましたわ。貴方に感謝を。」
「美味しかったわ。専属料理人に欲しいわね。考えてくれないかしら?」
「リーゼ!」
「ちぇー、残念ね。」
そう言うと二人共左手を差し出してくる。
これはアレか?
手の甲にキスするやつか?
そう思って姉の方から左手を取りキスをして行く。
「あの料理は何というのかしら?初めて食べましたの。美味しかったですわ。」
アーゼと名乗った女の子が評価してくれた。
料理人ではないが美味しいと言ってくれると嬉しいね。
【あの料理は「寿司」と申します。倭国で食べられている食べ物でございます。】
「へー、寿司ね。お義父様に言えば料理人に作ってもらえるのかしら?」
今度はリーゼと名乗る銀髪の女の子が聞いて来る。
【魚の鮮度の管理が難しいので厳しいかもしれません。】
「倭国という国の本場の料理人を雇ってもダメなのかしら?」
【はい、まず新鮮な魚と言う物が必須でございますので、それが難しいと思われます。】
「そうなの?新鮮さが命なのは、他の料理でも同じではないの?」
成程、丁寧な口調がアーゼ様で、フレンドリーに喋って来るのがリーゼ様か。
そう理解した俺は続けて答える。
【どの料理も鮮度が重要なのは同じでございます。が、下処理等も含めると難しいかと思われます。】
「成程、となると・・・ここの宿だけなのかしら?その料理が食べられるのは?いえ、正確には貴方様だけが作れるのかしらね。」
アーゼと名乗る女の子は勘が鋭い様だ。
【左様でございますね。鮮度の管理はしっかりとさせて頂いておりますので私だけかと思われます。】
まあ、バックパック様、頼りなんだけれどね。
「そうなると益々アナタが欲しくなるわね!」
「リーゼ、困らせてはダメよ?」
「でも姉様も、欲しいと思っているのでしょう?」
「それはそうですが、私達はお役目があるでしょう?リーゼ。」
「そうね、姉様。無理を言って悪かったわ。謝罪します。」
うーん、何だろう?
嫌な感じが止まらない。
二人の方を見る。
うーん、何でだろう?
考えていると何か言い出した!
「良いわ、この宿にいる時だけでも良いから、私達に料理を作りなさい!」
リーゼ様はそう来たか!
だが申し訳ないけれど断らないといけないんだよね。
【御二方には申し訳ございませんがこの後より予定がありまして、その願いに従う事が出来ません。お許し下さい。】
予定と嘘をついておいた。
盗賊退治だと言うと絶対に何か頼まれそうだったからだ。
それに俺は料理人ではない。
鍛冶師なんだ。
・・・そこ!
料理しか作ってないとか言わない!
「そう、残念ね。でも都合が合えば作って頂けるのかしら?」
【その際は喜んで作らせて頂きます。】
「分かったわ。私達は十日程滞在する予定だから!」
【かしこまりました。】
「長い時間引き止めてしまって申し訳ございません。その時を楽しみにしておきます、本日はご苦労様でした。」
「楽しみにしておくわ。ご苦労様。下がって良いわよ。」
退出するタイミングだね。
【それではお二人共、失礼致します。】
立ち上がって部屋を出て行く。
あの嫌な感じは何だったのだろうか?
不思議に思ったがジャスティン達と盗賊退治の時間が迫っているので急いで支度をしに部屋に戻るのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「姉さま、あの者。私達の魔力に反応していたわよ?」
「そうね、「黒き殲滅者」を封じる私達の魔力に反応していたわね。」
「あの者、かなりの実力者ではございませんか?我が国の悪魔族討伐を依頼されてもよろしいのでは?」
「ええ、万が一の事も想定すると、それも考えねばなりませんね。」
そう言うと文官の四人が部屋に入って来て身支度を整えてくれる。
「姉様、楽しみが出来て良かったです。」
「そうねリーゼ、楽しみがあるのは良い事だわ。」
宿を出て馬車で伯爵の屋敷に向かう。
「勇者様さえいればこの様な事も無かったのに・・・。」
「それは言わないでおきましょう。」
「そうね、私達が頑張れば何とかなるわよね!」
「そうね、リーゼ。」
勇者様は未だ現れていない。
「『アリステリア様』、どうか我が国に御加護を!」
私は願わずにはいられなかった。
その様子を見てリーゼも祈る。
そう、未だに勇者様は現れていないのだ。
けれども悪魔族の侵攻は私達の国に手を染め始めたのである。
「「創造神よ!我らに勇者様をお遣わし下さい。」」
二人でそう女神『アリステリア様』に祈るのであった。
此処まで読んで下さってありがとうございます。
今回は読ませ方を変えてみました。
いかがでしょうか?
多人数の読ませ方をまだ試行錯誤しております。
申し訳ございませんがよろしくお付き合いの程を~。
いつも評価、イイネ、ブックマーク等々ありがとうございます!
それでは 次話 テンプレな盗賊達 でお会いしましょう。
それではまた!




