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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第一幕 第一章:そして始まる異世界生活
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まずは味見から

いつも読んで頂いている方、こんばんは!

初めての方初めまして!

今回は料理回になってしまいました。

楽しんで下されば幸いです。

それではどうぞ!

ギルドの事務仕事をミカに任せて宿屋に向かって歩いている。


途中で馬車の予約を入れておく。

十七時十五分に迎えに来るようにしておいた。

六人乗りの馬車が四頭引きの豪華な物しか無かったので、仕方が無いがそれで頼んである。

支払いを済ませて通りに出る。


これで馬車も大丈夫だろう。


調味料の類は作れたし、食材もある。

ただ、何処を探しても胡椒が無かった。

胡椒があれば一味上の物が作れるのだが。

まあ、無い物はしょうがない。


無いなりに作るさ。


考えているうちに宿屋に到着していた。

扉を潜り中に入る。

時刻は十五時二十四分だ。

厨房に女将さんがいたので挨拶をする。


【女将さん、ただいま!】


「小僧!湯が沸いてるから持って行きな!」


そう言われて汗臭い事に気づく。


【女将さん、ありがとう!】


そう言って、カウンターに銅貨を一枚置き、急いで部屋に戻る。

部屋に入るとアリスがいた。

気が早いのかもう余所行きの格好だ。


【ただいま、アリス!】


「ヘファさん、お帰りなのですー!」


そう言うと服を脱いで体を拭き始める。


「ヘファさん、忙しいのですかー?」


【そうだねー、今日は特に忙しいかなー。】


そう言うとアリスは困惑顔になる。


「なら、ルイスちゃんを呼んで来るのです!」


そう言って部屋を出て行こうとする。


【あ、アリスちょっと待って!】


そんなアリスに声をかけとめる。


「どうしたのですかー、ヘファさん?」


【時計の長い方の針が十二になったらルイスと一緒に来てくれるかい?】


「ん、分かったのですー!」


そう言って部屋を出て行った。

これで落ち着いて体を拭えるね。

二十分掛けて頭を洗い、体を拭うと汗臭さが消えた。


清潔になった所で新品のシャツとパンツを履き、卸し立てのワイシャツを着る。

そして赤のネクタイをしてズボンを履きベルトでバックパックを一緒に止める。

ジャケットはハンガーに掛けておき髪型を整える。

そろそろ長くなってきたから切時かな?


などと、思っていると「コンコン」とドアがノックされた。


【はーい、どうぞー!】


そう言うとアリスとルイスが部屋に入ってきた。

ルイスがお出かけ用の女性用のスーツを着ている。

もちろん、俺が仕立てた物だ。


「何かあったの、貴方?」


【ちょっと馬車の事を・・・。】


うん、俺の目に狂いはないね。

スーツも似合うじゃないか、ルイス。


「言われる通りに着てみたのだけれど、これで合っているの?」


【うん、綺麗だよルイス。】


「ヘファさん、アリスはー!」


【可愛いよ、アリス。】


アリスの着ている服も俺が仕立てた服だ。

お出かけ用と聞いた時に皆に一着ずつ作っていた物だ。


【ルイス、他の子達の準備は?】


「ええ、出来ているわ。」


【そうか、俺は先に行くから、後から皆で馬車で来るようにね。】


「えっ?先に行くの?」


【うん、仕込みをしたい物があるからね。】


「そうなのね、じゃあ楽しみにしておくわ。」


「アリスも楽しみなのですー!」


髪が乱れない様にアリスの頭を優しく撫でてやる。


【じゃあ、先に行ってるからね、そうだ、馬車は十七時十五分に迎えに来るから。】


「分かったわ、行ってらっしゃい。」


頬にキスをされた。


「アリスもするのですー!」


しょうがないと屈むとおでこにキスをしてくれた。

気合いが入った!

さあ、行くか!

ジャケットを着て部屋を出て行く。


女将さんが近づいて来て背中をバシバシと叩いて来る。


「頑張っておいでよ!」


そう言って送り出してくれた。


宿屋を出て街の中央にある屋敷まで歩いて行く。

二十分程歩くと、門までたどり着いた。

門の前に人が二人いる。

門衛さんだろうか?


近づいて来た俺に気付いて誰何すいかして来る。


「止まられよ!貴殿は何者か?」


【本日、晩餐会に招待されております、ヘファイストスと申します。料理を作る為にパートナー達より先に参りました。】


「本日の来客に、貴殿の名前は伺っております。ようこそおいで下さいました。・・・開門!」


うん、素直に通されたぞ。

さすが伯爵様、良い仕事してるね。


そして屋敷に向かう。


【ここの道が長いんだよね。】


庭園をあしらっている長い通路。

300mぐらいあるだろうか?

やっと扉の前に着くと、ちょうど良いタイミングで、ステファンさんが扉から出て来た。


「ごきげんよう、ヘファイストス様。お待ちしておりました。早く来られたと言う事は、晩餐の支度ですかな?」


【こんにちは、ステファンさん。左様でございます。調理場に案内して頂いてもよろしいですか?】


「かしこまりました、早速ご案内致しますのでこちらへどうぞ。」


屋敷の扉を潜り、ステファンさんの後を付いて行く。

しばらく後に付いて行くと喧騒が聞こえて来た。

どうしたのだろうと思っている話の内容が聞こえて来た。


「そこをまげてお願いしているのではないか!」


「坊ちゃまの言う事なれど・・・。」


うーん、何か一悶着ありそうだね。


【ふむ、どうやら揉めていらっしゃるようですね。】


「はい、大旦那様に言われて料理人達がヘファイストス様の腕を知りたいと言っておるのですよ。」


【成程、では何かを御作りすればよろしいですかね?】


「はい、大旦那様から言われておりまして、その・・・。」


【結構ですよ、続けて下さい。】


「失礼しました、ヘファイストス様なら何とかするであろうから黙って案内せよと言付かっておりまして、申し訳ございません。」


成程な、料理長達が素人だったら叩き出すぞー!の展開か。

あの爺さんめ、押し付けやがったか?

まあ、何とかしてみせましょうか。

そう思って厨房の中に入る。


【こんにちは、何か揉め事ですか?】


中を見ると料理人の白い服を着た見るからに頑固一徹な初老のおじさんと、レガイア様が言い争っていた。


「おお、ヘファイストス殿!久しいな。」


【こんにちは、レガイア様、御機嫌麗しく。本日は家族ともども、お招き頂き、誠にありがとうございます。】


恐らく料理長だろう白い料理服を着た初老のおじさんの方を見る。


【こんにちは、初めまして、ヘファイストスと申します。よろしくお願い致します。】


「・・・貴方が噂の御人か、わしは伯爵家料理長の『マギラス』と言う者だ。こちらこそよろしく。」


お互いに名乗った所で手を差し出すがスルーされてしまった。

何があったのなとレガイア様に聞いてみる。


【それで、何かございましたか?レガイア様。】


「うむ、丁度良いな、ヘファイストス殿。そなた、何か一品作ってくれぬか?マギラスに其方の実力を見せて頂きたい。」


「坊ちゃま、どう見てもこの方は料理人ではありません。私の戦場である厨房を使わせる訳にはいきません。」


「マギラス、坊ちゃまは止せ。それにこれは父上の命でもあるのだぞ?」


「それを言われると弱いですな。・・・だが、御屋形様にお仕えし二十数年、私にも矜持がございます。」


「そこを曲げて願っているのではないか、マギラス。」


俺は割って入る。


【マギラス様、私は料理人でもあるのですよ。厨房を使う事を許しては頂けませんか?】


「・・・それでは何か一品作って見せなさい。それによって使わせるかどうか決めよう。」


うーん、面倒な事になっているな。

・・・ドリュカスさんめ、狙ってやってるな?

笑っている爺さんの顔が目に浮かぶ。

覚えてろよ?


【かしこまりました。それでは少々、厨房をお借り致しますね。】


「今だけだぞ?わしが駄目だと判断したら、本日の晩餐は中止だ。」


「中止に等されたら、面子が立たんではないか!」


【レガイア様、落ち着いて下さいませ。それでは作らせて頂きますね。】


そう言って厨房の中に入るとジャケットをバックパックにしまいエプロンを取り出す。

さてと、頼みますよスキル様!

エプロンを着けるとバックパックから包丁を取り出し鍋も取り出す。

火口から火を付けると竈に移す。

その間に材料を切っておく。


マギラスさんは俺のやる事を観察しているようだ。


四個ある竈のうちの二か所を使う。

一つ目の竈を使い鍋に水を入れお湯を煮立たせる。


鍋の中には「蒸篭」を入れトウモロコシを蒸しあげる。

蒸し上がった所でトウモロコシの実を取り湯を捨てたフライパンにバター、玉ねぎ、コーンを入れ、玉ねぎがしんなりするまで炒める。

炒めた物を鍋に入れ、出汁と水を入れてピューレ状にする。

牛乳から作った生クリームを入れて滑らかさを出す。


豆乳を入れ味を調え少し煮込む。


その間にフライパンを洗い竈に掛ける。

フライパンにオリーブオイルを垂らし霜降りの牛肉を入れる。

霜降り肉はミディアムレアで焼いて行く。

胡椒が無いので味付けは塩のみだ。


ソースを試すので塩は薄くね。


そうして出来上がった霜降り肉のステーキとコーンクリームスープをマギラスさんの前に出す。


マギラスさんは何も言わずに見ていた。

そしてバックパックからニンニク風味のステーキソースを取り出す。


【マギラスさん、まずはそのまま肉を切ってお召し上がり下さい。スープは適度に飲んで頂ければ大丈夫です。】


そう言うとマギラスさんは、まずスープを飲む。


「こ、これは濃厚で美味い。」


そしてナイフとフォークで霜降り肉を切る。

スっと切れた肉に驚いているようだ。

そして口に運ぶ。


「おお、肉がとろける様だ・・・これは牛肉だね?」


【左様でございます。塩だけでも美味しいですが、その「ソース」をかけて頂ければもっと美味しくなりますよ?】


「ふむ、このままでも十分美味いがな。」


そう言うと、スプーンで瓶からソースをかけ始める。


肉を口に運ぶと何も言わなくなった。

肉を切り食べる、食べる。

そうして肉が無くなるとスープを飲み干す。


「・・・これは美味い。まずは貴殿の腕を疑った事に謝罪しよう。これは我々では作れないな。」


認めてくれたのだろうか握手を求めて来る。


「その腕で大旦那様を楽しませてあげて下さい。そして手伝わせて頂けるとありがたい。」


マギラスさんがそう言うと料理人が五人程厨房に入って来た。


「お前達、この方に手を貸してやれ、私が認めた方だ。腕に不足はない。勉強させてもらうと良い。」


「「「かしこまりました、シェフ!」」」


どうやら、マギラスさんに太鼓判を押されたらしい。


そして、料理人の協力を得られた俺は、晩餐会の支度を始めたのだった。

ここまで読んで下さりありがとうございます。

評価、イイネ、ブックマーク等々、大変励みになっております。

それでは次話 基本は挨拶だよね? でお会いしましょう。

それではまた~!

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