ジャスティンとダン
いつも読んで下さっている方、また初めての方こんばんは。
今回は、ばっちりの鍛冶回です!
それではお楽しみください。
ミカに【先に作業をしておいて。】と、頼むと食器等の片付けを始める。
「片付けなら手伝うわよ?」
【ミカは手伝ってくれてるんだから、このぐらいは俺がするよ。】
「なら、お言葉に甘えましょうか。」
そう言ってミカは作業部屋に戻って行く。
片付けが終わると俺も作業部屋に戻る。
戻っている途中で伝言をされたお姉さんがジャスティンとダンが来た事を教えてくれた。
こちらに呼んでもらう。
タイミングが合ってよかった。
何しろこっちはギリギリで動いているんだからね。
しばらくすると二人が部屋に入って来た。
【やあ、ジャスティンさん、ダンさんも、こんにちは。こちらの人が黒玉の鍛冶師のミカさんだ。】
ミカを紹介すると二人が跪いて挨拶をして来る。
「黒玉の鍛冶師様、この度は御尊顔を拝謁賜り・・・。」
とか、ジャスティンが言って来たがミカがそれを拒否した。
「話の途中悪いんだけれど、アタシはそう言うかたっ苦しいのは苦手なので普通に喋ってくれない?」
ジャスティンとダンが「え?」ってなっているぞミカ。
【二人共気にしないで下さい。ミカはそう言うのが嫌いなので普通に話してもらえれば大丈夫ですよ?】
そう言うと立ち上がって二人が言って来る。
「それでは遠慮なく、ミカさん手伝ってくれてありがとう。楽しみにしていたんです。」
「俺もですよミカさん。いやー、礼儀なんて知らないから助かったぜ。」
そんな事を言いながら、皆で部屋に移動する。
「それでまずは二人には服は脱いで鎧下を着てもらいたいのよ。調整をするからね。」
「「分かりました。」」
そう言って二人共服を脱ぐ。
シャツとパンツになったので早速着てもらう。
俺はその間に予備の鎧下を作っている。
ミカがサイズはどう?
と、言っているのが聞こえる。
あっちは任せよう。
集中して予備の分も作り上げて行く。
「ん?アーサーが作っているのか?」
ダンが疑問に思ったのだろう。
【ええ、本業は鍛冶師なんですよ。】
「裁縫も出来るのかい、アーサー?」
「何よ、コイツアーサーなんて呼ばれてるの?」
ミカが似合わないわね!
とゲラゲラ笑っている。
【偽名で冒険者もどきをやっているんだよ。本名は知られたくないんだ。俺は冒険者ではなく鍛冶師だからね!】
「分かったわ。じゃあアタシも人前ではアーサーって呼ぶわね。」
【お願い致します、ミカ様。】
「張っ倒すわよ!」
ジャスティン達の予備の鎧下が出来上がった。
やはり勉強をしながらだと一時間程だったが、勉強をしないと二人分が三十分も経たずに出来上がった。
さすがスキル様だね。
ミカに調整を任せ、鎧を作る為に鎧下を含んだサイズを採寸して行く。
ダンが申し訳なさそうに言う。
「作ってもらうのは光栄なんだけどよ、こんなに手間がかかるのか?」
「疲れてきたの?」
「いや、俺も男だ。ミカさんの前でそんな事は言えねえな!」
と、ダンが笑っている。
「ジャスティンさんは測り終わったから次はダンさんね。」
「お、おう。よろしくな。」
ミカが修正を終わらせる。
【じゃあ、鍛冶場に行って鎧を作りましょうか。】
「分かったわ。絶対にこの作業中にアンタの秘密を掴んで見せるわ!」
【そんな秘密なんかないよ?】
ジャスティン達を着替えさせる。
そして鍛冶場へ移動する。
【時間を頂きますけど、ジャスティンさんとダンさんはどうしますか?】
「邪魔でなければ、そこの椅子で作業を見ながら待たせて頂きたい。」
「自分の鎧がどうやって出来るのか興味があるぜ。」
【では、腰を掛けて待っていて下さい。今日中に作っちゃいますので。】
「そんなに早く出来るのかい、アーサー?」
【ミカがいれば大丈夫ですよ。】
「成程。」
「流石だな、ミカさん。」
そう言って二人共納得したのか椅子に腰を掛ける。
「さて、アンタの秘密を見せてもらいましょうか!」
【だから秘密なんか無いってば。】
「何も無くて、あの切れ味のロングソードなんて作れる訳ないじゃない!」
【まあ、見ていてよ。】
そう言って作業を開始する。
【さてと、急いで作らないとね。あ、そうだ。ミカ、金属鎧で動きやすいってなると何があるんだろう?やっぱりチェインかな?】
「うーん、インゴットと重量を考えなければ無難な所で『鋼のチェインメイル』が良いんじゃないかしら?肩と胸に当て物を作れば軽くて済むわよ?」
【やっぱりチェインか、ちょっと作ってみますか。・・・当て物はお願いしても良いかな?】
「チェインメイルをちょっと作るって言うアンタが信じられないわ。まあ分かったわよ、気合いを入れて作るからね!」
そう言ってヤル気満々だ。
早速作業を始める。
ミカも見ているんだから下手な事は出来ない。
まずはダンの鎧からだ。
鋼鉄でチェインベースを作って行く。
チェインベースを作るとそれを基に鎧の形を整えて行く。
ジャスティンとダンがジーっと見ているが二人共汗を滴らせている。
「こんな過酷な場所で彼女らは作っているのですか・・・。」
「ああ、俺は戦の神に誓うぜ。こんな物を見せられたんだから、それにふさわしい使い手になって見せるぜ。」
チェインシャツが出来たのでミカに渡す。
「アンタ、この質でこんなに早く作業出来るなんて・・・。」
【秘密なんて無かっただろう?】
「いえ、アタシも、まだまだ精進しないといけないのが分かったわ、これは大きな収穫になりそう、いえ、なるわね!」
【そうか、じゃあ続けて行くよ!】
「アンタに負けない物を作って見せるわ!」
【俺だってそう簡単に譲らないぞ?】
その様子を見ていた、ジャスティンが微笑んでダンに語り掛ける。
「二人共楽しそうですね。まさに好敵手って感じですね。」
「そうだな、こう言うと不謹慎かもしれんが、夫婦みたいに息が合っているじゃねえかよ。」
「そうですね、羨ましいですね。」
「そうだな。」
そう言っている二人の声はお互いを思っての事だったのだろうか?
そうしてダンの鎧が出来上がった。
七部位ある。
頭、首、上半身、腕、手、下半身、足と分かれている。
俺の作ったヘルムとミカの作った胸当て等に『銀』で『ルーン文字』を描いて行く。
「アンタ、ルーン文字まで知ってるの!?」
【これで防御力が上がるよ。普通の弓矢ぐらいなら弾き返すだろうね。あとは、少しだけど軽量化を施してある。】
ミカは見逃さないという顔つきで見ている。
出来上がるとそれぞれを鑑定してみる。
ミカも鑑定しているようだ。
各部位が青く光っている。
うん、ハイクオリティーだ。
最大耐久値も255ある。
これなら、当分そう簡単に壊れる事は無いだろう。
ヘルメットは顔に当たる『面の部分』を上に上げれるように作っておいた。
前世で言うと、似ているのはバイクに乗る時のフルフェイスヘルメットだ。
ミカの細かい作業が光る。
肩当、肘当、膝当、等々ミカの作成した物だ。
それを俺がチェインメイルに接着する作業をした。
靴の裏側には毛皮を付けておく。
これで足音もあまりしないだろう。
まずはダンの鎧が出来上がった。
ミカに言ってダンに試着してもらうように促す。
サイズを整える為だ。
ダンとミカが試着しに空き部屋に入る。
【さて、次はジャスティンさんの分ですからね。待たせてしまってすみませんが、もう少しお付き合いをお願いしますね。】
「分かったよ。楽しみにしているね、アーサー。」
ハンマーを振りながら聞いてみる。
【退屈ではありませんか?】
「いや、見ているだけでも楽しんでいるよ。それに自分の鎧だからね。ワクワクしていて落ち着かないよ。」
【それなら結構です。では、作って行きますね。】
まずは鋼鉄のインゴットからプレートベースを作る。
それを加工して鎧にして行く。
ジャスティンがジっと見ている。
そうするとダンとミカが戻ってきた。
ダンは鎧を着けたままだ。
作業を中断する訳にはいかないのでそのまま声を掛ける。
【ミカ、どうだった?】
「調整は必要ないわね。前より重量があるけど、着こなしてもらうしかないわね。」
【ダンさん、いかがですか?】
「思ったより重くない。これは良いぞ。前と同じように動けそうだ。」
そう言ってジャンプして見せる。
うん、軽量化も良い感じだし足音も最小限だね。
【上にローブやマントを着けて着こなしてみてください。鎧には錆びないように薬液を付けてありますので手入れをすればそう簡単に錆びませんよ。】
「おう、分かったぜ!」
ダンは少しでも早く慣れようとしているのだろう、鎧を着たまま歩いたりしゃがんだりしている。
おいおい、ダンさんやこの暑い中でそんな物を着て運動するもんじゃないぞ?
・・・さて、作業に集中しようか。
ハンマーを振るう。
ミカは俺の作業を目をそらさずに見ている。
ジャスティンがミカに聞いている様だ。
「ミカ様は手を付けないのですか?」
俺の耳にもそう聞こえていた。
「ジャスティンと言ったかしら?アナタ、光栄に思いなさい。アタシを超える鍛冶師がここにいるのよ。」
「彼の、アーサーの腕はそこまでなのですか!?」
「悔しいけどアタシなんて逆立ちしたって勝てないわね。」
「それ程の・・・。」
ミカとジャスティンは俺の作業を黙って見ていた。
しばらくすると、ジャスティンの鎧も出来上がった。
会心の出来の鋼のハイクオリティー、フルプレートメイルである。
しかも鋼のタワーシールド付きだ。
これで更に硬くなった。
ダンの物と同じようにヘルメット等に『金』でルーン文字を入れておく。
もちろん盾にも同じように入れてある。
ダンの物と同じ防御力上昇と軽量化の性能だ。
下に鋼のチェインシャツを着るようになっているので重量が心配だった。
空き部屋で試着してもらう。
ミカとジャスティンが部屋から出て来る。
「いかがですか、ジャスティンさん?」
「素晴らしいの一言だね。前より軽くなっている気がする。この鎧を着ていれば単身でもエティンには不覚を取らないだろうね。」
「その鎧なら弓矢のダメージは心配する必要は無いわね。」
「それ程ですか!?」
「それ程の物なのよ。使いこなして見せなさい!」
「・・・はい!」
「おっす!」
一息ついてから作業をする。
【次は剣ですね。】
そう言ってロングソードを作っていく。
ミカは見逃す事の無い様に俺の作業をジっと見ている。
ジャスティンも鎧に慣れようと動き回っている。
【ジャスティンさん、ダンさん、ここは暑いので外でやると良いですよ。水分補給を忘れないで下さいね。】
「分かりました。少し外しますが、よろしくお願いしますね。」
そう言ってジャスティンはダンを伴って部屋の外に出て行った。
それを見送っていたミカが俺の方を向く。
「アンタ、嬉しそうにハンマーを振るうわね。」
【そう見える?】
「ええ、見えるわ。」
【まあ、楽しいのは当たりかな?】
「何で楽しいのよ?鍛冶師なんて孤独でしょう?楽しくなんかないじゃない。」
ハンマーを止める訳にはいかないのでそのままの状態で問いかけに答える。
【ミカは自分の作った物が役に立っているとは思わないの?あ、例外は無視でね。】
「・・・例外って何よ?」
【人と人との戦争だよ。】
「!?」
【その様子だと何かあったんだね。聞かないけれど。】
そう言ってハンマーを振るう。
「そうよ。そのせいで伸び悩んでいるのよね。」
【それで俺に突っかかって来たのか?】
「そうよ!だからその秘密を見させてもらっているわ!」
【只ね、ミカも楽しめば良いと思うよ!】
「!?」
【それと、俺は教えるのが壊滅的に下手だから『視て』自分の物にしてね。】
「分かってるわよ!」
そう言って、何も見逃さないと言ったふうに俺の手元をジーと見る事にしたようだ。
もうしばらくしたら完成だ。
鋼の鍔を接着し革をグリップに巻いて行く。
特別製なのでジャスティンの剣には『金』で、ダンの剣に『銀』で、剣身にルーン文字を飾り付ける。
軽量化、速度増加のルーン文字だ。
木の板から鞘を作り、鋼の板で補強し仕上げに金と銀でこちらは格好良く文様を付ける。
ジャスティンには青色に金の文様の鞘、ダンには黒色に銀の文様の鞘。
それぞれ見た目を豪奢にしてある。
【さてと、そろそろ出来上がるからジャスティン達を呼んで来てもらえるかな?】
「分かったわ。」
そう言ってミカは部屋を出て行く。
しばらくするとミカがジャスティン達を伴って戻って来た。
室内なので二人共ヘルムを脱いでいる。
汗びっしょりだった。
ロングソードの振り心地と切れ味を確かめてもらおうと思って呼んでもらったのだ。
カウンターに移動する。
アリシアさんに言って許可を取ってから試し切りの出来る部屋に入る。
【この『巻き藁』って呼ばれるんだけれど、コレを斬ってみてくれますか?】
「分かったよ、アーサー。」
「分かったぜ!」
まずは、ダンからかな?
ダンが構えをとる。
剣を振り上げ斬る。
巻き藁が斬れて、斬れた部分が落ちる。
「すっげえ、切れ味だぜ・・・。」
ミカも驚いている。
ミカが斬れた巻き藁に近寄って行く。
ん?
なんか溜息をついているぞ?
ミカが斬り口を見ながら離れて行くと。
ジャスティンが構えをとる。
斬る。
同じようにスパッと斬れた。
「こ、これ程とは・・・。」
二人してさすがは鋼のハイクオリティー、とか言っているね。
「この切れ味なら、鉄の鎧なら人ごと真っ二つね?」
ミカの太鼓判が下りる。
「「おお・・・。」」
と、二人が驚いている。
ミカが俺に言って来る。
「この巻き藁の斬り口、師匠が作った物より斬れているわね。」
【そうなの?】
ドワーフのミカの師匠だとか、凄い人なんだろうな。
【試し斬りが終わった所で今日はお終いにしましょうか?】
そう言うと皆が了承してくれたので、部屋を出てカウンターに向かう。
此処まで読んで下さってありがとうございます。
いろいろ勉強をしました。
専門的な知識が多くかなり手こずりました。
楽しんで頂けてならありがたいです。
評価、イイネ、ブックマーク等励みになっております!
それでは次話 アリシアさんの事件簿(仮 でお会いしましょう。
それではおやすみなさい。




