大金の使い道
いつも読んで下さる方、初めましての方おはようございます。
また徹夜してしまいました。
昼夜逆転の生活になっております。
ですが楽しみにされている方々のために頑張ります。
それではお楽しみください。
扉を開けて中に入る。
暖かいのだろうが感覚が無い。
女将さんが「おかえり!」と言ってくれたのだが俺は変だった。
【こんばんは、御機嫌いかがでしょうか?】
と、訳の分からない事を言っていたようだ。
パシーン!
女将さんに頬っぺたを叩かれたらしい。
頬の熱が意識を通常に戻してくれたようだ。
「治ったかいこのポンコツは?」
「女将さん、ヘファさんは何もしてないのですー!」
「良いかいアリスちゃん。壊れた魔道具はね、こうやって引っ叩いて直すんだよ。」
「ヘファさん、壊れたのですかー?」
「だから引っ叩いたのさ!」
頭が覚醒した俺は女将さんにお礼を言った。
【女将さん、ありがとうございます!】
女将さんのおかげで思考がいつもの様に戻った。
「その前に言う事があるだろう?」
「「ただいま、女将さん!」」
「よろしい!いつもんトコへ行きな!すぐに飯だ!」
【はい!】
「御飯なのですー!」
女将さんにはいつも助けられるな。
いつもの場所に行く。
「お帰りなさい・・・。」
「おかえりなさい!」
「貴方、アリス、お帰りなさい。」
そう言ってくれる。
そう、この子達のこんな生活が守れれば良いんだ。
改めてそう思う。
【リズは大丈夫なのかい?】
「落ち着いたけれど食欲がないんですって。寝かせているわ。」
【そうか、それなら良いんだ。】
「女将さんに殴られていたけれど、どうしたの?」
ベスとマオが心配そうな顔をしている。
【ああ、大丈夫だよ。それについては後で話すね。】
「分かったわ、無理をしちゃダメよ?」
【無理はしてないから安心して。】
そう言うと皆が微笑んでくれた。
ああ、俺はこんなにも幸せだ。
俺が幸せを噛みしめていると女将さん達が御飯を持って来てくれた。
「小僧、そろそろ更新しておくかい?」
【じゃあ、後で伺いますよ。お湯もお願いしますね。】
「分かった。湯桶は後で持って行く。」
御飯とお湯の料金を払うと女将さんが厨房へ戻って行く。
さあ、皆で御飯を食べよう。
【いただきます!】
「「「いただきま-す!」」」
そして今回はリズ抜きだったが一緒に晩御飯を食べた。
隣りにいるルイスにだけに聞こえる様に囁いた。
『ルイス、後で少し良いかな?』
『ええ、後で部屋に行くわね。』
さあ、先程の話をしたらルイスはどういう顔をするだろうか?
楽しみなような、不安のような気持になったが相談出来る人がいるのは良い事だ。
御飯が終わると厨房に来た。
【女将さん。一の月分を延長でお願いします。】
「おう、任せておきな。そのまま延長してやるよ!」
料金を支払うと女将さんが言って来る。
「小僧、もっと稼いできな!」
【はい!】
女将さんと別れ部屋に戻る。
しばらくすると湯桶が来たので体を拭き寝間着に着替えてルイスを待っている。
すると「コンコン」とドアがノックされた。
まず寝間着に着替えたアリスが入って来る。
その後を追うように寝間着に着替えたルイスも入って来る。
ルイスとアリスはアリスのベッドに座る。
そうするとルイスが頭を下げて来た。
「昨日はごめんなさい、気が動転していて・・・。」
と、謝って来る。
【いや、俺の方こそ抑えが効かなくて・・・ごめんね。】
「貴方のせいでは無いわ。」
【いや俺のせいだよ。】
「悪い事をしたら謝るのですよー!」
・・・二人でアリスを見た。
「「ップ、アハハハハ!」」
アリスのおかげで二人共いつもの調子を取り戻せたようだ。
ルイスがアリスの頭を撫でながら言っている
「アリス、ありがとうね。」
アリスは嬉しそうだ。
「仲直り出来て良かったのです!」
と、言っている。
さてと話さないとね。
「で、話って何?」
と、ルイスが聞いてくれたのでスムーズに話をする事が出来た。
【うん、まずはこの袋を見てくれる?】
そう言って白金貨の入った先程の小袋を渡す。
受け取ったルイスがお金?
と、言う顔で中身を見る。
「これって金貨よね?綺麗な白い方は何?」
うん、白金貨は見た事が無いらしい。
【白金貨だってさ。】
そう言うとルイスが固まった。
更にガタガタ震えだした。
袋の中身もカチャカチャと音を上げている。
うん俺と同じ反応だな。
しばらく無言でいるとルイスが慌てたように言う。
「し、白金貨ってしかも十枚も!?」
【そう白金貨だってさ。】
「貴方、何をしたのよ!?」
【えーっとね、ルイスと初めて会った時の事を覚えているかい?】
「・・・感じの悪い女だったでしょう?ごめんなさいね。」
遠い目をしている。
【その時に作ったポーションの事は覚えてる?】
ルイスが思い出したかのようにポンと手を叩き。
「ああ、最初に作ったやつよね?」
思い出してくれたようだ。
【それを商業ギルドのギルドマスターの勧めで王都のオークションに出品したんだ。】
「オークションて何?」
【オークションって言うのは、金額が高い物や希少なアイテム等の金額が高くなりそうな品物を出品して買う人が競争して大金を取引する物だよ。】
「・・・なんとなく分かったわ。それで貴方の作ったポーションが高値で売れたのね?」
【そういう事なんだ。】
「あのポーションが、そんな値段で売れたのね・・・。」
ルイスは初めて会った時の事を思い返しているようだ。
「懐かしいわね。でもあのポーションがそんな高値で売れるとは思わなかったわ。」
【希少品らしいからね。ただ俺もびっくりしちゃってさ。ギルドマスター、ブロストンさんて言うんだけれどその人の前で平静を保つのが大変だったよ。】
と、言って微笑んで見せた。
「ふふっ、貴方はいつもそうね。」
ん?
何の事だろう?
分からないので聞いてみる事にした。
【何だい、そのいつもって言うのは?】
「ううん、何でもないわ。」
ルイスが微笑んでいる。
小袋から白金貨を一枚取り出してじっくりと見ている。
「これは給金には出来ないわよね。」
【そうだね。店舗の開業資金にでもしようか。】
「そうするのが良いと思うわ。」
【後ね給料日、いや給金日を決めたいんだけれど。】
「そうね。給金であの子達の働く意欲を高めないといけないわね。」
【それで皆に差別というか、区別?をしたくないんだよ。】
「ええ、そうね。」
【だから皆の給金をしばらく一律にしようと思ってるんだけど、どうかな?】
そうするとルイスが微笑んで賛成してくれた。
「しばらくなら良い考えだと思うわ。でも上げすぎてはダメよ?」
【それは分かってる。ただ、そうするといくら渡せば良いのか分からないんだよね?】
ルイスが考え込む。
そういえば一般家庭だと金貨一枚でどのぐらいの生活が出来るのだろうか?
そういう事は調べなかったなと後悔する。
【だから給金の金額を一緒に考えてほしいんだ。】
「分かったわ、考えるわね。近いうちに相談するわ。」
【俺は月の給金日は二十五日にしようと思っているんだ。】
ルイスが肯いてくれる。
【ただし生活に必要な物まで自分で揃えてもらう。】
「成程、自活する事を勉強させるのね。」
【そういう事。】
「それは良い考えね。」
【うん、今みたいに俺に依存している生活だとダメだと思うんだよね、もし俺がいなくなったり】
そう言うと話の途中で俺の腿の上に座ってルイスが抱き着いてくる。
『貴方がいなくなるなんて事は冗談でも言わないで。』
ぎゅっと抱き着いて囁いてくるルイス。
【そうだね、迂闊だった。けれどねルイス。もしいなくなったと仮定してだよ、そうすると今の生活は出来なくなるだろう?】
「ええ、そうね。」
抱き着く力が強くなる。
【そう言った時の為に自活する力は必要なんだよ。貯金もね。】
「そうね。」
ルイスの顔は見えないが言う。
【だからそんな悲しそうな顔はしないで、ルイス。俺は君達を置いて何処かに行ったりしないよ。必ずだ。『創造神アリステリア様』に誓う。】
「分かったわ。そういう所は信頼しているのよ?」
【ありがとう、ルイス。】
そういうと頬にキスをして来た。
【ルイス、アリスがいるんだよ?】
「アリスなら寝ているわよ?」
そう言われてアリスの方を見るとベッドで眠っていた。
【でも、俺が我慢できなくなっちゃうよ?】
「ダメよ、今日はお終いよ?」
名残惜しそうにルイスが俺の腿から立ち上がる。
俺も立ち上がる。
どちらからともなく唇を寄せて行く。
「アーサー・・・なのですー・・・。」
アリスの寝言に二人で驚く。
【・・・続きはまた今度にしよう、ルイス。】
【はい、貴方がそう言うなら・・・。】
そして「おやすみなさい。」と言ってルイスは部屋を出て行った。
俺はその残り香にルイスの温もりを感じていた。
今日は良く眠れそうだ。
ベッドのアリスを整えてあげてから、俺も眠りにつくのであった。
此処まで読んで下さりありがとうございます。
評価、イイネ、ブックマーク等いつもありがとうございます。
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それでは次話 ミカ再び(仮 でお会いしましょう!
おやすみなさい!




