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エキドナ

御疲れ様です。

新話となります。

楽しんでいただければ幸いです。

暗闇だ・・・。


そうか、ダンと言う人間に打ち負かされたのだ。

母上から龍種を凌駕する力を授かったのに、それより劣る人間種に負けたのだ。

完敗だった。

あの心が蝕まれて行く感じは何だったのだろうか?


ん・・・?

声が聞こえる。


『地上で・・・一番の・・・竜種の・・・未来に・・・。』


母上の声だろうか?

何と言えば良いのだろうか、守ってくれている。

そんな感情がある声だ。


【母上!申し訳ありません。私は破れました、残念ながらここまでのようです・・・。】


『我が子よ・・・仲間を・・・されば・・・そなたの行く道に・・・幸あれ・・・。』


【どう言う事ですか?母上、教えて下さい。仲間とは何ですか?これから、我はどうしたらよろしいのですか?】


『仲間と共に・・・困難に・・・打ち勝つ・・・さすれば・・・。』


【カッハッ!!!母上!?】


目が覚めたようだ。

どうやら先程の洞窟の中らしい。

手かせと足かせが付いているようだ。

傷は・・・治っている。


「お、気付いたか?」


隣りには我を打ち負かした人間で「ダン」と言った男が立っていた。


【おお、ダンか・・・そうか・・・我は負けたのだったな?】


「おう、次はどうだか分からねえがな。今回は勝たせてもらった。」


【今回は・・・か、次回は無いのだろう?我は・・・殺されるのだな?】


「馬鹿を言え、そんな考えなら目覚める前に殺してるぞ?」


【・・・どう言う事なのかな?】


「生まれたばかりのお前に、世の中の楽しみを教えてやろうとな・・・。」


【楽しみ?】


「そうだ、お前が倒したジュウベイ殿やアーサーもな、お前の事をもったいないと思っているぞ?」


【・・・もったいない?】


「ジュウベイ殿もアーサーもな、あっと、アーサーって言うのはヘファイストスの事だ。」


【人族は名がたくさんあるのか?】


「面白い奴なんだ、それに今更、「ヘファイストス」様とかは言いにくいんだよ。」


【様?あやつは偉い奴なのか?】


「ああ、だが俺達のパーティーメンバーだ。」


【パーティーメンバー?】


「仲間って事だ、アーサーはそこにお前を入れたいらしい。」


【仲間!?我を?】


そう言えば先程仲間がどうとか言っておったな。


「そうだ、このままにはしておけないってな。生きてりゃあ、楽しい事も辛い事もある。それを体験させないで良いのかってな。」


【楽しいとは何だ?相手を倒す事だろう?】


「それもある、だがな、それだけじゃない。お前は竜族との懸け橋にもなれる貴重な存在だ。」


【それで、我に何をしろと?】


「嫌じゃなければ俺達のパーティー、「オーガの牙」に入ってくれ。」


【我が?】


「そうだ、お前は今は孤独だ。母親や供回りの竜は先程・・・逝っちまった。」


【母は弱かったから死んだ。側にいた竜種達も死んだ。弱いからだ!】


「だから、お前が強くなって、友を守ってやれよ。」


【守る?】


「そうだ、弱者を守る事でお前の才能は芽吹くかもしれん。」


【・・・。】


「エキドナ。」


【なんだ?】


「俺達の仲間になれ。楽しい事も辛い事も俺達と共に見つけようぜ。」


【我が強くなれるのなら、ダン、君の言う通りにしよう。君に敗れた我には明確な目標などは無い。それを見つけさせてくれ。】


「応よ、これからビシバシとしごきが待っているぞ?」


右手を伸ばす。


【これは?】


「握手と言ってな・・・万国共通の友好の証だ。」


【そうか・・・それでは、世話になる。】


エキドナとがっしりと握手をする。


「オーガの牙へようこそ、エキドナ!」


【・・・なんだろうな、そうか、これが「心地良い」と言う事か。】


そう、この日、エキドナの運命が動き出したのだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



洞窟の外に出ると出て来た人物達に声を掛ける。


【ダンさん、大丈夫でしたか?】


「ああ、エキドナの枷を取ってやってくれ、アーサー。」


【了解、皆には話を通しておいたよ。これからよろしくね、エキドナ。】


【ヘファイストス。】


【な、何かな?】


【貴様とは蹴りが付いていない、覚悟するが良いぞ?】


【なんで俺の周りは、こんなバトル・ジャンキーばかりなのだろうか・・・。】


【バトル・ジャンキー?】


【あー、それはどうでもいい、これからよろしくね。】


【ああ、こちらこそ頼む。】


手を差し出すと握り返してくれた。

握手は分かるようだ・・・ダンが教えたのだろう。

側で見ていたセリスが遠慮がちに自己紹介をする。

恥ずかしいのかな?


「だ、旦那様の嫁のセリスだ。こちらもよろしく頼むぞ。」


【嫁とは何だ?】


「よ、嫁とは・・・その、だな、夫婦の事だ!」


【ヘファイストスのつがいと言う事か、こちらこそ頼むぞ。】


「よ、よろしくな!」


がっしりと握手をする。


「同じく、主君の嫁のクレアだ。よろしく頼む。」


【こちらこそ、クレア。】


こちらもがっしりと握手を交わす。


【セリス、クレアよ。】


「「何かな?」」


【ヘファイストスは強い雄なのか?】


「うむ、旦那様は強いぞ?」


「格段にな。」


【そうか・・・ならば、とりあえずの目標とさせてもらおう。】


「いいのではないか?」


「そうだ、いいと思うぞ?」


二人共、ニヤリと俺の方を見るのは止めて頂きたい。


「アーサー、これで解決ですね。」


【ええ、まあ、肝心な所はダンさんに頼っちゃいましたけどね。】


「頼れるところは頼ればいいのですよ、その為の兄貴分なのですからね。」


【ジャスティンさんも頼りにしておりますよ。】


「アーサー様、私も頼って下さいませ!」


「アーサー君、あーっしも頼って良いんだけど~?」


【はい、ありがとうございます。御姉様方、頼りにしております。】


「塩対応なんさ~。」


【オーガの牙に世話になる。「エキドナ」だ、よろしくしてくれ。】


「よろしくお願いするわ、私は、ラフィアと申します。」


「アンナだよ、よろしくなんさ~。」


「ジャスティンです。リーダーをしております。よろしく、エキドナさん。」


がしっと皆と挨拶して行く。

ディアナの前に来ると両者は見つめ合う。

ガッシと握手すると二人共ニヤリと笑い、見つめ合う。


「どっちが早く強くなるか競争だぜ?エキドナ。」


【フハハ!威勢が良いな、ディアナ。だが、色々と頼む。】


「応ともよっ!」


ガシッと握手をした。

うんうん、仲が良いのは良い事だ。


「この後はどうすればよいのだ?」


俺達を見ていたシェラハザードさんが聞いて来る。


【俺が戻って報告をしますのでしばらくは待機を。その後は皆さんはゲートで移動出来るので、一度オーカムへと戻ります。】


「分かった、紅玉殿、頼む。」


【では、また後でお会い致しましょう。】


マーカーはしておいたので、セリスとクレアを連れ、ゲートの魔法でオーカムへと戻る。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「やってくれたか、あんちゃん!」


【お帰り、お兄ちゃんー・・・。】


【アセディアも御疲れ様。色々ありましたがね、今回の事は異例でした。それと、フォマルハウトの方はどうなってますか?】


「あちらには代官として、ネストを置いてある。心配はいらんじゃろう。」


【じゃあ、回収部隊はアレックスさんが?】


「うむ、わしは今回は動けないのでな。で、どうだったんじゃ?」


【討伐自体はそうでもありませんでしたよ。最後に竜の女王になる御子を仲間に加える事が出来ました。詳しくはジャスティンさんからの報告書を読んで下さい。】


「あんちゃんの口から聞きたかったのぉ。」


【それはまた後日だ、爺さん。それで、回収部隊の準備は?】


「一千の兵と職人を用意しておる。何時でも行けるぞ?」


【では、今すぐ行きましょうか。】


「今からか!?」


【何時でも良いとおっしゃったので、良いかなと。】


「ステファン、副官に任命したアーディーに連絡せよ。至急じゃと付け加えよ。」


「かしこまりました、大旦那様。」


【騎士爵にしてあげたんじゃなかったの?】


「まだじゃ。任命はレガイアが正式にやる方が良いじゃろう?」


【そう言う物なの?】


「そう言う物なんじゃよ。」


【それで、回収部隊の皆は何処に集まっているの?】


「狭いが演習場に集合する予定じゃ。」


【少しは時間があるかな?】


「明日の朝にはそろわせて見せよう。明日までだが、少しなら時間があるぞ?」


【良かった、ルイス達にも会いたかったんだよ。】


「我らも会いたいぞ、旦那様。アリス殿とクーデリカ殿成分を補給しなければな!」


「はっはっは、セリスよ家族に会うのだ、遠慮する事はあるまい。」


セリスさん、成分って何の事かな?


「あんちゃん、話してこい。戻っても忙しいのじゃろう?」


【ああ、この後は店と、本命のヘルシャーの七大悪魔の事だからね。】


【お兄ちゃんー・・・御褒美の事ー・・・忘れてないー・・・?】


【それも予定に入れておくよ、夜でも良いのかな、アセディア?】


【んふ~・・・お兄ちゃんー・・・後でねー・・・。】


アセディアは御願いを聞き入れてくれて爺さんの護衛をしてくれていたようだ。

そんな素直な娘のお願いは聞いてあげないとね。


一度宿に戻ろうかな。


色々とあったから皆とも話をしておきたい。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



【ふう、着いたぜ・・・久しぶり・・・と言う訳ではないか。】


「懐かしいとは言えない日にちだが、懐かしいと言わせてもらおう。」


「そうだな、二人共。皆に会えて私も嬉しいぞ、主君。」


いつもの宿屋に辿り着いた。

ルイス達と会っておきたかった。

ナナリーには一緒に迎えに行ってほしい人がいるし、サーラにも一緒に家族を迎えに行ってほしかったところだ。

とりあえずは家族となった人達を手元にい置いておきたいと思っている。


それと住居と食事などだ。


街の暮らしにも慣れてもらう様にしておきたかった。

更に言うと目をつけた人の勧誘もしておきたかった。

勧誘しておきたい人材は妾としても連れて来たい人や出会ったり聞いてその人柄に惚れた人物達だ。

これだけはやっておきたい。


【皆に会いに行こう!】


「はい、旦那様!」

「そうだね、主君!」


「「【女将さん、ただいま!】」」


「お、小僧じゃないか・・・少し大きくなったかね?」


【本当ですか、女将さん!】


「・・・気のせいのようだね。」


がっくり・・・。

くそー、いつか大きな男になったって言わせてやるからなー!


【ルイス達はいますか?】


「今は昼前だから掃除とかをしてもらっている所さね。」


「主君、何か伝える事があるのかな?」


【ああ、ナナリーとサーラに家族を迎えに行く事を伝えたかった。】


「それは良い事だと思うぞ、旦那様。」


【ルイス達にも面通ししておきたいんだよね。】


「そうか、では我らは休息をもらおうか。」


「そうだね、主君。何か用事があれば言ってくれ。」


【うん、二人共ありがとうね。助かったよ。】


そう言うと二人は着替えに戻って行ったのだろう。

何時までもフルプレートでは疲れてしまうからね。

さてと、俺もやれる事はやっておこうかな。


と、目的の人物を探しに行く。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



【いたいた、ルイス!】


「貴方・・・お帰りなさい。」


【ただいま、ルイス。】


側によって抱き上げる。


「っきゃ、もう、いきなり何するのよ?」


【嫁さん、ただいま!寂しくなかったかな?】


「ふふっ、戻って来るって約束してくれていたから、寂しくはなかったわ。」


【ぐぬぬ、寂しがってると思ったのにな・・・。】


「御仕事とか化粧とか覚えたりするのに、とても充実していたの。」


【ルイスについて来てほしい所があるんだけど、大丈夫かな?】


「良いけど、何処に行くの?」


【ナナリーのお義母さんのお迎えと、サーラの家族を紹介しに行きたいんだ。】


「ねえ、貴方。それだけではないのでしょう?」


【うん、後になるけれど有用な人材も見つけて来たから、その人達と顔合わせをしてほしい。】


「分かったわ、それで、何時行くの?」


【もちろん、今からだよ!】


「もう、またそうやって急に決めて!」


【だって、良い人材の引き抜きには早い方が良いでしょう?】


「そうなのね、何処から行くのかしら?」


【ナナリーを探してからサーラを探そう。】


「サーラさんなら商業ギルドよ?」


【頑張っているようだね、フェイの技術は素晴らしいから・・・是非、鉄のハイクオリティーを作れるようになってほしいね。】


「ふふ、それじゃあ驚くわね。」


【驚くって何さ?】


「後のお楽しみよね?」


【分かった、楽しみにしておくよ。】


「着替えてくるから、待ってて頂戴。ナナリーさんなら中庭よ?」


【洗濯だね?】


「そう、じゃあ、行くわね。」


【ルイス、御褒美が欲しいな。】


「もう、甘えん坊さんなんだから。」


唇にキスをしてくれた。

そのまま抱きしめる。


【ルイス・・・俺の嫁さん。】


「ふふ、ナナリーさんにもお話をしていらっしゃい、旦那様。」


【おう、言って来るぜ!】


ルイスに見送られて中庭へと向かう。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



【ナナリー、ここにいたね。】


「ヘファ君、お帰りなさい。お仕事は済んだのですかー?」


【はい、後は回収部隊を送るだけですよ。】


「疲れてはおりませんかー?」


【大丈夫だよ、ナナリーこそ、疲れていない?】


「私なら、大丈夫ですよー。」


【そうか、ナナリー、お義母さんを迎えに行きたいんだけど、どうかな?】


「構いません、母の方もそろそろ支度が出来ているでしょうー。」


【ナナリーにも行ってもらいたいんだけど良いかな?】


「お仕事は一段落着いたので大丈夫ですよー?」


【ルイスも誘ったんだよ。だから着替えて待ってて、サーラも呼んで来るから。】


「サーラさんを?」


【うん、今回の討伐の時に、サーラの故郷に寄ったから挨拶をして来たんだ。】


「ふふっ、驚かれていたでしょうー?」


【うん、驚いてたよ。】


「ふふ、こんなに立派な旦那様ですからね、驚くのは無理の無い事ですよー、」


ナナリーさんに言われると滅茶苦茶恥ずかしいな。


【じゃあ、支度をしておいてくれるかな?】


「外行きのフォーマルでよろしいですかー?」


【それで大丈夫、俺はサーラを迎えに行ってくるから!】


「はい、御待ちしておりますねー。」


【行って来ます!】


「いってらっしゃいー!」


さて、次はサーラだ。

俺は商業ギルドへ向かう。

早い所落ち着きたいね。


その足取りは軽かった。

ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

誠にありがとうございます!

皆様には感謝を!

次話 家族と言う暖かい物(仮 で、お会い致しましょう!

それでは、御疲れ様でした!

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