特別な加護の力
皆様、大変お待たせいたしました。
執筆が終わりましたので上げさせて頂きます。
お楽しみ頂ければ、幸いでございます。
模擬仕合を見ていたシェラハザードさんが言って来る。
「紅玉殿、見させてもらったぞ!次は私とだな!」
「隊長、紅玉様とやられるんですか?」
「うむ、ここでやらなければ機会は無いと見たぞ?」
そうだね、なんだかんだ言ってやらない方向へ行っていたからね。
【体が温まって来ましたので、やりましょうか?】
「願っても無い・・・アダムス、万が一の時は頼む。」
「かしこまりました、団長。」
木剣を二本携えるとゆっくりとした挙動で宿屋兼酒場から出てくる。
それを見てギャラリーが集まりだす。
当然のように賭け事が始まる。
胴元は覚悟しとけよ・・・。
セリスとクレアは、いつものようにクールダウンしているのだろう。
裏庭の中央付近で開始線を書いていると、闘気がゆらりと近付いてきた。
うん、心地良い闘気だね。
開始線を書き終わると支度をする。
そう、初めての相手、それも二刀流。
ワクワクする。
支度を整えると、シェラハザードさんは右の開始線へ。
俺は左の位置につく。
シェラハザードさんは右に左と軽々と木剣を振りながら言う。
「やっとだ、やっと強者と仕合事が出来る。この時を待ちわびたぞ。」
【お待たせしましたからね・・・では、準備はよろしいですか?】
「もちろんだ、何時でも良い。」
「それでは、私、アダムスがこの試合の判定員を引き受けましょう。」
【お願い致します。】
「頼むぞ、アダムス。」
「では、互いに礼。」
【よろしくお願い致します。】
「よろしくお願いする!」
頭を下げ構えを取る。
「では・・・始め!」
お互いに手の内が解らない相手だ。
ここは自分のペースに持ち込みたいね。
開始早々突っ込むとシェラハザードさんも同じ考えだったようで互いに顔を見合わせる。
【え!?】
「何じゃと!?」
近すぎて何が起きているのか分からなくなった二人は互いに木剣を振るう。
【っふ!】
「ハアッ!」
ゴッ!!!
この間合いを維持できれば良いか?
手数で上をいかれれば勝機は無いのではないか?
しかも二刀流と戦うのは初めてだ。
どうする?
「だりゃっ!」
そんな事を考えていたらシェラハザードさんの先制を許してしまった。
「ハアッ!ソリャ!ソリャ!」
右、左、右と三連続で飛んでくる攻撃をいなす。
これで一息つけるかと思ったのだが連撃が・・・止まらない!?
「リャリャリャリャ!!!」
くぉ!?
これは不味い。
相手の攻撃パターンにどっぷりとつかってしまった!
これ以上早くなると捌ききれないぞ?
さあ、どうするよ!?
ガン!
ゴッ!
ガゴッ!
いなしていなければ、とっくに俺の木剣は使い物にならなくなっていただろう。
相手のスキを見付けようにも、そうはさせまいと連撃が俺を襲う。
【っく!?】
「まだまだまだぁー!!!」
嘘!?
まだ早くなるの!?
「セリャアアァァー!」
これ以上に早くなるのは本格的に不味い。
何処かで楔をいれるのが良いだろう。
だが、何処でいれる!?
いれようにもスキがないぞ?
ガコッ!
コンッ!
防戦一方だ。
ジリ貧だ。
スキが無い。
どうする!?
「旦那様!」
「主君!」
「兄貴!」
「アーサー君!」
「アーサー様!」
皆が心配をしている!?
違う!
俺が不甲斐無いからだ!
心配をさせてしまっているんだ!
ジャスティンやダンの表情も険しい。
師匠の顔は・・・今は見れない。
ここまでなのか!?
違う、ここからだろう!!!
そう言えば彼女の武器にしているカットラスは、通常の物よりも二回りほど大きかったな?
これが彼女本来のスタイルなのだったのなら、武器は木剣、攻撃は軽いはずだ。
攻撃の重さを出す為に、本来の武器は重くしているんだ!
そうだ、俺の木剣がここまで無事なのは攻撃が軽いからか?
それならば、攻撃が軽いのも納得がいく!
何処かで一息つけるようにスキを作らないと。
わざとスキを作るように左の腹を空ける。
そしてついに機会が来た!
最初で最後の機会が!
ここを逃す訳にはいかない、心を落ち着けろ、狙いはドンピシャ・・・そこぉっ!!!
突いて来た左の武器に剣をひっかけて下段に受け流す。
と、バランスを崩したのか彼女の身体も付いて来る。
ここだ、この機会を逃す訳にはいかない!
「ぬぉ!?」
突きに剣を絡める様なイメージでその剣を巻き上げる!
フォン!!!
「なっ!?」
見事に成功した!
その木剣が宙を舞う。
意識の片隅にそれを入れる。
それより正面を見ろ!
片手になった彼女は空にある、その剣を、軌道を見ている。
「馬鹿なっ!?」
このスキを逃す訳にはいかない。
素早く懐に入り、剣を喉元へ。
「ぬぉ!?」
「一本、そこまで!」
「・・・やられたぞ、流石は紅玉、いや、紅蓮のアーサー。良い仕合じゃった。」
【貴女が本来の武装を振るっていれば、勝敗は解りませんでしたよ。】
「ふははは!そうかそうか、じゃが負けは負けじゃ。」
【今回は勝たせて頂きましたよ。今回は、ですがね。】
「良い仕合じゃった・・・。」
【そうですね、ワクワクしたのは久しぶりです。】
「そう言って頂けるとは、光栄の至りですな。」
【戦場では会いたくないですね。今回は味方で良かったです。】
そう言って別れ、セリスとクレアの所へと戻る。
「旦那様、素晴らしい仕合でした!」
「主君、これを使いたまえ。」
そう言ってセリスがスポドリもどきを、クレアが手ぬぐいを渡してくれた。
「団長、こちらをどうぞ。」
「すまんな・・・ふぅ、久しぶりにやられたぞ。」
「楽しそうで何よりです・・・御怪我はしておりませんね?」
「・・・アダムス、滾っているのじゃろう?」
「・・・いえ、そのような事は・・・ありません。」
「素直になれぬのはどうかと思うぞ?」
「素直ですよ、ですから・・・お許し下さいますか?」
「構わん、敵は取ってくれよ?」
「出来る限り善処致します。」
シェラハザードさんの前に跪く
「私の前ではそれで良い・・・紅蓮殿!」
【どうしました?怪我ですか?】
「いや、責任を取って頂こうかなと声を掛けた次第じゃ。」
【責任ですか?】
「ああ、ここに火のついた男がおってな、是非に仕合をしてやってくれ。」
「よろしくお願い致します、紅蓮様。」
そう言うとアダムスさんは頭を下げて来る。
これは計画通りなのだろうか?
師匠の方を見ると・・・。
ニヤニヤしてこっちを見ている。
こうなる事を分かっておりましたね?
【分かりました、五分程時間を下さいますか?】
「支度をしておきます。それでは後程。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
裏庭に椅子やテーブルなどを並べた状態にしてもらった。
暗くなってきているのにギャラリーが増えているからだ。
辺境の村ともなると娯楽が無いのだろう。
今回の模擬試合を楽しみにしているようで、女性や子供達まで集まってしまった。
集まった女性達は、酒場の席に座って飲み食いしている百人将達の御酌までしている。
それを見ていたシェラハザードさんが酒を飲んで上機嫌だ。
村の人達の酒代を持ってやると言って一緒に飲みまくっているもんだから、団の皆さんが会計の心配をしている。
子供達、特にそろそろ良いお年の女の子達はジャスティンの周りにいる。
ジャスティンは紳士だからその対応に追われているのだろう。
羨ましくなんかないもんね!
フーンだ!
ダンは男の子からのリクエストで色々な冒険譚を聞かせてあげているらしい。
お酒の事が心配だった、アンナは、ラフィアが対応しているのでどうやら大丈夫のようだ。
ディアナは食べ物に夢中なのだろう、オゴリと分かったとたんに、ガツガツと食い始めた。
百人将の方々も混ざりあって今日の酒場は大忙しだ。
と、そんな中、対面にいる対戦相手を見る。
少しくたびれた長袖のシャツを着て腕まくりしている。
そこから見える「腕力は凄いんだぞ!」と言わんばかりな筋肉を見せている。
改めて上から見る。
長身ではないがそこそこの身長、175cmぐらいだろうか?
体重はそれなりだろう。
見た感じは思っていたより筋肉があるので、腕力は相当な物があるだろうな。
鑑定をかけた時はSTRは102もあったからね。
それなりに整っている精悍な顔立ち。
ジャスティンと比べるのは可哀そうだがね。
俺と比べたらだって?
お、俺と同じぐらいだぞ!
・・・すんません、正直に言おう、かっこいいっす。
特徴としては黒髪の黒目。
浅黒い肌と言う労働の証がある。
それとも、もともと肌が少し黒いのだろうか?
健康的だ・・・俺と比べるとだがね。
妹さん達もこんな感じなのだろうか?
二人いるって書いてあったからね。
何時かは妹さん達とゆっくりできる日が来ると良いね。
俺の方もイン殿に掛け合ってみるかな。
おっと試合だったよね。
対戦相手を見る。
肩を使って剣をクルンクルンと振っている。
恐らくウォームアップなのだろう。
動きがピタリと止まり開始線からこちらを見ている。
何時でもどうぞ、とでも言わんばかりだ。
「よろしくお願い致します。準備は・・・よろしいか、紅蓮殿?」
【俺も大丈夫です。】
「では、シェラハザードが戦の神ポレモスの元、この決闘を判定致そう。」
【お願い致します!】
「お願い致します!」
・・・あれ?
決闘って何の事だ?
仕合じゃないの?
「「「頑張れー!」」」
「褐色のあんちゃんに銅貨五枚!」
「小さいあんちゃんに銅貨三枚!」
どうやら賭けが始まったらしい。
オッズは体格の差でアダムスさん有利みたいだ。
「それでは・・・始め!」
「【おおっ!!!】」
ッザ!
互いに構えを取る。
俺が中段の構え。
アダムスさんは見た事が無い構えだ。
右構えで剣を突き付けるような感じだ。
「【・・・。】」
今度は互いに動かない。
先程、シェラハザードさんの時に見せちゃったからね。
この人には巻き上げは通用しないだろう。
さて、どうするか。
「紅蓮殿、我が家名にかけて・・・勝たせて頂きますぞ!」
【俺もそう簡単に負けるつもりはありませんよ?】
「ふふ、良い剣気ですね。では行きますぞ!」
【応っ!】
突っ込んで来た。
突きか!?
構えをとり・・・いや違う!
左払いだと!?
ゴッ!
お、重い。
軸にした辺りから剣が悲鳴を上げる。
フェイントとは、しかし!
「ハアッ!」
続けて上段からの振り下ろし。
だがそう簡単には当たりはしない!
余力を残しその剣を左にかわす。
ガッ!
地面を叩いたその剣は止まる事も無く右払いになった。
身体の重心は左に移っている。
体制が十分ではなかった。
仕方ないこれは受けよう。
ガゴッ!
重い。
これが本当に人間の力か!?
この攻撃を受けていると木剣が簡単に折れそうだ。
木剣の耐久値を考えなければ。
鑑定して見ると、新品に変えたのに木剣の耐久力が五分の一も減っている。
マジかよ。
仕方がない。
受けるのはここまでだ。
どうやら俺の有利な所は剣速だけらしい。
「どうしました?団長との戦いでの貴方はこんなものではなかったはずですよ?」
【アダムスさん、実力を隠していましたね?】
「隠していた訳ではありませんよ、遅かれ早かれ、グラキエースと戦う時には分かってしまうはずですからね。」
【ならば俺も見せましょう。受けてくれる人が少なかったので遠慮しておりましたが貴方が相手ならば良いですね?】
「構いませんよ、その剣技・・・見せて頂きましょうか!」
【応!】
ガゴッ!
少し間合いを取ると操体の力を上げる。
「フンッ!」
気合を入れて来た横払いをかわす。
「ほう、これをかわす・・・速度を上げましたか!」
【少し、いえ、貴方はこの段階で戦っても良いと判断しました。】
「それは光栄です。英雄の本気を引き出せたのですから。」
【行きますよ!】
カッ!
カコッ!
カン!
「ほう、動きが変わったと思ったら、先程よりも剣速が上がりましたね?」
【まだまだ上がりますよ?】
「期待させて頂きましょう!」
カコォ!
カキッ!
カン!
「素晴らしい、ですが・・・この剣は軽いですね。」
【この剣速だと受けられてしまいますか。では、重さも加えましょう。】
ゴン!
ガゴンッ!
「っく、重くなっただと!?ですが・・・まだ耐えられますよ?」
アダムスさんなら耐えられる。
そう思って操体の段階を引き上げて行く。
ゴンッ!
ゴガン!
「っく、このままでは!?」
防戦一方になってきたアダムスさんの顔色が変わる。
ガゴン!
ガンっ!
ずいぶん大人しくなってきた。
このまま行けるかな。
などと思っていたのだが、アダムスさんを見ると目は諦めていない。
それと体を覆うように闘気が出て来た。
まだ何かあるのかな?
「ここまで見せるとは思いませんでした。古のからの盟約に従い『イフリータ』よ、顕現せよ!」
イフリータ?
大精霊のイフリートと違うのかな?
ゴオッ!
っへ!?
なんか、アダムスさんの剣に炎の・・・オーラのような物が見える。
それと背後に炎を纏った女性の姿が見える。
なんじゃこりゃ?
【それは、何ですか?】
「私の国で、いえ・・・国だった所を、守護していた上位精霊の加護です!」
ここでも加護か!
しかも炎の加護ですと!?
この討伐にピッタリじゃないか。
・・・いや、待て!
国が滅んだのに精霊の加護が続いているだと!?
滅んだって事は精霊の祠も無くなっているだろうし、その精霊との契約は切れているはずだ。
何故なら祠を残しておけば、その精霊の加護は続いてしまうからだ。
国が滅んだと言う事は、その祠は壊され精霊との契約は切れているだろう。
・・・契約を更新した?
確か国が儀式で一度契約した精霊とは、再度契約する事は出来ないはずだ。
それに精霊の場合は守りの時にその力が発揮される。
まさか、守護していた精霊が、守れなかった事を悔いている?
アダムスさんの国はそこまでの規模の大きい国だったのか?
いや、精霊が守護していると言う、その国を亡ぼせるバイジンと言う国の軍事力は・・・。
「では、行きますよ!」
あの炎が何処までの物かは分からないが・・・聞いてみるか。
【あのー、その剣の炎を俺が木剣で受けた場合は、どうなるのですか?】
「・・・。」
【どうなるのですか?】
「・・・さ、さあ!行きますよ!」
この人、何も考えてねー!!!
カキッ!
コン!
コォーン!
その剣をはじき、さばき、いなす。
「イフリータ!力を、我に力を!」
ゴオッ!
炎の力が強くなったようだ。
剣に纏わりつく、炎のオーラが大きくなった。
俺の木剣がところどころ焦げて来ている。
何時までも続けていると不味そうだ。
ここは、多少無理をしてでも、アダムスさんを戦闘不能にしなければこちらの木剣がもたないかもしれない。
「レーヴァテイン流「フラム」!」
ありゃ?
そのまま突っ込んで来た!
受け止めようとすると、危機察知スキルがやばいと言って来た!
その攻撃を受け止め・・・いや、かわす!!!
「ハアアアァァァ!」
ブオッ!
木剣から炎が噴き出た!?
そんな機能は木剣には無いはずだぞ!?
なんとかその一撃をかわす。
次はどうする!?
駄目元でスキルを使う。
【騎士魔法 5th、オーラブレイド!】
「ハアアアアァァァァ!」
コンッ!
カキッ!
【オーラなら受け止められると思ったんですが、正解でしたね!】
「これで心配はありませんね!」
安心したのであろうアダムスさんが追撃をして来る。
「初手で我が流派の特性を見抜きましたか!流石ですね、ヘファイストス殿!」
【何ですか、その危険な臭いのする攻撃は!?】
「これが我が流派、レーヴァテイン流です。実力を見たいのでしょう?私の実力はまだこれからですよ?」
【そちらの木剣は燃えておりませんね・・・ですが、こちらが木剣で受け止めるのは不味いようですね。】
「貴方の望んた事です、どんどん行きますよ!」
今度はどんな攻撃なんだろうか。
ワクワクするね!
「これならどうですか、レーヴァテイン流「イグニス」!」
いやいや、さっきの三倍は炎が見えるぞ!?
分析するに、神の加護の力に似たような物だろうか?
とりあえず情報が欲しいね。
次の攻撃は受け止めてみるかな。
ガゴッ!
受けた剣に炎が纏わりついて来る。
【あちゃちゃ!?】
慌てて離れる。
【っく、精霊魔法ですか、やっかいですね!】
「我が国の元守護精霊、上位精霊イフリータの加護を受けた者に授かる事が出来る力です!」
【これが貴方の加護の力ですか!面白いですね!!!】
「・・・余裕ですか?ですがその笑顔、すぐに消して差し上げましょう!」
ヤバイな。
だけど、滅茶苦茶ワクワクするぞ!
「レヴァーテイン流「エクリクスィ」!」
危険を知らせるサイレンが俺の中で聞こえる。
剣に炎が纏わりそれを振るう。
今度はその炎が飛んで来た!
色々あるな、レーヴァテイン流!
その飛んでくる炎をかわす。
「まだ、笑顔ですね。これでも余裕がありますか?」
ん!?
危険信号が鳴りやまない!?
「レヴァーテイン流、「アウロラ」!」
間合いを詰めて来たと思ったら、大上段からの縦の回転斬り!
空中で前転してその勢いで斬り付けて来る。
ドグァッ!
身体を半身にして何とかかわす。
打ちつけた地面が力の形に陥没する。
受けていたら、俺の木剣はオーラを纏っていたとしても、真っ二つに斬られていただろう。
視界にセリスとクレアの心配そうな顔が見える。
二人共、そんな顔はしなくても大丈夫だよ。
「よくぞ見切りました、貴方は剣士としても一流なのですね!」
【それはありがとう、ですが、嫁の前では格好良い旦那でいたいと思っておるだけでございますよ!】
「旦那様・・・!」
「主君・・・!」
【では、こちらからも行きますね?】
「こられたし、イフリータの炎の守りを抜けるのならば!」
ただの木剣だとまずその守りを抜くのは無理だろう。
・・・模擬仕合だからねぇ。
何でこんな事になっているのやら。
ええい、今は仕合に集中しよう。
この木剣は俺の魔力供給に耐えられるだろうか?
だが、これしか思い浮かばない。
やってみよう。
木剣に纏っているオーラに魔力を纏いつかせるようにイメージをしてみた。
これで駄目だったら対抗する手段が無い。
頼むぞ・・・今は俺の相棒だろう、ただの木剣様!
【『創造神アリステリア様』よ、七柱の長にして全能たる女神よ!我に力を!困難に打ち勝つ力を与えたまえ!】
・・・
・・・ィ
・・ヒイィ
・ヒイイィィン
ヒイイイィィィン!
俺の木剣がうなりを上げる。
そうだ、魔力よ!
『創造神アリステリア様』の加護よ!
俺に力を与えたまへ!
キィィィィィィィン!
俺の木剣が振動すると共に光が凝縮して行く。
これが『アリステリア様』の加護の力なのか!?
それとも根源たるマナの力なのか?
・・・まさか、前に、イリーナ様に言われた神力の事なのか?
でもこれで戦えそうだ。
ありがとうございます、『アリステリア様』!
「それは・・・何がおこっているのですか?」
【貴方に炎の精霊の加護があるように、俺にも神の加護があるのですよ!】
「ば、馬鹿な!そのような『アリステリア様』の加護、聞いた事が無いですぞ!?」
【準備は整いました、行きます!】
ダッ!
駆け寄り木剣を狙って斬り付ける。
「ただの上段斬りではありませんか!」
そう、ただの木剣ならば警戒する必要もないだろう、だが。
ッキン!!!
高い音がして防御しようとしたアダムスさんの木剣が切れた。
「なっ!?」
そのままアダムスさんに光った木剣を突き付ける。
【俺の、勝ち・・・で、よろしいですね?】
「・・・あ、しょ、勝者、ヘファイストス!」
呆然とそれを見ていた皆が、シェラハザードさんのその声を聞くと時間が動いたかのように歓声が上がる。
「「「うおおおぉぉぉ!!!」」」
「最後のは何だったんだ?」
「炎のもすごかったが、なんだあの光の剣は?」
「か、完敗です、ヘファイストス殿。何時か・・・また、挑戦致しますぞ!」
【ええ、アダムスさんのおかげです。これで俺はもっと強くなれます、ありがとうございました!】
そう言って握手を交わす。
「ふう、貴方とは正式な場で仕合をしてみたいですね。」
【そうですね、またの機会があれば是非に仕合たいですね。】
「ふふ、次は負けませんよ。」
【こちらこそ!】
そう言うと別れる。
アダムスさんはシェラハザードさんの方へ歩いて行く。
「アダムス、お前までやられるとはな・・・ここは、完敗としておくか。」
「済みませんでした、団長。ですが・・・久しぶりに全力に近い仕合が出来て満足です。」
「そうか・・・その調子で明日は頼むぞ、アダムス。」
「良い仕合をさせて頂いたのです・・・お任せ下さい。」
セリスとクレア、師匠やジャスティン達の元に戻ると、質問攻めが!
「旦那様、見事でした。あの最後の一撃は何だったのですか?」
「主君、良い仕合だった。だがあの一撃は何だったのだ?」
「坊主、アレは・・・アレが『アリステリア様』の加護なのか?」
「アーサー、君と言う奴は・・・!」
「おいおい、最後のありゃーなんなんだ!?」
「アーサーの兄貴!最後のはなんなんだい!?」
「アーサー君、凄いんさ~!」
「『アリステリア様』、貴方の御子が、無事に試練を乗り越えました。」
皆から同じような質問が。
【毎日祈りを捧げた甲斐がありました。あれが『アリステリア様』の加護なのでしょう。】
「あの炎も凄まじかったが、そうか、加護の力なのか。私も見習ってポレモス様の祈りを続けておかねばな。」
「そうですね・・・しかし傭兵団の将とは言え、アダムス殿も強かった。」
【ええ、強かったです。だけど、ただの仕合であの炎の攻撃はどうなんだろうね?】
「確かに、木剣とはいえ炎とは・・・ですが心強い味方がいると分かりましたので、此度は良しとしておきましょう。」
「そうだな、主君。して、怪我などしてはおらぬか?」
【大丈夫です。それより、そろそろ終わりにして明日の本番に備えましょう・・・流石に疲れました。】
「分かりました、旦那様。」
「分かったぞ、主君。」
「そうする事に致しましょう。皆、明日が本番です。頼みますよ!」
「「「おおー!!!」」」
ジャスティンの言葉で皆がそれぞれの部屋に戻って行く。
酒場はまだ賑わっていたのだが、今日の所はこれで部屋に引き上げる。
一階からは、まだ喧騒が聞こえたが、眠る準備をする。
お湯を使い、タオルで体を拭い、着替え、セリスとクレアを待つ。
体を拭き終わった二人が一緒のベッドに入って来る。
明日の本番を察してか、二人も誘ってはくれなかった。
だけれども二人の柔らかい温もりを感じながら眠りにつく。
そう、今日は色々とあった。
けど、楽しかったな。
そう考えていたのだが二人の温もりが勝ったようだった。
それだけ疲れていたのだろう。
早々に眠ってしまい、その後の記憶は無かった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
まずは、いつものから!
評価、イイネ、ブックマーク等々。
誠にありがとうございます!
皆様には感謝しかございません!
そして連載してから、本日で二年の月日が経ちました。
ここまで出来たのはひとえに応援下さった皆様方のおかげです。
本当に感謝を!
これからも頑張ってまいりますので、応援の程、よろしくお願い致します!
さて、次話の前に年も経ちましたので一度全話を見させて頂こうかと思います。
特にイイネの頂けなかった話数などを重点的に見させて頂こうかと思います。
少し間は開きますが、年内には終わらせるつもりでございますのでよろしくお願い致します。
それでは 次話(未定 で、お会い致しましょう!
御疲れ様でした!




