フォマルハウトの悪夢
いつも読んで頂いて、ありがとうございます!
出来上がりましたのでUP致します。
それでは、お楽しみ下さい!
ゲートでオーカムに戻るとネストさんが兵士達を整えている所だった。
俺は地図を広げ各隊長に作戦概要を伝える。
「ヘファ殿、そんな事が出来るんだな?」
【はい、ゲートと言う魔法を使います。街に偵察に行った時にマーカーの魔法でルーンを用意しました。】
「あんちゃん、それは良いがどうするんじゃ?」
【爺さんと俺は南にある食料庫を抑える。その後ネストさんと合流。各部所の報告を待つ。】
「ヘファイストス殿、セリス様、クレア様、それぞれに兵二百をつけます、こいつらをよろしくお願い致します!」
「分かった、ネスト殿!」
「任されよう、ネスト殿!」
【兵士二百、任されました!】
「大公閣下がお戻りになったぞ!準備の出来た者から並べ!フォマルハウトの街を制圧するぞ!」
「「「おおー!!!」」」
「っへ、ネストよ、様になって来たじゃねえか。」
「おや、団長が褒めてくれるとは・・・明日は雨かな?っと、アレックス団長、後10分下さい。千名の準備を整えて見せます!」
「分かった!いいか、お前ら!今回の戦は首謀者のアンドレイを捕まえれば俺達の勝ちだ。」
「分かりました、閣下の護衛は任せて下さい!」
「任せた、ネスト!」
「食料は持って行かなくて良い!迅速に行動するんだ!」
「準備の整った隊から出発しろ!一番部隊は行けるか?」
「何時でも行けるぜ!」
「団長命令を!」
「お前ら、ならば行くぞっ!ヘファ殿頼んだ!」
【任されました!・・・7th、ゲート・トラベル。】
このゲートは街の北、城の正門前に出る。
「行くぞ!野郎共!城を制圧すると同時に領主を語る、アンドレイの身柄を押さえろ!」
「「「応!!!」」」
アレックスさんが馬に乗ってゲートに突撃して行くと、その後に兵士が続く。
【爺さんは俺と行動してくれ、セリスは東の武器庫を、クレアは西の兵舎を、頼みますよ!】
「分かった、あんちゃん!」
「任されよ、旦那様!」
「期待するが良い、主君。」
「第二部隊行きます!戦神ポレモスよ、加護を我らに!目標は東の武器保管庫だ!」
「「「ポレモスの加護を!!!」」」
「お前ら喜べ!なんと今日の指揮官は白薔薇様だぞ!」
「これで我らが勝利、疑う事なかれし!」
「「「疑う事なかれし!!!」」」
【・・・7th ゲート・トラベル!】
まずはセリスの行き先からゲートを出す。
「突撃です!住民に被害を出すな!絶対に略奪行為はするなよ!」
「分かりやした!第二部隊突撃!」
「「「セリス様に続け!!!」」」
「第三部隊の兵達よ!こちらも負けられないぞ!戦神ポレモスよ、御照覧あれ!突撃致します!」
「お前ら、指揮官は討滅と名高いクレア様だ!」
「「「おおおー!!!」」」
「主君、頼んだぞ!」
【・・・7th、ゲート・トラベル!】
「第三部隊突撃!略奪は行うな!目標は西の兵舎だ!」
「「「突撃!突撃!!!」」」
ネストさんと俺のゲートは街の南だ。
食料庫の制圧が目的である。
「時間はかけるな!住民に被害を与えないようにせよ!第四部隊、突撃用意!」
【・・・7th ゲート・トラベル。】
「突撃!突撃だっ!」
「戦神ポレモスの加護を!」
「「「我らに与えたまへ!!!」」」
どんどんと兵士がゲートへと突撃して行く。
【爺さん、俺達も行くぜ?】
「兵の指揮は任せる、あんちゃん!」
【第五部隊を預かる、ヘファイストスだ!皆さん行けますね!】
「「「おおおー!!!」」」
【『創造神アリステリア様』よ!我らに加護を!】
「「「我らの戦いを御照覧あれっ!!!」」」
【第四部隊と共に突撃せよ!・・・7th ゲート・トラベル!】
このゲートは第四部隊と同じく街の南側に出る。
目的は物資の保存庫、食料である。
「突撃じゃー!」
「「「突撃!!!」」」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「「「ワアアアァァァー!!!」」」
「騒がしいぞ、何があった?」
「そ、それが突然に軍が現れたと!」
「それは誤情報であろう、それともウジのようにでもわいたというのか?」
「ほ、報告!」
「どうした?」
「不明の敵と思われていた軍の正体が分かりました!」
「何処の軍だ!?」
「旗が立っておるので何処かの正規軍か?」
「馬鹿な!何処からわいて来たんだ、この兵士達は!?」
「それで敵は何処の者達だ!?」
「は、旗印はオーカムの軍隊です!」
「ば、馬鹿な事を!?一体オーカムと、どのぐらいの距離が離れていると思っているのかっ!?」
「どうやって侵入された!街門からか!?兵の数は!?」
「報告!敵数、不明!」
「っく、ならばここは安全ではないな?」
「城門より報告!」
「今度は何だ!?」
「正面の城門から敵兵が城内に!進入を許しました!」
「報告が遅い!敵が侵入しているこの状況を見ていないのか!それに門衛は何をしていたのか!?」
「青い光とともに突然現れた敵に門を制圧され、城門を閉じる事が出来ませんでした!」
「旗印は、オーカム公なのだな?」
「そうです!場内に進入した敵の旗印、オーカムの第一部隊です!」
「・・・ぼ、暴風のアレックスか!」
「伝令!」
「報告を!」
「ははっ!街の東西南北、全ての城門付近に敵が出現。西門付近の兵舎は制圧されました!」
「それでは兵を出して迎撃が出来んではないか!?」
「伝令!」
「今度は何だ!?」
「南、食糧庫抑えられました!」
「何が・・・何が起こっておるのか!?」
「オーカム公の奇襲です!」
「それは先程の報告で分かったわ!敵はどのようにしてオーカムとの離れた距離を現れたのか!」
「それが、皆目見当もつきません!」
「報告!東、武器庫抑えられました!」
「オーカム公は兵士がわく魔法の壷でも持っているのか!?」
ドガッ!
ドアが蹴り開けられる。
「ここにいやがったか!反逆者アンドレイ!!!」
「何者だ!」
「オーカム騎士団、第一軍団長のアレックス・オーゼムだ!野郎共!全員捕縛しろ!」
「「「応!!!」」」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「クレア様より報告!」
「報告を!」
「西の兵舎、抵抗はあったものの、制圧に成功致しました!」
「うむ、報告苦労!」
「報告失礼致します!」
「うむ、報告せよ!」
「セリス様より、敵、武器保管庫制圧致しました!」
「報告苦労!」
「ははっ!」
【セリスもクレアもよくやってくれていますね。】
「あんちゃん・・・これは、戦の仕方が変わるぞ?」
「まあ、本来ならば準備するまで待ってから戦になりますからね。もちろんですが、今回は敵に準備などさせませんよ。」
「敵城の状況が目に浮かぶようじゃ。」
「第一部隊より報告!」
「報告を。」
「敵の首魁、アンドレイが逃走、その後の足取り不明!混乱のすきをつかれました!」
「逃げたか?」
【爺さん、その逃げ道を俺は知っている。向かっても良いか?】
「構わん、捕まえてくれい、あんちゃん。」
【ネストさん、爺さんは任せたよ!】
「ヘファイストス殿、御武運を!」
そう言われると、アーディーから聞いていた川沿いの水門から地下へと潜る。
【1th ナイトサイト。】
後で爺さんにもアーディーの事を紹介しておかないとね。
地下に潜ると地図通りに進んで行く。
・・・ん?
ランタンの明かり?
【失礼を、貴方達は何者か?】
「伯爵様、下がってくれ。」
「どうせ雑魚だ、任せる。」
雑魚決定らしい。
いいもんね。
ここで、こいつらを実績にしてやる。
それに伯爵様って呼んでたしね。
コイツが元凶か。
気合を入れよう。
目の前に五人の護衛が並んでいる。
「一人だぞ、誰からやる?」
「俺が行こう。」
【はあ、期待していたのですが、御丁寧に横一直線とは・・・6th パラライズ・フィールド。】
「「「なっ!?」」」
「馬鹿な!6thの魔法じゃと!?」
その魔法の壁に接触した三人が動けなくなったようだ。
二人は運よくレジストしたようだ。
素早く駆け寄り、魔法をレジストした魔法使いっぽい男の鳩尾に一撃を入れる。
ドゴッ!
「ぐはっ!?」
あっという間に魔法使いが沈黙。
あれー?
これが強いって言われる護衛なのかな?
物足りないぞ?
「馬鹿な!?」
【敵を目の前に悠長に話してる暇なんかないでしょ?】
「っち!」
ッシュ
何かが飛んで来た。
余裕をもってかわす。
「これを見切るか!?」
手裏剣かクナイであろう。
どうせ毒が塗ってあるのだろうね。
忍術の使い手かな?
それにしてもお粗末な。
隠蔽スキル
「なっ!?消えた!気配もないだと!?」
隠密スキル
「何処だ・・・何処にいる!?」
音を立てずに歩いてアンドレイの後ろに着く。
さあ、そろそろ幕を閉じようか?
隠密解除!
「・・・なっ!?伯爵、後ろだ!」
「何だと!?」
【振り向いちゃ駄目でしょう?護衛の貴方は気配を感じるのがちょっと遅かったかな、5th パラライズ!】
「ぎゃっ!?」
「伯爵!」
【これで、貴方一人ですよ?どうしますか?】
「っく!?」
ッザ!
どうやら逃げる事を選択したようだ。
甘い。
逃がす訳ないでしょう?
【5th パラライズ!】
「ぐぎゃっ!?」
うーん、期待外れだったなあ。
この強さじゃあ、噂にならないよ。
セリスとクレアに何て言おうかね。
アレックスさんの部隊が追いかけてくるだろうから、こいつらの事は任せよう。
伯爵以外放置で良いか。
護衛の五人を縛り上げ、猿轡をかますと伯爵を縛り上げ背負って地下道を後にする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アンドレイを捕らえた後は局地的な抵抗はあったものの、街には大きな被害は無く「アンドレイの反乱」は鎮圧された。
この知らせが王国中に広がると、反レガイア国王の炎は急速に下火になって行った。
反乱の首謀者であるアンドレイ元伯爵には厳しい沙汰が待っているからだ。
この戦いは『フォマルハウトの悪夢』、人々はこの電撃戦の事をこう呼んだ。
それ以来、レガイア国王に忠誠を誓うと各街の長達や、伯爵以下の貴族達もこぞって謁見を求め、王都は連日の謁見で忙しいらしい。
これで、レガイアさんの国王の地位は揺るぎないものとなったのである。
・・・当の本人は王都の復興をしていた時にこの知らせを聞いたらしく、慌てて大天幕を建てたらしい。
復興が進まないではないかと、困った顔をしていたようだ。
頑張ってくれ、レガイアさん。
アンドレイ元伯爵家は伯爵の位を剥奪、財産や土地も没収された。
爺さんは反乱をすればこうなるぞと、国中に示して見せた。
領主のアンドレイ家は没落、解体されてその領地は国王の直轄地となった。
反乱の首謀者アンドレイの血族の者達は全て捕らえられ爺さんの沙汰を待っている所らしい。
十歳未満は施設などに預けられるそうだ。
もう親の顔を見る事は出来ないだろうけれども・・・。
これで国内の反レガイア派は全て沈黙した事になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【で、爺さん。今回の一番の功労者を紹介するぜ。】
「オ、オーカム公におかれましては、御機嫌麗しく!」
慌てて跪く、アーディー。
【恩人で城内の地図などを揃えていた、アーディーさんだ。】
「ほう、この者があんちゃんの協力者なのじゃな?」
【正確な地図で街の弱点を教えてくれて、更に反逆者アンドレイが逃げる事になる地下道をも教えてくれたんだ。】
「協力をしてくれた礼ははずもう。で、アーディーとやら、どうだ?このまま、レガイアに仕えんか?」
「わ、私ごときにもったいないお言葉、このアーディー、レガイア国王様の為に身を粉にして仕える所存!」
【アーディーさんは真面目で責任感がある人だ、要職に付ければきっと期待に応えてくれるだろう。】
「うむ、後程になるが、アーディー殿に騎士爵を授ける、励んでくれよ?」
「あ、ありがたき御言葉、謹んで受けさせて頂きます!」
【アーディーさん、これからもよろしくな。】
「ははぁー!紅玉殿におかれましては」
【アーディーさん、俺の事は兄ちゃんでいいんだ。俺も貴族の礼儀なんか分からないしね。】
友達と思っていた人にされる土下座ほど嫌なものは無い。
「そ、それでは、んんっ!兄ちゃんこれ以上驚かすのは無しだぜ!俺の心臓が持たねえぞ?」
【まだ驚くと思うよ?佩剣の儀だってやってないしね。】
「まだあるのか!?」
【今度は国王であるレガイアさんがやってくれるんだから、しっかりしてくれよな?】
「お、俺、大変な事になってるぞ?フレデリカ、なんかすごい事になっちゃってるぞ!?」
「あっはっは、そのうち慣れるって、頑張ってくれたまえ、アーディーさん。」
「ふぉっふぉ、そうじゃのぉ、アーディーとやら、その時までに姓を決めておくが良い。」
「か、かしこまりました、公爵様!」
【爺さん、一段落着いたら俺達は討伐へ戻るぞ。】
「戦後処理はわしらがやろう、あんちゃん達も気を付けて行くんじゃぞ?」
【ああ、働いて来た嫁さん達をもてなすかな。】
「嬢ちゃん達にも礼を言っておいてくれ。」
【分かった、じゃあ後はよろしくな!】
そう言うと陣から出る。
伯爵の館に囚われたりしていた人達は全員が解放されたらしい。
アーディーとフレデリカさんの娘さんも無事に家に帰れたと聞いた。
これで、この街は大丈夫だろう。
明日からは北に向かい遅れを取り戻そう。
セリスとクレアの泊まっている宿へと向かう。
そう、俺達の討伐の本番はこれからなのだ。
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それでは、次話 不明(仮 で、お会い致しましょう!
御疲れ様でした!




