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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第四幕 第四章:サーラの実家の事情
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おもてなしの心

いつも読んで頂き、誠にありがとうございます!

執筆終わりました!

楽しんで頂ければ幸いです。

男の背中に付いて行くと、一軒の家にたどり着いた。


その男に言われ中に入る。

罠では無い様だな。


「そこの椅子にでも座ってくれ。」


【はい。】


「まずは名乗ろう。『アーディー』だ。この街の兵士長をしている。」


【俺はアーサーと申します、冒険者です。先程は加勢を、ありがとうございます。】


「農民上がりの俺がいなくとも、兄ちゃんは大丈夫だったろう。っち、いてて、伯爵の野郎め・・・。」


「アンタ、帰って来たのかい?」


奥から女性の声?


【奥方様ですか?】


「ああ、俺の嫁だ。娘を伯爵に連れて行かれてから元気がなくなり床に伏せっている。」


【では、娘さんは・・・。】


「ああ、分かってはいるが言わないでくれ。それでな、兄ちゃんよ。」


【何でしょうか、助けられた身です、何かあればお手伝い致しますよ?】


「兄ちゃんならそう言ってくれると思ったぜ!」


握手して来る。


「兄ちゃんを男と見込んで頼みがある。この手紙をオーカムにいるドリュカス様に渡してはくれないか?」


【直訴ですか?それがどういう事かは、分かっておられますか?】


「直訴は命がけでやるものなんだろう?」


【貴方は嫁も娘さんもいるではありませんか、御考え直しを。】


「このままでは、アンドレイの領地にいる民がやばいんだ。俺は末端の者だがこの領地に不味い事がおきかけている。」


【失礼、俺にその話をしてもよろしいのですか?貴方がたに迷惑がかかりませんか?】


「兄ちゃんなら、話しても大丈夫だと、俺の感が言ってるんだ。」


【それだけなのなら、俺には言わない方が良いですよ?】


「・・・そうか、そうだな。済まん性急だったな。」


【いえいえ、ですが慎重に行うのは良い事です。】


「アンタ、どちら様が来ているんだい?」


【あ、ああ、途中で知り合った冒険者さんだよ。】


「それでは、挨拶をしなければ・・・。」


【待って下さい、わざわざ起き上がらなくても、俺が向かいましょう。】


「すまんな、兄ちゃん。こっちだ。」


うーん、人の好い人なのだろうが、初めて会う人にする話ではないだろうな。

この流れだと農民の一揆がこの領で起こるぞと言う事かもしれないしな。

でも、それだけは止めさせないと、農民と兵士では歴史が証明しているように農民は勝てないだろう。

農民は抗議をするだけなのだが、もし戦闘となれば農民の被害がどれだけ出るかは分からない。


それに、人と人の戦争や戦闘なんてまっぴらごめんだ。


アーディーと名乗った男の嫁さんの寝ている部屋へと進む。

その女性はずいぶんとやつれていた。

女性の寝室に行くのだから一応聞いておかないとね。


【ここから部屋に入ってもよろしいのですか?】


「構わんから入ってくれ。」


【それでは失礼をして。】


「ゴホゴッホ、あらあら、アーディー、ずいぶんとお若い方を連れて来たのですね。」


【奥様、お初にお目にかかります。冒険者の、アーサーと言う者です。】


「冒険者さんだったんですね、ゴッホゴホ、アンタ、お茶をいれてくれないかい?」


「ああ、とっておきの奴だな?入れてくる。」


【お茶など、高級品ではありませんか?】


「特別な御客様ですからね、ゴホ、隠しておいた物が役に立つのです。」


【奥様、その気持ちありがたく。】


「いえいえ、立って御挨拶が出来ない事を、ゴホゴッホ、御許し下さいね。私の名前は『フレデリカ』と申します。」


この奥様の病気は『気鬱』だ。

生きがいであったのだろう娘を奪われた事による心の病だろう。

アンドレイめ・・・。

しかし、この咳は何だろうか?


民を弑逆しているのかを見に来たのだが、本当のようだ。


「おう、兄ちゃん、待たせたな。酒は無いがとっておきの茶葉で入れた物だ。気に入ってくれると思うぜ?」


【ありがとうございます。】


「遠慮せずに御飲み下さいませ。ゴホッ・・・。」


失礼だとは思ったのだが、俺は心の中でそのお茶を毒物鑑定する。

するとお茶の色は青だった。

青ならば飲んでも大丈夫だろう。


これから偵察任務がある。

初めての人だと言う事で警戒をしていたのだけれど、俺もまだまだだな。

人を見る目を鍛えなければね。


それは別として誠意には応えなければね。


【いただきます、コクッ・・・これは美味い、ハーブティーですね。】


「ふふ、お分かりになります?その通りハーブティーです。」


【美味いです・・・心が落ち着きます。】


このハーブティーには俺の中で心のこもったと言う一杯の価値がある。

そう、隠してまで持っていたと言う、その秘蔵の品を頂いたのだ。

これはお返しをしなければならないだろう。

誠意には誠意だ。


少しばかりの贈り物をしても罰は当たらないよね?


【御馳走様です。】


「いえいえ、少しでも旅の疲れが取れると良いのですが。」


【奥方様、少々台所をお借りしてもよろしいですか?】


「え、ええ、構いません、ゴッホゴホ!」


【お返しと言う訳ではありませんが、食べられそうなものを御作りさせて頂きますね。」


「よ、よろしいので?」


【構いませんよ、そんなに大仰な物を作る訳ではありません。】


「兄ちゃん、台所ならこっちだ。」


アーディーはそう言うと嬉しそうに案内してくれた。


【アーディーさん、奥様は気鬱だけではありませんね?】


そっと彼に囁く。


『分かるのかい、兄ちゃん?』


【ええ、あの状態だと調べなければなりませんが、落ち着いたら調べさせて下さい。】


『兄ちゃん、医者なのか?』


【いえ、スキルがあるだけですよ。】


そう囁いておいた。


さあ、まずは元気になって頂きましょうかね!



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



アーディーにはお好み焼きを、フレデリカさんにはチーズがいっぱいのリゾットを作った。


デザートにはティアも大好きな、ミルクレープを用意した。

料理はここでも大好評。

しかし、気になる奥様の病状。

病は何だろう。

これも縁でよろしいですよね、『アリステリア様』。


御飯を食べ終わると早速話す。


【フレデリカさん、貴女の身体を診察させて頂けますか?】


「え?」


【えっとですね、気鬱以外に病気がありますね?】


「何故それを?」


【死に向かって行く人には独特の匂いというか、そう言うのがあるんです。】


「・・・。」


【それと、娘さんはもうすぐ帰って来ます。これは断言致しましょう。】


「そうなのですか?」


【はい、ですがその時に貴女が病気でしたら娘さんが悲しむでしょうね。】


「・・・分かりました。ですがそれに対価とするお金が私達の家にはありません。」


【貴方がたの入れてくれたハーブティーは最高のおもてなしでした。】


「おもてなし?」


【はい、俺にとっては最上級の宮廷料理にも勝るものです。】


「そんな、たいそうな物ではありませんよ?」


【いえ、俺にはそのぐらい価値ある一杯だったのです。それに短いですが貴方がたの真心に触れる事が出来ました。】


「心に?」


【はい、アーディーさんには勇敢さを、フレデリカさんには優しさを・・・そして、二人にこんなにも心温まるおもてなしを受けました。】


「・・・。」


【それだけで十分なんですよ。色々と心配でしょうが、貴女をこのままにはしておけません。】


真剣に訴える事が出来たのだろうか?

また消えて行く命を、俺は救う事が出来るのだろうか?

全ての人を救おうなんて、そんな傲慢な事を考えてはいけない。

まずは、手の届く範囲でだ。


「・・・では、診て頂きましょうか。」


「いいのか、フレデリカ?」


「ええ、アンタ、このように真剣に言われては、受けなければ逆に失礼でしょう。」


【ありがとうございます!】


問題は何の病気だろうと言う事だ。

心臓や脳の病気では無い事を願うのみだ。

ベッドに横になってもらうと解剖学のスキルを使う。


【解剖学スキル。】


・・・すぐに分かった。

肺の部分が赤く光っている。

解剖学の結果は肺結核だ。

対処療法は?


良かった、この状態なら万能薬で治せる!


【フレデリカさん、貴女の病気は肺結核と言う物です。】


「はいけっかく・・・結核でございますか!?」


「フレデリカ!馬鹿な!?あぁっ神よ、『アリステリア様』よ!何故、妻にこのような試練を与えたのだ!」


【二人共落ち着いて、結核は治せるのです。この「万能薬」で治す事が出来ます。】


「そ、それ、ゴッホゴホ、その薬は高い物ではありませんか?」


【先程言いましたよね。私は御二人のおもてなしに感銘を受けました。そのお返しにこれを渡しましょう。】


「兄ちゃん、いいのか!」


【もちろんです。ただ条件があります。】


「な、何だよ、その条件って言うのは?」


【この街と城、それとアンドレイ伯爵の事を聞かせて下さい。】


「はぁっ!?」


「そ、それだけでよろしいのですか?」


【ええ、それだけで結構でございます。】


「「・・・。」」


【もちろん知っている限りの事で結構ですよ?】


「『アリステリア様』よ、この出会いに感謝を!」

「『アリステリア様』、この良き出会いに感謝を。」


【では、さっさと治してしまいましょう。】


俺がそう言って、フレデリカさんに万能薬を渡す。


「貴方様に感謝を・・・クイッ・・・コクッ・・・。」


早速飲み干すと嘘のように顔色と肌の色が変わる。


「フレデリカ・・・?」


「アンタ、身体が嘘のように軽いよ、これで何時マーサが帰って来ても元気に迎える事が出来るよ!」


「兄ちゃん、ありがとうな、ありが・・・とうな・・・。」


「アーサー様、ありがとうございます。」


【いえ、ではフレデリカさんは、支度を整えて下さい。】


また人を救えた。

ルイス、リズ、ベス、マオ、アリス、ナナリー。

君達のおかげでまた人を救う事が出来た。

ありがとう。


こうして、二人から情報を得る為に移動する。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「・・・そうだ、この地下水路はそのまま玉座の間へと続いているらしい。」


【しかし、ずいぶんと詳しいですね・・・ふう、この辺りで休憩に致しましょうか。そろそろお昼ですね。】


夢中になって話を聞いていたのだがお腹が減ってきた。


「御昼御飯でございますか?」


そうだった、彼らは平民。

普段、御昼などは食べないのだ。


【ああ~、俺が何か作りますよ。アーディーさんは教えようとしている事をまとめておいて下さいね。】


「おう、兄ちゃん、任せておけ!」


【では、台所を拝借しましてっと。】


「アーサー様の料理、興味がありますわ。」


【では一から作りましょうか、御昼御飯はハンバーグです。】


「はんばーぐ、で、ございますか?」


【ええ、まずは・・・。】


作り方を教え、必要なレシピを渡す。


【これで出来上がりです。御賞味下さいね。】


「これなら私にも出来そうですね。」


【ええ、料理には国境はありません。】


「ふふっ、それで米と言う物はこれでよろしいのですか?」


【上手く炊き上がりましたね。】


「米を食べるのは、初めてですね。」


「兄ちゃん、その良い匂いのする物を早く食べようぜ!」


ふふっ、お腹が空いているんだろうね。

ハンバーグを木皿に移す。

今回は大根おろしと醤油で頂こう。


「こりゃあ美味いな、兄ちゃん。肉なんて久しぶりに食べたぞ。」


【奥様の話を聞くに、御二人はまともに食べていないようだったので御作りしました。】


「柔らかい・・・これですと私でも食べられます。娘にも食べさせてあげたいですね。」


【もう少し我慢して下さいね。娘さんは必ず帰って来ます。】


「ふふっ、その時を楽しみにしておりますよ。」


気鬱も直ったのだろうか、フレデリカさんは先程までベッドで眠っていた人には見えないぐらい元気だ。

とにかく元気になってくれて良かった。


アーディーから聞いた話ではアンドレイ伯爵には何処に行くにも護衛がいると言う。

冒険者でも護衛にしたのだろうか?


【うーん、少し強引にでも連れて行っちゃった方が良いと思うんですよね。】


「だがよ、兄ちゃん。何時もいるって事はだ、その護衛に自信があるって事だろう?」


【そこまで強いならドリュカス様やレガイアさんが知らない訳は無いと思うんですよね。】


「だが、噂では暴れ牛を武器を使う事なく制圧したとか言われてるやつもいるぞ?」


ほう、それが本当ならディアナと同じぐらい強いかもしれないね。


【その護衛とやらに、ちょっと興味がわいてきました。】


「兄ちゃん、興味ってなぁ。とにかくその護衛をどうにかする事だ。」


【アーディーさんはその護衛と俺のどちらが強いと思います?】


「そりゃあ、一対一だったら兄ちゃんの方が強いだろうが、五人と戦うのは無謀だと思うぞ?」


【では、偵察に行ってみます。それで事実かどうかも分かりますからね。」


「兄ちゃん、無理するんじゃないぞ?」


【ええ、まだ死にたくはありませんからね。】


「そうだ、若いもんは無茶しちゃ駄目だ。」


【無茶はしないですよ、ただ、強いなら倒しておかないとですね。】


いったん戻ってセリスとクレアを連れて来よう。

ついでに爺さんとアレックスさんにその護衛の事を聞けるだろう。

でもどれぐらい強いのだろうね?

俄然興味がわいて来た。


【では俺も援軍を呼んで来ましょうかね。】


「兄ちゃん、無理がするんじゃないぞ?」


「アーサー様、お気を付けて下さいな。」


街の色々な所でマーカーをする。

よし、準備は整った。


二人に別れを告げると爺さんのいる町にリターンで戻る。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「護衛じゃと?」


【ああ、独自で頼んでいるようなんだ。そいつらの事何か知らない?】


「冒険者パーティーだとオーガの牙より強い者達は、王国にはいないはずじゃぞ?」


【・・・別の国から引き入れたって事は考えられないかな?】


「可能性はあると思うが、それだけの冒険者が付いているのならば噂に登らんのはおかしいと思うぞ?」


強い人と戦える。

ちょっとワクワクして来た。


ガチャ


ドアを開けてセリスとクレアがやって来た。


「旦那様、御戻りか!面白そうな話を持って来たとか?」


「主君よ、手がいるのだろう?」


【噂だと暴れ牛を素手で制圧するような奴らがいるらしいですよ。】


「その強さに興味がある、旦那様、是非に戦わせて下さい!」


「主君、本番の前に我らにも経験を積ませて頂きたい!」


ああん、二人共バトル・ジャンキーなんだからなあ。


「嬢ちゃん達はやる気じゃの、だが噂通りならかなり強いんじゃな?」


【そうですね、でも二人も負けてはいませんよ?テラサンの激闘を経験したセリスはそこいらの冒険者には負けないと思いますがね。】


「旦那様、ありがとうございます、御期待を!」


「むう、セリスだけに戦わせないで頂きたい。主君、私も行くぞ?」


【ああ、今回は二人の力を借りたい。で、爺さん、援軍は呼ぶか?】


「アレックスが早馬を走らせておる。朝に出ておるから、時間的にはそろそろ着いておるな。」


【じゃあ、ゲートは使うんだな?】


「ああ、アレックス、ネスト、あんちゃん、セリスの嬢ちゃん、クレアの嬢ちゃんで各二百名、合計で千名の兵士を連れて来る予定じゃ。」


【俺は爺さん達とオーカムに戻って現地のフォマルハウトの街にゲートを出す。】


「分かった、ヘファ殿。野郎共出発だ!」


「「「応!」」」


【その後は、爺さんの護衛をすると同時にアンドレイの護衛を制圧し、身柄を抑える。】


「それで構わん、街中じゃがわしも兵を率いさせてもらうぞ!」


【早く制圧出来ればそれだけ被害が少なくなる、その後の統治も行いやすいでしょう。】


「うむ、時間との勝負じゃの。」


【それではオーカムへ行きましょうか!】


「「「応!」」」


【・・・7th ゲートトラベル。】


アレックスさんを先頭に兵士達もゲートを潜る。


目的はオーカム騎士団によるフォマルハウトの街の電撃制圧戦だ。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずはいつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

誠にありがとうございます!

皆様には感謝しかありません!

それでは 次話 電撃戦(仮 で、お会い致しましょう!

御疲れ様でした!

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