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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第四幕 第四章:サーラの実家の事情
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名君と呼ばれるその訳

いつも読んで頂き、誠にありがとうございます。

書き終わりました。

お楽しみ頂ければ幸いです。

爺さんに宿屋で支度をしてもらっている間にウムブラと話をする。


【ウムブラ、本当に後悔はありませんか?】


【・・・無いと言えば噓になる。せめて我が子を抱きたかった・・・っふ、私にも家庭願望があったようだ。】


【・・・。】


【だがな、ヘファイストス様のおかげで残された魔人族の未来が明るいのを知った。】


【ああ、君の仲間の事は任せると良い。】


【頼んだぞ、ヘファイストス様よ。】


【任された、その事は安心してくれ。】


【任せた。これで心残りは無い。】


【・・・だ。】


【何か言ったか、ヘファイストス殿?】


【大魔族だって分かり合う事が出来たんだ・・・君の仲間とも必ず分かり合って見せる。】


【そうだ、頼んだぞ・・・ヘファイストス様。】


【君と一緒にその光景を見たかった。】


【ふふっ、貴方ならば影の町の皆の事を任せられると思った。何故だろうな?】


【何故だろうな、俺も君は信用に足る人物だと思えた。】


【これ以上は止めておこう、未練が残ってしまう。】


【必ずだ、必ず良い様にしてみせる。】


【その言葉だけで十分だ、ヘファイストス様。】


爺さんの準備が整うとウムブラと部屋へ進む。


コンコン


爺さんがいるであろう、その部屋のドアをノックをする。

中に入ると、広い部屋だった。

爺さんが椅子に座っていて、その隣にはスタッドアーマーで完全武装したアレックスさんが立っている。

その後ろには護衛の騎士達が並び、俺達の後ろにも兵士が並ぶ。


そんな中をセリスとクレアを後ろに進み、爺さんの前に立つと、声が掛かる。


「あんちゃん・・・この娘っ子か?」


【ああ、爺さん。】


「ヘファ殿、枷が無い様に見えるが?」


【今のこの子、ウムブラになら枷などいりませんよ。】


「・・・そのようだな。」


ウムブラが跪くと安心したのか、アレックスさんは構えを解いた。


【お初にお目にかかる、公爵殿。トリダニド大陸、エコーズの村の出身で名をウムブラと申します。】


「・・・魔人族、初めて見るが其方らがわしとあんちゃん、そしてレガイアの暗殺を企てた一味なのじゃな?」


【はい、この地を収めるアンドレイ伯爵にその契約で雇われました。】


「アンドレイか・・・あ奴め、今頃城の中は蜂の巣をつついたようになっておるじゃろうな。」


【爺さん、俺が行ってそいつを捕らえてくる、その代わりなんだけどな・・・ウムブラの助命を願いたい。】


「だ、旦那様っ!?」

「主君!?」


【ヘファイストス殿!?これ以上其方が関わる事は無い!】


【どうかな、爺さん。】


「あんちゃんの言でもそれは無い。国王や大公、または尊爵を狙ったのじゃからな。」


【そこを曲げてお願いをする。】


そう言うと俺は頭を下げる。


【爺さん、下っ端に、実行役には罪はない。上役に言われればそれを実行するだけだ、お願いだ、爺さん。】


【ヘファイストス様、それはもう良い!】


「あんちゃんの言でも無理じゃな。王族を狙ったのじゃ、その娘も覚悟があっての事じゃろう。」


【だが、命令されたから!やらないといけないって言うのは違うだろう!】


【私は選択を間違えたのだ、ヘファイストス様。これ以上は無意味だ。私も覚悟は出来ている。】


「旦那様・・・これ以上は・・・ドリュカス公申し訳ありませぬ。」


セリス・・・


「ドリュカス公、主君が失礼を致しました、どうかお許しを。」


クレア・・・


二人にも迷惑をかけてしまった。


「無論じゃ、あんちゃんには世話になっているからのぉ。」


【ヘファイストス様、もう、良いのだ。】


【生きる事を諦めるな!君はまだ生きているじゃないか!】


【ヘファイストス様、もう、良いと言っておる!】


【ウムブラ・・・。】


【最後に其方に会えたのだ。皆の事、お願いするぞ。ヘファイストス様。】


【・・・分かった、そっちの事は任せてくれ。】


「旦那様・・・。」


「主君・・・。」


「ええかの・・・あんちゃん?」


【我が儘を言って悪かった、爺さん。】


「・・・アレックス。」


「うおっす!」


アレックスさんが立ち上がると兵士二人がウムブラの脇に着こうとする。

するとアレックスさんが言う。


「覚悟の決まっている奴にはいらん・・・俺一人で十分だ。」


「「ッハ!」」


【・・・貴殿も御人好しだな。】


「ヘファ殿のが移ったのかもしれんな。」


【気が変わらぬうちにやってくれ。】


「任せとけ・・・では、行くぞ。」


アレックスさんとウムブラが宿を出て行く。


俺はウムブラの背中を見ている事しか出来なかった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



【あやつは、あんなにも御人好しなのか?】


「あ?ああ、ヘファ殿の事か?」


【そうだ、あんなにも御人好しではこの先、生きてはいけぬぞ?】


「ヘファ殿はあれで良いんだ。」


【何故だ?】


「あの御仁はな、あれぐらいでちょうどいいんだ・・・。」


【何故だ?名君と名高いドリュカス公が側にいるのにか?】


「そうだ、今は足りない所を補っているんだ。」


【足りない所・・・。】


「そうだ、お前との別れもヘファ殿の成長につながる、公はそうお考えなんだ。」


【ちゃんと考えているのだな・・・これで最後の心配事が無くなった。】


晴れやかな顔をしやがってよ・・・。


「お前・・・そんな顔が出来るんだな。」


【ん?どう言う事だ?】


「これから死ぬのに、怖くはねえのか?」


【たった今、怖くなくなったぞ。】


「心残りがあるんだろう?」


【無いと言えば嘘になるな・・・あの御仁の将来をこの目で見れんからな。】


「・・・。」


【何処まで行くんだ?】


「・・・。」


【逃げも隠れもせん、答えてくれないか?】


「ヘファ殿は不思議な奴でな、するりと懐に入って来るんだよ。」


【・・・ほう。】


「護衛としては厄介な奴なんだがな・・・だがアイツの良い所なんだ。」


【私も・・・ヘファイストス様と早くに会っていたら、変われたのだろうか?】


「変われた・・・いや、変わっていたはずだ。」


【そうか・・・そうなんだな。】


そう言うと大男は一軒の店の前で立ち止まる。


「ここだ、入れ。」


【応・・・さらばだ、ヘファイストス様。】


「・・・。」


【どうした、行くのだろう?】


「逃げ出さないんだな?」


【罪を犯したのだ、それも取り返しのつかない事をしてしまった。その報いは受けるべきだろう?】


「そうだな・・・みろよ。太陽がまぶしいじゃねえか。」


【そうだな。】


その娘は太陽を見ると満足したのだろうか?


「では・・・行くぞ。」


【何時でも良いぞ。】


「その前にっと・・・。」


目隠しをする。

コイツもあの御仁にやられた口か。

そうなんだ、不思議だが何故かヘファ殿は・・・。

ウムブラの手を引いてやる。


しばらく歩いた。


【こ、こんなに歩くのなら目隠しは早かったのではないか?】


「この袋を持って行け。」


チャリッ・・・


【これは何だ?】


「あの世でも通行する時に税が、かかっても良いようにだ。」


【意味が解らんぞ?】


「おい、コイツだ、頼むぞ!」


【いよいよか・・・さらばだ、ヘファイストス様。】


「ああ、コイツですね。分かりました、いつもの村に届けますよ。」


【届ける?おい、どう言う事だ!?】


「大公様からの指示だ。やり直す機会を与えても良いだろうとな。これもヘファ殿のせいだ。」


【どう言う事だ!?】


「ウムブラ、お前にはこの大陸に残っているすべての魔人族を一か所に集め住まわせる事、これは命令である!」


【なっ!?なんだと!?】


目隠しを取ってやる。


「大公様はこうおっしゃった。『若者の命を一度の失敗で奪い取る事はあるまい、二度目はどうなるか分からんがな。』だ、そうだ。」


【ほ、本当か!?】


「昔のドリュカス様なら、あり得ない事だ。」


「ドリュカス殿・・・感謝を。】


ウムブラと言う娘が涙を流している。


「泣くのは早えぞ、お前にはやってもらわんといかん事がたくさんあるからな。」


【ああ、我らが信仰している強欲様に誓おう、これからの魔人族は私が変えて見せる!】


「・・・。」


【それを持ってこの恩に報いさせて頂こう。】


「それでいい、もう変な事をするんじゃねえぞ?」


【・・・こ、この事はヘファイストス様には、言わないでくれるか?】


「もちろんだ、これも大公閣下の言葉だ。『あんちゃんが困った時にはその力を貸してやってくれ。』だとよ。」


【大公殿に感謝を!もう私達は間違える事は無いであろう!】


「そうだ、間違えるなよ?」


【もちろんだ!】


「ではな、おい偽装した首は革袋に入れてくれよ!」


【其方も元気でな、アレックスとやら。】


「ああ、じゃあな、ウムブラ。」


俺がそう言うとウムブラは馬車に乗り込む。


ウムブラの顔は、先程見た晴れた太陽のような良い顔をしていた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



・・・ウムブラの事は最後に看取った、アレックスさんから聞いた。


首の入った袋を見せられ後悔が残る。

だが、世話になっている爺さんやレガイアさんの為だったのだ。

でも、何とかして彼女を救いたかった。

いかん、こんな考えをしていては駄目だ。


切り替えろ。


セリスとクレアは爺さんのいる町にいてもらった。

俺がこれから行うのは潜入して情報を集める為だからだ。


爺さんと敵対しているアンドレイ伯爵が住むという街にたどり着いた。


ここまではフライの魔法でやって来た。

伯爵の動向を調査する為だ。

この街には1500の常備軍がいるはずだとアレックスさんが言っていた。

敵対勢力に対しての徴兵が、かかって兵数が多くなっている事もあるだろうとの事からと偵察を買って出たのだ。


街には無事に入れた。


入街料が銀貨五枚になっていた。

こんなのでやって行けるのかよ、伯爵様よ?

一般市民の多くがあの惨劇から街から外にでも出て行ったのだろう。


その城壁沿いに、ボロ小屋が建っていて民達が生活しているようだった。


この人達は街の中に入れずにここで暮らしているようだった。

下手すると家族とも会えなくなっているかもな。


【久しぶりの潜入ってか、っとその前に情報収集っと・・・。】


酒場は~っと・・・お、あそこがそうっぽいな。

早速、情報収集に向かう。

だが席に着いてみると何もかもが高い。

そういえば、襲撃を受けた時はオーカムもこんな感じだったな。


人は数人しかいない。


カウンターに行き、酒を、座っている人数分頼む。

さてと、餌はまいた。

テーブルに座るとワイングラスを片手に人が寄って来た。

どんな話が聞けるのやら。


「よお、あんちゃん。景気が良さそうじゃねえか?」


【そんな事はありませんよ、皆さんと仲良く現状の復興具合なんかをお話し出来ればなと。】


「復興具合だぁ?」


「そんなもん、あのケチ伯爵が率先してするものかよ!」


「ここだけの話だがな、あんちゃん。アイツはな、これから頑張って復興するぞ!って時に()()()って言うのをかけやがったんだよ!」


【この状況で税を取ったのですか?】


「そうだ、街の皆はアンドレイ伯爵様から言われてるのよ。」


【何をですか?】


「この復興税は国王であるレガイア様から言われてとっているってさ。」


「だが皆知ってるぜ、レガイア様は税を取ってねえってな。」


良かった。

変な誤解を生んでなさそうだ。


「そうだ、皆は知っているぜ。伯爵の懐に入るって事をな。」


【でしょうね、かの名君、ドリュカス様の御子息、レガイア王なら税等取りませんからね。】


「街のあちこちで街民の抗議の列が声を上げてるんだがな。あいつは逆に反逆罪を適応して、住民をひっ捕らえてやがるんだ。」


【それは酷いですね・・・。】


「逆に商人なんかは賄賂を収めてれば商売が出来るってな。」


「そうだぜ、品物の代金が高騰してるんだ。聞いたか、銭貨三枚だった肉串が銅貨三枚だぞ?」


「この街から出て行くやつもいるが、途中で山賊や盗賊に襲われるって言うぜ?」


「それも伯爵と手を組んでるって話だ。」


【酷い話ですね。】


「それで、初顔のあんちゃんよぉ。」


【何でしょうか?】


「ずいぶん景気が良い様だから、少しばかり分けてくれねえかな?」


「「「・・・。」」」


ジリッ・・・ジリッ・・・


ありゃー、もうちょっと聞きたい事があったんだけどなぁ。


【えー・・・五人ですか?】


「五人で山分けすれば多少とも俺達の財布が裕福になるって事だ。」


「まあ、運が悪かったと思って懐の物を出しな。」


「痛い目を見たいってのなら、俺達は別に構わんぜ?」


「おい、アンタ達、ソイツは止めておいた方が良いな。」


【六人目でしょうか?】


「いや、逆だ。つまりアンタの味方だ!」


【それはどうも!】


俺は座っている椅子を蹴り上げると戦闘態勢を取る。


「っけ、一人増えただけだ!」


「問題ねえ!」


【味方を自称する貴方はよろしいのですか?】


「大勢でと言うのが気に食わん!加勢するぞ、あんちゃん!」


【それはありがとうございます。】


「一人増えただけだろうが構わねえ!」


「やっちまえ!」


と言ったやからが三人俺に向かって来た。

まずは一人目から、その攻撃をかわすと同時に返しを鳩尾に拳を入れる。


「ゲエェッ!」


一人目撃沈。


「ど、同時にかかるんだ!」


「分かった!」


二人目と三人目は同時にかかって来たが、急造コンビにやられる程、俺は甘くない。


ドガッ!


バギッ!


と、二人を華麗に捌いて見せた。


さって、頼もしい味方は・・・へ?

二人相手にボッコボコになっていた。

慌てて助ける。


ドズ!


バギャ!


【大丈夫ですか?】


「ああ、大丈夫だ。」


【戦闘が苦手なのでしたら、無理をせずともよろしかったのではありませんか?】


「それでは、俺の気持ちが治まらん!」


気持ちの良い人だな。


【手助けに感謝を。】


「それより、逃げるぞ!衛兵に見つかってはかなわん!」


【はい!】


大事になる前に何とかならないかな?

そう考えながらその男に付いて行く。

地理感無いからね。

そう、これも縁かもしれないのだから。


黙ってその男の人に付いて行く。


さて、この男の人から有力な情報は手に入れられるだろうか?

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

誠にありがとうございます!

大変に励みになります。

それでは 次話 おもてなしの心(仮 で、お会い致しましょう。

御疲れ様でした!

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