私達はまた、選択を間違えてしまった
いつも読んで下さり誠にありがとうございます!
新作書き終わりました。
お楽しみ頂ければ幸いでございます。
翌朝、爺さんに確認してから町のギルドへ、セリスとクレアを連れてゲートで向かう。
ギルドに着くと早速カウンターでミリアの事を聞く。
【この町のギルド員にはミリアと言う人物はいないと?】
「はい、ヘファイストス様。」
昨日の事だが、人が違うと、あれ?
この人、今、名前を呼んだな。
昨日はアーサーとしか名乗っていないはずだ。
・・・この女性、何かおかしいぞ?
【失礼をしてもよろしいか?】
「何をなされるおつもりですか?」
【・・・7th マス・ディスペル!】
ヒュオン・・・
魔法陣が広がり、各人に光が当たる。
「ヘ、ヘファイストス様!?」
受付で話していた人が、人間に化けていた魔人族がその姿を現す。
【なっ!?くぉっ!?変身が!?】
【・・・昨日俺が話した人は、貴女だったんですね。大人しくした方が身の為ですよ?】
【っち!】
【クレア!】
「昨日の私とは違うのだよ!」
影に潜ろうとしていたが、マス・ディスペルの効果がそれを打ち消し特殊能力が使えない。
そのすきにクレアが魔術封じの腕輪を魔人族に着ける。
「ふう、これで昨日の汚名は返上できたかな?」
「旦那様、他にはいないようです。」
【・・・襲って来た人数を入れると二人ですか。では、少しお話をさせて頂きましょうか。失礼ですが部屋をお借りしてもよろしいか?】
そう言うとギルド員さんに空き部屋まで案内された。
早速話を聞こうとする。
【っけ、お前と話す事なんかねえよ。】
最初から素直に聞けるとは思っていなかったけどね。
【まあ、そんな事を言わずに、あれだけの金鉱脈見つけるのは、さぞ苦労した事でしょう。】
【同族を殺したお前に話す事は無いと言っている!】
【ふぅ、もう一人の方を殺したのは、俺達の協力者で七大悪魔のアセディアと呼んでいる女性ですよ。】
【ば、馬鹿な!何故、何故に七大悪魔様に我らが殺されなければならんのだ!?】
【アセディアは俺達の協力者ですよ。それに俺を含みアセディアの大切な人もおります。】
【そんな馬鹿な!人族と協力していると言うのか!?】
【そうです、互いに協力し合っております。】
【そんな事が!?】
【あるんです、でなければ、そこにいる俺の嫁は、昨日、貴女の相棒に殺されておりました。】
「そうだ、中々に手強かった。最後にはアセディア殿に助けられたがね。」
【そんな、アイツはアセディア様に殺されたのか、何故そのような事に・・・。】
【アセディアが大切に思っている人を殺そうとしたのです。】
【大切に・・・。】
【その事は、貴女にも理解が出来るのではありませんか?】
【・・・そうだな、何を憤っていたのだろうか。それで聞きたい事とは何だ?】
喋ってくれる気になったのかな?
【貴女方が独自で動いているとは思えません。雇い主などはいませんか?】
【いなくはない、が、お前と私は対等の人間なのだろう?まずはこの腕のワッパを外してもらえねえか?】
【・・・良いでしょう。クレア、外して差し上げなさい。】
「主君がそう言うのならば。」
カチャガチャ・・・
外すと少し安心したのか態度が柔和になった。
【ふう、で、これでやっと対等だな。】
【そうですね、では、話して頂きましょうか。】
【待て!先に聞かせて頂けるか?七大悪魔様、協力しているのは、怠惰、アセディア様だけか?】
【アバリティアさんやインヴィディアさんも協力者だ。】
【我らが信仰している強欲様が協力しているのか!?】
【協力と言うか、ティアは俺の女だ。】
【はぁっ!?】
【何度でも言おう、ティアは俺の女だ。】
【・・・。】
【何か?】
【お、お前、見境なしか!?】
【俺の愛はたくさんの人に・・・っはっ!?】
「旦那様、後程、強欲殿との事を聞かせて頂くぞ?」
「主君それだけでは無い様だな、インヴィディア殿の事も聞かせて頂こうか。」
ひいっ!?
笑っているセリスとクレアに後ろに立たれる。
二人が肩に手を置いてくる。
女性には似合わない握力で!
後が怖いね。
【人族だけで済ませておけば良い物を・・・強欲様も強欲様だ、なんでこんな見境なしになど!】
【先程から見境なしとは失礼な、魅力的な女性がいれば声を掛け友好を築くものでしょう?】
【それが見境なしだと言うのだ!】
【そのセリフはティアの前では言わないようにして下さい。】
【ティアだと!?それは愛称か!?よく強欲様に殺されぬ物だな?】
【君は見てないからそんな事を言えるんだよ、今度会った時に見てごらんなさい。】
【何を見ろと!】
【ティアが俺に何処までを許しているのかを、ですね。】
【強欲様、いや、御三方が味方をする、ヘファイストス。貴様一体何者だ?】
【俺かい?俺はただの鍛冶師だ。】
「所かまわず女子に声を掛ける鍛冶師だがな?」
「そうだぞ、主君。我らと言う者がありながら・・・。」
二人の言葉がグサグサと刺さる。
【ただの鍛冶師が強欲様や怠惰様を味方に!?あり得ん!!!】
【レヴィアも味方をしているのを忘れないようにね。】
【・・・。】
【それで貴女の処分ですが・・・。】
【待て、待ってくれ!こ、殺されるのならば・・・怠惰であるアセディア様の手で・・・お願い出来ないだろうか?】
【極論ですね、アセディアが貴方を殺すと思うのは何故ですか?】
【あの方がたは我らにとっての神、本来ならば村で祭っていた強欲様に殺されたいところではあるが・・・結界で出て来れないのであろう?】
【ティアだってそんなに殺す殺す言いませんよ?あの娘は変わったのです。】
【・・・嘘は言っていない目だな。】
【三人共信頼していますからね、嘘は言いませんよ。】
【・・・で、では、わ、私は誰とも知らぬ相手に殺されるのか?】
【今回の件を正直に話して頂けるのでしたら、オーカム公には私が口添え致しますよ。】
【それならば正直に話そう、我らの雇い主はアンドレイ伯爵である、アンドレイ・フォン・ハエレシス伯爵その人だ。】
【この地を統括している伯爵が犯人だと言うんですか!?】
【ああ、なんでも現国王のレガイアというやからが邪魔なのだそうだ。】
【本当の狙いはレガイアさんか!?他にも雇われた人はいるんですか?】
【あのケチな伯爵では我ら以外を雇う事はあるまい、何せ格安の我らからも値下げの交渉をしていたのだからな。】
「・・・貴女達は人を見る目を養うのが良いと思うぞ?」
「そうだな、君達が持っているスキルならば、ここにほしいと思っている人がいるからね?」
【それは何の話だ?】
【俺は、貴女達のような偵察をメインに出来る方々を探していたのですよ。】
【ふん!どうせ元奴隷では格安なのだろうが!】
【いえ、情報は最大の武器ですからね、それなりの待遇をお約束致しますよ?】
【そん、な、馬鹿な!?】
【所で、貴女の名前を教えてほしいのですが?】
【ウムブラだ・・・家名はない。】
【出会いが別でしたら貴女方を雇いたかった。】
【そうか・・・そうか・・・チェーニ、済まない、我らの敵は、敵だと思っていた者達は敵ではなかった。】
昨日逝ってしまったもう一人の名前を呼んでいたのだろう。
後悔しているのだろうか?
【この大陸で自由に奴隷商売が出来るのはバイジンだけですね?】
「そうだな、旦那様。今だにバイジンでのみ奴隷商をやっておるのだ。」
「そうだ、私もそこで売られた。だが、今は主君のような立派な人物にお仕えし更に妻にとも約束をされた。」
【そんな・・・そんな・・・またなのか!?また私達は間違えてしまったのか・・・。】
【貴女達が事前に情報を集めていればこんな事にはならずに済んだはずですよ。】
【そうか・・・そうだな・・・私達に足りなかったものだな。】
「・・・旦那様が御許しになってもドリュカス公は許すまい。」
「そうだな、自分の命より大切な息子のレガイア国王陛下を狙っていたとなれば、難しいだろう。」
【・・・爺さんには俺からも頼んでやる。だが・・・難しいだろう。しかし・・・その能力、おしい・・・。】
【ふふ、ふはは、あっはっはっは!!!」】
【俺の考えはおかしいですか?】
【いやなに、こんなにも本気で我らに関わった御仁などいなかったのでな。】
【それは貴方がたの事をもっと詳しく知っていればと。】
【・・・本気なのだな?】
【俺は本気ですよ?】
【ならば、ヘファイストス殿。貴殿の言う事に間違いが無ければ我らの「影の町」を紹介しよう。】
【よろしいのですか?危ないと殲滅する為に軍を動かすかも知れませんよ?】
【ふふ、そんな事をする御仁には見えなくなった。その町の地図とウムブラと言う名前、そしてこの魔剣を持って行け。必ずそなたの力になるだろう。】
【分かりました、では、貴女の身柄をオーカム公に引き渡します。何か言っておく事はありませんか?」
【もし、部族の中に「ジェイド」という者がいたら伝えてほしい。「お前は選択を間違えるな」と。】
【必ず伝えましょう。】
【お手数をかける。】
こうしてアンドレイ伯爵の件を報告に爺さんの所へ戻る。
証人のウムブラを連れてゲートで向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
爺さんにウムブラから聞いた事を伝え、その内容に間違えの無い事をウムブラに確認する。
アレックスさんが激高して相手の城に三十人程で乗り込もうとしたのだ。
アセディアがいるから大丈夫だとは思うが爺さんの護衛の事を考えるとあまりにも少ない兵力だった。
そこでゲートで戦力を送ろうと言う提案がでたのだ。
今はどのタイミングでゲートを使うかの話し合いになっている。
それと、アンドレイ伯爵の統治している街は先程の町から北西に二つ程の村と町を経由しなければならなかった。
ただ、問題が二つ程あった。
一つはアンドレイ伯爵の件、もう一つはウムブラがいたギルドの事である。
ギルドマスターがにアンドレイ伯爵と協力して俺と爺さんとレガイアさんを殺そうとしている事をウムブラから聞いたからだ。
そのギルドマスターとアンドレイ伯爵をそのままにはしておけない。
ウムブラが素直について来て話をしてくれるのでスムーズに事が進んでくれた。
そして協力者の中にギルドマスターであるフーリッシュの捕縛が決定したのである。
ゲートの使える俺が申し出てセリスとクレア、ウムブラを連れて捕縛に向かった。
ギルドに着くとカウンターの女性に徽章を見せる。
「こ、紅玉様でございますか!?」
【はい、貴女には申し訳ありませんが、ギルド長とお話させて下さいませんか?】
「は、はい!」
【今すぐにです!】
「は、はい!」
その女性はすぐに部屋へと案内してくれた。
コンッコン!
ギルド員さんが遠慮がちにドアをノックする。
「なんじゃ!今は忙しい!」
中からそう返事が来た。
「ギルド長、紅玉様がお話があると・・・。」
「そ、紅玉様だと!?しばし待たせておけ!」
【待っている事は出来ませんね。】
ガチャ
おや、鍵もかけずに不用心な・・・。
無言の圧力を込めドアを開ける。
・・・どこかで見た光景だな。
中にはギルド員の制服を着崩して最中の男女がいた。
【・・・これはどう言う事か説明して頂けますね?】
「旦那様の言う通りだ。」
「で、貴方はその見苦しい物をとっととしまうと良い。吐き気がするぞ?」
「そ、紅玉様とはいえ、あまりにも無礼な!」
この二人はウムブラの言う通り大丈夫のようですね。
【さあ、聞かせて頂きましょうか、このギルドに魔人族が二人もいた訳を!】
「は、はい・・・。」
ギルド長からの力の無い返事が返って来た。
【その前に、女性を放しなさい。何時までもその恰好では流石に可哀そうですよ?】
「っく・・・。」
「貴女はこちらに来ると良い。」
「あ、ありがとうございます。」
そう言うとセリスが事情を聴く為に女性と一緒に部屋から出て行く。
クレアも後を追う様に出て行く。
俺は支度の整ったギルドマスターから事情を聴く事にした。
場合によっては爺さんに来てもらう事になりそうだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【では、関わりが無いと?】
「ええ、魔人族だから雇うなと言う事はありませんし、他の従業員との関係も良好でしたのでなあ。」
【それは嘘ですね。魔人族は「ポリモーフの魔法」で人族に変身しておりました。それは貴方の指示だったと証言しているようですが?」
「そ、そんな事は知らんぞ。」
【ギルドマスターよ、私の顔を見忘れたと言う事は無いだろう?】
【俺は、貴方を捕縛しなければならなくなりました。ギルドうんぬんより先にです。何より公爵閣下と俺の命を狙ったのですから。】
「紅玉様とはいえ、ギルドマスターであるわしを捕縛など、御存じでしょうギルドの法の事を!」
こいつ、抜け抜けとまあ・・・。
ドアが開き、セリスが入って来た。
そのまま、俺の耳元で囁いた。
【セリス、確かな情報ですね?】
「はい、そこの蛆虫に「何時でも首に出来るんだぞ?」と言われて仕方なくと、全員がおっしゃっていました。」
「な、なんの話だ!?」
【脅迫まがいの無理やりの、いや、もう強姦ですね。これがここの冒険者ギルドのトップとは・・・情けない!】
「だ、だから、何の事だ!?」
【その前に、何故にギルドの従業員が若い女性ばかりなのでしょうかを伺いましょうか?】
「そ、それは紅玉殿とは関係ないであろう!」
【下劣な・・・帝国のハレムでも真似たつもりか?権力と言うものに惑わされなければそれなりの生活が出来ただろうに!】
「五月蝿い!そのような証拠が何処にあるのか!つけあがるなよ小僧!」
【ここで働く女性の声を聞いてまいりました。全ての女性にです。その女性達からの証言により、ギルドマスター、貴方を拘束します!】
「馬鹿な!そんな事が出来る物か!」
【現行犯となればギルドの法は除外されます。良いですか?そのギルドの法では「マスターと言う者」は皆の模範となる事、と、ギルド憲章に書かれております。貴方の何処に模範となれるものがありましょうか!】
「五月蝿い、小僧ごときが!」
【更に魔人族と結託し金鉱脈を自分達の物にしようとした、これは村長や村人、魔人族からの証言です。もうこれ以上恥を晒すものではありませんよ?】
ガチャ
ドアを開けてクレアが入って来る。
「それだけではあるまい?」
「それ以外に何があると言うのか、小娘!?」
「まだ分からんのか?公爵閣下と尊爵閣下の命をも狙っているではないか!」
【ヘファイストス殿、確かな情報だ。私が証言致しましょう。】
「魔人族!裏切ったなっ!?」
【これでも足りないとは言わせませんよ?】
「くぅ・・・。」
【では、捕縛致します。】
観念したようなのでギルド長を捕縛した。
この町を収めているコッペン男爵は伯爵と共謀していないとのウムブラの証言をもらった。
至急で挨拶状と冒険者ギルドのマスターを逮捕したとのむねの手紙をを書き、ギルド員さんの配達専門の人に届けてもらう。
しばらくするとコッペン男爵が軍を率いてやって来たので詳しく説明をする。
男爵は納得してくれた。
ギルドマスターは牢に入れられてギルドからの沙汰を待つようだ。
これで終わった・・・と思いたいのだがまだ肝心な事が残っている。
ウムブラの処遇だ。
爺さんに来てもらわないと収まらないかな?
「セリス、クレア。」
「「はい、旦那様。」」
【公爵様達を連れて来ます。それまでウムブラの護衛をお願いします。】
「「かしこまりました、旦那様。」」
二人に後を頼むと、爺さん達を迎えにゲートを潜る。
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それでは 次話 名君ドリュカス(仮 にて、お会い致しましょう!
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