爺さんとアセディア
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「ほう、我らはアセディア嬢ちゃんに助けられたと?」
【そうだ、爺さん。あの爆弾で狙われていたのは爺さんで、ついでに俺みたいなんだ。】
「魔人族か・・・ここに来てやっかいな。して、その魔人族に仲間がいるかは分からないのじゃな?」
【クレア、貴女との会話の中には何か無かったかな?】
「主君、残念ながら仲間などの情報は何も無かったよ。」
【そうか・・・直接対峙したクレアが分からないのなら仕方がない。アレックスさん、爺さんの護衛は任せるよ。】
「分かった、ヘファ殿。人員を増やす。」
【後は・・・明日になるが、町の冒険者ギルドへ行ってみるよ。職員がいなくなっているんだ、何かがあるかもしれないしね。】
「その前に旦那様、護衛と言えば心強い味方がいるではないか。」
【ん・・・あっ!?まさか、アセディアの事か?】
「アセディア殿が嫌でなければオーカム公の護衛にこれ以上の心強い味方は無いであろう?」
【そうだな・・・アセディア、頼めるかな?】
【いいよー・・・お爺ちゃんのー・・・近くにいればー・・・良いんだよねー・・・?】
【うん、大事な人なんだ、お願いね。】
【お兄ちゃんのー・・・大切な人ならー・・・守るよー・・・。】
【よろしくね、アセディア。】
「アセディア嬢ちゃんがついてくれるのか、ほっほ、これは心強いのぉ。」
「嬢ちゃんがついてくれればありがたいな!」
【ふんす!お爺ちゃんー・・・まかせてー・・・むっふー・・・。】
「ほっほ、まかせた、アセディア嬢ちゃん。」
そう言って爺さんがアセディアの頭を撫でる。
とても嬉しそうだった。
【じゃあー・・・ゴロゴロするー・・・。】
いつもどおりアセディアが簡易ベッドに行ってしまった。
爺さんが寝られないだろう、大丈夫か?
でも、アレックスさん達もいるし、これで爺さんの安全は大丈夫だな。
現状を見た爺さんが、レガイアさんと村の事を話しあってどうするか決めてくれるだろう。
【お爺ちゃん・・・まだー・・・眠らないのー・・・?】
「大事な話があるでな、もう少し起きているよ。アセディア嬢ちゃんは先に寝ておくれ。」
【お爺ちゃんとー・・・一緒がいいー・・・。】
「嬢ちゃん、流石にそれはな。」
【爺さん、孫みたいなもんだ。好きにやらせてあげてくれ。】
「ふむ、まあ、後で考えよう。今はその村長との会話を進めようかのぉ。」
アレックスさんが夜も遅いのだが緊急で村長を呼んで来たのだ。
その村長に爺さんが質問をしていく。
「では、村長自身は魔人族だとは知らぬと?」
「は、はい、ですが相談事を決める時には必ずその「ミリア」と言う者がいました。」
「ふむ、ではギルドに聞いても分からぬ可能性があるかもしれんな。」
「それは我らも気付きませんでした。金鉱脈があるとの言をあの女から受け、内密にして村を豊かにしようと提案されたのです。」
「それでは罪を認めるのじゃな?」
「認めます、ですが他の村人達は村長である私の指示に従ったまで、どうか寛容なる処置をお願いしたい。」
「それは構わん、家族達や村人達には類を及ぼさぬようにする。」
「ありがたや・・・。」
【それでどうするんだ、爺さん?】
「村人に罪無しと言えば他の所で似たような事があれば同じ事をされかねん、村長には代表として禁固刑を申し渡す。」
「ははっ!」
「関わっていた村人は労役として働いてもらう。この村での金鉱脈を採掘してもらおう。」
【いいのか、爺さん?】
「冒険者ギルドに代官を置き、管理してもらおう。後の問題はミリアの件じゃな。仲間がいればまたこのような事が起きるじゃろうし・・・関わっているのならば捕縛せねばならんしな。」
「そうだ、アセディア殿が説得しようとしてくれたのだが、相容れなかった。」
【じゃあ、こっちの方は片付いたと見ても良いのかな?】
「何かあればアレックスや護衛達、それにアセディアちゃんがいるのじゃろう?アセディアちゃんだけでも戦力過多じゃよ。」
【そうか、念の為に警戒と、護衛は任せますよ、アレックスさん。】
「アセディアの嬢ちゃんがいるとはいえ、最低限の事はさせてもらおう。よろしくな、嬢ちゃん。」
【任せてー・・・。】
【俺は念の為に明日の朝に町の冒険者ギルドへ行って事情を聞いて来るね。】
「済まんが、そっちは頼んだぞ、あんちゃん。」
【任せてもらおう、それによって安全が確認されたら俺達は先発隊と合流させてもらう。】
「そうですな、旦那様。」
「まだまだ時間はあるのだが、追いつくのも大変だね。」
「そうじゃな、では今夜の所は解散でええじゃろう。皆、御苦労じゃったな。」
【セリス、クレア、二人は仮眠をとってくれるかな?ここからは俺が見張りに立とう。】
「ありがたいが、大丈夫なのか、旦那様?」
「そうだぞ、主君。見張りぐらいならばまだ立つ事は出来るぞ?」
【いえ、二人は仮眠をとって下さい。】
「・・・分かりました、旦那様。」
「それでは、お頼み申し上げる。」
【終わったー・・・?】
【アセディアは爺さんの事を頼むね。】
【任せてー・・・。】
【アレックスさんも頼みますね。】
「任せてくれ、ヘファ殿。お嬢ちゃんもいる事だしな・・・ヘッケラー、他の隊員にも伝えよ!」
「「「任せて下さい、隊長!」」」
と、話をまとめると各人は仮眠に着く。
俺は夜が明けるまで見張りに立つのだった。
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ううむ、これでは仕方が無いな。
そう思い椅子で眠ろうとしたのだが、嬢ちゃんがそれを許さない。
【お爺ちゃんはー・・・私と眠るのー・・・!】
「いや、アセディアちゃん。爺とは言え男じゃろう?」
【お爺ちゃんがー・・・眠らないとー・・・私がゴロゴロできないよー・・・?】
「ううーん、どうしたもんか・・・。」
【こっちに来てねー・・・お爺ちゃんー・・・。】
30分程そんなやり取りをしていたのだが、年には勝てんのか、眠気が来よった。
「仕方がない、そこで眠らせてもらうぞ?」
【うんー・・・おいでおいでー・・・。】
そう言うと外套を外し寝る準備をする。
簡易ベッドに入ると、暖かい。
アセディアちゃんが温めてくれていたのだろう。
そう言えば、他人と寝るなど何年ぶりだろうか?
愛人も作らず、仕事一筋で生きて来た。
久しぶりに感じる温もりは、わしを癒してくれた。
布団に入るとアセディアちゃんが話しかけてくる。
【お爺ちゃん、お兄ちゃんの事ー・・・好きー・・・?】
「そりゃあ、好きじゃぞ。少し年の離れた息子じゃがな。」
【私も好きー・・・。】
「そうかそうか、その気持ちを忘れぬ事じゃ。」
【うんー・・・お爺ちゃんー・・・もっとー・・・こっちにきていいよー・・・?】
「いやいや、これ以上はな。」
【今日のお爺ちゃんはー・・・私のー・・・抱き枕ー・・・。】
「こ、これこれ、引っ付くでない。」
【やっぱりー・・・悪魔族はー・・・嫌なのー・・・?】
「いやいや、そ、そんな事は無いのじゃが、孫娘と同じような娘っ子じゃぞ?」
【んー・・・お爺ちゃんはー・・・今日はー・・・私の抱き枕ー・・・。】
「うーん、また長い問答になるのぉ・・・仕方がない。」
アセディアの嬢ちゃんを抱き寄せる。
そう、外見だけで言えば孫のような歳の娘っ子を。
【お爺ちゃんー・・・私を抱き枕にー・・・するー・・・?】
「うむ、柔らかいのぉ・・・今日はこれで終いじゃ・・・また次の機会にのぉ・・・。」
【ん・・・眠っちゃったー・・・暖かい・・・これが「お爺ちゃん」なんだねー・・・。】
その夜は久しぶりに、懐かしい妻の夢を見た。
君はあの頃と変わらないな。
わしはどんどんと老いぼれて行くのぉ。
じゃが、まだまだやる事があるでな。
もう少し、待たせてしまうのぉ。
じゃが、君はまだやる事があると言ってそちらに行く事は許してくれないのじゃろう?
そうじゃ、後悔の無い様に。
レガイアを一人前にする。
それと・・・あんちゃんもな・・・。
そうじゃ・・・亡き妻、リディア・・・この歳になってからも、この世界には面白い事がいっぱいあるのじゃよ。
レガイアも評価を受ける立場になった。
それにな、ヘファイストスと言う、面白いあんちゃんじゃ。
こいつがな・・・。
・・・。
【お爺ちゃんー・・・泣いてるのー・・・?】
爺さんの涙にオロオロしているアセディアには思いつく事が一つしかなかった。
【お兄ちゃんにー・・・教わったー・・・男が泣いているならー・・・そっと-・・・抱きしめてやってくれってー・・・。】
アセディアちゃんは優しく、わしを抱きしめる。
【ふふ、男はー・・・これでー・・・癒されるってー・・・お兄ちゃんがー・・・言ってたー・・・。】
アセディアちゃんは愛おしく、愛おしく、わしを包む様に抱きしめる。
そう、この日、久しぶりに昔の懐かしい夢を見れた気がした。
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