ナナリーのお母さん
いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!
新作を上げさせて頂きます。
お楽しみ頂けたのなら幸いです。
今朝は、騒がしく始まった。
テーブルについているルイス達から声が聞こえてくる。
「待ちきれないわ、おかげで昨日は寝不足なの。」
「そうですね、ルイスさんー。」
「どうなっているのでしょうかね?」
「そうやなぁ、あの肌質が自分で整えられるんやったら・・・ええよなぁ。」
「そうだ、私も楽しみであるぞ。この肌の色に応えられる「けしょうひん」と言う物なのなら是非に試してみたいぞ?」
「セリスや私は肌が褐色だからね、ナナリー殿もそうだが、主君の作るけしょうひんと言う物に期待をしてみようではないか。」
「今日は私も参加できるから楽しみだわ、お兄さんの作ってくれる物がどういう物か、気になるわ!」
化粧品を試せる人達はとても楽しみにしているようだ。
女性には狙い通りなのだが、その実験に付き合ってくれる人は大変だったらしい。
その人物が座ったカウンターから厨房のこちらに向けて追撃して来る。
「紅玉殿よ、この嫁達の反応では某がどうなるかも分って下さるのだろうな?」
【なるべく希望に添えるように前向きに検討致します。】
「これだけの事をしているのだ、事情を鑑み値段を正当な物にして頂ける事を願うぞ?」
【なるべく希望に添えるように前向きに検討致します。】
「ここまでやってもなるべくであるのか?」
【なるべく希望に添えるように前向きに検討致します。】
「・・・楽しみにしておく、で、本日の朝餉は何かな?」
【本日の献立は良い鰺が手に入ったので「鰺の塩焼き」と「御飯」に「味噌汁」でございます。】
「鰺が食えるのか!それは嬉しいな。倭国では一般的な朝餉だな。」
【やっぱり倭国にゆかりのある方だったのですね、汁物は「ミソスープ」ですよ。】
「ぐう、アレか・・・紅玉殿よ、朝からアレは厳しいぞ。」
【まあ、飲んで下さい。アレは本当の味噌汁ではありません。】
「凄い自信なのだが大丈夫なのだろうな?」
【きっと気に入って下さると思いますよ?】
「ふむ、ならばいただこうか・・・。」
【はい、鰺定一つです!】
「かしこまりました!」
指示を出すとトマス君が鰺を焼きだす。
味噌汁は女将さんが作っているので俺はレモンを切って行く。
女将さんが味噌汁を盛り付けると御飯を盛った茶碗をトレーに置く。
鰺を焼いているトマス君を見る。
【トマス君、焼きすぎないようにね。】
「分ってますよ、ヘファさん。」
しばらくすると焼き上がったらしい。
少し焼きすぎているがお客様に出せるレベルだ。
トレーに御飯と鰺、味噌汁を乗せ、お新香をそえて出来上がり。
【はいよ、鰺の塩焼き定食、御待ちどう。】
トレーをシェラハザードさんの前に出す。
「うむ、紅玉殿、これは・・・?」
【朝餉の「鰺の塩焼き定食」です。】
「それは分かっている、問題はミソスープだ。これは某の知っている物ではない。」
【本来のミソスープ、「味噌汁」はこちらの事を言うのですよ。】
「ふむ、ならば食してみるか・・・いただきます。」
そう言うと味噌汁を飲む。
顔色が変わった。
そして鰺を食べる。
更に顔色が変わった。
「こ、紅玉殿?これは・・・美味いな。」
【そうでしょう?これが本当の倭国料理なんですよ。】
「某が食って来たものは何だったのだろうか・・・。」
「坊主、わしにも同じものを。」
【おはようございます、師匠。焼き鰺定一丁!】
「あいよ!」
「おはようでゴザル、剣聖殿。」
「おう、二人共、おはよう。」
【師匠、今日の予定はどうです?】
「今日も冒険者ギルドじゃよ、しばらくここを離れるでな。」
【では、こちらの用事が済み次第、俺達も行きましょうか、シェラハザードさん。】
「ん?武具はもう作って下さるのではないのか?」
【貴女の得物が気になりますので、最終試験です。】
「ほう、よかろうよ・・・紅玉、いや、貴殿はやはりそう来なくてはな。」
どうやら彼女は理解してくれたようだ。
しかし二刀流か・・・。
どんな戦い方をするのだろうか?
物凄く興味がありますね。
二刀流と言えば、しばらく経つのに雷禪から連絡がこないね。
桔梗さんが約束を違えるとは思えない。
まあ、そのうちに来るだろう。
前より強くなった雷禪が・・・。
俺も鍛錬しないとね。
朝御飯が終わると部屋に集まる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【では、これより「化粧のやり方」を実践いたします。】
「「「待ってました!」」」
「「「パチパチパチ!」」」
【では、ナナリーはこちらへ。】
「はいー!」
ナナリーが進み出て椅子に座る。
ルイス達は羨ましそうにそれを見ている。
テーブルの上には色々な道具が置いてある。
皆も初めて見る道具であろう。
【一般的なやり方ですから、皆は見て覚える様にね?】
「「「はい!」」」
【それでは下地を作る為に「洗顔」をして頂きます。これは洗顔して化粧のベースが密着しやすい状態に整えます。】
「「「ふむふむ。」」」
【ナナリー、この石鹼を使ってそこの桶のぬるま湯で顔を洗って下さい。】
「はいー。」
ジャブ・・・ジャブ・・・
「泡立ちが凄いのですね。」
ジャブ・・・ジャブ・・・
「ふう・・・。」
ゴシゴシ・・・
「良い匂い・・・この石鹸も素晴らしいです。顔から脂分が完全に取れたようですー。」
【拭き終わったら次に化粧水です。手にたっぷりとってなじませ、肌に透明感が出てくるまで付けます。】
「「「とうめいかん?」」」
ペタペタ・・・
【肌の透明感とは、みずみずしく透き通った状態を指し、くすみやシミがなく、均一で滑らかな肌を持つことが特徴です。】
「「「ふむふむ。」」」
【このぐらいでしょうか。】
「綺麗ね・・・でも難しくはないわね。」
「そうですね、複雑な事は無いですね。」
「これからが下地なのだな、旦那様。」
【そうです、難しい事は何もありません。そしてナナリーの肌の下地を作ります。】
いかに前世の化粧品が進んでいる物なのかが分かる。
コスメとか言ってた記憶がある。
・・・何だっけ?
【ナナリーの肌は少し褐色だからね。何色かを混ぜ合わせ、肌に合っている色を作ります。】
「「「ふむふむ。」」」
【このぐらいの色ですかね・・・色が出来たら刷毛で塗って行きます。】
「ヘファ君、疲れませんかー?」
【大丈夫ですよ、ナナリー。では混ぜ合わせたパウダーファンデーションを刷毛に乗せて塗って行きます。】
サッ・・・サッ・・・
「やだ、ナナリーさんの肌を見て!」
「これは凄いなあ、坊ちゃん。毛穴が見えないで?」
【毛穴を出来る限り少なくすることで肌を綺麗に見せます。】
「これは素晴らしいものだぞ、主君。」
【肌の色が違っても同じように化粧が出来ます。】
「難しい事が無いから私にもできそうね。」
【塗り終わったら、ここで特製のアイブロウで眉を書きます。】
「眉って描ける物なのですか!?」
【ええ、描けます。今回はナナリーの専用です。】
「ナナリーちゃんの専用だなんて羨ましいなぁ、坊ちゃん。」
【眉尻の高さを合わせるようにすると綺麗に見えます。】
「旦那様、専用の物と言われたがクレアや私のような褐色に似合う物もあるのか?」
【芯を作れれば可能です。そこは楽しみにしていて下さいね。】
「今から楽しみだ、頼むぞ、旦那様!」
【これが終わるとフィニッシュパウダーを使います。】
「「「ふむふむ。」」」
【今回はパールのフィニッシュパウダーです。刷毛で頬に塗ります。】
「キラキラしていいわね、お兄さん。」
【今のところはこれで終わりです。】
「ナナリーさん・・・綺麗です・・・。」
「ナナリー姉、綺麗です!」
【化粧をそのままにすると化粧品に含まれている油分や肌の表面にある皮脂は、時間が経つと酸化して菌が繁殖してしまいます。】
「「「え!?」」」
【なので、毎日のクレンジングが大切なんですよ。】
「「「くれんじんぐが大事!」」」
【さてと、紅を引いて・・・これで出来上がりです。ナナリー。着替えたら挨拶に行きますよ。】
「はいー!」
【化粧品は色々あるから、つけてみてね、ルイス店長。】
「わ、分かったわ。」
【お客様に説明できるようにね?】
「え!?サ、サーラさん、メモを見せて頂けるかしら?」
「構いませんよ?」
「っほ、復習しておくわね。」
【よろしくね、ルイス店長。フェイ、シェラハザードさんの相手を頼むよ。】
「分かったんぇ、坊ちゃん。」
【じゃあ、ナナリーの故郷の『エルミス村』へ行って来るよ。シェラハザードさんには戻って来てから武具を作るって言っておいてくれ。】
「言っておくわ、坊ちゃん。」
ナナリーのコーディネイトを決めると着替えてもらう。
二人共、無難にフォーマルにしておいた。
皆に後を任せると馬を買い、エルミス村へと北上して行く。
王国にいると言っても国内に繋がるフェアリーゲートが王都とオーカムにしか他に無い為だ。
エルミス村はその中でも北部に位置し、夏でも北にある白竜山脈に影響で寒いぐらいの気候を保っているのである。
避暑地には丁度良い村である。
王国にある街や村は暇を見つけてルーンを焼いておこう。
出来れば各国の街や村も焼いておくのが良いかもね。
何かあった時に急行できると良いかもね。
そんな事を思いつつ、ナナリーの生まれ故郷に向かう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
まだ防寒具は必要ないな。
北に向かい馬を走らせる。
白竜山脈はうっすらとその頂上には白い雪が見えているのだが、その白さはまだこちらに近づいてくる気配はない。
バックパックから桶に汲んだ水を取り出し馬に飲ませる。
飼葉をあたえ休憩をしながら目的地へと向かう。
休憩をはさみながら二時間半程馬を走らせると少し大きめな「アースの街」に着く。
銀行の辺りにマークをしておく。
更に一時間程走らせると「アフロディティ村」へと到着し、その中心らしき所でルーンを焼く。
そこから、更に一時間半程馬を走らせると「イヤヌアリオスの街」が見えて来た。
この街からは馬車の運行があるようだ。
【うーん・・・今まで通って来た街は復興が進んでいませんね。】
「その様ですね、やはりあの事件は爪痕が深かったようですねー。」
そう言うとナナリーは俺にギュっとしがみついて来る。
【それと、女性の一人旅ともなれば、厳しい現状ですね。治安が良さそうには見えない。】
「・・・残念です。ですが懐かしいです、十六の時に王都へ出てから初めて戻って来ましたー。」
【遠いですからね、ナナリーも苦労したでしょう?】
「苦労はしましたが・・・お母さんに比べれば楽な物でしたよー。」
【ナナリー、もうすぐ会えますよ。】
「はい、ありがとう、ヘファ君ー。」
【嫁さんの為ですからね、これぐらいの事は苦労とは思いませんよ。】
「ありがとう・・・だ、旦那様ー。」
【ここから更に北に向かいます。寒くはないですか、ナナリー?】
「大丈夫です。ちょうどよいぐらいですー。」
【では向かいましょう。】
「はいー。」
馬を走らせる事、約一時間。
隣町の「マールス町」へと着く。
ここでもルーンを焼く
ルーンブックの親分のような、『トラヴェラー・ブック』王国編の各街がだんだん埋まって行く。
【ナナリー、何か御飯を買っていきましょう。お義母さんは何が好きですか?】
「よろしいのですかー?」
【着く頃に丁度御昼御飯ですしね。】
「お母さんは鶏肉が好きなのですー。」
【良い感じで焼いた肉が売っていますね。鶏肉はあるかな?】
「・・・。」
【ナナリー、緊張しているの?】
「私は親不孝なのかもしれません。」
【・・・。】
「四年です、四年もの間、お母さんに顔を見せる事が出来なかったんですー。」
【怖いのですか?】
「いえ、今は隣にいてくれる人がいるので大丈夫ですー。」
【お、鶏肉の焼いてある露店がありますね。】
「では、それをお願い致します。」
ナナリーと馬を少し離れた所へ置いて買いに行く。
【・・・親父さん、その鶏の丸焼きを頂きたいのだが、いくらだい?】
「若旦那、里帰りかい?」
【そんなところです。】
「なら銀貨一枚にしてやる、どうする?」
吹っ掛けて来たな。
【格好はつけたいが流石に高すぎるでしょう。オーカムなら銅貨十枚で買えますよ?】
「・・・買うのかい?」
【その値段では買えませんね、銅貨二十枚でなら買いましょう。】
「五十枚だ。」
【二十一枚。】
「四十枚だ。」
【二十二枚。】
「三十五枚だ。」
【二十三枚では?】
「三十枚だ。」
【二十四枚。】
「二十五枚。」
【二十五枚で手を打ちましょう。】
「仕方ねえ・・・売った。」
【ではその値段で二つお願いしますよ。】
「っち、もっとぼったくろうと思ったんだがな、失敗したぜ。」
【店主、この町の復興はどうなっているんですか?】
「町長が領主の伯爵様の判断にまかしているからな、自分のおひざ元だけで、離れの町の事なんざ考えてねえんだよ。」
【そうですか・・・。】
「それから若旦那さんよ、そんな「金持ちです」みたいな恰好をしてればカモにされるぜ?」
【次からは気を付けますよ。】
「ほら、銅貨五十枚だ。」
【はい、ありがとう。】
そう言って支払うとまだ暖かい鶏肉をバックパックへとしまう。
「アンタも偉い人なら早い所復興するように領主様に言ってくれよ。」
【必ず、意見を届けます。そして早い所、復興させますよ。】
「っふ、期待させるじゃねえか。じゃあまた寄ってくれ。」
【もちろん寄らせていただきますよ。】
「若旦那、ありがとうな。」
【いえ、それでは失礼しますね。】
町に関してはバルロンデーモンが現れていないので復興は必要ないだろうが、街から避難して来た住民とで色々とあるのだろう。
早い所、王都を復興させて爺さんとレガイアさんの目を外に向けてもらいたいな。
「お帰りなさい、ヘファ君ー。」
【良い鶏肉だったので二つも買っちゃいましたよ。】
「高くはなかったですかー?」
【多少です、さあ行きましょうか!】
「はいー!」
町を出て馬を更に北に進ませる。
【離れの村か・・・。】
「どうされましたー?」
【苦しんでいる民の為に奮闘している人達がいても、下々の民にまではいきわたっていない、悔しいですね。】
「ヘファ君は頑張っていますよー!」
ナナリーはそう言うと背中に抱き着いてくれる。
その温もりに、少しだけ暗い考えが消える。
【・・・じゃあ、急ぎましょうか。】
「はいー!」
そのまま北へ抜け、目的のエルミス村を目指す。
カッポ・・・・カッポ・・・
【もうすぐですね、どんな人か楽しみです。】
「普通の母親ですよ、でも、自慢の出来るただ一人のお母さんです。」
【いいですね、俺は家族と呼べる人はルイス達だけなので血縁での家族を持っているのは羨ましいですね。】
「ヘファ君、そんな事は言わないで、私達は血縁はありませんが家族ではありませんかー。」
【そうですね、義母様はどんな方なのですか?】
「優しい母ですよ、こんな私の為に王都で暮らすお金を必死に貯めてくれていたんです。」
【そうですか、良いお母さんではありませんか。】
「はい、自慢の母です。御給金から仕送りをしていたのですが、使っても良いお金を私の結婚の為に貯金していないかと不安になりますー。」
【そうですか、お元気でいてくれると良いですね。】
「はい、私も久しぶりの帰郷なので・・・元気でいてくれると嬉しいですー。」
【後少しでお会い出来ますよ。】
「はい、ありがとうございますね、ヘファ君。」
【この程度、何て事はありませんよ。】
「ふふっ、ヘファ君の事はお母さんに手紙を送っているのですよー。」
【ありゃま、ナナリーが俺の事をどう書いているやら・・・緊張して来たね。】
「ふふ、あ、村が見えて来ました。」
【もうすぐですね、寒くはありませんか、ナナリー?】
「こうしていると暖かいので大丈夫ですよー。」
ナナリーは無意識でやっているのだろうが、その豊満な胸が背中に当たり気持ちが良い。
俺は我慢が出来るのだろうか?
こうして無事にナナリーの生まれ故郷にたどり着いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
村に入ろうとすると門を守っている門衛さんから声が掛かる。
「旅人さん、そこで止まってくれねえかな?」
「失礼だがこんな辺境の村まで何用だ?」
【婚約者と帰郷したんですよ、ああ、この村の出身は彼女の方ですがね。】
「こんにちはー。」
「・・・あれ?なあ、あれって。」
「そうだ、綺麗になっているが、あの胸は「巨乳のナナリー」だ!」
「ジェイムス、ホッター!そんなふうに呼ぶのは無しですよー!」
「久しぶりだな・・・さらにでっかくなってやがるぞ!」
「あぁ!?ちょっと待て、婚約者だと!?」
「ナナリーが結婚するのか!?」
【・・・済まない、だが少々無礼ではないかな?俺の嫁に向かっての暴言、それ以上は見過ごせないぞ?】
「ヘファ君、いいんですよー。」
「っへ、巨乳の相手なんてたかが知れてるだろうに、なあ?」
「そうだ、婚約したなんて嘘までついて戻って来やがったのか?」
【無礼ではないかなと言いましたよね?】
「ヘファ君、いいんですよー・・・。」
「そうだ、どこの誰だかも分からねえんだ、嘘つきめ!」
「何だよ、成人をしているみたいだがアンタがナナリーの婿か?」
「物好きもいたもんだ!」
【はあ、嫌いなんだけどなぁ・・・じゃあ、これを見てくれるかな?】
「何を見せようって言うんだ?」
そう言っているジェイムスと呼ばれた男に徽章を見せる。
「ナナリーの巨乳なんざ吐き気がするぜ!」
「親子そろって巨乳だもんな!」
「それだから父親に捨てられるんだ!」
「お・・・おい、ホッター!?」
「どうした、ジェイムス、顔色が悪いぞ?」
「こ、これって「エクスィ・スィデラス」のじゃねえか?」
「なんでそんな方が、こんな田舎に何で来るんだよ・・・見せてみろ!」
そう言うと俺から徽章をひったくる。
「・・・やばいよ、ホッター。」
「紅玉様だと!?ば、馬鹿な!ジェイムス、長老を呼んで来い!大至急だ!」
「お、おう!」
「少しだけ待ってもらおうか、本物かどうかを確認する。」
「ホッター、偽物は作れないでしょう、さっさと返した方がいいですよー?」
【ホッターさん、先程の事はジェイムスさんと一緒に俺の婚約者へ謝ってもらいますよ?】
「嘘だ、巨乳のナナリーが、そんな馬鹿な!?」
しばらくするとジェイムス君が何人かの村人を伴って帰って来た。
「ホッター、連れて来たぞ!」
「お前達、こんな田舎の村に紅玉殿が来る訳はないだろう?」
「長老、先にこれを見てくれ!」
「まったく、落ち着きのない・・・だから二十一にもなって嫁が来ないのだ。」
長老さんが徽章を見て固まっている。
他の皆も徽章を見て固まる。
そして慌てて土下座をする。
「も、申し訳ありませぬ、紅玉様が来られるとは、いったい何の御用でしょうか!?」
【嫁になる人の家族に挨拶に来たんですよ。】
「そ、それは失礼を致しました!そ、その、嫁になるとは隣にいる女性の事でしょうか?」
【そうだが、何か問題があるのか?】
「い、いえ、ございません!」
【ところで、長老。】
「ははっ!」
【先程そこの二人に俺の婚約者が侮辱された。この村では門衛にそう言う教育をしているのか?】
「決してそのような事は!謝らんか二人共!」
「「も、申し訳ございません!」」
【違いますね、俺に謝ってもしょうがないでしょう?】
「は、っはい!」
「「ナナリー様、先程は誠に失礼を致しました。」」
そう言って二人は地面におでこを擦り付ける。
【俺もこれ以上大事にしたくないのでそれで許しましょう。】
「「「ありがたく!」」」
「「ありがたく!」」
【門を通る事には問題はないのですね?】
「ははっ!こ、こちらはお返し致します!」
馬から降りると徽章を受け取るり首にかける。
【では、ナナリー。案内を頼みます。】
「はいー・・・。」
長老達はしばらくそうやって土下座をしていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ナナリーを馬に乗せ、荒れた道を進む。
「ヘファ君。」
【何だい、ナナリー?】
「ヘファ君の嫌な事をさせてしまいました、本当にごめんなさいー。」
ああー、権力使っちゃったからね。
でも・・・。
【気にしないで、俺は怒っていたんだからあれは自分のせい。】
「でもー・・・。」
【今回はナナリーだけれども、俺の大切な人が侮辱されたんだ、そう言うのは許せないからね。】
「ヘファ君・・・ありがとうー。」
【さて、ナナリーの家で馬を休ませるところはあるかな?】
「残念ですが、裏庭に畑があるだけですよー。」
【人口が二百人未満、と言った所かな・・・。】
「そうですね、昔より少しだけ人口が増えているみたいです。」
【小麦が主要な農作物かな。】
「そうですね、パンが美味しいんですよー。」
【そうなんだね、食べてみたいな。】
「ヘファ君の白パンの方がおいしいですよー?」
【さて、挨拶だ・・・気合を入れないとね。】
「お母さんは優しい人だから大丈夫ですよー。」
長老さんに挨拶代わりに渡そうと思っていた鶏の丸焼きは渡さなくて良いよね?
緊張して来た。
さて、どんな人なんだろうか。
【さあ、楽しみだ。】
「ヘファ君と一緒に来れるなんて、嬉しいですー。」
【ねえ、ナナリー。中心部から随分と離れてきたんだけど?】
「もうすぐですよー。」
【そうなの?】
「はい、頑張って下さい、旦那様ー。」
更に進んで行くが供用の井戸などが見えなくなって来た頃に到着。
いよいよ対面か!
「ここが私の家ですー。」
【おお、こ・・・ここがナナリーの住んでいた場所!?】
なんか思っていたより小さい。
近付いて行くと分かったけど、やっぱり小さい家だった。
これ寝室とかあるのか?
ボサっと立ち尽くしているとナナリーから言われる。
「ノモス様の家や宿屋に比べると小さいんですけど、良い家なんですよー?」
【あ、ごめんごめん。ちょっとボーっとしてた。】
「・・・ヘファ君、庶民の、平民の一般的な家の大きさですよー?」
【そうか・・・ルイス達の事を思うと家があるだけ有難いなってね・・・いや、何を言っているんだ、俺は。】
「ふふっ、ヘファ君・・・驚きましたよねー?」
こんな井戸から離れた家なんて・・・
それに村外れだろう。
むう、門衛が巨乳で父親に逃げられたとか言ってたなぁ。
うーん、もう少し融通が利いていると思っていた。
それに、村ならではの差別意識がこんなに強いとは思わなかった。
【ナナリーとお義母さんが苦労していたって言う事が分かりますね・・・でも、暖かそうな良い家ですね。】
「そうなんです、お父さんがいた頃はとても暖かくて・・・。」
【そう言えばお義父さんの事は詳しく聞いていませんでしたね。】
「お父さんは、私が生まれた後に母が巨乳だったせいで、それが嫌で村を飛び出して行ったそうですー。」
【・・・。】
「気にしないで下さいね。今の時間でしたらお母さんは畑にいるでしょうから裏手に回りましょうー。」
【うん、案内を頼むよ、ナナリー。】
「任せて下さいねー。」
ナナリーの後に付いて行く。
「ああ、いました、お母さん-!」
「ん?ナ、ナナリーかい!?」
「ただいま戻りました。お母さんー!」
お義母さんがナナリーにかけよるとその存在を確かめる様に抱き寄せる。
一人暮らしで苦労しているのだろう。
ナナリーもその存在を確かめる様に抱き着く。
いつの間にか俺は一般家庭の事を、平民の人がどんな生活をしているのかを忘れて、いや、考えないようにしていた。
そうだ、一般の平民と呼ばれる人達は決して裕福ではない。
それを改めて思い知った。
俺は何を・・・奢っていたのだろう。
一般人の、しかも田舎の生活を舐めていた。
俺って奴は・・・こんな大切な事を忘れていたのか。
あれ?
でも、俺の仕送りはどうしてたんだ?
「ナナリー、あちらの方は・・・まさか!?」
【ああ、お義母さん、止めて下さい。ナナリー止めさせて。】
土下座しようとしたお義母さんをナナリーに止めてもらう。
「お母さん、ヘファ君はそんな事を望んでいる訳では無いのですよー?」
「いえ、でも、手紙にあった貴族様になった方なんだろう?」
「はい、貴族になっても優しく包容力のある格好良い人なのですよー。」
「あらあら、私とした事が、貴族様をこんな所で・・・どうぞ、狭い家ですが、お入りになって下さい。」
馬を繋ぎ、水桶と飼葉を置く。
二人に案内されて家に入る。
お茶を入れようとしていたが話を優先させてもらった。
四人掛けの食堂のテーブルに腰を掛けると話を始める。
【初めまして、お義母様。俺はヘファイストス・フォン・エターナルと申します。本日はナナリーとの結婚の件でまいりました。】
「あらあら、それはそれは御面倒をおかけ致しましたね。」
【御面倒などと、それで、早速のお話ですが、ナナリーを俺のお嫁さんにさせてもらいたく御挨拶にまいりました。】
「ああ、ナナリー、お前は見初められたのですね・・・。」
「はい、とても素敵な旦那様なんです。」
「ナナリーからの最近の手紙は生き生きしてて・・・読む方も嬉しい物となっておりました。」
「ふふっ、本当に毎日が楽しいのですよー。」
「それは良かった、良い人に見初められたんだね。」
「はいー、とっても良い人なんですー。」
「でも・・・貴族様なんて、失礼は無いのかい?」
【お義母さん、俺は先日貴族になりましたので、なり立てなんですよ。貴族のマナーなんて解りませんので、普通にお話し下さい。】
「そうなのですね、で、ナナリーを嫁にすると?」
【お義母さん、ナナリーには大変に世話になっておりまして、俺の嫁、第二婦人にと思っております。】
「あらあら、ナナリーよかったねえ。」
「はい、お母様ー。」
「私と同じで苦労すると思ってたんだけど、良い人に見初められたようね。」
そう、お義母さんも巨乳なのだ、そのせいで旦那さんに捨てられたらしい。
俺が変わり者だと言う事で話はついている。
ん?
変わり者、大いに結構!
巨乳好きの何が悪い!
お義母さんは、ナナリーの色気をアップさせたような美人だ。
とても、もうすぐ四十になる、お姉様とは思えない。
ナナリーの母親でなければ声を掛けていても不思議ではない。
そんな優しそうで魅力的なお義母様だ。
【それで、お義母様にも俺の手伝いをして頂きたく思いまして、お話の機会を作りました。】
「私が、貴方様の御手伝いですか?」
【はい、その為にまずはオーカムまで来て頂きたい。】
「オーカムですか・・・この王国の七大都市の一つですね。」
【はい、なに、管理人と言う、寮を管理して頂くお仕事です。】
「りょう・・・ですか?」
【はい、店で働く従業員の皆さんに住んで頂く建物の管理をお願いしたいのです。】
「建物の管理・・・ですがここの家はどう致しましょうか?」
「お母さん、このままこの村にいても良い事は無いでしょう。お願いだから来て頂けませんかー?」
【もちろん給金も出します。そして寮に住み込んで頂くので住居の心配もございません。】
「有難いお話ですね・・・お早くの御返事は必要でございますか?」
【いえ、早急な返事は必要ありません。お義母様にも考える時間が必要でしょう?】
「お母さん、来て頂けませんかー?」
【ナナリー、急ぐ事はありませんよ。時間はあります。ですがお義母様、近々動きたいと思いますのでそれまでに返事を頂けませんか?】
「分かりました、それとですね、貴方様に御伺いしたい事がございます。」
【何でしょうか?】
「毎月ですが「冒険者」の「アーサー」と言う御方からかなりの金額が送られてきます。何か御存じでしょうか?」
「ヘファ君!?」
【あー・・・将来のお義母様に何かあってはいけないと、内緒で仕送りをしていた。済まないナナリー。】
「そんな事まで・・・ありがとう、ヘファ君ー。お母さん、「アーサー」はヘファ君が冒険者の時に使っている名前でしてー・・・。」
「そうなのですか、ありがとうございます、ヘファイストス様。」
【それで、そのお金は使って頂いておりますか?】
「いえ、知らぬ人からの物なので蓄えてあります。」
【あー、逆効果だったか・・・。】
頭を抱える。
お金を上げる事だけがその人を幸せにする事ではないのだろう。
勉強になった。
「ヘファ君・・・ありがとう・・・あり・・・がとう。」
ああ、ナナリーが泣いてしまった。
こんなつもりではなかったのになぁ。
「ヘファイストス様、貴方の恩情に深く感謝を。」
【いや、それで不便があったのなら俺の責任です。申し訳ありません。】
頭を下げる。
折角の仕送りも使ってもらえてなければ意味がない。
それに、これは俺のミスだ。
そりゃあ知らない人から送られてきたお金なんか使いたくはないだろう。
「頭をお上げください、折角の御厚意を無にしてしまって申し訳ありません。」
【いえ、これは俺のミスです。素直にヘファイストスで送っていればよかったですね。】
「ふふっ、ナナリーの好きになった方はこのような人なのですね。」
「はい、自慢の人なんですー。」
【それで、ナナリーには御店の副店長を務めて頂こうと思っておりまして、現在は店を出す事を考えておるのですよ。】
「でしたらお早い返事の方が良さそうですね。」
【急がせるつもりはありません、ただ、熟考してから答えを聞かせて下さい。】
「いえ、ここでの生活も悪くはないのですが、新天地で、貴方様の御手伝いが出来るのだったら・・・この村を出ましょう。」
「お母さん、決めてくれたのですねー。」
【急がせてしまいましたかね?】
「いいえ、そのような事はありません。貴方様とナナリーがどのように生活をしているのかも気になりますしね。」
「お母さん、とっても良くして頂いているのですよー。」
【精一杯の事はやらせて頂いておると自負しております。】
「では、準備をしておきましょう。」
「お願い致しますね、お母さんー。」
「婿殿、何日で用意すればよろしいですか?」
【少し出かける用事がありますので、そうですね、七の日のうちに準備をして頂けますか?】
「かしこまりました、それではその日までに準備を致しましょう。」
【お願い致します。後、長老さん達とのやり取りは俺の方でやっておきますので。】
「お手数をおかけいたします。こんな売れ残りがいなくなれば、新しい村人が家を使ってくれるでしょう。」
「お母さん・・・。」
【売れ残りとは・・・お義母さん、貴女はこんなにも働き者で、そして美しいではありませんか!】
「ふふっ、そう言っていた夫には逃げられました。」
【貴女を幸せにする事も、俺の目標です。これからは頼って下さい。】
「この歳になって息子を持てるとは・・・それも物凄い息子が。」
【お義母さん、貴方様の名前をお伺いしても?】
「『ヴァーチェ』と申します。よろしくお願いしますね、ナナリーの婿殿。」
【お任せ下さい、お義母さん。ナナリーと一緒に幸せにする事を誓います。】
「婿殿、ナナリーの事末長く、よろしくお願い致しますよ。」
【はい、決して不自由はさせません。お義母さんも同じく。】
「ふふっ、ありがとうございます。」
【落ち着いた所で、御昼にしましょうか。ナナリー、先程のお肉を切り分けて頂けますか?】
「かしこまりました、旦那様ー。」
そう言うと先程買った鶏の丸焼きを取り出し木の皿の上に置く。
「これはこれは、豪勢な食事になりそうですね。」
【お義母さんの好きだと言う鳥肉です。味は好みであったなら良いのですが・・・。】
「いえいえ、十分でございます。久しぶりのお肉、堪能させてもらいましょう。」
「では切り分けますねー。」
そう言って切り分けられたお肉で楽しい昼御飯は始まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ナナリーは久しぶりに会ったお義母さんとの話がしたそうだったので家にいてもらうようにした。
久しぶりに話したい事があるのだろう。
そこには俺は邪魔なだけだ。
現在、俺は教えてもらった長老さんの家に向かっている。
ナナリーのお母さんを迎えに来たと言う事を話し合う為だ。
お義母さんから聞いた長老さんの家へと徒歩で向かう。
外壁のある大変に立派な家だった。
近付くと門衛さんが話しかけてくる。
「・・・貴方様が噂の紅玉殿か、長老に何か御用ですかな?」
【ええ、義母を迎えに来たのですよ。その事を長老さんに伝えに来ました。】
「成程、長老なら中におります。御案内致しますよ。デミタス、少し頼む。」
「分かった。」
「では、私、マーデンが案内致しましょう。」
【では、よろしくお願い致しますね、マーデン殿。】
「付いて来られたし。」
その後ろ姿を黙って付いて行く。
とある部屋に着くとドアをノックする。
「長老、紅玉様がいらっしゃったぞ?」
「なんじゃと!?」
「お通しするぞ?」
「し、しばし待て!」
ガサコソ・・・ガサコソ・・・
・・・
ガチャッ
「お、お待たせ致した。入られるが良い。」
【それでは、失礼致します。】
長老の執務室だろうか?
に、通された。
さて、何をガサゴソやっていたのかねえ。
その訳はすぐに分かった。
メイドさんが部屋の中にいて顔は真っ赤、衣服も乱れている。
うん、分かった。
火遊びをしていたのか。
政務はどうした?
そろそろ麦の刈り入れだろうに・・・。
「そちらのソファーにお座り下さい。」
【いえ、結構ですよ。用件だけを言います。】
「用件ですか?」
【はい、実は義母になる人を迎えに来ました。】
「なんと、それはめでたい事ですな。」
【ええ、七日後を目安に迎えに来ます。】
「そのように手続きをしておきましょう。」
【お話が早くて助かります。】
「ヴァーチェの事でよろしいか?」
【はい、俺の義母になる人なので・・・頼みますよ?】
「は、ははぁっ!」
【用件はそれだけです、では七日後に迎えに来ます。】
「確かに承りました!」
【それでは失礼致します。】
「失礼致します!」
バタン
「【・・・。】」
「【はっはっは!】」
【マーデン殿も意地が悪い。】
「いやいや、紅玉殿も分かっておいでだろうに。」
「【ふはははは!】」
【おっと、聞こえてしまいますね。】
「聞こえているだろうよ。」
互いに見つめ合う。
「【っぷ!】」
「長老のあの顔を見れるのはタイミングが良いぞ、紅玉殿。」
【なんのなんの、狙ってできるマーデン殿には負けますよ?】
「まあ、今の事でしばらくはお手付きも出まいよ。」
【でしょうね・・・あっはっはっは!】
「紅玉殿。」
【何でしょうか?】
「ナナリー親子を幸せにしてやってくれ。」
【その事ならば任されましょう。】
「そうか・・・良い男を見付けられたんだな。」
【ナナリーの事でなにか?】
「ああ、昔馴染みなんだけどな・・・この狭い村の中でネタにされていじめられてたんだよ。」
【・・・。】
「その頃の俺は自分も外れ物になるのが怖くてな・・・。」
【ですがその言い様ですと後悔をしていると?】
「そうだ、王都でギルド員になったと聞いて安心していたんだが、結婚をすると言う連絡は最近まで来なかった。」
このマーデンと言う人物は、ナナリーの事で後悔をしているようだった。
【貴方は後悔されているのですね?】
「そうだ、後悔している。ちなみに今の俺の嫁さんは巨乳だ。」
【はっはっは!それは良いですね。】
「そうだ、多分にも漏れず、俺も偏見を持っていたんだけどな。」
【ほうほう。】
「それがだな・・・あの包まれるような心地よさは、悪くない。」
【そうでしょう、そうでしょう、貴方とは良い酒が飲めそうです。】
「ナナリーは良い旦那を見つけたようだな。」
【そう言って頂けると嬉しいですね。】
「っと、出口だ。気を付けて帰ってくれ・・・それとナナリーに済まなかったと伝えてくれ。」
【分かりました、マーデン殿。ナナリーはそんなに弱い女の子ではありませんよ、ですが・・・必ず伝えましょう。】
「それではな!」
【失礼を致しました。】
頭を下げその場を後にする。
「・・・そっか、ナナリーは良い奴を見つけたんだな。」
そう言う彼の顔は寂しげだった。
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