初の結婚式
皆様、おはようございます!
書きあがりましたので、UP致します。
楽しんで頂ければ幸いでございます。
幕が上がる。
この世界で初めての幕が・・・。
ノモスと考えてこの日の為に支度を整えて来た。
来賓が凄い面子になってしまったのは今後の課題だろうか?
「ん?そう言えば、父上が見当たらんが?」
「義父様はルイスちゃん達のお父さんの役らしいわよ?」
「この「式」とはそんな事までするのか、まあ父上の息抜きになれば良いがな。」
「ふふ、祭典ではないのね・・・あら、各国の王がそろい踏みね。」
「うむ、ヘファイストス殿、どのような「式」になるのか楽しみであるな。」
「リーゼ、婚礼の祭典ではありませんわよね?」
「はい、姉様。『結婚式』と聞いております。」
「ヘファイストス様、あの・・・何と言ったかしら?」
「嫁の名前ならばルイスですね、姉様。」
「「嫁。」」
「羨ましいですわ・・・。」
「左様ですわね、姉様。」
「っく、この胸が、ヘファイストス様の好みでさえあったのならば!」
「そうです、この身体が・・・。」
「・・・姫様方、もうすぐ始まりますぞ?」
「パトリオティス、この神殿も素晴らしいが、あの中央の女神像は群を抜いて素晴らしいな。」
「左様ですな、皇帝陛下。我が帝都にも、残念ながらあのような完成度の高い像はありませんな。」
「実際にお会いした我らでも似ている事が分かるほどに神秘的ではないか。」
「左様で、陛下。」
「・・・セリスの時も同じ事をすると言っておったな。」
「左様ですな陛下、セリス様も見ておられるのでそのぐらいになさるのがよろしいかと思われますぞ?」
「さあ、どのような式を見せてくれるのだ、我が息子。」
「大いなる『創造神アリステリア様』、本日の良き日を恵んで下さり誠にありがとうございます。」
「「「ありがとうございます!」」」
「少し・・・いいえ、焼けますわね!」
「猊下、かの者が結婚をするとしましても、祝福せねばなりません。」
「左様、祝福する事でかの者と我らの、『アリステリア様』との縁が通じよう。」
「猊下、式とやらが終わりましたら食事会です。その時にかの者との距離を縮める好機でございます!」
「そ、そうね、ポステリタス。き、緊張して来ました。」
「猊下、その為にもソフォスへお招きすると言うお話をしっかりとですな。」
「わ、分かっているわ、プラエセンティア。必ず近々と約束を取り付けます!」
「猊下、「急いては事をし損ずる」と申します。」
「分かっているわ・・・そう・・・分かって・・・。」
「ふむ、あの女神像だけでも幾らの金になるか・・・のう、イン。」
「全くでございますな。あの荘厳さは王国の片田舎にあるレベルの物ではありませんぞ?」
「代表して我らだけで来たのは、ある意味、良かったのではあるまいか?」
「全くです、こんな片田舎などと思っていた自分が恥ずかしい。」
「で、どうじゃ?」
「この女神像を作り上げたのはヘファイストス殿との事です。」
「な、なんだと!?では、買収は逆効果か?」
「左様ですな、先日頂けた鰻もそうでしたが、ヘファイストス殿に関わると驚くような事ばかりですぞ?」
「かかかっ、なればバイジンに招いた際に女神像を作ってくれるようにも頼まねばな。」
「左様ですな、この「式」後に食事会らしいのでその際にお頼み致しましょう。」
「今日はババ様はいないのです。」
「そうです、その代わりにしっかりと目に焼き付けなければ!」
「ところで、この「式」と言う物はなんであろうか?」
「『アリステリア様』の像の前で結婚の誓を立てるのではないのか?」
「そうだ、そのはずだ。」
「ならば、あとは目に焼き付けよう、この「結婚式」とやらを!」
「「そうだ、焼きつけよう!」」
「ラヴィーネ様、御機嫌のよくない様子ですが・・・?」
「ふん、紅蓮のヤツめ・・・結婚などと・・・しかも大仰に「式」だと?」
「「結婚式」と申すらしいです。どうやらヘファイストス殿の生まれ故郷のものだとか?」
「紅蓮め、我の言葉には肯かなかったくせに、出席を懇願するとは・・・。」
「ラヴィーネ様、それが機嫌の悪い原因ですか?」
「そうも言ってられんな、紅蓮のおかげで我が民が飢える事が少なくなった。」
「ええ、ヘルシャーの民もヘファイストス殿のおかげで腹を膨らませる事が出来たのですぞ?」
「仕方がない、祝ってやろうではないか、この「結婚式」とやらを。」
「ラヴィーネ様、「結婚式」ではなく、ヘファイストス殿とルイス殿を祝うのですよ?」
「分かっておる!・・・まだ始まらんのか?」
『母上、これが人族の習慣なのですか?』
『うむ、そのようじゃの。みよ、カルブよ、人族の首長が勢ぞろいじゃぞ?』
『そのようですな、母上。』
『鍛錬ばかりでなく外交にも目を向け、カルブと言う人物を養うのじゃ。』
『かしこまりました、母上。』
『ふむ、じゃが美しい神殿ではないか。』
『相手は見た事がありますな?』
『挨拶に来た事がある、確か「ルイス」と言ったかのう?』
『そうでしたか、流石は母上。』
『カルブよ、折角大陸に来れたのじゃ、見聞を広めよ。』
『はい、母上!』
「席が前方でない事を感謝しなければなりませんね。」
「そ、そうだな、相棒。」
「凄い光景なんさ~、各国のトップが勢ぞろいなんさ~・・・。」
「それだけ世間がアーサー様をどれだけ注目しているかが分かりましてよ。」
「兄貴・・・ヘファイストスって・・・あの女神様を降臨したって・・・兄貴なのか!?」
「そうよ、ディアナ。貴女はその伝説になろうとしている人と同じパーティーなの。」
「そうなんさ、世話になってるのは、武具だけじゃなくてあーっし達の武術もなんさ~。」
「僕達では少々遠い所ですが君を孤独にはさせませんよ。」
「そうだぜ、アーサー。相棒の言う通りだ!」
「ヘファイストスさんがアーサーの兄貴で、アーサーの兄貴がヘファイストスさん?」
「ディアナ、御小遣いを減らされたくなければシャンとしなさい!」
「う、うっす!」
「ヘファ君は大丈夫なのでしょうかー?」
「これがヘファイストス様の望んでいた物なんですね。」
「そうだ、だがまだ全貌が明らかになった訳ではない。」
「セリスも硬い事言わんと、次は我が身やで?」
「そうだぞ、主君には聞きたい事があるのだがな。」
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しばらく、そのザワザワした空気は変わらなかった。
ゆっくりと、だが確実におさまって行くその空気。
それを見越したノモスが声を上げる。
『皆様方、大変にお待たせを致しました・・・それでは、新郎入場。』
音声が聞こえる。
ノモスの声だ。
ギギギ・・・
扉が開く。
やっとルイスとの約束を果たせる。
【では、行ってきます。】
「「「行ってらっしゃいませ。」」」
ルイスの着替えている所は幕が張ってあり、こちらからは見えない。
ノモスのメイドさん達に見送られながら歩き始める。
『皆様、暖かく迎える為に起立して頂き拍手をお願い致します。』
そして、運命のドアを潜る。
ルイスを、愛しい人を嫁に迎える為に。
一歩を踏み出す。
そしてルイスにはヴァージンロードとなるであろうこの赤い絨毯の上を進んで行く。
「「「パチパチパチパチパチパチ!!!」」」
拍手の雨が降る。
おっと、緊張しているのがバレないように、いつも通りの俺を。
『新郎である、『ヘファイストス・フォン・エターナル』は私の親友です。彼との出会いは、この王国ではあの惨劇の時でありました・・・。』
「「「おおっ!」」」
「我らは忘れておりませんぞ!ノモス様!」
「ちょ、ちょっと御待ちなさい!ヘファイストス様が・・・姓を!?」
「ね、姉様、そのような情報はありませんでした。こ、これもサプライズという物ですわ!」
「御二人共、落ち着き下され。」
そう、いい加減に皆で姓を決めたのだ。
その時に皆で誓う。
私達は何度生まれ変わろうが貴方の貴女の物である。
それは、その思いは『永遠』である。
『そうです、彼と私はいくつもの時を過ごして来ました。大変に充実した毎日でございました。そして、それは新婦になるルイス嬢とは濃密さの違う毎日でした。』
歩く。
その赤い絨毯の上を白を纏っている俺が。
『そうです、彼との事は、友情は!私は生涯忘れる事は無いでしょう!』
ノモスのスピーチが終わる頃には俺は舞台へと上がる。
三段の階段を登りきると振り返り礼をする。
「「「パチパチパチ!!!」」」
拍手が大きくなる。
流石ノモス、分かっているじゃあないか。
深々とお辞儀をした俺に拍手の雨が降り注ぐ。
それが治まって来るとノモスの声が響く。
『皆様、『アリステリア様』に導かれし、運命の二人、その出会いは今日の為にあったのです。では、静粛に・・・。』
静まりゆく式場。
『新婦、ルイス・フォン・エターナル・・・入場。』
カツ・・・コツ・・・
ここで神殿に設置してあるパイプオルガンが曲を奏でる。
この世界の曲で「祝福」を意味する曲を奏でているはずだ。
ドアが開き、ドリュカス様を先頭にその手にルイスがつかまり・・・その後をアリスとクーデリカが長いヴェールを持ちゆっくりと歩き出す。
そして、先頭にリズ、ベス、マオが籠を持ち、その中に入っている花弁を撒きながら俺の方へ。
その赤い絨毯のヴァージンロードを進んで来る。
ゆっくりと、だが、確実に俺の方へ向かって歩いて来る。
「美しい、何ですの?あのドレスは!」
「意匠が・・・あんな意匠は見た事が無いわ!」
「綺麗、羨ましいですわぁ・・・。」
「何処の仕立て屋の物なのかしら?」
「可愛らしい・・・素晴らしい演出ですわ!」
「花弁が・・・綺麗ですのね。」
出席して下さっている女性達の羨望の眼差しを受け、ルイスが歩いて来る。
頭にかかっているヴェールでルイスの表情は伺う事が出来ない。
「ルイスさんー!」
長すぎた、その間にどんなにか君を不安にした。
「ルイスさん、綺麗ですよ!」
ルイス、待たせちゃったね。
「ええで、ルイス!」
君は俺で良かったのかい?
「ルイス殿!」
ノモスは運命と言ってくれた。
「ルイス殿、格好良いですぞ!」
『アリステリア様』、良いんですよね?
今はこの運命の流れに身をゆだねよう。
そしてドリュカス様とルイスが目の前に来ると、リズ達三人はゲストに向けて御辞儀をして指定されている席へと戻る。
ヴェールガールである二人はまだ大切な役目があるからね。
ありがとう、三人共。
【・・・。】
あの日を、初めて爺さんに父親だと、そう言ったあの日を思い出す。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「なんじゃ、改まってどうした、あんちゃん、ルイスちゃん?」
【爺さんに頼みたい事があるんだ、その・・・式の時に、お、俺達の父親役を頼みたい。】
「それは構わんが・・・なんじゃ、藪から棒に?」
【俺達には父親がいないのは知っての通りだ。でもな、お、俺はドリュカス様がそうだったらいいなと・・・思っているんだ。】
「あんちゃん、嬉しい事を・・・言いよるなぁ。」
【当然だが、ルイスもそう思っている。】
「はい、ドリュカス様。これはドリュカス様だからこそ、お願いしたい事なんです。」
「二人共・・・感謝するぞ。こんな老骨に・・・。」
【それで、こういう役割なんだけど、頼めるか?】
「任せい、その役割を全うしよう!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あの時の事は生涯忘れないだろう。
思い出すと顔から火が出そうだ。
そして、ついに二人が、アリスとクーデリカを入れると四人が舞台に着く。
ドリュカス様が組まれているルイスの左手を解くと、ルイスが右手を壇上の俺の方へ差し出す。
そのまま、三つの壇をゆっくりと昇るルイス。
ルイスの伸ばされた手を取る。
そしてドリュカス様はその背中を見送り、役目が終わるとゲストに一礼して指定の席へ戻って行く。
ドリュカス様、ありがとうございます。
「父親から、他の男に後を頼まれる演出とは・・・感慨深いですわね。」
「マリーナ、思い出しているのか?」
「でも、後悔はないわ。今この瞬間に私達は幸せなのよ、レガイア一世様。」
ルイスの手を取り、壇上へと導く。
そして二人で神父役の女性の方へと向かう。
そう言えば、神父さんって言うぐらいなんだから女性がしているのは無かったような気がするなぁ。
まあ、異世界だしね。
イリーナ様が法王になる世界だからなぁ。
そして二人が前に並ぶとその女性が声を上げる。
『汝、ヘファイストス・フォン・エターナル。』
(ん?聞いた事があるような声だな・・・いやいや、集中しろ。)
【はい!】
『汝、病める時も健やかなる時も、この女性「ルイス・フォン・エターナル」を妻として生涯愛し続ける事を誓いますか?』
【はい、誓います。】
「「「おぉ・・・。」」」
ここのセリフは俺の頼んだ通りだ。
この世界では「結婚しましょう。」、「はい、貴方。」で、終わってしまう為だ。
折角の思い出なんだからね。
味気ないのは嫌だった。
それに御約束だからね。
『それでは新婦、汝、病める時も健やかなる時も「ヘファイストス・フォン・エターナル」を夫として生涯愛し続ける事を誓いますか?』
「・・・ゴクリ。」
緊張のあまり、誰かが唾を飲む。
その静けさの中、はっきりと答えてくれる。
「はい、誓います。」
「「「うおおおぉぉぉ・・・。」」」
「「「パチパチパチ・・・!!!」」」
「凄い拍手です、これが、これがヘファ君の言っていたー?」
「こ、これが結婚式!?」
「あ、ああ・・・旦那様・・・このような事をお考えだったのか!?」
「坊ちゃん、ウチらにも・・・これを?」
「主君、我らの思いは一つに!」
その歓声は少しの間、治まらなかった。
『皆様、御静粛にお願い致します。』
丁度良い所でノモスが制止の声を掛ける。
これ以上があるのかと式場が静まって行く。
『それでは、二人の結婚指輪の交換を。』
女性神父さんがそう言うと俺の方へバウマンさんが、ルイスの方へファリスさんが指輪を持って来てくれた。
バウマンさんが高くその指輪を掲げる。
俺の渾身の指輪の評価はいかがだろうか。
「何て美しいのかしら・・・。」
「あの輝きは何の宝石ですの!?」
「まさに永遠に輝いて二人の行く道を照らしてくれそうね!」
「素晴らしいわ・・・。」
女性の意見ばかりだ。
怖い事を思いついてしまった。
このレベルの式を女性達が知ってしまったら?
・・・旦那様方、頑張って下さいね。
『では、指輪の交換を・・・新郎、ヘファイストス・フォン・エターナル。』
【はい。】
「「「おおおっ」」」
「「「はあぁぁ・・・。」」」
指輪を受け取るとルイスの左手の薬指にゆっくりと通して行く。
『新婦、ルイス・フォン・エターナル。』
「はい。」
同じように指輪を受け取り、ルイスが俺の左手の薬指に通してくれる。
『それでは・・・永遠なる事を願い「誓の口付け」を。』
「く、口付け!?」
「げ、猊下、しっかりなさいませ!」
・・・何かがあったようだ。
気にせずトライ。
ここでヴェールを取る。
そのヴェールをアリスとクーが回収して行く。
その必死な姿に思わず微笑みが出る。
ふふ、後で褒めてあげないとね。
あれ?
ルイス・・・泣いて・・・いるの?
「やっと、やっとこの時を迎えるのね。さあ、貴方の物にして頂戴。」
その泣いている笑顔を見て。
「ルイス・・・愛しい人。」
そう答え、抱き寄せ、キスをする。
『これで、婚姻はなされました!皆様、盛大な拍手をお願い致します!』
「「「パチパチパチ!!!」」」
「「「うおおおぉぉぉ!!!」」」
「ルイスちゃん、ヘファ君おめでとう!」
「『アリステリア様』、このめでたき日に幸あらん事を。」
「あんちゃん、おめでとう。」
「お爺様、結婚式とは素晴らしい物なのでございますね。」
「うむ、良い勉強になったな、ザイード。」
「はい、私もこのような式が出来る様に頑張ります!」
「なんて素敵なのかしら・・・。」
「何時か私も!」
「リーゼ、声に出ていてよ?」
「御二人共、このめでたき日に喧嘩はいけませんぞ?」
「っく・・・。」
「涙とは!陛下、いかがなされましたか!?」
「パトリオティス、セリスが、セリスがもらわれる時にも、この「式」と同じ事が・・・っく。」
「はい、陛下。まずは涙をお拭きに・・・しかし、さぞかし美しゅうございましょうな、姫様は。」
「口付け・・・口付け・・・。」
「猊下!?猊下、気をしっかりとお持ち下さい!」
「ふむ、口付けだけでこれではな・・・。」
「先が思い悩まれる。」
「ジン老師、久しぶりに良い物を見ましたな。」
「そうじゃな、だが、これも商売になるぞ。」
「左様ですな、若い者は新しいもの好きでございますからな。」
「うむ・・・すぐに検討せよ。」
「承知!」
「ババ様、「結婚式」とやらは見たぞ。」
「ええ、素晴らしき「式」でございました!」
「「・・・。」」
「帰ったら報告しよう。」
「ええ、素晴らしい物であったと!」
「シュタイア・・・「結婚式」とはこのような物なのか?」
「閣下、この「結婚式」は私の知っている物ではございません。」
「っふ、分かっているぞ。羨んでいるのであろう、あの嫁であるルイスの事を。」
「か、閣下!」
「フハハハ!めでたい日なのだ、戯言よ。許せよ、シュタイア?」
「は、ははっ!」
『母上、終わったようですぞ?』
『うむ、この後よ。』
『後でございますか?』
『そうだ、この後にある物こそ、友の心配りよ。』
『は、はあ・・・。』
「これでアーサーの結婚式は終わったのですね。」
「ノモスの旦那達がなんかやっているぞ?」
「落ち着けないと駄目なんさ~。」
「ノモス様が拡張機の方へ行きましたわよ?」
「ヘファイストスさんがアーサーの兄貴で?」
「まだやっていましたの、ディアナ!?」
『祝宴の熱気の冷めぬ中、新郎新婦より食事の用意がございます。皆様方におかれましては、席にお戻り下さいますように、お願いを申し上げます。』
俺達の方へゲストが流れてくる前にノモスの声掛けで席に戻って行く。
さて、出番だぜ!
頑張ってくれよな!
ノモスに頼むと女給さん達が、俺から木箱で作ってある鰻重の弁当を受け取り、ゲストへ配って行く。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「中が終わったようだね!出番だよ!お前さん達!」
「「「はーい!」」」
こちらでは、おむすびとすき焼きを器に盛った物を配ってもらう。
「新郎、新婦である、エターナル家より、お食事の振る舞いでございます!」
「「祝いの膳」でございます!お食べになって行って下さいませー!」
「どうぞ、お召し上がりを!」
「エターナル家の祝いでございます!」
「小僧、やり遂げたか。こっちは任せておきな!さあ、失礼の無い様に配るよ、お前達!」
「「「はい、女将さん!!!」」」
「え、飯が食えるのか?まだ昼だぞ。」
「縁起ものです、是非、食べて行って下さい!」
「頂こう。姉ちゃん、一つ貰えるかい?」
「ありがとうございます!どうぞ。」
「こっちにも一つくれ!」
「今行きますね!」
「家族の物も貰っていいのか?」
「祝いの物です、是非持って行って下さい。」
「うめえ・・・しかも温かい。」
「エターナル家の祝いの膳でございます!」
「これは、何て料理だい?」
「すき焼きと言う料理だそうです。」
「美味い!」
「美味しいですわ!」
「紅玉様からの祝いの膳でございます!」
「こ、子供の分もいいのかしら?」
「是非、お持ちになって下さいー!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
式場の中でもその騒ぎは収まらない。
「これは鰻ではないか!」
「え、あの鰻ですの?」
「マリーナ、まずは食べてみるがよい。」
「まあ、ヘファ君の料理ですしね・・・モグモグ・・・お、美味しい!?これがあの鰻なのっ!?」
「父上、鰻とはこんなにも美味しい物なのですね。」
「そうだ、ヘファイストス殿が作るとどんな物でもそうだ、美味くなる!」
「しかも、暖かいのう。」
「ええ、彼の心遣いが分かりますな、父上。」
「レガイア、デザートはプリンらしいぞ?」
「本当でございますか!」
「お爺様、私も楽しみでございます!」
「モグモグ・・・やはり、美味しいですわね。」
「モグモグ・・・前回の物より鰻が多いようですわ、御姉様。」
「モグモグ、姫様達はこんなに美味い物を食べていたのでございますか?」
「そうよ、ヘファイストス様、相変わらず素晴らしいですわ・・・。」
「ごくっ・・・ふう、美味しいですわ。これは静かにならざるを得ませんわね。」
「そう言えば、式場が静かでございますな。」
「パトリオティス、どうだ?」
「これは急いで食うのは惜しいですな。」
「そうであろう?」
「陛下、そう言えば病は?」
「息子の料理では出ないのだ。」
「それで料理人達が・・・なるほど、しかし・・・美味すぎる。」
「相変わらず、美味しいのですね。」
「猊下、落ち着いておられますな。」
「この鰻は良い、前回よりもたくさん食べれるのが良い。」
「左様ですわね、モグモグ・・・美味しい物を食べると心が癒されますわ。」
「ええ、そうね、ですが美味しい物は静かに食べるのがマナーですわよ?」
「この味、再現は可能だと思うか?」
「レシピを頂ければ可能かと・・・しかし、美味い。」
「後で頼んでみよう。」
「この料理のレシピですぞ?いくらを掲示される事やら。」
「なあに、かの御仁の事だ、そのような事はされないじゃろう。」
「翁、何か考えが?」
「口の中が幸せでございます。」
「まさに、まさに!」
「鰻、また食べられるとは思いも致しませんでした。」
「美味しい、これはババ様にも食べさせたかった。」
「「またの機会があれば、是非に食べさせてあげたい!」」
「シュタイア、紅蓮は我が国に嫁に来るのが良いのだ。」
「閣下、それは断られたはずでは?」
「我は諦めぬぞ?」
「しかし・・・美味しいですわね。」
「そうだ、紅蓮の料理は美味いだけでは無いぞ?」
「そうですね、心が暖かくなります。」
「分かって来たではないか、帰りにも声を掛けよう。」
「そ、その時は是非に!」
「シュタイア、必死だな。」
「アーサーの鰻とは、相も変わらず美味しいですね。」
「なあ、相棒。ヘファイストス殿で呼ばねえのかよ?」
「僕達にとって、アーサーはアーサーですからね。」
「そうなんさ、アーサー君はアーサー君なんさ~。」
「左様ですわ!・・・モグモグ・・・美味しいですわね。」
「な、なあ、ラフィアの姉さん、お代わりは・・・はい済みません。」
こうして結婚式は無事に終わり、大盛況でその幕を閉じた。
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます。
まずは、いつものから!
評価、イイネ、ブックマーク等々。
皆様の応援が、拙者のパゥワァ~!
感謝しかございません。
今話は厳しかったです。
登場人物が勢ぞろい。
細かい点など、色々と見直す事になりそう。
さて、次話でルイスとの結婚式が終わりそうです。
それでは、次話 見送り(仮 で、お会い致しましょう。
御疲れ様でした!