それぞれのドレス
いつも読んで下さる皆様方、お待たせいたしました。
また、初めての方々も、おはようございます!
今回は難産でした。
頑張りましたので御読みして頂けると幸いです。
宿屋を後にすると皆で商業ギルドへと向かう。
もちろん、明日の本番を飾る皆のドレスを作る為だ。
受付に行くとアリシアさんがいた。
【こんにちは、アリシアさん。】
「「「こんにちはー!」」」
未成年組は元気が良いのでアリシアさんが驚いている。
「こ、こんにちは。ようこそ商業ギルドへ。」
【大勢で押しかけちゃって申し訳ありません、服を作りに来ました、裁縫部屋は空いていますか?】
「少々お待ち下さいね、すぐにお調べいたします。」
「お兄さん、ここで作るのね・・・ドレスなんか着れると思っていなかったわ。」
「そうですね、リズ姉・・・私達が着ても・・・良い物なのでしょうか・・・?」
「ヘファさんが作ってくれるですから、大切にしないと!」
「ヘファ兄ちゃんが作ってくれる服は格好良いの!」
「ドレスなのです!・・・ドレスって何ですか?」
「大丈夫のようです、ヘファイストス様。」
【じゃあ、借りるね。】
「はい、では右手の裁縫室二番へどうぞ。」
【ありがとう、アリシアさん。】
「あ、ヘファイストス様。少々よろしいですか?」
【何でしょうか?】
「申し訳ありません、ドレスと言う物を買おうとしたのですが、あのドワーフに進められまして・・・。」
「「【あのドワーフ?】」」
「ミカ様の事です。」
「「【ああ!】」」
「私のドレスもお作り頂けませんか?もちろん仕立て代金は払います・・・いかがでしょうか?」
【助手が採寸致しますので大丈夫ですよ。ついでとはなりますがお作り致しましょう。何か要望はありますか?】
「故郷を思い出すので鈴蘭の刺繍などがあれば嬉しいです。」
【かしこまりました、では仕事の休憩時間にでも部屋に来て頂けますか?】
「では、後程伺いますね。」
【お待ちしております。】
アリシアさんと約束をすると皆で部屋に移動する。
大人数だったので、サーラに未成年組の採寸をしてもらっている間に成年組のドレスを作る。
「皆の物はどうなるのかしらね、楽しみだわ。」
「ヘファ君が作ってくれるなら、喜んで着させて頂きましょうー!」
「ヘファイストス様の新作を着れるなんて・・・嬉しすぎます!」
「だ、旦那様が作ってくれるのだ!ありがたく頂こうではないか!」
「セリスやぁ、照れなくてもええんやで?」
「フェイ殿、そこがセリスの魅力でもあるのですよ。」
「ねえ、貴方。レヴィアさんとアセディアさんの物は作らないのかしら?」
【もちろん作るよ。あの二人は寸法が同じなんだよね。】
「そうなのね、良い物を作ってあげてね。」
【もちろんだよ、ルイス。】
そう言うと皆の分のドレスを作っていく。
まずはナナリーから。
さて、準礼装でいいだろう。
そうだ、色の事を聞いておこう。
皆と話をすると結婚式の時は新郎新婦ともに『白』、招待客は花嫁よりも目立たないドレスとの事だった。
女性を赤にするのは式典、特に戦勝式などの時だけだと言う。
聞いておいてよかった。
とは言っても、代表的には『セレモニースーツ』、『カクテルドレス』と呼ばれる物だろうか?
昼間に行うのだからイブニングドレス等は考えから外す。
季節は秋なんだけど、ナナリーには更に胸を強調するように、薄い黄色い薔薇の飾りを付ける。
フラワーデザインの刺繍が華やかでエレガントな印象を与えるの髪の色と同じような水色のドレス。
「綺麗ですね・・・髪の色と合ってとても良いですよ、ナナリーさん。」
「うむ、素晴らしい物だ。わ、私も・・・。」
「セリスや、安心しな。坊ちゃんが見て作ってくれるんやからなぁ。」
うん、良い感じだね。
次はサーラ。
前後2WAYで着られる柔らかな生地のブラウスと、上品な光沢が美しいライトグレーのレースドレス。
身長のある彼女には着こなせると思い、服自体はアイスグレーは明るめのグレーカラーでセットアップ。
着こなし次第で華やかな印象を与え、控えめ。
洗練された印象を与えつつ柔らかい雰囲気もある。
「ふあっ、とても素敵です、ヘファイストス様・・・。」
「サーラさん、凄く似合いますねー。」
「そうやなぁ、サーラは何を着ても似合うなぁ。」
うん、良い感じだ。
次はセリス。
表情のあるチュールにこだわりのあるモダンな印象の花刺繍を施したミントグリーンのドレスを作る。
セリスの物はあえて胸元を隠すまでの布地にする。
首から肩、手首までを刺繍で軽やかなレースのハイネックがポイントのドレスにした。
「ド、ドレス等は普段は着ないのだが・・・旦那様の作ってくれたものだ、大切にしようではないか。」
【ああ、似合うよ、セリス。】
「溜息が出ますね・・・。」
「セリス、素直におなりや、綺麗やで。」
好評のようだ。
次はフェイの物を。
フェイの物はナナリーより大胆に胸元を開け、足も露出しているセクシーなVネックドレスのワンピースを作った。
その胸を、足を、隠せていないけど隠している。
こうして見ると、フェイもセクシーな服が似合う。
そんな大胆なドレスに仕上げた。
「ぼ、坊ちゃん・・・攻めすぎやないかい?」
【和装も考えたんだけど、フェイには洋装も似合うと思って仕立てたよ!】
「フェイ姉、綺麗ですよ。」
「ヘファイストス様の新着のドレスが着られるなんて・・・最高の贅沢ですよ!」
「そうだぞ、旦那様が仕立てて下さったのだ。間違いはない。」
成年組の最後は、クレアだ。
モーヴピンクは少しくすんだピンク色の事だ。
大人っぽい雰囲気で甘すぎず、上品に着こなせるカラードレスを作る。
ややハリのあるチュール地に小花柄の刺繍が散りばめられたドレスにしてみた。
「このような物が着れるとはな・・・主君に最大の感謝を。」
「クレア、その色も似合うではないか。」
「素敵です、クレアさん。」
それぞれが見ていて美しい等と褒めてくれる。
作った甲斐がありますな。
靴までをワンセットとして作り上げた。
コンコンッ
ドアがノックされるとリズ達がその隙間から顔を出す。
「皆さん、素敵ですね・・・。」
「今度は・・・私達の番・・・。」
「そうですよ!ヘファさん、期待しちゃいますよ!」
「ヘファ兄ちゃん、凄い。皆のドレスを作っちゃうなんて・・・。」
「アリス達もかっこよくなるのです!」
【それじゃあ、交代しようか。着替えがあるからちょっと待っててね。】
「「「はーい!」」」
着替えが終わると未成年組の番だ。
着替えたドレスはしわにならないようにバックパック様へ入れておく。
女の子の服装では、ドレスやワンピースが最も格が高いとされ、次に『アンサンブル』、そして『ツーピース』となる。
ツーピースは2つに分かれる事から縁起があまりよくないといわれる事もある。
だが、そこまで気にしなくても大丈夫だろう。
色はパステル系の明るく優しい雰囲気のものを選び、式に愛らしい花を添えるようにする。
秋だから黄みを帯びた色が似合うイエローベースという特徴があったと思う。
それらに加え、『低、中明度』もしくは、『高彩度の色』がいいだろう。
パステルカラーを身につけると、軽すぎて浮いてしまったり、寂しげで地味な印象にはならないように注意だ。
とは言え、リズも、もう十四歳。
大人と同じようなドレスを着てみたい年頃に違いない。
・・・自身が無かったのでリズに確認すると、どうやら大人びたドレスを御所望らしい。
リズには薄い薄緑色の絹布で作り、白のレースをあしらったドレスを作る。
スパンコールを散りばめたレースの上半身。
ウエストにはビジューをあしらって、ギャザーをたっぷりと寄せたスカートが特徴だな。
うん、王道と呼ぶにふさわしい出来ではないだろうか?
リズが細いからか下半身のボリュームが気になったのでパニエを履いてもらった。
「ふふっ、どうかしら、お兄さん?ルイス姉?」
【うん、似合っているよ、リズベット。】
「いいわね、リズベット・・・リズ・・・ううっ・・・。」
「もう!ルイス姉は泣かないの!ありがとう!お兄さん。」
「リズさんも大人の雰囲気が出て来ましたね。」
「サーラ、負けんようになぁ?」
「だ、大丈夫です!何を言っているんだか、フェイさんは・・・。」
【次はベアトリクス、行こうか。】
ベスにはネイビーの物をチョイス。
可愛いより大人向けと言った感じのドレスを作った。
コンパクトな身頃にロングスカートで縦長シルエットを強調する。
今までとは違った印象にしてみたかったからだ。
ベスの可愛さを前面に押し出したようなドレスを作り上げた。
ルイスが手伝って着替えさせると思ったよりスタイルが良かった。
・・・サイズが心配だからだ!
それ以外のなにものでもない!
本当だからね!
ベスは、このドレスを着れば大丈夫だろう。
「ルイス姉・・・似合ってますか・・・?」
「ええ、ええ、ベアトリクス。良い物を作ってもらえたわね。」
「ヘファさんのだから・・・心配はしていない・・・です。」
【それは何よりでございます、ベアトリクス様。】
「ベスちゃんでけたかー!うん、可愛ええの作ってもらおうたな!」
「フェイ姉・・・くるし・・・。」
うん、平和のようだ。
で、マオのドレス。
リズと色違いのドレスを作る。
パウダーブルーに染めた布生地から仕立てる。
出来上がると、同じようにルイスが着替えさせる。
「リズ姉と同じです!嬉しいです!」
「もう、暴れちゃ駄目よ、マオ。」
「ヘファさん、ルイス姉、ありがとうございます!」
「マオちゃんは、身体が大人だから綺麗やなぁ。」
「そうですね・・・でも、まだ可愛いですよー。」
そう言ってナナリーが抱きかかえるとマオはとても嬉しそうだった。
そして問題の二人。
クーデリカとアリスだ。
ヴェールガールをさせるので二人共淡いピンクにしておこう。
そして型の同じものを二着作る。
レース生地を贅沢に使い、上品な印象に仕立てる。
華やかさを演出しながらもレディーな印象はそのままに。
令嬢テイストのアンティークドレスっぽく仕上げる。
出来上がると、同じようにルイスが手伝って着替えさせる。
「アリス殿、出来たか!」
一番にセリスが飛んで来た、抱き上げる。
「セリスちゃん、アリスは可愛いですか?」
「うむ、可愛くて食べたくなるほどだぞ!」
「クーちゃん、こっちおいでえ。」
「はい、フェイ姉様。」
「どや、可愛いやろ?」
「そうですね、ヘファ君は魅力を引き出す服を作るのがお上手ですー。」
【クーデリカ、可愛いよ。もちろん、アリスもだけどね。】
「嬉しいです、兄様・・・。」
「ヘファさん、ありがとうなのです!」
二人の頭をグリグリ撫でると満足そうな顔をしてくれた。
皆のドレスも脱いでもらってバックパック様にしまう。
後はディアナだけど・・・いや、ノモスの奥さんの下着もだ。
ディアナのサイズでドレスを作るとルイスとセリスに届けてもらう様に頼んでおく。
【サーラ、採寸をお願い出来ますか?】
「構いませんが、どちらの方ですか?」
【入り口からこちらを見ている人だ。】
「入り口から?あ!アリシアさん、お待ちしておりました!」
【そのまま別室に連れて行って採寸をお願いします。彼女のイメージは出来ておりますので。】
「かしこまりました、ヘファ師匠。」
しばらくすると採寸の終わった二人が部屋に入って来る。
この人は『アリステリア様』のイメージが重なってしまうんだよね。
絹布を加工し白を基調に少し若草色のワンピースドレスを作る。
刺繍は少し碧味がかった下地に白の鈴蘭の花を。
出来上がったドレスの大きく空いた肩にレースでやはり鈴蘭の意匠を入れる。
そのドレスを見て女性陣から声が上がる。
「素晴らしいです・・・アリシアさん、とても綺麗ですよー。」
「ええ、素晴らしいです。ため息が出ますよね・・・。」
「ええなぁ、坊ちゃんの見立てでドレスなんて、最高すぎるやないか?」
「フェイ殿、それは我々皆もそうであるぞ?」
そんな事を言っているとドレスアップされ、顔を赤くした本人からお礼の言葉が出る。
「み、皆様、ありがとうございます。」
エルフの女性の服を作ったのは初めてだが、上手く行ったのではないだろうか?
アセディアとレヴィアさんのドレスも作る。
二人のはお揃いで良いよね?
・・・さてと、全員のドレスは作り終わったよね?
問題はこれからなんだよね。
【サーラ、もう二人分の採寸をお願い出来ますか?】
「もう二人分ですか?構いませんがどちらの方々でしょうか?」
【ノモスの奥さん、二人だ。】
「かしこまりました。これから向かうのですか?」
【うん、裁縫キットは持っているし、材料もあるからね。】
「分かりました、ヘファ師匠。」
「では、旦那様、我らは服を届け、宿に戻ります。ノモス侯爵にはくれぐれもよろしくお願い致しますよ?」
【うん、こちらの事はお願いね、セリス、クレア。では、行きましょうか、サーラ。】
「はい、ヘファ師匠。」
そう言う事でゲートを出しノモス邸に向かう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ゲートを潜りノモスの家の前へ。
「うはー・・・大きいですねー・・・。」
【大きいだろう?】
「ヘファイストス様、入り口らしきところにバウマンさんがいらっしゃいますよ?」
【本当だ、珍しい・・・何かあったとみるべきかな。】
「止めて下さいよ、式は明日なんですからね?」
【とりあえず行こう。】
「かしこまりましたー。」
二人で入り口に向かうとそれに気付いたバウマンさんが走り寄って来る。
「アーサー様、御待ちしておりました。サーラ嬢まで、有難く。」
【こんばんは、バウマンさん・・・何かあったの?】
「それがですな。奥方様方が下着はまだかと会頭に・・・。」
【ええ、その件でまいりました。】
「アーサー様、有難く、早速ですが会頭を助けては頂けませんか?」
【助けるって・・・下着を作れば良いのかな?】
「ええ、お早くお願い致します。」
【かしこまりました、バウマンさん。】
「・・・。」
【どうしました、サーラ?】
「うーん、ヘファ師匠・・・嫌な予感がします。」
【それってどう言う事なの?】
「ノモス様の奥様方の「待っている」と言われている時間が限界なのではないかと。」
【良く分からんが急ごう。】
「はい!」
ノモスの家の玄関を潜ると、ちょっと声を荒げた女性が二人いる事が分かる。
いつもの執務室に行くと、取り巻きがいてノモスに意見と言うか、誰それの下着が先だとか文句を言っているようだった。
流石のノモスもお手上げのようで数人の女性に挟まれて小さくなっていた。
そんなノモスが俺を視界に収めると、安堵の表情を見せる。
「アーサー、来てくれたか。」
何かやつれていますね、ノモスさん。
そして一斉に俺に注がれる視線。
アラビアンなイメージの女性が八人。
その中でも特に派手に着飾っている方が二人。
その二人から声がかかる。
「「貴方様がアーサー様なのですわね?あの下着と言う物を作って下さると言う。」」
「こ、これで許してくれるかな、二人共。約束はしているんだよ。アーサーが手いっぱいだったと言う事も分かってほしい。」
「ええ、それでは早速ですが、お作りになって頂きましょう。」
「アーサー様、今宵はよろしくお願い致しますわね。シィンヴォレオ・フォン・ノモスの第一婦人で、セリーヌと申しますわ。」
にこやかに握手をして来る。
「まあ、先に第一を名乗るとは!アーサー様、私こそ第一婦人でございます。カーチェと申しますわ。」
ずずいっと進み出て握手して来る。
【お招きに預かり、大変恐縮しております。アーサーは仮の名前でございまして、本名は「ヘファイストス」と申し上げます。】
「弟子のサーラでございます。」
「この方のお弟子さんになれるなんて・・・羨ましいですわね。」
「そうね、何千、何万人の人がその隣を狙っていらっしゃる事かしら?」
うわあ・・・そう言えば、俺は紅玉なんだよねぇ。
サーラも苦笑いをして聞いている。
【では奥様方、早速お作り致しますので、空いている部屋をお借り出来ますでしょうか?】
「ええ、ミモザ。すぐにお通しして頂戴。」
「すぐにね。」
「かしこまりました、セリーヌ様、カーチェ様。」
そう言われると、ミモザと呼ばれたメイドさんに上の階の部屋へと案内される。
ノモスの方を見るとぐったりとしていた。
遅くなってごめん、ノモス。
でも、勝手に約束をした事は忘れないぞ!
部屋を潜ると・・・やっぱりだ。
流石の大貴族様。
傷でも付けたら大変だぞ。
そんな豪奢な家具のある部屋へと通される。
だが家具か置いてあっても十二分な広さがある。
「ヘファイストス様、私、セリーヌからお作りに」
「待ちなさい!ヘファイストス様、わ・た・く・し、カーチェから作って頂けますわよね?」
【では、お二人を待たせる訳にはまいりませんね、同時にお作り致します。】
「「ど、同時に!?」」
【はい・・・サーラ、御二人の採寸をしてくれるかな?ミモザさん、別室へ二人をお通しして下さいますか?】
「かしこまりました、ヘファイストス様。」
そう言うとドアの立て付けてある、隣りだろう部屋へと案内される。
「では、お任せ下さい、ヘファ師匠。」
案内されると二人が部屋の扉を潜る。
そしてサーラが入り、ミモザさんが扉を閉めると取り巻きの女性六名と俺が取り残される。
何故だ?
・・・皆様の視線が痛いんだけれど?
「ヘファイストス様、その、私達にもお作り頂けません事?」
「左様でございます!是非、その下着なる物を!」
「私達にも、お作り下さいませ!」
【皆様方、申し訳ありませんが、俺は明日結婚式なので機会があればと言う事しか御約束が出来ません。】
「ああん、残念ですわ!」
「羨ましくてよ!」
「では、何時かあの素晴らしい下着なる物を作って下さいませ!」
【何時か、としか御約束は出来ませんが・・・。】
取り巻きの人達の物まで作るとなるとそれなりに時間がかかる。
結婚式前夜に嫁を放置しておきたくはない。
俺にだってやりたい事はある。
ルイスとイチャイチャするんだい!
そんな事を考えていたらサーラが部屋に入って来た。
「ヘファ師匠、こちらがセリーヌ様の物です。で、こちらがカーチェ様の物です。」
サーラが採寸の終わったメモを渡してくる。
【では、お作りしましょう。御二人は下履きの状態ですか?】
「はい・・・他の皆様もこちらへおいで下さい。ヘファ師匠が集中できるように移動をお願い致しますね。」
「「「分かりましたわ。」」」
残念そうにしながら六人も移動して行く。
サーラ、ありがとうね。
さて、気合を入れて作りますか!
ノモスは美乳好きだといつか言っていた事があったな。
オーソドックスな物からレースを使って凝った物までを十着ずつ作る。
初めて着ける所はサーラに任せよう。
メイドさんにも見せて着せる時の勉強をしてもらえばいいかな。
そして二時間ほどの時間で全てを作り上げる。
前にも言ったと思うがスキルの性能を使いこなせていないようなので、サーラの申し出は有難かった。
あーでもない、こーでもないとスキル様と一緒に考え作っていく。
作り終わるとサーラを呼んで二人に着替えをして頂く。
もちろん俺は他の部屋だ。
くたびれた気配を感じてそちらを見る。
ノモスがぐったりしていた。
もう出発だけど、大丈夫なんだろうかね?
ガチャリ
ドアの開く音が、ひときわ大きく感じた。
二人の奥様が満足げな顔をして部屋から出て来た。
おお、流石の美乳様方。
これで今回は満足して頂けると良いな。
俺の事でノモスの負担になるのは困る。
これが済めば、ノモスと奥様方を連れて王国に行くんだからね。
そして満足であろう顔をした女性が二人が、俺の側へとやって来る。
「ヘファイストス様、誠に感謝申し上げます。このような物とは・・・素晴らしくてよ。」
「ヘファイストス様に感謝を、見て下さいます、貴方。この美しい腰のラインを。」
「ああ、二人共美しくなった。アーサーのおかげだ、ありがとう。」
「「ありがとうございます。」」
取り巻きの奥様方の目が怖かったが流石に相手が悪いのだろう。
無理強いはしてこなかった。
さて、これでノモス達を送れば、ティアの所へ行けるね。
俺達はノモス夫婦の支度が終わるのを、ほっとしながら待っていた。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
まずは、いつものから!
評価、イイネ、ブックマーク等々。
大変にありがたく・・・皆様に感謝を!
それでは、次話 悪魔族との共生(仮 で、お会い致しましょう。
御疲れ様でした。