婚約指輪と結婚指輪
皆様、お待たせ致しました。
執筆が終わりましたのでUP致します。
お楽しみ頂けると、幸いでございます。
ルイスとナナリーを伴い、商業ギルドへと向かう。
御昼になるので途中で串焼きを買って食べながら移動する。
お行儀の悪い事だ。
全くけしからん!
・・・俺達の事だが。
ギルドに着くと細工部屋を借りる。
ダイヤモンドをカットしたり研磨できるのは専門の機械がある。
同じ硬度を持つダイヤモンドのカッティングをする機械と研磨する砥石である。
これは専門の業者しか持っていない。
借りられるのはここだけであろう。
鉱山での皆への御土産もここで削った物だ。
これはナナリーから聞いた事だ。
一般の細工屋は高額の専門道具を買っているのでむやみには貸し出しをしてくれないらしい。
なので、ギルドで借りるのが一番都合が良い。
細工部屋を借りる。
まずはダイヤモンドを削る。
ここで必須になるのがダイヤモンドを削れる鑢である。
小指の爪ぐらいあるダイヤモンドをセットしカットする。
もちろんだが人力である。
ゴリゴリゴリ・・・
その次にダイヤモンドの砥石で磨く。
ザリッザリッザリッ・・・
うん、記憶にあるダイヤモンドっぽくなって来たぞ。
「やだ、凄く綺麗!」
「ダイヤとは磨くとここまで綺麗になるのですねー・・・。」
ルイスのプラチナの結婚指輪に飾り付けてあるダイヤは多分だが0.5カラットぐらいのものろう。
この世界では設備の関係で大体の大きさにしか出来ない。
正確に測定した訳では無いが、大体の大きさは5.1mm程の大きさだ。
一般的には『4C』と言う価値基準があるらしい・・・。
専門知識は無いのでこの辺りにしておこう。
ルイスの結婚指輪を完成させると、前にルイスの渡した物と一緒のプラチナの指輪を作る。
こちらは飾りっ気のない指輪だ。
婚約者全員の分を作る。
婚約指輪としては十分なのではないだろうか?
こっちの世界での基準が分からないが・・・まあ、良いだろう。
しばらく俺の作業を見ていた二人がため息をつく。
「こんなに苦労しなければ綺麗にならないのね・・・。」
「ですね、ルイスさんが羨ましいですねー。」
【何を言っているんですか、ナナリー。指輪なら貴女にもあるんですよ?】
「え!私にもですかー!?」
【はい、これから作る物は、皆にも着けてもらうので大事にして下さいね?】
「でも、結婚式を挙げるのはルイスさんなのではー?」
【ルイスはもう俺の物です。絶対に放しません。でも、ナナリーや他の四人も放すつもりは無いんです。】
「その気持ちはとても嬉しいのですが、指輪は結婚式の時に頂ければよろしいのではー?」
【ナナリー、俺の地元では婚約した時にもお祝いをして指輪を贈るんだよ。】
「そうなのですかー?」
【ほら、見てごらん、ルイスの左手の薬指にも付いているでしょう?】
俺がそう言うとルイスがナナリーさんに見せる様に左手を上げる。
「本当ですね。では、婚約をした時にも指輪を頂けるのですかー?」
【そう、ナナリーが嫌じゃなければなのだけど・・・嫌かい?】
「・・・嫌じゃありません。本当は気付いてたんです、ルイスさんが特別だからなのかと思っていましたー。」
【ルイスだけじゃないよ?ナナリーや皆も特別なんだ。そんな事で俺の嫁さんの差別や区別はしないよ?】
「ヘファ君、ありがとう。大切に致しますねー・・・。」
【ナナリー、左手の薬指を・・・。】
「はい、私は貴方の物であると、証明する物を下さいー。」
そして作り上げたプラチナの指輪をナナリーの指へと通す。
【これで、ナナリーも俺の物だよ。】
「嬉しいです、ヘファ君・・・いえ、旦那様ー。」
【結婚式にはルイスのと同じの指輪を作るからね。】
「はい、それまではこれが、この指輪が私は貴方の物だと言う事ですね?ふふっ、特別な指輪・・・嬉しいですー。」
ナナリーはその指輪を見て嬉しそうに微笑んでいる。
出来上がったルイスの結婚指輪をバックパックにしまう。
無くさないようにしないとね。
後で渡す四人の婚約指輪もバックパックに入れておく。
こちらは後で彼女達の指にはめよう。
なんか嫌な予感がするぞ?
・・・念の為に予備を作っておこう。
皆が気に入ってくれると良いな。
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やるべき事はやったのでギルドを後にする。
二人が腕を組んでくれた。
えへへ、幸せです。
こんな日常がずっと続けばいいのにな。
帰り道なんかあっという間だった。
まだこの幸せに、幸福に包まれていたい。
だが、日常に戻る時は必ず来る。
皆の為に、俺は頑張りたい。
そう思い、いつもの宿屋の扉を潜る。
「「【ただいま、女将さん!】」」
「お、ルイスちゃん良い顔をしているね!」
「ええ、とっても楽しかったんです。」
そう言って女将さんに薬指にはまっているプラチナの指輪を見せる。
「ほう・・・ん?ナナリーちゃんも良い顔をしているじゃないかい?」
「はい、私はとても幸せですー。」
そう言うとナナリーは、薬指にはまった指輪を女将さんに見せる。
「小僧にしては気の利いた事をするじゃないか。」
【こんな指輪一つでは、俺の二人への愛情は分かって頂けないでしょうが、今出来る精一杯の事をさせて頂きました。】
「そんな事は無いわよ、だって作っている所を見たんだもの。」
「そうですよ、ヘファ君。こんなにも愛されているんだと、改めて思い知りましたよー?」
「まあ、良かったじゃないか二人共、折角小僧が作ったもんだからね、無くさないようにしな!」
「「はい!」」
女将さんの背中バシバシが来る。
いつもより痛かった。
皆で御飯を食べた後、サーラとセリス、フェイ、クレアの四人を部屋に呼んだ。
それぞれの左手の薬指にプラチナリングをはめる為だ。
「皆さんを集めてどうしたのですか?ヘファイストス様?」
【集まってくれてありがとう。それでね、皆に着けてもらいたい物があるんだ。】
「「「・・・。」」」
【遅くなっちゃったけど、指輪を作りましたので受け取ってほしい。】
「旦那様、それは嬉しいが、指輪の贈呈などは結婚の時だけの物ではないのですか?」
【俺のいた地域では婚約をする時にも指輪を贈る風習があってね。】
「ウチのところは結納と言うのがあったなぁ。持参金が多いと結婚に有利になったりなぁ。」
【この人は俺の物だ!と言う約束をする時の『婚約指輪』と言うんだ。貰ってくれるかな?まずは、サーラ。】
「こ、こ、こ、婚約指輪ですか、もちろん受け取ります!」
【緊張しないでいいからね、左手を・・・。】
「は、はい!」
ルイスとナナリーの見守る中で婚約指輪をはめて行く。
【どうかな、きつくないとは思うんだけど・・・。】
「ありがとうございます、ヘファイストス様!」
嬉しかったのだろうか?
サーラはうっとりと、その指輪を見つめている。
【次は、セリス。良いかな?】
「このような物が無くとも、私は旦那様の物だが、折角頂けるのだ・・・す、好きにすればよい。」
そう言って照れながら左手を差し出してくる。
【御転婆姫、もう、そのような事は言われないでしょう。これでセリスは俺の物です。】
「~~~!?」
何と表現をしたいのか分からなかったが、喜んでくれているようだ。
【次は、フェイ、貴女の番です。】
「坊ちゃん、嬉しいねぇ・・・。」
そう言っているが俯いてしまって表情は見えない。
【フェイ、左手を・・・。】
「あー、もう、こう言うのは駄目やで!こんな嬉しい事があるんやな、生きててよかったわぁ!」
フェイは泣いていた。
俯いていたのはそれを隠したかったのだろう。
喜んでくれているのなら、何よりだ。
【クレア、貴女の順番です。】
「主君、私の命を救ってくれただけでなく、このような事まで・・・。」
【貴女は絶望を知っている。ですがそれを乗り越えれば良い事も知っている。】
「はい、主君。」
【それ以上に幸せに致しますよ、約束です。】
「ありがとう、旦那様。」
皆は嬉しそうだった。
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その後、セリスと共に帝国へ。
ルイスとの結婚式の事を話しに行ったのだ。
「うむ、結婚式の件は分かった・・・だが、セリスよ、落ち着かんな?」
セリスが落ち着かないので、皇帝陛下が何かがあった事に気付いてしまった。
「父上、気が付きませぬか?」
「何をだ・・・まずは落ち着け。」
「こ、この、手、手がですな?」
「娘よ落ち着け・・・手とな?」
「はい、こ、この指がですな!」
皇帝陛下に見せつける様に薬指だけを立てて見せつける。
セリス、器用だな。
「ほう、指輪か、その輝きはまさか・・・プラチナか?」
「だ、旦那様の住んでおられた土地の風習がですな、婚約した時にも指輪を贈るとの事で、ご、ございましてですな!」
「本当か!よくやった、娘よ!」
「父上!」
ガシッとハグをする父娘。
うん、本当はそんなに喜んでくれていたんだね、セリス。
左手の薬指に輝く指輪を見て、皇帝陛下がめでたいと言って泣きだしてしまったのである。
そのセリスはスキップしながら後宮へと行ってしまった。
多分、義母上達にも見せて自慢するのかな?
その後、俺が皇帝陛下とトゥリトス兄上と共に酒を飲んだのは言うまでもない事だろう。
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それでは、次話 ティアとの約束(仮 で、お会い致しましょう!
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