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リズの思い

皆様、日曜の朝からおはようございます!

執筆が終わりましたのでUP致します。

お楽しみ頂ければ幸いでございます!

・・・ん?


違和感があり目を覚ました。

時刻は夜中のようだ。

おや?

足元のシーツがごそごそと動いている。

何時だったか、これは経験したな。


【サーラ、部屋には師匠がいるのですよ?】


その人物は構わず足元から顔の方に上って来る。


【サーラ、言う事を聞いてくれないかな?】


シーツを剥ぐと・・・ありゃ?

侵入者と目が合う。


【リズさんや、何をしているんだね?】


「お、お兄さんと・・・一緒に寝たいの・・・だ、駄目?」


【それは嬉しいんだけど、寝るだけだぞ?】


「うん、我慢するから・・・一緒に寝ても良い?」


我慢て、こっちのセリフなのだが。


【ああ、こっちへおいで。】


「は、はい!」


【俺がリズを拒絶する訳ないじゃないか。】


「嬉しい・・・お兄さん。」


喜んで隣に来ると胸に頭を付けてくる。

可愛い所があるじゃないか。

でも、リズと寝るのは初めてだね。


【珍しいじゃない、リズが俺の所へ来るなんて、何かあったの?】


「・・・お兄さん、いえ、ヘファイストスさん。」


俺を見つめるその顔は真面目だった。


【どうしたの、リズベット?】


「あのね、あのね・・・。」


【うん、落ち着こうか、リズベット。】


「お兄さんの顔を見たり、声を聞いているとね・・・。」


【お、おう。どした?】


「凄く安心するの!」


【それは嬉しいな。最近、リズ達と遊んだり話したりしてないから心配してたんだ。】


「それは、お兄さんが悪いと思う。」


【そっか、ごめんね、リズベット。でもね、嫌いだとかは絶対に無いからね?】


「うん、知ってるわ。」


【何せ忙しくてね。このままじゃあ、露店も出来やしない。】


「・・・ボソボソ。」


【どうしたんだい、リズベット?】


「贅沢になっちゃったのかな・・・私、あの頃に戻りたくないの・・・。」


【あの頃って、俺と出会う前の事?】


「うん、そう。もう、あの頃の生活なんて、ヘファイストスさんがいない生活なんて考えたくないの!」


そう言うとリズは俺の手をギュっと握って来た。

握った所が白くなるほど強く握って来る。


【リズベット、ちょっと手が痛いよ?】


「ご、ごめんなさい。でも怖いの、お兄さんが何処かに行くたびに怖くてしょうがないの!」


むう、皆に無理をさせすぎたのだろうか?


【良いかい、俺の大切なリズベット。】


「うん、ヘファイストスさん。」


キラキラとした目で俺を見てくる。


【君が心配してくれるのは嬉しい。でもね、帰って来ない事は無いよ?】


「でも、胸のもやもやが治まらないの!」


【リズベット・・・。】


抱き寄せる。

とても愛おしい物を触る様に優しく。


「んっ・・・。」


そしてそのおでこにキスをする。

視線を合わせるとルイスに言ったようにリズにも言う。


【リズベットとの約束は守らないとね?】


「ヘファイストス様・・・私には魅力がないの?」


【それは違うんだよ、リズベット。】


「どうしてそれ以上をしてくれないの?」


【約束しただろう、リズベット。俺を嘘つきにさせるつもりなの?】


「そ、そんな事は!」


【じゃあ、これでいいかな?】


「・・・うん・・・お、お願いがあるの。」


【どんなお願いかな?】


「出かける時、ルイス姉と同じく、私にもお呪いをさせてくれる?」


あら、見てたのね?


【ルイスみたいには出来ないけれど、いいのかな?】


「う、うん、少しでもお兄さんと・・・ルイス姉と一緒が良いの!」


【なら、改めて約束を、リズベット。】


「はい、お兄さん!」


【君が成年したのなら、妻に迎える事を検討するよ。君は、ルイスを説得してね。】


「・・・うん、分かっているわ!大好き、ヘファイストス様!」


ギュっと抱き着いて来る。


【じゃあ、今日は寂しくないように、このまま寝てあげよう。】


「嬉しい・・・ありがとう、お兄さん。」


その宝物を強く抱きしめると気になる事を聞いてみた。


【そう言えば、リズベット。君がレヴィアさんに乗り移られた時の記憶はあるのかな?】


「うん・・・あるわ。で、でも!レヴィアさんを怒らないで!」


【取引をされたんだね?】


「そう・・・こんな意気地なしな私は嫌いになったかしら?」


【意気地なし?そんな事は無いよ。ただ、リズ達に心配を掛けちゃってたんだなと思ってね。】


「そうよ!心配させないでよね・・・。」


【それで、約束の内容は何かな?】


「そ、それはお兄さんにも言えない事なの・・・。」


【残念だな、でも、何時かは聞かせてくれるのかな?】


「ヘ、ヘファイストスさんがお婿さんになったら教えるわ・・・。」


【そっか、それを聞くまでは頑張らないとな。】


「そうよ!が、頑張って頂戴よね!」


そう言ってむくれているリズベットを胸に抱きよせる。


【今のところは、これで勘弁してね。俺も犯罪者にはなりたくない。】


「・・・我慢してくれてるの?」


【そう、暴れん坊が大人しくなるようにしないといけないんだ。これが大変なんだよ?】


「ふふっ、安心したわ。女とは見てくているのね。」


【そう、大変なんだよ?】


「ねえ、その我慢はアタシの事が大切だって言う事ね?」


【そうだね、大丈夫。頑張って我慢するからね。】


「分かったわ、お兄さんを信じてるから・・・。」


リズが安心したように俺を見る。


「大好き、ヘファイストス様。」


【大好きだよ、俺のリズベット。】


「安心したら・・・眠くなってしまったわ。」


【うん、よく眠りなさい、リズベット。】


「お休みなさい・・・ヘファイストス様・・・。」


そう言うとリズは俺の腕の中で眠ってしまった。


【お休み、可愛い俺のリズベット。】


その日はリズを抱きしめながら眠った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


次の日の朝。


可愛い温もりがあった。

そう言えばリズと眠ったんだったね。

この大切な温もりをもっと感じていたいのだが、南通りの市場に行かないとね。

リズはどうしようかな。


【『アリステリア様』、本日もよろしくお願い致します。】


祈りを済ませると南通りに・・・。

折角だし、二人で行こうかな?

そう思うとリズを起こしてみる。


「お兄さん、もう朝なのぉ?」


話をすると行きたいとの事だったので着替えをしてもらう。

マオ達は眠っていたらしい。

二人っきりで出かけるのは初めてじゃないかな?

少しだけ皆に悪いなと言う気持ちはあったが、たまには良いでしょう。


「ふふっ、お兄さんと二人っきり!」


そう言うリズと目的地に向かって歩く。

市場に着くとリズの瞳が輝いていた。


「二度目だけれど凄い人ね!」


【リズ、離れないように手を繋いでおこうか。】


「お、お兄さんがどうしてもと言うなら、してあげなくもないわ。」


頬が赤く染まっている。

リズさん、俺が断らないのを知って試しているんだろうか?


【リズベット御嬢様と手を繋げるなど、こんなに喜ばしい事はありません!】


「おほほ、よろしくってよ!」


ノリノリだね、リズ。

そう思ったが素直に手を繋ぐと喜んでくれた。


まずは港に行く。

今日は、久しぶりに煮付けを食べたい気分だ。

鯖があれば味噌煮とかもいいね。

メインの素材である鯖を買えれば材料ならあるしね。


港に着くと早速声がかかる。


「おや?シビ旦那。今日は可愛い子を連れて来たな・・・あれ?」


【何かあったのかな?】


「いや、その嬢ちゃん、前にも来てくれたよな?」


前にマオとアセディアと来た時の事を覚えてくれているみたいだ。


【うん、二人では初めてなんだ。】


「お、おはようございます!」


「嫁がいっぱいでいいねえ、羨ましいぜ、シビ旦那。」


【残念ながら、この子は未成年なんだよ。】


「シビ旦那が、いよいよ犯罪に・・・止めとけって言ったのになぁ。」


【こらこら、そう言うのは結婚したらと決めているから大丈夫だ。】


「へいへい、で、シビですかい?」


【もちろん買うよ。ああ、それと鯖は無いかい?】


「大きいのは競りに出してあるから見てこようかい?」


【ああ、頼むよ。】


「じゃあ、見てくるぜ。おおい!シビの解体を頼むぞ!」


「あいよ!」


「任せとけ!」


そう言うと漁師さんは鯖を見に行ってしまった。


「改めて思うのだけれど、お兄さん、格好良いわ。」


【いつも、こんな感じじゃない?】


さあ、褒め称えたまえ!


「いつものお兄さんは、ルイス姉達にペシペシと・・・。」


おおう、あうち!


【ああ、それは大人の事情なんだよ。】


「そうなの・・・?」


【あれをよけるのはいけない事なんだよ?】


「そうなの?そう言えば、喜んで殴られているように見えるわね・・・。」


【リズさんや、人をMみたいに言わないでくれないかな?】


「M?」


【リズにはちょっと早い。】


「むー、良いわ。今回は許してあげるわ!」


【それはありがたいね。】


「シビ旦那!鯖は何本御入用ですかい?」


【あれば迷惑にならないだけ買うよ?】


「じゃあ、売れるのは三十四本だけど、どうするんだい?」


【全部買うよ、同じように捌いてくれるかな?】


「任された!」


待っている間にリズの事を聞いておこうかな?


【リズは今の生活はどうかな?】


「毎日が楽しいの!まともな御仕事なんて出来るとは思っていなかったし、それにお兄さんのおかげで御昼御飯も給金も貰えて別世界だと思っちゃうわ!」


【そっか、リズがそう思ってくれているのなら君達との出会いは『アリステリア様』の導きなのだろう。】


「本当にそうね・・・『アリステリア様』、この出会いに感謝を。」


【そうそう、そんな感じでも祈れば女神様の恩恵があるよ。】


「そうなのね?じゃあ、毎日寝る前に御祈りをするわね。」


【きっと可愛いリズベットに女神様の御加護がありますよ。】


「そうだと良いな・・・。」


【リズ、何か心配事でもあるのかな?】


「えっとね、生活に余裕が出来て来たと思うの。でもね、それは全部お兄さんがいてくれたからなの。」


【そうか・・・リズにそう言ってもらえて嬉しいな。】


「でも心配な事もあるわ。お兄さん、正直に言ってね?」


【リ、リズ達に嘘を付く訳ないよ。】


「お兄さん・・・正直にね?」


【お、おう?】


リズがちょっと怖かったぞ。


「オーガの牙の『アーサーさん』はお兄さんよね?」


【・・・バレてるよね?】


「あの黒い悪魔を倒してくれた時に見ているもの!」


【正直に言うね・・・俺がアーサーで、間違いはない。】


「ねえ、お兄さん。ジャスティン様達と冒険しているのよね?」


【そうだね。公国にも行ったし帝国にも行った。今度はヘルシャーに行くかもしれないんだ。】


「・・・危ない事をしたりするのよね?」


【そう、でもね俺が、俺達がやるしかない事をやったんだよ。】


「でもね、心配かけないでほしいな。」


【リズ、君達を守る為に頑張っているんだよ。そこのところは分かってくれると嬉しいな。】


「お兄さん、その言い方はずるいよ。何も言えなくなっちゃうもの。」


【でもね、本当の事なんだよ。だから、頼もしい仲間も増えたんだよ?】


「アセディアさんとレヴィアさん、ルイス姉と私達を助けてくれた人もよね?」


【そうだ、アバリティアって言う子なんだけれどね。皆と上手く付き合ってくれるのを期待してるんだよ。】


「お兄さん、もしかして三人の事も好きなの?」


【うん、話し合えば分かってくれるし、素敵な女の子だしね。】


「・・・浮気者めー!」


【こら!御尻を抓るのは止めなさい!】


「浮気者・・・。」


【それは否定出来ないなぁ。】


「シビ旦那、捌けたぜ!って御邪魔だったか?」


【そんな事は無いさ、じゃあ頂くね。】


「あいよ!オマケに鯵も付けておくぜ。」


【ありがとう、鯵は人気ないのかい?】


「焼いて食べるぐらいしかねえだろ?」


【今度、美味い料理を教えてあげるよ。きっと気に入るよ。】


そう言いながらバックパックへと詰めて行く。


「そりゃあ、ありがてえな。塩味にも飽きてたんだよな。」


「お塩かぁ・・・。」


「醤油も良いらしいけど食べた事はねえな。」


「そうよね・・・お兄さんのおかげで色々な味がある事を知ったわ。」


「そうか、良い事じゃねえか?美味いもんが食えるんだったらな。」


「そう、美味しいのよ・・・美味しすぎるの。体重増えたらどうしよう。」


【そのぐらいでリズを嫌いになったりはしないさ。】


「シビ旦那、他所でやってくれや。良い女を口説いてるようにしか見えねえぞ?」


「でも、太りたくないから運動も頑張るわ!」


【そろそろ他に行こうか。】


「漁師さん、ありがとうございます!」


「何、気にする事はねえさ。旦那にはその分儲けさせてもらってるからな。」


【じゃあ、また来るよ。】


「お仕事頑張って下さい!」


「お帰りかい、シビ旦那、また来な!」


「またな、シビ旦那!お嬢ちゃんもな!」


見送られると漁港を後にする。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


それでいつものコースを歩く。


今は、米屋に立ち寄ったところだ。


【米はどれだけあるんだい?】


「若旦那、今日は200kgなら売れるぜ?」


【おや、思ったより少ないね。】


「ああ、最近の話なんですがね、米泥棒が出てるんですよ。」


【あれまぁ、物騒だね。】


「そのせいで、フェアリー・ゲートからの荷馬車が武士を護衛に付けてるんだよ。」


【それってオーカム側?それとも徳之島側?】


「徳之島側ですね。」


【何かあったんですか?】


「飢えた子供達が原因らしいんですがね、その中でも懸賞金がかかっている奴がいるんですが、えらく強いらしくて手間取っているらしいですよ。」


【へぇ、武士の護衛でも駄目なんです?】


「それが、強いのが三人いるらしくて、今度は国の武士団を派遣するとかなんとか言ってるんですわ。」


【強さに興味あるな・・・東国と言えば師匠の生まれだしなぁ。】


「まあ、そのうちにいなくなるとは思いますがね。」


【何か進展でもあったの?】


「エドの将軍様から、近日中に『剣聖様』に討伐の命が出されるとかなんとか。」


【ありゃま、師匠が動くのか・・・?】


「お兄さんの師匠様ってジュウベイのお爺ちゃんよね?」


【そうだね、武士を退ける強盗団か・・・欲しいな。】


「お兄さん、悪い顔してるわよ?」


【いやいや、そんな顔してないでしょう?】


「してました、もう、何で巻き込まれようとしているのよ!」


【いや、強いって言う所に興味があるんだよ。】


「旦那、悪い事は言わねえ、下手に手を出さねえ方が良いぜ?」


【師匠はやりたがらない気がするんだよね、それに退治すれば、俺の考えている護衛に使えそうだからね。】


「と、言う訳だ、旦那。200で良いかい?」


【ああ、売ってくれ。】


「毎度あり!」


支払いを済ませるとリズを誘う。


【さあ、次に行こうか。】


「うん、お兄さん!」


次は味醂干しの店だった。

ここでリズとカワハギと秋刀魚を食べる。


「う~ん!美味しいね、お兄さん!」


【うん、変わらずに美味いな。リズはマヨネーズが気に入ったみたいね。】


「だって、美味しいんだもん!」


【頬っぺたについているよ。】


指ですくってあげる。

その指を俺の口に持って行くとリズが真っ赤になっていた。


「・・・。」


【どうかしたの、リズ?】


『な、何でもないわよ!・・・鈍感なのかしら?』


【ん?何か言ったかい?】


「味醂干しが美味しいわねって言ったの!」


【うん、美味しいね。】


『この・・・鈍感男。』


【リズ、やっぱり何か言っているね?】


「き、気のせいよ!」


【本当かなぁ・・・。】


「味醂干しの後は戻るのよね?」


【ええ、リズ御嬢様。残念ですが時間でございます。】


「ふふっ、宿まで一緒だよ、お兄さん。」


【ええ、リズ御嬢様。】


こうして短かったがリズとのデートを終えるといつもの宿屋へと向かった。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、ブックマーク等々。

大変に励みになっております。

皆様に感謝を!

それでは、次話 アリステリア様の神殿を作るぞ!(仮 で、お会い致しましょう!

御疲れ様でした!


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