報連相は大切です!
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執筆が終わりました。
お楽しみ頂ければ幸いです。
【・・・7th ゲート・トラベル。】
ノモスの家へとゲートを出す。
レヴィアさんをエスコートしてゲートを潜る。
そして現れる豪奢な屋敷。
【ここが俺の親友のノモスの家だよ。】
【そうなのね・・・でも、大きいのではないかしら?】
【お金持ち様だからね、でも権威を振りかざしたりはしない、良い奴なんだ。】
【ふーん、ノモス様も私達と友好を築いて下さるかしら?】
【きっと大丈夫だよ、レヴィアさん。笑顔、笑顔、ですからね?】
【もう!分かったわよ。】
そして玄関へと進み。
ドア・ノッカーを・・・。
叩く訳ないよね?
くふふふ。
【ノーモースー君、遊びに来たよー!】
大声でノモスを呼んでみる。
【・・・何をしているのかしら?】
【いえ、儀式と言うかですね、御約束と言うかですね・・・。】
ガチャリッ
しばらくすると頭を抱えたノモスが扉を開けてやって来た。
「アーサーよ・・・その間抜けな呼び方は止めろと何度も」
「ノモス様!迂闊ですぞ!!!」
「ボス!!!」
そう言うとバウマンさんとグレイさんが飛び出て来てノモスの前を塞ぐ。
戦闘モードになったバウマンさんとグレイさんが腰の物を抜いてノモスを下がらせる。
【あ、この人族よ!監査役は!】
レヴィアさんはバウマンさんを指さす。
「アーサー殿!一体どういうつもりですかな?」
あ!
やべえ!
レヴィアさんが友好的だったので連絡を忘れていた!
【バウマンさん、グレイさん。失念しておりました、俺の連絡ミスです。申し訳ありません!身構えなくて結構です、この人は大丈夫ですから。】
慌てて頭を下げる。
うっかりどころじゃねえ、ノモスへの報連相を忘れていた。
ただの馬鹿だ。
「バウマン、グレイ。アーサーがそう言っているんだ。止めろ。」
「・・・かしこまりました、会頭。」
「まあ、ボスがそう言うのならな・・・しかし、俺は警戒を緩めないぞ?アーサー殿。」
【それで結構です。何せ重要な事を話しに来たのですから。】
「アーサー、まずは入ってくれ。バウマン応接室に案内してもらおうか。後は・・・イェノド、飲み物の手配を頼む。」
「かしこまりました、会頭。」
「アーサー殿、後ろに着かせてもらうぞ?」
【どうぞ、グレイさん。】
「旦那様、紅茶でよろしいですか?」
「ああ、人数分頼む。」
「かしこまりました、旦那様。」
【では入りましょうか、御嬢様。手を・・・。】
【ふふっ、今度は上手く出来たじゃない。】
そう言うと彼女は笑顔を見せた。
俺達は部屋に案内してくれるバウマンさんの後を着いて行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「で、アーサーよ。こちらにいらっしゃる女性は何者かな?」
【先に皆さんを紹介しても良いかな?レヴィアさん、この男が俺の親友のノモスだ。】
【お噂はかねがね、伺っております。】
【それでこちらの人が、バウマンさん。ノモスの右腕だ。】
バウマンさんが頭を下げる。
だが、視線はレヴィアさんから離れない。
さすがに警戒されているな。
【それで後ろにいる人がグレイさん。ノモスの左腕だ。】
「・・・グレイだ、よろしく。」
グレイさんは何時でも飛び掛かってやるぞ?
と言うように、レヴィアさんの後ろに回り離れずに立っている。
先程の給仕さんがやって来て各人へ紅茶を渡して行く。
一口飲むと少しだけ場の空気が柔らかくなった。
【レヴィアさん、自己紹介をお願い。】
【それでは、初めまして侯爵様、御二方。私の名前は『レヴィアタン』貴方がたが探している七大悪魔のうちの一人、『嫉妬』よ。】
「嫉妬なのか?そう言えば、アバリティア嬢やアセディア嬢に似ているな。」
バウマンさんとグレイさんは警戒の段階を上げたようだ。
まあ、伝説の七大悪魔。
そのうちの一人を連れて来たんだ。
警戒されるのは当然だろう。
「それで、その嫉妬さんが何用かな?」
【俺が保護したって事を伝えに来た。それと話を聞いてもらおうと思ってさ。】
ノモスに昨日あった事を話して聞かせる。
さすがに驚いていた。
俺だって驚いたもんな。
「レヴィアタン・・・本物の嫉妬だというのか?」
【そうね、レヴィアって呼んで頂戴。】
「ああ、分かった。しかし、肖像画と似ているな・・・あ、そうだな。バウマン、肖像画を返して差し上げろ。」
「かしこまりました、会頭。」
バウマンさんが上着の内ポケットからロケットを取り出し、レヴィアさんの前、テーブルに置く。
【・・・ありがとう。】
レヴィアさんは受け取ると嬉しそうにロケットを首にかけた。
やっぱり欲しかったのか。
そしてロケットを開くとその肖像画を確認する。
【ベヘモド・・・私より先に逝くなんて・・・。】
【レヴィアさん・・・。】
「それでだ、アーサー。アバリティア嬢、アセディア嬢そして今回の、レヴィア嬢。この三人は味方になってくれているんだな?」
【そうだ、その見解で構わない。直近の問題は憤怒のサターニャである『イラ』嬢なんだよ。】
「ふむ、皇帝陛下にも窺ってからになるが、ヘルシャーに兵を送ってもらうように進言しよう。その分の物資などもな・・・。」
「アーサー殿、疑う訳ではありませんが、本当に大丈夫なのですな?」
【バウマンさん、本当に大丈夫だよ。ウチでもアリスやクーデリカ達とも仲良しだからね。】
「左様ですか、ならば御客人に失礼を致しましたな。レヴィア嬢、失礼をした事を詫びます。」
そう言って頭を下げるバウマンさん。
【グレイさんも良いですか?】
「ああ、ボスの顔を潰す訳にはいかないからな。レヴィア嬢、失礼をした。」
【いえ、当然の事をした貴方がたに謝ってもらう必要はないの。それより紅茶のお代わりは出来るかしら?】
「ああ、レディ。気付かずに済まない。」
ノモスがベルを鳴らすと、扉の外で控えていた先程のメイドさんが部屋に入って来た。
「旦那様、紅茶でよろしいですか?」
「ああ、こちらのレディに最上級の物を頼む。」
「かしこまりました、旦那様。」
そう言うとメイドさんは頭を下げてから部屋から出て行った。
【レヴィアさんの事は良いかな?】
「うむ、魔王の復活を止めるとの事で我々は同志になったんだ。歓迎させてもらおう。」
「左様ですな、会頭。レヴィア嬢、頼りにさせて頂きますぞ。早速ですが監視を引き上げさせて頂きましょう。」
【そうして下さるとありがたいわ。】
【ノモス、どんどん質問してくれ。レヴィアさんにはノモスと一緒に話を聞くって言ってあるからまだ何も質問してないのと同じなんだ。】
「嬉しい事を言ってくれるじゃないか、アーサー。さてと、ファリスにも聞いてもらおうか。」
「会頭、ファリスは眠っておるはずですぞ?」
「そうか、バウマン。メイド頭のタオ夫人と三人のメイドを付けて起こしに行ってもらえ。」
「かしこまりました。」
そう言うとバウマンさんは部屋を出て行った。
その代わりに紅茶のメイドさんが入って来て皆に紅茶を配る。
ズズッー・・・。
あれまぁ、美味い紅茶だ。
ちょっと疑問に思った事を一つ。
【起こすだけなのに四人も行かせるの?】
ノモスとグレイさんが顔を見合わせる。
「・・・内緒だぞ、アーサー。彼女は寝起きがな・・・酷いんだ。」
【ありゃま・・・機会があったら見たいもんだ。あ痛ぁっ!?】
そう言うとレヴィアさんから足を踏まれた。
【女性の問題に、嫁持ちの貴方は口を出さない!】
【くおっ!痛い、痛いって!】
【本当に分かったのかしら?】
【本当です!足をどけて!】
そのやり取りを見ていたノモスが一言。
「アーサー、尻に敷かれているな。」
【ノモス!その表現は違う!レヴィアさんは嫁ではない!】
「でも、家族なのだろう?」
【そうだ!いっだい!?何故力を入れるのか分かりません!?】
【この、鈍感・・・。】
しばらく俺は、レヴィアさんに足を踏まれていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お待たせ致しました、皆様。」
そう言って部屋に入って来たファリスさん。
相変わらずの巨乳・・・。
おっと失礼だね、俺。
「で、こちらの方が嫉妬さんなのですね?初めまして、ノモス様の元で働かせて頂いております、ファリスと申します。今後ともよろしくお願い致します。」
【こちらこそ、ファリスさん。これでそろったようね。では、分かる範囲で答えるから質問をどうぞ。】
レヴィアさんから聞いた話は、大体が解決していた事と変わらなかった。
だけど、確証は得られたようだ。
「最後になるが、天上の楽園はいまだにあるのかね?」
【あるわよ?】
「本当か!?」
【ええ、『エデン』と呼ばれているわ。今は無人でゴーレムが決まった仕事をしているはずよ?】
【今も神様達が住んでいるんじゃないの?】
【前回の戦いのあった200年前までは、魔法の神である『マギアのお兄さん』がまだ住んでいたのだけれど・・・。】
「何かあったのかな、レヴィア嬢?」
【これは予想の話になるのだけれど・・・空から勇者と魔王の戦いを見ていたのよ。】
【ちょっと良いかな。マギアのお兄さん?お爺さんじゃなくて?】
【私の記憶ではお兄さんと呼ばれる優男だったわよ?】
【今の魔法の神はお爺さんだぞ?】
【私の記憶にある魔法の神は優男のはずよ?】
「「「・・・。」」」
「アーサー、確かマナを見守っているのが魔法の神だったんだよな?」
【そうだ、ただ、これはティアから聞いた話だからね?】
【魔法の神・・・魔法の神・・・。】
レヴィアさんが何かを思いだそうとしているようだ。
【そう、根源たるマナを見張っているって言ってたんだ。】
【あの時の、アレはそう言う事なのかしら・・・。】
「レヴィア嬢、それは何かな?」
【強すぎる魔王、勇者では勝てないと思った・・・あの男、『禁忌の魔法』を使ったのかもしれないわね。】
「禁忌の魔法ですと!?」
【そう、詳しくは分からないけれど『寿命を使う』魔法らしいわ。】
「まさか、神から寿命を奪う程の魔法ですか!?」
【勇者が追い詰められていたのよ。それで使ったのかもしれないわね。】
「勇者はそこまで追い詰められていた・・・何故でしょうか?それこそ、他の神達は何をしていたのですか!?」
【基本的には『アリステリア』だけは人族に慈悲の心を持っていた。あの状況でも最後まで諦めなかった・・・その状況で魔法の神が何でそんな事をしたのか?】
皆が黙ってしまった。
禁呪、そんな物が、俺の知らない魔法があるだと!?
【それでね、これから話す事は、本などの媒体には残っていないから、そのつもりで聞いて頂戴ね。】
「残っていないのですか?」
【そうよ、ファリス様。隠蔽されているはずよ、『聖母の意思』教団の手によって。】
「そのパナギア・セリスィという教団は初耳ですわ。」
【200年前には在ったのだけれど、自然消滅でもしたのかしらね?】
「現在活動している大きな教団は三教団ありますな。最大派閥である『創造神アリステリア聖教団』これはイリーナ法王猊下の元で教義の行われている教団、そして『革命の鎖』と『神々の理想郷』ですな。」
「気になるところだが、バウマンは任せている仕事が多々あるので今はな・・・。」
「ノモス様、それなら私が調べますわ。」
「・・・分かった。ファリス、念の為に繋がりを調べてみてくれ。」
「かしこまりました、ノモス様。」
「いいか、無理はするなよ?」
「分かっておりますわ。」
【よろしいかしら?その時の勇者と魔王の戦力なのだけれど、魔王が圧倒的だったわ。何故なら魔王は私を含め姉妹達を取り込んだのよ。」
【それで勇者はどうしたのさ?】
【ちょっと待って頂戴ね・・・記憶があいまいなのだけれど、と言うのを前提に置いて頂戴ね。】
「構わない、それで、どんな事なんだね、レヴィア嬢。」
【あの時は・・・確か・・・そう、勇者が私達のコアを持っていたのよ!】
「どう言う事ですかな、レヴィア様?」
【そうよ、何故かは分からないのだけれど勇者が魔王を復活させたのよ!】
「馬鹿な!そんな事をすればどうなるか分かるはずだ!」
「グレイ、落ち着け。だが、グレイの言いたい事も分かる。その辺りはどうなんだね、レヴィア嬢?」
【ベヘモドが動いていたのよ・・・その時も弟は、魔王に操られていたわ。】
「ベヘモド・・・だが今回はアーサーが倒している。そこのところはどうなのだろうか?」
【私の考えなのだけれど、良いかしら?】
「どうぞ、レヴィア嬢。」
【引っかかる部分があるの、何故なら私達のコアを集めたのが魔王ではなく勇者なのよ。】
「ちょ、ちょっと待ってくれ。それでは君達が消滅しているのではないかな?」
【そうね、ノモス様。私の記憶に残っている状況では、ベヘモドは勇者にコアを集めさせて、魔王を復活させた。】
【ちょっと待ってくれ、レヴィアさん。勇者とはそんなにも強力な人物なのか?】
「そうだ、アセディア嬢は一撃で都市を壊滅させる程の魔法を使ったと報告が上がっている。そんな彼女達を勇者が倒したと言うのか?」
【本人の事は本人に聞く、それでなければ答えは出ないわ。私は隠れていたから状況は分からないのだけれど・・・。】
【本気では戦った事は無いが、ティアと戦ったけれど本気だったら現状の俺では勝てないと思うよ?】
【ここで、ヘファイストスに質問です。アバリティアは何故力を抑えていたのでしょうか?】
【うーん、どうしてなのかな?】
【私達は本性、本当の姿があるのよ。本気で戦う時にはその本性を剝き出しにするのよ。】
「本性・・・会頭、あの夜の・・・。」
「待て待て、バウマン。それ以上言えば、彼女に殺されるぞ?」
「左様ですな・・・控えさせて頂きましょう。」
【ノモス、どう言う事だ?】
「本性を見せると言う事は必ずしも本人が望んでいる事ではない。悪魔族もそうだと思うので我々の口からは言えん。」
「アーサー殿、内密にしたい事があるのはアバリティア殿もそう思っているはずですぞ?」
【ふふっ、分かっているじゃない。ノ・モ・ス・様。】
その声が聞こえると俺の影からティアがスーっと出て来た。
「「「アバリティア嬢!?」」」
【アバリティア!?】
【ティア!?】
【驚いている所、悪いのだけれどまずは気持ち良いをさせてもらうわね。】
そう言うとティアがキスをして来た。
【むごっ!?】
【ダーリン、すぐに来るなんて良い子ね。良い子には御褒美が必要よね?】
【ア、アバリティア、私を殺しに来たの・・・?】
【違うわ、ノモス様達が口を滑らせそうだから来たのよ。】
【ティア、皆の見ている所では遠慮してくれないかな?】
【見ているだけでは満足できないのよ。それで、ダーリン。皆に、何か食べさせなさい。】
【君の大好きなミルクレープを作って来よう。ノモス、台所を借りるよ。】
「あ、ああ、材料はあるはずだ。昼も回っているし、少し休憩にしよう。」
【なら、あり合わせになるけれど、俺が作って来よう。】
「ああ、頼む、アーサー。」
ティアにまとわりつかれながら厨房へと向かった。
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