見る物全てが新鮮
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っは!?
目が覚めた。
目覚めた目の前にクレアの双丘がある。
後ろにはディアナの双丘があり、手を伸ばすとサーラとセリスの膨らみに届きそうだ。
マイサンは出しっぱなしでその近くにルイスとフェイの顔があった。
ナナリーは遠慮なく激しくしてしまったので早いうちに気絶してしまった。
空いているベッドに寝かせてある。
皆は満足してくれたのだろうか?
それとレヴィアさん。
見せたのは良いけれど、もうこんな事は止めてほしい物だ。
それとアセディアには見せたくなかったので、事前に未成年組の部屋で眠ってもらっている。
まあ、悪魔族は眠らないから思う存分ゴロゴロしてくれただろう。
【あら?目が覚めたのね、おはよう、ヘファイストスさん。】
そして、その本人から声がかかる。
「んんっ・・・。」
ディアナが目を覚ましそうだった。
【・・・おはよう、レヴィアさん。今回のような事は止めてほしいな。】
二人の双丘を味わっていると、笑顔のレヴィアさんが満足そうに話しかけてくる。
【でも、気分が良さそうな顔をしているわよ?・・・それに、凄い回復力ね。】
【いや、朝だから!それだけだから!】
【・・・獣ねぇ。】
【あははは、うん、もう出ない。流石に七人はヤバイね。】
【七人にしたのは貴方よ?】
そう、寂しがって泣きながら一人で慰めていたディアナを巻き込んでの夜戦だった。
【それに、あんなに激しく・・・そう、私の前で激しく・・・羨ましいわ。】
【レヴィアさんも参加したかったの?】
【ば、馬鹿な事を言わないで!?】
【あ!そんなに大声を出すと・・・。】
「んっ?あ、兄貴、起きたかい?」
【ああ、ディアナ。起きたのですね。昨夜は可愛かったですよ。】
「兄貴・・・我が儘を言ってすまねえ・・・でも、ありがとうな。・・・凄く気持ち良かったぜ。」
【いえいえ、また可愛がってあげますよ。】
「本当かい、兄貴!」
ぎゅっと頭を抱えられる。
ディアナの大きな双丘が後頭部にめり込む。
と、目の前にいたクレアも目を覚ます。
ギュっと頭を抱えられた。
朝から四つの膨らみで顔が覆われる。
うへへへ、やわらけえなぁ。
「主君、完敗だったよ。」
【クレアも御疲れ様、身体は大丈夫かな?】
「ああ、だが下半身が言う事をきかない。」
【後でスタミナポーションを差し上げますよ。】
「ありがたいね、主君。」
【ところで、レヴィアさん。今は何時なのかな?】
【人族で言うと五時すぎね。】
【それで・・・俺達のまぐわいを見て何かを感じたかね?】
【あ、あんなに激しくするのね。勉強になったわ。】
【レヴィアさんも混ざってみる?】
【そ、そのうちに・・・考えておくわ!】
【じゃあ、皆を起こして南通りの朝市にでも行きましょうか。】
「「「あさいち?」」」
【そう、散歩がてらに行ってみましょう。】
【良いわね、皆を起こしましょう!】
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【これが朝市なのね!】
【そうですよ、レヴィアさん。】
そろそろ涼しくなって来たいつもの道を皆で歩く。
「活気があるねぇ・・・おっとぉ?ああ、懐かしい匂いがするよぉ?」
【そう言えば、フェイは倭国の生まれでしたよね?】
「そうやでぇ、懐かしいわぁ。」
【じゃあ、堪能しないとね。】
「旦那様、これは良い。ここには民の活気がある!」
【そうだね、朝はここに来ると色々と貰えるし買えるんだよ。】
「主君、セリスと同意見だが腹に響く良い匂いがするね。」
【うん、後で食べようか。】
「何か食わしてくれるのかい、兄貴?」
【ここでしか食べられない物だね。】
「うはっ!兄貴、愛してる!」
ディアナが抱き着いて来た。
「ディアナさん、ずいぶん親しくなったのですね?」
「サ、サーラの姉さん、このぐらいならいいだろうよ!」
「ルイスさん、良いんですか?」
「いいのよ、ねえ、貴方。そうね、味醂干しが食べたいわね。」
「あのルイスさんが寛容になっている!?」
「・・・サーラさん、後でお話があります。」
「ひぃ、お、お手柔らかに!」
【貴女達は朝から元気ね。羨ましいわ。】
「レヴィアさんこそ、元気がありませんよー?」
【そうかしら、ナナリーさん。】
「そうですよ、ふふっ、楽しんで下さいねー。」
【・・・。】
「ん?何かー?」
【貴女はあんなに激しく愛されて平気なのね。】
「い、言わないで下さいー!」
【いつか、私も・・・。】
「何ですか、レヴィアさん?」
【いえ、何でもないのよ、ルイスさん。】
【先に港に行こうか。】
「「「はーい!」」」
港に着くと早速声がかかる。
「おや、シビ旦那じゃねえか!って、その別嬪さん達は全部嫁さんかよ!?」
【二人違うけれど、そう言う関係の女の子達だよ。】
「華やかだねぇ。」
【ねえ、貴方。私達が羨ましいかしら?】
レヴィアさんがそんな事を船員さんに聞いている。
「そりゃねえ、俺だって稼ぎがもっとありゃあ女をはべらすぜ?」
【ふふっ、そうなのね?】
【それで、今日は何があるんだい?】
「今日は真鯛が上がってたはずだよ?」
【シビはあるかな?】
皆が大好き鮪!
「もちろんでさあ、今日は三本ですぜ?」
【帆立はあるかい?】
帆立はクーが好きだったからね。
「ああ、海老もイカもあったはずだ。」
【それを全部貰おう、支払いはいつものように頼むよ。】
「へへっ、まいどっ!」
「旦那様はこのように買い物をするのだな。」
「うんうん、頼もしいね。」
「坊ちゃん、次は何処に行くんだい?」
「ふふ、フェイ姉、東方風の建物を見て懐かしいのは分かるけれど、解体してくれるまで待たないと駄目よ?」
「そ、そうやな、ルイス。」
「まあ、待つのも良いではないか。」
「そうだな、この時間も良いな。」
「兄貴の寿司の材料は、ここで手に入れてるんだ・・・。」
【そうですよ、ここで手に入れてるんですよ。】
「兄貴、そう言えば『シビ旦那』って呼ばれるのは何でだい?」
「それはですね、鮪の事は『シビ』と呼ばれているんですが、この魚をヘファ君しか買わないからですよー。」
「鮪がシビと呼ばれているのか?」
「そうなのだね、それならそう呼ばれそうだね、主君。」
「ふふっ、あ、来たようですよー。」
「シビ旦那、お待たせです。」
【ああ、ありがとう。いつも悪いね。】
「これぐらい、構わねえよ。」
トレーに置かれている解体した鮪をバックパックに入れる。
【さて、じゃあ行こうか!】
「「「はーい!」」」
次は味醂干しの店に向かう。
「おや、シビ旦那!別嬪さんを引き連れて・・・まさか全部嫁なのかい!?」
【二人は違うけど、他は嫁だ。それで、人数分焼いてくれるかな?】
「何を焼きましょうか?」
【かわはぎと、秋刀魚、とりあえずそれを人数分頼むよ。】
「かしこまりました。」
【ルイス、酒は梅酒を置いて行くからね。】
「貴方は何処に行くの?」
【鰻を買って来るから、時間になったら戻っておいてね。】
「分かったわ、楽しみにしてるわね。」
【セリス、クレア。後は任せたよ。】
「時間がかかるのだな?」
「任せたまえ、主君。」
【店主。】
「はい、なんでしょうか?」
【これで、かわはぎと秋刀魚を五十ずつ包んでくれ。】
「いつも、ありがとうございます!」
【それと彼女達の事を頼むよ。】
支払いはいつものようにしておいた。
「へへっ、まいどっ!」
【じゃあ、行ってくるね。】
「「「いってらっしゃい!」」」
鰻を売っているお店に行く。
俺が買いに来てくれると思っていたらしく、鰻をたくさん仕入れておいてくれた。
その数・・・何と383匹!
買いに来てくれなかったので、たまりにたまってしまったらしい。
【有難いから全部貰おう。】
「ありがとうございます!」
【それと、厨房を借りるよ。】
「御自由に使って下さいませ。」
許可も頂いたし、さて・・・捌くか!
【ふーん、その長いウネウネした物が美味しいのかしら?】
【へ?あれ!?レヴィアさん、皆と一緒にいたのでは?】
【貴方を見ていたいの。これも仕事なのでしょう?邪魔はしないわ。】
【皆には何と言って出て来たの?】
【何も言っていないわよ?】
【ちょ!?・・・はぁ、これからはルイスかナナリーに言ってから出かけて下さいね?】
【今後は気を付けるわ、それでどうするのかしら?】
【では、見ていて下さいね。】
そして杭打ちし、捌いて行く!
【そのニョロニョロしたのはそうするのね?】
【そうですよ、これが美味しいんですよ。】
【興味があるわ。】
好奇心旺盛だなぁ。
とか言っているうちに100匹終了。
【ねえ。】
【何ですか?】
【貴方は・・・いえ、何でもないわ。続けて頂戴。】
【・・・あいよっ!】
どんどんと鰻を捌いて行く。
そして十時になったころには捌き終わった。
流石の最適化。
鰻の捌きには自信がついた。
ふふふ、料理スキル様。
ありがたや~。
今後、鰻を捌くのは問題ないだろう。
バックパックにしまうと片付けてからレヴィアさんとその場を後にする。
【ねえ、レヴィアさん?聞いても良いかな?】
【何かしら?】
【今日は仕事は?】
【・・・休みね。】
【本当にお休みなんですね?】
【・・・ええ。】
何時の間に連絡をしたんだろうか。
怪しいなぁ。
【では、紹介したい人が数名いるのですが付き合って頂けますか?】
【構わないわよ?】
【一回宿に戻って着替えてから行きましょうか。】
【着替えが無いわよ?】
【じゃあ、作りましょうか?採寸は必要ないので。】
【私にも作ってくれるの!?】
【ええ、最先端の物をお作り致しましょう。】
【最先端?】
【俺の好みですがね!】
【任せるわ、それとあの下着と言う奴も作って頂戴。】
【分かりました。では、このまま商業ギルドに向かいましょう。】
【分かったわ。】
そう言うとレヴィアさんは腕を絡めて来る。
・・・なんか妙にくっついて来るんだよね。
俺達は商業ギルドへと向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
レヴィアさんの下着と服を作り、好みの服に着替えさせてから貴族屋敷へと向かう。
門兵さんに言ってから中に入るとステファンさんが執務室に案内してくれる。
レヴィアさんを連れ出す件は商業ギルドでナナリー宛ての言伝を頼んでおいた。
これで問題はないだろうか?
執務室に着いた。
「旦那様、お坊ちゃま。ヘファイストス様と女性をお連れ致しました。」
「遠慮なく入ってくれ。」
レガイアさんの声が聞こえた。
【よーっす、爺さん、レガイアさん。元気って・・・大丈夫かよ!?】
「よう、あんちゃん。」
「やあ、ヘファイストス殿。それで、そちらの女性は?」
【まずは、これを飲んでそのクマを失くしてから話をしようか。】
二人にスタミナポーションを渡す。
飲み終わってから話を始めた。
【実は二人に、この人の紹介をしたいんだ。】
「あんちゃん、その前に、こちらから自己紹介をしておこう。わしはドリュカス、そしてこの国の王であり息子のレガイアじゃ。」
「レガイアと言います、お嬢さん。国王などをしている。よろしく頼む。」
【レヴィアさん、自己紹介をしてくれるかな?】
【ええ、私は七大悪魔の一人。『嫉妬のレヴィアタン』。この人の庇護下に入ったのでよろしくね。】
か、軽っ!?
「あんちゃん、冗談にしては笑えないぞ?」
「父上、この女性は・・・ヘファイストス殿。貴殿の宿にいるアセディア殿と似ているのはそう言う事かね?」
【そうです。俺が庇護下に入れたのは昨日の事なのですが、本物です。】
「あんちゃんが保護したのか、なら害意は無いんじゃな?」
【私は戦闘力が無いから、この人の庇護下に入る事が必要なの。】
「ふむ、これで復活している七大悪魔が三体か・・・あんちゃん、他には無いのか?」
【重要な事があるんだよ。レヴィアさん、貴女の姉妹の復活の事を二人にも伝えてくれないかな?】
【構わないわ。まずは・・・。】
レヴィアさんの話が終わると二人の顔が青ざめる。
「レガイア、至急でヘルシャーに使者を立てよ!時間が無いとな!それと念の為に公国へも使者を出せ!」
「かしこまりました、父上。」
「とにかくヘルシャーには時間が無い。急がせよ!」
「承知致しました。」
レガイアさんが礼をして部屋を出て行く。
「レヴィアの嬢ちゃん、ヘルシャーの憤怒は話が通じるんじゃな?」
【ええ・・・一つ良いかしら?】
「構わんぞ?」
【別件なのだけれど・・・姉である、イラが復活した時は機嫌をとってほしいの。】
「機嫌を取るんじゃな?」
【そう、怒らせないようにしてほしいの。】
「怒らせるのが禁止なんじゃな?」
【そう、怒ると手が付けられなくなるわ。】
「ステファン、今の事をレガイアに伝えよ!」
「かしこまりました。」
そう言うとステファンさんが部屋を出る。
「心配なのはヘルシャーじゃな?何か対策を立てねば・・・。」
【ええ、ラヴィーネ様と話をしてからになりますが、オーガの牙と一緒に対策を立てます。】
「それぐらいの援軍は良いじゃろう。後は、軍帝殿がどう出るかじゃな。」
【戦いが好きですからね、討伐するとか言いそうで・・・。】
「ふはは!剛毅じゃのう。で、レヴィア嬢よ、わしからも質問があるのじゃが?」
【構いません、遠慮なく聞いて下さいね。】
「今・・・勇者は現れていると思うか?」
【現在では確認されていないと言う話ですわね。私はこの人が勇者だと思っていたのよ。】
レヴィアさんがそう言うと俺を指さす。
「あんちゃんは違うじゃろう?」
【レヴィアさん、まだ諦めていなかったの?】
【だって、そうとしか思えないんだもの。】
【俺は鍛冶師だぜ?】
【アバリティアやアセディアも貴方の事を勇者だと思っているはずよ?】
【ティアとアセディアにも言ってあるんだけどな。】
「嬢ちゃん、わしも何度そう思ったか。じゃが、違うのじゃろう?」
【おいおい、爺さんまでそんな事を・・・。】
【まあ、違うと本人も言っているのだから、この話は次回にしましょう。】
「そうじゃな、嬢ちゃん。」
次回があるのか?
【話を変えるぞ?そんでね、オーガの牙にも会いに行こうと思っているんだ。鍛え直してくれってさ。】
「あんちゃん、この国の最高戦力が鍛え直すじゃと?」
【ネームドとの戦闘で思い至ったんだろう。まだまだ足りないと思っているようだった。】
「ああ、先日のか・・・悪い事をしたのう。」
【いや、被害が出ていたんだろう?俺だってその立場なら遠慮なく依頼を受けたさ。】
「じゃが・・・。」
【爺さん、気にするところはそれじゃないだろう?】
「そうじゃな、そう言えば、お嬢ちゃんは戦闘能力が無いと言っておったが、どの程度なのかの?」
【そうねぇ・・・バルロンデーモンと殴り合うぐらいなら出来るわよ?】
「バルロンと殴り合うじゃと!?」
この世界の女の子達は、なんでこのての質問の回答が『力こそパワー』なんだろうか?
「ま、まあそのぐらい出来ないと七大魔族とは・・・。」
レヴィアさんがバルロンデーモンの胸ぐらを掴んで殴っている事を想像してしまった。
爺さんも同じだったようだ。
【ねえ、二人共。何か失礼な事を考えてはいないかしら?】
「「そ、そんな事は無い!」」
【・・・今回だけは許しましょう。】
「「っほ。」」
「父上、書簡を書きましたので、後はステファンに任せました。」
「お、おう、レガイア。良い所で帰った来たのお。」
「何か?」
【いやだなあ、レガイアさんがいないと話が始まらないじゃないですか?】
「それは、お待たせ致しました。それでどのような事に?」
「レガイアさんは何か質問はないの?」
【それでは素直に聞かせて頂きます。レヴィア嬢、貴女への頼みと言うかお願いなのですがよろしいか?】
【よろしくてよ?】
「この街はやっと復興が落ち着いて来た所なのだ。」
【そうなのよね・・・。】
「なので、もしもの話ですがこの街、いや、国を脅かさんとするならば全力で対処致します。だが、我々にそんな事はさせないで頂きたい。」
【何故、そのような聞き方をするのかしら?】
「被害を抑えるなどの話ではない・・・ヘファイストス殿を見てそして貴方がたを見てそう思ったのだ。それに・・・。」
【それに?】
「話し合って友好が築けるのだ、そのような相手とは戦いたくない。」
【甘いのね。だけどありがとう、信用してくれて。その思いに報いる為に誓うわ。今後、私は人々や街には手を出さないと。】
「そなたに感謝を。ふぅ、やはり緊張しますな。そう言えばプルスィオス商会から手紙が届いていたようです。」
「ノモス殿からか?何かあったのだろうかの?」
ああ、海での事かな?
「それでは・・・このたびは海路に支障があり輸送が遅れる事と支障であった怪物は倒されたのでこれからも物資を搬入致しますとの事です。」
「ほう、解決したならば良い。」
「それと届いておりました、公国のアーゼ女王陛下とリーゼ王妹殿下からヘファイストス殿を遣わせて下さいとの催促が来ております。」
【いや、復興が終わったらと約束はしましたが、催促とは・・・。】
「催促は、もう一通ありますぞ?魔導国より、イリーナ猊下からの手紙です。・・・ん?」
「どうした、レガイア?」
「これは、ヘファイストス殿に読んでもらうのがよろしいですな。」
そう言って手紙を渡してくる。
手紙を受け取り目を通して行く。
【あー・・・何々?】
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
愛しのヘファイストス殿へ。
神都へ早く来てくれると思い、毎日のようにお待ちしておりますが、お会いするのが待ち遠しくて仕方がありません。
貴方様の事を、笑顔を思い出すと元気になれます。
短い間ではございましたが、貴方様と過ごした日々は鮮明に私の心に写り込んでおります。
こんな事は初めてでございます。
先日ですが、神民に向けて、真の聖剣の宣言をさせて頂きました。
貴方様が好きだと言って下さった笑顔を、神民達に見せながら。
神剣はこの国にやって来る「紅玉」となられた「ヘファイストス様」がお作りになって下さると!
神民も大変に喜んでおりました。
そこでですが、早くに貴方様を神民に紹介したいのです。
もちろん神剣を作っては頂ますが。
貴方様の来訪を心よりお待ちしております。
私の初めての・・・心、奪われた方。
ヘファイストス様。
来て下さるには遠い国でございますが、せいいっぱい歓迎させて頂きます。
一刻でも早く私のもとに来て下さる事を信じて・・・そして、貴方様に真愛を込めて。
イリーナ・グラン・イエレアス・ソフォス。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【・・・。】
「ヘファイストス殿?」
【うーん・・・レガイアさん。俺、イリーナ様に何かしましたか?】
「宴の時か?」
【うん。】
「気付く事は無かったが・・・?」
【いや、なんか恋文みたいなんですよ。】
「あんちゃん、今度は何をしたんじゃ?しかもイリーナ猊下からじゃと?」
【爺さん、読んでみてくれ。】
爺さんに手紙を渡す。
「良いのか、あんちゃん。」
【イリーナ様には紳士として向き合ってただけだ。それにその手紙の内容だと、俺が初恋の人みたいじゃないか?】
「どれどれ・・・熱烈じゃな。あんちゃん、愛されておるのぉ。」
【その理由が一目ぼれっぽくなっているんだが、本当かどうかも分からないんだぞ?】
「じゃが、誘いは断らないんじゃろう?」
【イリーナ様との約束だからね。】
「忙しくなるのう、あんちゃん。」
【まあ、イリーナ様だったら大歓迎だけどね。】
「公国の事はどうするのです?」
【あの二人とも約束しちゃったからね。】
「あんちゃん、女関係の底が見えなくなる前に落ち着くと良いぞ?」
【ああ、そうだ!】
「どうした、あんちゃん?」
「いかがした、ヘファイストス殿?」
【本命の話を忘れてた!】
「「本命?」」
【そう、ルイスと結婚してもらわないと!】
【・・・口は出さなかったけれど、やっと思い出したのね?】
【ごめん、ごめん。それでさ爺さん、教会って無いかな?】
「きょうかい?」
【神様に祈りを捧げる所だ、ああ、神殿って言うのかな?】
「神殿の事か、確かにある、いやあったが・・・。」
「ヘファイストス殿。この街の神殿は例の襲撃で焼け落ちてしまった。現在は床に敷き詰めた床石と土台に支柱が建っただけですぞ?」
【うーん、それじゃあ神殿の代わりになるような所は無いかな?】
「新たに開拓したところには無いぞ?」
「こうなったら神殿を建てるしかありませんな。幸いにもこの街の神殿は『アリステリア様』の神殿しかありませんからね。神殿が立てば民達の祈りが出来る場も出来ますし、復興の一助にもなるでしょう。」
【俺も手伝うよ、じっとしていられないからね。】
「分かった。明日から取り掛かる様に手配をしておこう。」
「父上、あの襲撃で皆が逃げており、そもそも神官も同じように逃げておるのでおりませんぞ?」
「そうか・・・と言う事はあの婆さんの力を借りるか。」
「そう言えば、高位の神官だったそうですし、話がまとまれば行けるのではありませんか?」
「そうじゃな、あんちゃん。悪いんじゃが手土産にあの『ぷりん』とやらを何個か作ってくれるかの?」
ガタガタッ!!!
「プ、プリンでございますか!?」
「き、急にどうした、レガイア?」
「い、いえ、何でもありません。」
そう言えば、レガイアさんはプリンが好きだったな。
【厨房を貸してくれれば後で作っておくよ。六個もあれば大丈夫かな?】
「十分じゃ。悪いのう。」
【いやいや、俺とルイスの為でしょう?出来る事なら遠慮なく言ってくれよ。】
「お、おほん!んっんっ!」
こら、王様。
催促の態度があからさまじゃないか?
【レガイアさんの分も作っておきますよ。もちろん、マリーナさんとザイード君のもね!】
「感謝するぞ、ヘファイストス殿!」
【じゃあ俺の仕事は神殿を作る。で、いいんだね?】
「頼まれてくれるか、あんちゃん?」
【自分達の為だ、もちろん構わない。】
【話は終わったかしら?】
【ああ、じゃあ爺さん。何かあったらいつもの宿屋へ。俺達はノモスの所へ行ってくるよ。】
「うむ、気を付けてな。」
「ヘファイストス殿、ノモス殿に感謝を伝えておいてくれ。」
【分かったよ。行こうか、レヴィアさん。】
【ええ。】
俺が部屋を出て行くんだけど、レヴィアさんが付いて来ない。
【行きますよー?】
【・・・。】
その場から一歩も動かないレヴィアさん。
【おーい、行くよー?レヴィアさん?】
【・・・ねえ、こういう場合は男性がエスコートしてくれるものではなくって?】
気の利かない俺が一人。
気を取り直して声をかける。
【では行きましょうか、レヴィア御嬢様。】
そう言って跪き、右手を刺し出す。
【ええ、次回からは気を付けなさい。】
【はは、御嬢様。】
そう言って腕を組んで部屋を出て厨房に向かう。
約束したプリンを作る為だ。
パタン
「「・・・。」」
扉が閉じて足音が遠くなったのを確認してから話を始める。
「あんちゃん、早速じゃが尻に敷かれておるな。」
「父上、レヴィア嬢とはそう言う関係ではないのではありませんか?」
「・・・良い雰囲気だったと思うがな。」
「父上、相手は七大悪魔の一人です。おふざけが過ぎますぞ?」
「まあ良い、明日からの神殿作りに民達も参加するようにふれを出せ。それと、ミカ様の連れて来た職人達に連絡し、手の空いている技術者からも参加させようかの。」
「はい、忙しくなりますな。」
「あんちゃんのおかげで、街の復興はずいぶん短縮は出来ておるじゃろう。」
「そうでございますね。何度感謝しても足りませんな。」
「じゃが、いい機会じゃ。借りを返すつもりでやるかのう。」
「そうですな、父上。私は予定通り、明日から王都に向かい王城と街の様子を見て来ます。」
「うむ、王が自らが動けば約二十万いる職人や民達のやる気が出るじゃろう。」
「そう言えばソフォスとバイジンから支援金が出るとか?」
「ああ、それもあんちゃんのおかげだ。」
「左様ですか。しかし残念ですな。私は、ヘファイストス殿が宰相となって、我が右腕となって下さればと、何度も考えましたよ。」
「じゃが、紅玉で尊爵じゃ、それは難しいじゃろう。それに、爵位で言えば公爵となったわしよりも上じゃからな。」
「宰相は無理でも相談役には・・・最低でもなって頂きたいものですが。」
「そうじゃの、で、王都の貴族街の計画じゃが、どうなった?」
「はい、臣下と言う扱いではありませんが、ヘファイストス殿達、その土地は確保しました。」
「それでよい、あんちゃんは土地を与えれば自分で屋敷を作るじゃろうしな。」
「・・・しかし、内密に進めて本当によろしかったのですか?」
「そうせねば、あんちゃんは受け取らんじゃろう。それにな・・・。」
「それに?」
「レガイア、お前に宰相としての内政や外交に役立つ家臣を作ってやる事が出来なかったからな。少しでも信頼の出来る物をそばにな・・・。」
「状況は心得ております。私に頭を下げられるのは違いますよ。それと、ヘファイストス殿の屋敷を王城の近くに配置した事、大変に感謝をしております。」
「レガイア、何かあれば、あんちゃんかわしと相談せよ。それで当面は何とかなるはずじゃ。」
「はい、ヘファイストス殿を騙すようですが、彼がいれば王都は心配ありません。」
「うむ、こちらの事は考えず、貴様の治める地を復興させよ!」
「かしこまりました・・・父上も体を労わって下さいませ。」
「レガイア、明日はそんなに早くはないのじゃろう?」
「お付き合い致しますよ、公爵閣下。」
「っふ、国王様が付き合ってくれるのだ。あんちゃんから貰った「うめしゅ」と言う奴を出そう。」
「お付き合いしますよ、父上。」
しばらく話し合うと、レガイアは厨房に向かった。
あやつが喜ぶところなど久しぶりに見たな、ありがとうな、あんちゃん。
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