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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第四幕 第一章:帝国での思い出
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貴重な資源かも?

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!

三連休一発目!

書きあがりました!

お楽しみ頂ければ何よりです!

「アーサー殿、こいつはどうする?」


グレイさんから聞かれる。


【カリュプディスは、このまま港に連れて行きましょう。何かの資源になるかもしれませんし、このまま戻れれば、海路は安全だと言う宣伝になりますからね。】


メインのマストは取りつかれた時に折れてしまっている。

それに船の応急処置はしてもらったが、カリュプディスを動かすのは厳しい。

船のマストや帆が無いので、この船は自力での航行は無理であろう。


「護衛艦の四隻で船を港まで引っ張るぞ!お前ら用意しろ!」


「早速繋いで来やす!」


【お願いします。】


「それと、念の為に近海を探査しろ!他にいないと言う保証はねえぞ!」


「「「アイサー!」」」


返事が返ってくるとブイを持った船員さんが海に飛び込んで行く。

うわー、やっぱり海はあの映画のせいで入りたくないな。

しばらくすると安全な所にブイが立って行く。


「ついでだ、テンタクルスの死骸も何かあるかもしれん、運んで帰るぞ!」


「「「アイサー!」」」


グレイさんの指示で船員さんが走る。

とりあえずはこんな所かな?

心配だったのでカリュプディスの死骸をグレイさん達と調べているのだが・・・。

蟹みたいな身体だし、卵巣らしき腹の部分には卵は無かった。


【・・・産卵期ではなさそうですね。卵らしきものは見当たらないです。】


「そうだな、だが何もなく深海に住んでるヤツが近海にやってくるのは・・・何かがあったんだろうな。」


【グレイさんの意見に同意しますね。これは帝国の研究者達に調べて頂きましょう。】


「そうだな、アーサー殿。しかし、流石に嫌な汗が止まらなかったぜ。」


【そうですね、こいつとの戦いなんか二度とごめんですよ。】


グレイさんと話していると師匠達が近寄って来た。


「それで、坊主よ。こいつはどうするんじゃ?」


【帝国の学者さん達にはいいお土産になるので持ち帰ります。】


「旦那様、持ち帰るのか?」


【何が素材になるのかが分かりません。それに、今後の為に詳しく調べる事も必要でしょう?】


「最後に帝国に貢献出来た・・・戻るのが楽しみだ!」


【これだけの巨体ですから、何か使える所があるかもしれないですね。】


「成程な、貴重な物があるかもしれない・・・か。」


「ふふ、私は満足だ。これ程の経験は二度とないかもしれないしね。」


「海戦だとアタイは不利だな、しかも酸持ちだから下手に殴れねえし、ちょっと不満っすね。」


【そう言えば、ノモスは?】


良いタイミングでノモスが船室から出て来た。


「アーサー、終わったか?」


【ああ、ノモス。終わったよ。】


「御苦労だったな、アーサー。おいおい、あれが原因の?・・・聞いていたのと違うな?」


【ああ、アイツはカリュプディスと言うんだよ。】


「カリュプディスか・・・聞いた事はあるが御伽噺だと思ってたよ。海にはこんなのが他にもいるのか・・・それで状況は?」


【ノモス、時間をくれるかな?グレイさん達の調査が終わって安全が確認出来たら港に戻ろう。】


「分かった。だが、流石だな、アーサー。」


「皆のおかげだよ。俺だけの力じゃない。」


セリス達はその巨体を仕留めた事で満足しているようだ。


「ふふっ、旦那様、やったぞ!」


「ああ、主君。我々の勝利だ。やはり、実戦は良い。」


「初めての海戦だったが、経験になるぜ!」


「うむ、経験に勝る鍛錬は無い。」


【皆、怪我はないね?】


「怪我など無いぞ、旦那様。」


「経験を積めた、それだけでもありがたいよ、主君。」


「そうだね、だがもっと殴れると良かったな。」


「このような硬い怪物でも斬れる。坊主、そなたの作った一級品は違うのう。」


【師匠、油断大敵ですよ?後、クレアは王国に戻ったらエティンと土エレメンタル狩りですからね?】


「ふふっ、分かっているよ、主君。」


「クレア、私も付いて行きます。エティンと土のエレメンタルと言う魔物は見た事がありませんからね。」


「まあ、見ていてくれたまえ、主君。今回の事は良い戦いだった。海戦はめったに無いからね。」


「兄貴よぉ、クレアさんの実力ならエティンじゃ役不足じゃねえか?」


「ディアナ殿、そんなに手ごたえが無いのかい?」


【ディアナ、クレアさんには実戦慣れは必要です。それなので、まずはエティンなのですよ。】


「そっか、実戦慣れするんだったら、いいかもしれねえか。」


「ふむ、ならば、主君に私の力を見せないとね!」


【まあ、とにかく皆が無事で良かったですよ。】


「そうですね、旦那様。」


「良い戦いだったな、主君。」


「海とは言え、久しぶりの実戦だったからな。」


「ふぉふぉ、皆、ええ顔をしておるのぉ。」


【そうですね。】


ノモスが戦闘職のガスコーニュさんとイベリコさんの所へ歩み寄る。


「ガスコーニュ、イベリコ。今回は御苦労だった。」


「ヘイ、ボス!」


「こんぐらい、任せてくだせえよ!」


「よくやってくれた、これで、英気を養うといい。」


そう言ってノモスが革袋を投げて渡す。


「こ、こんなに!?ありがたく、ボス!」


「へへ、これだからボスんところはやめられねえぜ!」


「また、頼むぞ!」


「「「ヘイ!」」」


しばらくはグレイさん達が調査して安全だろうと判断されてから港に戻った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


港に帰るように四隻の船を前進させる。


それは、フェイの作ってくれたおむすびを食べている時だった。


「アーサー殿、右舷を見てみろ。歓迎されているぞ?」


「歓迎?」


グレイさんに言われた通り右舷を見ると三十頭ぐらいのイルカがいて船を取り巻いて海面からジャンプしている。


【これは・・・ルイス達にも見せたかったな。】


「旦那様、大歓迎ではないか。」


「ふふ、良かったね、主君。」


「うおー、あれは何ていう生き物なんだい?」


「ほほ、これは珍しい物を見たのお。」


【あれは、イルカと言う生き物ですよ。しかし、良い光景ですね。】


しばらくその光景を皆で眺めていた。


港が近付いて来ると港を守る護衛艦が出て来た。

何か旗で合図を交換しているようだった。

船の案内で港へ入港すると大騒ぎになった。

カリュプディスのその巨体を見ると更に大きな歓声になった。


ノモスが説明してくれるようだ。


「港にいる人々よ!これが原因となっていたであろう、カリュプディスと言う魔物だ!」


「これで航路が使えるのか?」


「そうだ!紅蓮のアーサー、白薔薇姫、討滅のクレア、重撃のディアナ、そして剣聖様達がやってくれた!」


「「「ウオオオォォォー!」」」


グレイさん達の名前が出ないので聞いてみた。


【グレイさん達は良いんですか?】


「アーサー殿、俺達は褒美をもらえればいいんだよ。」


「そうだぜ、アーサーさん。」


「俺たちゃあ、金貨がありゃあいいのさ!」


ふむ、それでいいなら・・・いいのかな?

そんな事を考えていたがノモスに視線を移す。

ノモスが右手を上げると静かになって行った。

落ち着いた所でノモスがさらに皆に言う。


「これで落ち着いて作業が出来るであろう!さあ、皆、仕事に取り掛かってくれ!」


「「「帝国万歳!英雄達に感謝を!」」」


「「「感謝を!」」」


「「「ウワアアアァァァー!」」」


その声はしばらく収まらなかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


落ち着いた所で、ノモスが学者先生達と解体業者さん達を呼んでくれた。



「侯爵様、これは貴重な物ですぞ!?」


「帝国の為に役立ててくれ。」


「もちろんですとも!」


「新鮮なカリュプディスの標本など!」


「これ以上傷を付けないように運ぶんだ!靄になったら目も当てられん!」


そう言えば討伐依頼の魔物って素材箇所を取るまで靄にならないんだよね。

これもその扱いになるのだろうか?


「貴重品だからな。帝国で最高の解体業者を呼んでおるぞ!」



「おいおい、こんなにでかいのか・・・。」


「店長、海の、ホラ、あっちの方も見て下さい。」


「ん?っげ!あれもか!?」


テンタクルスの死骸を見てヤレヤレという顔になる。


「そうですよー、やりがいがありますね!」


「よっしゃ、班を二つに分けるぞ!」


「「「はい!」」」


「こっちのは高級な素材になるかもしれんからな、レベッカ!慎重に、しかも、手早くやるんだ!」


「分かりましたよー!皆もいいねっ!」


「「「はい!」」」



この巨体だからしばらくは解体や運ぶのに忙しいだろう。

と、見ていると解体作業が始まった。

カリュプディスを解体している業者さんに忠告しておく。


【あ、ちょっと待って!危ないですよ。戦っている時に酸を吐きましたからね、体液は気を付けて下さい。】


解体業者さんに言ったつもりだったのだが、学者さん達が反応した。


「おお、体液が酸かもしれないですと!?どのように動いていたのだろうか?」


「詳しく調べねば!」


「それとも酸を放出する器官でもあるのか?」


「おおい!こっちのは酸が出るかもしれんからな!気を付けて解体してくれ!」


「「「はい!」」」


これってホルマリン漬けにでもするのかね?


【これで、海路の件も解決したね。】


「そうですね、旦那様。」


「では、行くのだな、主君?」


「お、行くのかの?」


「何処行くのさ、兄貴?」


【ええ、これで王国に帰れます。それと最後に正式に皇帝陛下に挨拶に行って来ますね。】


「ルイス殿達には私から伝えておくよ、主君。」


【頼むね、クレア。】


「じゃあ、王国に帰るんだね?」


【そうですよ、ディアナ。】


「坊主、後で「無明」を見てくれるか、酸を浴びているかもしれんのでな。」


【任せて下さい、皆の分を見ますよ。では、セリス、行きましょう。】


「はい、旦那様。」


【クレア、皆に帰る準備をしてと言っておいてくれるかな?】


「かしこまった、主君。」


「では、後でのお。」


「二人共、また後でな!」


【行って来ます!】


「行ってまいります!」


【今の時間だと、謁見の間かな?】


「そうですね、向かいましょう。」


セリスと手を繋いで謁見の間へ向かった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「おお、ヘファイストス、我が息子よ!海のモンスターの件、聞いておるぞ。」


【はは、つきましては、航路の安全も確保出来ましたので、王国に帰る報告にまいりました。】


「そうか、戻るか・・・。」


【皇帝陛下、いえ、義父上。帝国から離れる事をお許し下さい。】


「・・・セリスよ。」


「はっ!」


「近くに。」


「はい。」


セリスが側によると皇帝陛下が玉座から降りてくる。


「我が愛娘よ、幸せにしてもらうのだぞ?」


そう言ってセリスを抱きしめる。


「は、はい、父上!・・・こんな私を・・・育てて下さって・・・感謝を。」


「泣くのは嬉しい時だけにせよ・・・息子よ、娘を頼んだぞ。」


【お任せを。】


セリスが抱きしめ返す。

しばらく穏やかな時間が流れる。

だがその時間は終わりを告げる。

離れると陛下はセリスの肩をポンポンと叩いた。


セリスが元の位置に戻る。

懸命に涙をこらえていた。

そんなセリスにハンカチを渡す。


「ヘファイストス、こちらに。」


【はい!】


立ち上がり近付くと抱きしめられた。

遠い日々、父親に抱きしめられた記憶の無い俺はその温かさを感じる。

力強い・・・。

これが父親って言う奴なのか・・・。


「娘を頼む、我から見ても良く出来た娘だ。・・・泣かせるなよ?」


最後の所でギュっと力を込められた。


【必ずや幸せにして見せましょう!】


「頼んだぞ!」


【お任せ下さい、義父上ちちうえ。】


「では、しばらくの別れだ。何かあれば頼るが良い。」


「【ありがたきお言葉!】」


離れると皇帝陛下が玉座へと戻る。


「旦那様、少し良いか?」


【ああ、義兄上あにうえにも挨拶して来ると良い。】


「ありがたく。」


セリスはそう言うと歩き出す。

トリトゥス義兄上と何か話をしていると抱き着いて別れを惜しむ。

セリスは戻って来ると晴れやかな顔をしていた。

その俺達に皇帝陛下から声がかかる。


「では、息災でな。」


「【はい!、陛下もその玉体を御自愛下さいませ。】」


そう言って謁見の間を退出する。

もちろん、セリスと手を繋いでだ。


「・・・行ってしまわれましたな、陛下。」


「トリトゥス・・・今夜は付き合え。」


「ははっ!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


皆の部屋に帰ると何故か戦場だった。


「これはリズへ、これはベスへ・・・。」


「ああ、ナナリーさんへのお土産がっ!?」


「そやから大丈夫か言うていたんやでぇ?」


「ううむ、手土産を購入していない・・・これはまいった。」


「【・・・。】」


【セリスは大丈夫なの?】


「・・・済まぬ、旦那様。買い物の時間を下さらぬか?」


【フェアリー・ゲートまで歩いて行けば、途中の露店でそろわないかな?】


「「「そうね!」」」


と、言う事で皆で歩いて帰る事にした。

門から外門まではかなり距離がある。

その間に並んでいる露店や商店から皆の御土産を探すのだ。

部屋から出て城を後にする。


そして、お土産を探す買い物が始まった。


「これならアリス殿は喜んでくれるだろうか?」


「セリスさん、アリスさんは食べ物の方が喜ぶと思いますよ?」


「む、そうか、サーラ殿。では何にするべきか・・・?」


「ベスちゃんは本やでぇ?」


「そ、そうなのか?っく、金貨一枚で買える本が無い・・・主君、お金を下さらないか?」


「クレア、これで足りるか?」


「済まない、セリス。だが後、金貨二枚必要だね。」


「マオちゃんも食べ物の方が・・・。」


「そうなのか、サーラ殿!?」


「クーデリカの好みが分からないわね?」


「ルイスさん、クーデリカちゃんにはこのイルカの髪留めなんかどうですか?」


「サーラ、いいの見つけたなぁ。」


「これにします!御幾らですか?」


「毎度っ!姉ちゃん。それだと銅貨15枚だよ。」


「銅貨十二枚になりませんか?」


「姉ちゃん、十四枚にするぜ?」


「では十三枚で・・・。」



【・・・け、結構時間がかかるんだね。】


「坊主、女子の買い物は時間がかかるもんじゃよ。」


【そうなんですね・・・。】


このままでは時間がいくらあっても足りない。

仕方がない。


【師匠、ちょっと知り合いに挨拶に行って来ますよ。】


「嬢ちゃん達は大丈夫じゃろう。どのぐらい時間がかかるんじゃ?」


【一時間ほど頂ければ回れると思います。】


「うむ、言って来るが良い。」


【皆の事お願いしますよ?】


「任せよ。」


【・・・6th マーカー。】


よし、じゃあ行くか!


【行って来ますね、4th リターン!】


「気を付けてな。」


どうしても、お別れの挨拶をしておきたい人がいたのだ。

ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!

まずは、いつもの!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

誠にありがとうございます!

旅行?

そんなイベントはボッチの拙者にはありませんよ!

と言う事で新話、お届けです。

それでは、次話 挨拶をしておきたい!(仮 で、お会い致しましょう!

御疲れ様でした!


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