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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第四幕 第一章:帝国での思い出
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海の魔物の脅威

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!

執筆が終わりました。

楽しんで頂ければ幸いです。

「目撃情報はこの辺りなんですか?」


「そうだ、アーサー殿。深海にいるテンタクルスが、何かの事情でこんな近海に現れたんだ。」


「グレイさん、テンタクルスが追い出される程の魔物がいるなんて事はありえますか?」


「長年海に出ているがそんな事は一度も無かった・・・だが、無いとは言いきれん。」


「・・・。」


「アーサー殿の嫌な予感とはそれか?」


「ええ、海のヤバイ敵だと「カリュプディス」や「リヴァイアサン」と言った奴らだと思うんですよ。」


ゲームでもボスだったからね。


「俺は見た事は無い・・・だが、そいつらは海の噂にもなる伝説的な魔物だろう?」


「ええ、でも・・・いると思います。」


ゲームではいたからね。

この世界でいたとしても不思議ではない。


「一応、頭に入れておく。」


「お願いします。」


「頭!目標地点が見えてきました!」


「各員、警戒しろ!痕跡を見逃すなよ!」


「「「ヘイ!」」」


「皆、おはよう。・・・どうした、アーサー?ピリピリしているぞ?」


「ノモス、おはよう。そうなんだ、嫌な予感がする。それにね、この嫌な予感は当たる事が多い。」


「索敵はグレイ達に任せておけばいい。出番が来たら頼むぞ?」


「ああ、全力で皆を守るさ。」


「お前はそれでいい、頼んだぞ、アーサー。」


そう言ってノモスはグレイさんのいる船首へと向かった。

すると緊迫した声が上がる。


「頭!何かいる!でかい!」


「接近して来るか?」


「いや影は見えるけど動かねえ、それに報告よりでかい!」


自分の目で確認したいので船首へと向かう。

確かに報告よりも大きいな。

黒い影が水面から・・・予定通りやるか。


「近づかれる前に魔法を使います!」


「アーサー殿の魔法が行くぞ!警戒の旗を上げろ!」


「了解でさあ!」


魔法陣を展開させると呪文を唱えだす。


蒼穹そうきゅうよ、閉じよ。曇天どんてんよ、唸れ。風の流れが瞬時に堕ちる様に・・・」


その影はまだ動かない。


「大気の精霊に願いたてまつるは幾千もの雷光。出でよ我らの敵たる者を・・・」


「お頭!なんか変だ!?」


「どうした!?」


その黒い影が浮かび上がる。


雷霆らいていよ、鮮烈せんれつなる輝きはそらを裂き地上に降り注がん!」


朝焼けの空に雲が、かかり空が真っ黒になる。


「・・・あれは、テンタクルスの死骸だ!索敵!警戒を強めろっ!」


「「「アイサー!」」」


「確認急げ!アーサー殿の嫌な予感とは、あの大きさのテンタクルスを殺す奴がいるって事か!?」


「頭!南の海面だ!動いている!何だか解らねえ!近付いて来るっ!」


「緊急離脱!逃げろ!」


「「「アイサー!」」」


「神罰よ降り注げ!」


船が十分に間合いを取った事を確認して力のある言葉を唱える!


「落ちよ!雷の槌! 10th 神々の戦槌(トールハンマー)!」


ゴゴゴゴゴゴ・・・


その動いている巨大な未確認の生き物に照準を合わせる。

パリパリと小さな雷を上げるその雲の塊から、天から落ちる特大の雷の柱。


カッ!


ズガガガン!


ピシャーーーン!


バリバリバリ・・・バリッ・・・。


パリッ・・・パリパリッ・・・。


10thの魔法のせいでかなりの海水が蒸発した。

盛大に水煙も上がる。

収まって来ると見えて来た。

その範囲内にいた魚達が感電して浮かび上がっている。

船は魔法の範囲外に移動していて無傷だった。


「これが10thの魔法か!」


「すげえ・・・。」


「海面に泡が・・・出てくるぞ!総員、掴まれるものにしがみつけ、波が来るぞ!」


ザッパーン!!!


「クアアアァァァーン!!!」


「坊主、コヤツは違う!話の奴とは違うぞ!」


「兄貴!テンタクルスじゃねえぞ!?」


【こいつは、カリュプディスです!】


「「「なんだって!?」」」


「アーサー殿!カリュプディスとは何だ!?」


【硬い甲殻を持ち、鋼のロングソードなどの武器は甲殻で弾き返してしまいます。重量級の武器も近距離の攻撃でないと効果は薄いでしょう。船に覆い被さる様に襲い掛かって来るので、近距離になれば大砲は撃てません。それよりなんでこんな近海にいるんだ?コイツは深海が生息地のはずだぞ!?】


「アーサー殿!来るぞ!」


【そのまま、本船に取りつかせて下さい!剣の、武器の届く位置へ!】


「本船がヤバイですけど、いいんすか!?」


【もう大砲の撃てない近距離です。逆に取りつかせれなければこちらの攻撃が出来ません!】


「お前ら!やるぞ!」


「「「アイサー!」」」


【セリス、クレア、師匠、ディアナ、出番です!】


「分かったぞ、旦那様!」


「いつでも行けるぞ、主君!」


「待ちくたびれたぜ!」


「ほっほ、任されよう。」


【海には落ちないで下さいね!】


「「「了解した!」」」


俺の号令で全員が武器を抜く。

仕留め損なわないように、グレイさんにお願いする。


【グレイさん、護衛艦で逃げ道を塞いで下さい!】


「聞いたな、野郎ども!塞げ!塞げ!」


「「「アイサー!」」」


【セリス、ディアナ!足に見える触手は鈍いので適当に攻撃を!接近したら目のついている本体部分の柔らかい所を攻撃して下さい!】


「任されよう、旦那様!」


「行くぜ!行くぜぇっ!」


セリスが構えを取り、ディアナは拳同士を突き合わせる。


【クレアはそのまま甲殻に穴を開けて下さい!師匠は近付いて、邪魔をする足を攻撃して下さい!】


「了解だ、主君!」


「さて、行くかのぉ。」


皆に指示を出すと、俺はバックパックからミスリルカタナを取り出す。

新しい相棒の攻撃力なら邪魔をする触手や足なら問題はないだろう。

それに俺と師匠の相棒は特別製だから甲殻も斬れるはずだ。

そしてコイツ。


カリュプディス。


コイツは蟹のように甲殻類っぽいんだけれど、足の他にあるイカのような触手で攻撃して来る。

ゲームの時も全身が見える事は無かった。

そして最大の問題は船の大砲が撃てない程の近距離でなければ武器での攻撃が出来ないのである。


ゲームでのこいつはドロップも不味いし船を犠牲にしたりと、とにかく美味しくない。

深海上と言う自由にならないMAPにいる為に面倒臭いボスとして放置されていたのだ。

まさか、リアルで戦う事になるとはね!

海路の安全確保の為、放置は出来ない。


ここで倒すんだ!


「ハアッ!」


ズバッ!


セリスの一撃が近付いて来た触手を切断する。


「シャアアアアァァァッ!」


「ッハ!」


セリスが処理した後の道をクレアがサイスを構え飛んで行く。


ザグッ!


「シャギャアアアァァァー!」


クレアの攻撃だと甲殻に穴が空くね。


「ふぉっ!」


ズバッ!


師匠が剣を振るうと十本あるはあるだろう怪物の足の一本が切り取られる。


「オラァッ!」


ドガッ!


クレアが空けた穴にディアナの拳が突きこまれる!

俺の魔法の気配を感じたのかディアナが離れる。


【・・・7th チェイン・ライトニング!】


ピシャー!


「ゴアアアァァァー!」


やはりエネルギー属性が効きますね!


「旦那様、触手がそちらに!」


【構いません、攻撃続行です!】


「はい!」


触手を切り伏せながらチェインライトニングを唱える。

あまりの巨体の為なのか、動きが遅い。

それとも、10thの魔法が効いたか?


「ピュギィィー!」


カリュプディスを観察すると動きが鈍いように思える。

おや?

もしかしてダメージで動きが鈍いのか?

良く見ると体のあちこちに黒く焦げたような跡がある。


【先程の魔法が効いているようです、今のうちに攻撃を!】


「分かった、旦那様!」


「了解だ、主君!」


「兄貴、なんか変だ!」


「坊主、コヤツ体液がおかしいぞ!?」


【体液ですか?】


「そうじゃ!」


頭の中のゲーム脳で検索する。


「頭、俺達も行くぜ!」


「援護しろっ!ガスコーニュ!イベリコ!思う存分に暴れろ!」


「「応ともよ!!!」」


「いくぞ!野郎ども!」


「腰は引けてねえなっ!」


「「「アイアイ!」」」


「「突撃だ!」」


「「「ヒャッハー!」」」


「好きなように暴れろ!相手はバケモンだ!」


ああ、グレイさんの所の戦闘部隊か!

援軍は頼もしいね。


「はっはっは、負けられないぞ、皆!」


「そうだな、行くぞ!」


「ふぉっふぉ、まだ余裕があるのぉ!」


「久しぶりの実戦だ、楽しませてもらうぜ!」


「その通りだね!」


「ギャオオオォォォー!」


ギィィッ!


セリスの攻撃が甲羅を傷つける。

傷はつくが軽量級の武器では斬る事が出来ないようだ。

それだけ硬いのだろう。

まだ、現在のセリスのスキル値では斬りさく事は出来ないようだ。


「っく、何だこの甲羅はっ!」


「セリス!」


「っ!?」


セリスが察してバックステップするとその位置をクレアの重量級のサイスが飛んで来る!


ガゴォン!


「うん、私の重量武器のサイスなら甲殻にも穴が空くね。」


「分かった、触手などの露払いは任されよう。」


「アタイもそっちの方が良いね。」


「頼みました、セリス、ディアナ!」


「行くぞ、化け物め!」


あ!

そうか!

思い出した!


【皆!恐らくですが血が酸かもしれません!口とは別に酸を吐く器官があるはずです!】


「何じゃと!?」


【体液を浴びないようにして下さい!】


「「「分かった!」」」


勢いを付ける為にクレアが下がる。


「ハアッ!」


勢いをつけてクレアが飛ぶ!


ガゴッ!


その巨大な体に見事に穴が空いた。


「このままやる、セリス!」


「やってくれ、クレア!」


「穴が空いた所に追い打ちをかけろ!」


「「「アイサー!」」」


グサッ!


ドシュ!


「ガオオオォォォン!」


パリッ・・・パリパリ・・・。


カリュプディスの触手が青い光を放つ。


特殊攻撃(ライトニング)が来ます!一旦下がって下さい!】


「クレア、皆!退避だ!」


「分かった!」


「分かったぁ!下がれ野郎ども!」


「「「アイサー!」」」


「攻撃が来る、退避!」


カリュプディスの触手の先が青く点灯する。


バリバリッ!


ドゴオオォォォ・・・!


青色の雷が船の各所に落ちる。


「ガス!船の被害状況を確認しろ!」


「ヘイ!頭!」


「皆、無事か!?」


「主君は平気そうだね。ふふっ、お返しをしないとね。」


シュッ!


クレアがカリュプディスの腹に向かって飛ぶ!


ガゴォオン!


その一撃でさらに穴が広がる。


【攻撃を続けましょう、効いていますよ!】


「「「応!」」」


「「「アイサー!」」」


【・・・7th チェイン・ライトニング!】


ピシャァーン!


「シャギャアアアァァァー!」


「お前ら!今のうちだ、叩き込め!」


「「「ハイサー!」」」


「旦那様、好機です!」


【さらに鈍くなりましたね!】


「クレア!ディアナ!」


「任せたまえ、セリス、ディアナ殿、我に続け!」


「応ともよっ!」


ズシャッ!


「ギャオオオオォオッォ!」


【師匠!】


「年寄りをこき使いおって!」


ザグッ!


そうは言いつつ師匠の攻撃で甲殻類独特の足が斬り飛ばされる。


「シャギャオオオオォォォン!」


クレアと師匠の空けた傷口に皆が群がる。

更に動きに精彩を欠いたカリュプディスに船員組が追い打ちをかける。

その間に、チェイン・ライトニングを撃ちこむ。


【・・・7th チェイン・ライトニング!】


ピシャーン!


これならどうかな?


「ゴゴゴアァァァー!」


カリュプディスは苦しげなうめき声を上げる。


「怯んだぞ!全員かかれー!」


セリスの号令の元、皆が飛び掛かる。

流石のカリュプディスでも初手の10thが効いていたのだろう。


「ガオオオォォォー!」


「何か来ます!退避!退避!」


皆が下がる。

下がっているうちにもチェイン・ライトニングを浴びせて行く。


「グオアァァァァ!」


ベシャアッ!


これは!


【酸の体液です。かわして下さい!】


ベチャ!


バシャ!


「グアアァァァ!」


酸を浴びた船員が転げまわる。


「頭!溶ける!」


「水だ!水で薄めろ!」


グレイさんが必死に叫ぶ!


「船の足場が!?」


「落ち着け!冷静に対処しろ!お前達が酸を被っても、その程度の火傷ならアーサー殿が直してくれる!」


「「「アイアイサー!」」」


「こんなもんでビビる俺達じゃねえぞ!」


「そうだ!行くぞ、お前ら!二度と吐き出せないようにしてやれ!」


「「「アイアイ!」」」


ここがチャンスだね!


【クレア!開きっぱなしになっている口を狙って下さい!】


「心得た、主君!」


【セリスとディアナは広がった傷口を狙って下さい!】


「分かった、旦那様!」


「任せろ、兄貴!」


【師匠、酸には気を付けて機動力を奪って下さい!】


「うむ、任されよう!」


クレアのサイスが命中し十分な打撃を与えるとガスコーニュさんとイベリコさんの隊が追撃をかける。

セリスは右目ディアナは左目に絞って攻撃を仕掛けているようだ。

師匠は甲殻の付け根を綺麗に切り飛ばす。

俺は後ろに回って魔法を唱える。


ここが追い込めるチャンスだ!


「シャギャー!」


【総攻撃!ここで倒しますよ!】


「「「応!」」」


「「「アイサー!」」」


クレアのサイスが甲殻に穴を開ける。


「どうだ!怪物よ!主君特製のサイスの味は!」


セリスはその穴から内部に斬り付ける。


「ハアアァァッ!甲殻が無ければどうと言う事は無いぞ!」


ディアナはその拳に炎を纏い体液を蒸発させながら甲殻に空いた傷口を攻撃している。


「ダブル・ボルケーノナックルッ!どうだ!炎の味は!」


師匠は甲殻のつなぎ目に斬り付けて腕や足を切り飛ばす。


「四の太刀・崩月!フハハハ、良い手応えじゃ!」


俺は、その間にチェインライトニングでダメージを与える。


「ガアアァァァーーー!!!」


その後も何度かアタックをし、敵が動かなくなったのを確認した。

これでお終いかな?

死の擬態では無いな?

カリュプディスはついにその巨体を船上に横たえる。


本船に張り付いた、カリュプディスはその体をぐったりとさせていた。


様子を確認し、敵が動かないと見ると、怪我や火傷をした人達にポーションを配る。


「アーサーさん、ありがとうでやす!」


「怪我人は?他にはいませんか?」


「アーサー殿、大丈夫なようだ。化け物も動かない。」


良かったよ、どうやら倒せたようだ。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

それでは、次話 貴重な資源かも?(仮 で、お会い致しましょう!

御疲れ様でした!

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