未来への展望
皆様、おはようございます!
執筆終わりました。
それでは、お楽しみ下さい。
次の日。
ルイスを連れて王国へ戻って来た。
ナナリーさんと話をする為である。
「ナナリーさんが賛成してくれると良いわね。」
【そうだね、ルイス店長。】
「もう、まだ早いわよ。」
【あはは、じゃあ、行こうか。】
「ええ、貴方。」
二人でいつもの宿屋の扉を潜る。
早速女将さんに見つかった。
「小僧とルイスちゃんじゃないか。」
【ただいま、女将さん。】
「ただいまです、女将さん。」
「小僧、いつになったら落ち着くんだい?」
【もうやる事はやったので、明日にでも帰って来ますよ。】
「そうかい、トマスに料理を教えてやっておくれよ。」
【手が空いている時でもいいですか?】
「構わないさね。」
【で、ナナリーさんはいますか?】
「この時間なら洗濯さね。」
【会って来ますね。】
「行ってきな、小僧。」
「【行ってきます、女将さん。】」
二人で挨拶をして中庭に出る。
えーっと・・・。
目標の人物がシーツを干していた。
「【ナナリーさん!】」
「ヘファ君、それにルイスさんも、どうしたんですかー?」
【そろそろ落ち着いたから、戻って来るよって言うのと、真面目な話をしに来たんだ。】
「ルイスさんとの結婚の事かしらー?」
【それもあるんだけれど、俺のやりたい事を手伝ってほしいんだ。】
ルイスとナナリーを中庭のベンチに座らせて話をする。
「ヘファ君のやりたい事ですかー?」
【うん、戻って来たらルイスと結婚するのは言ってたよね?】
「ええ、その後に私の母も呼んで下さるとー。」
【うん、でね、その後の事なんだけど。】
「はいー。」
【お店を持ちたいので、ナナリーさんにも手伝ってもらいたいんだ。】
「ついに決めたのですねー?」
【うん、皆には先日話してあるんだけれど、ナナリーさんにも賛成してもらいたくてルイスと来ました。】
「ふふっ、反対するわけないじゃないですかー?」
【ありがとう、ナナリー。それと、苦労をかけたね。】
「苦労なんてとんでもないです、私はヘファ君の助けになる事なら喜んでお手伝いしますよー?」
【いや、皆の面倒を見ながら宿屋での仕事だもん。大変だったでしょう?でも、もう少しなんだ、付き合って下さいますか?】
「もちろんです、お付き合い致しますよー!」
【ありがとう、ナナリー。】
「ありがとうございます、ナナリーさん。」
ナナリーに皆に言った事を話す。
「副店長ですかー?」
【そう、ナナリーさんの経験でルイスを助けてほしいんだ。もちろん難しいなら無理は言わない。】
「私の経験でルイスさんやヘファ君が助かるのなら手伝うのは構いませんよー?」
【ありがとう、ナナリー。】
「頑張ります!」
ルイス様はやる気満々のようだ。
「ふふ、目標が見つかったのですね、ヘファ君はー。」
【とにかく、近いうちに帰って来るから、それまでよろしくね。】
「はいー。」
【今日のところはこの辺でね。まだ爺さんの所に行っていないからさ。】
「ヘファ君はドリュカス様に御話をするだけでも良いのですよー。」
【ん?爺さんと?】
「そうですー、激務のようでお会いするたびに元気がなくなっているのですよー。」
【爺さんが・・・そっか、ありがとうね、ナナリー。俺なりに元気付けてみるよ。」
「それでよろしいかとー。」
【それと、言うのが遅れちゃったけれど、ナナリーの大切な人を迎えに行かせて下さい。】
「ヘファ君が自らですかー!?」
【ナナリーにとって大切な人ならば、俺にとっても大切な人だよ?義理とは言え母親になる人なのだから。】
「ヘファ君・・・ありがとうー。」
【それでね、お義母さんには寮の管理人をしてもらおうと思っててね。】
「母にも仕事を下さるのですかー!?」
【うん、建物の周りの掃除がメインになると思う、それに未成年も働ける場所にしたいから、色々と考え中なんだ。】
「そう言う御話でしたら、早くドリュカス様の所へ行くのをお勧めしますよー?」
【爺さんの助けになるなら、この後に行った方が良いね。】
「行ってあげて下さいねー。」
【もちろんだよ、ナナリー。】
「行ってらっしゃい、ヘファ君ー。」
【そろそろ行こうか、ルイス。】
「ええ、行きましょう。」
【ナナリー近いうちに帰って来るからね。】
「皆さんとお待ちしてますよー。」
そう言うとルイスを連れて貴族屋敷に向かうのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
貴族屋敷に着くと、すぐにステファンさんが案内してくれる。
爺さんは応接間にいるらしい。
【よーっす、来たぜ、爺さん。】
「あんちゃんとルイスちゃんか!これぞ天の采配よな!」
【・・・何かあったんですね?】
「ああ、『討伐指定のモンスター』が、北東の原生林に住み着いてしまってな。」
ゲームでも討伐クエストで人気を博したコンテンツの事かな?
【それで、何が住み着いたのさ。】
「ドレイクじゃ、じゃが、資料を見るに、こいつを放っておくとドラゴンを呼び寄せるらしいのでな、困っておるのよ。」
【そのドレイクを倒せばいいんだな?】
「事はそう簡単な事ではないぞ、あんちゃん。速いところ処理しないとな、ドラゴンを呼び寄せられたら一大事じゃ。」
【ドラゴンか・・・。】
まだこの世界では戦った事の無い相手だ。
それに、ゲームと違って強い部類に入るらしい。
いいね、師匠と戦闘職の娘でも誘って討伐できるのかも確認したいし、ドラゴンの皮も欲しかったところだ。
・・・念の為、ジャスティン達を誘ってみるか?
ああ、でもバックパックの素材になる物があったな。
自腹で作るのもありか・・・。
参加者分を作れればいいかもしれない。
フェイはその方が喜んでくれないだろうか?
危険な事をしたって怒られるだろうか?
【で、爺さん。そのドレイクを何とかすればいいんだな?】
「そうじゃ・・・あんちゃん。無理は駄目じゃぞ?」
【そう言えばオーガの牙に頼んでないの?】
「彼らはもう一つのハントマスターを頼んでおるんじゃよ。そちらは旅人に被害者が出ておるのでな。」
【もう一つの魔物?】
「西に行くと砂漠になっておる丘陵に住み着いた冒険者ギルドの『天災の死神』、No.28のマンティコアじゃよ。」
【ナチュラルディザストのマンティコアだって!?】
「う、うむ。あんちゃん・・・何か不味かったかの?」
【もしかして『疫病』って言う二つ名じゃないだろうね。】
「良く知っておるではないか、その「疫病」が二つ名じゃよ。」
【爺さん、ナチュラルディザストが冒険者にとって天災の死神と呼ばれるのには訳があるんだ。】
「ど、どんな訳じゃ!?」
【単純に強いんだよ、ちなみに疫病さんはデバフしか魔法を使わない。】
「何故じゃ?」
【相手を生きたまま動けなくして、身体から食べるんだ。それで、食ってる最中の相手の絶叫を楽しむんだよ・・・趣味が悪いだろう?】
「そんな事を?っく、無事でいてくれよ、オーガの牙!」
「貴方、すぐに助けに行かないと!」
【ジャスティン達ならと、言いたいが今は行動する時だ。爺さん、場所を教えてくれ!】
「分かった、地図だと・・・ここらへんじゃ?」
【ああ、分かった。ちょっと行って来る、ルイスの事を頼んだ!】
「気を付けて、貴方!」
「済まんの、あんちゃん。」
地図を受け取り急いでその場所に向かう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『範囲呪い。』
「っく、今度は呪いですか!?ナチュラルディザストとは、ここまでやりにくい魔物なのですか!?」
「っく、この野郎!」
『ファイヤー・フィールド』
「くそっ!また分断されちまった!」
『エネルギー・ボルト!』
「ぎゃっ!」
「アンナ!?・・・グレーター・ヒール!」
「くぉ!ありがとうなんさ~!」
「流石に討伐ランクに載っている訳ですわね、ですが倒さなければ被害が!」
「ここで仕留めるぜ!」
「「「応!」」」
「ダン、サソリ型の尻尾を狙います!」
「おうよ!」
「未知の毒など食らう訳にはいきませんからね!」
「援護なんさ~!」
「補助をしますわよ!・・・ハイ・プロテクション!・・・ブレッシング・オール!」
「行きますよ!皆!」
「「「応!」」」
【この『ケイゼル』様の前で無防備に集まりおったな!受けるが良い、『イービル・オーメン!』】
「ラフィア!」
「弱化魔法です!これは・・・呪われますわ!」
「効果は?」
「麻痺や毒、病気などがランダムです!」
「ぐおっ!?」
「ダン!」
ダンの症状は麻痺だろう。
「っく、病気にされましたわ・・・!」
「毒なんさ~!」
「僕は気分が・・・。」
「病気ですわね。」
『パラライズ・フィールド!』
「「「なっ!?」」」
資料にあったようにデバフ魔法しか使ってこないのか!?
こ、このままでは・・・。
その獅子のような顔が近付いて来る。
アンナに向かって・・・。
「あーっしは美味くないんさ!」
そう言いつつ、アンナは解毒ポーションを飲む。
「ふうっ!食らうといいんさー!」
ギシッ!
ギギギッ!
【ほう、まだ動くか。「パラライズ・フィールド」!】
「あったれー!」
シュゴゴォォォー!
アンナの放った弓は獅子の右前足を遠慮なく持って行った。
【っち、お前はわしが食ってやる、その前に耐えられるかのう?】
「く、くそっ・・・。」
外してしまった。
しかも全員が麻痺まで受けてしまった。
「まいりましたね、アーサーからデバフの事をもっと聞いて魔法耐性を上げておくべきでした。」
「くっそ、手を抜いたつもりはないんだけどな。」
「アーサー君とディアナがいないだけで・・・こんな・・・。」
「っく、皆の動きをもっとよく知る必要がありますわね・・・次の機会があればですが・・・。」
【大人しくなったでは無いか、さあ、小娘、約束通りお主から食ってやるぞ。】
「や、やめるんさー!」
【意識のある中で、何処まで耐えられるかな?】
「やめろっ!アンナ!?」
「くぅ・・・皆、ごめん・・・。」
【では、食らうとするか!】
ダダダダダ・・・!
【ん?】
【ちょっと待てぃ!】
【次から次へと・・・今度は何だ!?】
【紅蓮の助っ人参上!】
「ア、アーサー・・・。」
「アー、サー様・・・。」
【ふははは、そのような者が来ても遅い!パラライズ!】
【・・・うん、効きませんね!】
【馬鹿な!「イービル・オーメン」!】
【・・・病気?この程度なら問題はありませんね。】
【ば、馬鹿な?動けるのか!?】
【言ったでしょう、問題は無いって。】
【っく。】
マンティコアが翼を広げた。
【逃げるのですか?まあ、逃がしませんけれどね!】
獅子の身体から生えている翼を素早く斬り伏せる。
【ギャアアァァァ!】
【これで逃げられませんよね?】
【何故だ?貴様何者だ!?】
【紅蓮の助っ人ですよ!】
【っく、『フィーブル・マインド!』】
【その魔法も効かないって言ってますよ?】
【馬鹿な!インテリジェンスが我より上なのか!?】
【説明をありがとう、では・・・『マス・ディスペル』!】
【範囲解呪だと!?】
「ん、身体が動く!おかげ様で体の痺れが無くなって来ました。」
「応、立ち上がれるようになったぜ!」
「アーサー君、ありがとうなんさ~。」
「アーサー様、未熟な私共を助けて頂き、ありがとうございます。」
【さあ、止めは任せますよ?俺はここに来ていない事になっていますからね?】
「ダン、止めを!」
「任された!」
【こんな馬鹿な、理不尽な事があるのか!】
「済まねえな、アンタは強かったぜ・・・アーマー・イグノア!」
ザシュッ!
【ギャアアアァァァ!】
ダンに首をはねられ、絶叫を上げてその魔物は息絶えた。
「討伐部位は?」
「口の牙ですわね。」
解体はまだ慣れないのでこの辺で去るとしよう。
【では、皆さん。気を付けて下さいね。】
「助かったよ、アーサー・・・提案なのですが僕達を鍛え直して下さいませんか?」
「・・・アーサーよ、頼む、また鍛えてくれよ。」
【ディアナと同じにしごきますよ?】
「構わねえ、試練は乗り越える為にあるんだったよな?」
【そうです、分かって来ましたね、ダンさん。】
「アーサー君、あーっしもお願いするのさ~。」
【復興の合間に皆さんを鍛えましょう。】
「ありがとうございますわ、アーサー様!」
「・・・僕達は少し驕っていたのかもしれませんね。」
「そうだな、相棒。」
「基礎から鍛え直してもらうのが良いんさ~、今なら剣聖様もいるっしょ?」
「そうですわね、せめて、8thまでの魔法を自在に使えるようにしなければ・・・。」
「新たな目標が出来ましたね。」
「ナチュラルディザスト、恐ろしい相手でしたわ・・・。」
【王国に帰って来たら詳しく相談しましょう。】
「ええ、頼みます。」
【これで、依頼は達成しましたよね?】
「君のおかげだよ。」
【いえいえ、それでは解体が終わったら戻りましょうか。】
「・・・頼みます。」
剥ぎ取り終わるとゲートの魔法を使い、皆で中央広場に戻る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お帰りなさい、貴方。どうだったの?」
【うん、ちょっと危なかったよ。間に合ったから大丈夫。】
「そうなのね?」
「あんちゃん。悪かったな、今後、ナチュラルディザストの依頼をする時は気を付ける。」
【オーガの牙もそんな事を言ってましたよ。被害が出てなくて良かったです。】
「ナチュラルディザストか・・・そこまで手強いとは、この依頼は良く精査してやらんとな・・・。」
【爺さん、困ってるなら、俺がやるよ。】
「むう、すぐにと言う事は無いんじゃ。が、その時は頼らせてもらおうかの。」
【今なら剣聖様と俺の二人で倒しに行くぜ?】
「ハッハッハ、それは良い。剣聖様が国にいるうちに協力してもらうとするかの。」
「ねえ、貴方。そろそろ・・・。」
【おっと、そうだった。爺さんの言う通りに天辺取って来たぜ。】
「うむ、あんちゃん、本当におめでとう!とてもめでたい知らせじゃ。この件で民達に少しでも笑顔が戻るじゃろう。」
【それでだ、爺さん。そろそろ将来の事を考えたんだけれど、店が欲しいんだよ。】
「ほう、この街に出してくれるのか?あんちゃんはエクスィ・スィデラスなのだから多少の融通なら聞くぞ?」
【そこでだ、この街の行政の邪魔にならない場所とかってないかな?】
「ふむ、それならばちょうどいい物件があるぞ?」
「【あるの!?】」
「ああ、あの戦で後を継ぐ者がいなくなった男爵家なんじゃが、新区画で余生を過ごしたいらしいんじゃ。だが、店にするのならそれなりに費用が必要じゃぞ?」
【費用は心配してないんだ、安全であるのならルイスを店長にしようと思っているんだよ。】
「嬢ちゃんをか?」
【そう、副店長として商業ギルドにいたナナリーさんを付ける。】
「ナナリーちゃんもいるなら大丈夫じゃろう。」
【それで探してる人がいるんだよ。】
「探し人じゃと?」
【うん、ルイスに経済学とか商人としての心構えを教えてくれそうな人。】
「王国は勉学が盛んではないからのう・・・じゃが、一応探しておくぞ。」
【よろしくな、爺さん。後はその男爵邸の近くに、少し開けた土地が欲しいんだ。】
「そこは何をするんじゃ?」
【寮という物を作る。所謂、従業員の簡易な家だ。】
「ほう、それならば男爵邸は北通りの北東エリアにあるからちょうど良いのではないかの?北通りの北東エリアには手のついていない土地があるでそこを活用すればええじゃろう?」
【それは、適当に貰っていいの?】
「あんちゃんよ、エクスィ・スィデラスともなれば尊爵じゃぞ?多少の融通はきくんじゃぞ?」
【ああ、権力な?爺さんも知ってるだろう?俺はそう言うの嫌いなんだよね。】
「ははは、そうじゃったな。ならば好きな所を持って行くが良い。限度は考えるんじゃぞ?」
【分かった。できうる限り加減する。】
「ところで・・・あんちゃんから見て、レガイアは・・・どうだったかの?」
【各国の王がいる中で、落ち着いていて貫禄もあり、他国の王と比べてもそん色ない、品もあり偉ぶらず年上を敬う、良い王様になってくれるだろう、って言うのが俺の感想。】
「そうか、そうか・・・。」
【おい、爺さん、まさかとは思うけれど引退には少し早いぜ?】
「そのつもりはない、安心せよ。ここ、オーカムはわしがくたばるまで公家の領地じゃよ。」
【さて、現地を見て決めようかな。ルイス、待たせちゃったね。近いうちに皆と一緒に見に行こう。】
「ええ、貴方。」
【今度は皆で挨拶に来るよ、爺さん。】
「ドリュカス様、また来ますね。」
「楽しみにしておるぞ!」
大きくなったな、あんちゃん。
しかし、店を出したいじゃと?
エクスィ・スィデラスの第一席が出す店。
今までは無かったからのう。
それだけでも人が集まるのではないか?
・・・多分これがあんちゃんなりのこの街の支援とする事なのだろうな。
色々とありがとうな、あんちゃん。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
まずは、いつものから!
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大変に励みになります!
皆様に感謝を!
さて、次話 討伐隊出港(仮 で、お会い致しましょう!
お疲れ様でした!




