クーデリカ、その一
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!
ちょっとお箸休めに、閑話となります。
お楽しみ頂ければ幸いです。
私の名前は、クーデリカ。
あの日までは・・・平穏な日々を送っていた。
そう、あの日までは。
私達は砂漠の民。
砂漠のオアシスを探し、そこで過ごす部族だ。
部族の人数が多くなるとその部族は半分ほどに分かれる。
長老の部族はそのオアシスで過ごし、残りの半分の部族は新しいオアシスを見つけに旅に出る。
私達は後者の部族。
今日もオアシスを目指して砂漠を歩く。
「お母さん、喉が渇いたよ。」
「お水は貴重だから少しずつ飲むのよ?」
「えへへ、お母さん、ありがとう!」
皮の水筒から慌てて零さないように水を飲む。
ゴクッゴクッ・・・
「っぷは~・・・お母さん。お水って美味しいね!」
「そうだよ、お水が無ければ私達は生きて行けないからね。豊穣の神様に感謝するんだよ。」
「はーい!豊穣の女神ポロス様、ありがとうございます!」
「うん、ちゃんと感謝出来る子は「良い子に育つ」て言うからな。クーも良い子に育つぞ。」
「お父さん!お帰りなさい!」
「お帰りよ、アンタ。」
「ああ、今回はちょっと遠くなるかもしれないと『目』が言っているらしい。」
「そうかい、水の貯えが間に合えばいいんだけどね。」
「まあ、遅くともその頃には次のオアシスに着いているだろうさ。」
「そうだと良いんだけどねぇ。」
「クー、頑張れるか?」
「うん、お父さん!」
「良い子だ、もう少し頑張れ。」
「はーい!」
そして荷車を押し歩き始める。
定住できるオアシスを目指して。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それが起こったのは夜も更けた頃だった。
「「「ウワアアアァァァー!」」」
「クー!起きるのよ!」
「んー?どうしたのぉ・・・お母さん?」
「テラサンがいたんだよ!襲って来た!逃げるのよ!」
「お父さんは!?」
「それどころじゃないのよ、貴女だけでも逃げて!」
「お母さんはどうするの!?」
「クー、私の可愛い、宝物・・・クーデリカ。貴女だけでも逃げて、ね?」
「嫌だよ!私もお母さん達と一緒に」
パン!
痛い!
ほっぺを叩かれた。
お母さんには叩かれた事なんか無かったのに!?
「いいかい?幸いなのはここは街道の近くだ。南、あの星の方に逃げるんだよ?」
「お母さんはどうするの!?」
「クーが逃げきるまでならアタシ達で何とかする!」
「お母さん、離れちゃ嫌だよ!良い子でいるから、一緒にいて!」
「聞き分けなさい、クーデリカ!」
「嫌だ!嫌だよぉ!?」
「いい、良く聞きなさい。私の可愛いクーデリカ。」
「ううっ・・・。」
「ここから南に向かうと、帝国のタラサと言う街がある。そこまで逃げるのよ?」
「お父さんとお母さんと一緒にいたいよ!」
「私達の宝物、クー。いいから早くお逃げなさい!」
「シャギャアアアァァァー!」
「もうこんな所まで!?っく!?」
そう言うと、お母さんは料理で使う棒を持って私の前に立ちふさがる。
「お母さん!?」
「良いから逃げなさい!」
「シャギャアァ!」
「この子は・・・この子だけは!戦の神、ポレモスよ!この子を守る力を与えたまえ!」
「シャギャアアァァーン!」
ザグッ!
「ああっ!?ク、クーデリカ!生きなさい・・・私達の分まで・・・。」
「お母さん!嫌だ!お母さんがあああぁぁぁ!」
ドサッ
「シャギャアァァ?」
「うわあぁぁぁん!」
無我夢中でお母さんの言っていた星の方へ走る。
お父さん達もテラサンの群れには勝てなかったのだろう。
恐らくは・・・。
お母さんは目の前で殺された。
お父さん!
お母さん!
「うわあああぁぁぁん!」
その後、どうやって走ったのかは覚えていない。
とにかくテラサンから逃げられた時には安堵した。
物音がするたびにお父さんが追いかけて来てくれたのかと後ろを振り返る。
そんな淡い期待をしてしまう。
お父さんと、お母さんは、私を逃がす為に・・・テラサンに・・・。
「うわああああぁぁぁぁん!お父さん!お母さん!」
しばらくは泣きながら南を目指した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
辺り一面の砂。
日差しが強い。
喉が渇いた。
お水が欲しい。
お腹が減った。
御飯が食べたい。
お願いです、豊穣の神様、お水をお恵み下さい。
このままでは、お母さん達の願いを・・・。
「うっ、ううっ!お父さん!お母さん!」
駄目だ。
泣けば余計に水分が・・・。
「ん?」
水たまり?
前に水たまりが見える!?
大きい!
いや、それよりも水だ!
気力を振り絞ってそっちに進む。
建物も見える。
お母さんの言っていたタラサと言う街だろうか?
とにかく進む、その街を目指して・・・。
一生懸命に歩いたのにまだその場所には着かない。
それに、日が陰って来た。
目的の街にはまだ着かない。
このままでは、今度は砂漠の寒さでやられてしまう。
頑張って私の足。
もう少しなのだから。
お父さんと、お母さんの為に生きるの!
私は二人の宝物なのだから、その分も絶対に生きてやるの!
「ぐすっ・・・お父さん・・・お母さん・・・。」
駄目だ!
泣くな!
二人の思いに応える為にも動いて私の足。
しばらく歩くと、無情にも夜になった。
急に冷え込んで来た。
辛いよ。
もう二人に会えないのが辛いよぉ・・・。
日は完全に落ちてしまった。
寒い。
凍える様だ。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。
私もそっちに行きます。
耐えられそうにないの。
それに、生き残っても二人がいなければ意味がないよぉ・・・。
「ううっ、お父さん・・・お母さん。弱音を吐いてごめんね、私は諦めないよ。」
何時間ぐらい前に進んでいたのだろうか?
手足がかじかんで来た頃に、私はその街の外延部に辿り着いた。
中に入ると寒さは感じなかった。
それどころか暑苦しさを感じる。
「暖かい・・・ここは砂漠とは違うのかしら?」
それに着いたのは良いが全くアテが無い。
どうしようか?
とにかく明かりのついている所へ行ってみよう。
この街の建物は凄く綺麗だった。
部族の掟が無ければ、私達もこのような所に住めたのだろうか?
とにかくお水だ。
喉が渇いて上手く喋れない。
この家は明かりがついている。
帝国の人に会うのは初めてだ。
私達は基本的に使う言語は大陸共用語だ。
これは、お母さんに教わっているので読み書きが出来る。
ただ、この大陸を纏めているクヴァール帝国語は読めないし書けない。
こんな事になるなら、もっと真剣に勉強しておくんだったな。
「お母さん・・・お父さん・・・。」
泣くな!
そんな事より行動するの!
明かりのついている豪華な家の前に着いた。
「済みません。お水を頂けませんか?」
「・・・。」
掠れた声でもう一度お願いをしてみる。
「済みません!お水を頂けませんか?」
「・・・。」
返事はない。
ん?
良く見ると入り口に何かある。
「なんだろう、これ・・・?」
ドアに近づく。
獅子の口に鉄の輪っかが付いている。
気になって触ってみた。
ごっ・・・ごっ・・・
音がする。
音を出す道具なのだろうか?
これでドアを叩くのが正解なのだろうか?
ゴンッ!ゴンッ!
叩いたらびっくりするほどの大きな音が出た。
「・・・はい、どちら様でしょうか?」
「は、はい!?済みませんが、お水を分けて頂けませんか?」
「どちら様ですか?」
「私の名前は、クーデリカ。テラサンに襲われ、この街に逃げて来た砂漠の民です。」
「・・・。」
ガチャ
「その恰好、貧民ではないですか?残念ながら、この家の物は我々のご主人様の物です。水一滴たりとも渡す訳にはいきません。お引き取りを。」
「お、お願いです!お水をわ」
バタン!
・・・ドアを閉められてしまった。
「ううっ、ひんみんって何ですか?お水を!少しでもいいんです!お水を分けて頂けませんか?」
ゴンッ!ゴンッ!
「・・・。」
「お願いします!お水を分けて頂けませんか?」
ゴンッ!ゴンッ!
「・・・。」
「お願い・・・します・・・お水・・・ゲホコホ。」
どうやら駄目だったようだ。
ううっ・・・。
他に行ってみよう。
大声を出してしまったので、余計に喉が渇いてしまった。
諦めて他の明かりのついている家に行く。
何処の家も同じだった。
何処に行っても、ひんみんと言われ追い出される。
ひんみんって・・・私はひんみんと言う者ではない。
砂漠の民、カマルのクーデリカなの!
八件目の家だ。
これで駄目だったらココナッツを探してみよう。
帝国の名物なのだそうだ。
その実にはココナッツジュースと言う飲み物がはいっているらしい。
「豊穣の女神様、少しでもいいんです。お恵みを下さい。」
祈ってからドアを叩く。
ゴンッ!ゴンッ!
「・・・どちら様ですか?」
「済みません、私は砂漠の民のクーデリカと言います。申し訳ありませんが、少しでもいいので、お水を分けて頂けませんか?」
ガチャリッ
「・・・その砂漠の民が何でこんな所に?」
「テラサンに襲われ・・・私を残して・・・ぐすっ・・・家族も・・・。」
「・・・お気の毒に、少し待っていなさい。」
「は、はい!」
その人は家の中に戻って行った。
良かった、これでお水がもらえる・・・のかな?
しばらく入り口で待っているとドアが開いた。
「旦那様に渡しても良いと許可を頂きました。」
その人の顔、左の頬が腫れ上がっていた。
「か、顔!だ、大丈夫ですか!?」
「君はそのような事を気にしないでいい、持って行きたまえ。」
その人は革の水袋と包みを渡してくれた。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、良いですか?ここは貴族様の避暑地になっております。お嬢さんが尋ねられる場所ではありません。」
「貴族様?」
「ええ、偉い人の家、と言えば分かりますか?」
「偉い人?」
「はい、それなので」
「ロビンソン!まだ終わらないのかっ!」
「済まない、お嬢さん。私は行かないといけません。」
「は、はい。」
「お嬢さんに『アリステリア様』の加護のあらん事を。」
「ありがとうございます!」
「旦那様、ただいま終わりました。」
そう言ってロビンソンと呼ばれた男の人はドアを閉めてしまった。
「ありがとうございます、ロビンソン様。」
そう言ってその場から離れる。
ロビンソン様がこれ以上罰を受けません様にと、『アリステリア様』に祈る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここは、広場のようになっている空き地。
「お水!お水なの!ありがとうございます、ロビンソン様!」
踊りだしたい気分だ。
ロビンソン様、ありがとうございます!
大切に飲みます!
「ぐびっ・・・ぐびっ・・・ああ、美味しい!!!」
こちらの包みは何だろう?
広げてみる。
「わあ・・・パンだ!御飯だ!」
かぶりつく。
「ううっ・・・ありがとうございます!ありがとうございます!」
私は涙を流しながら食べたそのパンの味を一生忘れないだろう。
この街は砂漠の凍える寒さが無い。
ありがたい事だ。
寒さ対策が何もない私では砂漠では一晩で凍死してしまうだろう。
さて、今夜の寝床はどうしよう。
しばらく辺りをウロウロする。
ん?
ここは何だろう?
誰もいない。
囲いがあるし、少し安心なの。
それなら今日はここを借りよう。
持ち物は水袋とパンを包んでいた生地だけ。
水袋にはまだ半分ぐらいお水がある。
明日からのお水をどうしようかな。
でも目の前の水たまりから汲めばいいかな?
後は御飯をどうしよう・・・。
今日分かった事は、貴族さんとは関わり合わない方が良いだろう。
他の人がぶたれたりするのなら、私が我慢すればいい。
落ち着くと孤独である事が重石となって私に寂しさを伝えて来る。
「お父さん、お母さん・・・ううっ・・・助けてよ・・・豊穣の女神様。」
と、お腹が落ち着いたせいだろうか?
安心したら眠気が・・・。
私は水袋を抱えたまま眠りについた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ガヤ・・・ガヤ・・・
「ん?」
しまった!
目が覚める。
水袋は!?
あった!
安心したので、落ち着いて周りを見る。
「お、起きたか、新顔のがきんちょ?」
「あ、は、はい!ご迷惑をおかけしました!」
「なに、良いって事よ!それよりこの街で貧民なんて珍しいな。一人かい?」
「あ、はい。」
「お嬢ちゃん、ここは貴族様の避暑地だ。これだけは注意しな。「貴族には逆らうな。」これだけ守っていれば悪い所じゃねえからな?」
「は、はい!」
「さあ、今日獲れたての新鮮な物だ!いらんかねー?」
「それなら銭貨五枚で良いぞ?」
どうやら市のようだった。
そこの水たまりで獲って来た物だろうか?
起きたばかりで喉が渇いていた。
早速お水を頂く。
「ぐびっ・・・ぐびっ・・・ふぅ・・・。」
朝御飯は無いけれど今は我慢しよう。
それにしても、売っているのは見た事の無い物ばかりね。
この怪物のような八本足のグネグネしている物は美味しいのかしら?
さてと、水を汲みに行くの。
立ち上がり、水たまりに向かう。
しばらく歩くと見えて来た。
広い!
大きすぎる!
こんな水たまりは見た事がない。
「お水がいっぱい!」
これで、お水には困らないわ!
水袋を満杯にする。
ついでに顔を洗う。
あれ?
ちょっと待って!?
そのお水を舐めてみる。
「しょっぱい!?」
これでは飲み水にならないのではないか?
水袋を確認する。
「うええ、しょっぱくなっちゃった!」
もしかして、やってしまったのだろうか?
しょんぼりとして先程の市に帰って来た。
柱にもたれかかる。
「ん?どうした、嬢ちゃん?」
先程の小父様が話しかけてくれた。
「あの、聞いてもよろしいですか?」
「応えられる事ならな?」
「あの水たまりの水がしょっぱくて・・・飲めないお水なのですか?」
「飲めない事は無いが、余計に喉が渇くし、それに身体をやられちまうぞ?」
「そうなんですか?」
「そうだ、って言うか、嬢ちゃん。海を見た事が無いのか?」
「海?ですか?」
「そうさ、偉大なるお恵みをありがとうございます、豊穣の女神様!」
あの水たまりは海と言う物らしい。
私は小さな時から砂だらけの砂漠しか見た事は無い。
それよりも飲み水をどうするの!?
水のある場所を・・・。
「・・・あの、この辺りに水のある場所はありませんか?」
「この街では真水は有料だぜ?」
「お金はないんですが・・・。」
「・・・嬢ちゃん。助けてやりてえんだが、俺達奴隷の持ち物は全部貴族様のもんだ。」
この人達は、奴隷なんだ・・・。
「銭貨の一枚だって渡す訳にゃあいかねえ、酷い所は鞭打ちとかされちまう。」
「・・・。」
「悪いな、嬢ちゃん。」
「い、いいえ・・・。」
まずい、御飯は昨日食べたから何とか我慢できる。
だが、飲み水は・・・お父さんが二日が限界だと言っていた。
お水を探さないと・・・。
でも、有料。
砂漠で旅をしている時も交易品との交換だったのを思い出した。
お金を稼ぐ?
海で何かを取って来て売る?
泳げれば何か取れるだろうが、残念ながら泳ぐのは初体験・・・。
獲れる気がしない。
何か無いかな・・・?
子供でもできる何か。
小父さんと話をしていると少しだけ帝国の事が分かった。
未成年は成年になったらギルドに登録していないと商売が出来ない事。
未成年で働いているのは施設と言う場所や十二歳になって仮働きをさせてもらえる所でしか働けない事。
ちゃんとした商店などで働く時はギルドか商人、施設の人の紹介状がいる事。
うう、絶望的なの・・・。
「おい!こいつは何だ?」
「いらっしゃい、レイモンド坊ちゃん。」
「・・・小汚いが好みの女だ・・・コイツでも良いか。」
「?」
「おい、おまえ!屋敷に着いてこい!」
「??」
「坊ちゃん、ヤバイですよ。相手は『少女』ですぜ?」
「そんな事は知らん!僕が気持ち良ければいいのだ!」
「レイモンド坊ちゃん・・・。」
「おい、こいつに決めたぞ!屋敷へ連れていけ!」
「「・・・かしこまりました。」」
「???」
二人の兵隊に両脇を固められたの。
何処かに連れていかれる?
「あの!やめて頂けませんか!?」
「抵抗は無駄だ!」
すると兵士の人達が囁いて来た。
『お嬢ちゃん、手荒な真似はしたくないんだ。』
『だから、言う事を聞いてくれないか?』
『私に何をさせる気なんですか!?』
『ちょっとじっとしてベッドに寝ていれば小遣いをもらえるから・・・。』
『我慢すればお金が手に入るから・・・。』
お金!
お金は欲しい・・・。
でも、何をされるのだろうか?
『私は何をされるのでしょうか?』
『ちょっとだけ、我慢すればいいんだ。』
『それだけで、しばらく暮らして行けるだけのお金が手に入るんだ。』
「我慢しなければいけないなんて嫌です!放して下さい!」
「聞き分けの悪い女だな!だが、たまにはそう言うのもいいな!」
「レイモンド坊ちゃま、流石に「少女」はまずいのではありませんか?」
先程話していた小父さんが見かねて言ってくれた。
「奴隷の分際で五月蝿いぞ!僕が気に入ったのだから良いんだ!」
「す、済みません・・・。」
「気分を害されたぞ!早く連れていけ!」
「「はっ!」」
「嫌!放してなの!」
怖かった。
連れて行けないように暴れる!
周りにいる人達は我関せずといった顔で遠巻きに見ているだけだった。
「誰か、助けて下さい!」
「連れていけ!」
口に布を当てられた。
嫌!
誰か助けて!
手足を縛られて、私は抵抗が出来なくなった。
その私を二人の兵士さんが運んで行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
大きなお屋敷に運ばれるとそのままベッドの上に運ばれた。
「んー!んー!んー!?」
少なからず抵抗をしているとレイモンドと言う先程の貴族様が服を脱いでいる。
身体に悪寒が走る!
何をされるのかなんとなく解った気がする。
「大人しくなったではないか、下民ごときが僕の相手が出来るんだ!感謝したまえ!」
相手!?
嫌だ!
何でこんな事に!?
神様!
七柱の神様!
助けて・・・。
お父さん、お母さん、助けてよぉ!
「ぐふふふ、さてと、脱がすのも楽しみだな!」
「んー!んー!?」
足を拘束していた縄をほどかれる。
膝を持たれ足を広げられた。
「ぐふふ、まだ女になっていない娘だ!」
「っふー!っふー!んぁあー!!!」
「濡れていないな・・・これでは入れられないではないか!」
「んああああぁぁぁー!?んあー!!!」
「何を言っても助けは来ないぞ?」
「んごっ!んあああぁぁぁー!」
私の身体に跨って来た。
「まずはその口を味わおうではないか。」
「んああぁぁー!」
汚らわしい!
そんな物を近づけるな!
「ぐふふふ、布を取るぞ?この瞬間が興奮する!」
口布がほどかれた!
男が更に近づいて来た!
・・・今だ!
がぶっ!!!
「ぎゃああああああ!!!」
悲鳴が上がった。
手の拘束が緩んでいたので縄をほどく。
貴族は転がりまわっている。
そのすきに逃げる。
ドアを開け、駆ける!
「「レイモンド坊ちゃま!?」」
兵士の二人が部屋に入って行ったのを見た。
いや、そんな事より早く逃げよう。
何処でも良いから外へ!
運が良かったのか、無事に外に出られた。
「はぁー、はぁー・・・ッベ。」
この街から出・・・だが、準備もしてないのに逃げれるだろうか?
気持ち悪いので、早く口の中をゆすぎたい。
とりあえず海に行って口をゆすごう。
海へと駆ける。
「ぐちゅぐちゅ・・・っべ!」
何回ゆすいだだろうか?
あの感触が気持ち悪いし、まだ口の中が血の味がするようだった。
この後の事を考える。
貴族と揉め事を起こしてしまった。
できたら街を離れた方が良い事は分かる。
だが準備が出来ていない。
準備の出来ていない段階で砂漠を歩くのは自殺行為だ。
「お父さん、お母さん・・・二人がいないと・・・私はこれからどうしたら良いのかな?」
夕暮れが迫る空を見上げて、これからどうしようかと考えたが頭の悪い私では良い考えを思い付く事は無かった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
まずは、いつものから!
評価、イイネ、ブックマーク等々。
大変に励みになります!
皆様に感謝を!
閑話、一部として、お話を作ってみました。
今回は二部構成です。
お楽しみ頂ければ幸いです。
PV数が物凄く増加して、ヒャッハー!状態のMayaです。
皆様ありがとう!
こんなヒャッハー!はとても心が騒ぎます!
おめでとう、自分!
ありがとう、皆様!
色々な方々に読んで頂けていると思うと胸熱ですね!
それでは、次話 短編 Ⅱ-Ⅰ クーデリカ、その二 で、お会い致しましょう!
お休みなさい!