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エクスィ・スィデラスとして

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!

執筆終了しました。

楽しんで頂ければなによりです。

【フライドチキン、揚がったよ!】


「美味そうやね。」


【俺達は後で食べよう。】


「はいな~。」


その間にフェイにお願いしていたハンバーガーが作られて行く。

今回は照り焼きバーガーだ。

朝、ディアナに好評を頂いたからね。


「後は挟むだけなんやなぁ。」


【ええ、簡単でしょう?】


「簡単やけど、これだけで終いかい?」


【そうだね、コーンスープでも作ろうか?】


「スープはあった方だええかもな。」


【じゃあ、作るよ。】


「はいなっ!」


順々に作って行く。

出来上がったらバックパック様に入れて行く。


【スープもできあがったから持って行こうか。】


「はいなぁ~。」


【そう言えばフェイにもバックパックが必要ですね。】


「坊ちゃん、気にしてくれるのはありがたいんやけどな・・・かなりの金がかかるやろう?」


【かかるけれど、必需品だから買うのに問題は無いよ?】


「ぼ、坊ちゃん。相場は知っておるんよね?」


【知っているけれど構わないよ?フェイが楽になるのだからね。】


「坊ちゃん・・・。」


【ん?どうしたの?フェイ?】


愛おしくて抱き寄せてしまった。

けれどこの程度では坊ちゃん背負っている物は癒せない。

あかん、あかん。

少しでも孤独を癒せるようにウチら、嫁がいるんだからね。


「坊ちゃん、バックパックの事は置いといてな。それより今日は可愛がっておくれよ?」


【もちろん、フェイが満足するまで頑張るよ!】


「坊ちゃん、手加減はしてくれるんだろうね?」


ちょっと心配になったが皆と一緒だと思うとその空気は何処かへ行ってしまった。


【さあ、運びましょうか。】


「はいな、坊ちゃん。」


こうして昼食会は始まった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


選考会開始から十日目。


これ以上の審査は必要ないだろうと言う事から選考会は打ち切られた。

そして決まった。


【終わったかー・・・長かったね。】


「そうですなぁ、坊ちゃん。」


結果の張り出してある掲示板を見ながらそんな溜息をつく。

そういえば、パレードがあるとかなんとか言ってたな。

フェイとともに、決まった席順の掲示板を見ている。



第一席:紅玉カーネリアン:ヘファイストス  


第二席:藍玉アクアマリン:フェイ


第三席:翠玉エメラルド:ミカ


第四席:黄玉トパーズ:リリア


第五席:白玉パール:ヘイ=シン・フォン・ティエ


第六席:黒玉ジェット:ベクター・フォン・ノーブレッド


以上


お疲れ様でした。

なお、後日になりますが、認識証をお渡し致します。

皆様におかれてはこの後に行われる十四時からのパレードへの御参加、お願い申し上げます。



と、掲示板には書いてあった。

のんびりと読んでいたら後ろから肩をガシッっと掴まれる。


【ミカ!ミカじゃないか!心配したんだぞ?】


「今回はしてやられたわ、だけれど、入れ替わりの年は五年後よ!五年後、覚悟しなさいよね!」


【現役でいたら負けないよ?】


「か、必ずだからね!」


「ミカはん、その前にウチがおるからな?」


「フェイ、あの感覚は掴んだのね?」


「もちろんや、ウチに勝ってからでないと坊ちゃんには挑戦させへんで?」


「っく、わ、分かったわよ!」


「それなら、よろしい。」


「お、教わるぐらいは良いわよね?」


【構わないよ。】


「これからも良い競争相手でいなさいよね!」


【かしこまりました、ミカ様。】


大仰に礼をする。


「「・・・。」」


「ねえ、こんなのでも貴族ってやって行けるのかしらね?」


「坊ちゃんは坊ちゃんだからねぇ・・・。」


【これから慣れて行けばいいんだろう!】


くそう、貴族の礼儀なんて知らないぞ?


「やあ、ヘファイストス殿。」


【こんにちは、ヘイ=シンさん、ベクターさん。】


「負けた、負けたよ、完全にね。」


「僕達も鍛錬は欠かさなかったつもりなのだがな。」


「アタシ達はそれ以上の鍛錬をしたのよ。濃密だったわよ?」


「そこでだ、ヘファイストス殿。弟子を取らないかね?」


「そうだ、教えを請いたい。」


【残念ながら、フェイとサーラだけでいっぱいいっぱいですよ。】


「「そうか、残念だ・・・。」」


「五年後の再選出の時にも挑戦するからな、その時まで目標でいてくれたまえ。」


「バゥッ!」


お、この魔狼は・・・!


「私も負けませんからね。」


【もちろんだよ、リリアさん。】


「ふふっ、この場所は暖かくて良いですね。」


「そうね、とにかく、私達の時代が来たのよ!先代達には負けられないわよ?」


【もちろんだ、ミカ。】


「ウチらには坊ちゃんがついてるでぇ!」


「そうだな・・・負けられないな。」


「そうだ、無様な所は見せられんな。」


「ラウ=シェン様、見守り下さい。」


「ああ、そうよ。各国の王に話して第三席だった爺の後を継がせてもらったの。」


「なら、あの姓を引き継ぐんだね?」


「ラウ=シェンの爺さんも喜んでくれるんじゃないか?」


「なんて姓だっけかぁ?」


「ミカ・フォン・カリュプス。でも、いつも通りのミカで良いからね?」


【フェイ、俺達も姓を考えないといけないんだったよね。】


「そうやねぇ、皆で考えようかね、坊ちゃん。」


【良い物に決まると良いな。】


こんなふうなのんびりと過ごせる日常が続けばいいのにな。

作った物を皆で比べて議論する。

こんな些細な幸せがもっと増えますように。


「失礼、貴方がたはエクスィ・スィデラスになられた方々かな?」


「そうだけど、って、イェシンじゃないの!?」


「イェシンか。」


「その、イェシン様が何の御用だよ?」


「ワテは皆様に謝らないといかんのですよ。」


「謝る・・・のですか?」


「そうだ、ワテが奢っておったばかりに皆には迷惑をかけてしまい、誠に申し訳ない。」


「王達の所へ行かないと不味い話では無いのか?」


「そうや、詫び入れるんなら筋を通さんとな?」


「では付き合って下さるか?」


「構わんよ。」


「時間はあるからな。」


「では、移動しよう。ところで王達は何処にいるのかな?」


「多分ですが、まだ選定の間でしょうね。」


「済まないが案内をお願い出来ますか?」


「ついて来るが良い。」


ベクターさんが先頭を行く。

その後にイェシンがつき、その後に俺達が続く。


部屋に着くと王達はまだ談笑していた。


「ん?ヘファイストス殿、皆も、何かあるのか?」


俺達に気が付いたレガイアさんが声をかけて来る。


「それは、ワテからお話致します。」


「イェシン殿ではないか。」


クヴァール皇帝陛下の声が響き渡った。


「・・・参加はされなかったのですね。」


「姉様、彼にその資格はありませんわ。」


「それでそのイェシン殿が何用だ?」


皇帝陛下は何をするか知っているはず、各国の王様も書簡に書いてあったのなら知っているはずだけれどな。


「皆様には多大な迷惑をかけてしまい、元エクスィ・スィデラス第二席として許されぬ事を、この場を借りて謝罪を致したく。」


「イェシン、アンタはやりすぎた。しかもエクスィ・スィデラスとしての矜持も無くしたそうだな。」


「リーゼ、この方が何をしたのですか?」


「酒と女にうつつを抜かし、本業を疎かにしたのですわ。第二席ともあろう御方が・・・。」


二人の視線が厳しい物に代わる。


「アーゼ女王陛下、リーゼ王妹殿下。それだけで十分な事なのですよ。国からの重要な責務である聖剣も作れなかったのですから。」


「しばし待て、お主は聖剣は作れるのではなかったのか!?」


「クヴァール王よ、我らが未熟とはいえど、聖剣と呼ばれる物を作れるのは当時はそこにいる元第一席のフェイのみでございました。他の者はワテも含め、ノーマルクオリティの剣しか作れなかったのですよ。」


「何と言う事だ・・・。」


「そして現れてしまった、本物の聖剣を作れる人間が、神が降臨遊ばれその人物に「神匠」の位を直に与えられたのです。」


「坊ちゃんの事やなぁ。」


「そうです、ワテも馬鹿だがそこで気が付かないほどの、そこまでの馬鹿ではなかった。ヘファイストス殿、感謝を。」


そうすると頭を下げて来る。


「そう言った事でワテは運良く気付くことができ、引退を決意したのであります。」


「そうか・・・それでは認識票の返却を。」


「ははっ!」


イェシンは大人しく命令に従って皇帝陛下に認識票を返却した。


「皆様方にも多大な迷惑をおかけした。ワテは旅に出ようと思う。」


「旅ですか?」


「自分を見つめ直す旅に。」


「解った、覚悟が出来ているのならば我らも止める事はせぬ。」


「ははっ、本日、めでたき日に皆様に謁見できた事に礼を言うばかりでございます。」


こうしてイェシン・フォン・バイジャと言う男はエクスィ・スィデラスになってからの財産などを返却して去って行った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


俺は、エクスィ・スィデラスの第一席になった事を皆に報告に行った。


もちろん、フェイも第二席になったと報告する事も含まれる。


「おめでとう、貴方。」


【ありがとう、ルイス。】


抱き上げキスをする。


「これでやりたい事が出来そうなの?」


【ああ、ルイスを始め、ナナリーやフェイもいるしサーラもいる。それにセリスとクレアがいる、やれると思う。】


「フェイ姉もおめでとう!」


「ははっ、ありがとなぁ、ルイス!」


【ルイスは後でナナリーさんに報告に行く時に一緒に来てくれるかな?】


「もちろん良いわよ!」


「ヘファイストス様、甘えるのなら私にも!」


【ありがとうね、サーラ。君のおかげで俺もフェイも助かった。】


「ふふ、パートナーとして当然の事ですよ!」


「旦那様はこれで「尊爵」の位が下賜される、各国からの援助金もな、もちろんフェイ殿にもだ。」


「そ、そうなのね、セリスさん・・・。」


【ルイス心配?】


「そ、そんな事は無いわよ?」


【爵位をもらったとして俺が変わると思う?】


「うふふ、そうね。」


「でも、これで皆は尊爵婦人やなぁ?」


「私が貴族・・・。」


「ルイスさん、そこは認めないと。」


「もう!貴方がいてくれるから、毎日が大変よ。」


嬉しそうにルイスが文句を言って来る。


【でも、退屈しないでいいだろう?】


「はっはっは、ところで主君。何を始めるつもりなのかね?」


【ノモスにも相談するけれど、当面は人材集めと研修かな?】


「「「人材集め?」」」


【うん、例えばだ「巨乳で仕事が見つからない。」とか、困っている人を集める。】


「「「・・・。」」」


【何で黙ってるの!?】


「それは貴方の趣味ではないのかしら?」


「そうですよ、ヘファイストス様の趣味です!」


「坊ちゃんの趣味やなぁ。」


「旦那様の趣味だろう?」


「主君の趣味だねぇ。」


【ぐぬっ、でもこれは切実だからね?】


「「「・・・。」」」


【ナナリーがいないのだけれど、俺の今後の展望を少し話すね。】


「「「「旦那様の今後の展望?」」」


【そう、今後の展望。エクスィ・スィデラス、それも第一席と第二席がいるんだからね。それを利用しない手はないでしょう?】


「旦那様、それはどんな展望なのだ?」


【まずは、人材を見つけます。そしてその人達を店員として教育します。最初は仮社員として、その人の仕事が軌道に乗ったら正社員として雇い、各街に支店を増やし大きくしていきます。】


「「「せいしゃいん?」」」


「その話だと、ヘファイストス様、とうとうお店を持つのですか?」


【その予定です。これは爺さんとレガイアさんにお願いして、なるべく良い物件をオーカムで探します。】


「そうなのね。」


【それと採取なども続けてやってもらいます。】


「ポーションを作る為にも秘薬の採取も必須ですものね。」


【はい、そう言うのも含みやってもらう。成人年齢で社員になった人は将来的には店舗の専属社員や店舗経営者にもなって頂きます。】


「「「しゃいん?」」」


【そう、そのお店に専属で務めてもらいます。まだ予定が王国のみだから急には増やしませんがね。】


「務めると言うと時間内は働くと言う事なのね?」


【場合によっては残業が発生するけれどその分も給金は発生します。】


「ふむ、それをする為の人員なのだな?」


【そうです、例えばですが、秘薬詰みは未成年の子にやってもらいましょう。戦闘の出来る警護を付けて一緒に連れて行けばオーカムなら安全に摘む事が出来るしね。それに未成年にも仕事をしてもらうので給金が支払える。】


「そうだね、それならば安全だと思うよ、主君。」


「貴方には将来が見えているのね、分かったわ、精いっぱい手伝うわね。」


「成程、それで私に鉄商品を任せると言っていたのですね?」


【そうだ、サーラ。もうそろそろハイクオリティーが作れるようになるでしょう?任せましたよ?】


「お、お任せ下さい、ヘファイストス様!・・・必ず、必ず期待には答えます!」


【フェイには鋼部門を任せます。】


「お任せを、坊ちゃん。」


【俺は総支配人として動きます。後は特注品とミスリルを使ったもの全般ですね。】


「私は何をすればいいのかしら?」


【ルイスには店長を任せます。】


「え!?」


【最初は負担がかかると思うので、副店長としてギルド職員経験のあるナナリーさんを付けます。】


「そ、それなら何とかできそうね?」


【ルイスも日々勉強だからね?】


「必ず、貴方の力になるわ!」


【セリスとクレアさんには、しばらくは警護や護衛を仕事にしてもらいます。】


「任されました、旦那様。」


「任されよう、主君。」


【警護も護衛も近い将来、オーカムから他の街に行くかもしれないから気を抜かない事!】


「「っは!」」


【予定としてはこんな感じかな。問題は・・・この話が纏まって来ると、宿屋とお別れかもしれないと言う事なんだけれどね・・・。】


「それは考えていなかったわね・・・。」


「宿屋とのお別れは絶対なんですか?」


「坊ちゃんはそれでええんかい?」


「旦那様、話を聞くと、正社員とやらには宿が必要なのでは?」


「そうだね、主君。宿は必須だと思うぞ?」


【社員になった人には寮と呼ばれる専用の宿泊施設を作るつもりなんだ。】


「りょうですか?」


【そう、寮。多人数で過ごすけれど、基本的に社員には無料で一部屋を提供しようかなと思っている宿泊施設ですね。】


「社員になると住めるところが付いて来るの?」


【そうだね、ルイス。基本だけれど普通に過ごすには不自由のない部屋を付ける予定でいるよ。】


「すごい好待遇ですね・・・。」


「旦那様、資金は大丈夫なのだろうな?」


【予定では十分なはずなんだ。結構稼がせてもらったからね。】


「足りなければ私に言うが良い。」


【そんな事は無いだろうけど、その時は頼りにさせてもらうね。】


「解ったぞ、旦那様。」


【ざっとだけれど一歩目としてはこんな所だね。何か気付いた事のある人?】


「ねえ、貴方?社員候補さんはどうやって集めるのかしら?」


【それは俺に任せてほしい、ただ連れて来たらルイスとナナリーさんに顔合わせに面接してもらうつもりだから聞く事は決めておいてね。】


「分かったわ!」


「準備致します、ヘファイストス様。」


「任されよ、旦那様。」


「準備しとくで、坊ちゃん。」


「身体を作っておくよ、主君。」


皆に初めて将来の事を話した。

少しでも俺のやりたい事は伝わっただろうか?

ルイス達はものすごくやる気を出してくれた。

これで少しでも将来の事で不安は無くなっただろうか?

これが軌道に乗れば今はまだ小さいけれど、皆の将来の為になるはずなのだから。


けど、俺の最終目標は嫁さん達と田舎でのんびり生活だからね。


「ふふっ、楽しみね。」


【王国の復興が先だから、もうちょっと待たせちゃうけどね。】


さてと、そろそろパレードだったよね。

第一席として、せいぜいでかく見えるように顔を売って来るかな。


そしてパレードの時間となった。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

それでは、次話 イリーナとしての顔(仮 で、お会い致しましょう!

お疲れ様でした!

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