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その一本の価値

皆様、お久しぶりです!

執筆終わりましたので上げます。

時間が空き誠に申し訳ありません。

お楽しみ頂けたなら幸いでごさいます!

ハンマーの紡ぎだす音が会場に響き渡る。


作り終わった俺は出来上がった剣を献上した。

それを各国の王達が詮議するようだ。

各国の代表が隣の部屋へと移動して行く。


「ほれぼれするな、それがヘファイストス殿の作り上げた物か。」


「ほう、これがヘファイストス殿の剣か・・・素晴らしい。」


「見た目も素晴らしい。それで、切れ味は?」


「皆を代表して、ラヴィーネ殿に試し斬りをやっていただいてもよろしいか?」


「良いのか?」


「「「お願いしよう。」」」


「分かった。」


と、その手に剣を取り・・・。


シュラアッ・・・


抜き放つ。


「ほぅ・・・美しい。」



「これは、決まりのような気が致しますね。」


「左様ですわね、お姉様。」



「これ程の剣は・・・見た事がありませんわね。」


「左様ですな、猊下。」


「流石、御子殿よな・・・。」



「うむ・・・流石よな、婿殿。」



「バイジンも文句は無いのう。」


「そうですな、翁。」



「こ・・・これ程の・・・輝きが・・・まぶしい。」


「ババ様の言う通り。」


「キゴニスには異議はありません。」



「まあ、待て。切れ味を試してからであろう?」


チャキッ


「切れ味を試すのにマネキンを用意しておるぞ。」


クヴァール皇帝陛下がそう言うと係の者達がマネキンを運んで来た。



「では行くぞ?」



「「「・・・。」」」



フォッ!


キッ!



「今ので斬れましたの?」



「斬れたのですか?」



「斬れたのかの?」



「・・・予想以上だな、失礼。レガイア王、マネキンを捻って下さるか?」



「かしこまった。」



マネキンに近寄りその上半身を捻る。

音も言わずにそのマネキンが切れていた。



「せ、聖剣とはこれ程の切れ味が?」


「姉様、前に宿屋でも見ましたわよね?ただしあの時は()()()()()()()()()()の武器でしたが。」



「こ、これ程とは・・・我が国にも是非に作って頂きたいですわね。」


「その通りでございますな、猊下。」



「ラヴィーネ殿、斬った剣の方は無事なのか?」



「ああ、刃こぼれ一つ無いな。」



「「「素晴らしい・・・。」」」



各国の文句はない様だ。

流石だな、ヘファイストス殿。


「公正を期する為に、鑑定士に鑑定をさせよう。まあ、結果は変わらんと思うが・・・。」


ラヴィーネ殿が剣をしまうと係の者に受け渡す。


「それでは、鑑定致します。」


「任せる。」


「鑑定。」


「「「・・・。」」」


各国の代表達も黙って見守る。


「これは凄い、いえ、素晴らしい!」



「鑑定士、結果は?」



「はい、エピッククオリティーの剣です。そして剣に聖属性、武器ダメージ増加八十%が、付いております。」



「しばし待て、武器ダメージが八十だと!?」



「レガイア王、それはどう言う事なのでしょうか?」


「姉様、ハイクオリティーの武器に必ず付く武器のダメージ補正の事です。確か、一般的には四十だったはず・・・。」



「リーゼ姫殿下、その通りでございますな。この値は流石と言うべきか・・・。」



「神を、『アリステリア様』を降臨させたのは伊達ではないと・・・素晴らしいですわね。」



「この武器が各国に渡れば、いつでも勇者殿を迎える事が出来る!」



「そうじゃな、皇帝陛下。」


「翁、これ以上の剣は現れないと思われますな。」



「リリアよ・・・時代が悪い・・・かの者の思いも・・・ここで・・・。」


「・・・ババ様もこの剣の精霊も上回るのは無理であろうと言っております。」


「残念ながら、上には上がいると言う事ですわね。」



「ふむ、選別の儀はいまだ続いておる。だが、この短期間でこれ程の物を作れるのはヘファイストス殿だけであろうな。」



「序列一位、紅玉の席は決まりのようだな。」



「左様ですわね、ここまで格の違いを見せられるとは・・・是非我が法国にもおいで下さってほしい物です。」



皆の意見は一致したようだ。

ヘファイストス殿、めでたい事であるな。

我らが王国民の一人として自慢である。


これからの各国との調整が難しそうだがな。


帰ったら父上に報告だな。

マリーナも聞きたがっていたから一緒に報告をしよう。

さあ、ヘファイストス殿。


次はどんな事で私達を楽しませてくれるのだ?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


提出してしまったからにはもう鍛冶場に用は無い。


そろそろ昼の時間だろうと思っていたら、皇帝陛下に呼び出された。

案内された部屋に行くと各国の代表者達がそろっていた。

ほへー、これだけそろって座っていると、円卓会議みたいだな。

実際の物は見た事は無いけどね。

中央に出て跪く。


【皆様方、失礼致します。皇帝陛下、お呼びと伺いましたが?】


「よく来てくれた、ヘファイストス、我が娘婿むすこよ。皆で見分させてもらったが・・・見事であるぞ。」


【ありがたきお言葉でございます。】


「・・・してだな、本日は各国の代表者達がそろっておる。」


【その様で・・・。】


ああ、きっと昼食会の物を用意してほしいと言う事だろうな。

チラリと皆さんの顔を見る。


レガイアさんは少し困った顔をしている。


双子の姫様達は獲物を狙ったような眼で俺を見ている。

その二人をバドラックさんが困ったように見ている。


法皇様からの視線も何故か艶のある視線だ。

三人の枢機卿だろう人達が立礼をしている。


皇帝陛下は絶大な信頼をもって俺を見ている。


ジン最長老も期待の視線を送ってくれている。

その隣に並んでいる四人の次席以降の方達は微動だにしない。

いや左端の男性が俺に鋭い視線を向けている。

何かやったかな?


キゴニスの長老様は動かない。

その代わり両隣にいる男女の若者が不思議な顔をしているだけだ。


ラヴィーネは挑発的な視線を向けて来る。

そんなラヴィーネを見て、シュタイアさんが済まなそうに俺を見ている。


「そなたの料理人としての腕も見てみたいと皆が言っておってな。・・・頼まれてはくれぬか?」


【構いませんよ、陛下。それでは少々お時間を頂きます。】


「うむ、存分に腕を振るってくれ。」


部屋を出て行き、案内で近くの厨房へと向かう。

流石に、あの面子に否とは言えない。

皇帝陛下とレガイアさんの顔を潰す訳にはいかないだろう。


【ふむ、何を作るかね。こういう時は・・・お願い鰻様かな?】


氷冷庫などの食材をみて作る物を決める。

早速調理にかかる。


【丼じゃなくて重にしてみますか。】


重にするには肝吸いは分からないからお吸い物でなんとかして、後はキュウリの浅漬けを用意する。

作るとバックパックに入れて行く。

人数が多いので、冷めないようにする為だ。

そして作り終わるとバックパックから取り出し給仕さんに持って行って頂く。

さて、これでどうだろうか?


各国の重要人物のそろっている部屋へと向かう。


ありゃ、なんか静かだな?

鰻様が駄目な人はいないと思うんだけどな・・・。

そう言えば、アーゼ様とリーゼ様は食べた事があったような気がする。


部屋に入る。

各々の席へと周りテーブルの上に料理を並べる。



「陛下、どうなさいますか?」


「トリトゥスよ、無粋ぞ、毒見などいらぬ・・・それより腹のすく匂いだ。・・・皆もこれ以上の言葉はいらぬと言う事だな。」



「それでは・・・頂くと致しましょう。創造神『アリステリア様』こたびの出会いに感謝を、そして六柱の神々よ、日々の糧に感謝を!」



「「「感謝を!」」」



「モグ・・・やっべえ、ヘファ殿。何て物出しやがるんだ・・・。」


「くぅ、御役目を忘れては・・・だが・・・美味い!」


「パクッ・・・な、なんたる美味!?これがあの鰻だと言うのか!?」



「左様ですわ、レガイア王。鰻はあの時以来ですが相変わらずに美味ですわね。」


「はい、姉様。流石、ヘファイストス様です。」


「姫様方は落ち着いてございますな。私めはこのような美味い物、食べた事が・・・。」



「うむ、相変わらず娘婿の料理では病気は出ないな。安心して食べられる、さすがの腕よ。」



「こ、これがあの鰻だと言うの!?」


「猊下、これは美味しゅうございますな!」


「流石、『アリステリア様』の御子・・・あの鰻がこのようになるとは・・・。」


「プラエタルタ枢機卿、美味い物は黙って食べるに限りますわよ。」


「ええ、このように美味しい物は黙って食べるのがマナーですわね。」



「一体、ヘファイストス殿の頭の中には何種類のレシピが隠されておるのかのぉ。」


「ジン最長老、笑い事ではない。これは高級料理として売れますぞ?」


「ヘファイストス殿、これが本当に鰻だと申すのか?」


「やだ、美味しいわ。」


「・・・美味い。」



「ババ様、美味しいです!」


「ババ様、口の中が幸せでございます!」


「素晴らしい・・・しばらく美食とは無縁じゃったが、これは美味いのぉ。」



「どうだ、シュタイア。嫁にほしくなっただろう?」


「こ、これは、美味しいです。身も口の中で自然とほぐれるよう・・・特にこの鰻にかかっている汁が格別でございます。」


「紅蓮は我が国に嫁に来るべきだ。」



大好評だった。

流石、困った時の鰻先生。


さてと、他の人達が剣を完成させるまで俺は何をするかね。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


っく、仕上げる前に今日の作成時間が終わってしまった。


途中でやめると金属の粘りが無くなるのであまり好ましくないのだが・・・。

だが、光が見える事によって随分と先へ進めた感も否めない。

後は感覚を忘れなければ良いのだ。

今日のところは大いなる前進として我慢しよう。


ハンマーを使う工程が一番の楽しみになっている。


良い事だ。

今まで何故気付かなかったのかと後悔が押し寄せる。


「ミカ様。」


「リリアちゃんだっけ、そう言えば話があるのよね?」


「はい、この日を二年前からお待ちしておりました。」


「この日を?」


「まずは、こちらをどうぞ。」


リリアと言う女の子が何かのタグ・・・。


「それ、認識票よね?・・・誰、まさか!」


「はい、第三席であられました「ラウ=シェン」殿の物です。」


「貴女、返しに・・・。」


「はい、これで目標の一つが成りました。」


「最後は・・・最後はどんな感じだったの・・・あの爺は。」


「いつもの通りでございます。朝の日課でした。鍛冶場に御立ちして、すぐにお逝かれになったのです。」


「笑っていた?」


「はい、それはもう満足そうに・・・。」


「そっか・・・逝ったのねあの爺。」


「はい、我が家族はそれを見守り代表として私が参りました。」


「そう・・・リリアさん。ありがとう。」


「いえ、病なのが分かっておればと・・・心苦しく・・・。」


「いいのよ、あの爺の寿命でしょう。ん?と言う事は入街の時の騒ぎは・・・。」


「はい、私です。金貨の件です。持ち合わせが少なく帝国に入る為に使わせて頂きました。」


「その件は知っているわ。そうよ・・・皇帝に注意するつもりだったのよね。」


「その件での私へのお咎めは?」


「いや、お金も戻って来ているし、その件に関しては大丈夫でしょう。」


「ミカ様、寛大な心に感謝を。」


「そっか・・・逝ったのね・・・爺。」


「はい。」


「そっか・・・。」


「はい。」


「そっか・・・。」


「・・・。」


彼女の目から雫が落ちる。

それは最後に会えず、見送れなかった事への物だろうか?


「私、ミカ様の事を誤解していたようです。」


「誤解?」


「はい、甘やかされて育った人。このように思ってまいりました。」


「その言い方だと意見が変わったようね。」


「はい、先程のハンマーの打ち込みを見ていれば分かります。現状、今の私には勝てない相手である事も。」


「・・・でも諦めないのでしょう?」


「はい、明日からの私を見ていて下さい。決してラウ=シェン様の名に泥を付ける訳にはいきません。」


「良い心がけね。明日からもよろしくして頂戴ね、リリアさん。」


「こちらこそ、よろしくお願い致します。」


リリアと握手する。


そっか・・・平穏に逝ったのね。

鍛冶場で逝くとは、爺らしいと言えば爺らしいわね。

でも、最後まで鍛冶師として逝ってくれた。

これ以上の喜びがあるだろうか。

気がかりと言えば爺にもあの光は見えていたのだろうか?

まあ、良い。


「お疲れ様、爺。」


もう、あの笑顔には会えない。

爺のおかげで、ここまで来れたわよ。

見てなさい!

私の成長した姿を!

爺、喜びなさい。

規格外だけれど、アンタの理想の前を走っている奴がいるのよ。

天国パラディソスからゆっくり見ていなさい。

そして私の成長も!


「ミカ様、どうかなされましたか?」


「何でもない・・・そう、なんでも無いのよ。」


そう言うと少し心配そうなリリアさんを誘って晩御飯へ向かう。


「あのー・・・ミカ様?」


「どうしたのよ?」


「済みません、正直に言います。路銀が無いので今回は御勘弁を。」


「路銀って、どうして持ってないのよ?」


「そ、それが・・・。」


「ああ、そうね。テイマーだったわよね。いいわ、その子も面倒を見ましょう。」


「よ、よろしいのですか?」


「ええ、これも縁だと、アイツなら言っているわね。」


そんなアイツの顔を思い浮かべる。

ふふ、悪い気はしないわね。


「さあ、行くわよ、リリアさん。今日の食事処は何処に行きましょうかね。」


「申し訳ありません、御世話になります。」


まずは腹ごしらえだろう。

リリアさんはそんな私の後を遠慮がちについて来た。


その時は、明日から起こる事も分かっていなかった。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずはいつものから!

評価、イイネ、ブックマークなどなど。

大変に励みになります。

皆様方に感謝を!

年末無理をしたのか変な所に行ったのか、29日から入院しておりました。

昨日、1月18日に退院して来ました。

詳しくは活動報告へ書きます。

皆様もお体をお慈愛下さいませ!

それでは、次話 フェイとサーラ(仮 でお会い致しましょう!

お疲れ様でした!

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