六人会議に向けて
お待たせ致しました。
新作、執筆が終わりました。
これで第三章が終わります。
お楽しみ頂ければ幸いです。
次の日の朝。
【『アリステリア様』本日も御加護を!】
いつもの日課を済ませると練兵場に向かう。
たどり着くとクレアさんとディアナがストレッチをしていた。
【おはよう、二人とも。今日は暑くなりそうですね。】
「おはよ~っす、兄貴。空に雲がねえからな、暑くなりそうだぜ。」
「おはよう、主君。昨日は済まない、いつの間にか眠ってしまっていたよ。」
【いえいえ、疲れは残っておりませんか?】
「絶好調だぜ!」
「うむ、身体に疲れはないね。」
【それなら良かった。今日は軽めの運動にしましょう。俺も久しぶりに鍛冶をしたいのでね。】
「そうだね。主君はこれからが本番となるのであろう?」
【六人会議が済めば、多少の余裕が出来るはずなんだけどね。】
「旦那様、皆、おはよう。」
【おはよう、セリス。】
「おはよーっす!」
「良い朝だね、セリス。」
【セリスは、今日の脱退式で騎士団は最後なんだっけ?】
「左様です、旦那様。午後から、夜にかけてはいないのでよろしくお願いしたい。」
【分かった、俺も午後は鍛冶をしに行って来るよ。】
「ノール工房ですね?」
【そうだね、あそこの道具は使いやすいからね。】
「では、話を通しておきましょう。他にはサーラ殿とフェイ殿ですか?」
【そうだね、仕事を止めちゃって悪いけれど少しの間、借りておこう。】
「分かりました、それではその様にしておきます。」
【お願いね、セリス。じゃあ、やるかい?】
「お願い致します、旦那様。」
【さあ、やりましょうか!】
こうして、朝の日課を終えると王国に帰る支度をする。
短いようで長かった。
帝国でも色々な事があったな。
そう思うとこの一か月の濃密だった事を思い出す。
元々はエナを故郷に帰す為だったんだよなぁ。
それからセリスに会って・・・。
懐かしいね。
師匠との出会いやテラサンとの戦い。
おっと、そうだ。
給金を渡さないとね。
帰ったら露店もしなければ。
オーカムに店を持つのも良いかな。
爺さんに言って王都に土地を買うのも良い。
各国に支店を持つのも良いかな。
今回の件で懐は温かいからね。
【さて、では行って来るよ。各自で鍛錬をしてくれるかな。】
「かしこまりました、旦那様。」
「分かったよ、主君。」
「任せてくれ、兄貴。」
頼もしい声を背に練兵場を出て行く。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ルイス達、皆が起きると、昨日の通りの子達に給金を払う。
今回の給金の事をフェイ、クーデリカに説明をする。
ああ、さっきセリスとクレアにも話をしておけばよかった。
仕方がない、今度にしよう。
「成程なぁ、働いたら給金をもらえるんやな・・・遊女に落ちたウチでも貰えるんかぁ。坊ちゃん、来月は貰えるように頑張るわぁ。」
「わ、私も働けば給金がもらえるのでしょうか?」
【そうだね、クーデリカ。基本は宿の手伝いなんだけれどね。でも露店を出す時もあるから頑張ってくれるかな?】
「ま、まかせて、お兄ちゃん!」
貰えなかった子達は来月まで頑張ってもらおう。
当然だが、それまでのお金は俺が出すけれどね。
その後に、手の空いているルイス達も連れてノール工房へと向かう。
リズ達にも、俺がどんな事をやっているのかを見てもらうのも良いだろう。
ノール工房に着くと支度をして皆の前で鍛冶を行う。
ルイスとリズ、ベス、マオ、クーデリカ、アリスの分の鋼のダガーを作る。
今まで使っていた物は、潰して再利用しよう。
作れたランクはやはりエピックだった。
うん、調子は良いね。
鞘を作ると皆に配って行く。
「鋼の物はありがたいわね。ありがとう、貴方。」
「お兄さん、ありがとう!」
「ヘファさん・・・ありがとう・・・。」
「大切にします!」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「ありがとうなのです!」
【皆が喜んでくれて何よりだ。王国に帰ったらまた秘薬摘みだよ?】
「「「任せて下さい!!!」」」
「私にも出来るかな?」
「クーデリカにはアリスが教えるのです!」
「お願いね、アリスちゃん。」
満足げに皆を見ているとサーラから声がかかる。
「ヘファイストス様、良かったら見て頂けますか?」
【大丈夫ですよ、見てみましょう。持っておいで、サーラ。】
「はい!」
サーラの作っていた、鉄のロングソードを鑑定する。
【・・・うん、良いですね。この調子でハイクオリティーを目指しましょう。】
「はい!」
【フェイは・・・。】
ちらりと視線を向ける。
物凄く集中しているので、今は声をかけない方が良いだろう。
「あの、ヘファイストス様。実は少し伸び悩んでいて・・・。」
【ん?サーラは十分に成長していますよ?】
「でも、ハイクオリティーに届かないんです!」
【急ぐ事はありません。サーラは十分すぎる程成長していますよ?】
「でも、このままでは、ヘファイストス様の役に立てません!」
【現状で心配する事ではありませんよ?】
「いえ、ヘファイストス様は、私に鉄の製品を任せると言って下さいました!ですが、まだ足りないんです!」
今回は随分と押しが強いな。
【サーラ、落ち着いて下さい。貴女の鍛冶の腕前は、帝国に来たこの期間で十分に伸びていますよ。】
「ですが・・・。」
【この短期間では十分な成果ですよ?】
「でも、何かが、何かが掴めそうなんです!」
【ふむ・・・スキルの上がる前兆かもしれませんね・・・。】
「そ、そうです!そうなんです!」
【ふむ、ではサーラ、鉄のインゴットを500渡します。これで出来る限り「刀」を作って下さい。】
「ありがとうございます!・・・でも何故、刀なのですか?」
【作成する刀は鍛造で作って下さい。やり方は、前に見せましたね?】
「あのやり方か・・・はい!メモも取ってあります。お任せ下さい!」
【鍛造で作る刀は終盤のスキル上げには良いのですよ。】
ゲームの時にも追い込みにはカタナを作っていたからね。
「そうなんですね!」
【では、頑張って下さい。】
「頑張ります!」
そう言うとサーラも集中して鉄で刀を打ち出した。
うん、二人とも良く集中していますね。
前回不調だったフェイも、何かを振り払った様だった。
・・・大変によろしい。
ルイス達には体験で木の板から作った鞘に意匠を施してもらう。
「ふふ、無骨な短剣が可愛い短剣になるわね。」
「む、難しいわね。」
「これは・・・短剣に負けない物を・・・作りたいですね・・・。」
「楽しいですね!」
「アリスちゃん、バナナみたいね。」
「頑張って作るのです!」
ほー、アリスは大工の才能でもあるのだろうか?
中々に上手だ。
だが、真っ直ぐなバナナか。
アリスさんや、その調子で真っ直ぐ育ってくれたまえ。
実物のバナナは曲がってるよな・・・。
まあ、良い。
そんな皆を微笑んで見ていた。
俺は感を取り戻そうと、何本かの鋼のロングソードを作り上げると良い時間になった。
お昼の時間になるので皆の御飯を作る。
もちろんお世話になっている工房の人達の分も。
お代わりもしてもらおうと思っていたのでカレーを多めに作った。
白米も多めに炊いておいた。
こっちはこれで十分だろう。
盛り付けたカレーをバックパックに入れて持って行く。
ルイスとフェイに後を任せると、練兵場へと急ぐ。
セリス、クレア、ディアナ用の物だ。
準備を整えると皆を呼び、カレーを食べる。
カレーは大好評だった。
ディアナは大盛にしておいたのだがペロリと平らげてしまった。
カレーは飲み物か・・・。
懐かしいフレーズだなと思った。
カレーはとても好評だった。
また作ってあげよう。
午後は鍛錬から始まった。
まずは、ディアナとの模擬試合から。
【ディアナさん、三分です。】
「うっす、いくぜ、兄貴!」
そして始まる三分間の攻防。
ブンッ!
その左を払いつつ左の下段蹴り。
バシッ!
【下段を意識させましょう。】
「うっす!」
パパパッ!
ベシッ!
素早い左の牽制からの下段蹴り。
【そうです、それで相手の体勢を崩し、頭の中にも下段攻撃があると言う事を刷り込むのです!】
「はいっす!」
【相手の防御の選択肢を増やすのです!】
「応!」
パパパッ!
バシッ!
【そうですね、ですが狙いがバレバレなのは頂けませんね。】
「はい!」
【ディアナさん、前に戦った時の「龍の顎」はどうされましたか?】
「決めるまでの技の組み立てが難しいんっすよ。」
【あの技は下顎を壊す恐れがあるので、ここぞと言う時以外は使わない方が良いですよ。】
「ふむふむ・・・。」
パパパッ!
ズドン!
「っく!?」
【腹打ちにも慣れて来ましたね。】
「ああ、やられて嫌な事だからな!」
【ふふ、良いでしょう。速度を上げますよ?】
「ウッス!」
ディアナには格闘のセンスと強い相手にも臆さない負けん気がある。
それは格上相手でも、格下相手でも発揮されるものだ。
例えば格下。
格下と見て油断をしない。
前回の戦闘からだが、更に驕らなくなった。
そして強者に対して。
慎重になった。
だがそれだけではない。
培っている戦闘経験を身に着けるとともに、機会があれば同じ事を繰り返さなくなったのだ。
そう、確実に強くなっている。
戦闘力で言えばあの不覚を取った銀色のテラサン相手でも、もう不覚は取らないであろう。
そこまでスキルが育っている。
このままの調子で中間筋が育ち、下半身を強化して行けばそこいらのモンスターにならばソロで立ち向かえるであろう。
そう言えるほどに育ってきたのだ。
このままだと、模擬戦を本気でやらないと一本取られてしまう。
そんな勢いで育っている。
・・・だがまだだ。
まだ早い。
もう少し壁になっていてあげないとね。
機会があれば、ピストーティタ・ダンジョンにいるケイブ・トロルやオーガ・ウォーリアなどが良い相手になりそうだ。
近いうちに連れて行ってあげよう。
パパパッ!
その牽制攻撃をぬるっとかわす。
懐に入り、同時に右のボディーブロー。
ん?
体を捻った?
何が来る?
「ッシ!」
右の裏拳か!
潜るように、いや誘いだ!
意識させちゃったからね。
よし、今度は完璧にかわして見せよう。
左の膝蹴りが来るのを待つ。
ドンピシャ!
パシッ!
膝蹴りを受けると同時に両腕でその膝に乗り後方に飛ぶ。
「っく!」
【組み方は色々あります、連携の中に入れるのは見事ですがね!】
間合いを空けられるとディアナが悔しがるがタイミングを外す事によって足元が留守になった。
それを逃す俺ではない。
軸足になっている右足にすくうようなローキックを放つ。
ベシッ!
「グヘッ!」
良い勢いでディアナが地面に両手をつく。
その勢いのままクルッと上半身と下半身を入れ替え回転蹴りをして来る。
ブレイクダンスのような動きだ。
器用ですね。
その蹴りから間合いを取るとディアナは立ち上がる。
【・・・ディアナさん、三分ですよ。】
「っく、有効打、いやその前に防御を崩さないとな・・・。」
【ディアナさん、近いうちに良い鍛錬の出来るダンジョンに行きましょうか。】
「是非に、お願いするっす!」
【もう、アース・エレメンタルは敵ではありませんしね。それに・・・いえ、これからも鍛錬を続けましょう。】
「よろしくお願いするっすよ、兄貴!」
【さて、一分経ったので形を行いましょう。十セットずつです。】
「おっす!」
【俺はクレアさんを見て来ますね。】
近くで鍛錬中のクレアの方に向かう。
あー、あの汗の量、休憩を取っていないな。
【クレアさん、休憩ですよ。】
「っふ、っふ・・・ふぅ・・・。」
慌てて木のサイスを取り上げて掌を見る。
【ああ、もう!マメから血が出ているじゃないですか!】
「こ、これしきの痛みなどは・・・。」
【駄目です、休憩です!】
そう言うと治療スキルを使い手に包帯を巻いて行く。
治療スキルは便利なのだが怪我の後が消えない。
治す事は出来ても治療の後は古傷となって残ってしまうのだ。
だが今回は・・・古傷が消えてしまっては、クレアは一層の無茶をするだろう。
その為の治療スキルであった。
「主君、聞こえたのだがディアナ殿と同じ相手を希望するぞ。」
【駄目です、俺が良いと言うまではエティンとアース・エレメンタルです!】
「むう、主君。これだけ頼んでも駄目か?」
【駄目です!それでなくとも実戦は早いと思っているんですからね?】
「むう、それならば我慢しよう・・・。」
【クレアさんはクレアさんの方法で強くなりましょう。】
「分かった、主君。手は治ったようなので打ち込み稽古を頼む。」
【ふう、分かりました。では三分ですよ?】
「うむ!」
構えると武器を合わせる。
カッ!
さて、サイスを相手にする経験はそんなにないからな、勉強させてもらおう。
木製のサイスがクルクルと回る。
幻惑されないようにしないとな。
後はどうにかしてロングソードの間合いにしないとね。
ヒュン・・・ヒュン・・・ガッ!
サイスで地面を打つとサイスの棒の部分を地面に叩きつけ、バネのような勢いで飛び込んで来た!
ほう、こういう使い方もあるのか!
慌てずに対応する。
サイスとは、所謂巨大な鎌の事だ。
巨大な持ち手を付けて戦闘用にしている。
間合いが広く、強打を使えるのが有効なので間合いの外から削られないようにするのが一般的だと思っていた。
だが、クレアはサイスの柄で地面を打ち機動力に変えて来たのだ。
飛び込んで来る時はもちろんサイスを振り回している。
下手に手を出すと、その強力な遠心力から生み出される勢いをそぐ事は出来ないだろう。
木剣を構えていたのだが、かわさないと剣がやられてしまいかねない。
まずは直線的なその動きをかわす。
側面から攻撃を加えてみよう。
武器によって戦い方が違うのでワクワクしてしまう。
その間にも、サイスが遠心力を得て迫って来る。
「っく!?」
避け様に一撃を見舞おうとすると危険を知らせるアラームが頭の中に響き渡る。
剣を構えたままバックステップをすると、いつの間にか方向を変えたサイスが、今、俺の立っていた場所を通り過ぎている所だった。
大型の武器を軸にして機動力に変えている!?
思ったより厄介だぞ?
「流石だな、主君。でも、まだまだこんなものでは無いぞ?」
【使い手と戦った事の無い武器、面白い。次はどんな事を見せてくれるのですか?】
「このような物はどうだろうか?」
そう言うとクレアは先程と同じようにサイスの柄の部分で地面を突き、突撃して来た。
今度は角度を付けて上空から迫って来る。
そう、前面でサイスを回しながら。
通常の武器ならばその攻撃を受ければサイスの質量と遠心力の勢いで破壊されてしまうだろう。
考えの内にあるのは遠心力を得た死神の鎌のごときサイスの脅威!
それならば、中心に入ればいい!
ロングソードを肩越しに突き出し距離を狭める。
「主君!」
ガンッ!
クレアも慌てるように遠心力を殺し受けの姿勢に入る。
この子、サイスの使い方を、この短期間で思い出したのか?
ギリギリと俺の木剣とクレアのサイスの柄でつばぜり合いが起こる。
だが、ステータスが違うのでクレアが押し込まれる。
「っく、これが地力の差なのか!」
【そうですね、面白い使い方をしているので戸惑いましたが、中心に入ってしまえば・・・これで純粋な力、技量の差が出てしまいますね。】
「ふむ、これはいけない。降参だ、主君。」
うん、これでサイスは使いづらい武器と言う概念が俺の中で消えた。
【驚きましたよ、色々な戦い方がありますね。良い勉強になりました。】
「地力を上げ、いつかその隣に並んで見せよう、主君。」
【楽しみにしていますよ。俺も戦い方を勉強しないとですね。】
そう言うとクレアは嬉しそうにサイスをクルクルと回している。
「旦那様、もちろん次は私の番だろうな?」
【いいでしょう、セリス。三分です。】
「いざっ!」
【セリスと戦うのは・・・あの時以来ですね!】
「強くなったと言わせて見せます!」
【いいでしょう、かかって来なさい!】
ガッ!
さすがはセリス。
使っている武器もそうだが、間合いの管理が上手い。
【練度を見せて頂きましょう!】
「ならば・・・トリプル・ストライク!」
カカカッ!
お、指導したところが直っている。
【ほう、鍛錬の成果ですね。】
「ええ、まだまだ行きます!」
【防御の硬い相手には、「アーマー・イグノア」!】
「避けて見せる!」
【ほう、これをかわしますか!】
「伊達に鍛錬を行っていた訳ではありませぬ!」
カンッ!
カンッ!
ふむ、セリスも良い感じに育ってきましたね。
その槍に鋭さが出て来た。
【ならば、鍛錬の成果を見せて頂きましょう!】
「はい!」
「【フィフス・トラスト!】」
ガガガガガッ!
狙いを寸分たがわず、俺とセリスの槍撃の場所と同じ所に打ち込む!
ほう、このわずかな時間でものにしましたか。
頼もしいですね。
このすきに、少し間合いを離したと思ったらすぐに間合いを詰められる。
さすがに間合いの管理は素晴らしいですね。
「まだですよ、旦那様!」
【はい!もっとです!セリスにはもっと期待しているのです!】
「ならば見せなければな!」
セリスが納刀する。
「五月雨斬り・改!」
ほう!
ガッ!ゴッ!ガン!ガッ!ガンッ!
【素晴らしい!そこまでの実力をつけましたか!】
「ふふっ、素晴らしい手本が二人もいますので!」
【間合いの管理、リーフ・ブレイドならではの特性を生かしておりますね。】
「はい!」
ゴッ!
武器と武器を打ち合わせると良い時間だった。
【セリス、三分です。】
「っふぅ、ありがとうございました。」
【ありがとうございました。】
うん、皆良い調子で育って来たね。
ディアナと同じくセリスも一緒にダンジョンにこもらせよう。
クレアは思ったよりも戦えるようだ。
感を取り戻せば二人の邪魔にならない様に戦えるようになるだろう。
そんな感じの実力だった。
ただ、無茶をしない様に、しばらくはオーカムの南西と鉱山ダンジョンで鍛錬だね。
三人のそんな成長を感じられる良い鍛錬だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺とフェイは六人会議に向けて準備を進めて行った。
戦闘組は体を休める為に休日を申し渡してある。
明後日はいよいよ六人会議。
ミカ以外は会った事の無い他のエクスィ・スィデラスが二人。
第四席と第五席の二人も来る予定である。
何せ鍛冶の腕前で六人を決め直すと言う大々的な物だ。
一般の鍛冶師からも候補が出ている。
約二千名から十名まで絞りに絞った人数。
そこに俺、フェイ、第四席の『ヘイ=シン・フォン・ティエ』と第五席の『ベクター・フォン・ノーブレッド』と第六席の「ミカ」が参加して合計で十五名。
その中から次代のエクスィ・スィデラスである六人を決めるのである。
この世界では鍛冶師は特別な職業である。
その中でも神々と各国の王により選ばれると言われるエクスィ・スィデラスである六名。
彼らはこの大陸において絶対的な支持を受ける鍛冶師達なのである。
神々に認められし「勇者」に武具を作り渡さなければならないと言う重要な使命がある。
その立場は「尊爵」と言う独自の爵位を設けられ王族に匹敵する。
どうやら俺は『アリステリア様』から「神匠」の位を直接賜ったおかげで各国の王達に第一席である紅玉に推されているようだ。
だが、形式という物は大切でその実力を他候補者にも見せなければならないらしい。
俺の準備は大丈夫だ。
いつも通りやればいい。
フェイも気合を入れているので大丈夫だろう。
問題はない。
いつも通りの鍛冶をするだけだ。
~第三幕 完~
This concludes the third act.
Hephaestus's adventures will continue from here.
Thank you for your support!
Well then, let's meet in the fourth act.
Thank you for your hard work.
2025/01/31 Maya.
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます。
まずは、いつものから!
評価、イイネ、ブックマーク等々。
大変に励みになります。
皆様に感謝を!
近況として。
母親のリハビリも何とかこなし、もう師走の足音が聞こえる季節になりました。
皆様は風邪などをひかないように。
そして物語は ~第四幕~六人会議へと進みます。
執筆が完了次第上げて行きますのでよろしくお願い致します。
それまでは、どうか生暖かい目で見守って下さい。
ヘファイストスの冒険はまだまだ続きます。
2024/11/27 Maya