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皆の成長と心配事

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!

執筆の終わった物を上げさせて頂きます。

お楽しみ頂ければ幸いです。

セリスも来たので昼御飯を済ませると三人の状態を確認する。


トレーニングをやりすぎていないか等を見る為だ。


【ディアナさんはさすがに慣れて来ましたね。このまま無理をしない様に続けましょう。】


「ウッス!」


【セリスは午後は槍の修練です。昨日と同じようにやってみて下さい。】


「かしこまりました、旦那様。」


【クレアさん、疲労が溜まっていますよ。無理をしない様に、後でマッサージをしましょう。】


「まっさーじ?」


【クレアさんの身体を揉んで筋肉をほぐします。明日に疲れを残さないようにです。】


「成程、主君に任せよう。」


「兄貴!アタイも!アタイも!」


「ディアナ!また抜け駆けですの!?」


「早い者勝ちだろう?」


【クレアさんの次に致しましょう。セリスはその後で。】


「やったぜ!これが気持ち良いんだよなぁ。」


「ほう、それ程なのかい?」


「そうなんすよ、いつの間にか寝ているぐらい気持ち良いんだよなー。」


「ほう、良い事を聞いた。主君、念入りに頼むぞ?」


【はい、ただし夜に寝る前ですからね?夜の鍛錬も頑張って下さいね。】


「「もちろんだ!」」


「っく、出遅れたが、その分やり遂げて見せる!」


セリスはそう言うとクレアとストレッチを始める。

ディアナは俺とストレッチだ。

それが終わると三人で内壁を走りに行った。

その間に片付けと準備を済ませる。


セリスの槍の修練は水から紐に変えた。

紐の先に小さい鉄の輪っかを付けて、穂先を通すようにした。

最初は大きく。

段々と小さくする予定だ。


クレアさんには訓練用に木の板からサイスを作ってみた。

鋼鉄と比べると重量は軽い。

今度鉄心をいれて重さを調整しようかな。

いや、明日晴れてたら作ってみよう。

鎧も作らないとだしね。


三人がランニングから帰って来るとそれぞれで訓練をしだす。

ディアナは形の稽古からスクワットのセットを。

セリスはスクワット後、槍の鍛錬。

クレアはスクワット後にサイスを使った剣術の鍛錬を。


今のところ、ディアナは順調のようだ。

彼女は普及型のⅠとⅡの形をマスターし、順調にその鍛錬をモノにしている。

その動きにはキレが出て来た。

体が覚えて来たのだろう。


セリスは集中して輪っかに突き込んでいる。

何度外れようが集中してやっているので大丈夫だろう。

それを連続で突き込めればかなりの成果を得られるであろう。

頑張れ、セリス。


クレアは作っておいた木製のサイスを与えると重さを確かめながら器用にクルクルと回しだす。

鍛錬をしなくなって二年経つのに、身体はその使い方を覚えているようだ。

サイスを嬉しそうにクルクルと回しながら鍛錬している。

アレだ、ブラスバンドの先頭を行く『ドラムメジャー』のようだ。


そうだ、セリスに予備の着替えを渡さないとね。

戻る時でも良いか。


五分行うと一分休みを取らせる事も忘れない。


この十日ほどでディアナの身体つきが変わって来た。

まだまだかかるかな。

だが無理をさせる訳にもいかない。

他の子もそうだ。

特にクレア。

見ていないと昔の調子を取り戻そうと無理をするのだ。


【クレアさん、やりすぎです。休憩を忘れないように。】


「主君、私はまだまだ動けるのだよ。案ずるな。」


【それは分かりますが、休憩をしないと体を壊してしまいますよ?】


「調子は良いのだよ。もうしばらくさせてくれないかな?」


【本当に無理だと思ったら強引に止めますよ?】


「これはこれで、鍛錬の甲斐があるのだよ。」


【分かりました、本当に無理はしないで下さいね。】


「分かったよ、主君。」


続いてセリスの方へ向かう。


【セリス、軍務はよろしいのですか?】


「テラサンとの戦いの後の全ての軍務をセシルに引き継いで来た。これで私は騎士団の団長、いや、一員ではなくなった。」


【そうですか・・・お疲れ様です。】


「いや、まだ、明日の除隊式があるのだ。気を抜くのは早いぞ、旦那様。」


【そうですか、それでは集中して行きましょう。】


「はい!」


彼女の帝国での思い入れは明日で終わりのようだ。

悔いの無いようにして上げたいね。


【では続けていて下さい。】


外を見る。


未だその風雨は収まる気配を見せない。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


晩御飯時。


いつものになって来た厨房で料理を作る。


「今日のお兄さんの料理は何かしらね?」


「ヘファさんだから・・・任せれば・・・大丈夫・・・。」


「そうですね、きっとおいしい物が出てくるはずです!」


「そうなのです!すごく期待するのです!」


「お兄ちゃんの御飯、とっても美味しいものね。」


未成年組から楽しみだと言う声が聞こえる。

成年組はどうなのだろうか?

ちょっと気になったので声に耳を傾ける。


「皆で帝国にいるのも明日が最後なのよね・・・。」


「そうですね、でも、これで終わりでは無いのですよー。」


「そうだな、ナナリー殿。私も馴染まなくてはな。」


「ヘファイストス様とフェイさんがエクスィ・スィデラスになって頂ければ!」


「そやなぁ、天候が直ったら早速鍛冶をしにノール工房へ行かんとなぁ。」


「身体が動くのは良い事だ、して主君よ。今晩の夕餉は何であろうか?」


「兄貴の飯だ、外れは無いぜ、クレアさんよ?」


「ふぉふぉ、坊主の料理に餌付けされたようじゃ。」


フフフ、今日はかつ丼だ。

さて、感想はどうかな。

かつ丼と味噌汁を皆に配る。


「これは何という料理なのかしら?」


「リズ姉・・・匂いで分かります・・・美味しい物ですね・・・。」


「そうですね、良い匂いがしますよ!」


「まだなのです!そろうまで待つのです!」


ぐぅ~・・・


「アリスちゃん、お腹が鳴ってるよー?」


「い、今のはクーデリカなのです!」


「私じゃないよぅ!」


「じゃあ、冷めないうちにいただきましょうね。」


「そうですね、いただきましょうー。」


「最近は箸も慣れてきましたしね。」


「わ、私も慣れて来たぞ!」


「そうやなぁ、二人とも合格点やねぇ。」


「ふむ、早く慣れた方がよさそうだね、主君。」


「我慢出来ねえ!皆、いただこうぜっ!」


【では、いただきます!】


「「「いただきます!!!」」」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


晩御飯の片付けを行っている。


かつ丼も大好評だった。

今日はナナリーさんが手伝ってくれている。

ルイスは皆に算術を教えているようだ。

もちろん俺はいつもの皿洗い。


あれ?

そう言えば・・・。


『ナナリーさん、今日は何日でしたっけ?』


『ヘファ君、今日は二十四の日ですよー。』


『明日は給金日じゃないですか!』


『そうですね、色々とあって忘れていましたねー。』


『明日渡せるように準備をしておきますね。』


『お願いしますねー。』


ええっと、今回はルイス、リズ、ベス、マオ、アリス、ナナリーさんとサーラかな。

いつもの給金の金額で良いだろうか・・・?

セリスとフェイ、クレア、クーデリカは今月は必要最小限で我慢してもらおう。

後で、忘れないように準備しておくかな。


食事が終わる頃には大風も通り過ぎたようで夜空には星が見えていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


手土産を持ってとある場所へと向かった。


【ティアー、ティアさんや~?】


【・・・。】


ジロリとでも言うような視線でこちらを見ている。

久しぶりなので怒っているようだ。

御機嫌を取らないと本当に怖い。


【ティアさんや、返事ぐらいしてくれないかな?】


【・・・。】


【ほら、大好きなミルクレープだよ。】


【会いに来てくれるって言ったのに・・・嘘つき。】


【その件は本当にごめんね、なんだかんだ忙しかったんだよ。】


【もう来てくれないかと思ったじゃない!】


【ごめんね、忘れてなんかいないんだ。本当に忙しかったんだよ。】


【ダーリン、まずは気持ち良いをさせなさい。】


【それで許してくれるの?】


【このもやもやは嫌よ、さっさとさせなさい!】


ティアに近づくと膝の上に乗って来たので抱きしめる。

そしてキスをする。

しばらくそうしているとティアが喋りだしてくれた。


【テラサンとの戦いは御苦労様ね。】


【多くの犠牲が出てしまったんだけどね・・・。】


【戦争をしたのでしょう、死ぬのは当たり前では無くて?】


【今回は犠牲を少なく出来たはずなんだよ。】


【・・・ダーリン、オフディアン族とは縁を切った方が良いわよ?】


【何でだい?友好的なら絆は深めるのが良いんじゃないの?】


【あの蛇どもは魔王が復活すれば魔王に協力するわよ?】


【ありゃま、そうなの?】


【そうよ、先兵になって戦うわよ?】


【うーん、出来るだけ戦いたくないんだよね。人語を介する人達とは。】


【甘いわね・・・でも、それもダーリンの良い所なのかしら?】


【話し合えると言う事は、分かり合えるかもしれないからね。】


【あいつらは狡猾なのよ、分かり合えないわ。】


【ティア達とも分かり合えたじゃないか。それでも駄目なのかな?】


【・・・後悔するかもしれないわよ?】


【それでも、俺は信じたいな。で、ティアさんや、聞きたい事があるんだが?】


【何よ?場合によっては答えないわよ?】


【あのさ、コアの事なんだけどさ、これ金属だよね?】


【・・・気付いたの?】


【そりゃあ、いっぱしの鍛冶師のつもりだしね。】


【はぁ・・・近づかなくても良いのよ?】


【近づくって、何に?】


【何でもないわ、それでコアの事ね?】


【うん、見た事がない金属なんだよね。しかも上質な金属のような気がするんだ。】


【ダーリン、その事は今は考えなくて良いわ。それでも知りたければ・・・姉妹がそろったら教えてあげる。】


【姉妹って、後五人もいるじゃない。】


【ダーリンが姉妹を納得させたのなら教えてあげる。】


【先は長いなぁ、ティア先生。】


【ふふっ、で、他には何が聞きたいのかしら?】


俺の膝の上から降りて、少し歩いたと思ったら振り返る。

何処からか取り出した眼鏡を装備している。

その眼鏡を左手の人差し指でクイッっと上げる。

・・・先生が気に入ったのか?


【ねえ、ティア先生。もう一度聞いて良いかな・・・俺は人間なんだよね?】


【どうしてそう・・・人間ではないと思うのかしら?】


【前にも言ったと思うけれど、呪文を唱えずに魔法が使えるって言う所かな。】


【今のダーリンは間違いなく「人族」よ。そう、間違いなくね。】


【そうなのかな?・・・ちょっと自信が無くなって来たんだよ。】


【どうしてそう思うのかしら?】


【好きな女の子と交わっても子供が出来ないとか、成長しない体とか・・・。】


【人族は、子供を作るのに「交わり」が必要なのかしら?】


【そうだよ、ほぼ毎日、交わっているのに子供が出来ないんだよ。】


【それはあの女神おんなのやっている事だから分からないわね。】


【あの女神って『アリステリア様』の事?】


【そう、あの女神が何かやっているのなら、私には分からないから答えられないわ。】


【そっか・・・成長しない体も?】


【そうね、あの女神のやっている事だから分からないわね。】


【『アリステリア様』は、何かあったら神都にある神殿に来いって言ってくれてるんだけど、まだ行けてないんだ。】


【・・・あの女神、今度はダーリンに何をさせるつもりなのかしら?】


【何をさせるつもり?って、何かを強要された事は無いよ?】


【あの女神の事だから、試練を乗り越えて見せなさいとか・・・言われてはいないかしら?】


【「汝に試練を」とかは言われた気がするなぁ。】


【ダーリン、貴方は今は人間なのよ。気を付けるのはあの女神の言う事を聞いては駄目と言う事よ。】


【でも、転移されてから良い事しかないよ?】


【ダーリンが思っている良い事とは何かしら?】


【ルイスに出会えたし、リズやベス、マオ、アリスにも出会えた。それにナナリー、サーラ、セリス、フェイ、クレア、クーデリカにも出会えたよ?】


【それだけなの?】


【もちろんティアやアセディアにも会えたしね。他にも爺さんやノモス達、師匠にも会えた。こんなに恵まれた事があっただろうか?】


【そ、それなら良いわ。私が思っているのは姉妹達にも会ってほしいの。彼女達に会う事で道の見える事もあるわ。】


【道って?】


【ダーリンが進むべき道ね。】


【でも、封印されちゃってるんでしょう?】


【ダーリンが封印を解いてくれればいいのよ。】


【でもさ、ティア達の封印を解くと魔王が復活するんじゃないの?】


【私達が復活したぐらいではその心配は無いわ。私達がコアの状態だったら・・・魔王は復活は出来ないわ。】


【コアの状態?】


【そう、コアの状態・・・これ以上は残念ながら言えないわ。】


【うーん、もやもやが増えちゃったなぁ。】


【それと、ダーリン。あの女神の言っている試練とやらを、うのみにしては駄目よ?必ず後悔するわよ?】


【でも、凄く恵まれているよ?】


【それは「縁」の方よね?】


【そうだね、素晴らしい人達との出会いがあるから、今の俺がいると言っても過言ではないよ?】


【・・・ダーリンがそう思っているのなら良いわ。】


【ティア先生は何の心配をしているの?】


【その出会いがダーリンを苦しめない様に思っているわ。】


【万が一は考えたくないんだけれど、その時には慰めてくれるんでしょう?】


【・・・気持ち良いをさせてあげるわ。】


【お願いします、ティア先生。】


【じゃあ、今日のところはここまでね。みるくれーぷを頂戴。】


【分かった、切り分けるね。】


【ダーリン・・・万が一、絶望したのなら私達を頼りなさい。その時は『アリステリア』には頼らないで頂戴。】


【うーん、そう言ってくれるのは嬉しいんだけれど、『アリステリア様』がいなければ俺達は出会っていないんだからね?】


【そこだけは感謝する事にするわ。それで、今日は何個あるのかしら?】


【二個だね、足りなかった?】


【そんな事は無いわ。あ、後ね、お土産も楽しみだけれど、ダーリンと会うのも楽しみだもの。」


【・・・はいよ、ゆっくり食べるんだよ?誰も盗らないからね。】


【ふふ、私が欲しいと思っているのよ。それは全部私の物なの。】


そう言うとティアはデザートを全て平らげてしまった。

美味しく食べてくれたのなら嬉しいね。

その表情は優しい笑顔だった。


【さて、そろそろ行くよ・・・ティア、またね。】


【今度はもっと早く来るのよ?】


【うん、楽しみにしておいてね。】


そう言うと私と別れて帝国に戻る。

ダーリンを見送った後、怒りがこみあげて来る。


【・・・あの女神めっ!そんなにダーリンを利用したいの!?】


そう言った私の顔をダーリンに見られなくって良かった。

きっと凄く醜い顔をしていたに違いない。

だが、あの女神の考えている道をダーリンは着実に進んでいる事だろう。

それも「運命」では無くて陰謀と言う「縁」の道を!


【あの女神の言う事を聞いては駄目よ。でもダーリンはその道を進んでいる・・・どうすればいいのかしら?】


そう言った私の声が遺跡内に響き渡るだけだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


戻ると良い時間だった。


三人にマッサージを施す。

順にマッサージを施すと終わる頃には皆は眠ってしまったようだった。


【これで疲れは残らないだろう。明日からは鍛冶に集中するかな。】


部屋に戻り、明日の支度をする。

給金はこれで大丈夫だろう。

後は渡すタイミングだな。


こうして今日も一日が終わる。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつもの!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

さて、母の身体も順調に回復に向かっており、一安心です。

問題は、今後のリハビリなんですが・・・。

執筆も含め頑張って行きますので、今後ともよろしくお願い致します!

さて 次話 六人会議に向けて(仮 で、お会い致しましょう!

最近寒くなって来ましたので皆様も体調にはお気を付けを。

それでは、お休みなさいませ!



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