大風が来ているらしい
いつも読んで下さり、誠にありがとうございます。
執筆の終わった分をUP致します。
今後とも、よろしくお願い致します。
【うん・・・朝か・・・。】
最近は別室だからルイス達の温もりを感じる事が無い。
寂しい・・・。
ベッドから起き上がると、ディアナとセリスの姿が無かった。
昨日あのまま寝てしまったからね。
そうだ、ウェアの着替えもあると良いかな。
クレアの物も作らないとね。
それと、師匠の着物も。
「『アリステリア様』本日も加護を与えたまえ。」
窓から外を見る。
師匠の言う通り、土砂降りだった。
うへー、降水量はどれぐらいなんだろうな。
今までの天気が嘘のように今日は雨だった。
もちろん風もすごい。
これが大風か。
師匠のベッドを見ると、酒にやられたのかまだ眠っていた。
闘いが無いと、駄目なお爺さんモード全開なんだもんな。
そんな師匠は眠らせておこう。
たまには良いでしょう。
支度を整えると練兵場に向かう。
【お、そろっていますね。】
「よう~っす、兄貴。昨日は済まなかったな。それと、今日は嵐だぜ。とびっきりのな。」
「おはよう、旦那様。昨日は済みませんでした、起きた時には体が軽かったです。感謝を。」
「主君、おはよう。今日は残念だね。見物はどうするんだい?」
【見物は中止にして休みにするつもりです。】
「そうだな、それが良かろう。」
「まだ時間はありますからね。」
「じゃあ、始めようぜ!」
まずは四人でストレッチを行う。
「おー、伸びる、伸びる!これは気持ち良いね。」
「だろう、クレア。これからは調子が良ければ参加するべきだ。」
「歓迎だぜ、クレアの姉さん。」
「ふむ、一考しよう。だが羨ましいな。二人の着ている服?は何だい?ずい分と動きやすそうじゃないか。」
「これは、「とれーにんぐうぇあ」と言う物です、旦那様に仕立てて頂きました。鍛錬の時に着ている服です。」
「そうだぜ、動きやすくて気分が良いぜ?」
「主君、もちろん私の物も作ってくれるんだろうね?」
左手の人差し指を唇に当てておねだりして来る。
可愛い・・・。
【今日中にでも作りましょう。今後の鍛錬は身体の調子を見てからですね。】
「もちろん下着も作ってくれるのだろう?期待しているよ、主君。」
クレアさんはそう言うと抱き着いて来る。
くぅ、この我が儘ボディめ!
けしからんな!
うへへ・・・。
「旦那様・・・。」
「兄貴よぉ・・・。」
【さ、さあ、長距離ですよ!】
「「「はい!」」」
元気な声を残して三人は走りに向かう。
クレアさん、大丈夫かなぁ。
ハイ・エリクサーの効果で完全に治っているはずなんだけど・・・。
彼女は、怪我のせいで、ほぼ二年間運動が出来ていないのだ。
その二年の差は大きいだろう。
しかも相手はセリスとディアナだ。
心配だったから今日は俺も走ろう。
台風なので濡れないように内壁を走る。
案の定ディアナが先頭だ。
その後にセリス、クレアさんと続く。
俺は一番後方。
やはり、二年の間でスタミナが・・・。
頑張ろうね、クレアさん!
ん?
遅れていたクレアさんがセリスの隣に?
セリスがペースダウンしたようだ。
何かを喋りながら二人とも走っているようだ。
・・・楽しそうだな。
体調は大丈夫そうだ。
今後の鍛錬メニューを考える。
ディアナは走り込みと形を行って、余裕があれば打ち込み稽古かな。
セリスには走り込みと槍の訓練。
クレアさんは様子を見ながら走り込みかな。
もちろん体調を見てからだ。
クレアさんって剣術かな?
剣の師って言ってたから間違いないだろうけど一応聞いてみるか。
ついでにクレアさんの腕前を見せてもらえればいいだろう。
それと、ディアナには食事制限をこのままさせないと。
前より速筋が落ちて遅筋になって来ているようだしね。
バランスを取って行けば、徐々に中間筋が多くなるように出来るかもしれない。
色々とやる事はあるが力になると決めたんだ。
頑張ろう。
【クレアさん、体調はいかがですか?】
「ふう、鍛錬をしてなかった時間が悔やまれるね。この程度で息が上がるとは。」
【慣れて行けば大丈夫だとは思いますがね。焦らずにじっくりとやって行きましょう。】
「主君は優しいな。ふふっ、かしこまりました、辛くとも付いて行きます。」
【無理しちゃ駄目だよ?】
「もちろんさ、せっかく直してもらったんだ。もう身体は壊さないよ。」
【それで、クレアさんの得意な武器スキルは剣術なの?】
「その通りだが・・・ああ、主君。私の武装を聞いているのかい?」
【ええ、良ければ作りますよ?】
「ふむ、この身にはありがたい話だが、もう少し鍛錬をしなければね。」
【それもそうですね、まずは体調を見ながらに致しましょう。】
「それで頼むよ、主君。」
クールダウンのストレッチをすると朝御飯だ。
その間に、三人の為に御飯を作りに行く。
メニューは決まっているからね。
玄米を炊く。
砂抜きのアサリも茹でる。
茹で上がったら水切りをしておく。
溶き卵も用意し、小ネギも刻む。
フライパンを熱し、ゴマ油投入。
十分に温まったら溶き卵・玄米を入れてダマにならないよう切るように混ぜる。
水切りをしておいたアサリを投入。
小ネギを投入して醤油を回し掛けする。
塩と胡椒で味付けしたら出来上がり!
アサリで作る簡単チャーハン!
ついでに中華スープも作っておく。
チャーハンと言えばコレ!
適量を盛り付ける。
バックパックに入れて練兵場に持って行く。
テーブルと椅子を出し、皿を並べて完成。
「今日の御飯も美味しそうですね。」
「良い匂いが・・・ああ、これで量があればなぁ・・・。」
「ディアナ殿はそんなに食べるのかい?」
【クレアさん、ディアナさんは食事制限してますからね。御褒美以外は筋肉飯なんですよ。】
「あっはっはっは、主君、御飯にも鍛錬させる気かな?」
【そうですよ、食生活でガラッと身体つきは変わりますからね。】
「私も制限した方が良いのだろうか?」
「クレアは制限するような事はあるまい?」
「いやいや、未だ、主君の閨へ呼ばれておらんのだよ?それを考えるに、この身が悪いのではないだろうか?」
「クレア、旦那様に限りそれは無いぞ?」
「いやいや、私も女だ。主君に呼ばれれば女として応え、この身体をいかようにでも・・・。」
【クレアさん、ちょっと待とうか?】
「だがな、主君。セリスの言うように、私の身体に魅力を感じない訳ではあるまい?」
ムニムニとその大きな双丘で挑発して来る。
【クレア、貴女は本当に魅力的だ。】
「ならば、今夜辺りは夜這いに来てくれるのかね?」
【前向きに検討致します!】
「ふふっ、期待するとしよう。」
【それでは各々で鍛錬を続けて下さい。俺は皆に今日は休みだって伝えて来ます。】
「旦那様、私は軍務に行きます。」
「了解だぜ、兄貴!」
「私も体を動かしておこう。」
「ディアナさん、やりすぎないように。」
そう言うと皆の部屋へと向かう。
六人会議まで、後三日。
それまでは自由にすごそう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「せっかく遊びに来たのに雨なのねー・・・。」
「ヘファさん・・・本が・・・読めるところを・・・紹介して・・・。
「ヘファさん!今日はどうするのですか?」
「今日はクーデリカちゃんと、寝てても良いのですか?」
「アリスちゃん、私は抱き枕じゃないよぅ。」
【と、言う訳で今日は休みです。ベスは後で図書館を案内しよう。アリスは程々にね。】
「はい・・・ありがとう・・・ヘファさん・・・。」
「マオ、王宮を探検するわよ!」
「了解です、リズ姉!」
【ルイスはどうする?】
「私はベスと一緒に図書館へ行くわね。」
【何かあったら俺の名前かセリスの名前を出していいからね。】
「分かったわ、貴方。」
【リズ、マオ。迷子にならないようにね?】
「分かっているわよ、お兄さん。」
「任せて下さい、ヘファさん!」
【アリス達は眠ってていいからね。】
「クーデリカちゃん、寝るのです・・・ぐぅ。」
「うわーん。お兄ちゃんとお散歩したかったよー!」
【明日は、一度王国に帰るからね。準備をお願いしますよー?】
「分かったわ、貴方。準備をさせておくわね。」
「頼むね、ルイス。」
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「と、言う事は外出はしない方がよろしいですね?」
【そうですね、サーラ。】
「ノール工房に行きたかったのですが、仕方がありませんね。」
「そやなぁ、こんな時は籠って鋼を叩いておきたいなぁ。」
うーん、マーカーをしておけばよかったかな?
っと、そうだ。
言っておかないとな。
【そうです、フェイ。六人会議の期間が決まりました。三日後の十時から帝国の本会議場で行われるようです。】
「いよいよかぁ、腕がなるねぇ。」
【内容については分からないんですよね。フェイは分かりませんか?】
「勘弁な、坊ちゃん。ウチも初めてなんやぁ。」
【そうですか、まあ、戦闘は無いでしょうから気軽に行きますか。】
「そうやね、坊ちゃんが第一席になる事を・・・ついでにウチが二席になれば問題は無いかね?」
【フェイ、俺が一席になる事は確定ではありませんよ?まだ眠っている実力を持つ人達がいるかもしれません。】
「坊ちゃん以上ねぇ・・・そんなのがいたら驚きやなぁ。」
「旦那様、フェイ殿。一般の鍛冶師に募集をかけたところ千人以上の応募があったようです。」
「あー、それで会議までの期間が長くなったのですねー。」
【ナナリーさん達は、今日はゆっくりしてて下さいね。】
「分かりましたー。」
【サーラとフェイも体を休めて下さいね。】
「わっかりましたー!」
「分かったで、坊ちゃん。」
ルイスとベスに声をかけ図書館へと案内する。
俺は用事があるので案内して御終い。
鍛錬しているであろうディアナの所へ向かう。
地味に練兵場までの道が長い。
ゲームでもリターンやゲートに慣れたら徒歩や騎乗生物は使わなくなっちゃったんだよね。
だがそこは異世界。
歩くのは不便だがそれなりに楽める。
練兵場に着くと形をしているディアナを見つけた。
・・・今は集中しているようだ。
後で声をかけようか。
そのまま裁縫キットを取り出し、服を作る。
まずは女性陣の物から。
ディアナとセリスのトレーニングウェアを追加で二着ずつ作る。
着替え用だ。
もちろんおへそは出ているぜ?
クレアの分も作る。
トレーニングウェア三着から替えの服を十点、更に下着まで。
こちらのウェアもおへそが出ている。
クレアがセリスに頼んでいた所を知っているので下着もセットで十着作る。
今度は師匠の服。
男性用の着物を五着、裃を二着。
・・・ふんどしも何点か作っておいた。
おっと、集中しすぎたかな?
ディアナの方を見る。
まだ形の稽古を行っていた。
・・・上手く集中出来ているようだ。
これで、集中は大丈夫かな。
ちょっとオーバーワーク気味じゃないだろうか?
ふにゅん
突然背中に柔らかい物が!?
この柔らかさは二度目かな?
【クレアさん、どうしましたましたか?】
「ふふ、集中して何をしてるのかと思ったら、服を作ってくれているじゃないか。嬉しいね、主君。」
【普段着も作りましたので、良かったらこちらも着て下さいね。】
「ああ、主君好みの女となって見せよう。」
【元々、俺好みですが・・・。】
「うん、嬉しいね、主君。まさかこんな日が来ようとはね。」
【クレアさんが頑張ったからですよ。】
「ふふ、主君は私の身体だけではなく、心まで癒してくれたのだぞ?」
【それは、クレアさんの心が絶望に打ち勝ったからですよ。】
「ふむ、これだけ言っても分かって下さらないのは天然なのか、意地が悪いのか?」
【どちらでもありません、こう見えても、俺は臆病なんですよ。】
「臆病?主君が臆病なら私はどうなのだろうな?」
【クレアさんはあの絶望の中でも頑張っていたじゃないですか。】
「そうだ、主君。あの体で絶望的だった私は、暗闇の中、主君のような人物を探していたのだよ。」
【俺のような?】
「そうだ・・・私はね、眠るのが怖かったのだよ。」
【眠るのが?】
「そうだ、いつこの身体が朽ちてもおかしくない状態だったのだろう?」
【それは、クレアさんが強かったからですよ。】
「違う、断じて否なのだ。私はしばらくは思うように眠れなかったのだよ。」
【・・・。】
「眠ってしまったら?明日が来る事が無くなるのではないか?とね。」
【だがそれでも貴女は生きていた。】
「そうだ、主君。だが、慣れると人間という物はな、欲求に負けるのだよ。」
【欲求ですか?】
「そうだ、主君。美味い物を食べたい、眠りたい、と言った誘惑に負けるのだよ。」
【それはクレアさんが、生きたがっていたからですよ。】
「毎日の夜、眠る時に明日が訪れますようにと『アリステリア様』に祈って眠っていたのさ。」
【そんな貴女を『アリステリア様』は見捨てなかった。】
「そうだ、そうなんだよ。だから主君との出会いは運命なのだ。」
【運命・・・ですか?】
「そうだ。私に飲ませたのはハイ・エリクサーだと言っていたね?」
【そうですが。】
「伝説にでも出て来そうな価値のある薬を、何の躊躇いもなく使う、その度量に、優しさに惚れたのだよ。」
【・・・。】
「無理やり嫁候補になったのは謝る。だが、この思いには蓋は出来なかったのさ。」
【クレアさん、今までの俺を見てもそんな事が言えますか?】
「どんな主君でも受け入れる用意が、私にはあるぞ?」
【好みの女性から言われるのはとても嬉しい事なのですが、自分の覚悟が決まっていないのですよ。】
「そのように難しく考える事は無いと思われるぞ、主君?」
【そんなふうに見えるかな?】
「もっと思考を柔軟にすると良いぞ?」
【柔軟に?】
「そうだ、海に行った時の顔しか見ていないが、リズ殿やベス殿、マオ殿、そしてアリス殿。彼女らの顔を見れば分かるだろう?」
【・・・とても良い笑顔でしたね。】
「そうだ、自分の手元に置いて彼女達を笑顔にする事が主君の務めでは無いのかね?」
【笑顔に・・・。】
「主君、そこにはもちろんだが嫁候補も含まれているのだよ?」
【ルイスには怒られてばかりで、ナナリーには心配ばかりかけている。】
「私は付き合いが最も浅いので、これだけは言わせてもらおう。皆が何かあれば主君が解決してくれると思っているのだよ。」
【・・・そうか、そうだね。その為にも頑張らないとだね。】
「うん、で、いつ待っていれば良いのかな?」
【何の事?】
「主君は意地が悪いのだな。女にもう一度言わせるのか?」
【クレアさんはもう少し体を労わって下さいね。】
「ふむ、上手く逃げられてしまったな。」
【良い時間ですね、ディアナさん。話を聞いていないで、そろそろストレッチをして下さいね。】
「う、うっす、兄貴!」
【クレアさんもどうぞ、せっかく来たのですからね。】
「ふむ、では、ディアナ殿。よろしくお願い申し上げる。」
「うっす、二人でやるといろんなところが伸びて良いんすよー。」
「はっはっは、そうなのかい?だが、手加減はしてくれよ?」
「もちろんだぜ!」
皆の笑顔を守る。
そうだ、その為に俺がいるんじゃないか。
クレアさん、悩みが大分楽になりましたよ。
ありがとう。
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
まずはいつものから!
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大変に励みになります!
皆様に感謝を!
久しぶりのUPとなってしまいました。
活動報告にも書きましたが、母親が交通事故にあい腰椎を骨折しました。
横断歩道を歩いている時に車に衝突されたらしいです。
皆さんも事故などには気を付けて下さい。
退院するまでは看護士さんが付いてくれてリハビリまでお願いできるのですが、その後が大変らしいです。
連載の時間は空いてしまうかもしれませんができうる限り執筆を続けますので応援よろしくお願いします。
それでは、次話 実って来たよ! で、お会い致しましょう!
御疲れ様でした!