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生きていた恩師

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!

執筆終わりました。

楽しんで頂ければ幸いです。

クーデリカのサイズを目測で測るとパジャマとサマーワンピース、サンダルを作る。


服を合わせると嬉しかったのか抱き着いてくれる。


「ありがとう、ヘファ兄ちゃん!」


「うん、じゃあお風呂に行きましょうか。」


「あ、あの、ルイス姉様。」


「何かしら?」


「こんなにお風呂に入っても良いんですか?私は下民ですよ?」


「それを言うなら私も下民ね。家は持っていないし貴族でもないわよ?」


「ですが、皇女殿下やヘファ兄ちゃんが・・・。」


「良い事、セリスさんは確かに皇女様ですがあの人の嫁の一人なの。その人がどんな人でも彼は、ヘファイストスはそんな事で線引きをしないわ。」


「ですが・・・。」


「良いかしら?貴方も同じなの。あの人の庇護下に入ったのよ。だから胸を張って一緒に過ごしましょうね?」


「う・・・ううっ、はい!ありがとう、ルイス姉様。」


「分かったのなら、お風呂に行くわよ?」


「は、はい!」


・・・二人はお風呂に行ったようだ。

ルイスから面と向かって名前を言われると照れるな。

もっと名前で呼んでほしい所だが。

それは贅沢という物かな?


さてと、ん?

プールの所に師匠がいたので気になって来てみた。


【師匠?】


「ん?どうしたんじゃ、坊主?」


【師匠こそ一人で・・・ああ、月見酒ですか?】


「そうじゃ、今宵は良い月じゃ。」


【いいですねえ、フェイも呼びましょう。】


「坊主、手伝いは帰っておる時間じゃな?」


【そうで・・・気配が・・・七ですか、近づいてきますね。】


「戦う気は無いようじゃからわしの出番では無いな。」


【あー、クーデリカの件かもしれませんね。】


「ほう、きっちりとして来い。貴族は面倒じゃぞ?」


【分かりました。】


そう言うと入り口へと向かう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「父上、ここら一帯のはずです。」


「ヘファイストス殿のいる所など分かっておるわ!あの方はノモス侯爵と縁が深いのだぞ!」


「それでは、ノモス侯爵の別邸へ?」


「そうだ、馬車などで行ってみよ、セリス殿下に謝る意思無しとして門前で追い払われよう!」


「本当に申し訳ありません、父上。」


「だからあれ程厳しくしておけと言ったではないか!この状況、貴様にも後を継がせるのを考えなければならんな!」


「父上!?」


「当然ではないか!ヘファイストス殿を敵にすると言う事は皇家を敵にするのと同義だぞ!」


「申し訳ございません。」


「パパ、眠いよ?」


「・・・これが貴様の教育か!?」


「本当に申し訳ございません!」


「急ぎの知らせに何事かと思えば、ヘファイストス殿と喧嘩などと!」


「私も我が耳を疑いました。」


「どうしてその後の事も考えなかった!」


「申し訳ありません!」


「仕方がない、かの吾人は情け深いという、今回はその情けに訴えさせてもらおう。」


「その為のこの女ですか?」


「そうだ、この娘を保護していたのはこのような時の為だ!」


「さすがですな、父上!」


「だが、この件が終わったらレイモンドは廃嫡だ!」


「父上、それはあまりにも!」


「聞けば王国のドリュカス老も同じ事を行ったと聞く。」


「父上、廃嫡だけは何とかなりませんか?」


「貴様の教育方針が悪かっただけでは無いかっ!」


「弟よ・・・済まぬ。」


「兄上様、眠いよ?」


「「・・・。」」


「ん、ここのようだな。支度を整えよ!」


「「「っは!」」」


ギギイィィィィ・・・


「む、何故門が開くのだ!?」


「わ、分かりません・・・。」


「入って来いと言う事か・・・?」


「父上、罠ではございませんか?」


「罠とは何だ!おほん、礼を失してはいかん、ここはノックからだ。」


ドアノッカーを三回打つ。


ゴン!


ゴン!


ゴン!


「「「・・・。」」」


【どちら様ですか?】


ドア越しに声が聞こえる。


「夜分遅くに失礼する、ガファズィス伯爵、ジェフリー・フォン・ガファズィスと申します。」


【その伯爵様が何用でしょうか?】


「昼間の件で謝罪をしに来たとヘファイストス殿に伝えてはもらえないだろうか?」


ギイィ


【これはこれは伯爵様自らおいでとは。】


「それで、面会は出来ようものか?」


【ええ、貴方の目の前にいますよ?初めてお目にかかります、ヘファイストスと申します。】


「ん?こ、これは失礼。赤いフード姿しか存じ上げないもので。」


【ああ、こちらこそ失礼を。家族団らんの時は普通に過ごさせて頂いておるのですよ。入り口では何ですので中へどうぞ。】


「では、失礼して。護衛は外で待て。」


「「「ははっ。」」」


すると丁度階段から女性が降りてくるところだった。

目が合う。


「ほう、ガファズィス伯爵よ。久しいな。」


ザッ


この方がいるのも計算のうちだ。

跪き挨拶をする。

御転婆姫などと言われておるが筋の通った人物である。

その姫は胸元の大きくあいている、ナイトドレスに身を包んでいた。


「まずは夜分遅くの御対応に感謝を。セリス皇女殿下に置かれましては」


「よい!まずは席に付け。話はそれからとしよう。」


「ははっ!」


案内され部屋に着く。

ドア等は無い。

広間だった。


「これは、見事な・・・さすが侯爵様ですな。」


一流の人物のもとには一流の物が集うと言っておったのは誰だったか?


圧倒されてしまうような家具の豪華さだった。

この十人以上掛けられる一枚板のテーブル。

座る椅子の掛け心地。

素晴らしい。


っは、違う違う。

家具を堪能しに来た訳ではあるまい?

これからの事を思うと胃が痛い。


【それで】


「旦那様が声をかける必要はない。私が喋る、それを見守っていてくれ。」


【愛しのセリス、判断を誤らないようにね。】


「旦那様、分かっているとも。さあ、ガファズィス伯爵どのような用件で来られたのか?」


「まずは無礼を働いた息子達に代わり謝罪を。このたびは誠に申し訳ございません。」


「伯爵、無礼を働いたのはそなたではあるまい?それに、私ではなく旦那様にでは無いのか?」


「いえ、この甘やかせて育ってしまった三男めがセリス様に無礼な事を言ったと聞いております。」


「ほう、ではその謝罪は受け取ろう。」


「ありがたき幸せ。」


「だが、伯爵よ。我が夫への無礼、我は許すつもりはないぞ?」


【セリス、判断を誤らないでほしい。君にはそんな顔は似合わないよ、ね?】


「だ、旦那様は優しすぎるのです。それで、伯爵よ。その三男の所業は旦那様の言でも許す訳にはいかん。」


「セリス様、ヘファイストス様に対しての無礼、この馬鹿者どもに代わりどうか収めては頂けまいか?」


頭を下げる。

それこそ机に頭突きする気持ちで、いや、してしまった。


「ガファズィス伯爵、そなたは知っておるのか?知らんのか?」


「何をでございますか?」


「そこの三男坊は町で女をかどわかしておるのよ。それも抵抗の出来ない未成年達をな!」


「何ですと!?」


初耳だ。

次男を見る。

俯きおっただと!?

知っておったのか!


「セリス様、それは誠の事でございますか!?」


「誠だ。保護した十歳の女性、それに・・・よりにもよって旦那様の庇護下にある、アリス殿にも色目を向けよった!」


「・・・そ、そんな馬鹿な。」


次男も三男も、そこまで愚か者だったのか!?

長男が先のテラサンとの戦いで戦死してから歯車が狂ってしまった。

他人を小馬鹿にしているような素行が目立つ次男。

どうしてこうなってしまったのか分からない三男。

これではこの二人は許されまい。

長女のベンジャミンを当主にするしかないではないか。


「・・・分かりました、皇女殿下。ではこの条件でお許し下さい。」


「どのような条件だ?」


「三男、レイモンドは廃嫡」


「伯爵、待て。」


「何かございましたか?」


「ただ、廃嫡するのならば民の住まう地に犯罪者が増えるだけであろう?」


「・・・それでは去勢し神殿へ入れます。」


「うむ、それならば良い。」


「そして次男、ポドルイに関しては後継者としての役割を剥奪。その後、奉仕活動の為ソフォスの創造神様の神殿での無償奉仕を十年。」


「後継ぎはどうする?」


「ガファズィス伯爵家は長女のベンジャミンを後継ぎと致します。」


「ベンジャミン殿は十九歳だと聞く。婿を手早く入れ伯爵領を安泰させよ!」


「かしこまりました。」


「伯爵家の沙汰は以上とする。これは皇帝陛下にも伝えておく!」


「ははっ!」


「して、今回の管理不行き届きの事も合わせて報告しておくぞ?」


「ははっ、申し訳ございませんでした!」


終わった・・・少なくともこの件で領地を没収されるだろう。

さすがに降爵はないだろうが・・・。

目の前にぶら下げている餌にもかからなかった。

釣りは失敗か・・・。


「して、伯爵よ。」


お?


「セリス様、何か?」


期待に心が震える!


「そちらの顔の見えない女性は何者か?その立ち居振る舞いだと侍女ではあるまい?」


「実は、慈悲深きヘファイストス様へお願いがございまして。」


【俺に?】


「はい、噂に聞くその奇跡の御業でこの女性を治療しては下さいませんか?」


【私で出来る事ならば治療致しますよ?】


「是非、お願いしたい。実は帝国と縁の深い女性ででしてな、治せる方を探しておったのですよ。」


【そうですか、ならば早速診させて頂けますか?】


よしよし、最後になってしまったがかかってくれた!

ここだ!

これで挽回を!


「実はこの者、両目が閉ざされ奴隷商に売られていたところ、もしやと思い買い取りましてございます。」


「・・・両目が?奴隷と言うと帝国の事ではありませんね?」


「クレア殿、前に二歩進み給え。」


「待て、伯爵!クレアと言ったか!?」


「・・・お久しぶりでございます、姫様。御無事で何よりでございます。」


声はしゃがれているが問題はないであろう。


「クレア・・・なのか?」


「はい・・・このような姿になりましたが存命しております。」


殿下は口を押えて泣き出してしまった。

この状況は!

上手く転がりそうだ!


【セリス、説明を求めます。】


「はい・・・旦那様。この者、クレアは私の護衛騎士でございます、いえ、ございました。」


【ほう、興味深いですね。ですが、どのような事があったのですか?】


「そ、それは・・・。」


「セリス殿下、話しにくければ・・・私が代わりにお伝え致します。」


「良い、この身の恥だ。我から旦那様に言う。他の者はしばし待たれよ。旦那様はついて来てくれ。」


良いぞ、良いぞ!

これで恩に着せる事が出来れば領地を没収されなくても済むやもしれん!


ふふ、この女には感謝だな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


セリスと一緒に二階の二人部屋へ移動した。


俺がベッドに座ると後ろ手でドアを閉める。


パタン


【それで、どういう事なのです、セリス?】


セリスが隣に座ると話始める。


「旦那様、愚かな私の失敗を聞いてくれるか?」


【貴方の為になるのならば聞きましょう。】


「・・・私がまだ十五の時の事だ、初陣であった。そこで護衛についてくれたのが当時十七のクレアだ。」


【二年前なんだね?】


「そうだ、剣の師匠でもあったクレアとの初陣に、私は浮かれていたのだ。」


【何と戦っていたの?】


「蜘蛛人族だ。本来の蜘蛛人族は散発的に砂漠の集落を襲っていたのだ。アミーラもいなかった時の事だ。」


【その討伐に?】


「その通りだ、だが初陣の私はクレアが言うのを聞かずに敵の奇襲陣形の真っただ中に突っ込んでしまったのだ。」


【・・・。】


「その時に殿をしてくれたのがクレアだった。そのおかげで私は・・・私は生き伸びる事が出来た。」


【それでは俺はクレアさんに感謝しないといけませんね。】


「旦那様?」


【でなければ、貴方と出会う事は出来ませんでした、セリス。】


「旦那様・・・。」


【じゃあ、セリスはクレアさんが死んでしまったと思っていたのですか?】


「そうだ、必死に探したが戦場は味方の血でいっぱいだったのだ、あの状況ではクレアはの生存は絶望的だった・・・。」


【捜索は続けていたのですか?】


「あの状況では・・・諦めるしかなかったのだ。」


【セリス、それなら恩返しをしましょう。これからをどうするかが大切ですよ?】


「旦那様・・・だが、この二年、彼女はつらい目に・・・臆病者と罵ってくれて構わぬ・・・それでも許してくれるだろうか?私はそれが怖いのだ!」


【セリス、貴女らしくない。】


「旦那様?」


【まずは行動でしょう。貴方はそうやって掴み取って来たではありませんか!】


「・・・そうだ、そうなのだ!何を恐れる必要がある!最も信頼していた友が、師が生きていたのだぞ!」


【ですが、セリス。伯爵は彼女の事を利用しようとしている。それは分かりますね?】


「う、うむ。」


【良い子です。それで一つ大きな問題があります。】


「そ、その問題とは!?」


【彼女の目の傷を治すのにはエリクサー、いえ、それ以上が必要になるでしょう。】


「あの何でも治るという万能の秘薬ですか!?旦那様の持っているポーションでは駄目なのですか?」


【そうです、残念ながら二年も経っているのだったらポーションでは傷は治っても繊細な視力は元のようには治らないでしょう。】


「そんな・・・ううっ・・・クレア!」


崩れるセリス。

だが支える。

倒れないように。

彼女がこれ以上傷つかないように。


【・・・セリス、貴女の大切な人なのであれば協力は惜しみません。】


「旦那様?」


【エリクサーはあります。】


「ほ、本当か旦那様!」


【ええ、これがそうです。】


虹色をした液体の入った瓶を取り出す。


「ですが・・・このような伝説的な物・・・本当によろしいのですか?」


【セリス、皆には内緒ですよ?】


人差し指を唇に当て内緒にしてくれとのポーズをとる。


【俺は・・・エリクサーを作れます。】


「なっ!?」


【セリスにだけ打ち明けました。もちろんルイスも知りません。】


「旦那様・・・そこまでの・・・そこまでの信頼を・・・私に!?」


【貴女だからですよ、セリス。貴女だからここまでの事が出来るのです。】


その頬に手を当て顔を見る。


「旦那様・・・余計に・・・貴方様を好いてしまったぞ?」


俺の手を両手で包み、感謝して来る。


【セリス、良いですか、気になるのが奴隷契約です。伯爵は先程、その話をしてこなかった。】


「そう言えば・・・。」


【交換条件のつもりですね。クレアさんを引き取りたければ何某かの条件は無かった事にしろ。そう言う事だと思いますよ?】


「そうなのですか?」


【今のところ掲示されている条件は三個です。次男か三男か皇帝陛下に言うのをやめるかですね。】


「問題はどれかですか?」


【どれと言うか、答えは出ています。伯爵は次男と三男は斬り捨てました。残りの一つの為に。】


「父上に報告するのをやめる・・・領地の安泰ですか?」


【そうとも言えますが一番の理由は皇帝陛下への印象でしょう。ただし、そこに隙間が生まれます。『情』と言う隙間が。】


「旦那様には打開策があると?」


【「情」でこられたのです、こちらも「情」で返しましょう。少しだけ外しますね。】


ガチャ


「・・・クレア。無事でいてくれて・・・良かった。」


ガチャ


【セリス、皆に頼んで来ました。】


「旦那様、皆とは!?」


【我に勝機ありですよ!】


「・・・はい、旦那様!」


【これで涙を拭いなさい。では、交渉に行きましょうか。】


「はい!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


二階から降りると席に着く。


「御相談はまとまりましたかな?」


この言い回し、やっぱりか。


【ええ、クレアの事、誠に感謝を。それで奴隷契約がなされているようなのですが?】


「ええ、買ったとは言えその戦闘力、我々にとっては危険ですからなぁ。」


矯正器具が付いている人が危険だと?

何かあった時の切り札にするつもりだったのだろうに!


「伯爵は、帝国には自国の民を傷つける戦士がいるとお思いか!」


「いえ、ですが用心は必要です。」


【伯爵、よろしいか?】


「どうぞ、ヘファイストス殿。」


【貴方様の出す条件でクレアさんを引き取りましょう。ただ・・・。】


ゴクリッ


【あまり、舐めるなよ?】


殺気の塊をぶつけてやる。


「ひ、ひい、も、もちろんですとも!」


【伯爵の条件はわかっておりますよ。次男の無罪ですね?】


「へ、ヘファイストス様?そのような」


【みなまで言うな、分かっております。やはり家族は大事ですよね。】


すると二階の廊下から声が聞こえる。


「やあね、家族と離れ離れなんて、絶対に嫌よね。」


「そうですね・・・皆と・・・離れたくはないですね・・・。」


「そうです!家族と別れるのは最低です!」


「そうなのです!最低なのですー!」


「さ、最低です、やめてあげてほしいです!」


「そうね、絶対に嫌よね。」


「家族と別れるなんて絶対に嫌ですねー。」


「そんな可哀そうな事をする人がいるんですか?」


「なんでもなー、とある伯爵様がそんな「情」の無い事をされるとか言うらしいんだわぁ。」


「うわあ、嫌だねー、貴族様ってやつはよー。」


うん、皆、協力ありがとう。


「な、何なのですか!彼女らは!?」


【もちろん、私の家族ですよ。彼女らもせめて次男さんとは別れさせたくないと訴えておるのですよ。】


「ば、馬鹿な!そのような事は!」


「ち、父上、猛省致します。今回の件はどうか、どうかっ!」


土下座して父に懇願する次男。

流石にこれを見捨てる事はしないだろう。


「パパ、どっか行っちゃうの?嫌だよぉ?」


「っく、こ、これでは!?」


もう一息かな。

皆の方を見上げて合図のウインクをする。


「やっぱり、家族のもとが幸せよね?」


「そう・・・暖かい・・・家族がいる・・・何でも出来る・・・。」


「家族といるのが幸せですね!」


「そうなのです!家族といるのが幸せなのです!」


「そ、そうです!一緒が良いです!」


「その家族を別れさせようとするんですか?」


「嫌ですね、親としての責任放棄でしょうかー?」


「最悪です、そんな人には貴族でいてほしくありませんね。」


「そうやなぁ、貴族の何たるかを勉強し直してほしいなぁ?」


「勉強し直してこいー、あっと、アタイは勉強は嫌だからね?」


さて、止めが必要かな?


【で、伯爵様、皆はこう言っておりますが?それでも息子より伯爵として領地が大切だと?】


「っく、はめおったな?」


【いえ、「情」でお返ししただけですよ。】


「・・・ヘファイストス殿の事だ、その家族の中にアンドレイの事も入っておるのだろう?」


次男さんだけのつもりなんですがね?

まあ、三男が再教育されるならお願いしたいが。


【もちろんですよ、セリスにとってもクレアさんは家族です。貴方にとってもその二人はかけがえのない宝なのでは?】


「ヘファイストス殿・・・父上、もう一度機会を下さい。今度こそ、立派に勤め上げて見せましょう!」


「パパ、どっかいかない?」


「ふう、分かり申した。クレアと家族を天秤にはかけられませんな!」


【伯爵様の英断に感謝致します。】


「では、クレアの奴隷契約の権利をお渡し致しましょう。その代わり二人の免罪をお願い致したい。」


【結構です。『創造神、アリステリア様』の名の元、この契約はなされました!】


「・・・さすが英雄、かないませんな。ファイストス殿、改めて礼を。」


【いえ、伯爵様がこの手で来なければ結果は変わっていたでしょう。】


「ふふ、お見通しでしたか・・・。」


こうして皆の力によってクレアさんは無事にセリスに引き取られた。


「・・・それでは本国にて、沙汰をお待ちしております。」


「伯爵、そなたに心よりの感謝を。よくぞ、クレアを・・・家族を救ってくれた。」


「いえ、帝国貴族として当然の事をしたまででございます。では、姫様も家族を大事になされよ。」


「大儀であった、下がるが良い。」


「ははっ!」


俺は、その「家族」を見送る。

すると次男君が側に寄って来た。


「ヘファイストス殿、貴方様に感謝を。これからは心を入れ替え、帝国の為に励みます!」


【期待していますよ、ポドルイ殿。】


「必ずや!」


「パパ、何かあったの?」


「いや、家族といられるようになったのだ、だが、これからは甘えさせんぞ、アンドレイ?」


「えー、甘えて良いでしょう、パパー。」


・・・更生を期待致しますよ、伯爵様。


さて、問題はクレアさんだ。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク、等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

次回なのですが、描写の苦手な方がいたら申し訳ありません。

エロではないでござるよ?

それでは 次話 セリスとクレア(仮 で、お会い致しましょう!

皆さな、お付き合いありがとうございます!

それでは、お休みなさいませー!

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