初めての海
いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!
執筆が終わりました。
楽しんで頂ければ幸いです。
王国時間、九時半ごろ。
いつもの宿屋の前にゲートを開く。
ゲートを潜ると笑顔の皆が。
ゲートから顔を出すと笑顔の皆がいた。
【待たせちゃったかな?おいで、おいで。】
「行きますよ、皆さんー!」
「「「おーっ!」」」
ゲートを潜った皆は帝国の王宮のホールにやって来た。
「・・・でっかいわねー!」
「でっかい・・・です・・・。」
「でかいです!」
「でっかいのです!」
「大きいのですねー。」
五名の御上りさん発見。
ふふふ、まだまだ驚いてもらいましょう。
「リズ、ベス、マオ、アリス、ナナリーさん!大丈夫かしら?疲れていない?」
「ルイス姉こそ!」
「私達は・・・大丈夫・・・。」
「大丈夫ですね。」
「ヘファさん、海じゃないのです?」
【ああ、帝国の時間で十時になったら皆が来るからね。それまで待っていてくれるかな?】
「はいなのです!」
「マオ!あの人がフェイさんよ!」
「そうですね、リズ姉!」
「おぉ!?な、なんや?」
「まだ触っていないわね!」
「そうですね!」
【リズ、マオ。後でいっぱい触れるから今は大人しくしようか?】
「分かったわ!それで、お兄さん。水着ってどんなのかしら?」
「そうです!ヘファさんだから凄い奴を期待するです!」
【君達以外はある意味凄いけれどね・・・。】
「お兄さん・・・。」
「ヘファさん・・・その顔は・・・減点です・・・。」
「ヘファさん、どすけべなのですか?」
【アリスさん、違わないけれどそのハリセンをしまおうか?誰だ、アリスにこんなものを持たせたのは!】
「ふぉっふぉ、平和な事じゃて。なあ、嬢ちゃん達。」
【っく、師匠。下手な物を渡さないで頂きたい。】
「ふぉっふぉ、坊主もその頭から、少しは煩悩を退散させよ。」
【ぐぬぬぬ・・・。】
「お、皆早いね。」
「マオ、ディアナさんよ!」
「はい、リズ姉!」
「な、何だ!?」
もみもみ
「カチカチなの・・・。」
「カチカチです・・・。」
「そりゃーな、鍛えてるからな!」
「それだとお兄さんの趣味じゃないわね。」
「そうですね・・・。」
「え!?」
「お兄さんはルイス姉みたいな柔らかい巨乳が好きなのよ!」
「そうです!カチカチは駄目です!」
「ば、馬鹿なっ!?そ、それで戦場では構ってもらえなかったのか!?」
ディアナが俺の方を見て来る。
何て答えてもヤバそうだからノーコメントだ!
視線をそらして言う。
【後はセリスだけですね。】
「あ、兄貴ぃ!?」
ここは我慢だ。
何か言うたびにディアナが傷つく。
被害を最小限に・・・。
「お待たせを致しました。旦那様、私の荷物です。ん?ディアナ?」
「セリスよ、アタイはしなやかな身体を取り戻すぜ!」
「・・・何故、泣いているのですか?」
【さて、少し時間は早めですが行きましょうか!】
「「「はい!」」」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ゲートを開いたところは先日行った砂浜。
もうそこから海が見える。
「綺麗・・・海ってこんな所なのね・・・。」
「ここで・・・泳ぐん・・・ですか・・・?」
「綺麗です!お魚いませんかね?」
「凄いのです!広いのです!でっかいのです!」
「綺麗ねぇ、こんな所で遊べるのかしら?」
「ヘファ君、ここは、貴族様用の避暑地なのではー?」
「素晴らしい見晴らしですね、空と海が青いですよ!?」
「うむ、ここはいつ来ても素晴らしいな。」
「いやー、日焼けしそうやなぁ。後がきついわぁ。」
「おー、広いな。思う存分動けるね!」
「これ程の海・・・本国にもあるかのぅ?」
【まずは水着に着替えてもらいますよー。屋敷に行きましょう。】
「「「はーい!」」」
入り口とは違う所からの来客に驚いたのだろうアンドレイさんが慌てて走って来た。
後ろからメイドさん達も。
「こ、これはヘファイストス様、こちらからでございましたか。お待ちしておりました。」
「「「いらっしゃいませ、御客様!!!」」」
【なんか、済みません。それで先に部屋に案内したいんですけれど、よろしいですか?】
「構いませんよ、振り分けはお決めですか?」
【二人部屋に俺と師匠が。】
「よろしくのう。」
【最上階の六人部屋にルイス、ナナリー、サーラ、セリス、フェイを。」
「「「よろしくお願い致します。」」」
【最上階のもう一部屋にディアナ、リズベット、ベアトリクス、マオ、アリスでお願い致します。】
「お?お嬢ちゃん達、アタイと一緒か!」
「「「よろしくお願いしまーす!!!」」」
【それでは各人には移動を、荷物と水着を渡しに行きますね。師匠はどうしますか?】
「わしは酒があればええぞ?」
【では純米酒を・・・氷冷庫があると言っていましたね?】
「ええ、御用意してございます。」
【今日、市場はやっておりますか?】
「遅い方の便がそろそろですかな?」
【成程、ルイス、サーラ、セリス、フェイ。俺は買い出しに言って来るから先に遊んでいてくれるかな?】
「買い出しなら、私達も行くけれど?」
「そうですよ、ヘファイストス様。」
【せっかくだから皆と遊んであげてよ。それに新作の水着の評価も聞きたいしね。】
「分かった、旦那様。気を付けていかれよ。」
「こっちはまかしときぃ、坊ちゃん。」
【ああ、ディアナさんと師匠の事も頼むね。お酒は氷冷庫に入れておくから。】
「「「はーい。」」」
とてとて・・・ぴと。
ん?
何かが足に張り付いたぞ?
「ヘファさん、遊ばないのですか?」
【ああ、先に買い出ししておかないと御飯が食べれなくなっちゃうからね。】
「アリスも行くのです!」
【皆と遊んでていいんだよ?】
「ヘファさんと一緒なのです!」
「「「・・・。」」」
【じゃあ、一緒に行こうか、アリス。】
頭を撫でてあげる。
嬉しそうに笑顔を向けて来た。
「気を付けなさいね、アリス。」
「アリスちゃん、気を付けて行くのよー?」
『こ、このぐらい押しが強くないと駄目なんですよ!』
『アリス殿に先手を打たれてしまったぞ!?』
『まだや、まだ挽回する機会があるはずや!』
【じゃあ、各人は部屋に行ってくれるかな?】
「「「はーい!!!」」」
「海の鍛錬、楽しみだぜ!」
「ディアナさん、良いかしら、私達は遊びに来ているのよ?」
「たまには・・・遊ぶのも・・・良い・・・。」
「そうです、そうです!遊ばないと損ですよ!海の遊び、楽しみですね!」
「そ、そうか、そう言えば兄貴にも気分転換しろって・・・分かったぜ、リズ、ベス、マオ!遊ぶぞ!」
「「「はーい!!!」」」
そう言うと四人一直線に屋敷に向かっていった。
・・・ま、まあいいか。
師匠にはハンモックでもプレゼントするかな。
フェイだったら、相手を任せても平気だろう。
ルイスとナナリーさんとサーラ、セリス、ディアナで皆の相手をしてもらおうかな。
各人が部屋に行くと荷物を置きせっせと作っておいた新作の水着を取り出す。
俺?
Tシャツとトランクス型の水着だよ?
ちなみに師匠はふんどしだったのでアロハシャツを着せてみた。
まずは未成年組から。
リズとマオにはスポーツタイプの水着。
アリスには無難にワンピースタイプ。
ベスにはスクールタイプ!
ちゃんと胸の所に「べあとりくす」と書いてあるぜ!
この世界の水着がコットン生地から作ってあったので応用してみたのだが。
一着では難しい事が判明したのだ。
コットン生地は肌触りが良いという利点があるのだが、濡れて乾燥すると縮んでしまうという欠点があった。
それなので今回の急造水着は使い捨てのつもりだ。
次回があればこの世界の水着を研究しようじゃないか。
邪な気持ちはありませんよ?
布教する為なんですからね?
お客はいないが・・・。
一人に三着の水着を配る。
【一日に一つ着てね。使い捨てのつもりで良いからね。】
「お兄さん、可愛いのにもったいなくない?」
「そうです・・・もったいない・・・です。」
「もったいないですよ?」
「もったいないのですー!」
【そのつもりで作ってあるから大丈夫だよ。そうしないと縮んじゃって次の日は着れないんだ。】
「ううー、もったいないわね。で、でも着てあげるわ!お兄さんが作ってくれたものだから!」
「着てあげます・・・でも、大事に・・・着ますね・・・。」
「小さくなるのであれば厳しいですね。言う通りにします!」
「むー、もったいないのですー。でも着るのです!」
【ディアナはこっちね。】
「あー、兄貴よ。分かっちゃいたんだが・・・布地が少なくねーか?」
【何を失礼な、運動する人用に作ってあるのですよ?】
そう、ディアナの水着はリズとマオと同じでスポーツタイプだ。
「まあ、いいさ。さあ、着替えて行こうぜ!」
「「「はい!」」」
よし、未成年組は面倒見のいいディアナに任せよう。
次は成年組・・・むふふ。
【皆、おまたせー!】
先程言った説明をして一人に三着の水着を渡して行く。
「ねえ、貴方。覚悟はしていたけれど・・・これ、紐じゃないかしら?」
「ヘファ君、確かに何でもいいとは言いましたが・・・これはー。」
「ヘファイストス様の新作だと思っていたのにっ!」
「だ、旦那様!?ブ、ブルマより布地が少ないぞ!」
「・・・ウチは受け入れるって決めてるしなぁ・・・女は度胸や。」
「「「フェイさん!?」」」
彼女は着物を脱ぎ畳むと下着姿になる。
その下着も思い切りよく脱ぐと水着を着ようとするのだが・・・。
【フェイ、輪になっている部分を首に通してから、布地を胸に当てて紐を後ろで縛るんですよ。】
「ルイス、後ろの紐、結んでくれないかい?」
「はい、フェイ姉。」
【あ、ルイス違う、固結びにすると取る時に大変だからね。蝶結びって言うのにするんだ。】
「「「ちょうむすび?」」」
【そう、見ててね。】
蝶結びを何回かすると皆も出来るようになった。
そしてフェイが下も着けて行く。
こちらは左右の脇で結ぶタイプだったので大丈夫だろう。
「さあ、坊ちゃんの新作だ・・・どうだい?」
「下着みたいだけれど・・・。」
「こういう意匠があるんですねぇ・・・成程、わざと身体の線を出しているんですね。見せる水着ですか!」
「旦那様の趣味が出ているだけでは無いのか?」
「うん、お姉さんは着ますよー!」
「「「ナ、ナナリーさん!?」」」
「ナナリーちゃんも思いっ切りがええやないの。」
「負けていられませんからねー!」
「ヘファイストス様の新作です!私も着ます!」
「サ、サーラさん!?」
「ルイスさんもセリスさんも、ヘファイストス様の水着ですよ?しかも新作です、着ないんですか?」
「「ぐぬぬぬ・・・。」」
「信じているもの、着るわ!」
「もちろんだ、ルイス殿!私も着るぞ!」
素直に受け入れられるとは思わなかったけどさ、作った本人が目の前にいるんだぞー。
フェイのおかげで盛り上がった彼女らは素直に水着を着てくれた。
ルイスには澄んだ空のような青のビキニを。
ナナリーさんにはその水色の髪に合う黄色のビキニを。
スタイルの良いサーラには赤のビキニを。
セリスにはその名の通りの白のビキニを。
フェイには妖艶さを出す為に黒を・・・皆より面積の少ないビキニを。
部屋の中が水着美女でいっぱいに。
それも俺好みの水着美女!
ぶるんぶるん!
ぽよんぽよんだ!
ここが天国か!
「動きやすいのは良いのだけれど、やっぱりちょっと勇気がいるわね。」
「身体の線がそのまま出るので恥ずかしいですねー。」
「これを着る為に皆さんがいるんですよ!さすがヘファイストス様、特徴をとらえた作り、これならば巨乳だからと言って・・・。」
「サーラ殿は似合っていると思うぞ。女性として羨ましいな。」
「で、坊ちゃん。何か言う事があるんじゃないのかい?」
【皆、綺麗だ・・・。】
惚けてしまう。
この人達が俺の嫁?
あの冴えない俺の?
頬っぺたを引っ張ってみる。
痛い。
夢ではないようだ。
ん?
なんか皆が意地悪な視線で俺を見ているぞ?
【な、何かな?】
「ふふっ、何でもないわよ?」
「ルイスさんも正直ではありませんねー。」
「素直ではない・・・ルイスさんらしいですね。」
「そうだぞ、ルイス殿。旦那様が見とれたのだ。喜ぶべきであろう?」
「さあ、皆。せっかくなんや、楽しもうやないか!」
「そうですね、楽しみましょう!」
「「「おぉー!」」」
皆で砂浜に出ると師匠が言ってくれる。
「坊主、壮観よな。酒も美味くなるという物じゃぞ?」
【そう言って頂けると、幸いですね。】
「うむ、お嬢ちゃん達に乾杯!」
「あちゃー。やっぱり兄貴の趣味丸出しかぁ。」
「「「ディアナさん?」」」
「皆には刺激が強いんじゃないかねぇ?」
「ルイス姉、皆さん、格好良いわ!」
「サーラさん・・・一人だけ・・・凄いですね・・・。」
「ナナリー姉だって負けてないです!」
「セリスちゃんとフェイちゃんも負けてないのです!」
「皆も良い物を作ってもらったわね。」
「可愛いじゃないですか、良かったですねー。」
「ヘファイストス様、ベスちゃんのこの意匠は何なのですか?」
「旦那様、アリス殿が可愛いぞ。妹にしたいぐらいだ!いやもう妹だったな!」
「皆、良いの作ってもらったなぁ。さて、遊び倒すでー!」
「「「おぉーっ!」」」
「アリスはヘファさんと行って来るのです!」
「アリス、気を付けてね!」
『師匠、頼みましたよ。』
『任せろ・・・目の保養になるのぉ。坊主の嫁でなければなぁ。』
『妄想の中でもやめて下さいね!』
『わかっちょる、わかっちょるよ。』
本当に分かっているのだろうか、この爺さん。
さてと、買い出しに、えーっと港はっと・・・。
被っていた麦藁帽子をアリスの頭に乗せると一緒に買い出しに向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「セリス、遠泳とやらに付き合わないか?」
「ふむ、鍛錬なのだな?」
「ああ、沖にあるあの浮いているココナッツの実まで3km程あるらしい。そこまで行ってから戻って来るんだ。」
「ほう、だが、ディアナ。」
「何だよ?」
「泳げるのだろうな?」
「息が持てば大丈夫だろう?」
「泳げないではないか!」
「サーラさん、覚悟!」
「やーらーれーたー、どさっ。」
「今よ、マオ!」
「顔を出して埋めます!」
「や、ちょっと、待って!」
「待てないわね!」
「待てないです!」
「ひー!」
「そう、ベスちゃん、泳げますかー?」
「足が付くから・・・大丈夫・・・。」
「ふふ、ゆっくりでいいのですよー?」
「本で・・・読んできました・・・これが・・・犬かき・・・。」
「凄いです、私はこれがあるので泳げないのですよー!」
モニュ、モニュ
「ナナリー姉さん、手を離さないで・・・ブクブク。」
「ああっ!ごめんなさいー!」
「ここって貴族様の避暑地なんですか?」
「そうやねぇ、馬鹿な貴族が来ないように坊ちゃんかノモスの旦那が選んでくれたんだろうさ~。」
「そう言えば、静かですよね?」
「ルイス、忘れとるかもしれんがノモスの旦那は侯爵やど?」
「そ、そうでした。」
「じゃが、そんな奴でも友人にしてしまうあ奴は何者なんじゃろうなぁ。」
「「自慢の夫です!」」
「っほ、そうじゃったな。ほっほー。」
「ジュウベイ殿、器が空いておるで?」
「おお、済まんな。フェイの嬢ちゃんも飲んでええんじゃぞ?」
「坊ちゃんが帰ってきたら考えますわぁ。」
「ルイスの嬢ちゃんはどうかのぉ?」
「私も、あの人が帰ってきたら考えますね。」
「それより・・・。」
「どうかされましたか?」
「いや、そろそろ、あそこで人柱になっちょる、サーラの嬢ちゃんを助けんといかんぞ?」
「ああーん、何でこんな目に!誰か助けてー!波がー!波が来るー、来ちゃいますよー!」
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
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皆様に感謝を!
それでは 次話 市場での一幕(仮 で、お会い致しましょう!
今日のところは、お休みなさいませー!