冒険者達の帰還
いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!
執筆終わりました。
お楽しみ頂ければ幸いです。
「ふむ、「形」でございますか?」
「そうなんだよ、ビシビシってしててよぉ!格好いいんだぜ!」
「ディアナはその旦那様を見ていると・・・?」
「お、おう?」
「っく、何故もっと早く仕事を済ませなかったのか!」
【セリスさん、落ち着こうか?】
「第一、旦那様がいけないのです!そのような格好良い所は、第一に嫁に見せるべきです!」
【いや、そもそもディアナが集中出来ないのが・・・ねえ、師匠?】
「そうじゃがのう、まあ、明日からの予定に入れておけば良いではないか?これはなかなか良いのぉ。」
【師匠、俺を見る観光ツアーじゃないんですよ?】
「ふぉふぉ、じゃが要求には応えねばな?」
【じゃあ、ディアナさんと行いますよ。】
「で、兄貴。何処行くんだい?」
【そう言えば稽古で言っておりませんでしたね。明日から海に行きます。もちろんディアナさんもですよ?】
「海で鍛錬するのかい?」
【まあ、結果的にはそうなりますが・・・気分転換も含まれます。】
「嬢ちゃん達は心も休めんとな。クィッ・・・ふぅ~。」
「はい!」
「ウッス!」
【それで十時にホールに集合です。ああ、ディアナさん。リズ達も行きますからね。】
「分かったっすよ。」
【良い海鮮が手に入ったらバーベキューをしましょう。】
「ふふ、またあの光景が見られるか。楽しかったですからね。」
「おお、楽しみだ!」
【さあ、食べ終わったのならストレッチですよ!】
「「はい!」」
「坊主、では明日の十時にな。ヒックッ。」
【はい、師匠!】
そう言うと師匠は去って行った。
一番高い酒樽とともに。
片付けを終えると皆を誘い決めておいた場所へ向かう。
「それで、明日から旅行に行くのね?」
【そう、九時半に迎えに行くってナナリーさんには伝えてあるよ。】
「分かったわ。でも荷物は・・・持って下さるのよね?」
【お任せ下さい、ルイス様。】
「もう、様は止めてよ、様は!」
「ルイスさん、楽しそうですね。」
「ああ、我らはおまけにならぬようにしなければな。」
「おまけですか?」
「そうだ、サーラ殿。リズ殿達が来るのだぞ?嫁としての存在を主張せねば埋もれてしまうではないか!」
「そ、そんなものなのですか?」
「そうだ!遊んでいたらいつの間にか帰る日にちになっていた・・・などと言った事も起こりかねん!」
「皆さんで楽しめればいいじゃないですか?」
「甘い、甘いぞ、サーラ殿。旦那様との初めての旅行だぞ?思い出を作らねばなるまい!」
「そ、そうですね!」
「その思い出も、子守で消えるかもなぁ・・・。」
「フェイさん!それはどう言う事ですか?」
「ええか?リズちゃん達にも気に入られんとあかんのよ?そこを考えんとな?」
「成程、旦那様に主張してもリズ殿達に認められなければいけないと言う事だな?」
「そ、そこまで考えるんですか?」
「必要ですね。」
「必要やな。」
「・・・玩具にされる想像しか出来ませんが?」
「サーラ殿はそれで良いではないか?」
「・・・サーラ。御気の毒になぁ。」
「うう、二人の意見が辛いです。」
なんのこっちゃ。
まあ、三人とも、頑張って玩具にされてくれ。
俺は、皆と一緒に楽しむだけだぜ!
で、そろそろのはずなんだけどな?
ザリッ・・・ジャリッ・・・
すぐに複数の足音が聞こえて来た。
ジャスティン達だった。
「アーサー・・・これは御婦人方も、見送りですか?忙しい所、ありがとうございます。」
【ジャスティンさん、何かあった時は、また、頼りにさせてもらいますね!】
「いつもこの人が済みません。」
「いえいえ、こちらも稼がせて頂いていますからね。」
「よっす、アーサー。良い冒険だったな!」
【ええ、ダンさん。良い冒険でしたね!】
「鋼様、ヘファイストス様の事、感謝しております。」
「改まって言われるとむず痒いが、こちらも助かってるんだ。おあいこって事だぜ!」
「アーサー君、また頼むんさ~!」
【アンナさん、こちらこそ!また頼みます!】
「もちろんなんさ~!」
「アンナ殿、旦那様の事ありがたく。」
「こちらこそ、助かっているのさ~、白薔薇様。」
「アーサー様、皆様。ディアナを頼みますわ。」
【ラフィアさんこそ、身体には気を付けて下さいね。】
「ふふっ、貴方様に『アリステリア様』の加護のあらん事を。」
「ラフィア殿、坊ちゃんが世話になったねぇ。」
「ふふっ、こちらこそお世話になっておりましてよ。」
「またよろしゅうになぁ。」
「ええ、また。」
「兄貴達、こっちは心配するなって。次合う時には新生したアタイを見せてやるぜ!」
「フフッ、期待しておりますよ、ディアナ。」
「ああ、いつでも戻って来いよ!」
「アーサー君のお財布が心配なんさ~。」
「大丈夫ですわよね、ディアナ?」
「大丈夫だぜ、何せ兄貴が管理しているからなっ!」
「セリス皇女にも感謝を!」
「感謝などとんでもない、同年代で武術の心得のある物が少ないのだ。こちらこそ助かる。」
「アタイとセリスの仲だ。大丈夫さ、兄貴達!」
「公の場では様を付けるのですわよ!?」
「も、もちろんだ!」
「心配なのさ~。」
「心配だな。」
「ディアナ、楽しみにしていますよ。ん、シルビィさん達でしょうか?」
「今日はあいつらより先に来れたな!」
「そうですが・・・抜け駆けはいけませんよ、ヘイムさん。」
「ひひ、あっしの情報収集のおかげですね。」
「流石ベイトさんっす!」
「アンタか、ベイトォォォッ!」
スパコーン!
「ぎゃうん!?な、何事っすか!?」
「ファムがアンタ達の様子がおかしいって言うから予定より早く出てみれば・・・。」
「ふふふ、予想は超えてないからねー。」
そう言うとファムさんは俺をチラッと見る。
もちろん、正体を明かしたりはしていない。
それが分かったのか視線を外してくれた。
「ベイト!アンタの根性を叩き直してやるわっ!」
「ルウさん、それって、一緒にいてくれるって事!?」
「ち、違うわよ!?今のは勢いだからね!そうなんだからね!」
「ほら、ベイト君が困っているわよ、ルウ?」
「アンリ!かき回すなっ!」
相変わらずのようだ。
「アーサー様、皆様そろったようです。」
【確認、ありがとうございます。ラフィアさん、忘れ物は無いですね?】
「ア、アーサーさん。」
【なんですか、ベイト君?】
「リズちゃんを紹介して下せえ!」
【駄目だ無理だ拒否する!】
「何故ッ!?」
【君はまずその浮気性を何とかすると良い!】
「「「「貴方が言える事かしら?」」」」
【・・・済みません。】
「おほん、では、戻りましょうか。オーカムへっ!」
「「「応!」」」
【ゲート出しますねー。噴水前はこちらです。・・・7th ゲート・トラベル。】
別れは済ませた。
けれど、長い別れではないだろう。
何故だかそんな気にさせられるんだよね。
【皆さん、また!】
「またです!」
「・・・アーサー!また、冒険をしよう!」
【ええ、ジャスティンさん。また、誘いますからね!】
「楽しみにしているよ!」
ジャスティン、ダン、アンナとゲートに消えて行った。
続いてヘイム君、タケゾウ君、ベイト君、ミハエル君が、その後にシルビィさん、ファムさん、ルウさん、アンリさんが。
最後にラフィアが・・・唇にキスをしてゲートを潜って行った。
心なしか満足げな微笑みを浮かべていた。
今回も楽しめる冒険だった。
また、良い経験をもらった。
皆に感謝を!
時間が来たのだろう、ゲートが閉じる。
すると何故か怖い笑みを浮かべてにじり寄って来る四人の嫁。
「さて、貴方?」
【な、何かな、ルイスさん?】
「ヘファイストス様?」
【はい、サーラさん?】
「旦那様?」
【ちょ、セリスまで!?】
「坊ちゃん?」
【な、何かな、四人とも?】
「ラフィアさんと何があったのか聞いておきたいわね。」
「そうです、最後に口付けまで!」
「左様ですね、どうやって親密になったのかを伺いたい。」
「坊ちゃん、隠し事はいかんなぁ。」
【いや、隠し事なんかしてないって!】
「兄貴よぉ、逃げられないと思うぜ?クックック。」
【俺は無実だっ!】
その夜は嫁さんの相手が大変だった。
干からびるってこういう事を言うのね・・・ガクリッ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝、目を覚ます。
ルイスの温もりではない。
これはセリスだな。
昨日は激戦だった。
今までにない激戦だった。
ルイスから始まりフェイまで。
体力があるセリスが満足するまで付き合ってくれた。
そんなセリスはまだ眠っている。
うん、張りがあって柔らかい。
そして後頭部に当たる双丘。
これはフェイの物だろう。
体勢を直し二人の膨らみを堪能する。
やーらーけー・・・。
もうちょっとくっ付かないかな?
「悪いのはこの子やなぁ?」
【そう、ちょうどくっつけてほしいと思って・・・。】
「あふっ、くっ付けましたが、旦那様?」
【うん、もう少しいいかな?】
「しょうがない甘えん坊やなぁ。」
「き、気に入ってくれているのならば良かろう。」
【うん、朝から元気になるね。】
「ヘファイストス様、私も可愛がって下さい。」
【分け隔てなく可愛がろうじゃないか。】
「あら、私も良いのかしら?」
【もちろんだよ、ルイス。】
こうして朝から四人の嫁達と健康的に過ごす。
日課をしてからセリスとこれまた日課の鍛錬へと向かう。
「おはようございます、ディアナさん。遅くなりました。」
「おはよう、すでに準備は出来ておりますね。」
「ああ、セリスと兄貴待ちだぜ?」
【では、鍛錬を行いましょうか。】
「「応!」」
俺は飯を作る。
今日の筋肉飯は高タンパク質のネギトロ丼だ。
玄米を炊く。
その間にトロの良い所を叩く。
長ネギを刻んでおく。
卵黄を入れればもっと見栄えも良くなるのだが、サルモネラ菌が怖い。
この世界では元の世界のアメリカ等のように生卵を食さない。
キゴニスの特産品に生食出来る生卵があるとの事なので今度行ってみよう。
醤油と御酢で炊き上がった玄米を酢飯にして行く。
器に玄米を盛り、叩いたトロを乗せ、ネギ、白ゴマを振る。
好みで醤油をかければ出来上がり。
走り終わった二人が帰って来た。
「今日の朝御飯も美味しそうですね。」
「お、それはあの鮪って言う美味い魚じゃないのかい?」
【ええ、トロと呼ばれる部位を使いました。好みで醤油と山葵を付けて下さい。】
「「「はい!」」
【では、いただきます!】
「「いただきます!」」
「この脂の乗り、口で溶けます。」
「美味え、美味え。ただ・・・量がなぁ。」
【しばらくの我慢ですよ。身体が出来上がれば運動をかかさない限りは普通に食べても大丈夫ですから。】
「本当かい?」
【ええ、身体が出来れば、ですからね?】
「楽しみが増えたぜ!」
ディアナとセリスがクールダウンにストレッチをしているとちょっと体を動かしてしまう。
右正拳突き。
【セイッ!】
ッボ!
「「・・・。」」
左上段蹴り。
【ハアッ!】
ズパァッ!
「「・・・。」」
中段左回し蹴り。
【ハイッ!】
ブオッ!
「どうよ、セリス。格好良いだろう?」
「見ているだけで分かる、あの拳や蹴りのキレ、素晴らしいですね。」
「そうなんだよ、アレをモノにするのがまず初めの試練だ。」
「流水のような動き・・・素晴らしい。」
「凄えよな・・・。」
「ええ、さすがは旦那様ですわ!」
「っと、こっちも集中しないとな。」
「そうですわね。」
「だが、見惚れる・・・。」
「・・・そうですわね。」
【フウゥ~・・・。】
礼
【ありがとうございました。】
ん?
「「ほぉ~っ・・・。」」
【セリス、ディアナさん。動きが止まっていますよ?】
「あ、申し訳ありません、旦那様!」
「す、すまねえ、兄貴!」
何だろうか?
身体が軽い。
今までと違う気がする。
実感したのは昨日行った「形」からだ。
明らかに体のキレが違っていた。
『七つある楔を一つ外して差し上げましょう。』
いや、あれは外れたから師匠に・・・勝てた。
外れたから?
それに、まだ、あの力が体に馴染んでいない?
闘いを経験するたびに力を増している?
まさかな。
七つある楔・・・一体何の楔だ?
一つ外れて黒い力が沸いて来た。
これが後六つある?
馬鹿な。
普通の人間にはありえない。
いやいや、俺は普通の人間だ。
人間のはずだ。
・・・人間なんだ!
「・・・様?旦那様?」
【んあ?セリス?】
「寝ぼけておられるのか?終了致しましたぞ?」
【ああ、ごめんね。では解散と致しましょう。十時の集合ですからね。間違いなく。】
「「はい!」」
【では、後程!】
「セリスよぉ、着替えだけでいいんだよな?」
「ああ、水着は旦那様が用意して下さるとの事だ。」
「兄貴の水着!?」
「そうだが?」
「嫌な予感しかしねえ。」
「もしアレな水着でも見られるのは身内と剣聖様だけだ。問題ない。」
「そっか、なら大丈夫だな。」
二人の楽しそうな話は耳に入っていなかった。
・・・俺は人間なんですよね?
ねえ・・・『アリステリア様』。
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それでは 次話 初めての海(仮 で、お会い致しましょう!
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