独占したい
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!
執筆終わりました。
楽しんで頂ければ幸いです。
「頭、ここで間違いはありやせんね。」
「では、行くか。」
「「へい!」」
「・・・警備がいないでやすね。」
「・・・急ぐぞ!」
「「ヘイ!」」
「玉座の間・・・この近くだな。散って探すぞ。十分後に集合だ。」
「「ヘイ!」」
ファリスに貰ったメモを見る。
ほ・か・ん・こ。
ここは保管庫のようだ。
暗視のポーションを飲んでいるので視界は良好。
ん?
部屋の入り口に松明が灯っている。
気配がある。
慎重に近づく。
気配は一つ。
これ以上調べるには協力が必要かもしれない。
一度、玉座の間へ戻る。
「どうだった?」
「研究室を見つけました。」
「でかした!俺は保管庫を見つけた。」
「おいらの方面は居住区でした。オフディアン達はもう眠っているようです。」
「では、研究室から行くか。」
「「へい!」」
「こっちでやす!」
「本当に警備がいないですね。」
「いたとしてもこんなザルな警戒だとな。」
「ここでやんす。」
「罠は?」
「警報があっただけでさあ、外しましたがね。」
「よし、警戒は怠るなよ?」
「「ヘイ!」」
その石のドアから中に入る。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
「「「・・・。」」」
気配は無し。
「一応、罠を探せ。」
「アイサー!」
「本はかさばるし俺達にはお手上げだ。羊皮紙を片っ端から頂け!」
「「ヘイ!」」
袋に羊皮紙やその束を詰め込んで行く。
この中にあれば良いんだがな。
「お頭、大体は回収しましたぜ。」
「よし、今度は保管庫だ。標的がいるかもしれん、注意しろよ。」
「「了解!」」
保管庫に移動する。
先程と同じく松明がともっている。
まだ、気配がある。
「どう思う?」
「動いていないんでもしかしたらですが、標的の可能性がありやすね。」
「仕方がない、周りに注意しろ。」
「「了解です!」」
警戒しながら扉を開く。
警報も無い様だ。
「本当にザルっすね?」
「目標を確認するまでの我慢だ。」
「頭ぁ、この箱、ボスが言っていたヤツじゃねえっすか?」
「間違いないな。罠は?」
「ありません・・・ね。」
「鍵を!」
「うっす!」
チキキャキ・・・
ガチン!
思ったより大きな音が響く。
「・・・大丈夫なようだな?」
「そうっすね。」
「トラップかと思ったっすよ。」
「まあ、良い。中身を確認するぞ。」
「「ヘイ!」」
ギギギィィ・・・
「シャギャアァァ!?」
バタン!
「いやがった、頭!」
「確認した、鍵をかけろ!」
「ヘイ!」
ガチン!
・・・ボスよ。
どうやらアーサー殿の言う通りなのかもしれないぞ?
「鍵かけました!」
「隠蔽は?」
「抜かりありません!」
「撤収!」
「「へい!」」
その黒い人物達は、大量の羊皮紙を持ってオフディアンの砦を逃げ出して行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【・・・ルイス。何かあったの?】
「・・・。」
【話してくれるまで待つよ?】
「・・・私の醜い所を聞いてくれるかしら?」
【急にどうしたのさ?】
「良いから・・・聞いて頂戴。」
【うん。】
「まずは昨日の事よ。あんなにも献身的なフェイさんに・・・嫉妬したの。」
【そうだね、嫉妬する程に昨日のフェイは素晴らしかったね。】
「うん、そこにいるのは私じゃないの?何故、違う女性なの?って・・・。」
【ルイス、嫉妬は誰でも持っている感情だよ?】
「でもね、昨日の事は皆みたいに褒めるべきだったのよ。」
【・・・。】
「それを誉められない狭量な私。これが、この醜さが私の本性なのかもしれないわ。」
【それだけだと決められないな。】
「醜い嫉妬は、それだけではないの。」
【他にはどんな事に嫉妬したの?】
「貴方とサーラさんの神事の事。」
【ああ、あれはどうして、ああなったのか俺も聞きたいぐらいだからね。】
「あれは運命なのよ。貴方とサーラさんの。」
【そうなのかな?】
「ええ、サーラさんは素晴らしい人だわ。」
【うん、あの時はまだフェイがいなかったからね。余計にそう感じるのかもね。】
「フェイさんなのね・・・。」
【ん?何か言った?】
「ううん、次ね。」
【うん、どんな事かな?】
「戦でのセリスさんとの事。」
【戦はしょうがないじゃない、セリスみたいに幼少から鍛えてないと逆に傷付いたりする場合もあるよ?】
「でもね、貴方の隣で剣を振るうあの姿を想像するだけで・・・嫉妬してしまったの。」
【ふーん、それで・・・まだあるの?】
「細かい所を入れれば、まだいっぱいあるの。」
俺ってやつは、ルイスにこんな思いをさせていたのか?
「ねえ、正直に言ってね?・・・邪魔に、嫌いになったでしょう?」
そう言って背中に抱き着いて来た。
鍋がかかっている火を消す。
万が一だが、何かあったら嫌だからだ。
俺は、こんなにもルイスを追い詰めていたのか?
【ルイスが邪魔になったり俺がルイスを嫌いになったりする事は無いよ?】
「こ、ご、んな、ごんなあ゛だじでも・・・ぞばにいでいいのぉ?」
また、泣かせちゃったね。
ごめんね、ルイス。
【ルイスがいないなんて考えられないよ?】
「やぐだだずのあ゛だしでもいいの?」
【役立たずだなんて思っていないよ、ルイスは俺に元気をくれるからね。】
「でも、ぞばにいだらあ゛なだにめいわぐがががるわ。」
【泣かないでルイス。ルイスの事を迷惑だなんて思う訳ないじゃないか!】
振り向いてその顔を見る。
ああ、ルイスのこんな顔は見た事が無い。
「わだじよりぞばにいでる、ふざわじいびとがいるじゃない!」
【ルイスに側にいてほしいんだよ?】
「だってやぐだだずなのよ?」
【役に立つとか立たないとかじゃない、ルイスだから側にいてほしいんだ。】
「じじんがないのぉおぉぉ・・・。」
あのルイスが声を上げて泣いている。
こんなになるまで気付いてやれないだなんて・・・。
俺ってやつは・・・馬鹿野郎。
ルイスの両頬に手を当てて逃がさないように強めに顔を掴み自分の顔を近づける。
【俺がルイスを嫌いになるなんて事はあり得ないよ?】
「でもね、じじんがなぐなっだのおおぉぉ・・・。」
【ルイスが俺を嫌いになるまでずっと付きまとってやるんだからね?】
「グズン・・・。でもぉ、自信が無いのよ・・・。」
【何の自信かな?】
「貴方に好きでいてもらう自信が!」
【そんな物は無くていい!俺の隣にいてくれるのは、いつものルイスで十分なんだよ?」
こう見えても、まだ十六歳の女の子なんだ。
強がっていたんだよね。
誰の為に?
大人びて見えるようにしていたんだよね?
誰の為に?
好きでいようとしてくれてたんだね?
全部、お前の為だ!
ルイスを抱き寄せる。
顔が・・・見えなくなっちゃった。
【ルイス、そんな君が好きなんだ。他の誰でもない君だから、ルイスだから好きなんだよ?】
「・・・貴方に酷い事をしたの。」
【それは、どんな時に?】
「商売が上手く行ったのにまだ疑っていたわ。」
【うん、しょうがないよ。まだ会って十日もたっていなかっただろう?】
「殴ってはいないのだけれど、まだ好きか分からなかったけど、貴方は他の女の所に行ったわ。」
【ああ、それはそいつが悪い。好きだって気付いていなかったんだよ。】
「帰って来てくれて嬉しかったのに・・・グズン。殴ってしまったわ。」
【そりゃーそいつが悪い、皆を置いて戦場なんかに行っちゃったんだからね。】
「もっとあるはずなんだけど・・・。」
【どれだけ殴ったのよ?】
「いっぱい殴ったわ。」
【そっかー、でもねそんな思い出が俺達を支えてくれたじゃないか?】
「・・・。」
【リズだってベスだってマオだってアリスだって、皆はそんなルイスだからついて来たし俺もひかれたんだ。】
「最後だから気持ちの良い事を言ってくれるの?」
【ルイス、今のは怒ったぞ?今から君が誰の物かをその体に刻み込んでやる!】
「いいわ、それで気が済むなら。」
立ち上がり、服を脱いでいくルイス。
【・・・そんなルイスは抱けない。】
「やっぱり、嫌いになったのね?」
【違う!でもね今の君には魅力を感じない。】
「・・・。」
【ねえ、いつものルイスに戻ろうよ?俺はいつものルイスが好きなんだよ?】
「・・・いつものが分からないわ。」
【普通にしてくれればいいんだけどな。】
「普通が分からなくなったの。」
【そんな君には御仕置をしないとね。】
「好きにすればいいわ。」
【じゃあ、好きにするよ?】
「気が済んだら、捨てて頂戴。」
ルイスに服を着せる。
そんなルイスを抱き上げるとゲートの魔法を使う。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「良く来たな、アーサー・・・ルイス嬢もか?」
【こらこら、人のパートナーを邪険にするんじゃない。】
「おい、良いのか?この話は・・・。」
【ルイスと俺の関係だ、構わない。】
「何をする気なの?」
「アーサー?」
【良いんだ。】
「・・・ならば話そう。グレイを忍び込ませた。陛下にも面識があり俺の頼れる左腕だからだ。」
【それで、どうだった?】
「アーサーの読み通りだ。詳しくは翻訳中だが厄介な内容である事は間違いない。」
【アミーラは?】
「アミーラも確認したらしい。例の箱の中にいたようだ。」
【これで黒だな。】
「そうだ、アーサーの言う通り・・・真っ黒だ。」
【羊皮紙の方の翻訳はいつごろ終わるかな?】
「ファリスが全力で翻訳している。今朝早くからやっているが・・・完全な翻訳には、まだまだ時間がかかるだろう。」
【ファリスさんに、これを渡してくれるかな?】
そう言ってスタミナポーションを渡す。
「うむ、渡しておこう。・・・最速の話だが、明日の午前中いっぱいには終わるだろう。勝負は明日の夜にしよう。」
【皇帝陛下には?】
「確証が取れたら話そうとしていたのでこれからだ。」
「・・・ねえ、貴方。さっきから何を?」
【ルイスに、俺達だけの秘密を教えているんだよ?】
「私だけに?何故なの?」
【今話している内容は国のトップレベルのヤバイ内容だよ。それを教えている。もちろんだが、ルイスに何かがある訳では無いけれどね。】
「ルイス嬢・・・君達に何があったのかは分からんが、アーサーは君をそれだけ信頼していると言う事だ。」
「・・・。」
【ノモス、ナーブの部族と付き合っている部族はあるのか?】
「ほう、察しが良いな。深い付き合いは二部族あったようだ。ハラシーフとカルンと言う部族だ。すでにバウマンを向かわせてある。」
【流石に早いね。】
「一大事だからな。だが、これで後方は安全になるだろう。」
【分かった、ノモス。翻訳を頼むと伝えてくれ。それと何処お勧めの飲み物屋は無いかな?】
「帝国で言えば『ココナッツジュース』だろうな、名物だ。ただ、好みは分かれるぞ?」
【分かった。後はお勧めの海鮮を扱っている店を教えてくれないかな?】
「地図は・・・無駄だったな。・・・歩くんだな?」
【ああ、歩くよ。】
「本来ならバウマンを一緒に向かわせるのだが・・・。」
【構わないよ、ありがとう、ノモス。】
「ありがとうございます、ノモスさん。」
そうだ場所を借りれないか聞いておこう。
【ノモス、何日か後なんだけれど港の桟橋、借りられない?】
「会社のか?何するんだ?」
【ノモス達も招待するよ。】
「ほう、ではいつもの四人で行く。時期が近くなったら教えてくれ。」
【分かった、よろしくねー。】
礼を言うと二人で部屋を出て行く。
厨房に寄って食材をゲットする事も忘れない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【へー、そこのココナッツジュースが美味しいの?】
「あおくさくない・・・おいしいヨ?」
【ありがとうね、お駄賃の銀貨。】
「アリガトネ、ワカダンナ!」
【ほら、何をボーっとしているんだよ、ルイス。行くよ?】
「え、ええ・・・。」
目的地であるお店に着いた。
この店のココナッツジュースが美味しいらしい。
「いらっしゃい、坊ちゃん、お嬢さん。うちのココナッツは青臭くないよ?」
【じゃあその冷えたココナッツジュースを二つね。】
「はいよ、待っておくれよ。」
すると裏でガシガシと何かやっている。
しばらくすると白いボールのようなものが二つやって来た。
「これ、上が取れるから取ってから藁で吸うと良いよ。白い所はスプーンで食べれるからね。」
【全部食べられるの?】
「そうだよ、お嬢ちゃんも食べてごらん。美味いからね。」
「あ、ありがとうございます。」
ズズー・・・
【うん、美味いねルイス。】
「思ったよりさっぱりしていて飲みやすいわ。」
【白い所も美味しいよ?】
「本当、でも何で名物がココナッツジュースなのかしら?」
【多分だけれど、帝国に多く見られるココヤシの果実であるココナッツなんだよ、中でも実が緑色の若い果実の中に含まれている透明の液体をココナッツジュースと呼ぶんだよ。】
「そうなのね、この白い所は?」
【そこはね、胚乳と呼ばれていて食べれる部分なんだ。嫌いでなければ食べてみて?】
「モグモグ・・・シャキシャキとしていて食感が良いわ。でも、独特の風味があるから好みが分かれそうね。」
【嫌いじゃないでしょう?】
「ええ、ジュースもそんなに甘くなくて美味しいわ。」
【えへへへ・・・。】
「な、何よ?」
【いつものルイスに戻って来てくれたなーってさ。】
「・・・ま、まだ戻っていないわ。」
【次はお昼だよ。セリスとディアナさんに会いに行こうか。】
「・・・うん。」
こうしてルイスと鍛錬所にむかう。
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