もう一つの戦い
いつも読んで頂き、誠にありがとうございます!
次話執筆が終わりました。
楽しんで頂ければ幸いです。
「中央を僕が、左翼をダン、右翼をディアナで固めて下さい。皆さんはその後方から戦って下さいね。」
「「「応!!!」」」
「ジャスティン様!お隣はお任せを!」
「頼りにしていますよ、シルビィさん。」
『頼りに・・・頼りに・・・。』
あふっ!?
「っは、はい!」
「シルビィが舞い上がってるからルウ、援護してあげてね~。」
「分かったわよ!」
「ファムも頑張ってね。」
「適当にやるよ、まだ死にたくないからね。」
「ダンさん!勉強させて頂きます!」
「いいか、まずはその力んだ体をほぐせ。それじゃないともたねえぞ?」
『こんな俺を心配してくれているのか・・・か!?』
「おおっすぅ!」
「ヘイムさんが舞い上がってるから、ベイトさん。援護してあげてね。」
「分かったっすよ、タケゾウさん。」
「ラフィアさんとアンリさんと援護するっすよ!」
「・・・メテオ・スウォーム!」
ゴガガガ!
ドガドガン!
ドガッ!
ゴゴオォォ・・・
その魔法で前方のテラサンを焼き払う。
「すごい、さすが叡智様。」
「さすがっすね!」
「アーサー様はこんなものではなくってよ?」
「「見習わせて頂きます!」」
「ありゃ、穴の東側、丘の上にアミーラがいるんさ~。」
望遠のスキルで探っていたアンナがそんな事を言って来た。
「いい加減に倒すっすか、ジャスティンの兄貴?」
「どんな影響があるか分からないので捕らえましょう。・・・護衛もいますね?」
「でっかいのが二体いるんさ~。」
「ふむ、アンナ。狙撃は出来ますか?」
「もうちょっと近づかないと駄目かな~?」
「なら射程距離に入ったらお願い致します。」
「りょ~。」
「で、相棒。距離を詰めるのは分かったがきりがねえぜ?」
「そうっすよ、ジャスティンさん。」
「ヘイム、あんたねぇ!」
「確かに・・・。ですがアミーラを何とかすれば好転します。今までの戦いがそうだったではありませんか。」
「そうですわよね!ジャスティン様!」
「っち、これだからよぉ。」
「何よヘイム!」
「はいはい、今は忙しいんですよ。働いて下さい、ヘイムさん。」
「そうだよ、シルビィ。今は働く時なのさ。」
「「ぐぬぬぬ・・・。」」
タケゾウ君とファムさんに言われて二人が悔しがっている。
少しは慣れて余裕が出来てきましたか。
ですが、油断は禁物ですよ?
その間にもラフィアの魔法でどんどんとテラサンを倒している。
帝国兵やヘルシャーの兵はどうしたのだろうか?
と、思っていると右手から声がかかる。
「そこにおられるのはいずこの部隊か!返答を願う!」
「クヴァール帝国所属、冒険者オーガの牙です。」
「ほう、貴殿らが噂の・・・ふふ、運が良いのか悪いのか。」
「そう言う貴女は?」
「軍事国家ヘルシャー、元帥。シュタイア・フォン・アイゼンクロイツである!」
「戦場におかれては礼を失する事をお許し下さい。参謀のラフィアと申します。」
「噂は聞いておる、叡智。それで、帝国軍はどうされたか?第一、第二大隊!弓放て!」
シュンシュンシュン!
ダッダッダッダッダ・・・
「「「シャギャアアァァー!」」」
「この混乱で不明でございます。中央には強大な魔法が使われた様子でその事については詳しい情報はつかめておりません。」
「ああ、あれは我らがラヴィーネ様の魔法だ。気にする事は無い。」
「あんな広域魔法を!?」
「うむ、考えて使っておられる・・・はずなので味方の被害は無いはずだ。」
ザンッ!
「ギシャアァァ・・。」
その間にも次々と現れる敵を倒して行く。
「東側の丘に戦術役の敵がおります。」
「何だと!?」
「テラサン・アミーラとオフディアン達は呼んでおりました。」
「戦術役と言う事は通信手段も持っていると考えても?」
「左様でございます。現に捕縛した戦場では戦いを有利に進める事が出来ましたわ。」
「ふむ、第一、第二大隊。打ち方用意!」
「「「ジャキッ!」」」
「ではこうしよう、そこまでに道を作ってやる。事を成すが良い。」
「よろしいのですか?」
「なに、構わんよ。放てー!」
シュンシュンシュン!
ダッダッダッダッダ・・・
「「「シャギャアアァァー!」」」
「第三から第四大隊は楔となり道を作れ!第五大隊は援護せよ!第一、第二大隊は矢をつがえ待機!」
「「「っはっ!」」」
「第三大体突撃!西から北側に楔を打ち込め!!」
「かしこまりました、閣下!突撃!」
「「「ウワアアアァァァー!」」」
「第四大隊突撃!東側から北側に同じく壁を作れ!」
「大隊続け!突撃だ!」
「「「ワアアアァァァー!」」」
「第五大隊は魔法で援護だ!」
「同胞を守れ!援護だ!」
「「「ファイヤー・ボール!」」」
ドガン!
ドゴォン!
ドドンッ!
元帥閣下の見事な指揮で壁が、道が出来て行く。
「私達はこのまま突撃致しますわよ!」
「「「応!!!」」」
「閣下、ありがとうございます!」
「礼にはアミーラを所望する。」
「ふふ、軍事利用でもなさるおつもりですか?」
「国家機密だ。」
「雇い主の帝国に伺ってからお渡しするように致しますね。」
「ふん、食えないヤツよな。行け、オーガの牙!」
「また後程!」
「第一、第二大隊。放てー!」
シュンシュンシュン!
ダッダッダッダッダ・・・
「「「シャギャアアァァー!」」」
「頼んだぞ、オーガの牙。」
行く先を見つめる。
僕の目にはまだ見えないが、そこにいるであろう強敵とアミーラの事を思う。
作ってもらっている道の終わりはもうすぐだ。
軍事国家を名乗るだけあって何という精兵だろうか。
この群相手に持ちこたえている。
「さあ!行きますよ皆!」
「「「応!!!」」」
「ここからならいけると思うんさー!」
「頼みます、アンナ!」
ギリギリギシッ・・・
「ミスリルの矢を食らうといいんさー!」
ヒィィィン!
ヒュゴオオォォォー!
アンナの放った矢は昼間だが流星のような軌跡を残し一匹のアヴェンジャー・ナイトに吸い込まれる。
その矢の接近を感じたのだろう。
ナイトは左手の盾で防御する。
だが、アンナの放った矢はナイトの盾ごとその上半身を消し飛ばした。
「一匹仕留めたんさ!ジャスティン、もう一匹はどうする~?」
「アミーラは?」
「逃げの体勢に入ったようです!」
望遠のスキルを使っているルウさんがそう言う。
「ダン、ディアナ。ナイトを頼みます。アンナ、ベイト君、アミーラの足止めを!」
「応!任せろ、相棒!」
「任せてくれ、兄貴!」
「任されたんさ~。」
「付いて行きます!」
「ルウさんは念の為警戒を!シルビィさんとヘイム君は殿を。任せましたよ二人とも!」
「了解です!」
「任されましたわ!」
「分かったぜ!」
「タケゾウ君とファムさんはいつでも行けるように。ラフィア、二人の事は頼みましたよ。」
「分かった。」
「任せてー。」
「分かりましたわ!」
「では、行きましょう!」
「「「応!」」」
「「「はい!」」」
「「「おっす!」」」
瞬時に指示を出すと皆が答えてくれる。
軍国の兵達は大丈夫だろうか?
いや、後ろではない。
前の事を考えろ。
そう思いなおしテラサンを切り刻んで行く。
ギリギリッ・・・
「撃つんさー!」
シュゴオオォォー!
「「「シャギャアアァァァ!」」」
アンナがテラサンをまとめて吹き飛ばすとナイトまでの道が出来た。
「ダン、ディアナ、今です!」
「応よ!」
「行くぞ!」
手短に返事をすると二人はナイトに向かって走って行く。
油断は禁物ですよ?
そう、地面が柔らかい。
足元からの奇襲も考えなければいけませんからね。
「「探知!」」
ルウさんとベイト君が探知スキルを使う。
「アミーラの所までは地下で動いている敵はいません!」
「アンナさん行きましょう!」
「りょ~!」
そして飛び出す二人。
アンナ、ベイト君も気を付けて下さい。
「・・・パラライズ・フィールド。」
「打ち込みます!・・・ファイヤー・ボール!」
「・・・ファイヤー・ボール!」
パラライズ・フィールドに引っかかった敵を器用に迂回したファイヤーボール達は顔を出したテラサンに命中した。
ドガッボガン!
「「「キシャアアァァー!」」」
何匹かを巻き込み爆裂した魔法はテラサンの進行を遅らせる。
「好機!」
「いっきまーす!」
「・・・ブレッシング・オール!」
「援護します!」
そこに支援魔法を受けたタケゾウ君とファムさんが突っ込んで行く。
タケゾウ君はアーサーの言っていた通り八等級とは思えない働きぶりだ。
そしてファムさん。
この掴みどころのない女の子は敵を幻惑し確実に一匹ずつ葬って行く。
ルウさんも負けじと矢を打ち込む。
良い形、上手い戦いの出来るパーティーになって来ましたね。
さあ、固めましょうか。
「ディフェンダー!」
更に行きます!
「シールド・プロテクション!」
僕の二つの騎士スキルがラフィアとルウさん、アンリさん、ミハエル君を包む。
この二つのスキルで五人の防御力を極限にまで高める。
タケゾウ君とファムさんから逃れ出て来たテラサンをルウさんが迎え撃つ。
「ハアッ!」
「キシャアァー!」
「ほいほーい!」
「ギシャアァー!」
「ッシ!」
「ギシャッー!」
その間に三人が攻撃魔法を叩き込む!
「・・・エクスプロージョン!」
ドガーン!
「「・・・ファイヤー・ボール!」」
ドガッドガン!
「「「ギシャアアァーッツ!!!」」」
前を見るとダンがナイトの左腕を斬り飛ばしている所だった。
「ギシャアアアァァァー!」
「相棒みたいに硬さが足りないぜ!ナイトさんよぉ!」
「ダブル・ボルケーノ・ナックル!」
ドガッドガン!
「シャギャアァァー!」
ディアナの攻撃をまともに食らったナイトの腹の中で爆発が起こる。
「これを耐れる奴はいねえっ!」
「ギギシャアアァァ・・・。」
そして止めの一撃が二人から放たれる。
「うおおおぉぉぉっ!アーマー・イグノア!」
「そりゃああぁぁ!ギガント・ナックルッ!」
ダンの攻撃はナイトの左胸を穿ち、ディアナの攻撃はナイトの頭を叩き潰した。
さすがですね、二人とも。
殿を務めていたはずの二人が僕の方に寄って来た。
何かあったのだろうか?
「ジャスティンさんよぉ。」
「何ですか?」
「ここに来るまではアンタの事を戦闘の出来ない盾を使った臆病者とか思っていた事を謝罪するぜ。済まなかった。」
ヘイム君が僕に頭を下げて来た。
「ヘイム・・・。」
「気にしてはいませんよ?良いですか、そもそもナイトと言うスキル構成は・・・。」
「ジャスティン、そこまでにしてあげて下さいませ。まだ、戦闘は終わってませんのよ?」
「おっと、そうですね。ヘイム君、終わった後にナイトの素晴らしさを教えて差し上げます。」
「ハハハ・・・ほ、程々でお願いします。」
その様子を見ていたシルビィさんも謝って来る。
「ダンさん、私も・・・行動が短絡的で脳筋と侮辱していました。この場を借りて謝罪致します。」
「脳筋か、あながち間違っちゃいねえかな?」
仕事を終え近寄って来たダンが頭を掻きながら返事する。
「シルビィさん、相棒は脳筋であっても短絡的ではないのですよ。」
「ジャスティン、かばっておりませんわよ?」
「そ、そうかい?」
「相棒は俺が短絡的だと思っているんだな?」
まずい、話の流れを変えましょう。
「そ、そう言えばアミーラは?」
「ジャスティン、誰が追って行ったか・・・忘れてますわよ?」
ニヤリとしてラフィアがそう答える。
「ああ、そうですね。」
「お待たせしたんさ~。」
「待たせたっすか?」
「待っておりませんよ。二人とも、ご苦労様です。」
「軽いもんなのさ~。」
「余裕っした!」
「・・・パラライズ!」
ラフィアが縛り上げられたアミーラにパラライズをかける。
経験からだがこれでテラサンの攻撃が散漫になるだろう。
散らばって行った残敵を葬りながら後退する。
「こちらは終わりましたね。それでは合流致しましょう。」
「アーサーの事だ、ケロッと終わりましたか?なんて聞いて来るぜ。」
「そうっすよ、あっちは剣聖様と軍帝様がいて苦戦してるなんて考えられないっすよ。」
「そうね、では穴の調査は後にして中央、東に行ってみましょう。まばらになった帝国軍がいるかもしれませんわ。」
「「はい!」」
「はいほ~い。」
「はい。」
「「「うっす!」」」
「移動の前に新人さんは貰ったポーションを飲んでおくんさ~。」
「赤い方ですか?」
「そうですね、スタミナポーションですわ。」
「僕達も飲んでおきましょう。」
「「「応!」」」
皆でポーションをあおる。
「ふう、アーサー印のは効くなぁ。」
「そうっすねぇ、疲れが吹き飛ぶっすよ!」
「すっげえ、効き目・・・。」
「疲れが吹き飛びましたわっ!」
「これは凄い。」
「元気いっぱいなんですよー!」
「アーサー印っていう事はお作りになったのはアーサー様なのですか?」
「そうだぜ、アンリ。あいつのポーションは凄え効くんだぜ。」
「錬金術も面白そうですね。」
「さあ、準備を整えたら陣形を組んで行きますよ!」
「「「応!」」」
ディアナがアミーラを担ぎ上げると出発の準備を整える。
問題はアミーラの事に西の大穴。
マザーと呼ばれる存在といるであろう取り巻き。
そして帝国軍の安否、等々。
まだまだやる事はありますね。
とりあえず一つの件を済ませた僕達は陣形を再編すると戦場の東側へと足を向けた。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
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それでは 次話 切り離された帝国軍(仮 で、お会い致しましょう!
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