変異種と依頼
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お楽しみ頂ければ幸いです。
夜が明けて来た。
それだけの時間戦っていたのだろう。
戦況が落ち着いて来たので被害状況の報告を受けている各将軍達。
唯一の救いは補給物資が無事だったと言う所だろうか?
それに将軍達には考える事があるのだ。
そう、変異種の事である。
捕らえてきたヤツを仮にマトリアーク・プリンセスとでもしておこうか。
戦術的な戦い方をしてくる新種個体等々。
考える事はいくらでもある。
俺は今、回復ポーションを作っている。
セリスに頼まれたからだ。
重傷者の所へ持っていく為のポーションが足りないのだそうだ。
新人君達に手伝ってもらっている。
師匠やジャスティン達には今のうちに仮眠をとってもらう。
新人達は役に立てなかったという後悔の念でもあるのだろうか?
快く手伝ってくれている。
後程、交代で仮眠をとってもらおう。
「リョダリ騎士団、第三部隊の者だ。ポーションを頂きにまいった!」
「こちらを持って行って下さい。必要量の100を作ってもらってあります。確認して下さい。」
兵達がアンリさんの指示した方向にある袋を運び出していく。
「助かる。そなた達に感謝を!」
軽傷だったのか頭に包帯を巻いている兵をヘイム君が視線で追っている。
「・・・俺達、怪我も無く生き残れたんだな。」
「そうね、ヘイム。私達は運が良いわ。」
「剣聖様とオーガの牙のおかげね。」
「そうですね、皆さんに感謝しないとっす。」
昨夜の戦いを通じてかなり雰囲気の良くなった両パーティーのメンバー達。
悪い事ばかりではない。
現地には行けなかったが、皆には感謝だね。
だが、戦いを切り抜けたと言う経験は彼らの中に大きな財産として残っただろう。
その後は散発的なテラサンの攻撃があったが何かの意思があるようには思えなかった。
昨夜の夜襲は、やはり捕らえたプリンセス(仮 の指揮能力が高かったのだろう。
テラサン達はいわゆるテレパシーのようなものでマザーの意思に従い動いているとセリスから聞いた。
プリンセスもその類なのだろう。
しかも頭脳の方だ。
もしかしたらこの戦いにおける戦略、戦術を組み上げていたのかもしれない。
問題としては陣内にいてもテレパシーを使うので油断は出来ないらしい。
軍内での意見は割れていた。
新種なので研究に使うべしとの意見と危険すぎるのでさっさと殺してしまおうと言う意見。
研究をするのは帝都に輸送してしかるべき研究機関に預ける事。
だが、輸送の問題があるのだ。
途中で奪還でもされれば目も当てられない。
それにもし無事に送り届ける事が出来ても、テレパシーの件がある。
今回は帝都で控えている皇帝陛下もいる為、帝都が戦場になる事は避けたかったのだろう。
そして殺す方の意見なのだが・・・。
殺した事によってテラサンの怒りを買うのを恐れているのである。
万が一だが断末魔がそのトリガーになっていたら?
等の意見が上がり殺すに殺せないのである。
うーん、生け捕りにしたのは失敗だったかな?
「パンティラス騎士団、第二部隊から参りました。ポーションの補給をお願いしたい!」
「こちらです、パンティラス、パンティラス・・・第二部隊様は150本納品となります。ご確認下さいね。」
「そなた達に感謝を!」
緊急を要する人以外はこれで配り終わったかな?
【ご苦労様、暑いだろうが君達も仮眠をとってくれるかな?】
「アーサーさんはどうするんですか?」
【嫁さんが寝ていないんだ。俺だけ眠る訳にはいかないだろう?】
「ふふっ、それではお言葉に甘えますわ!」
「おう、皆、眠っておくぞ!」
「「はい!」」
「「おっす!」」
「もしもの為に眠っておくのも仕事ですからね?」
「はいよ、タケゾウ。」
「りょ~うかいでーす!」
そして皆が自分達に割り当てられた天幕に戻る。
天幕の一割が燃えてしまったが予備品を組み立てて対応してあるらしい。
さてと、俺は解毒ポーションを作っておこう。
「済まぬが、こちらに紅蓮はいるか?」
っぐ、この呼び方は・・・。
【いらっしゃいますけど、戦いませんよ?】
「むう、そんな事を言うでない。それと、今日は別件で参ったのだ。」
【別件?とりあえずお入りになって下さい。】
そう言うと天幕に入って来る。
やはり昨日のあの子だ。
「紅蓮、そなた、ヘファイストスであろう?」
【・・・そうですが?】
「話が早いのは良い事だ。それでだな、我が愛刀を修理してはくれまいか?」
【愛刀?】
「ああ、私の相棒だ。」
目の前に鞘に入った青白いオーラを放つ剣を見せてくる。
その剣を、そう長年付き添った友のように大事そうに持っている剣を俺に渡してくる。
受け取ると・・・冷たい!?
【まさか、属性剣ですか!?】
「その通りだ、さすがだな。で、修理は出来るか?」
たいっへんに興味がありますね!
【まずは、見させて頂きますね。】
「構わん。」
その剣をゆっくりと鞘から抜き放つ。
【おお、冷気剣ですね。銘はあるのですか?】
「凍土と言う。」
ふむふむ、良い剣だ。
大事に使われていたのだろう。
ただ・・・。
【少々問題があります、残念ながら剣の芯が鉄なのです。このままでは貴女の期待には応えられてもすぐに砕け散るでしょう。】
「砕け散るだと!では修理は出来ないと言うのか!?」
【修理より、打ち直しがよろしいかと思います。】
「打ち直しだと?」
【はい、この属性剣に十二分に思い入れがあるのは伝わってきましたが芯の鉄が持ちません。】
「そなたはどうせよと言うのだ?」
【剣をミスリルで打ち直します。そしてその剣に生まれ変わらせます。】
「そのような事が可能なのか!?」
【『継承の儀』と言う儀式が必要です。幸いにも俺はその儀式が出来ます。】
「おおっ!」
【継承の儀とは儀式を行い武具の性能を新しい物に移す。と言う物です。】
使い慣れた武具を上質の素材で作った武具にその性能を移し替え生まれ変わらせる。
これを儀式、継承の儀と呼んでいる
正確には耐久値の無くなりそうな武具を犠牲に新しい武具にそれらにあると言われている魂を移し替える事だ。
ゲームの〖ウルトラ・オンライン〗では、わざわざNPCの王様の前に行って儀式をしたりしたものだ。
懐かしいな。
【幸いにも俺は素材となるミスリルでの属性剣を作れます。必ず成功に導いて御覧に入れましょう。】
「・・・シュタイア!」
「っは、閣下!失礼致します。」
バサッ
うほ、巨乳の美人さんが天幕に入ってきた!
軍服が似合う。
化粧っけがないがその真っ赤な唇が物凄く艶っぽい。
こういう人に黒のボンデージを着せてヒールを、ゴフンゴフン。
意識が旅に出そうになった。
「シュタイアはどう思う?」
シュタイアさんか、覚えておこう。
「芯が鉄ならば鍛冶師殿の言われる通り寿命なのでしょう。それを蘇らせる技術があるのならば頼む他は無いかと思われます。」
「そうか・・・紅蓮、では頼む。」
あら?
シュタイアさんが進めたら素直だね。
もっと我が儘を言うかと思ったよ。
【それではしばらく期間を頂きますがよろしいですか?】
「か、構わん!それで一の月か、二の月か?まさか三の月とは言うまいな?」
【そんなにかかりませんよ。儀式自体は簡単なものですし・・・この戦いが終わりましたら作り上げて見せましょう。】
「「何だと!?」」
え?
駄目?
遅かったか?
「もっと待たされるかと思ったぞ!優秀だな紅蓮。いや、ヘファイストス。」
「閣下、恩人に対しては・・・。」
「そうであったな、すまぬ。ヘファイストス殿。」
ちょっと驚いたが、何か本当に素直?
可愛い所もあるじゃないか。
だがそれだけこのシュタイアさんを信頼しているのだろうな。
「ああ、速くお前と一緒に戦場を駆け巡ろう!」
怪しい目で友と言っていた剣を見つめる。
ああ、この子は絶対にそうだ。
・・・バトル・ジャンキーめ。
「それで、ヘファイストス殿。修理費用はいかほど掛かるのですか?」
「そ、そうだ。費用だ!我とそなたの仲だ、勉強はしてくれるのだろうな?」
勉強と言われても相場が分からん。
こんな事ならフェイに聞いて勉強しておくんだった。
あんまり高くない設定で言ってみるかな。
【そうですね、ミスリルインゴットでのロングソードでの属性剣の作成と同じ金額で結構ですよ?】
「「っは?」」
二人の目が点になっている。
高額だったか!?
【高かったですか!?では代わりのミスリルインゴットを用意して下されば結構ですよ。】
「「っは!?」」
まだ高いのか?
でもこれは必要最低限だしな。
それに、これ以上は思いつかないんだが?
「ヘファイストス様・・・や、安すぎるのではありませんか?」
え?
安いの?
・・・不味った。
マジでフェイに相場を確認しておくんだった。
【そ、それでは使用分のミスリルインゴットと金貨十枚で結構ですよ。】
ふふん、これならどうよ?
「シュタイアよ、費用が予想の10000分の1なのだが?」
「さ、左様でございますね。」
これでも安かったのかーい!
【ああ、軍帝様には助けられておりますのでね、特別金額でございます。】
少し悔しかったので相手を持ち上げてみた。
ふ、ふん!
負け惜しみじゃないんだからね!
「むう、その呼び方は好きではない。ラヴィーネと呼ぶが良い。」
【そ、それでいかがでございますか?ラヴィーネ様。】
「もちろん、頼もう。」
「で、では金貨十枚を・・・。」
シュタイアさんから金貨を受け取る。
チャリン!
【確かに。】
「ヘファイストス様、念を押しますが前金ではないのですよね?」
【ええ、修理代金としてです、証書でも作りますか?】
「い、いえ、それならば結構でございます。」
「それでは頼んだぞ、ヘファイストス殿。」
「使用分のインゴットは後程請求して下さいませ。それでは、よろしくお願い致します、ヘファイストス様。」
【なるべく早く致しますねー。】
二人が天幕を出て行く。
ぷるんぷるんとゆれる物に目を奪われたが良いんだよ!
相場を知らなかった方が悪いんだからさ!
・・・相場の事は早めにフェイに聞いておこう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【・・・6th マーカー。】
念の為に拠点となる天幕のルーンを焼いておいた。
太陽はもうすぐお昼だと言う事を示していた。
だが、まだセリスが帰ってこない。
さすがに心配になって来たぞ?
師匠とジャスティン達が起きて来たので昼飯を御馳走しようかな。
準備をしながら皆にいろいろと話を聞いた。
師匠が言うにはタケゾウ君の実力はなんとなく分かっていたらしいのだがファムさんの実力が不明らしい。
師匠が不明と言うなんて珍しい事もあるものだ。
ちょっと注意しておこう。
その他の子達は団栗の背比べらしい。
そしてこちらからも報告を、テラサンの新種を捕縛した事を言うとラフィアが驚いていた。
「アーサー様、モンスターの学術的には大発見ですわよ?ただ、危険もあるのですわね?」
【そうなんですよ、そのおかげかまだ嫁が帰ってこないんです。】
「それだけ重要な事なんですね。ラフィア、新種の発見と言うものはどうなのですか?」
「それだけで、学界から金一封が出ますわ。今回の事は大発見と言っても過言ではありませんわ。」
【そうだ、皆さんに報告する事がまだあります。実は昨夜の戦いで、そいつを捕縛した時にアヴェンジャー・ナイトと遭遇、これを撃破しました。】
「アーサーの言っていたアヴェンジャーの上位種か?」
【そうです、ダンさん。】
「戦ってみたかったぜ!」
「そうっすね、兄貴!」
ここにもバトル・ジャンキーが二人・・・。
「それでまだ何かあるんさ~?」
【ええ、新種の個体を仮にプリンセスと呼ぶ事にして、そのプリンセスの護衛にいたんですよ。】
「坊主よ、もしかしてじゃが・・・まざーと呼ばれる個体にはそれ以上の護衛がおると言う事か?」
【覚悟をしておいた方が良いかと、ナイトは元々マザーの護衛なんですよ。そいつが地上に出る事自体無い事ですから。】
「・・・思ったより危険ですね。新人さん達はいかがしましょうか?」
「相棒、あいつらが帰れと言って帰ると思うか?」
「ダンに一票なんさ~。昨日を乗り越えたのさ~。自信を付けちゃってるはずなんさ~。」
「私としては戻って安全に過ごしてほしい所ですが・・・。」
「ラフィアの姉さん、素直には戻らないと思うっすよ?何せまだ討伐以来をこなしていないっすからね。」
【そう言えば討伐部位は何処なんですか?】
「アーサー様、テラサンだと親指の爪ですわね。」
【師匠、ウォーリアーとドローンなら問題ないんですよね?】
「実力の分からん者が一人おるが、大丈夫じゃろう。」
【ふむ、それなら今来ている単発の遭遇戦をこなして頂きましょう。】
「そうですね、軍の見回りもいるので僕もさほど危険は無いかと思います。」
「俺も賛成だ。経験にもなるだろうしな。」
「賛成なんさ~。」
「それもそうですが、現状の問題は敵がプリンセスを奪還に来る事ではなくって?」
「地下から来られると面倒っすね。」
「その対策で、鉄格子に入れて鎖で天幕の中につるしているらしいですよ。」
「それなら安全なのでしょうか?それで新人達をどう致しますか?」
【万が一の為に俺と師匠が新人さんに付きましょう。】
「そうじゃな、ただな・・・。」
「「【ゴクリッ・・・。】」」
「飯は美味い物を頼むぞ、坊主?」
ありゃま!?
おおう、師匠よ緊張感を返せ!
格好良く言ってもタイミングが悪いんじゃないですか?
まあ、いいか。
腹が減っては何とやら・・・。
【そう言えばお昼でしたね。お任せ下さい、師匠。】
「じゃあ、僕達は交代で夜の警戒を致しましょう。」
「賛成だ。」
「それでいいと思うんさ~。」
「念の為ですがプリンセスの警戒も致しましょう。」
「そうっすね、昨日はアイツにしてやられたんすからね。」
【それでは、そのように致しましょう。】
「で、坊主。飯は何かのう?」
【そう言えば、師匠。海鮮寿司を食べた事はありましたっけ?】
「寿司と言えば「鮒寿司」じゃろう?」
【ああ、それではありません。では御馳走致しましょう。】
「うむ、待っておるぞ。」
「昼からアーサーの寿司ですか、素晴らしいですね。」
「お代わりは出来るんだろうな?」
「久々の寿司っすね、食うっすよ!」
「遠慮はしないんさ~!」
「もう、皆!でも・・・私も楽しみですわ。」
こうして昼御飯に寿司を御馳走する事が決まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
公国の時と違い物資は潤沢にある。
まあ、物資を使う事は止められていないのだが。
契約書にも食事は一日に三食出ると書いてあったとラフィアに聞いたからね。
まあ、寿司なので自前で用意するのだけれど。
新人君達は眠ったばかりなので祝勝会をした時にでも握りましょうか。
・・・セリスにも食べて元気をつけてもらいたいところだ。
あまり目立っても何なので米を炊き、味噌汁を作った。
それらを持って天幕に戻ると握り始める。
もちろん食中りは怖いので、度の強いお酒で殺菌消毒したぜ!
錬金術で殺菌用のアルコールを作るチャレンジをしてみるか。
そして握って行く。
天幕の中とはいえ、平野のど真ん中で寿司を握る。
不思議な気分再び。
今回のネタは先日王国に帰った時にナナリーさんと行った朝市で買った物だ。
俺のバックパックは中に入れた物の時間が止まる仕様らしいので食べ物は痛まないのだが、一の月前の鮪とかは気分的にね。
今回のネタのチョイスは鮪の赤身、中トロ、大トロ、鯛、帆立貝柱、ボイルエビ、コハダ、イカ、サーモン、卵焼きの十貫だ。
食べ方は人それぞれなので細かい事は言わないでおいてくれ。
それに手に入るネタは変わるからね。
柵を切り、握り、作る。
下駄に盛り付けてっと。
完成!
新鮮な海鮮寿司!
師匠は食べた事が無いようだから気に入ってくれるかな?
さて、実食してもらおう。
ジャスティンから順に配り始めると目の前に置いたとたんダンとディアナは食い始めている。
いただきますも言えんのかい!
まあ、外国の人にそれを言っても仕方がないのと同じ事だよね。
見なかった事にしよう。
さあ、師匠の感想はいかに?
「ふむ、見た目綺麗な・・・坊主、これが寿司だと言うのか?」
【ええ、海鮮寿司と呼ばせてもらってますよ。】
「これだけ色鮮やかじゃと何から食すかのぅ。」
「剣聖様、私のお勧めはチュウトロですわよ。」
「ほう、それはどれだ?」
「こちらの存在感のある御寿司ですわ。」
「ほう、嬢ちゃんのお勧めじゃ。いただこうかのぉ。では・・・いただきます。」
箸で寿司を上手くつまみ上げると口へ運ぶ。
俺の寿司は刷毛で醤油を塗ってあるタイプだからね。
「むぅ、魚の生臭さが無い!しかもほんのりと米が甘い!いや、これは美味い!」
良かった、口には合ったようだ。
鮒寿司が寿司の基準だと、どうだろうとちょっと焦ったよ。
「これは良いな、では次はこの白身魚を行ってみるかのぅ。」
【それは鯛ですね。弾力のある歯応えをお楽しみ下さい。】
「ふむ、これも良い。米の甘さから少し・・・これは酢だな、そして鯛の弾力!」
【味噌汁も飲んでみて下さい。きっと驚きますよ。】
「ふふふ、楽しみよな。戦場で食事が楽しみなのはいつ以来か・・・ズズズ・・・。」
【いかがですか?】
「奥深い味、そこに乗る味噌の風味。素晴らしい、この味は何故か昔を思い出させる。」
うん、大成功っぽいね。
お?
ダンとディアナが食べ終わっているが俺が師匠の相手をしているので遠慮しているのかな?
仕方がないなぁ。
【ダンさん、ディアナさん、お代わりですね。】
「お、おう、悪いな。」
「お願いしまっす!」
早速握りに御飯を置いてある簡易厨房の辺りに行く。
「ふむ、戦場なのにこのような飯が食えるとは、幸せよな。」
「そうですね、剣聖様。アーサーのおかげで舌が肥えて仕方がありません。」
「左様ですわ、責任は取って頂かないと・・・。」
「そうなんさ~。責任は取ってもらうんさ~。」
「フハハ、お主らも狙っておるのか?」
「当然ですわ。これだけの殿方、もう見つかりませんわ。」
「そうなんさ~、見つからないんさ~。」
師匠とラフィアとアンナが楽しそうに話をしている。
寿司を握るとダンとディアナに渡す。
「ありがとうよ、アーサー!」
「兄貴、ありがとうな!」
そしてパクつく二人。
そう、戦の最中でもこんな事があってもいいよね。
師匠とジャスティン、アンナ、ラフィアもお代わりをしてくれた。
ダンとディアナがすごい勢いでお代わりをして来る。
慌てて握ったよ。
炊いておいた米が無くなったところで味噌汁も完売。
「御馳走様。」
【お粗末様でした。いかがでしたか、師匠?】
「うむ、お主といると舌が贅沢になってしまうな。」
【ではもう作らないように致しますが・・・。】
「そ、そんな!嘘だよなアーサー!?」
「それは無いんさ、アーサー君~!」
「ゆ、唯一の楽しみが・・・。」
ダンとアンナ、ディアナが、ガックリと膝をつく。
ジャスティンとラフィアも残念そうだった。
「フハハハ、士気を上げるのには良い物じゃな、坊主。」
【そうですね。これからも作りますね。】
「「「っほ。」」」
【さて、新人さん達を起こして御飯の後に見回りに行きましょうか。】
「そうじゃのぅ、時間的にはどうなんじゃろうな?」
「それでは私達は夜の準備をしておきますわね。」
「アーサー君、矢を100本くれるかな~?」
【すぐに出しますね。修理は・・・大丈夫のようですね。】
「武具の調整だけはしておきましょうか、相棒。」
「そうだな。」
「さてと、今夜は大丈夫だろうね?」
ディアナの言葉を最後に各々準備を始める。
その間に片づけを済ませる。
水は貴重そうだから今度からはバックパックにも入れておこう。
さてと、師匠も準備は整ったな。
【それでは皆さん、行ってきますね!】
「後を頼む。」
「「「気をつけて!」」」
こうして日差しのある中、新人君達の眠っているであろう天幕へと向かった。
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それでは 次話 オフディアン族の危機(仮 で、お会い致しましょう!
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