初めてのハイクオリティー
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!
執筆終わりました。
お楽しみ頂ければ幸いです。
ディアナの心配を片付けると皆がいる商業ギルドへと向かう。
さてと、どうなっているだろうか?
まあ、あの二人に任せておけば問題はないだろう。
こうやって仕事を任せられるのは良い事だね。
・・・こら、そこ!
ヒモじゃないからね?
任せてあるんだからね!
ギルドにたどり着くとアリシアさんにルイスとの結婚式について話をする。
式には来てくださると言う事でポリティスさんと一緒に連絡する事になった。
うん、一つずつ片付けていこうね。
さて、彼らはどうなっているのやら?
裁縫部屋に行くと冒険者グループがいて何やらお話し中だった。
俺の姿を見つけたタケゾウ君が窓越しに会釈をしてくる。
昨日の事で一番素直になったのはこの子だろうか。
そして部屋の中に入ると皆が起立して挨拶してくる。
「「「アーサーさん、申し訳ございませんでした!」」」
【ん?何かあったのかな?】
代表してシルビィさんが答えてくれた。
「いえ、最初に何ですけれど女性の鍛冶師だと言う事で少し偏見を・・・。」
フェイの事だから実力で黙らせたんだろうなぁ。
ん?
と、言う事は何を作ったんだろうか?
聞くとファムさんの短剣を作ったらしい。
そのハイクオリティーの鋼の短剣を見て皆、フェイにビビってしまったらしい。
今度機嫌を取らないとね。
サーラがいないのはフェイの技術を盗みにでも行ったのだろう。
「アーサーさん、この短剣ヤバイっすよー?こんなの持ってたらダイアー・ウルフなんか群れでも殺せますよ?」
まあ、エクスィ・スィデラスの元だけど第一席だからねぇ。
その子が本気で打ってる武器なのだ。
当然だろう。
「サーラさんは採寸を済ませるとやる事があると言って部屋を出て行ってしまって・・・。」
アンリさんがそう答えるとヘイム君が言ってくる。
「アーサーさんの紹介だから黙ってたんだけど女、いや、女性に作ってもらうのって聞いた事がなくって・・・なぁ?」
「そうですね。」
「そうっすね。」
「けれど、ヘイムさんの欠点を瞬時に見破ったっす。」
「ミハエル!」
【ああ、多分だけれど片手剣でも重量級のバイキング・ソードを両手持ちにでもしたのかな?】
「「「なんで分かるんすか!?」」」
【ああ、彼女にはそのぐらいの事は朝飯前だからね。】
「いや、アーサーさんはなんで分かるんです!?」
【ふふっ、何でだろうねぇ?】
「凄い人に作ってもらえるのが分かってヘイムはビビってるのよね!」
「うるせえぞ、シルビィ!大体お前だって、お、お姉様はねえだろう!」
「ふん、あんなに素敵な人が作って下さるのよ?お姉様と言わなくては失礼でしょう!」
「っけ、すぐに掌を返しやがって・・・。」
「な、何よ!」
「へん、知ってるんだぜ!おめえだって信じてなかった事をなっ!」
「なっ!?」
「何がお姉様だ、調子の良いやつだぜ!」
「何よ!」
「何だよ!」
「「ぬぐぐぐ・・・。」」
【ねえ、アンリさん。】
「何でしょうか、アーサー様?」
【俺がみるに仲が悪いのはヘイム君とシルビィさんだけのような気がするんだけれど?】
「そうですよ?」
【・・・君達は止めないのかい?】
「仲が良いほどなんとやら、なんですよ。元ですが恋人同士なんです。私達では止められませんよ。」
【あらまっ、やだっ、恋人同士だったの?】
「ええ、ヘイム君はあの事件でシルビィを助けられなかったって後悔しているんですよ?」
【それが何で仲が悪くなっちゃってるのさ?】
「簡単な事です。ヘイム君はもうあんな事は起こさせないと言ってシルビィを突き放したんです。」
【ほうほう、それで?】
「シルビィは次こそヘイム君が助けてくれるって信じてたんですよ。」
【あー、それで意見が食い違ってしまって仲違いしているのか?】
「そうなんですよ。」
【成程ねー。】
そこでシルビィさんがジャスティンのような守る騎士に憧れて冒険者に復帰したと。
反対にヘイム君は敵を屠るダンに憧れて守るより攻めると言ったスタイルにしたと。
男の子と女の子。
二人の意見の食い違いから他の仲間を巻き込んでしまっているのは頂けないかな。
まあ、二人の意見は分からなくもない。
そんな事をアンリさんと話をしていたらサーラがやってきた。
「あ、ヘファ師匠、お疲れ様です!皆さんの装備が一式出来上がったので試着の時間ですよー!」
さすが、フェイ。
鋼とはいえ早いね。
問題は何処まで出来ているのか、かな?
待っている皆の前にフェイとサーラが武具を運んでくる。
「おや、坊ちゃん。お早いお帰りですなぁ。」
【フェイの作る武具に興味がありましてね。】
「ふふ、サーラの嬢ちゃん、渡すのを頼むよ。」
「はい!」
「まずはヘイムはんからや、ハイクオリティーの鋼のバイキングソードさね。」
「ありがとうございます、フェイさん!」
「まだあるよ、特別製の鋼のチェイン・アーマー一式だ。ヘルムはクロース・ヘルムにしてあるんよ。」
「おおっ!」
見た感じ胸、肩、肘、膝と踵に補強がしてあるようだ。
新人さんにはもったいないぐらいの防具だね。
大事に使ってあげてくれよ?
「はい、ヘイムさんは着替えてくださいね。調整をしますので。」
「は、はい!」
サーラに中身の入った袋を渡されて隅に行って嬉しそうに鎧下から着替えだした。
「次は、タケゾウはん。」
「はい。」
「注文されたヤツさね。柄まで鋼だけれど、重量はどうかねぇ?」
「さあ、持ってみてね。ここで振り回しちゃ駄目ですよ?」
「注文通りの十文字槍です。問題ありません。これで色々な技も使えます。」
「それとスタッド・アーマーさ。坊ちゃんから頂いたバーベドの革製だから耐久値は問題無いはずだよ。」
「はい、タケゾウ君も隅で着替えてね。」
「はい。」
タケゾウ君のは特注品なのだろうか?
和風のスタッド鎧だった。
そう言えば注文通りのって言ってたな。
「次、ベイトはん。」
「はい!」
「弓に鋼鉄の矢が100本。それとバーベドのスタッド・アーマーやね。」
背中に背負うタイプの矢筒と腰のあたりに吊るすタイプの矢筒だった。
25本ずつ入れるのかな?
「はい、ベイト君も着替えてね?」
「はい!」
「次はミハエルはん。」
「はい!」
「バーベドの皮鎧や。」
「皆と同じく着替えてね。」
「はい!」
これで男子の分は完了かな?
次は女子のようだ。
「次は女子、シルビィはんからやなぁ。」
「はい!」
「まずは、ハイクオリティーの鋼のロングソードとメタルカイトシールド。」
「フェイお姉様、ありがとうございます!」
「それと頭はサークレットにした鋼のチェインアーマー一式さね。」
「こ、これは・・・嬉しいですね!」
「これで視界は広がっているはずや、頑張りぃ。」
こちらの鎧もヘイム君と同じでそれぞれに補強の跡がみられる。
「はい、別室があるのでそっちで着替えてね。着替えたら見せに来て下さいね。」
「はい!お二人に感謝を!」
「次、ファムはん。」
「はいはーい!」
「ハイクオリティーの鋼の短剣を二組やね。」
「ありがとうございまーす!」
「鎧はバーベドのスタッドアーマーさね。」
「うう、ハイクオリティーが着れるなんてっ!」
「はい、別室で着替えてね。着替え終わったら見せに来てくださいね。」
「はーい!」
「次はルウはん。」
「は、はい!」
「リピーティング・クロスボウと鋼ボルトを100本。」
「ありがとうございます!」
「それとバーベドのスタッド・アーマーや。」
ボルトは少し特殊でショットガンなどの弾を入れるような皮ベルトのような作りになっている。
「うわあ、夢のハイクオリティー・・・。」
「はい、同じく着替えて見せてくださいね。」
「はい!」
「次、アンリはん!」
「はい!」
「バーベドの皮鎧や。」
「はい。」
「同じく着替えて下さいね。」
「御二人に感謝を!」
手渡された人は目をキラキラとさせている。
【これで全員分かな?】
「そうやな、坊ちゃん。」
「そうですね、ヘファ師匠。」
【後は微調整ですね。】
「はい、そちらもお任せ下さいな、坊ちゃん。」
しばらく待っているとタケゾウ君から着替え終わったようだ。
「タケゾウ君、フェイの武具はどうですか?」
「素晴らしいですね、故郷にもこれだけの物が作れる鍛冶師はいないでしょう。」
おお、高評価!
フェイも嬉しそうだ。
「アーサー殿、後で付き合って下さいませんか?」
「槍ですね?結構ですよ。」
「感謝を・・・。」
そして皆が着替え終わり調整の必要が無い事を確認すると、フェイはハンマーを置いた。
その足で冒険者ギルドへと向かうとなんとオーガの牙の皆がいてくれた。
皆の訓練に付き合ってくれた。
よかったね、皆。
特に憧れの二人との訓練は楽しそうだった。
そしてその日は夕刻で解散となり各人は宿に戻っていった。
明日の出発、八時に南通りの宿屋前だと念を押して。
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次の日、いつもの宿で日課を済ませ皆と朝御飯を食べる。
今日は珍しくアセディアも御飯を食べに来ていた。
皆に見送られてフェイとサーラ、三人で南通りへ移動する。
さあ、今日は出発の日だ。
新人の皆は眠れたかな?
集合時間十五分前に到着。
ジャスティン達が待っていた。
「おはようございます、皆さん。」
「おはようございんす、皆様。」
「おはようございます、皆様!」
「おはよう、アーサー。この方が新しいお嫁さんですか?」
「ええ、よろしくしてやってください。」
「フェイと申します。よろしゅうになぁ。」
「こちらこそ、旦那様にはいつも助けられているのですよ。」
「そうだぜ、ありがとうな、アーサー。」
「むむ、でっかいのさ~。」
「アンナ!おっほん、ラフィアと申します。よろしくお願い致しますわ。」
「ディアナっすよ。兄貴には世話になってるっす。」
と、そこにシルビィさん達が登場。
「皆様方、おはようございます!」
「「「おはようございます!」」」
【おはよう、これで女性陣はそろいましたね。】
「後はあいつらか。」
「五分前に来ればいいんさ~。」
「とか言っていると到着しますわよ?」
「兄貴達、来たようだぜ?」
「おはようございます、兄貴達!」
「「「おはようございます!」」」
「これでそろいましたね?」
【ええ、それでは時間も無いので、ゲートを開きますね。】
「「え!?」」
【どうしたんですか、ミハエルさんにアンリさん?】
「ゲ、ゲートというからてっきりフェアリー・ゲートかと思いまして・・・。」
【ああ、俺のゲートで行くんですよ。】
「アーサー様って・・・。」
「ゲートの魔法って7thだぞ?」
「最初は驚きますわよね。」
【ラフィアさん、行きますよ?】
「はい、お願い致しますわ。」
【・・・7th ゲート・トラベル。】
こうして俺達は帝国へと向かうのだった。
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帝国に着くとフェイとサーラと別れる。
「坊ちゃん、武運を。」
フェイに唇にキスされた。
「ヘファ師匠、気を付けて下さいね。」
サーラにもキスされた。
ルイスのも欲しかったが時間があまりない。
仕方がないのでこのまま移動しようとすると大広間に師匠とルイスがいてくれた。
「坊主、帝国軍の練兵場に集合じゃとよ。」
【ありがとうございます、師匠。】
「・・・いってらっしゃい、貴方。」
【行ってくるよ、ルイス。】
「気を付けてね。」
ルイスにもキスする事が出来た。
これで百人力だね。
そして三人と別れ練兵場へ向かう。
歩きながら師匠の事を皆に紹介する。
「アーサーが師匠と呼ぶ程の方か・・・僕も師事して頂きたくなりますね。」
「羨ましいな、是非俺達も頼みたいぜ!」
「もう!二人とも、まずはこの戦を勝利に導きませんと!」
「そうなんさ~。」
「そうだぜ、兄貴達。」
「こ、貢献できるかしら?」
「大丈夫だってシルビィ、皆さんがいるんだからさ。」
「そうだよ、シルビィ。」
「警戒は解かないようにしましょう。負担が大きいけれど、ルウ。頼みますね。」
「任せてよ、アンリ!」
「向こうは盛り上がってますな。」
「初めての大戦だ、緊張しちまうぜ。」
「その緊張感は保つのがいいですよ、ヘイムさん。」
「ベイト、警戒は任せる。」
「はいっすよ!」
「皆さん良い緊張感ですね、アーサー。」
「そうですね、おっとそろそろ着きますよ?」
練兵場に着くと誰何される。
「貴殿達はどの部隊の者か?」
俺が代表して答える。
【セリス姫殿下直属、オーガの牙到着致しました!】
「こ、これは失礼を!左方正面に移動されよ。セリス姫殿下もそこにおられる。」
【案内感謝!】
「ふふ、なかなか堂にいった返答でしたね、アーサー。」
【慣れただけですよ。】
そんな事を言いながら正面へ歩いていく。
お?
あの目立つ白い鎧はセリスだな。
何かの確認をしているようだぞ?
騎士団の女性騎士、二人がこちらに向かってきた。
「アーサー殿、お待ちしておりました。」
「こちらで列をお作り下さい。」
【はい、分かりました。】
紅で目立つ俺と師匠を先頭にヘイム君達、シルビィさん達、オーガの牙で列を作る。
「ふむ、心地良い戦気じゃのう。」
【師匠は試し斬りが出来ればいいんじゃないですか?】
「こら、人を殺戮狂のように言うでない。」
【あはは、でもいい緊張感ですね。】
「うむ、坊主はお嬢ちゃんを優先しろ、新人の子供達はオーガの牙とわしで何とかするでな。」
【分かってますよ。嫁さんに何かあったらルイス達が怖い。】
「ふぉっほっほ、軽口が叩けるのは良い事じゃて。」
そんな中セリスが近づいて来た。
ダガガッ・・・ダガガツ!
「旦那様!いや、よくぞ参られたオーガの牙!」
皆が跪く。
新人達もそれに倣い跪く。
「ヘルシャーからの援軍、一万も戦列に加わる予定である!そして敵の予想数は一万である!貴殿らに戦の神ポレモスの加護のあらん事を!」
「「【あらん事を!】」」
「「「あ、あらん事を!」」」
ダガガッ・・・ダガガッ・・・
セリスが去っていった方向を見ていると新人達から声が聞こえる。
「い、一万だってよ!」
「どんだけ大軍なんだ!?」
「二人とも落ち着いて、俺達だけで一万と戦うんじゃない。」
「そ、そうだな、タケゾウ。」
「そうっすよ。」
「タケゾウの言う通りだ、落ち着こうぜ、二人とも!」
「「おっす!」」
ほう、タケゾウ君は落ち着いているだろうと思ったが、予想外にヘイム君も落ち着いているね。
そう言えば・・・。
小声で聞いてみる。
『師匠、師匠の知っている流派で裏玄武ってありますか?』
『・・・坊主、どこで聞いた?』
『模擬戦をした時に、そこのタケゾウ君がそう言ってましたよ?』
『・・・将軍家を守っている四大流派があるんじゃがそれの一つの事じゃよ。裏は暗殺業等を請け負う流派じゃ。』
『ほぉ・・・。』
『坊主の事だから知らんかったのじゃろうが敵意ありとみられると厄介じゃぞ?』
『敵意はありませんけどね。模擬試合をしただけですよ。』
『まあ、気を付けろ。』
『うっす。』
と、囁いていると、伝令兵が向かって来たのが目に入る。
「セリス姫殿下よりお言・・・!・・・。」
ダガガッ・・・
「セリス姫殿下よりお言葉がある!・・・!」
ダガガッ・・・ダガガッ・・・
「セリス姫殿下よりお言葉がある!傾聴せよ!」
ダガガッ・・・ダガガッ・・・
伝達人は列の端まで来ると止まり中央に向けて敬礼した。
するとセリスが肯き、話始める。
『我らの盟友であるオフディアン族を救う為の戦である!相手は数日前に破ったテラサンであるが気を抜く事の無いように致せ!油断こそ大敵である!そなた達に戦神ポレモスの加護のあらん事を!』
「「「あらんことをーーー!!!」」」
『第一部隊より出陣!』
「「「おおおーーー!!!」」」
ドン!ドン!ドン!
ジャーン!ジャーン!
第一部隊、右の方から移動するようだった。
と、言う事は俺達は最後かな?
しばらくして俺達の出陣の番になった。
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では 次話 テラサンの脅威(仮 で、お会い致しましょう!
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