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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第三幕 第四章:蜘蛛人族の脅威
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鍛錬の成果と秘技

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます。

新作の執筆が終了しました。

楽しんで頂けると幸いです。

「訓練場で模擬試合だと!?誰と誰だ?」


「オーガの牙のアーサー様とディアナ様です!」


「おいおい、新築した訓練場を壊さないでくれよ!?」


「マスター、見に行ってよろしいですよね?」


「手の空いている冒険者は全員見に行かせろ!金を払っても見れないもんだぞ!急げ!」


「「「はい!」」」


「伝声魔法で伝える事も忘れるなよ?」


「はい!」


『これより、訓練場にて、模擬試合が、行われます。・・・手の空いてる奴は見に行けやー!』


「「「おおー!」」」


っち、アーサーの野郎。


・・・頼むから壊さないでくれよな?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【ディアナはどのぐらい成長したのだろうね・・・手合わせが楽しみだ。】


「もう、アーサー様。見せ物になっているのですわよ?少しは自重を・・・。」


【だってあれだけの闘気を見せられたら応えない訳にはいかないでしょう?】


「はぁ、良いですか?私達は明後日、帝国に向かうのですわよ?」


【ええ、支障の無いように致しますよ。】


「アーサー様、私の目を見て言って下さいませ!」


【ラフィアさん、ちょっと訳ありでね。力を試したいんだよ。】


「もう!・・・はぁ、仕方がありませわね・・・思う存分やっていらっしゃいませ。」


仕方がないわねと言う感じで微笑むと俺を送り出してくれた。


【ありがとう、ラフィアさん。】


ラフィアとそんな事を話している間に反対のディアナの所では・・・。


「ディアナ、このままだとアーサー君に一歩ずつしか近づけないんさ!」


「ああ、分かってるよ!アンナの姉さん!」


「アンタはそれでいいのか~!」


「いい訳がないぜ!今日、必ずだ!必ず成果を見せて・・・いや!勝ってやる!」


「その意気なんさ~!」


「ああ、今日、アタシは最強を倒す!」


「倒すんさ~!」


「応!」


煽るだけ煽るアンナ。

そして魔道具の伝声管から声が響く。


『いいかお前ら!これが本当の戦いだ!瞼を閉じるな!見逃すな!これより始めるぞ!』


「「「おおー!!!」」」


『オーガの牙より紅蓮のアーサー対、同じくオーガの牙から格闘士ディアナ!両者中央へ!』


「「「ウワアアアァァァー!!!」」」


【ラフィアさん、あの子達によく見ておきなさいと言伝をお願いします。】


「分かりましたわ!」


「アンナの姉さん、勝って来るぜ!」


「応!行ってくるんさ~、ディアナ!」


会場はお祭り騒ぎだ。

賭けまで始まっている。

後で胴元は懲らしめてやろう。

そして中央で向かい合う。


【ディアナ、成長した姿を見せて下さいね。】


「アーサーの兄貴よ、今日こそ土をつけてやるぜ!」


「審判は俺が務めるぜ、二人ともいいな?」


「マスター自らかよ?人材はいないのかい?」


「馬鹿を言うな、お前達の戦闘に巻き込まれて無事に審判できる奴なんか限られるだろう?」


【では、お願いします。】


「両者、いいか?それでは・・・始め!」


ゼパムさんがバックステップをすると中央で膝と膝がぶつかり合う。


【ッシ!】


「ハアッ!」


体勢を入れ替え手を掴む。

そしてそのまま力比べが始まる。


【っく!】


「っぐ!?」


【ディアナ、力を付けましたね!】


「兄貴よお、何やったらこんなに力が付くんだよ!」


しかし、フィジカルで負けているので力の出し方では分が悪いはずなのだが・・・。

ステータスが上がっていてよかった。


「ふおっ!」


【なんのぉ!】


中央でガシッと力比べ。

地味な攻防だがお互いの成長を確かめ合うように組み合う。

だが均衡が崩れる。


【むぅ!?】


「兄貴、卑怯とか言うなよ?体格が大きい方が有利なんだって言ったのは兄貴だぜ?」


【そんな事は言いませんよ、実力を付けましたねディアナ!】


「目標がでかいからね!」


そのまま潰されそうになる所だったが左膝をかち上げ顎を狙う。


【ハァッ!】


「っち!」


手を放し間合いを取るディアナ。


そこを逃さず追撃をかける。

左ジャブの連打!

間合いも違うので自分の間合いにするようにすり足で近づきながら打ち込む。

だがディアナも間合いを広げずに迎撃してくる。


・・・これは俺の間合いだぞ?


自分の間合い内で上半身を振り必死に右のボディーブローを打ち込む。

ディアナの強烈な打ち下ろしの右が襲い掛かる。

それを予期していたように右にかわす。

そして空いた左ボディに右拳を打ち込む。


「効かないよ、兄貴!腹は徹底的に鍛え上げたんだ!」


そうなのだ、岩を殴っているような感触しかない。

これは気合を入れないとやばいかな?

とか考えていると一歩、左足を下げられて間合いを広げられた。

しまった。


これでディアナの間合いになってしまった。


「ッシ!」


重量級のディアナのジャブが飛んでくる。

何とか手で受け流しいなす。

開いてしまった分こちらの手の攻撃が当たらなくなってしまった。

牽制のジャブで距離を測られたのだろう。

身の毛もよだつ右ストレートが飛んでくる。


【っく!】


「避けているだけならいつか捕まえてやるぜ!」


そう、ジリ貧だ。

こうしている間にもディアナの攻撃は激しさを増す。

右の大砲から、左のローキック、そして間合いが詰まると左の牽制。

俺は右の大振りに合わせて間合いを詰め、腹に右を打ち込む。

こんな神経の磨り減るような作業をしている。


将来は剝げないだろうな?


そんな馬鹿な事を考えていると間合いを詰めたスキに頭を、髪の毛を掴まれそうになった。

頭を振って何とかかわす。

掴まれたら膝の連打が来るだろう。

だが、攻略方法が無い訳ではない。


地道な作業を繰り返しディアナの攻撃をかわす。


「っく、あれだけ鍛えたんだ、今日こそ!」


【ディアナ、前より速度が落ちていますよ。】


「そんな馬鹿な事は!」


【攻撃力、筋力に注目したのは良い判断ですが筋肉を付けすぎましたね。】


「何だって!?」


【威力の上がった攻撃も筋肉が邪魔をして速度が下がっているんですよ!】


「兄貴よ、そんな事は対策済みだぜ!」


【ならば、その対策とやらを見せて頂きましょうか?】


「いくぜ!・・・スウウウゥゥゥ~!」


するとどうだろう。

本当に速度が上がってきた。


【ほう、速度が上がりましたね。】


「そうだ!対アーサーの為に鍛えに鍛えて来たんだ!」


【良い気概です。受けて立ちましょう、ディアナ!】


さて、ディアナの速度上昇はどんな事をしているのかなっと。

しばらく打ち合っていたのだが・・・。

ん?

何か苦しそうだぞ?

・・・顔が紫に。


ああ、成程!

無酸素運動で無理やり速度を上げていたのか!

それで酸素欠乏症チアノーゼが出ていると言ったところかな?


「ぶはあっ!」


さすがに耐えきれなくなったのだろう、ディアナが後退する。


【スキですね!】


顔は上がってしまったので間合いを詰め腹に連打を打ち込む。


「ぐほっ!」


【ディアナ、それは逆効果ですよ!】


「ま、まだまだっ!」


突然飛んできた膝蹴り。

速度がのっていれば脅威だっただろう。

だが今の状態ではね。

前進しながらかわす。


「なっ!?」


俺の間合いだ。

左ジャブを連打!


「っく!」


ディアナの右手を防御に釘付けにする。

そして空いている左ボディに右を打ち込む。


「ぐふっ!」


ディアナには悪いがこのあたりで詰めておかないと何があるかが怖い。

たまに来る攻撃をいなし空いている腹に打ち込む。

そして段々とディアナの体がくの字になって来た所を・・・。

あれ?

目が死んでない!


ディアナの目がギラリと光ったような気がした。


踏み込んでしまった。

何かが来る!

ヤバイ!

最大警戒!


パアーン!


猫だまし!?

食らった!?

不覚!

ディアナにしては予想外の小技を?


一瞬だが目を潰された。


そして下から威圧感たっぷりの右膝が飛んでくる!

その膝に手を当て勢いを殺し何とかその攻撃をかわす!

体が浮いてしまった!

なんて蹴りだ!?


その蹴りをかわしたと思ったところで危険を知らせるアラームが頭の中に響き渡る。

膝蹴りを受け流した体が浮いて体勢が十分ではない。


これは、よけ、いや、ガード!?


『我流・龍の顎!』


一瞬の判断。

威力の高いのは上顎に見立てた右拳だと思った。

ガードを!

だが危険を知らせるセンサーはまだ鳴りやまない!

そして逆側からもほぼ同時に下顎にあたる掌打の攻撃を食らう。

当然ながらその攻撃にはガードは間に合わなかった。

まともに食らう。


ドゴッ!


【ゴフッ!】


ドサ、ゴロゴロ・・・


「ハァー、ハアァーッ・・・ど、どうだ!兄貴!」


盛大にガッツポーズをするディアナ。

そして動かない俺。


「「「ウワアアアァァァーー!!!」」」


俺のダウンに会場からは割れんばかりの大歓声!


「アーサー様!?」


「ディアナの奴、マ、マジでやったんさー!」


「ディアナ、下がれ!数えるぞ!10~、9~・・・。」


「立てねえはずだ・・・凄い手ごたえだったんだ。」


「ディアナ!やったんさ~!」


「お、応!」


「8~、7~・・・。」


「立ち上がってくれるなよ・・・?」


「6~、5~、4~・・・。」


ディアナが勝ちを確信したように右拳を突き上げる!


「「「ウワアアアァァー!!!」」」


「今度こそ一本取ったぞ!」


【・・・いやあ、やられましたよ。まさか空中に体が浮いた動けない状態からの攻撃。二連撃、いや二撃同時ですか?】


「おいおい・・・兄貴よぉ。無理しないで、寝てていいんだぜ?」


【見事な技を見せて頂きましたのでお返しをしませんとね。】


カウントの残り2で立ち上がってみた。


だが・・・。

膝が笑っている。

視界もぼやけ、耳が遠くなっている。

過去、こんなに凄い攻撃を食らった事はない。


「「「ウワアアアァァァーー!!!」」」


「立ち上がったぞ!」


「まだまだこれからだ!」


「ディアナさん、あと少しだっ!」


「アーサーさん!」


観客から声援が飛ぶがダメージのせいで俺には雑音にしか聞こえない。


「・・・本当かよ、兄貴?」


【さて、続きです。】


「立っているのがやっとに見えるぜ?」


【兄貴なのだから格好つけるものなんですよ?】


「アーサー・・・やるんだな?」


ゼパムさんに聞かれ大きく肯く。

こんな事で止められたくないしね?


【うっす、やれますよ。】


「続行だ!」


「「「ウワアァァーーー!!!」」」


「っく、凄い手応えだったのに、何でだ!?」


【ディアナ、今の技は素晴らしかったです。ですが胸を御覧なさい。】


「胸?・・・なっ、掌の痕!?」


【そう、そこに打撃を入れ体を後ろにずらしました。その少しのずれが俺を立たせたのですよ。】


「・・・そうか、さすがアーサーの兄貴だ!それでこそ倒し甲斐がある!」


そして間合いを詰めてきた。

好機とみて俺を倒そうと必死に拳と足を繰り出してくる。

それを何とかよけ、いなし、呼吸を整える。


【ディアナ、これから見せる技を・・・もし習得出来るとすれば、いえ、まずは体感して頂きましょう。】


「いいね!そう来なくっちゃ!」


【では、行きますよ!】


足元がおぼつかない。

だけれど、まだ壁になっていてあげないと。

ディアナは・・・この娘はまだまだ伸びるからね。

しかし我流であんな技の組み立てをしたなんて凄いじゃないか。


「オルァッ!」


重量級のディアナの左ジャブが俺を襲う。

足はまだ回復していない。

少しはっきりしてきた意識でそれをいなす。


「っく、さっきから!受け流しじゃないね?何だいそれは!」


【教わるより慣れろ。貴女に贈る言葉です。】


「っく!」


我流ながら身に着けた最大の攻撃の組み立てを受けて立ち上がって見せたのだ。

彼女の動揺はいかほどだろうか?

だが、そんなもので満足していては駄目だ。

君はもっと強くなれるんだから。

雑になって来た攻めを何とかしのぐ。

足も言う事を聞くようになってきた。


・・・行こうか。


【ディアナ、行きますよ?】


「っく、来れるもんならやってみろ!」


この体で何処までやれるかな?

だが、ディアナはここまで出来るようになったんだ。

そろそろ()()()()()を見せてあげないとね。


【フオォッ!】


「速いっ・・・効いていないのかい!?」


一瞬で間合いに入り肝臓打ちを連打する。

嫌がるように右のガードを下げるディアナ。


【ガードが下がりましたね!】


「攻撃だ!攻撃をしないと!」


【追い切れてませんよ?】


「速いだけなら!」


ディアナが両腕で頭をガードしだした。


「腹に打ち込んで来たら捕まえてやるっ!」


【捕まえられますかね?】


「いつでも来い!」


【その誘い、乗って差し上げましょう!】


ディアナは動かない。

動きに翻弄されないようにだろうか?

良い判断ですね。

ディアナの正面に立つ。


「フーッ、フーッ・・・兄貴?」


彼女が強くなる事をやめないように。


【初公開です。受けてみなさい。】


そして、先程の攻撃を称賛するように。


「今度こそ、今度こそ、反撃で沈めてやる!」


本気の一撃を。

更に高い壁になるようにっ!


【よく見ていなさい・・・行きます。『瞬動!』】


一瞬で懐に入ると右の掌を腹にそえる。


「速え!だが腹への打撃なら耐えて見せる!」


腹に力を入れて耐えようとするディアナ。

だけれど・・・。


大地から、足を通して勁を発生させ、接触面まで導き、作用させる。


力は骨より発し、勁は筋より発する。


【拳術の真髄を受けなさい!『発勁』!!!】


二度目だ。

一度目は試練の時。

俺の分身に使った。

人に使うのは、見せるのは初めてだ。


フォン!


・・・通った。


「何も来ない?」


【っく、先程のダメージが・・・。】


膝をつく。


「兄貴?」


!!!ズシン!!!


不可視の衝撃がディアナを襲う!


「ふぉ!?・・・ゴフッ!」


ディアナが白目をむく。

そう、これには耐えられる訳はない。


ドサッ・・・


ゆっくりとディアナが膝から地面に倒れる。


【ディアナ、貴方はもっと強くなりますよ。精進なさい。】


ゼパムさんが動かないディアナに駆け寄ると慌てて声をかけてくる。


「アーサー!?ディアナに何をやった?いきなり倒れたぞ!?」


ギルドマスターのゼパムさんでも分からなかったか・・・。

まあ、見切れる人はいないのではないのだろうか?


【『勁』を通しました。しばらくは立てないでしょう。】


「けい?・・・命に別状はないんだな?」


【大丈夫ですよ、しばらくすれば目を覚まします。】


「そうか・・・ああ、完全に伸びてやがるな、続行不可能とみなし、勝者、アーサー!」


「「「ワアアアァァァーーー!!!」」」


「すげえ、これが頂点の戦いか!」


「最後のは何だったんだ?」


「あのディアナさんがぶっ倒れたぞ?」


「流石は紅蓮の英雄と言ったところか・・・。」


ほら、ディアナ。

寝ている場合ではないですよ。

俺も思い知ったんです。

更なる高みがある事を。

高み合える人がいる事の楽しさを!


貴女にもそれが分かりますよ。


きっとね。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

さて、格闘戦の文面を書いてみましたが・・・。

難しい。

Youtubeとかで色々と見て自分ながらに咀嚼してみましたが、その緊張感などが上手く読者様方に伝わっているか?

中々に難しい所です。

更に精進を続けたいと思います。

それでは 次話 模擬試合、その後(仮 で、お会い致しましょう。

お疲れさまでしたー!

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