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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第三幕 第四章:蜘蛛人族の脅威
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蛇人族の使者

いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!

執筆終了致しました。

お楽しみ頂ければ幸いです。

使者の来ていると言う謁見の間へと急ぐ。


謁見の間に着くと話は始まっているようで、緊迫した空気が流れていた。

うーん、予感が当たっちゃったかな?

そんな事を考えながら部屋の中に進む。

セリスに言われた位置に立ち、話を聞く事になった。

騎士団の団長であるセリスは前方の自分の立つ位置に移動していった。

そう言えば帝国には騎士団は何個あるんだろうね。


っと、使者の話に集中しよう。


「ソレデ、エングン、ダシテイタダケルカ?」


「他ならぬ蛇人族の長である『ナーブ』殿の頼みである。援軍を出そうではないか。」


皇帝陛下が返答している。

使者さんは片言ではあるが供用語を話しているようだった。

この世界だと知能は高いようだ。

ゲームだと「シャー!」とか訳の分からない言語を使っていたからなぁ。

でも、テラサンを倒していると友好度が上がってクエストを受けたりも出来るようになるんだよね。


着いた早々だが、気になる事が一点、何故か蛇人族が話を急いでいるような印象を受けた。


「ドノグライ、ダシテクレルカ?」


「リョダリはどうか?」


「リョダリ騎士団、防衛兵力を除けば2000名行けます!」


「パンティラスはどうか?」


「パンティラス騎士団、御命令とあれば2000名出撃できます!」


「ふむ、アグリオガタはどうか?」


「アグリオガタ騎士団、2000名。いつでも!」


「カミラはどうじゃ?」


「カミラ2000名、二日あれば動かせます!」


「アロゴは?」


「アロゴ騎士団、2000名。準備の整い次第すぐにでも!」


「最後に・・・トゥリアンダフィリャ。」


「近衛以外であれば500名の動員が可能です。」


セリスがキリッとして答える。

今の話だと帝国には最低でも六騎士団あるみたいだね。


「使者殿、3日あれば10500名の援軍が可能だ。いかがか?」


「スグニデモホシイ。オネガイスル。」


「うむ、報酬はいつものように、では各将軍。3日後10時を出発の時間とする・・・目指すはアラフニ平野!」


「「「っは!」」」


「はっはっは、陛下、今回の戦も勝たせて頂きましょうぞ!」


「パトリオティス将軍の言われる通り!」


「我らの勝利、疑うことなかれし!」


「「「疑うことなかれしっ!!!」」」


「「「わあああぁぁぁ!!!」」」


「どうだ、使者殿。我が軍は指揮も旺盛、御満足頂けたかな?」


「・・・ソレデハ、オネガイスル。」


そう言うと使者達は足早に下がっていった。


「دع دمارنا ينمو. دعونا نأمل في تعزيزات من الجنس البشري ...」

(我々の滅びが伸びればよい。人族の援軍に期待しようではないか・・・。)


最後に物騒な事を蛇人族の言葉で呟いていた・・・。


オフディアンの見かけは頭が蛇、体は人間で両腕がある。

そして下半身は蛇と言う見かけは怖いのだが友好的になれば信頼できる種族だ。

ゲームでは相反するテラサンを倒す事でその友好度を上げられた。

そしてなんとこの種族は金鉱脈のある山などを住処としているのである。

十中八九、報酬とはこの金の事であろう。


逆にテラサンは上半身が人間っぽくあり、下半身が蜘蛛なのである。

こちらは雑食で何でも食べてしまう。

好みは人族や獣の肉だ。

ゲームでは話し合う事はできなかった。

この世界でも多分そうなのであろう。


しかし、テラサンか・・・。

アイツが出ていればオフディアンのナイト級でも勝てないだろう。

一方的に蹂躙されてしまうのではないだろうか?

もしこの感が当たっていたら?

セリス達だって危険ではないのか?


・・・俺が呼ばれた訳が分かった気がした。


陛下は将軍達とともに軍議を行う部屋に移動したようだ。

さてと、戻ろうかなと思っているとセリスに脇を固められた。


「旦那様、意見があれば言って下さいね?」


【俺は将軍ではないのだが?】


「何を言っているのですか!旦那様は私を守っては下さらないのか?」


ウルウルと見つめられる。

くう、これは分かってやっているな。


【セリス、陛下に言っておいてくださいね。この貸しも大きいと。】


「かしこまりました、旦那様!」


こうして軍議に参加する事になってしまった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


まあ、まずは敵の数などを聞いておいた方がいいよね。


と、言う事で軍議に参加したのだが・・・。

何故か各将軍ともに正面からの突撃で蹴りがつくような事を言っている。

ちょっと危なくないか?

そう言えばこういう場合は軍師さんとかのまとめ役がいるんじゃないのだろうか?

・・・見当たらないな。


「それでは数で押せば倒せると?」


「その通りでございます、陛下。味方の被害も少なくて済みましょうぞ!」


「パトリオティス将軍の言う通りでございます。」


「ふむ・・・。」


と、セリスに袖を引っ張られる。

意図を汲み取ると手を上げ、意見を申し出る。


「我れらが婿殿には、何か意見がある用だぞ?」


【失礼、前回の戦いで敵に痛撃を与えたと聞きました。前回の戦いからどのぐらいの日にちが経っているのでしょうか?】


「確か三十の日ほどの時間が経っているはずだ。」


【テラサンの繁殖能力を舐めない方がよいかと思われます。それにもし、上位種の復讐者アヴェンジャーがいた場合、戦いの難度はこれまでの比ではありません!】


「これまでも、そのいもしないアヴェンジャーとやらの影におびえて消極的な戦いしか出来なかったではないか!」


「しかり!いもしない敵の影に怯える事こそ戦士の恥!」


「セリス様が輿入れすると言うのに、臆病すぎるのではないか?」


【私見で申し訳ありませんがオフディアン側の使者の態度が気になります。】


「どこが気になるというのかな?」


【一万五百名の大軍を率いると言っても喜んでいませんでした。まるでその数の我らが・・・滅びるのを待っている、俺にはそんな気さえしました。】


最後に危ない事を言っていたしね・・・。


「「「ザワザワ・・・」」」


「それでは、ヘファイストス殿は危険と判断すると?」


【はい、この二日のうちになるべく正確な情報を手に入れるべきです。】


「うむ、ならば、アロゴから斥候を出そう。200程出せば納得して下さるかな?」


【十分です、お願いします。】


「ならば手配致そう。」


そう言うとアロゴ騎士団長は副官らしき人に手配をしているようだった。

・・・駄目だ。

これでも嫌な予感が消えない。

どうしたらいいだろうか?

セリスのほうを見ると何か策があるのだろうか肯いてくれた。


勢いよく前に一歩出ると意見を述べる。


「皇帝陛下に申し上げます。幸いにも今はフェアリーゲートが使えます。そこで私からの提案でございますが、我らが盟友国、軍事国家ヘルシャーへの援軍を提案致します!」


ヘルシャー!?

他国に援軍か!

そうだ、数が多い方が有利だ。

しかも軍事国家を名乗る国の援軍だ。

と、否定的な意見が・・・。


「馬鹿な!セリス様何を言っておられるのか!?」


「そうだ!国内の事を!ヘルシャーに恥をさらせと言うのですか!」


「もし、旦那様と私の思っている最悪な事が起こっていれば数が圧倒的に足りないかと思われます。陛下、是非援軍の許可を!」


「何を言って・・・ヘファイストス殿はこの地の戦を知らぬ者ですぞ?」


「そうだ!この上、更に他国にまで恥をさらしてどうするのだ!」


ここは俺も言っておかなければいけないところだろうな。


【恥だけで済めば良いではありませんか!私は王国の惨劇の経験者です。その惨劇と同じ事を帝国にまで起こさせたくはありません!】


その言葉を陛下が聞くと俯く。


「王国の惨劇か・・・。」


「「「陛下?」」」


しばらくすると、顔を上げる陛下。

その顔は決断したと言う王の顔だった。


「ヘファイストス殿の言、もっともである。我はその心配が今回も杞憂に終われば良いと思うが・・・皆はどうだ?」


「むう、陛下までがそう言うのであれば・・・。」


「我らに反対する意見などありませんな。」


「ヘルシャーへの報酬はいかがなさいますか?」


「いつものように、小麦を主に食料と燃料を渡せばよかろう。」


「決まったようだな・・・セリスよ、ヘルシャーへの使者を任ずる。」


「ははっ!お任せ下さい。必ずや援軍の約束を取り付けて見せます。」


「期日は少ないぞ?ノモス侯爵をつける。見事役目を果たせ!」


「早速行ってまいります!」


そう言うとセリスは俺に目配せしてから部屋を出て行った。

その目は安堵していたように思えた。


アヴェンジャーが複数いるであろう場合の為、師匠にも戦場に来てもらえると心強いのだが・・・。

後で相談してみよう。

念の為に王国にいる彼らにも話をしてみよう。


そうしてまとまったところで軍議が終了した。

部屋に戻ろうとしたところで皇帝陛下達に呼び止められた。

各将軍もいる。

うーん、好き勝手な事を言ったから怒られでもするのだろうかね?


「それで、ヘファイストス殿。そなたの不安の件を我らに話してはくれまいか?」


どうやら違うようだ。

皇帝陛下にはバレてるっぽいけどね。


【それはオフディアンの使者が最後にこう言っておりました。『我々の滅びが伸びればよい。人族の援軍に期待しようではないか・・・。』と。】


「なんと!?」


「「「ザワッ・・・。」」」


【率いるのは帝国の精鋭一万五百名もの大軍です。好条件を提示したのに最後のつぶやき・・・。」


「そんな事を言っておったのか?」


【ええ、間違いなく・・・。】


「「「・・・。」」」


【これは予想外の何かがあったとみるべきだと思います。その為のヘルシャーの援軍です。】


「成程な・・・ヘルシャーならば・・・。」


【後ですが私の伝手で援軍を頼んでも?】


「構わん。何処の援軍だ?」


【冒険者、『オーガの牙』です。】


「オーガの牙!知っているぞ!」


「ああ、公国の悪魔族退治に一役買ったと言う・・・。」

 

「王国の惨劇の時もだな。」


「それは心強いが・・・。」


「今からでも間に合うのか?」


【間に合わせます、ただ彼らは冒険者です。十分な見返りをお願い致します。】


「構わん。この際、恥がどうのとは言っておれん状況になりつつあるようだしな。」


「そうだ、万が一の為に残る部隊に警戒態勢を取らせるべきだな。」


【皆様に感謝を。それでは明日になりますが話をしてきます。】


「頼んだぞ、ヘファイストス殿。」


「オーガの牙の件、頼むぞ!」


そう言われると部屋を後にする。

陛下と将軍さん達は平野の精査などをしているようだった。


そして明日から数えての三日後・・・俺達はその予感が当たった事を思い知る。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


部屋に戻り就寝の支度をしていたのだが何かを忘れているような気がしていた。


うーむ、何だったろうか?

と、思い出そうと必死になっていると部屋のドアがノックされた。

ルイス達なら眠っている時間だよね?

偵察の情報もさっき出たばかりだろうし・・・。


【はーい、どちら様ですか?】


扉を開けると妖艶な顔をしたフェイがいた。

そう言えば!


「坊ちゃん、忘れてたんじゃないだろうね?」


【も、もちろん、忘れてないよ!】


危ない、忘れてたよ。


「・・・まあいいさ。それじゃあ可愛がっておくれよ、もう待てないんだ・・・。」


その艶っぽい視線が俺を捕らえて離さない。

肉食獣のような目つきのフェイがそこにいた。

風呂上がりのその体からは良い匂いがする。

そしてもうあふれ出しているその妖艶なオーラ。

いやぁ、世が世なら何人の男を虜にしていたのだろうか・・・。


【フェイ、身支度をします。少し待ってむごっ!?】


部屋に入ってくるなりベッドに押し倒された。


「もう我慢が出来ないと言いましたよね、坊ちゃん?」


【けど汗で汚いよ?】


「それが女を、ウチを興奮させるんだよ!」


どうやらこのまま夜戦に突入するらしい。


【分かりました、貴女の好きなように。】


「ああ、やっと・・・やっとこの逞しいものを味わえるんだね!」


期待には応えるように全力で臨もう。


こうして夜は更けていった


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


朝、目を覚ます。


体内時計が六時に起きる事を強要しているようだ。

もう少し眠っていたい。

隣で眠っているフェイを見るとその顔は満足げだった。

ふふ、仕方がない。

日課をしますか。

ベッドから起き上がると、裸だった事に気付いた。

さすがにと思い身だしなみを整える。

支度を整えると昇って来る朝日に向かい祈りをささげる。


「『アリステリア様』本日も御加護のあらん事を。」


こうして俺の一日は始まる。

フェイを起こさないように厨房に向かう。


【ふぁっぁぁ・・・。】


珍しく欠伸が出た。

ふむ、体は睡眠を欲しているようだ。

けれどする事があるんだよね。

まずは師匠に会って戦う事を受け入れてもらおう。

そしてオーガの牙の皆に援軍を頼む。

今日のところはこの二つかな?


特にオーガの牙の人達には急な依頼なのでなるべく早めに言いに行かないとね。

予定が空いていれば皆は大丈夫だろう。

鍛錬にもなるしね。


厨房についた。

おや、アレは・・・師匠じゃないか。

ちょうど良い。

戦の援軍を頼もう。


【おはようございます、師匠。】


「おはよう、坊主。」


【朝から申し訳ありません。師匠に頼みたい事があるのですが、話してもよろしいですか?】


「おう、何じゃ?」


【実は、帝国がオフディアンとテラサンの闘争に巻き込まれるらしくてですね、援軍の要請があったんですよ。】


「ほう、昨日の夜の件じゃの?と、言う事は参戦せよとの話かの?」


【はい、師匠の予定は分かりませんが、新しいカタナの試し斬りにもいいかと思いまして・・・。】


「坊主、それだけではあるまい?」


【見透かされてますね、ここだけの話ですが、敵にアヴェンジャーが出現している可能性があります。個としての師匠の力をお借りしたく。】


「おう、構わんぞ。アヴェンジャーとは強敵なのか?」


【ええ、俺としては対アヴェンジャー用に俺と師匠、そして冒険者オーガの牙をあててみようと思っております。】


「ほう、オーガの牙か。噂には聞いておるぞ、()()()()()()()と活躍したそうじゃないか。」


【師匠、分かってて言っているでしょう?】


「クハハハ!まあよい、その頼み引き受けよう。一般市民に害はないのだな?」


【平地での野戦になるらしいのでその心配はないと思います。】


「散るのは軍人だけでよいじゃろう・・・。」


【そうですね。今回はセリスが出陣するようなので側にいようと思います。】


「それでええ、嬢ちゃんを守るのを第一に考えよ。」


【はい、それでですね、アヴェンジャーがいると仮定してその強さです。】


「興味があるな。『無明』には強敵こそふさわしい。」


【もう名付けしたんですか?】


「むろんじゃ、こんな一品に名前を付けん方がおかしいじゃろう?」


【っと、それでですねその鎧ともいえる甲殻が鋼と同じ硬さです。さらに二腕の攻撃力は馬鹿にできません。それで、テラサンのやっかいなところは地面からいきなり出てくる奇襲ですね。】


「ふむ、特殊攻撃はどうか?」


【レベル四の毒を使うのと魔法です。7thまで使ってきます。】


「ほう、やっかいじゃのう。」


【ええ、それで師匠にはポーションを渡しておこうかと思いまして。】


中級回復ポーションと最高級の高品質解毒ポーションを五つずつ渡しておく。


「ありがたく頂くぞ。必需品の『オレンジの花弁』は持っているがレベル四の毒ともなると心もとないからのぅ。」


オレンジの花弁はゲームの時ではレベル三までの毒を無効化できるという優れものだった。

欠点としては効果時間が短い事と四以上の毒となると運しだいになるところだった。


【それと俺の悪い予感が消えなかったので、セリスがヘルシャーにも援軍を頼むように進言しました。】


「坊主、その感覚は大切にせよ。何事も生き残ってこそじゃぞ?」


【それで今朝だと思いますが、セリスが使者としてヘルシャーに行っております。】


「適任じゃな。それで戦はいつからかの?」


【三日後に出発の予定です。アラフニ平野と言う事なので野戦になるかと思われます。】


「この地の戦は知らなんだが野戦でも遅れは取らぬ数ならばよいな。」


【その為、斥候として200名の協力が得られました。早ければ明日の夜にでも情報が入って来るでしょう。】


「うむ、ところでな、坊主・・・腹が減ったぞ?」


【ええ、御馳走致しますよ。お礼と言う訳ではありませんが、久しぶりに焼き鮭なんかいかがですか?】


「ええのぅ、皮までパリっと焼いてくれよ。皮の素朴な味も好きなんじゃ。」


【酒の肴ではないので朝からは駄目ですよ?】


クイッと酒を飲むジェスチャーをする。


「うむ、我慢しよう。」


こうして師匠と一緒に朝御飯を食べた。


もちろん食事中は敵となるテラサンの事が話題になった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


師匠と別れるとリターンで王国の噴水広場まで戻ってきた。


さてと、皆とも会いたいけれど先に要件を済ませてからだね。

赤いフードを被り、やってきました南通り。

オーガの牙の拠点となっている宿屋の前。

皆と会うのは久しぶりだな。

そう言えば魔獣退治をやっているとか爺さんに聞いたような・・・。


あれ?

もしかしていなかったりする?

慌てて入り口を潜る。

俺の心配をよそにいつもの席に皆がいた。


「アーサーではありませんか!久しぶりですね。」


「お、アーサーだ。」


「アーサー君なんさ~!」


「アーサー様?」


「よう!アーサーの兄貴!」


【皆さんは変わらず・・・いえ、成長しましたね。】


それぞれのたたずまいが整っている。


「アーサーこそ、帝国での噂は聞いているよ。」


「ああ、なんでも姫様と婚約したとかなんとか・・・?」


「これで、アーサー君も権力者なんさー。」


「アンナ、アーサー様はそんな人ではありませんわっ!」


「姉さん達、そのまえに言う事があるだろう?アーサーの兄貴よぉ、ちょっと相談に乗ってくれねえかな?」


「そうです、アーサーに相談があるんですよ。」


【俺も皆さんに相談がありまして。】


「「【んっ!?】」」


何か用事があるようだ。

何だろう?


【では皆さんの方から伺いしましょうか。】


「済まない、実は皆の武具の再調整をお願いしたいんですよ。」


【ふむふむ。】


「そうなのですわ。特にジャスティンとディアナの防具がまずいのですわ。」


【・・・え?そんなにまずいの?】


「ええ、身長が伸びたのと筋力が増したので合わなくなってしまったのです。」


ちょっと待て。

そう言われるとジャスティンとディアナの身長がでっかく・・・。

・・・羨ましくなんかないぞう!

グスン。


【それはまずいですね、至急対応しますよ。】


「済まないね、アーサー。」


「頼むぜ、兄貴!」


「それで、アーサー様の相談とは何でしょうか?」


【えっと、今訪問しているクヴァール帝国で戦闘があるんだけれど来てくれないかなって・・・。】


「構いません、むしろお願いしたいですわ!」


ラフィアが食いついてきた。

この食いつきは何かあったのだろうか?


「アーサー君、聞いてくれるかな~?」


【俺でよければ聞きますよ?】


「実は妹分と弟分のパーティーが出来たんだがな。それがしつこいのなんのってよぉ・・・。」


ほう、ダンまで困っているとは・・・どんな人達なのか気になるね。


「妹分はジャスティンの兄貴信奉者でさ、弟分はダンの兄貴信奉者なんだよ。」


「それで付きまとわれて困っているのですわ。」


「可愛い妹分に弟分じゃないですか。そんな事を言っては駄目ですよ。」


「良い事、ジャスティン。あの子達のせいで討伐個体の魔獣狩りが何日延びたか分かっておりますの!?」


「それは、そうかもしれないが・・・でも結果的に無事に済んで良かったじゃないですか。」


「ジャスティン~、撤収が五日伸びたのは良くない事なんさ~!」


「そうですわ!ただでさえいっぱいいっぱいの報酬なのに、あの子達の面倒も見て・・・赤字ですわよ。」


「赤字なんだぜ。」


「ディアナ、それをお前が言うのは・・・。」


「ディアナの食費はお小遣いから引いておきますわね。」


「姉さん!そりゃーないぜ!」


「そう言う訳で装備が調整できればいつでも参戦するよ。」


「アーサーよ、相手は何処のどいつだよ?」


【相手はオフディアン族を脅かしていると言うテラサン族です。ただ、今回はテラサン・アヴェンジャーのいる可能性が否定できません。】


「「「アヴェンジャー?」」」


「ふう、貴方がたはもっと勉強が必要ですわね。テラサン・アヴェンジャー、甲殻は鋼以上、それに今回は特効はありません。バルロンデーモン以上に強敵ですわよ?」


「どんな敵なんだい?」


「その名の通り上半身は人間、下半身は蜘蛛のようになっている・・・完全に『敵』ですわね。」


「「敵」なんさ~?」


「ええ、オフディアンと違い話し合う事は出来ず、人間も含め食料という認識ですわ。」


「へえ、まだまだ知らない敵がいっぱいいるんだね。」


「ディアナは・・・それで注意すべき点は地面ですわ。」


「「「地面?」」」


「地面に罠を張り足元から襲ってきますの。奇襲される事が多く安全に倒せるとは限りませんわ。」


【情報としてですが痛撃を与えてから三十の日にちが経っているそうです。どうもその時にもアヴェンジャーは出てこなかったらしいですね。】


「・・・何か・・・この時を待っていた?いえ、考えすぎですわね。」


【いや、ラフィアさん。俺もその意見に賛成なんですよ。】


「アーサーとラフィアが言うなら可能性は高いと僕も思います。」


「俺もだ。今回も気は抜けないな。」


「そうなんさ~。アーサー君の持って来る依頼には優しい物はないんさ~。」


「だけれど、今度も食い破ってやるぜ!アタシ達、オーガの牙がさ!」


【心強いですね、それで進軍ですが、本日を含め三日後の十時になります。皆さんは支度をして待っていて下さい。それと報酬は帝国から出ます。】


「楽しみにしておきますわ、アーサー様。」


ん?

話が終わったとみると二人のフード付きマントの人物が宿を出て行ったぞ?

他の皆は気づいていないようだ。

いや、アンナだけは気づいたみたいだ。

さすがの斥候スキル持ち。

心配ないのかこちらにウインクしてくる。

まあ、大丈夫ならいいか。


【じゃあ今日はジャスティンさんとディアナさんの武具を調整しましょうか。それと他の皆さんの武具の修理などもしておきましょう。】


「「アーサーに感謝を!」」


「ありがとうなんさ~。」


「感謝致しますわ、アーサー様。」


「ありがたいぜ、兄貴!」


こうして皆で商業ギルドへと移動した。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

では 次話 二つの冒険者パーティー(仮 で、お会い致しましょう!

それでは、お疲れさまでした!


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