高め合う事が出来ると言う事
いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!
執筆終了致しました。
お楽しみ頂ければ幸いでございます。
次の日の朝、目を覚ます。
ベッドにはセリスが眠っている。
昨日も無理をさせてしまった。
静かにベッドを抜け出したつもりだったのだが気配に気付きセリスが起きてしまった。
体は大丈夫だろうか?
【セリス、昨夜は大丈夫だった?】
「旦那様は、相変わらず・・・意地悪なのですね。」
【それはセリスが可愛いからですよ、ついつい虐めたくなります。】
「旦那様は意地悪いのです!」
【ふふ、赤い顔で言われてもなぁ。ほら、朝御飯を食べよう。】
「旦那様、スタミナポーションを分けて下さらないだろうか?」
【これですね。どうぞ・・・ん?どうかしましたか?】
「いつものように・・・飲ませて頂けないだろうか?」
【仕方ないですね、セリス。では・・・。】
口にポーションを含むとセリスの顎を上げキスをしてのみ込ませる。
しばらくしてセリスが起き上がるとルイスを誘い厨房へと向かう。
今日はルイスにバレる事は無かった。
ちょっと安心。
朝御飯にベーコンレタスサンドをルイスとセリスに振舞うと部屋に戻り支度をする。
【『アリステリア様』本日もよろしくお願い致します。】
いつもの日課を済ませルイスとセリスを伴い練兵所に着くとすでに師匠が素振りをしていた。
【おはようございます、師匠。】
「っふ!ふんっ!・・・遅いぞ、坊主!」
【済みません、師匠。】
ルイスとセリスを木陰に案内し、作っておいた焼き菓子と飲み物を取り出すと素振りに加わる。
【ふっ!っは!せいっ!】
「少し休む、続けていろ。」
【はい、師匠!】
そう言うとルイス達の所へ飲み物をもらいに行ったようだ。
「おはような、御嬢ちゃん達。」
「おはようございます、ジュウベイ様。本日もよろしくお願い致しますね。」
「おはようございます、剣聖殿。私も素振りに参加させて頂きます。」
そう言うとセリスも木剣を持って素振りに参加する。
「おう、ええぞ・・・ん?坊主、芯がずれておるぞ!なんじゃその足運びは!・・・嬢ちゃんもじゃな。」
「【・・・。】」
「なんじゃぁ、二人して・・・顔を赤くしおってからに・・・。」
「・・・貴方、セリスさん。後でお話があります。」
【っぐ・・・。】
「私もなのか!ルイス殿!?」
「二人に昨夜の事を詳しく聞かないと駄目よね?」
「【は、はいっ!】」
っく、昨日も頑張ってしまったからな。
しかし、さすが剣聖。
影響の出ないようには気を付けていたんだがな・・・。
「坊主も嬢ちゃんも、それでは本来の剣筋が見えんぞ?若いからと言って楽しんでばかりでは駄目じゃな!」
っち、ニヤニヤしてこちらを見るのはやめて頂きたい。
しばらく素振りをすると落ち着いてきたのだろう。
心が平穏になって来た。
そう、水鏡のようになった。
水面に波紋を立てないように一心に素振りをする。
するとどうだろう。
影のような物が見えて来た。
何だろうか?
その影が斬り込んできた。
慌てずに迎撃する。
その攻撃をいなし、攻撃を的中させる。
何故かその影は自分自身に思えた。
しばらくそうやっている。
これは良い鍛錬になりそうだ。
「・・・坊主め、早いな。」
「どうされたのですか?ジュウベイ様。」
「いや、弟子が優れていると教えるのも楽よのぅ。」
「?」
「ルイスの嬢ちゃんも見てみぃ。坊主め、もう一人の自分と戦っておるわ。」
「なにか踊っているようにしか・・・。」
「ふぉっふぉっふぉ、それで良いんじゃよ。あの坊主、ある意味境地に近づいておる。」
「そうなんですか?」
「ああ、この分ならあの黒い力も制御できるじゃろうて。」
「そうなんですね、良かった・・・。」
「じゃが早すぎる・・・一体何があったんじゃ?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「・・・主。」
ああ、今良い所なんだ。
「・・・坊主。」
師匠の声だ。
おっと、集中しすぎてしまったようだ。
【ふう・・・何ですか師匠?】
「セリスの嬢ちゃんが限界じゃ。それにそろそろ稽古の時間じゃ。」
【あ、セリス。大丈夫かい?】
慌ててセリスの方へ近づく。
「だ、旦那様。必ず追いついて見せます。今は私の目標たれ・・・。」
ドサッ
「ハァ・・・ハァ・・・。」
気持ち良さそうな顔のセリスが地面に大の字になっている。
【ルイス、飲み物を!】
「はい、貴方。」
【で、師匠。今日は何するんですか?】
「今日はわしと模擬試合じゃ。おそらく・・・今日で・・・。」
【ん?今日で?】
「まあ、やってみようかの。」
【はい!】
「坊主、実戦形式じゃ。」
【木剣でよろしいですか?】
「構わん。」
【では。】
ルイス達から少し離れると模擬試合が始まる。
まずは軽く剣を合わせる。
カンッ!
さあ、始まったぞ。
前回のようにはいかない。
今度こそ自分の力で師匠を乗り越えるんだ!
「慎重なのは良いが来なければ進まんぞ?」
【では失礼して・・・行きます!】
上段から斬り込んでみる。
カンッ!
コン!
「ふむ、良くなってきたのぅ。」
【まだまだですよ!】
「速度を上げたか?」
【まだまだ上がりますよ?】
「ふぉふぉ、ええぞ。打ち込んで来い!」
【はい!】
カン!
コン!
「坊主、相手を崩す時はこういう風にするのじゃよ、「双牙!」」
カカンッ!
ほう、強いダブル・ストライクから・・・?
「五の太刀、『逆凪』!」
【っく!】
「まだ体幹が崩れるのう、受けるのではない。自然にいなせ!」
【はい!】
カン!
【っふ!】
【っは!】
「そうじゃ!受ければ剣に余計なダメージが行く場合もある。受けるのではなくいなせ!」
【はい!】
「ふむ、坊主。盗めたか?」
【「双牙」と「逆凪」なら盗みましたよ?】
「その段階までで速ければ三の年がかかる・・・。」
【次は何を見せて下さるんですか?】
「ふむ、坊主が見せた「閃」と言う技をやってみるかのぉ?」
【ああ、あれならこうですよ?】
「何っ!」
【ᚠᛚᚪᛋᚺ!(閃!)】
「がっ!?」
師匠の木剣が宙を舞った。
コーン・・・カン、カラカラ・・・
「坊主、黒い時の技が打てるのか?」
【ええ、『神剣術』と言うみたいです。自在に出せますね。】
「ふむ、どの流派にも見られぬ太刀筋よ。そしてわしにもその技は見えぬ。」
【もう一つありますよ?】
「どのような物じゃ?」
【『魔剣術』と言うみたいです。】
「物騒じゃのぅ・・・。」
【使わない方が良いですかね?】
「いや、逆じゃ。使って己の物とせよ。そうすればその力の一端に迫れるであろう。」
【分かりました。では遠慮なく使いますね。】
「それとわしにもその技は盗めん。」
【師匠にもですか?】
「うむ、真似をする事は出来る。じゃが、体に負担が掛かりすぎる。強靭な肉体でなければ出すのは困難じゃろう。」
【白状しますが俺の剣技ではないようです。】
「何じゃと?坊主の剣技ではないのか?」
【この体にもとからある剣技ですね。】
「・・・坊主、お主何者なんじゃろうな?」
【それは俺も聞きたいです。】
師匠が剣を拾いに行く。
拾い上げると構えを取る。
「まあ、使ってみて何か分かる事もあるじゃろうて。」
【遠慮なく行きますよ?】
「胸を貸してやるでの、掛かって来い!」
【どんな効果があるか分かりませんので一つずつ行きますね。】
「坊主、わしで実験する気か!?」
【付き合って下さるんでしょう?】
「ふん!分かったわい。その代わりあの店に連れて行くんじゃぞ?」
【分かりましたよ。ではっ!】
「いざっ!」
【Резать!(斬!)】
黒い斬撃が衝撃波となって師匠に向かって飛んで行く。
「くおっ!?」
ガンッ!
「何じゃそりゃあ!?」
【魔剣技の技らしいです。どんどん行きますね!】
「坊主!実験台になるとは言ったが手加減しろっ!」
【初めて使うんですよ?手加減なんか出来る訳無いじゃないですか!】
「お主!楽しんでおるなっ!」
【ええ、まだ力があるんですよ!確かめないと!】
「お主、覚えておけよ!?」
【まだまだですよ、師匠?『「ᛋᚺᚪᚱᛈ ᚾᚪᛁᛚᛋ!(鋭利な爪!)』】
三撃同時の斬撃が地を走り師匠を襲う。
「こら!年寄りをいたわらんかっ!」
【聞こえませんよ、師匠!】
高め合える相手がいると言うのはこんなにも楽しい、いや、素晴らしい事なのか!
そうか、俺に足りない物はこれか!
そう思うと心が楽になった。
色々な事で悩んでいたのが馬鹿みたいな気持ちになった。
次々に技を繰り出すが単調な物なので師匠にはかすりもしない。
【重いの行きますよ?】
「加減はするのじゃろうな?」
【初めてなので!】
「っく、良い顔をするようになったではないか!」
【ええ、楽しいんですよ!】
「それでええ・・・。」
さすが剣聖、見事に俺を導いてくれた。
ありがたい。
ルイス達ではこれは無理だろう。
さすが師匠。
【あはは!では行きますよ、師匠!】
「応!こいや!」
楽しそうな二人の声は練兵場に響き渡るのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
訓練の後、ルイスとセリスに師匠と飲みに行くと言って例の店に繰り出す。
「おう、坊ちゃん。また爺を連れて来たのかい?懲りないねえ。で、どうするんだい?」
「わしはのう。」
【知ってますよ。】
「【鈴々ちゃ~ん!】」
二人同時に叫ぶ。
「坊ちゃんはどうするんだい?」
【フェイと同じような子はいますか?】
「ああ・・・売れ残りだね。今日は三人ほどいるが誰にするんだい?」
【じゃあ、三人でお願します。】
「っは、大きく出たよ!まあ、良い。ルナ、レイラ、桜子。行っておいで。」
「はい、主人様。坊ちゃん、よろしゅうにな。」
「「よろしくお願い致します。」」
代表してルナという娘が答えるとその後をレイラと桜子という女の子が続く。
この子達も美人なのにもったいない。
師匠と別れると四人で部屋に通される。
「坊ちゃん、本当にアタイら三人で良かったのかい?綺麗どころなら他にも・・・。」
「そうですよ、坊ちゃん。せっかく遊ぶんだ、器量の良い方がいいだろう?」
「もう、ルナ姉さんもレイラ姉さんも!せっかく選んでくれたんですよ?楽しませないといけないでしょう?」
「そ、そうだね。桜子の言う通りだ。済まないね、坊ちゃん。今夜は楽しく飲もう。」
【うん、三人共、ちょっと聞いてくれるかな?・・・君達三人を選んでも鈴々ちゃんの代金には遠く及ばない。】
「「「・・・。」」」
【でもね、俺にとって魅力的だから君達を選んだんだよ。自信をもって!さあ、楽しませてもらおうじゃないか!】
「「「坊ちゃん・・・。」」」
「嘘でも嬉しいなぁ。」
「そんな事初めて言われたよ。」
「そうですねぇ。せっかくなので楽しみましょうよ、姉さん達。」
話を聞いていると稼ぎが悪いので最近は女主人の好意に甘えているような形になっていると言う。
三人共申し訳ないと泣いていた。
「っは、済みません。坊ちゃんには関係のない事ですね。今は楽しむ時間でございます。レイラ、桜子、お酌を。」
「は、はいな、姉さん。」
「私どもからの心からの酌でございます。」
俺にはある考えがあるのだが、まだ口に出せない。
でも、ルイスとナナリーさんだけには言っておかないといけない事だろう。
更に言えば本当にエクスィ・スィデラスになってからの話だ。
まずはルイスとの結婚。
その後にナナリーさんのお母さんを迎えて、娘さんとの婚約をお願いする。
サーラやセリス、フェイとも婚約し嫁さんで地盤を作る為に稼ぐ。
そして店の店員としてリズ達を筆頭にこの子達のような人材を集める。
地盤が出来たら、ルイス達とのんびり鍛冶をするんだ。
そんな事を考えていると声がかかる。
「坊ちゃん、盃が進んでおりませんよ?」
おっと考えに耽ってしまった。
【ちょっと考えがあってね。まだ言えないんだけれど・・・だが、今日は君達を可愛がってあげよう。】
「ふふ、坊ちゃん。いくらなんでも三人を相手にするのは無理じゃないかい?」
「そうですよ!元気な所をルナの姉さんに持って行かれるんですから!」
「でもぉ、坊ちゃんが頑張ってくれれば良いんですよ?」
【任せて下さい。その代わり泣き叫んでもやめませんからね?】
「「「あっはっは!」」」
「坊ちゃん、三人相手なんだよ?」
「そうですよ、私で二人目だから・・・。」
「桜子まで回ってきますかねぇ?」
【ふむ、ならば貴方達の考えを改めさせてあげましょう!】
下半身のマイサンを見せつける。
「まあ、御立派な物が!」
「顔に似合わないモノを持っていらっしゃるのですね・・・ゴクリッ。」
「これなら、元気なまま桜子まで回って来るかも!?」
【さあ、始めますよ!】
「「「は~い、坊ちゃん!」」」
そして三人との夜は更けて行くのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
っふ、夜戦は俺の勝ちの様だね!
こっちの平和的な戦いの方が好きなのだが・・・。
ルナさんは二十歳で情熱的な人、その女性を使った技は見事だったが返り討ちにした。
レイラさんも二十歳、ルナさんの乱れっぷりを見ていたが実際に味わうとすぐに虜になってくれた。
桜子さんは十九歳、二人の乱れっぷりを見ていたら自分で慰めていたのでお仕置きしてあげた。
三人とも代わる代わる求めて来たので朝まで応えてあげた。
勝利した俺は周りを見回す。
三人共満足してくれたのか裸のまま眠っていた。
支度を整えると窓から見える朝日にいつもの日課をする。
「『アリステリア様』、本日もよろしくお願い致します!」
ちょっと太陽がまぶしかった。
そう言えば昨日もセリスを可愛がっていたんだったな。
だが気力と体力は充実していた。
そして身支度を整えると受付に赴く。
女主人と師匠が会話をしていた。
俺に気付いた師匠が声をかけてくる。
「お、来たか、坊主。」
【師匠、おはようございます。】
「おはよう、坊主。さてと、まずは弁解からかのぅ?」
【あはは、そうですね。】
支払いを済ませると余分にお金を払っておく。
「坊ちゃん、心付けにしては多いよ?」
【主人、俺の相手にした三人の事をよろしく頼みます。】
「あ、ああ。その為の金かい?」
【ええ、あの子達には元気でいてほしいので。】
「・・・分かったよ、坊ちゃん。だが期待させるような事をする責任は取れるんだろうね?」
【とれるように頑張ります!】
「そうかい・・・フェイは元気かい?」
【ええ、パートナーとして頑張ってくれていますよ。】
「そうかい、それならいい。三人の事も任されよう。だが一の年だけだ。それ以上は可哀そうだが・・・。」
【分かりました。必ず良い方向に話を持って行きますよ。それまでお願いします。】
「ふん・・・たまには会いに来てやりな。」
【分かりました。】
「鈴々ちゃんまたのぅ~!」
「またね、ジュウベイちゃん。」
「さて行くか。」
【はい、師匠。】
色々と思う所はあったが後は自分次第だ。
頑張ろう。
まずは昨夜の事をルイス達に謝る所からかな?
そんな事を思いながら師匠と帰り道を急ぐのだった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
まずは、いつものから!
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大変に励みになります。
皆様に感謝を!
台風、思ったより離れてしまったせいか夜には星空が見えておりました。
そして今日の暑さ。
皆様も熱中症などにはお気を付け下さい。
それでは 次話 鍛錬と新しい武装(仮 で、お会い致しましょう。
お疲れ様でしたー!