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心の在り方

いつも読んで下さっている皆様方、大変お待たせ致しました。

新しい相棒の調子を見るのを兼ねて新作UPです。

お楽しみ頂ければ幸いです。

「まずは坊主の精神を鍛える。木剣で良い・・・素振りをしろ。」


【はい。】


フォン!


フォン!


パシイツ!


【っつ、なん?ハリセン!?】


「スキルに頼るな!良いか?体に染みついている物は忘れるんじゃ!それは坊主の実力ではない。」


【分かったよ、剣聖様。】


ブン!


ブン!


「そうじゃ!己の力で剣を振れ!さすれば己の力量が分かる!」


ブン!


ブン!


「そのまま3000回じゃ!」


【応!】


ブン!


ブン!


・・・


「ルイスさん、なんでニヤニヤしているんですか?」


「いえ、あの人も私達と同じなのね、と思う事が確認出来て安心しているの。」


「同じ・・・ですか?」


「そう、色々な悩みを抱えている。それが分かってホッとしてしまったのよ。」


「そんな物なんですか?」


「そのような物なのか?」


「ええ、そんな物なの。」


「坊ちゃん、頑張りぃ~。」


ブン!


ブン!


ああ、なんか良いな。

これは無心になれる。

集中してみよう。

集中・・・。


スッパーン!


【いてえ!】


「じゃからスキルを使うなと言っておる!無心になるのは良いがスキルを使うのではない!」


【お、応!】


ルイス達がニヤニヤと俺を見ている。

何でニヤニヤ?


スパーン!


【いてえな!】


「坊主!お主によそ見する暇があると思うのか!」


【分かったよ剣聖様!】


「わしの事は師匠と呼べ!」


【何でだ!?】


「教えを乞うているのだから当然ではないか?」


【・・・ッフ、この事を、ッフ!鈴々ちゃんに、ッフ、言いつけてやろう。】


「ふ、ふん!そのぐらいでわしが揺れると思うなよ?」


【じゃあ俺が鈴々ちゃんを指名】


スパーン!


【いてえよ!】


「貴方、その鈴々さんと言う方は誰なのかしら?」


「そうですよ、ヘファイストス様!」


「だ、誰なのだ旦那様!」


三人に詰め寄られた。

しかもルイスがハリセンを持っているじゃないか!


【三人共、安心してくれ。鈴々ちゃんは巨乳じゃない。】


「「「安心出来るかー!」」」


スパーン!


パーン!


スッパーン!


・・・いやさ。

軽々しくその名前を出したのは悪かったよ。

でも三人で順番に殴る事は無いんじゃないかな?

しかも絶妙なコンビネーションで・・・。


「坊ちゃんも余計な事を言わなければなぁ・・・。」


その通りですね、フェイさん。


ステータスのチートがあるのに、その日3000回の素振りをするのに六時間もかかってしまった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「まだまだじゃな、坊主。無心で剣を振る事に楽しさを求めよ。」


【それは良いんだが、見物客は必要ないんじゃないのか?】


「坊主、お主その見物客の目を気にせずに剣を振るわんか!」


【良い女がいたら気にしちゃうだろう?しかも俺好みの女の子が四人もいるんだぞ?】


「それが黒い影につながっておるんじゃろうが。」


【そうなのか?】


「その証拠に・・・心が軽くなったじゃろう?」


【そう言えば・・・。】


「その状態を維持するんじゃ。動じぬ心を身につけよ。さすればあの黒い影を抑える事も出来よう。」


【剣聖様は知っているようで知っていないような気がするのは気のせいか?】


「気のせいじゃ。それより師匠と呼ばんか!」


【はあ、分かったよ。師匠・・・なんかスッキリしないな・・・やはり爺さんで。】


「この馬鹿もんが!」


そのハリセンの一撃をかわす。


「ほう、もう身について来ているような気がするのう。」


【だいぶ気持ちに整理が・・・いや、まだだな。】


「ふむ、まだ悩みを打ち明ける訳にはいかんか・・・。」


【もうちょっと待ってくれ。信頼するには時間が掛かる物だろう?】


「ふん、小僧のくせに言いよるわい。」


【で、暗くなって来たけどこれからはどうするんだ?】


「今日の所は『何かを掴んだ』で良いだろう。終いじゃ。」


【分かった、明日も頼みます。剣聖様。】


「おう、分かっておるわい。」


【ところで、お礼と言っては何だが夕飯ぐらい奢るぜ?】


それまで黙っていたルイス達が口々に言ってくる。


「そうですよ、ジュウベイ様。せめてこの人の料理を食べて行って下さい。」


「ヘファ師匠が良いのなら是非に!」


「旦那様の料理は美味しいですよ!」


「ウチも手伝いますので、是非に。」


「ふぉふぉふぉ、美女からのお誘いは断らないようにしておるのよ。」


【じゃあ、支度するよ。一応だが手の込んだ物を出す。指導の礼だからね。」


「楽しみね。ジュウベイ様もきっと気に入るわ!」


「ヘファ師匠の手の込んだ料理・・・気になりますね。」


「旦那様の手料理を頂けるのは嬉しいですね。」


「坊ちゃん、ウチが手伝えるものにしておくれよ?」


【ああ、とっておきの清酒も出そう。フェイ手伝ってくれるかな?】


「お任せを、坊ちゃん。」


そして剣聖様の為に料理を振舞う支度をする。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「坊ちゃん、器はこんな物で良いのかい?」


【ああ、上出来です、フェイ。】


「ふふ、それで何を作るんで?」


【倭国出身ならそろそろ恋しくなって来たのではないかなと思ってね。】


「どんな料理なんですかい?」


【今日は『うどん』だ!】


「ほう、懐かしいですなぁ・・・。」


【小麦粉を使っている料理、あれ?フェイは知っているの?】


「坊ちゃん、ウチの故郷はどこやっけ?」


【ああ、徳之島だったっけ?】


「そうや、故郷の料理なんよ。」


【そっかそっか、じゃあ分かるよね、ちょっと力仕事がいるんだ。】


「力仕事だと、坊ちゃんの邪魔になりそうやなぁ?」


【その工程はやるのでフェイは出汁を取ってくれるかな?少し時間が掛かるからね。】


フェイに出汁の取り方を説明して俺は「手打ちうどん」を作って行く。

今回の手打ちうどんは小麦粉を使う。

この世界には強力粉とかの区別がまだないので仕方がない頑張ろう。

打ち粉はたっぷり使うので、余裕をもって用意しておく。


大き目の木のボウルが無かったので取ってのついていない中華鍋を代用する。

即席で作った麺棒を準備しておく。

そして『水回し』を行う。

水回しとは、小麦粉と塩水を合わせる事だ。

塩水の分量はスキル様頼りだ。

基本は小麦粉に対して塩水は半分ぐらいだったはずだ。


そして麺を作って行く。

小麦粉に半量の塩水を回しかけ、水のかかった位置に乾いた小麦粉を両手でかけるようにして混ぜ合わせる。

鍋の下に滑らないように布巾を敷いておく。

残り半分の塩水を入れ、舞い上げたときに粉が飛ばなくなるまで混ぜ合わせる。

鍋の合わせた粉を両手に体重をかけながら押して広げる。

そして生地が広がったらロール状に巻き、再び手で押して広げる。


これを一セットとして、三回程繰り返す。

広がった生地をたたみ、鍋の中央で押しながら伸ばす。

これを一セットとして、生地が固くなるまで数回繰り返す。

鍋に入れた生地が固くなるまで寝かせる。

其処はスキル様、三分程寝かせるといい感じになった。


次はいよいよ『のし』の工程だ。

麺棒を使って、生地を食べやすい厚さに伸ばす。

作っていた麺棒で生地を伸ばしていく。

四十~四十五cmになるまで麺棒を転がして生地の厚さが三mm程になるまで転がして整える。


そしてたたみと切る工程だ。

生地を切りやすくするためにたたみ、好みの太さの麺として切っていく。

麺をくっつけないようにする為に、打ち粉をしながらたたんでいく。

たたんだ生地を好みの幅に切る。

今回は俺の好みで三mm幅だ。

切り終わったら一人前の量を手に取り、くっつきにくいようにねじる。

それを並べていく。


よし、麺が出来上がった。


【フェイ、出汁の方はどうですか?】


「坊ちゃんに言われた通りに作ったけど、これが味の決め手になるんです?」


【ええ、主役の一つと言っても良いでしょう。】


「そんな大事な物を任せてもらえるのは嬉しい事ですなぁ。」


フェイに作ってもらった出汁は鰹の削り節を使った。

厚削りの鰹節を煮込み丁寧に灰汁を取ってもらった物だ。

それをザルに入れて漉したものを使う。

念の為に味を見る。

うん、上出来だ。


さて、出汁が出来たのなら『かえし』だ。

醤油、みりん、砂糖を用意しておく。

鍋でみりんを煮立てアルコール分を飛ばす。

煮立ってきたら醤油と砂糖を入れる。

砂糖が溶けたらかえしの完成。


出汁と合わせてうどんつゆを作る。


フェイに言ってその間にうどんを茹でてもらう。

具材には海老の天ぷら、わかめ、葱を選択。

出来るだけシンプルな物にした。


「坊ちゃん、こんな感じなのかい?」


寸胴鍋で茹でているうどんを箸で一本つまんでみる。


【うん、フェイ。次に作る時はこの感じを覚えておいてください。】


少し冷めたうどんをフェイの口の中に入れる。


「もぐもぐ・・・この感じなぁ、分かったわ、坊ちゃん。」


そして盛り付けてつゆをかける。

揚げている天ぷらを添えて・・・。


天うどんの完成だ。


皆が待っているテーブルに持って行く。

剣聖様が慌てている。


「っほ!まさかこんなに遠くに来て、うどんが食えるとはな!」


【そろそろ故郷の味が懐かしいのではないかと思いまして御作りしました。】


「おう、坊主達のおもてなしの心。有難く。」


【さあ、皆も伸びないうちに食べてくれ。】


「「「いただきます!」」」


「ほう、お主達も『いただきます』を言うのか!」


「ええ、この人のやっている事を真似ているだけですが。」


「うむ、感謝の心を忘れてはいかんぞ?皆、命をいただいておるのじゃからな。」


「剣聖様、命をですか?」


「そうじゃ、それに食材にするのに関わっている人達にもじゃ。その者達がおらなければわしらは食う事が出来んからの。」


「成程、剣聖様の言う事は奥が深いですね・・・。」


「さて、いただこうかのう!」


「「「いただきます!」」」


「うむ、このこし!そして弾力!そして出汁!実に美味い!」


【出汁はフェイが取ってくれました。】


「「・・・。」」


「ウチが一歩進んだかねぇ?」


「ヘファ師匠!今度は私にも料理を!」


「旦那様、私にも!」


「駄目だ、二人とも、だって料理が出来ないじゃないか。」


「「ぐぬぬぬ・・・。」」


「ふぉっふぉっふぉ、羨ましいのぅ。わしにもこのような時期があったわい。」


【ほう、それはそうと食べて下さいよ?お代わりもありますからね?】


「うむ、有難くいただこう!」


「東方の出だけあって、お箸の使い方がお上手ですね。」


「そうですね、まだ巻き付けて食べている私は・・・。」


「サ、サーラ殿、気にする事は無いぞ!私も巻き付けている!」


「ここでも一歩進んだ気がするわぁ。」


「「ぐぬぬぬ・・・。」」


「ふははは、久しぶりに楽しい食事よな!」


【楽しんで頂けて何よりです。】


皆で楽しくうどんを食べた。


「ふう、久しぶりに満足したわい。」


【明日も朝からですか?】


「うむ、素振りは自己鍛錬の時にするが良い。明日からは打ち込み稽古じゃ。」


【分かったよ、爺さん。】


「・・・いい加減、師匠と呼ばんか?」


【それは催促するもんじゃないだろう?】


「まあ、ええわ。では明日は練兵場で六時にな。」


【準備をしておくよ。】


「剣聖様、御部屋に案内致します。」


「悪いの、皇女殿。」


「いえいえ、旦那様の為になる事ですから。それでは皆様方、お休みなさいませ。」


【お休み、セリス。】


「「「お休みなさい、セリスさん。」」」


さてと、明日も早い様だ。

早めに眠りますか。


「それでは、私も失礼しますね。」


「ウチもなぁ、坊ちゃん。」


【二人ともお疲れ様。】


「お休みなさい。」


さてと、器を回収してっと・・・。


「ねえ、貴方。少し良いかしら?」


【何だいルイス?】


「部屋で良いかしら?」


【ルイスに閉ざすドアは持っていないんだ。】


「またそうやって・・・もう、本当に調子が良いんだから!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


皿洗いを済ませるとルイスの待っている俺の部屋に戻る。


ふふんふん、ルイスさんからお誘いかなぁ?

嬉しくて鼻歌が出ちゃうね。

今日はどんな風に交わろうかな?

部屋のドアを開く。


【ルイス、お待たせ!】


「・・・。」


俺の事をジーっと見つめて来る。

おや?

お誘いじゃなかったのか?

物凄く残念。


「ねえ、貴方。今朝の事で聞きたいのだけれど。」


ああ、そう言えばあの状態の事は聞きたい事だろうな。


【ちょっとあってね。頭の中がグチャグチャになってたんだよ。】


「・・・アバリティアさんと何かあったの?」


【・・・ルイスだから、隠し事をしない。それでどのような結果になろうとも。】


「話して頂戴。」


【昨日、ティアと話をしたんだよ。最初は魔法の事だったんだ。】


「魔法の事?」


【ああ、根源たるマナは実は神々の力ではないとかね、そんな事を話していたんだけど・・・。】


「けど?」


【ティアはこう言ったんだ。『マナの力から生み出されていない人族は呪文を唱えないと魔法を使う事は出来ない。』とね。】


「それで・・・?」


【俺は・・・呪文を唱えずに魔法が使えるんだ。】


「それって!?」


【そうだ、俺は・・・人族じゃないのかもしれない。】


「それで、朝はあんな事になっていたの?」


【色々と考えていたら・・・その考えから逃げていたんだよ。俺は一体何なんだろうってね。】


「・・・。」


【それで、この話をしたルイスに聞きたいんだ。場合によっては俺は君達の前から消え】


パシーン!


あれ?

頬っぺたを引っ叩かれた。

痛い。

その頬を抑えると、引っ叩いたルイスの方を見る。

泣いている?


「二度とそんな事は言わないで・・・。」


【でも、俺は】


ルイスが話している時に強引に割り込んでくる。


「そんな事はどうでも良いの!私は貴方だから!ヘファイストスだから好きになったの!愛したのよ!」


【ルイス・・・。】


「お願いだから・・・二度と言わないで頂戴。」


すがるように言ってくるルイス。

俺はルイスを泣かせてばっかりだね。


【ごめんね、ルイス。俺は君を泣かせてばかりだ。】


「そうよ!だから私をこんなに弱くした責任は取って頂戴!」


【俺は君達の側にいても良いのかな?】


「当然でしょう!それとも貴方は私に愛想をつかせたのかしら?」


【そんな事は無いよ!ルイスの事はこれからも愛】


口付けをされた。

ルイスが名残惜しげに離れて行く。


「なら良いわ。でも、もうそんな事は・・・そんな事だけは思わないで・・・。」


【分かったよ、ルイス。】


「なら・・・誓って頂戴。」


【分かった、『アリステリア様』にかけて誓う。勝手に君達の前からいなくならないと。】


「・・・良く出来ました。ねえ・・・可愛がって下さるかしら?」


【明日は早いらしいんだけど、俺にはルイスの頼みは断れないよ?】


「・・・良いかしら?私は貴方だけの物なの。そんな考えに負けないように・・・その心に私を刻み込んであげるわ。」


【お、お手柔らかにお願いします。】


「駄目よ、今日は私が満足するまで動いてあげるわ。」


こうして夜は更けて行く。

ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

PCクラッシュという不運に見舞われましたが、何とか再開出来そうです。

新しい相棒の御話をちょっと。

これで10年ぐらい戦えるといいなっ!

今度のはかっくいいんだぜっ!

そして小説。

内容を忘れていなければいいのですが、と言う事で書いてみました。

更に、評価人数150人突破!

ブックマーク550突破!

おめでとう自分!

ありがとう皆様!

これで、拙者はまだ戦えます!

それでは 次話 アビリティー(仮 で、お会い致しましょう!

お休みなさい!

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