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国としての在り方

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます。

なんとか形になった物を出せたと思います。

楽しんで頂ければ幸いです。

ゲートを潜るといつもの宿屋に戻って来た。


今回戻って来たのはナナリーさんにフェイを紹介する為だった。

時間は・・・ちょうど昼時のようだ。


【ありゃ、不味い時に帰って来ちゃったかな?】


「そうね・・・。」


「そうですね・・・。」


ルイスとサーラが肯いて同意する。


「あ!ナナリーさんがいます!」


皆と給仕をしていた。

ああ、俺のナナリー。

久しぶりにあの体を堪能したい。

ふふ、今度はどんな風に可愛がってやろうか?


「貴方?」


【何かな、ルイス?】


「黒い物が・・・。」


うあ、ヤバイヤバイ。

ルイスに視認できるような物が出ていたのか。

不味いな。

この黒い影。

早いうちに手を打たないと・・・。


「それで、どうするんです、坊ちゃん?」


昼食時間ランチタイムが終われば話す機会があるはずだから、それまで】


「小僧!それで隠れているつもりかい!忙しいんだとっとと厨房に入りな!」


【アイ・マム!】


反射的に返事をする!

女将さんに見つかってしまった。

仕方が無い。

手伝いに行こうか。

ああ、この感覚は久しぶりだな。


【皆は部屋に行っておいてくれるかな?】


「坊ちゃんは料理もたしなむので?」


【ああ、それで厨房に行ってくるから】


「なら、ウチも厨房へ入りましょうか?」


言葉を遮ってフェイが言って来た。


【フェイも?】


「はい、料理なら邪魔にならない腕があると思ってます。」


【・・・分かった、フェイは一緒に厨房へ。ルイス達はどうする?】


「フェイさんの仕事ぶりに興味があります。」


何故敵対心バリバリなのだろうかね?


「私も興味があります!」


こちらはこちらで敵対心が・・・。


【じゃあ、二人は並んでおいてね。俺とフェイは厨房へ行くから・・・。】


「分かったわ。」


「わっかりましたー!」


【じゃあ、フェイ。行こうか。】


「分かりました、坊ちゃん。」


フェイと二人で厨房に向かう。

エプロンを二つ取り出すと一つをフェイに渡す。

そう言えばローブとサンダルしか着けていないんだった。

後で作りに行こうかな。


「小僧、今日は鳥の唐揚げ定食だ。そっちのお嬢ちゃんは何だい?」


【料理が出来ると言うので連れて来ました。唐揚げは任せて下さい。女将さんは千切りキャベツと味噌汁をお願いします。】


「分かった・・・そのお嬢ちゃんについては後で聞かせてもらうよ!」


【了解です。フェイ、鶏肉をこの様に切って下さい。】


「分かりました、坊ちゃん。」


【後は御飯を器に盛って下さいますか?】


「お任せ下さいな。」


フェイは手際良く仕事をこなして行く。

さすがに自分から言うだけはあるね。

俺も負けていられないぞ。


鶏肉に衣を付け揚げて行く。

揚げている間に皮袋に醤油、ニンニク、ショウガなどを入れてつけダレを作る。

その中にフェイの切っている鶏肉を突っ込んで氷冷庫にしまい込む。


揚げ終わったら女将さんの切ってくれたキャベツを盛り付ける。

唐揚げとミニトマト、レモンをカットした物を一緒に盛り付け、最後にマヨネーズを付ける。

定食として完成したら女給をしている皆に持って行ってもらう。

皆が注文の料理を取る時に俺を見て行くのは、帝国にいるはずの俺が知らない女の人と厨房に入っているのは何でだろうと言う視線だ。


「坊ちゃん、盛り付けまでお任せ下さいな。」


【任せた、フェイ。】


俺とフェイの息のピッタリな様子を見ている女将さんは満足したのだろう。

しばらくは大丈夫だね。

そしてお勧めの唐揚げを作って行く。


お代わりを乗り切った頃には氷冷庫に入れた鶏肉も無くなった所だった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


御昼時間を乗り切った俺達は皆の賄を作る。


今日の献立はもちろん鶏のから揚げだ。


「小僧、助かったよ。そっちのお嬢ちゃんもね。」


【皆に紹介が終わったら、女将さんにも紹介しますよ。】


「分かった小僧。後でな・・・お嬢ちゃん。」


そう言うと女将さんは賄の唐揚げ定食を皆の所に持って行ってくれた。

御昼時間が終わると午後の仕込みの為に食堂は一時閉店する。

その間に賄として従業員は昼ご飯を食べる。


【フェイ、助かったよ。】


「いえ、この程度の事なんか・・・それより坊ちゃんは料理も作るんだねぇ。」


【ああ、俺は料理人ではないんだけどね・・・。】


「ふふ、存じてますよ。」


【さあ、皆の所へ行こうか。紹介するよ。】


「はい、坊ちゃん。」


フェイも皆と一緒に賄を食べる。


「これは美味いなぁ・・・流石やな坊ちゃん。」


【そんな事は無いよ。】


と返事をすると、フェイが怒ったように人差し指を立てて俺に言って来る。


「いいかい、坊ちゃん。謙遜は美ではありますが時として不遜、傲慢になる事を忘れてはいけませんよ?」


【フェイ、そんなつもりはないんだよ。】


やはり知らない女性が一緒のテーブルに居るのに違和感があるのだろうか。

ナナリーさんは食事が終わるまで聞かないでくれた。

だけど、未成年組は好奇心旺盛だった。


「ねえ、お姉さんもお兄さんのお嫁さんになるの?」


「将来的には・・・だけどね、早くそうなると嬉しいねぇ。」


「むう、では私達の番は遠ざかりますね。」


「やっぱり、その胸なのね・・・。」


「リズ姉はまだ良いじゃないですか・・・私は・・・。」


そう、マオは獣人の特性で青年期と同じ体形をしているので胸の大きさもこれ以上変わる事は無いだろう。

・・・変わらないよね?

皆から好かれているのは分かるが、兄弟のように過ごしてきた子達なんだ。

とてもではないが妹以上の恋愛感情は・・・ないよね?


「お姉さん、巨乳になるにはどうしたら良いの?」


「そうやねえ、好き嫌いせずに一生懸命食べる事かなぁ?」


「食べればなれるの!?」


「なれるんですか!?」


「ああ、でもウチの場合だからねぇ・・・人によりけりなのよ?」


「お兄さんの嫁の条件は巨乳なのよ!絶対になって見せるわ!」


えっと、リズさん性格などの相性もね。


「ヘファさん、私はまだ頑張りますよ!」


うん、頑張って成長してくれ、マオさんや。


「そうですね・・・もぐもぐ・・・ヘファさんは何人増やせばいいのでしょうか・・・。」


グサッ!


「ヘファさん、もぐもぐ・・・すけべは駄目なのですよ!」


ザクッ!


【さ、さて、皆に紹介するね。フェイだ、新しい嫁さん候補なんだ。】


「フェイと申します。皆さん、よろしゅうになぁ。」


フェイの紹介をしている間もナナリーさんは無言だった。


食事が終わり皆は仕事に戻って行く中、ナナリーさんを部屋に呼んだ。

五人で部屋に揃う。

さて、どう言ったら良いのかな。

でもフェイは必要な人だし、どうにか説得しないと。

と、気合を入れていたのだが・・・。


【と、言う訳なんだ、ナナリーさん。フェイの鍛冶師としての腕もそうなんだけれど女性としての彼女にも惚れたんだ。】


「坊ちゃん・・・。」


「ヘファ君、私は構いませんよー?」


事情を説明するとあっさりと承諾の返事が・・・。


「良いんですか、ナナリーさん?」


「そうですよ、ナナリーさん!そんなにあっさり・・・。」


「現在のサーラさんの力ではまだ完全にヘファ君の理想とする相方にはなっていないのでしょうー?」


「ぐ、ぐぬぬぬ・・・。」


「ヘファ君の仕事の事は私には分かりません。ですがその助けになるのであれば反対どころか賛成しますよー?」


【ナナリーさん、ありがとう。】


「ただし言っておく事があります。良いですか、ヘファ君ー?」


【は、はい!】


御説教をしますよと人差し指を立てたナナリーさんが俺に向き直る。


「遠い所でやんちゃをするのはあまり好ましくはありませんねー?」


す、凄い威圧感だ。


【はい、ナナリーさんには申し訳なく・・・。】


「はい、ではフェイさん。これからよろしくお願いしますねー。」


「ナナリーさん、受け入れて下さり、ありがとうございます。」


フェイがナナリーさんに頭を下げる。

慌てて俺も下げる。

良かった、受け入れてもらえた。

こうしてフェイも正式に俺の嫁候補となった。


ナナリーさんが受け入れてくれたのは正直有難かった。

サーラとフェイにある程度の事を任せられれば俺にも余裕が出来るからだ。

本当にありがとう、ナナリーさん。


【それで、こちらの状況は変わりないですか?】


「うーん、ヘファ君。その事はドリュカス様とお話をすると良いですよー。」


【爺さんと?】


「ええ、少々困った事になっているようです。私の口からは何ともー・・・。」


【それなら、フェイの紹介がてら挨拶に行ってみますよ。】


「その方が、喜んで下さるかとー。」


【ついでで悪いんだけれど、フェイの着替えなんかも作ってくるよ。】


「坊ちゃん、忙しいのならウチの事は後回しで良いよ?」


【何、嫁さんの事を優先するのも俺の仕事だよ。】


「それなら、私は久しぶりにリズ達といるわね。」


【ルイスのしたいようにしてくれれば大丈夫だよ。】


「ヘファ師匠、私はギルドで鍛冶仕事して来ます!」


【サーラ、十七時には戻って来てね。】


「わっかりましたー!」


そう言うとルイスはブリリアントな仕事着に着替えて、サーラも作業用のツナギに着替えて部屋を出て行った。


【フェイ、少し部屋の外で待っててくれるかな?】


「かしこまりました、坊ちゃん。」


フェイが部屋を出て行くとそこに残った大切な人に声を掛ける。


【ナナリーさん、いや、ナナリー。無理をさせていないかな?】


「少し寂しいですが・・・あまり遠くに行かないで下さいねー。」


【俺はこんなにも迷惑を】


唇に指を添えられる。


「良いですか、ヘファ君。私はヘファ君の助けになるのなら、よほど変な事でなければ口ははさみませんー。」


【ありがとう、ナナリー・・・少し、本当に少しだけ甘えても良い?】


「ふふ、相変わらず甘えん坊さんなんですね、良いですよー。」


その腕にいざなわれ、胸に埋まる。


「ナナリー、ごめんね。でも、フェイの事は本当に頼りにしているんだよ。」


「ヘファ君がこうやって私の意見を求めてくれるのは嬉しいです。でも、候補を連れてくるたびに私も寂しいんだと言う事は分かってほしいのですー。」


【うん、それについては申し訳ない。】


「良いですか?何度も言いますが貴方の不利になると判断したなら賛成はしませんからねー?」


【ありがとう、ナナリー。】


「ふふ、少しだけ独り占めさせて下さいねー・・・。」


その柔らかい膨らみを堪能する。


ナナリーさんの思いを有難く思うとともに、こんなにも素晴らしい嫁さん達を寂しくさせないと改めて思った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


名残惜しいがナナリーさんとキスすると彼女は仕事へと戻って行った。


「坊ちゃん、よろしいのですか?」


【ああ、元気をもらったからね。それで、フェイの服を作った後に爺さんの所へ行こうか。】


「坊ちゃんが先程から言ってる爺さんと言うのは現オーカム伯、ドリュカス様の事でございますよね?」


【そうだね、良いお付き合いをさせて頂いてるんだよ。】


「それに見た所ですが宿暮らしですよね。坊ちゃんは工房をお持ちではないのですか?」


【ああ、持っていないんだ。】


「それで、あの剣を御作りになったと・・・。」


【ああ、長い付き合いなんだ、あの相棒とは。では行きますよ、フェイ。】


「かしこまりました、坊ちゃん。」


ギルドに行く前に厨房に寄ったのだが女将さんはいなかった。

フェイの事を紹介したかったのだがいないのなら仕方が無い。

そのまま商業ギルドへと向かう。

カウンターにアリシアさんの姿はなかった。

うーん、今日はタイミングが悪い。


カーン!カーン!


鍜治場から金槌の音が響いてくる。

これはサーラかな?

良い音の響く中、裁縫部屋へと向かう。

部屋に入ると早速話しかける。


【フェイ、採寸を致します。】


「はい、坊ちゃん。」


フェイは、恥ずかしげもなくスルスルとローブを脱ぎ裸になって行く。


【さて、図って行きましょう。】


採寸を始める。

フェイのバストは9・・・げふんげふん。

各部位を図り終えると下着から作って行く。

デザインを考えているとフェイが言ってくる。


「ねえ、坊ちゃん。その頭の中に秘めている意匠があるでしょう?そんでそれは他の嫁達に作れないような物だね?」


【そ、そんな事は無いぞ?】


「ウチは坊ちゃんのすべてを受け入れる用意があります。それでも隠そうとするのかい?」


【そ、それはだな・・・。】


「ウチなら嫌がらないよ?坊ちゃんにとって都合の良い女子が目の前に居るの。」


おでこを人差し指で突かれる。


【・・・。】


「坊ちゃん、是非ウチで試して下さいな。逃げも隠れも致しません。」


【・・・二言はないんだね?】


「良い女には二言はございませんよ。」


俺の目をその真摯な目で見てくる。


【分かった、作るよ。ただし本当に遠慮しないからね?】


「分かりました、このフェイを坊ちゃんの好きなように使って下さい。」


まずは下着から。


「ぼ、坊ちゃん・・・女性をこんな姿にしたいんですなぁ。」


【フェイさんや、君が着るのだがね?】


「さ、左様でありますな・・・坊ちゃん?」


【何かな、フェイ?】


「ウチが言った事だけど、坊ちゃんの願望が現れているような斬新な意匠だねえ。」


【うん、でもフェイが着てくれるって言うから力作だよ?】


「かないませんね・・・よろしい、ウチも女です。それでどのように付ける物なのですか?」


【まあ、出来てからのお楽しみって事で。】


所謂、『タンガ』と呼ばれるデザインにしてある。

聞きなれた言い方だと可愛いデザインのTバッグだ。

フェイには着物を着せようと思っているので線の出ないようにこのデザインにした。

腰で履く!

と、言われているようにローライズが特徴だ。

絹とレース仕立てで何着か作る。


ブラジャーも同じようなデザインを絹とレースで何着か作る。

なるべく上下を合わせる為だ。

ただ、着物を着せようと思っているので彼女にはブラジャーはいらないかもしれない。

ああ、スーツや服を着せる時には必要か。


とりあえず出来上がったブラジャーをフェイに付けてあげる。


【こう、腋から肉を持って来るようにする感じで・・・。】


「ほう、肩が軽くなるね。それに、これは・・・。」


【良いでしょう?パンティーも付けて下さい。】


「ぱん?てぃ?」


【下半身に履く、下履きの事です。】


「ふふ、坊ちゃんがつけてくれないかな・・・?」


【仕方が無いですね、フェイ・・・んっ?これは・・・何を期待しているのですか?】


「き、期待なんて!?」


【その割にこちらは準備が出来ているようですよ?】


「ああ、堪忍して下さい。」


恥ずかしそうに手で顔を覆うが、その隙間から窺う視線は期待している眼差しだった。


【・・・お仕置きが必要のようですね、フェイ。】


「坊ちゃん!今は堪忍を!」


【嘘は駄目ですね。】


「ああっ!?」


【ほら、ごらんなさい!糸を引いていますよ!】


その後は満足するまでフェイの期待に応えるのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ぐったりしているフェイの服を作る。


その細いロングの黒髪から落ち着いた和風なデザインにしてみた。

派手な物はやめた。

やめた理由としては、着物の布『和布』は徳之島に行かないと手に入らない為。

やはり本場の着物を作りたかったのだ。


そして、もう一つの訳は、この人の美しく細い艶やかな黒髪にはティアとは違い派手な物は似合わない為だ。

ナナリーさんとは違う艶やかな色気がある。

その二十歳の女性の体はものすごく妖艶であった。

軽く着崩して着てもらうのも良いかもしれない。

特に胸を強調するように工夫して作ってみよう。

俺の趣味に付き合ってくれると言ったんだ、思いっきり楽しませてもらおうじゃないか。

これらは今後の課題とする。


染色のトクノ染料、そして和布は徳之島の特産品なので後でノモスに頼んでみよう。

いや、蕾ちゃんに会う為に自分で行っても良いかな?


まずは夏用で着物用の肌着。

これはコットンや麻で作ってみた。

ただし洋服の機能をほとんどなさない。

あくまで夏用の汗を吸水し乾燥させるような物だ。


着物は夏用に薄紫と薄めの青のシルク生地から二着作った。

『絽』や『紗』という種類があったはずだが、今回は仕方が無いがこれで我慢だ。

こういう艶っぽい女性にはタイトなスーツとかも似合うかもしれない。

そう、フェイは俺の趣味を受け入れてくれたのでルイス達には着せられないような物を着せれる!

準備が整ったら本格的な物を作ろう。


髪には簪を木工スキルと細工スキルを組み合わせて作る。

シルクで簡易な夏帯を作り、足には足袋と草履を作った。

これで一通りそろったかな?


【フェイ、そろそろ起きて下さい。】


「んっ、ん~、坊ちゃん堪忍や・・・。」


【寝ぼけてないで起きて下さい。】


「んぁ~・・・気持ち良かったぁ~。」


【起きましたね?ではこちらの着物に着替えて下さい。】


「はいよ、坊ちゃん。」


【本格的な物はまだこれからですからね!】


「坊ちゃん、これじゃあ裸ですよ?」


【それは肌着です。さすがにそれで外を歩けとは言いませんよ?】


「っほ・・・。」


【素のフェイも好きですが、乱れている時のフェイも魅力的ですよ?】


「ぼ、坊ちゃん!?」


フェイは顔を真っ赤にしている。


【ふふ、さあ、着替えて下さい。】


真っ赤な顔をしたフェイを着替えさせるとギルドを後にする。

中世ヨーロッパの街並みの中に和服美女が現れた。

その目立つ風貌から視線が集まる。

ふふ、良い女だろう?


これからもっと俺が良くしていくんだ。


ナナリーさんから聞いていた話をしにフェイと貴族屋敷に向かう。

もちろん、フェイの紹介も兼ねてだ。

すっかり顔なじみになった門衛さんと話し中に入る。

いつものようにステファンさんの案内で執務室に行くと、ちょっと疲れた顔の爺さんと凄く疲れた顔のレガイアさんがいた。


【爺さん、レガイアさん・・・まずはスタミナポーションを飲んでくれ。】


「助かるぞ、あんちゃん。」


「申し訳ないな、ヘファイストス殿。」


二人がポーションをあおる。


「ふう、疲れが吹き飛ぶわい。」


「左様ですな、父上。」


【それで、そんなに疲れた顔でどうしちゃたのさ?】


「それがな、あんちゃん。十三番目の後継者である王子が逃げおった。」


【ありゃまー・・・。あれ?っと言う事は?】


「そうじゃ、レガイアが後を引き継いだ。」


【おお、それでどうするのさ?】


「もちろんこれ以上、民達につらい思いをさせる訳にはいかん。のう、レガイア。」


「はい、私が国王となりその民を導かねばと思っておったのですが・・・。ここに来て問題が。」


【問題?】


「左様です。夫である私が国の事を引き継ぐのは当然の事ながらと励んでいるのですが、貴族達から反発がありましてな。」


【今まで何もやってこなかった連中が今更何の用だよ?】


「直系ではない婿の私が国王になる事で貴族に対する利権が奪われはしまいかと焦っておるのですよ。もちろんですが不正は見逃しません。」


「それにのう、あんちゃん。この街の復興を羨ましがっておるのよ。未だに自分の領地を復興出来ていないからのぅ。」


「御話の途中に失礼ですが、そんな事は民には関係ありませんなぁ。いかに早く衣食住を提供してくれるか、が今後の課題となりましょう。」


「あんちゃん、この女子は?」


【ああ、紹介する、フェイと言うんだ。俺の嫁候補だ。】


「フェイと申します。差しで口を失礼致しました。」


「何、構わん。それで嬢ちゃん、まだ課題はあるような事を言うのう。」


「はい、まずは貴族より民。これはどのような国でも当然です。最悪ですが貴族を廃し代わりに代官を派遣して領地は国王の直轄地にすればよろしいのですから。」


「じゃが今のままではそうもいかんぞ?」


「そうです、なので二つの方針があります。」


「方針とな?」


「はい、貴族はそのままに。まずは民の他国への流出を防ぐのが肝要かと。」


「防ぐにはどうしたら良いかね?」


「まずは身を、国を変える所から始めます。これは言葉だけの貴族とは違うぞと言う事を対外に主張する事です。」


「そんな事をすれば余計に貴族の反発を招かんか?」


「それでよろしいかと、民の信を得ているドリュカス伯爵様やその御子息であるレガイア様ならばの威を見せる時です。」


「ふむ、荒療治も必要と言う事かのう?」


「はい、ここで一気に王国と言う国の膿を出し切るのがよろしいかと。」


「大胆な考えですな、お嬢さん。ですが貴族の反発はどうするのですか?」


「一つ目として。こちらには国王がいます。命に背くのならば国王の権限で爵位をはく奪致します。そうすれば国に認められた貴族ではありません。」


「それでは貴族との諍いが確実に起こるのではないかね?」


「軍を起こせばそれはそれで反乱軍です。ですがその可能性は少ないと思っております。」


「何故そう思うのかのぅ?」


「想定している少数の貴族の反乱はあると思われますます。ですが、物資の関係で長くは続かないでしょう。もって六の月ですね。」


「六の月も民を苦しめるのか?それは乱暴ではないかね?」


「長い目で見て頂きたいのです。この方針は民の信を受けていなければなりません。ドリュカス様達だからこそ出来る事でもあります。」


「見せしめを作れと言うのか?」


「はい、短期間で国を、民をまとめるのならばこの方針が一番でしょう。」


【フェイ、その方針を進めたら余計な血が流れます。だが爺さん、もうどこかで血は流れていると思うけどな・・・。】


「そうじゃ、それに貴族の軍はどうする?集まったりすれば国を二分する戦いにもなりかねんぞ?」


「私の見立てでは反対する軍備と物資のある貴族の人数はそこまでいないでしょう。それにこちらは万人も知っている武勇があります。」


「ヘファイストス殿の事か?・・・しかし何故そんな事が言えるのかね?」


「こちらの勢力の貴族の在り方です。これは後程分かって来るでしょう。」


「ほう、在り方か・・・。」


「二つ目の方針としてはこちらの潤沢な物資を見せた時の民の反応です。」


「物資があると言う事の強みを見せつけると?」


「左様でございます。何せこちらには坊ちゃんがいらっしゃいます。プルスィオス商会やオルタンシア公国が後ろ盾です。どちらを取るかは言うまでもない事でしょう。」


「ふむ、戦の前に決着がつくか・・・。」


「はい、民が付いてこなければ戦などは出来ません。見せしめを出すのが嫌ならばこちらの方針を。そう無理な方針ではないかと思いますが・・・。後はオルタンシア公国に貸りを作りますが軍を動かしてもらいましょう。」


「軍事干渉をさせるのか?」


「いえ、あくまで国境に野営をして頂くだけです。そして噂を流します。」


「どのような噂じゃ?」


「こちらの後ろ盾に盟友としてオルタンシア公国がいると。」


「ちょ!?フェイ、それは事前に公国の女王陛下達に相談しておきましょう。後が怖すぎます。」


「ふふ、かしこまりました。そして先程も言った貴族としての在り方。ドリュカス様についてくる貴族にはそれが求められます。それによって民の信頼を強固にするのです。」


「嬢ちゃん、大胆じゃのう・・・じゃがこの手ならば早めにけりが着くのう。」


「後は実際にどうなるかでございますな。」


「一人の民として言わせて頂ければ安心と安定を求める事が一番です。それをわざわざ捨てるような事はなさらないかと・・・。」


「うむ、嬢ちゃん。参考になったぞ。後はこちらで精査しよう。レガイア、まずは我らについてくるかどうか、伯爵位以上の貴族に書簡を送り届けよ。各貴族の信を問う。」


「早速したためましょう、父上。」


「出過ぎた真似を、申し訳ありません。」


「いや、助かったぞ、嬢ちゃん。」


【フェイ・・・後で御褒美を差し上げます。】


「ふふ、ありがとうございます。」


「方針は決まった。後はどうなる事か・・・ですな。」


【なんにしろ俺は、俺達は爺さん達の味方だ。頼ってくれよ。】


「頼もしいのう、それであんちゃん達はどうするんじゃ?」


【約束の期限までは帝国に居るさ、後はその六人会議次第だけどね。】


「うむ、そう言えばあんちゃん。この国の国王はな。あんちゃんに第一席になってほしいそうじゃ。わしもじゃがな!ハッハッハ!」


【っく、そう来るとは思っていましたがね・・・まあ、今日の所はこれで失礼するよ。】


「失礼致しますね。」


「おう、また来てくれ、あんちゃん。助かったぞ、嬢ちゃん!」


「感謝する、ヘファイストス殿。フェイ嬢。」


そう言うと部屋を出る。

二人とも良い顔をしていた。

もう大丈夫だろう。

しかしフェイさん、ものすごく頭が回るのね。

そんな子をチラリと見ると屋敷を後にする。


【今度は忙しくない時にきちんと面通し致しましょう。】


「坊ちゃん、御褒美が楽しみですなぁ。」


【それは・・・期待させてしまいましたか?】


するとフェイが耳元で囁いてくる。


『他の嫁さんには出来ないような事をしておくれよ、坊ちゃん。』


『ふふ、悪い子ですね、フェイ。近いうちに必ず。』


『待っているよ、坊ちゃん。』


【さあ、戻りますよ。】


こうして爺さんとレガイアさんは、まだ先の見えぬ自分達の国造りの入り口に立ったのだった。

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

さて、頂いた感想などを読みながら拙者も注意して書いております。

が、稚拙なのは拙者の文章なのです。

御許しを~!

さて、黒い物と国造りと言う難しいお話になってまいりましてそれをまとめている所でございます。

皆様に楽しんで頂けるように頑張りたいと思いますのでこれからもよろしくお願いする次第であります。

それでは 次話 バイジンからのお客様(仮 で、お会い致しましょう!

お疲れ様です!


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