出会い
いつも読んで頂き、誠にありがとうございます!
執筆終わりました。
楽しんで頂ければ幸いです。
剣聖様の後をついて行くと段々といかがわしいお店の立ち並ぶ方へと来てしまった。
【ジュウベイ様、良いお店って・・・ここは色街っぽいですよ?】
「そうじゃ、酒に美味い肴。その二つに良い女は欠かせまいよ?」
スキップしていやがる・・・。
俺は判断を間違えたのだろうか?
頭を抱える。
そう言えば色街なんかあの時以来だな。
バレたらルイスに何と言われるか・・・。
しばらく後をついて行くと完全に女遊びが出来そうな所に来た。
違和感を感じるのは気候が違うので帝国はアラビアンな感じがするところだろうか?
それとも王国と違い女の子自身が呼び込みをしている所だろうか?
「ここじゃ、ここじゃぁ。鈴々ちゃ~ん!」
剣聖様が入った所は徳之島風の一角で完全に和風の区画だった。
どうやらここが御目当てのお店なのだろう。
アレだ昔にあった遊郭のような場所だ。
檻の様なイメージがあるが綺麗な格子がありその中に女性が入っていて男性が好みの女の子を選ぶみたいだ。
ひやかしも多いが男が相手を選んでいる。
せっかくアラビアンな国なのだからそっち方面にすればいいだろうに・・・。
そう言えば写真が無いんだったっけ。
魔法で何とかならない物だろうか?
仕方なく後をついて行くと女性のがなり声が聞こえる。
「こら、文無し!二度と敷居は跨がせないと言っただろう!」
店の受付になっている所から女性の声が飛んでくる。
どうやらこの店の主人の様だ。
へえ、男尊女卑のこの世界で女主人だよ。
かなりのやりてか?
そんな事を思っていると爺さんと女主人とのやり取りは続いていた。
「心配するな、今日のわしは上客じゃぞ?」
そう言って俺を指さす。
おいおい、酒は奢ると言ったが女を奢るとは言ってねえぞ?
「今までの付けもその若いのから取らせる気かい?」
「構わんじゃろう、なあ坊主?」
【・・・はあ、今回だけですからね?】
「へえ、爺にしては良い上客を見つけたじゃないさ。で、鈴々と誰を呼ぶんだい?」
女主人は俺を見て来る。
あー、諦めた。
どうせ遊ぶのなら俺好みの女の子を付けてもらおう。
【出来れば二十ぐらいのお姉様をお願いしたいんですが、あっと、巨乳でお願いします。】
「坊主・・・お主、変わっておるのう。」
「坊ちゃん、良いのかい?巨乳なんて売れ残りしかいないよ?」
【変わってなんかいませんし、売れ残り大いに結構!巨乳は正義です!】
その女主人は俺を見つめてから一人の女性に言う。
「・・・フェイ、行っておいで。」
「かしこまりました。お客様、それではこちらへどうぞ。」
おお、服から見えるはまごうことなき巨乳ちゃん!
何となくな服が全然その双丘を隠していない。
うっへっへ
今夜は楽しくなりそうだ。
あれ?
でも、なんか表情に陰りが?
「鈴々ちゃ~ん!」
「鈴々、降りといで!」
剣聖様の意中の子だろう女の子が階段から降りて来る。
「やだ、もうジュウベイ君はー!お金は持ってきたの?」
「じゃなければ来ないぞ~う!」
爺は少し遠慮しような。
「怒られないのなら良いわ。フェイ、案内してあげて。」
「はい、鈴々姉様。」
どう見てもフェイさんより鈴々ちゃんのほうが年下・・・。
っていうか爺さんロリコンかよっ!
和服のような妙に色めかしい格好をしているのだが、鈴々ちゃんの胸は大きさが分からん。
うーん、巨乳はここでも嫌われているのか・・・。
フェイさんの案内でそれぞれの部屋に通される。
・・・あれ?
俺が通されたのは座敷、その隣に布団が敷いてある部屋がある。
そこに男女が二人っきり?
「あのお、フェイさん?爺さんは何処へ?」
「上級姫とウチが一緒に飲めるわけが無いじゃないさ。別室だよ。」
おい爺さん、黒い影の話はどうなった!?
等と考えているとその女の人は二つ指を付いて挨拶して来た。
「改めまして、フェイと申します。・・・ねえ、坊ちゃん、本当にウチで良かったのですか?」
【ええ、巨乳は正義です。】
「坊ちゃん、お世辞は良いから・・・今日が終わったら、もう二度とこんな所に来るんじゃないよ?」
そんなフェイさんを改めて見る。
化粧をしているから分からないが、って白粉じゃねえか!
【フェイさん、その白粉には毒があるんですよ。一刻も早くやめた方が良い。】
「っは、皆使っているじゃないかい?坊ちゃんのくせに説教かい!?」
【本当に毒物なんですよ。もちろんそれを舐めると俺も毒状態になります。】
「・・・もしかして鉱毒かい?」
【そうです、良く知ってますね?】
「昔ちょっとね・・・今じゃあ二束三文で売られて色街の花の一人だよ。」
【昔の事を聞いても?】
「初顔が聞くには早いよ、坊ちゃん。通えば教えるさ。」
【ふむ・・・。】
「それとも坊ちゃんが身請けしてくれるかい?」
【貴女のような俺好みの女性は、出来ればしたいんですがねー。ただ俺は貴女の素を知らないので返事をしようにも返事が出来ません。】
「ふふ、頭の良い子だねぇ。それじゃあ、湯で落として来てやるからそれで決めておくれ。」
【はい、お待ちしております。】
フェイさんが化粧を落としに湯殿へ行ってしまった。
一緒に湯につかりたかったが毒状態になる訳にもいかないからね。
鉱毒などはレベル五判定のデッドリー毒と同じ扱いだからポーションでは消せない。
毒にもランクがあって一から五まである。
そのうちポーションで消せるのは四の毒まで。
これはポーションのランクが高品質の最高級品でも消せない。
レベル五のデッドリー毒を消すには5thの魔法のアーク・キュアか万能薬を使うしかない。
そして鉱毒は体に溜まる性質を持っている。
そう、使い続けるとその毒は消えなくなるのである。
ただし例外はある。
エリクサーだ。
あれはどんな病をも治すからね。
まずはフェイさんに万能薬を飲ませないとなぁ。
そんな事を考えながら戻ってくるまで手酌で酒を飲んでいる。
御店に来ているのになあ・・・ちょっと寂しい。
まだかな、まだかな?
そんな調子でしばらくソワソワして待っていると部屋の襖が開く。
「坊ちゃん、お待たせ。」
【お帰りなさい、フェイ・・・さん?】
「ああ、化粧で化けるだろう?」
【いや、素のほうが俺好みなんですが?】
「っふ、坊ちゃんのくせに生意気だねぇ。」
フェイさんにおでこを突かれる。
そして改めてフェイさんを見る。
乾かしきれていない濡れた細い黒髪は艶っぽく。
切れ長の眉も整っており、意志の強さを見せるように少し太め。
東洋系の顔立ちの美しい人。
その双眸の色は紫。
ただその瞳には力強さが無い。
何かを諦めているような、そんな事を感じさせる。
左目の外側の下に泣きぼくろがある。
それが彼女の色っぽさを更に演出している。
・・・やはり目の下にクマがある。
170cm程の高身長に見間違えの無い程の巨乳。
くびれた腰、そして大きな桃尻。
そして化粧を落とした体は思っていたよりも色つやが良い。
その体からはとても色っぽい雰囲気が出ている。
ああ、早くこの女を俺の物にしたい。
そんな事を思ってしまう程の妖艶さだ
これはナナリーさんにさえなかった物だ。
【年齢は二十歳ですか?】
「そうだよ・・・歳食ってるのは駄目かい?」
【いえ、ド直球です!もろ好みです!】
「どすとらいく?んー、やっぱり変わってるよ、坊ちゃん。」
フェイさんを抱き寄せその美しい手に触ってみる。
手には・・・あれ?
指を触ってみる。
・・・これ、何かを握って出来たマメだ。
【フェイさん、何か握ってましたか?剣ダコとも違うし・・・まさかハンマーですか?】
「そこまで分かるのかい、坊ちゃん・・・昔の話さ。」
【いや、これはそこいらの鍛冶師なんかよりも・・・。】
「良いかい、坊ちゃん。女には知られたく無い事もあるんだよ。それを初顔に教える程、私は馬鹿じゃないんだ。」
【ふむふむ、勉強になります。】
「さあ、抱いてあげるからおいで、坊ちゃん。」
両手を広げて魅惑の谷間へといざなってくるが、やる事がある。
【その前にこちらを飲んで下さい。万能薬です。】
「はいはい。飲めばいいんだろう?」
グビグビと飲んでいく。
飲みながら視線で挑発してくる。
うん、良い女だ。
だが、まだ我慢だ。
「おや、体が軽く・・・。」
【古傷は消えませんが、良いでしょう?】
「ああ、じゃあおいでよ。」
【その前にお酒を飲みましょう!】
「坊ちゃん・・・酔わせて何をさせるつもりだい?」
【ちょっと貴女に興味がわいたので、昔話を聞かせて頂ければなーと。】
「坊ちゃん、初顔には・・・。」
【分かっていますが、どうしても貴女の事が気になります。】
「ふぅ、良いかい?酒は飲む。ウチの金になるからね。ただし喋らないよ?」
【構いません。楽しくお喋りしましょう。】
「だから喋らないってば!」
【うん、素の貴女が少しだけ見えました。】
「ぼ、坊ちゃんのくせに上手いじゃないか。」
【良く言われます。さあ飲みましょう!】
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ふふふ、接待と言う修羅場で培った飲ませるというスキルを舐める事無かれ!
「らからねぇ、ヒック!ウチはいってやったのよ。ヒック。」
【ええ、で昔は何を?】
「いくらぼっちゃんでもはつがおにはいえないんだよ。ヒック。」
【その手は貴女の努力の証ではありませんか?】
「ラウ=シェンのじいさんがいうには、おまえのさいのうはここでつかうためにあるだとかいうしさー!ヒック!」
【ほうほう。】
「でもあのじいさんはさー、ヒック!でしのこのーさいのうをそだてるのにぞっこんでさー。」
【ほうほう、飲みが足りませんね。ささ、グイっと。】
トクトクと盃に酒を注ぐ。
フェイさんは、盃が満たされる前に口元に運び飲みだす。
「グビグビ・・・ぷっはあぁ~!でねえ、もういいかなっておもってやめたのよー、ヒック!」
【鍛冶師を辞めたんですか?】
「そうそう、だいいっせきとかいうのをねー。ウチもまだ20じゃないー?ほかにもなにかできることがあるかとおもってさー。ヒック!」
【で、どうしてこんな所へ?】
「たびのとちゅうでさー、ひとさらいにつかまっちゃってさー。ばいじんでおーくしょんにかけられたんだよー、ヒック!」
【バイジンと言うと商業都市国家群の?】
「そうそう、そこよー。」
【で、売られてここに来たと?】
「そうなのよねー、うんがないっつーのおー?ヒック!ラウ=シェンのじじいー、ウチのせいじゃねえぞー!」
【何がフェイさんのせいではないんですか?】
「せいけんがつくれなくなったのがよー!ヒック!」
【せいけん・・・ですか?】
「そう、ゆうしゃにささげるっていうあのせいけん~!ヒック!」
【フェイさんは聖剣が作れたような話しぶりですねー?】
「ふん!ラウ=シェンのじじいだってつくれてなかったんだよー、ヒック!」
【さっきから言っているラウ=シェンの爺さんとは?】
「いってなかったっけー?えくすぃ・すでぃらすのえめらるどのじじいだよー・・・ヒャック!もうなくなったけどねぇー!」
おいおい、エクスィ・スィデラスかよ。
そう言えばミカの師匠がエメラルド、第三席だったんじゃなかったか?
って事はフェイさんもそのうちの一人ってか?
しかも聖剣を作れるって・・・第一席しか作れないとか言う話じゃなかったっけ?
【じゃあ、フェイさんは第一席だったんですか?】
「そうだよー?かーねりあんだったおんだよー・・・そろそろこぞうじるのみたい!ヒック!」
栄光から一転して人生の終着点かよ?
攫われて売られたってまるで漫画じゃないか。
大体は分かったが・・・。
とにかくこの人はこんな所に居て良い人材じゃねえな。
カチャカチャ・・・
ん?
なんかマイサンがスースーするぞ?
「すぐにげんきにしてあげるぅ、むぐっ!」
おふっ!
マイサンが気持ち良いぞ?
その温かい感触を堪能する。
とにかくスッキリさせてあげた方が良いね。
それに俺もそろそろ限界!
【フェイ、気が済むまで相手をして上げますよ。】
「ふふ、ぼっちゃんのくせに、ウチをまんぞくさせることができるのかい?ヒッキュ!」
【では、頑張りますよ。】
「おいでよ、ぼっちゃん・・・。」
この夜は二人、激しく交じり合った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
酷い頭痛に目を覚ます。
「うーん、坊ちゃん。解毒ポーションくれないー?」
昨夜愛し合った坊ちゃんはもう・・・居ないか。
目覚めると温もりを残してあの坊ちゃんは消えていた。
色々と溜まっていたのだろうか?
喋りすぎてしまった。
嫌われてないと良いなぁ・・・。
また来てくれないかな、あの坊ちゃん。
体の相性が良かったのか、坊ちゃんの男が立派だったのか、久しぶりに気持ちが良かった。
お客としてではなく、男として愛してしまった。
それに何度も本気で達してしまった。
こんな事は今までなかった。
坊ちゃんのくせにやるじゃないか。
一夜限りの事とは言え少し寂しい。
「坊ちゃん・・・名前を聞いておくんだった。」
聞けなかった物は仕方が無い。
まあ、また会えるさね。
起き上がると手に粘着質な感触がある。
見回すと布団の回り中、二人の体液だらけだった。
「うへえ・・・。」
坊ちゃん、出しすぎだから!
「ふふっ・・・醜いウチでもこんなに感じてくれてたんだね。」
あの逞しい物を思い浮かべる。
顔に似合わない物を持っていた。
ああ、惜しい事をした。
こんな気分は初めてだった。
起きたのが分かったのだろうか、下働きの子供が部屋にやって来た。
汚れた衣服や布団を桶に入れて渡す。
あー、二回も着替えたから、今日は着る物が無いや。
まあ、こんなのが二つもついているんだ。
客なんか・・・。
坊ちゃん、また来てくれないかなぁ。
「フェイの姉さん。主人がお呼びでございますよ。」
襖越しに声が掛かる。
「すぐに行くーって言っておいてぇ。」
「かしこまりました。」
そう言うと気配が無くなる。
「チェー、上客を逃がしたって怒られんのかなぁ?」
うー、深酒しすぎた。
頭が割れるように痛い
出来ればこの状態で小言を聞くのは嫌だ。
でも行かなければ折檻が待っている。
仕方なく受付に足を運ぶ。
「呼んだかい、主人様~?」
【おはようございます、フェイさん。】
「あれー、坊ちゃんじゃないか!どうしたのさー?忘れ物かい?」
まだ居てくれた。
自然と笑顔がこぼれる。
【ええ、今、降りて来て下さいました。】
「若旦那、こんな子だけれどよろしくお願い致しんす。」
「それじゃあ、行きましょうか・・・って裸じゃないですか?」
起きたばかりなのだ当り前だろう。
それに行きましょうかって何の事だい?
「んー?坊ちゃん何を言っているのさ?」
【ああ、貴女は今から俺の女です。】
「はあっ!?」
俺の女って何だい?
「フェイ、アンタはこの若旦那に身請けされたんだよ。」
【ローブとサンダルしかないや、とりあえずこれを着て下さいね?】
「何を冗談を・・・。」
突然の事に頭が回らない。
涙が出て来る。
嘘だ!
こんな醜いと・・・巨乳のウチなんかを!?
しかも初顔の坊ちゃんが!?
【支払いは済ませましたので行きますよ、フェイさん?】
「な、何が起きているのさ?」
もう一度確認する。
【貴女を身請けしました。】
「どちらさんが?」
【俺がです。】
「見ず知らずのウチを!?」
【うーん、その通りなんですが、一夜で貴女が欲しくなりました。】
「ど、どういうこったよ?」
【まあ、まずは朝御飯と行きましょう。】
笑顔が眩しい。
嬉しくてしょうがない。
でもその前に欲しい物がある。
「あ、ああ、っと、その前に!坊ちゃん・・・解毒ポーションないかい?」
せめて頭の中身だけは綺麗にしよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
フェイが支度を整えると店を出る。
しばらく歩き歓楽街から出る。
プルスィオス商会の朝早くからやっている食堂を見つけた。
話をするには良いかもしれない。
それに腹も減った。
店に入り席に落ち着くと、まだ信じられないのかフェイが話しかけて来た。
「へ、へぇー、ウチごときをねー。坊ちゃんがねー・・・。」
【フェイさん、俺には貴女が必要なんです。付いて来て下さいませんか?】
「ぼ、坊ちゃんがー、それで良いって言うならついて行くしかないさね。」
【では、よろしいですか?】
「ああ、将来、ウ、ウチの旦那様になってくれるんだろう?」
【うーん、そこは俺が頑張る所なんですよねぇ。】
「頑張るって何さ!昨日あれだけやったろう!」
【ふふ、泣き叫ぶ貴女も可愛かったですよ。】
「そ、そう言う事は女の前で言う事じゃないさね!」
【ふふ、ではフェイ、貴女には期待していますよ?】
「期待ったって何も出来ないよ?」
【貴女には鍛冶の腕があります。そしてそれはまだ極めておりません。】
「良いかい、坊ちゃん。昨日も言ったけれど、極めたんだよ。ウチの作った武器でも鑑定でもしてみるかい?」
【では、代わりにこの武器を鑑定してみて下さい。】
鋼の相棒を取り出す。
フェイの目つきが変わった。
「ほぉ~、上等な鋼の武器だね。良いのかい?」
【ええ、鑑定して下さい。】
「「鑑定」・・・っは?ぶ、武器ダメージが70!?そ、そんな事が!?」
【ええ、もっとよく見て下さい。】
「武器ダメージ以外にもプロパティーが付いているだって!?ど、どういう事だい坊ちゃん!」
【それは俺が作り上げました。ちなみに練成してあります。】
「練成だって!?あの無くなったと言われてるスキルかい?」
【そうです、どうですか?これでもまだ極めたと言えますか?】
「・・・。」
【フェイ?】
「ねえ、坊ちゃん。」
【何ですか?】
「一つだけ正直に答えてくれるかい?」
【構いませんよ?】
「坊ちゃんは、ウチの鍛冶師の腕が欲しくて身請けしたのかい?」
【もちろん、それもありますが・・・フェイが俺好みの女だからですよ。】
「な、なら良い。好きに使っておくれ。」
何か顔が真っ赤になったぞ?
ああ、期待させてしまったか?
【ええ、また喜ばせて差し上げますよ、フェイ。】
「は、はい。ぼ、若旦那様。」
【ただし、身も心も化粧はしない事。良いですね?】
「・・・分かったよ、坊ちゃん。やっぱり変わってるよ。」
【さあ、朝御飯を食べましょう。ここのラーメンは結構いけますよ?】
「へー、これが噂のらーめんなんだ。」
二人で楽しく朝食を食べる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
路地裏でゲートを開きフェイと共に宮殿の部屋に戻って来た。
「はあ、坊ちゃんは宮殿にお住まいなんですか?」
【いや、仮に住まわせてもらっているだけだ。俺は王国民なんだよ。】
「王国と言うとガリファリアかねぇ?」
【そうだね、オーカムの出なんだ。】
「オーカムと言うと、ドリュカス老の治める辺境の・・・確か七大悪魔が復活したとか言う?」
【ああ、そうだよ。】
この子、結構情報を知っているな。
さすが遊郭にいただけはあるな。
あそこは色々な情報が集まるだろうからね。
部屋に入るとルイスとサーラとセリスが待っていた。
フェイを見ると場が凍り付く。
そしてフェイが元エクスィ・スィデラスの第一席だった事と、遊郭でその才能を埋もれさせるのはもったいなかったとの事を皆に話した。
「・・・ねえ、貴方。」
【何でしょうか、ルイスさん。】
「昨日はこんな事になるなんて思わなかったのですけれど?」
【で、ですよねー。剣聖様に付き合ってたらいつの間にかいなくなっててさー・・・。】
あの爺、奢らせるだけ奢らせていなくなりやがった。
黒い影の件はどうなっているんだ?
「だ、旦那様、こ、こ、こ、この女性は!?一体どう言う事なのですか!」
【セリスさん、まずは腰の物をしまおうかね。】
「酷いです、ヘファイストス様。これじゃあ私だけが・・・。」
【いやあ、こういう物は一期一会っていうじゃないか?】
「なんですかその一合一芸って?」
「一期一会、一生に一度だけの機会や出会いを大切にする事だよ。お嬢さん。」
【ほう、フェイは教養もあるんですね。】
「「「・・・。」」」
【とにかくですよ、元ですがエクスィ・スィデラスとしての彼女の実力は何としても欲しい所でした、と言う訳でよろしくね、皆。】
「わ、私は構わないけれど、ナナリーさんがどう言うかよね?」
ルイスさん、まずはその怒りマークを収めようか?
「そうです!ナナリー殿を説得するべきかと!」
セリスさん、ものすごく必死なのですが?
「私の立場が・・・。」
ごめんね、サーラさん。
でも、この機会を逃す訳にはいかなかったんだよ。
「坊ちゃん?名前はヘファイストスって言うのかい?」
【ああ、名乗っていなかったね。俺の名前はヘファイストス。鍛冶師だ。冒険者でも料理人でもない。】
「と、言う事は坊ちゃんが創造神様を降臨なされたと言う噂の?」
【そう言う事になっているね。】
「失礼致しました、至高なるお方。どこまでもついて行きます。」
【フェイ、その至高なるお方という呼ばれ方は好みではありません。】
これ以上変な呼び方を増やされてたまるかー!
「し、失礼致しました。坊ちゃん!」
【よろしい、以後、気を付けるように。】
「は、はい!」
フェイはホッとしたようだ。
怒ってないんだけどな。
【それで、ナナリーさんの所に話に行って来るけれど、着いて来たい人はいるかな?】
「私は行くわ、リズ達とも会いたいし・・・。」
「私も行きます!見届けさせて下さい!」
「私は、残念ですが公務の為に離れる事が出来ません。ルイス殿、サーラ殿頼みますぞ?」
「ええ、セリスさん。」
「わっかりましたー!」
ガシッっと三人が手を取り合っている。
何か友情が芽生えたようだ。
【じゃあ、行こうか。朝だからまた洗濯かな?ああ、時差があるか。】
「坊ちゃん?」
【どうしたの、フェイ?】
「まずは皆様を紹介しては頂けませんか?」
【ああ、そうだよね。んっんっ・・・まずは俺の嫁のルイスだ。】
「フェイと申します、よろしくなぁ、ルイスさん。」
「こ、こちらこそ。フェイさん。」
「ふふ、嫁さんかぁ、羨ましいわぁ。」
【それで、二番目に紹介したいのが王国にいるナナリーさんだ。】
「その方が二番目さんですか、坊ちゃん?」
【そうです。そしてこれから会いに行く人です。】
「かしこまりました。」
【次は】
「はいはい!ヘファ師匠の弟子にして鍛冶のパートナーのサーラです!」
「ほう、鍛冶の・・・。」
「む・・・元エクスィ・スィデラスでも負けませんからね!」
「良い気概やな、まあ、坊ちゃんの為に頑張りなさいな。」
「っくー!この余裕!悔しいー!」
【次はセリスだ。】
「セリス・フォン・アストゥラピ・クヴァールである!」
「この国の第三皇女様やね、よろしくなぁ。」
「こ、こちらこそ!」
フェイはたたずまいを直すと皆に挨拶する。
「改めまして、ウチはフェイと申します。今はただのフェイですが、必ずや坊ちゃんのお役に立って見せましょう。」
【これで良いかな?・・・大丈夫な様だったらナナリーさんの所へ行こうか。】
「分かったわ、貴方。」
「わっかりましたー!」
「頼んだぞ、御二方!」
「分かったよ、坊ちゃん。」
こうして再び王国のいつもの宿に戻る事になった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
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それでは 次話 国としての在り方(仮 で、お会い致しましょう!
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