初めてはライトニング
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!
執筆終わりました。
お楽しみ下さい。
【ティアさんやー?ティアー?】
いつもの石棺の場所にいない、まだ明るいから窓辺にもいない。
何処いったのだろうか?
すると突然足元の影からティアが出てきて俺を抱きしめる。
【ダーリン、あの女神と会ってたでしょう?】
【あの女神って・・・だけど本当に何でも分かるんだね。】
【当り前よ。本当は駆けつけて殺してやりたかったわ・・・でも、あの女神の領域では無理ね。】
【ティア、そんな事を言っちゃあ駄目だよ。それでさ、遅ればせながらお礼をお持ち致しました。】
【・・・本当よね、あんな女神にうつつを抜かして私の事を忘れるなんて!】
【ごめんって・・・この通り。許してよ、ティア。】
掌を付けて頭を下げて、ごめんなさいをする。
【・・・ダーリン。】
【はい、何でしょうかティアさん!?】
【さ、さっさと出しなさいよね。】
【ははっ、ティア様。早速切り分け致します。】
【ふふん、分かっているなら良いわ、今回だけは特別に許してあげる。】
【それでは、早速。】
そう言って切り分けると一手間加えてティアの前に差し出す。
【ミルクレープの生クリームと『苺』添えでございます。】
この世界の苺は甘酸っぱいので良いアクセントになるだろう。
【これよ、これを待っていたの!】
【是非ご賞味ください、ティア様。】
【ねえ、ダーリン。】
【何でございましょうか、ティア様。】
【それよ、その物言い、似合わないわよ?】
ガガーン!!!
御機嫌を取っていたつもりなのに通じていないだと!?
決まっていたと思っていただけに結構ダメージが・・・。
【何してるのよ、ダーリン。お代わりよ。】
【わ、分かったよ、ティア。】
そして作って来たミルクレープやアイス、ケーキを全て平らげると満足したのか話しかけてくる。
【ダーリン、あの女神の件で無茶をする時は、私かアセディアを頼りなさい。良い?】
【それは頼もしいけれど・・・良いのかい、ティア?】
【あ、あの女神のせいで私の物が無くなるのが嫌なだけよ!】
【ふふ、その時は頼むよ。】
【ええ、頼まれてあげるわ。後、気持ちが良いをさせなさい。】
【分かったよ、ティア。】
横に座ってティアを抱きしめる。
【・・・足りないわね。】
【足りない?】
【ダーリン、口付けと言う物をしてみなさい。】
【ティアさんや、それは・・・その・・・。】
【何?嫌なの?帝国の姫には出来て私には出来ないの?】
【させて頂きます!】
そこまでは見なくても良いんですよ、ティアさんや。
ティアの顔に顔を向けるのだが・・・目を瞑ってくれない。
前にも何処かであった記憶があるんだが・・・。
あれはナナリーさんだったか?
【ティアさんや、目は瞑ってくれないのかね?】
【なんで瞑るの?】
【キ、口付けをする時は目をつむるのが礼儀なんだよ。】
【人族は面倒ね、いいわ。】
良かった、素直に目を瞑ってくれた。
それでは・・・。
キスをする。
それは唇を付けるだけのフレンチ・キスだった。
だがティアは驚いたように凄い勢いで後退る。
と言うか俺と距離を取る。
【ど、どうしたの、ティア?】
唇を抑えながら答える。
【ライトニングを乗せるなんて。油断したわ!】
【そんな事するか!】
【でも確かに・・・。】
【それで、どうだったのさ?】
【ライトニングが・・・。】
【それはもういいって!】
【・・・ダーリン、もう一度口付けをしなさい。】
【ティアの気の済むまで付き合うよ。】
そう言うとティアが近づいて来た。
もう一度キスをするのだが、また後退る。
【も、もう一度よ。】
【おう。】
【もう一度!】
【ティアさんや、何かあるのかい?】
【ライトニングが落ちて、心臓が跳ね上がるのよ・・・何故かしら?】
ライトニングて・・・。
心臓が跳ね上がるて、貴女。
そんな乙女のような事を言ってどうしたの?
ん?
乙女?
ティアってもしかして・・・。
【ティア、ここに座ってごらん。】
【え、ええ。】
【こちらを向いてくれるかな?】
【それでどうするの?】
【もっと凄い事をするんだよ。】
【もっと凄い事?】
【そう、目を閉じて・・・そう、そのまま・・・。】
両手をティアの顔に添える。
ゆっくりと唇を奪う。
そして舌をねじ込むとティアは驚いたように逃げようとする。
だが両手で顔を固定しているので逃げられない。
口の中を蹂躙する。
しばらくそうしているとティアの体から力が抜けて来た。
まだまだこの唇、口を味わいたい。
そして気が済むと開放する。
【どうだい、ティア。これが本物の口付けだ。】
【・・・。】
【ティア?】
【・・・。】
【ティアさんや?】
【こ、これが口付けなの?】
【そう、恋人同士で行う口付けだ。】
【恋人?】
【そう、恋人。】
【ダーリンにとって私は恋人なの?】
【・・・そ、そんなようなものだ。】
【ダーリン、続きをしなさい。】
【何度でも。】
そう言ってキスをする。
今度は逃げない。
それどころか舌で応えてくれる。
心地良い。
しばらく味わうと口を放す。
【・・・これは何という気持ちなのかしら?力が溢れる・・・っ!?心が温かく感じる、心臓がドクンドクンする!それに気持ち良いより気持ち良い!】
・・・これは、恋なのでは無いのだろうか?
俺が己惚れていなければなのだが。
【ねえ、ダーリン!この気持ちが、気持ち良いがもっと欲しいわ!】
【もっと口付けをしろって事かな?】
【そう!もっとして頂戴!】
【ティアさんや、そんなにがっつかなくても、ぬごっ!】
ティアからキスをされた。
舌が口内を蹂躙する。
それに応えるように舌を動かす。
【もっとよ!もっと欲しいわ!】
やばい、何か変なスイッチを押してしまったか!?
【ティアさんや、少し落ち着くと、むごっ!?】
こうしてしばらくティアとキスをして過ごした。
ティアは落ち着いたのだろう。
しばらくすると俺を放してくれた。
【満足したかい、ティア?】
【きょ、今日の所はよ。】
【嫌じゃなければまたしようね。】
【え、ええ、期待しているわ。】
【何で顔を見てくれないのかな?】
【今見ると襲い掛かりそうだからよ。】
【そ、それは怖いね。】
【・・・また来なさい、ダーリン。】
【また来るよ、ティア。】
【今度は早く来なさいよね!】
【分かったよ、ティア。】
そう応えて遺跡を去る。
今度はもっと早く来るよ、そう思いながら。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
城に戻り部屋に入るとルイスとサーラが待っていた。
「お帰りなさい、貴方。」
「お帰りなさい、ヘファ師匠。」
【ただいま、ルイス。サーラ。】
「それで、どうだったの?」
「怒ってませんでしたか?」
【大丈夫だよ、良い子なんだから。】
「「・・・。」」
【な、何かな?】
「口に口紅が付いているのは何故かしらね、貴方?」
「どうしてなんでしょうね、ヘファイストス様?」
二人はニコニコしている。
【いや、あのね、その・・・。】
「うん、その何なのかしら?」
「何なのでしょうね?」
【いや、だって仕方がないじゃないか。ティアに求められたんだよ。】
正直に答えた。
すると二人が対抗意識を燃やして来た。
「気持ち良かったのかしら?それなら私が上書きしてあげるわ。」
「私も!私も!」
【そう言う問題なの!?】
「そうね、そう言う問題なのかもしれないわ。」
「そうです!そう言う問題です!」
【ちょ、ま!?】
こうしてルイスとサーラからキスの嵐を受けたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここはとある寒村。
「ふう、秋の実りまでまだ時間はあるわね・・・それにしても、皆は元気かしら?」
まだ青々とした小麦畑を見る。
うん、今年も豊作だろう。
だが小麦の買取は下がる一方だ。
村では違う作物を作ろうと言う事になったのだが断固として反対した。
「・・・ダーリン、信じているからね?」
そう、きっとあの人が、あの人達が何とかしてくれるはずだ。
例えば小麦を大量に消費してくれるようなそう、生活が楽になるように・・・。
ノモス様だっている。
きっと大丈夫よね。
「エカテリーナ!・・・おい、エナ!お前にお客さんだぞ!」
「誰よパパ、忙しくはないけれど忙しいのよ?」
「エナ嬢。元気じゃないか。」
「エナさん、元気そうで何よりね。」
「エナさんが元気なのは当たり前として・・・これ全部小麦ですか?」
「ふむ、この村の小麦も順調ですね。ノモス侯爵、村長と話をしに行きます。」
「御一緒致しますよ、セリス様。」
相変わらずダーリンの好みの女性達だった。
負けないわ!
いずれ私にも目を向けてくれるのよ!
などと考えていたらその思い人から声が掛かった。
【やあ、エナ。様子を見に来たよ。】
「ダーリンじゃない!待っていたわよ!でも、急にどうしたのよ!」
【言っただろう?様子を見に行くって・・・言ってなかったっけ?】
「聞いて無いわよ!」
嬉しくて飛びついてしまった。
久しぶりのダーリン。
見に来てくれてありがとう!
それだけでも嬉しいわ!
【それでね、エナ。村長さんには話が行くと思うんだけど小麦を高値で買い取れそうなんだよ。】
「そうなのね!さすが、ダーリンよね!」
【まあ、待て待て。両親や村人を呼んでくれるかな?】
「あ、挨拶なのね!?やっと結婚かしら?」
【そんな話はしない!】
「もう、いけずね!すぐに皆を呼んでくるわ!」
「エナさん、相変わらずね。」
「元気そうで何よりですよ。」
【まずはテーブルと椅子の準備だ。二人とも頼めるかい?】
「「ええ、任せて!」」
両親を呼ぶとノモス様が貴族だと分かって恐縮している。
それにあのセリスと言う女性だ。
王族と知ってからは村長や村人の態度があからさまに変わった。
【御両親、初めまして。王国に居る間、エナには凄く助けられたんですよ。それで、お礼と言う訳ではありませんが・・・。】
ダーリンが用意されたテーブルの上に紙で作られた箱を置いていく。
席に着いた村人達が何事かと注目している。
【実は、これらが小麦から作れましてね。皆さん、食べてみて下さい。】
ダーリンがそう言うと女の人達が箱を開けて行く。
良い匂いがする。
そう言えば村に戻ってからは二食になったのよね。
「あのう、貴方様はどちら様で?」
【ああ、紹介がまだでしたね。帝国では名誉子爵の位を賜っております。鍛冶師のヘファイストスと申します。】
「え!?貴族様でしたか!これは失礼を!」
「「「失礼致しました!」」」
皆が慌てて土下座しようとするのをもちろんダーリンが止める。
【皆様方、この村は、エナはある意味私の恩人なのですよ。かしこまらないで下さい。】
「そうです、私は妻のルイスと申しますが平民です。この人は人の上下を気にしませんので普通に接してやって下さい。」
「その通りです。ヘファ師匠は逆にかしこまられたりするのが嫌いなんです。」
【皆様方、まずは料理を食べて頂けますか?まずはピザと言う物でございます。こちらはお好み焼きです。】
村人達が姿勢を正しテーブルに着くとダーリンが声を掛ける。
【二人とも切り分けてくれるかな?】
「「分かったわ。」」
そしてパパとママ、私や村人の前に料理を並べて行く。
【まずは召し上がって下さい。貴方がたの作っていらっしゃる小麦で作られた料理を!】
「こ、これが小麦から!?」
「こんな物が作れるのですね!」
「ふふん、ダーリンの実力をもってすればこの程度!」
「エカテリーナ!何と言う事を!」
「そう言えば・・・さっきからダーリンて・・・?」
「そうよ!私とダーリンは、ムグムグ」
ダーリンに口を押えられてしまった。
これからが良い所だったのに!
【ま、まずは食べて下さいませ。】
「「「そ、それでは・・・。」」」
「モゴモゴ!」
【エナさんは良い子だから黙っていようか?】
「こ、これは美味い!まさか小麦からこのような物が出来るとは・・・。」
「美味しい・・・こちらも、これも!子爵様、これが小麦から?」
【そうです、貴方がたが一生懸命に育て上げた小麦から作りました。】
「そうですか・・・このような物が出来るのですね。」
【ええ、レシピも置いて行きますのでこれからは主食と呼ぶにふさわしくなりますよ。】
「「「ありがとうございます、子爵様。」」」
ありがとうね、ダーリン。
「それで、子爵様。エナとはどのような・・・?」
【ああ、子爵ではなくヘファイストスと呼んで下さい。】
話を誤魔化されたわ!
「「「し、しかし・・・。」」」
「夫の言う通りにしてあげて下さい。何も怖がる事はありませんから。」
「そうです!ヘファ師匠はとても素晴らしい人で・・・。」
【サーラ、それぐらいで。】
「はーい。」
「貴方、そろそろ、デザートも切り分けた方が良いかしら?」
【あっと、そうだね、ルイス。取り出しますので後は任せます。】
「任せて、貴方。」
【・・・サーラと力を合わせてやるんだよ?】
「もう、切り分けるぐらいは出来るわよ!」
「では、皆様。デザート、甘味です。」
「「「おおっ!」」」
そう言うとダーリンはまた白い箱を取り出した。
【このデザートはミルクレープと言いまして、これも小麦から・・・。】
この日、私達はつかの間の再開を楽しむのだった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
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それでは 次話 第三幕 第三章:力と言う物
勘違いからの騒動 で、お会い致しましょう。
お疲れ様でした!