御転婆姫
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます。
執筆が終わりました。
お楽しみ頂ければ幸いです。
部屋に入ってくると頬を染めて俺を見つめて来る。
「第三皇女のセリス・フォン・アストゥラピ・クヴァールです、この度、アーサー殿の接待役に任ぜられました。よろしくお願い致します!」
ビシっと格好良く敬礼してカツッと靴の踵を合わせる。
帝国の軍服を着た金髪縦ロール、目は青、肌は褐色の巨乳美女がそこにいた。
「「【・・・。】」」
「何かございましたか?」
【いえいえ、それで接待役とは?】
「この帝国にいる間は、私に何でもおっしゃって下さい。その為の接待役です!」
「「【・・・。】」」
「まだ何か?」
【いえ、とりあえずお掛けになって下さい。】
「皆様が座りましたら遠慮なく!」
【・・・とりあえず座ろうか?】
皆でソファーに座る。
皇女様の事を思い、男性と女性で別れるようにだ。
すると皇女様が俺とノモスの方に寄って来た。
【皇女殿下はそちらの女性が座られている方でよろしいですか?】
「アーサー様のお隣で結構です!」
「待って下さい、皇女殿下。ここにはアーサー嫁がいるのですぞ?」
「構いませんわよね、そこの貴女。」
ビシッっとルイスを指さす。
「え、ええ、構いません。」
ルイスさん、その額の怒りマークは抑えてくれないかな?
後、顔が引きつってますよ!
その皇女殿下は、俺とノモスの間に強引に座るとおっしゃっていらっしゃる。
「アーサー殿、貴殿の『武』には勉強すべき点が多いと思います!」
【はぁ。】
手を握られた。
詰め寄られた。
頬を染めた顔が近い。
チラリと横を見るとルイスが不機嫌な顔をしている。
・・・後が怖い。
「貴殿の時間の空いている時に鍛錬を見て頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
【手が空いていたら構いませんが?】
「それでは、早速お願い致します!」
【ええ、構いま・・・え?早速!?】
「はい、武の真髄を是非!」
「アーサー、気に入られたようだな。」
ノモス、何をニヤニヤしているんだい?
しかし何かした覚えはないんだが。
しいて言えば人工呼吸を・・・。
いや、だってあれは医療行為ですよ?
ノーカウントでしょう?
だが、これは逃げられんな・・・。
「アーサー、ルイス嬢とサーラ嬢の事は任せてくれ。」
【頼んだ・・・ノモス。】
そう言うと皇女様の強引な案内で練兵場へと向かう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ルイスがいなくなるとその行動が段々と露骨になって来た。
最初は前を歩いて案内していたはずなのだが、今では腕を組んで胸を当てて来るようになった。
【皇女殿下?少し近くありませんか?】
「貴殿はこのような事が好きだと聞いたぞ?」
いや、好きですけれどね?
後、誰から聞いたんだ?
【動きづらくはありませんか?】
「貴殿は動きづらいのか・・・?」
【いえ、そんな事は!】
「ならば良いではないか。」
【は、はあ・・・。】
「それと私の事はセリスで良い。」
【流石にそれは・・・。】
「貴殿にはセリスと呼んでほしい。」
【分かりましたよ、セリスさん。】
「呼び捨てで良い。」
【最大限の譲歩です、セリスさん。】
「・・・貴殿も巨乳は嫌いか?」
またか!
どうしていつもこの話題になるのだろうか?
【いえ、俺は好きですよ?】
「それならば良い!」
良い笑顔をするじゃないか。
しばらく歩くと練兵場に着く。
隅の方なので誰もいないのだろうか?
遠くの方で兵達の声が聞こえる。
そんな微妙な静けさの中声が掛かる。
「貴殿の得物は剣か?」
【基本は剣ですね。】
「基本か・・・。」
俺から離れると壁に掛かった木剣を取りに行ったようだ。
【一般武器なら全般で扱えますよ。】
「貴殿は何でも出来るのだな。」
【そうですね・・・。】
「・・・私の言っているのは料理の事だ。」
【料理の事でございましたか。】
「それに、毎日妻の料理を食べているのだろう?何故に自分で作るのだ?」
その妻は料理が壊滅的なんですよ。
「私には出来ない事だ。」
【作っていれば出来るようになりますよ。】
「私には出来なかったのだ、それで剣の道を選んだ。」
【それで剣の扱いが上手かったのですね。】
「だが貴殿に打ちのめされた。」
【それで鍛錬を?】
「そうだ・・・では、稽古をつけてくれ。」
【ええ、結構ですよ。】
木剣を投げて来る。
受け取ると構えを取る。
【では、打ち込んで来て下さい。】
セリスさんが構えを取る。
「ハアッ!」
カン!
「セイッ!」
コン!
しばらく付き合う。
100程剣を振っただろうか?
セリスさんが意見を聞いてくる。
「ハアッ、ハアッ、ど、どうだ、私の剣術は?」
スキルは六十上ぐらいかな。
オーカムの冒険者のスキルの平均値がが三十~四十なのを考えるとこの世界では強い方に入る。
ダンが七十上ぐらいだろうからまだまだ伸びしろはある。
ただ・・・。
【セリスさん、何か迷いがありますね?】
「なっ!?」
【それが剣に出ていますよ、打ち込みにムラがあります。】
「貴殿は何でも分かるのだな・・・。」
何か悩みがあるのだろう。
ただし、それは聞いても良い物なのだろうか?
そんな考えをよそにセリスさんから声がかかった。
「貴殿、陛下の事をどう思われた?」
【本日、初めてお会いしたのですが・・・?】
「それでも良い、貴殿の評価を聞きたい。」
【懐が深く、平民でも分け隔てなく接する事の出来る度量。皇帝として頂点に立つのに相応しい人物かと。】
「貴殿の評価は的を射ている。だがな現宰相のトゥリトス兄上には覇気がない。内政や外交官としてはそれでも良いだろう。」
【それで俺に何を聞きたいのですか?】
「そうだ、そこで貴殿の意見だ。トゥリトス兄上にはその後に、陛下の代わりになるにふさわしい者とは思えぬ。帝国を引っ張っていく人物が見当たらんのだ。」
【・・・。】
「今、宰相を務めている兄上は、第一王子とは言ってはいるが実際には第三王子だった人物だ。」
【元第一王子と第二王子はどうされたのですか?】
「第一王子の兄上は食事中に毒を飲まされて死んだ。第二王子の兄上はメイドに手を出したらそのメイドが蜜壺に毒を仕込んでいて交わって死んだ。」
後継者あるあるですなぁ・・・。
【・・・それは継承権争いと言う奴ですかね?】
「そうだ・・・私は毎日殺されはしまいかと恐れておる。」
【第三皇女である貴方が背負う事ではありませんね。】
「・・・何故だ。」
【まずは、貴女様には利用価値があるからです。外交と言う利用価値が。】
「貴殿は、利用価値があるから私が殺されないと言うのか?」
【憶測ですが・・・それに第三皇女と言えど王位継承権は低いのでしょう?】
「ああ、陛下には後継者として、成人男児が十七名いるからな。女の私の継承権は低い。」
この世界は男尊女卑が強い。
その為、女子の継承者はかなり順位が低いはずだ。
【先程も言ったように、跡継ぎが決まれば、貴方は好きでもない何処かの誰かに嫁ぎに出されるのですよ。】
「貴殿の言う通りだ。」
【貴女様はそれでよろしいのですか?】
「・・・よろしいも何も国の為になる事であろう?」
【それは自己犠牲と言うのではありませんか?】
「大姉様も姉様も望まぬ相手に嫁いだ、次は私の番なのだ。」
【次は自分の番って・・・次々と自分で結婚話をぶち壊しているらしいじゃないですか。】
「私は自分より弱い男とは結婚しないと決めているからだ。」
セリスさん、覚悟があった訳ではないのかね?
「だが、私の前に貴殿が現れた。」
ん?
何か雲行きが・・・。
「私の心は揺れている、貴殿に嫁ぎたいと思っている自分がいるのだ。」
・・・今度はこう来たか。
「私はどうしたら良いのか・・・分からぬ。」
【一言、言っておきますね?俺は継承権になんか興味がありませんよ?】
「そうだ!貴殿には欲が無い、そして強い。底の見えぬ程に、それに・・・。」
【それに?】
「貴殿は私の胸を見ても醜いと思っている様子が無い。」
【ええ、巨乳、しかも美人の女性は大好きですからね。それは性格も合えば、と言う事が前提ですが。】
「私は貴殿を好ましく思っている。」
セリスさんや、キラキラした目でこちらを見るのはやめてくれないかな?
「こんな気持ちは初めてなのだ・・・。」
いや、話から察するに初恋の相手が俺なのか?
いやいや、そんな事がある訳・・・。
うっほん、えっほん!
ここは年上としてアドバイスするのが良いだろう。
【セリスさん、もっと自由にされては?】
「自由とは?」
【自分自身に役目を押し付けすぎなのですよ。】
「役目?押し付ける?」
【俺なら外交の道具になるなどまっぴらごめんですね。】
「それは貴殿が皇族ではないから分からぬのだ!」
【確かに皇族ではありませんし、その気持ちを分かろうとも思いません。】
セリスさんは俺の胸に顔をうずめると言ってくる。
「いっそ貴殿がもらってはくれまいか?」
【セリスさん、俺には嫁がいます。予定の人も一人います。】
「貴殿の三番目でも良い、もらってはくれぬか?」
【他にも待たせてる人もいますのでそれは難しいですね。】
「何番目でも良いのだ!貴殿は・・・私の事をどう思っているのだ!?」
癇癪おこしたー!
【こ、好ましくは思っておりますよ?】
「では!もらっては・・・くれまいか・・・。」
【セリスさん、俺達は今日お会いしたばかりです。】
「それが何か問題があるのか?」
【大ありです、俺は貴女の事を知らない、知らない事が多すぎる。】
「では、もっと知ってくれれば、更に好ましく思ってくれるのだな!」
【それはそうですが・・・。】
「ならば、語り合おうではないか!」
【ええ、結構ですよ。】
どうやら落ち着いてくれたらしい。
「ならば剣を取れ!」
嬉しそうに肉体言語!?
【はあ・・・仕方がありません、気が済むまでお相手致しましょう。】
カン!
カン!
その音はしばらく練兵場に響き渡っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「婚約早々、鼻の下を伸ばしちゃって!知らないんだから!」
「ルイス嬢、そんなに怒らないでくれないかな?」
「ヘファ師匠の三番目は私なん・・・でもありません。」
ルイス嬢の視線が怖かったのだろう。
「それでは、帝都を案内致しましょう。」
「ええ、気晴らしにお願い致します。」
「鍛冶場とかも見れますかね?」
「御希望とあれば案内しよう。」
「希望します!ルイスさんも普段のヘファ師匠の職場を見ておいた方が良いですよ!」
「そうね、どんな事をやっているのか気になるわ。」
「では、行くとするか。二人ともはぐれないようにな。」
「はい、ノモスさん。」
「はーい!」
馬車に乗りしばらく城壁沿いの道を進む。
まず案内したのは食堂だった。
「この食堂はアーサーのおかげで帝都内に三十店舗開いているんだ。」
「一階部分だけですが、いつもの宿みたいですね。」
「そうだ、参考にしている。」
「ヘファ師匠の料理がここで食べれるんですか?」
「そうだ、サーラ嬢。限りなく近い物、だがね。」
「「限りなく近い?」」
「そうなんだ、俺の舌では・・・だがね。」
「へー、さすがはヘファ師匠ですね、ルイスさん!」
「え、ええ、そうね。」
「アーサーの味は忠実に再現出来ない、妥協した末の味と言った所だ。」
「そうなんですね。」
「今の時間でも賑わっているんですね。」
「そうだ、小麦を使った料理。食べて帰ればそのレシピをもらえるようになっている。」
「「へー・・・。」」
「次は俺の商会を見てもらおう。」
「「是非!」」
馬車で港に向かう。
「うわ、広いですね!」
「そうね、伯爵様の家が何軒建つのかしら?」
「事務所へ行ってくれるかな。」
「かしこまりました、旦那様。」
御者に言うと事務所に向かう。
馬車が到着し皆で降りる。
「ここが俺の店の本店だ。」
「馬車から見てはいたのですが、広いですね・・・。」
「どのぐらいの大きさがあるんですか?」
「倉庫部分で王城が二個は入る。そして港と隣接する事でその利便性を活用出来ているんだよ。」
「あのお城が二つ・・・想像がつきませんね。」
「広いって事だけは分かりました!」
「ちなみに、アーサーと会ったのはここだ。」
「あの人も来ている・・・そうですよね。ノモスさん改めて、ありがとうございました。」
「ルイス嬢、アーサーとは親友だ、その親友が困っていたんだ、助けるのは当然だろう?」
「それでもです、妹達や街の人々が飢えなかったのはノモスさんのおかげです。」
「まずはその頭を上げてもらおうか、ルイス嬢。君達は似ているな。」
「似ている?」
「アーサーにも同じ事をされたよ。」
「あの人も同じ事を・・・。」
「そうだ、そしてその元は十分に取れる、いや取れた。」
「そうなのですか?」
「ああ、一介の商人が今では侯爵位を頂いたんだぞ!これは前例が無い事だ!」
「会頭、こちらにいらっしゃいましたか。」
「おお、バウマン聞いてくれ!」
「侯爵位、おめでとうございます!」
「流石に耳が早いな、ありがとう。これもお前達の力添えがあったからだ。」
「それで、神都からファリスが戻ってまいりました。」
「そうか、今夜・・・は無理か。後日、話を聞こう。」
「かしこまりました。」
「バウマン、俺は彼女達を案内して来る、後を頼む。」
「かしこまりました、会頭。」
「では次は市場だ。ここではね・・・。」
そう、こちらこそ感謝しているんだぜ、親友。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「こうか?」
誰もいない練兵場で剣を振るっている。
汗をかいているので軍服を脱ぎ、チュニックのような物を着たセリスさんに言う。
【セリスさん、疲れが出ていますよ。休憩なされては?】
「もう少しで何かが掴めそうなのだ!」
スキルが上がる前兆なのかな?
【仕方がありませんね。それでは、このポーションを御飲み下さい。】
中級のスタミナポーションを渡す。
「高級な物ではないか、良いのか?」
【ええ、また作れますしね。】
皆が集めてくれた秘薬はまだまだある。
「作れる?貴殿が作ったのか!?」
【ええ、道具と素材がありますので作れますよ?】
「・・・貴殿は何でも出来るのだな。」
そう言うとポーションをあおる。
「・・・嘘のように疲れが取れたぞ!?」
【本当は休みを取るのが一番良いのですよ?】
「ふむ、考慮しよう。」
セリスさんは素振りを続けている。
このひたむきさは何故か皆を思い出させる。
皆、元気にしてるかな?
待て待て、一日目でホームシックか?
「それでどうなのだ?」
おっと、考えていて見ていなかった。
「セイッ!」
ブン!
「ハアッ!」
ブンッ!
【軸足が乱れておりますよ?】
「分かった。」
シュッ!
「タアッ!」
ブンッ!
「ヤアッ!」
ブンッ!
【・・・良い感じです、このまま続けましょう。】
「分かった。」
セリスさんはしばらく木剣を振るっていたが疲れが見えて来た。
【今度は休憩致しましょう。】
「ハァ、ハァ、し、仕方が無い、貴殿の勧めに従おう。」
バックパックからスポーツドリンクもどきを取り出す。
【セリスさん、こちらを飲んでおいて下さい。】
「水か、助かる。」
ゴクリと飲みこむとゴクゴクと飲み始めた。
「これは何だ!?水の様だが、味がついていて美味いぞ?」
【体の水分と塩分を補給するのに最適な飲み物なんですよ。】
「・・・貴殿は何でも知っているのだな。」
【偉い人達の研究の成果ですから。】
先達の皆様、感謝致します。
「ふう、だが、この胸では鍛錬をすると揺れて痛いな。」
立派に育っていますからね。
たわわに実った果実を見る。
「貴殿は女心と言う物を学んだ方が良い、まあ・・・良いがな。」
良いのならば遠慮せずに見よう。
「良いとは言ったが程々にするが良いぞ?」
【気を付けます。】
流石に恥ずかしかったのか両手で隠されて、いやおっぱいが圧迫されてもっと魅了される。
「・・・まだ見ているのか?」
【見てません、見てません。】
視線が外れてくれないだけです。
「見ているだけなのか?さ、触っても良いのだぞ?」
【・・・え?】
なんでそうなるの!?
「一度触っているではないか、こんな駄肉だ。遠慮するでない。」
【いや、あれは医療行為と言って・・・。】
「いりょうこうい?」
【命を助ける為に仕方がなくやった事でありまして無理に触った訳では・・・。】
「仕方なくか・・・やはり、駄肉は嫌いか?」
【そんな事は・・・ないです。】
御立派な胸、嫌いな男などいないだろう。
「では、触るが良い。」
【ほ、本当に触りますよ?】
「構わん、さっさとするが良い。」
その膨らみに手を伸ばす。
うん、張りがあって柔らけえ・・・。
ルイスの物より大きいな。
ディアナとナナリーさんには劣ると言った所か。
「んっ、先も触るのか?」
【もちろんです、まんべんなく触るのが礼儀です。】
「そうなのか?手慣れているではないか。」
【初めてのような事を言っていた割に感度が良いですね。】
「んっ!?そ、そうか?」
【ええ、男が喜びますよ?】
「こんな事をするのは、き、貴殿だけで良い。」
【ならば、マーキングをしておかなければなりませんね?】
「まーきんぐ?」
【俺の物だと言う証を付けるんですよ。】
「唇を奪われたのだ、すでに貴殿の物ではないのか?」
【本当の口付けと言う物を教えて差し上げます。】
素早く唇を奪う。
舌を入れ口内を蹂躙する。
「ま、こんな事は、うぶっ、知らない!」
【これが本物の口付けです。】
「ハアッハアッ・・・つ、続けるが良い。」
【ええ、俺の物にしてあげますよ、セリス。】
キスはまだまだ続くのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
室内からでも分るように日が陰って来た。
夢中でキスをしていたらセリスさんは気を失っていた。
ディープキスは刺激が強かったのだろう。
ただ寝かせるのも悪い気がしたので膝枕をしてあげている。
一時間程経っただろうか?
そろそろ良い時間なのでセリスさんに声を掛ける。
【セリスさん、そろそろ起きて下さい。】
「・・・んっ?も、もう朝なのか?」
【いえ、夜になる所です。口付けをしていた事は覚えていらっしゃいますか?】
「!?」
【大丈夫ですか?】
ちょっと刺激が強すぎたかな?
「貴殿と結婚すればあの心地良さを味わえるのか?」
【俺とでなくても出来ますよ。】
「貴殿は意地悪だな。」
【でも、これでセリスは俺の物ですよね?】
「ああ、二言は無い。貴方の物となろう、アーサー殿。」
もう一度キスをする。
夕闇になりかけた練兵場には少し冷たい風が吹いていた。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。
まずは、いつものから!
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大変に励みになります。
皆様に感謝を!
それでは 次話 帝国の晩餐会(仮 で、お会い致しましょう!
お疲れ様でした!