決着とその後
いつも読んで下さり、誠にありがとうございます!
執筆終わりました!
お楽しみ下さい。
アセディアを背負って歩いて行くと、ジャスティン達が出迎えてくれた。
「アーサー、先程の触手は怠惰さんの物ですよね?」
【そうです、手伝って下さいました。】
「凄かったな、あれと戦っていたらと思うとなぁ・・・。」
「そうなんさ~、ブルブルするんさ~。」
「さすが、七大悪魔族と言った所ですわね。」
「そうだぜ、勝てる気がこれっぽっちもしなかったぜ?」
【悪い子ではないんですよ。】
背負っているアセディアの顔を思い出す。
バルロンデーモンを倒している時の面倒くさそうな顔。
だが、協力をしてくれたのだ。
俺の友達として。
【んっ・・・お兄ちゃんー・・・何かあったのー・・・?】
【大丈夫だよ、何でもないから眠っておいで。】
【分かったー・・・。】
そんな彼女を背負いなおすと、皆で天幕の見える方へと歩いて行った。
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「父上、突如現れた触手に戦場は大混乱です!」
「見えておるわい。」
馬上のレガイアにそう答えると戦場を見つめなおす。
見ていると気づく事があった。
「あの触手、バルロンデーモンだけを倒しておるのか?」
「本当ですか、父上!?」
レガイアが振り返ると戦場を見渡す。
すると戦場の方からアレックス達が戻ってくるところじゃった。
「アレックス!無事か!」
「レガイア様、オーガの牙に助けられましたよ。」
「そうか、それであの触手はなんなのだ!?」
「それが、敵だけを倒しておりやしてね、俺にも何が何やら・・・。」
「報告!」
伝令兵が跪く。
「なんじゃ!?」
「戦場から触手が消えました!それと敵、バルロンデーモンはオーガの牙によってすべて討伐!」
「報告苦労!下がって休んでくれ。」
「失礼致します!」
前方、戦場だった方を見るとコロッサスが何体かがうろついているだけであった。
「オーガの牙が来たとなると怠惰との交渉が上手く行ったのかもしれんのう。」
「時間的に・・・そのようですな、父上。」
「あんちゃん達を待って報告を聞く事にする!兵士を下げて休息させよ!負傷者を運び出して治療をさせよ!」
「伝令!今の事を戦場へ伝えよ!それとガーゴイル族へ戦局は終了したとの使者を出せ!通訳も付けさせるのだぞ!」
「「「ははっ!」」」
レガイアが命令すると伝令が各地へ向かっていく。
さてと、あんちゃん達に顛末を聞かせてもらおうかの。
そう思うとレガイア達と、ともに天幕の中へ入りあんちゃん達を待つのじゃった。
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黒い触手が戦場を蹂躙している。
「ば、馬鹿なっ!」
「あの触手が人族の秘密兵器なのでしょうか?」
「あんな物があっては下手に攻め込む事など出来ませんぞ!?」
っく、山頂からのあの攻撃といい・・・一体、何が起こっておるのだ?
「分かっておる!だが、攻め込めなくとも貸しを作る事が出来た・・・残念だが今回はそれで良しとしよう。」
「「「ははっ!」」」
「王子、撤退命令を出します!」
「そうせよ!西の陣地へ戻り人族の本陣へ会談を取り付ける使者を出せ!」
「かしこまりました!」
何なのだ、あの触手は!
何かの魔法か?
いや、それよりも我々の巨像よりもずっと強力であったぞ!?
あのような物があるとは・・・
ヘファイストスはそんな事は言っていなかったぞ?
一体どうなっておるのだ?
「王子!黒い触手の群れが消えました!」
「何だと!?」
くそっ!
本当に何が起きているのだ!?
「敵、悪魔族も消えました・・・如何なさいましょうか?」
望遠鏡で戦場を監視していた部下が不安げに報告してくる。
この混乱した頭では考え事は出来ん。
ここは情報を集めねばならぬか?
この混乱した頭ではそう思う事しか出来なかった。
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陣に戻ると爺さん達がいるであろう天幕へと向かう。
俺達が入って来たのが分かったのだろう。
「オーガの牙!」
「「オーガの牙!!」」
「「「オーガの牙!!!」」」
歓声が段々と大きくなっていく。
背中のアセディアが起きてしまった。
【五月蠅いー・・・。】
【俺達が歓迎されているんだよ。】
【歓迎ー・・・?】
【うーん、皆が喜んでいるって事だよ。】
【そうなのー・・・?】
【嬉しい事だから我慢しようね。】
【お兄ちゃんはー・・・嬉しいのー・・・?】
【ああ、アセディアとも、友達になれたしね。大満足だよ!】
【面倒だけどー・・・お兄ちゃんがいいならいいやー・・・。】
陣内は任務を終えてバルロンデーモンを葬ってきた俺達に大歓声だった。
しばらくその歓声は収まる事は無かった。
天幕に着くと少し困った顔をした爺さんとレガイアさん、アレックスさんが迎えてくれた。
「ヘファイストス殿、無事で何より、怠惰との交渉は成功したのだな?」
「まあ、待て、レガイア。あんちゃん達、天幕の中で話そうか。」
【ああ、爺さん。】
「かしこまりました、ドリュカス様。」
俺とジャスティンが答え、天幕の中に入る。
皆で天幕に入ってもしばらく歓声のやむ事は無かった。
天幕に入ると三十人ぐらいの鎧を付けた人達がいた。
ジャスティン達が跪く。
俺はアセディアを背負ったままなので立っている。
跪けないからね。
席に着いた爺さんから声がかけられる。
「御苦労あんちゃん達、で、背中のその娘っ子が怠惰でいいんじゃな?」
【そうです、話し合う事も出来る良い子なんです。】
【お兄ちゃんー・・・この人達はー・・・?】
【起きたの、アセディア?この人達も俺達の仲間なんだよ。】
【さっき助けたいってー・・・言ってた人なのー・・・?】
【そうだよ、アセディアのおかげで助かった、いや、助けられたんだ、ありがとうね。】
【お兄ちゃんがいいならー・・・それでいいよー・・・。】
嬉しそうに頬をすり寄せて来た。
その様子を見てレガイア様が問うてくる。
「ヘファイストス殿、害される事は無いのだな?」
【彼女の嫌がる事をしなければ大丈夫ですよ。】
「ふむ、あんちゃん、あの触手は怠惰の能力かの?」
【そうです、彼女の力の一部です。仲間が危ないと言ったら助けてくれました。】
「ふむ、まずはその怠惰の嬢ちゃんに感謝をせねばならんのじゃが・・・複雑じゃのう。」
【害意を向けなければ良いんです、そうすれば良い子なんですよ。】
「ならば、気を付けよう。それで、他の上級悪魔族はどうしたんじゃ?」
爺さん達にジャスティンが事の顛末を聞かせる。
と、爺さん達が固まっている。
その顔には苦笑いが浮かんでいた。
「あんちゃん達で七体の上級悪魔を倒したのか!で、怠惰は、飯で懐柔しおったじゃと!?あんちゃん、何を食わせたんじゃ?」
「まさか、食事で懐柔するとは・・・ヘファイストス殿、貴殿、何を食べさせたのだ?」
二人で同じ質問をしてきた。
当然、気になりますよね。
【えっと、チャーハンと言う物を振舞いました。】
「「ちゃーはん?」」
【ええ、複雑な料理ではないんですが、気に入ってくれたようでして・・・。】
「ふむ、あんちゃん、実はわしらは昼飯を食べておらんのじゃよ。」
「左様ですな、父上。」
二人ともニヤニヤして俺の方を見ている。
嫌な予感しかしない。
「そのちゃーはんとやらを振舞ってはもらえんかのう?」
「左様ですな、ヘファイストス殿、是非に!」
二人がそう言うと周りに居る騎士達が口々に言ってくる。
「そのような食事は聞いた事がありませんな?」
「怠惰をも懐柔する事の出来る食事・・・気になりますな。」
「左様、我らも食してみたい物ですな!」
続くようにジャスティン達も声を上げる。
「アーサー、僕達も気になるよ。」
「そうだぜ!」
「作ってほしいんさ~!」
「私も、是非!」
「兄貴、腕の見せ所だぜ?」
どうやら逃げられそうにない様だ。
アセディアに訳を言い、天幕内の簡易ベッドに寝かせると料理の支度をする。
さあ、作りますか!
この後、皆さんにチャーハンを御馳走したのであった。
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「ふむ、なら、怠惰の事はあんちゃんに任せるのが良さそうじゃな。」
再びアセディアを背負うと爺さんがそんな事を言ってきた。
「左様ですな、父上。」
レガイアさんも同意する。
【え!?俺ですか!?】
「見た所、懐いておるようだしのう。」
「下手に、ヘファイストス殿と離したらどうなるか分かりませんからな。」
確かにそうなんですが・・・。
【いや、良いんですけど・・・俺達の部屋はいっぱいで寝かせる所がないんですよ。】
【何の話ー・・・?】
【ああ、アセディアの住む場所の話だよ。】
【住む場所ー・・・?】
【えっとね、眠る所の話かな。】
【お兄ちゃんと一緒がー・・・良いー・・・。】
【いや、部屋がいっぱいなんでどうするかなーって話をだね。】
【お兄ちゃんと一緒でー・・・良いよー・・・。】
【いや、だからね・・・。】
「アーサー、君と一緒に寝たいと言っているのではないですか?」
【え!?いやいや、ジャスティンさん、それは無いでしょう?】
【それでいいよー・・・他の場所だとー・・・面倒だしー・・・。】
【いやいや、だって・・・え?・・・皆さん?】
「まあ、本人の希望だからしょうがないのう。」
「ヘファイストス殿、任せましたぞ。」
二人とも、そんな爽やかな顔で言わないでくれないかな?
と、言われてもどうするかな。
正直に話したら、ルイスとナナリーさんとサーラが卒倒しそうだ・・・。
だが、何かあったら困るのも事実だよね。
【ちょっと、待ちなさいよ。ダーリンの隣は私の物なのよ?】
それまで何処にいたのか突然、影からティアが現れた。
「「「何者だっ!?」」」
護衛の騎士達が剣を抜いてティアの周りを取り囲む。
天幕の中に緊張感が走る。
【皆さん、大丈夫です!落ち着いて下さい!ティア、脅かしていないで皆さんに挨拶をして!】
【ふん、面倒ね、でも、ダーリンの頼みだからしてあげるわ。私は強欲・・・言っている意味が分かるかしら?】
もう一人の七大悪魔の突然の出現に天幕の中は大混乱だ。
騎士達が剣を構え、俺と背負っているアセディア、ティアを囲む。
「七大悪魔がもう一人!?」
「伯、お下がりください!」
「皆の者、落ち着け!害意を向けるなと言われておるだろう!」
そんななか落ち着いた爺さんが進んできてティアに声を掛ける。
「あんたが強欲か、わしはドリュカス、この地を統治している者だ。」
【ふーん、お爺さん。もっと長生きしたければ周りの兵士達を何とかなさいな。】
「おのれ、小娘ごときが!」
「伯、お下がりに!」
「皆の者、静まれ!手を出すでない!」
その声を聴くと騎士達が後ろに下がり剣を収める。
【うふふ、良い子は長生きが出来るわよ?】
【ティア、怖がらせては駄目だよ?】
【怖がらせていないわ、それよりアセディア!ダーリンの隣は私の物よ!】
【関係ないー・・・早い者勝ちだよー・・・。】
【貴女、喧嘩を売っていらっしゃるのかしら?】
天幕内の空気が張り詰めて行く。
これ以上皆に悪い印象を持たせたくない。
【こら、二人とも、こんな所で喧嘩は駄目だぞ?それにティア、今まで何処にいたのさ?】
【ちょっと依り代が・・・それに、あのままだとアセディアと戦いになってしまっただろうし・・・。】
依り代?
エナがどうかしたのか?
【それが正解ー・・・アバリティアは面倒くさいー・・・。】
【アセディア・・・それはどういう事かしら?】
【すぐにー・・・攻撃しようとするー・・・ところとかー・・・。】
【そうだ、ティア、人を攻撃しちゃ駄目だぞ?】
【分かったわよ・・・でもダーリンの隣は譲らないわよ?】
【それはー・・・こっちの言う事ー・・・。】
天幕内は一触即発の雰囲気だ。
緊張感漂うその中で声を上げる。
【分かったよ、右がティア、左がアセディア!それで収めてくれるかな?】
【【・・・。】】
二人の間から緊張感が消えた。
【分かったわ、でも心地良いは譲らないわよ?】
【心地良いー・・・?】
【ふふ、そう!とっても心地良いの!それは譲らないわ!】
【アバリティア、ずるいー・・・私にも教えてー・・・。】
【ダーリンの背中に乗っているのなら分るでしょう?】
【ここは譲らないー・・・。】
【・・・まあ、良いわ。ただし、ダーリンの右は私の物よ?】
【分かったー・・・左は私の物ー・・・。】
【しばらくは、それで行きましょう。】
その様子を静観していた爺さんから声が掛かる。
「あんちゃん、大変な事になっておるのう。」
【気は進みませんが、二人の事は任されました。ただ、相談には乗って下さいよ?】
「出来る事ならええぞ?」
「左様ですな、父上。」
「僕達も力になりますよ、アーサー。」
「もちろんだぜ!」
「力になるんさ~。」
「相談に乗りますわ!」
「力になるぜ、兄貴!」
こうして、強欲さんこと、ティアと怠惰さんこと、アセディアは俺が面倒を見る事になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あんちゃん達が天幕を出ると家臣達が言ってくる。
「伯よ、怠惰の件はアレでよろしいのですか?」
「左様です、もっと納得の行く物でないと・・・!」
「仕方があるまい、それとも討伐せよと言うのかの?」
「ですが、散って行った仲間達やその家族に何と言えばいいのか・・・。」
「左様ですぞ、伯よ!」
「皆、静まれ。討伐など考えるのではない!見たであろう、あのバルロンデーモンを蹂躙した力を!それにあの光の力だ、あれが力の一旦だったら騎士団の壊滅どころの話ではないぞ?」
レガイアの言葉が刺さるが納得は出来んじゃろう・・・。
わしだってそうじゃ、いったい何人の者が襲撃とこの戦いで亡くなった事か・・・。
「ですが、死んで行った者達の事を考えると・・・納得がいきません!」
「せめて何らかの処罰をするべきです!」
「そうです、伯よ!」
「皆、落ち着け、処罰と言っても何をするんじゃ?聞いたじゃろう、アレに害意を向けるのがどれ程危険なのかを。」
「しかし・・・。」
「アレは所謂『災害』じゃ、最小の被害で済んだと考えるしかないんじゃ・・・。」
「っく・・・。」
「悔しいですが、伯の言う通りに致します・・・。」
「そうじゃ、で、王都の状況はまだ分からんのか?」
レガイアが答えてくれる。
「西門から兵100を放ち情報の収集に努めておりますが、馬車でも一週間かかる所なので詳しい事はいまだ。」
「ふむ、王都や城がどうなっておるかも心配の種よな。」
「左様ですな、父上。」
「伯、もしもの場合はいかがなされるのか?」
「そうです、怠惰のせいでこうなったのですぞ?」
「話を蒸し返すつもりはない、良いか、手を出そう等と考えるでないぞ?そんな事をすれば今度こそこの街が、いや、国が消えるわい。」
「「「・・・かしこまりました。」」」
遺恨は残りそうじゃがとりあえずの所はこれで何とかするしかない。
後は王都の状況がどうかのう・・・。
国王陛下は無事じゃろうか・・・?
いや、何を不忠な事を。
「会議中失礼致します、伝令です!」
「何事か!?」
「ガーゴイル族よりの返答の使者がまいっております。至急、代表者どうしで話し合いをしたいとの事でございます。」
「御苦労、下がって良い。」
「っはっ!」
「こたびの褒章の事でしょうか?」
「レガイア、今回の件を思い出せ、援軍はあんちゃんへの好意じゃぞ?多分、別の事じゃろう。」
「では、怠惰とあの黒い触手の件でございますかな?」
「そうかもしれん、厄介じゃのう。」
「どう出て来るか・・・で、ございますな。」
「まずは会って話してみてからじゃな。」
「父上、私は供の者と戦後処理に向かいます。アレックスを護衛に付けます。交渉、お気をつけて。」
「うむ、では続報が来るまで待つとするかのお。」
これで一段落付いたかのう。
さて、ガーゴイル族は何を言ってくるのやら。
予想通りなら良いのじゃが・・・。
じゃが、あの様子では怠惰の方は心配が無くなったと考えても良いじゃろう。
亡くなった者達には悪いが、災害と考える他あるまい。
それに、あの光の力で王都がどうなったのかも調べなければならん。
やる事がいっぱいじゃ。
ただ、あんちゃんの言っていた国王様が支配されていて、その力から解放されても手遅れなのじゃと言っていたのが気になるのう。
よし!
まずは、ガーゴイル族との話し合いからじゃ。
そう思うと椅子に腰を掛け続報を待つのじゃった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アセディアを背負って天幕を後にした。
【ふう、何とかなったようですね。】
「そうですね、ですが、アーサー。今後どうするかを考えないといけませんね。」
【うーん、ルイス達をどう説得するかなんですよねー・・・。】
「それもそうだけどよ、怠惰さんをどうするんだよ?」
「そうなんさ~、ずっと一緒にって訳にもいかないっしょ~?」
「左様ですわ、民に七大悪魔だと知られればどんな事があるか分かりませんわよ?」
「難しい事になっちまったな、アーサーの兄貴よ。」
そうなのだ。
一般の民には七大悪魔は恐れられているのだ。
御伽噺にも出てくる存在だし、子供の躾にも使われる。
悪い事をすると、七大悪魔がやって来るわよ?
的な奴だ。
ただし、あくまでもその存在は、伝説上の物と考えられていたのだ。
前回のバルロンデーモンの襲撃のせいでその存在の真実味を与えてしまった事だろう。
この街では受け入れられるはずがない。
さて、どうするかな・・・。
俺の背中で眠っているアセディアはそんな危険な事は感じられない。
ティアもそうだが、もしかしたら人間の感情を教える、伝える事が出来れば皆とも上手くやっていけるのかもしれない。
でも、今回の件で他の七大悪魔達も話し合う事が出来ると分かったのは大きな収穫だった。
アセディアの場合は餌付けのようなものになってしまったが・・・。
皆で北門を潜る。
多少の問答があったが、無事に通してもらえた。
歩いているとティアが聞いてくる。
【で、ダーリン。何処に行くのかしら?】
アセディアは背中で眠っているようだ。
【ああ、宿屋に行くんだよ。皆にも紹介しないとね。】
【宿屋?皆?】
【宿屋とは眠ったりする場所の事で、皆とは俺の仲間達と良い人なんだ。あ!喧嘩しちゃだめだからね?特にティア。】
【ああ、ベヘモドが襲った所ね?で、良い人と言うのは人族なの?】
【良い人は二人いてルイスとナナリーさんだ。】
【ああ、あのお嬢ちゃん達ね?、で、良い人ってなあに?】
【・・・嫁になる人の事だよ。】
【嫁?】
【うーん、好きな人達の事だよ。】
【好き?】
【うん、ティアもアセディアも勉強していけば分かるよ。】
【そうなのね、仕方がないから勉強してあげるわ。】
【そうだね、勉強してくれ。】
さて、皆に何て言おうか・・・。
まさか、七大悪魔が二人、お世話になるなんてどう説明したらいいんだ?
時刻はそろそろ夕飯時だった。
ジャスティン達と別れると三人で宿屋の入り口へと向かう。
考えの纏まらないままいつもの宿屋へと着いてしまった。
さて、どうしようか・・・。
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