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休日の一幕

いつも読んで下さって、ありがとうございます!

執筆終わりました。

お楽しみ下さい。

宿に着くと皆に今後の事について説明をする。


「成程、では今回は強欲は敵ではないと?」


【そうです、ジャスティンさん。出来れば怠惰さんとも話し合いで解決出来れば良いのですが・・・。】


「強欲とも話が出来たんだ、俺は行けると思うぜ?」


「そうなんさ~、酒でも振舞えばすぐに仲良しなんさ~。」


「それは貴女だけですわよ、アンナ?」


「それで、戦う場合はどうするんだい、アーサーの兄貴よ?」


【怠惰さんがどんな敵かも分かりません、今回ばかりはぶっつけ本番としか言えませんね。】


「きっと今回も何とかなります、慢心しないように行きましょう、皆!」


「「「応!」」」


【山に入る時刻は念の為に早くしておいた方が良いでしょう。】


「そうですね、妨害があるかもしれない、と考えてしかるべきですね。」


「何にしろ戦う事には変わりねえが・・・仕掛けて来るかね?」


「山道では無いと思うんさ~。」


「そうですわね、狭い、見通しが悪い、と言う事は戦うには不利な場所、戦うとしたら私達が山登りで消耗している・・・ここですわ。」


ラフィアはそう言うと遺跡の場所を指し示す。


【俺もそうだと思います、強欲さんがこちらの味方だと知ったら逃げ出して結局、そこの怠惰さんに頼るでしょうからね。】


「ふむ、なら念の為に装備だけは整えて行った方がよろしそうですね。」


「フル装備で山登りかよ、とほほー。」


「ダンの兄貴、頑張りな!」


「ディアナだって似たようなもんだろう?」


「鍛え方が違うんだよ、兄貴!」


「言いやがったな!競争でもするかっ?」


「負けても泣かないで下さいよ、ダンの兄貴?」


「二人とも、そこまでになさい。」


「「はーい。」」


「それで、アーサー君、もう夜も遅いんさ~。」


【ええ、明日になりますが最終確認をして夜半に出発致しましょう。この地図通りならば余裕をもって頂上の遺跡まで到着出来るはずです。】


「そう言う事じゃないんさ~。」


【他に何かありましたか?】


「英気を養いたいのですわ。」


【養うのは良いですけれど、酒は駄目ですよ?特にアンナさん。】


「はぁ、兄貴よぉ。女にここまで言わせる気かい?」


いつの間にかジャスティンとダンがいなくなっていた。

・・・え?


「男と女、英気を養うやり方があるんさ~。」


「ああ、あの二人の羨ましかったこと、あれから何度夢見た事か・・・。」


「アーサーの兄貴、御情けをくれよ・・・お願いだよ・・・。」


【え?ちょ!?養うってそう言う事!?】


そしてその夜は三人を相手にする事になった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


朝、目を覚ますと四人で入り乱れて眠っていた。


昨日も激しかった。

だが分かった事があるぞ。

アンナは後ろからが弱いし、ラフィアは上に乗るのが好きだ。

ディアナは俺と同じで正面からが好きだが、少しMっけがあるので押し付けられるとたまらない顔をする。

・・・いやいや、それじゃないだろう!


宿には連絡してない!

女将さんにも二人にも何も言っていない!

うわあ、朝から憂鬱になって来た。


【『アリステリア様』、反省してます。本日は程々にお願い致します。】


そう祈ると皆の眠っているベッドから起きて支度をし、いつもの宿屋へと戻・・・あ?

そうかここは南通りだ。

宿を出た所で気づいた。

皆に新鮮な魚を振舞って御機嫌を取ろう。


無かった事に出来ると良いな・・・。


無理だろうけれど。

そう思うと朝市へと向かうのだった。


うん、相変わらずここは賑やかだね。

一人で回るのなんかいつ以来だろうか?

そんな事を考えていると早速声が掛かる。


「おや?若旦那、珍しい、今日はお一人ですかい?」


【ちょっと帰るのを遅らせようと思ってね・・・。】


「奥さんが二人もいるのに夜遊びですか?元気な事ですな!ハッハッハ!」


【いや、英気を養っていただけだよ。】


「で、今日はどう致しますか?」


【よし、米をあるだけ買おう。】


「さすが、若旦那。早速運びやすね。おい、米だ。早く運ぶんだぞ。」


「「はい、旦那様。」」


痩せ細ってはいないし虐待の後も見受けられない。

ちゃんと御飯は食べさせてもらっているみたいだね。

うん、気持ち良く買い物が出来た。


しばらく散策するように見て回る。


「お!シビ旦那!今日もあるぜ、買っていくかい?」


自然と足が港へ向かっていたようだ。

いつものように鮪を買う。

捌いてもらっていると漁師さんが話しかけてくる。


「シビ旦那、だから結婚は早くするように言ったんですよぉ、あんな別嬪さんを二人も逃しちまって・・・。」


【違う違う、今日はたまたま一人なだけだよ。】


「そうなんですかい?」


【そうそう!】


「・・・そう言う事にしておきやすか!」


【話が分かってくれて嬉しいよ。】


急いで買い込み漁港を離れると今度は鰻を買い込む。

女王陛下とも約束したしね。

捌き終わるとバックパックに詰め込む。


さてと、どうしようかな・・・。


そんな事を考えながら海を見つめていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あの小僧は・・・一体何度言ったら分かるんだろうね!」


「女将さん、きっと忙しいんですよ。」


「そうですよ、だからそんなに怒らないであげて下さいー。」


「今日の朝飯の売り上げを落としちまったじゃないかい!」


女将さん、あの人は料理人ではないのですけれど・・・。


「ルイスちゃんもそう思わないかい?」


「え、ええ、そうですね。」


「では、お洗濯に行ってきますねー。」


・・・上手く逃げたわね、ナナリーさん。


リズとマオは各階の床掃除。

ベスとアリスは各部屋のシーツの取り換え。

サーラさんは今日もギルドへ鍛冶をしに行った。

そして私は・・・給仕をしながらあの人の帰りを待っている。

もう、十時になるわよ・・・怒ってあげるから早く帰って来なさいよね。


「おーい、お嬢ちゃん。この『もーにんぐ』っていうのはまだ大丈夫かな?」


このもーにんぐと言う献立を考えたのもあの人だ。

安くてお手軽に沢山食べて頂けるようにと言っていた。


「はい、大丈夫ですよ?」


「じゃあ、一つもらえるかな?」


「かしこまりました、『もーにんぐ』を、一つお願いしまーす!」


あれ?

女将さんの返事が無い。

厨房にはいない・・・何処に行ったのかしら?

仕方がないから私が作りましょうか!


私は厨房へと入った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


現在の港の時刻は九時三十分過ぎ。


うーん、海を見ていたら、時刻はもうすぐ十時だった。

さすがに帰らないと心配を掛けてしまう。

よし、帰ろう。

覚悟を決めて帰り道を急ぐ。

宿屋に着くと何か嫌な予感がした。

足早に入口を潜る。


【た、ただいま!】


「あら、お帰りなさい、貴方。」


【・・・ルイスさん、何で厨房にいるのかな?】


・・・嫌な予感がする。


「女将さんがいなくって、それでね、代わりに私が作っているのよ。」


【で、その黄色いのとカップの黒いのは何かな?】


「もーにんぐよ?」


俺の記憶のモーニングと違う。

この世界にもコーヒーはあるのだがブラックコーヒーより墨のように真っ黒いし、モーニングはハムトーストのはずだ。


【ルイスさん、味見はしたのかな?】


「もう、急ぎなのよ!それにお客さんの物だからそんな事する訳無いでしょう!」


【ルイスさん、意識改革をしたほうがよろしいと思うよ?】


「また難しい言葉を使って、あ!昨日の事、誤魔化そうったってそうはいきませんからね!」


【待った!先にモーニングを作るよ。ルイスはそれをお客さんの所に持って行ってくれるかな?】


「・・・分かったわ、急ぎでお願いね。」


【かしこまりました!】


そしてモーニングを作り直しルイスに運んでもらう。

さてと、これは何だろうね?

そう思うとちょっと食べてみる。

匂いから想像していた味じゃない・・・。

焼いたトーストにハムとレタスを挟むだけで、どうしたらこんな物になるんだろうか。


「運んできたわよ!さあ、昨日の夜は何をして・・・ってどうしたのよ?」


【ルイスさんや、まずは自分の作った物の味見をしてごらん。】


「もう!『さん』はやめてよ!初めて作ったけれど見かけは良いわよね!」


何処が良いのかな?

早速口の中に入れたようだ。

悶絶しているようだ。

お?

コーヒーに手を伸ばしたぞ?

飲んだ。

悶絶しているな。


「何よこの不味い物は!」


【ルイスさんや、君が作った物だよ?】


「そ、そうよね・・・えっと、ごめんなさい。」


【よろしい、では、モーニングの極意を教えて差し上げよう!】


「本当!嬉しいわ!」


そしてルイスにモーニングを一から必死に教える。


昼御飯前には何とかモーニングが作れるようになった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ねえ、お兄さん。今日の御昼御飯は・・・これ・・・なの?」


「一体何を・・・食べさせられるのでしょうか・・・?」


「ヘファさん、これはあまりにも酷い仕打ち!」


「これ、食べ物なのですか?」


「ヘファ君、素直に廃棄にしませんかー?」


「ううっ、済みません・・・。」


【はい、文句を言わない!食べれない人達もいるんだよ、それを忘れちゃ駄目だぞ!】


「「「はーい・・・。」」」


「皆、ごめんなさいね・・・。」


「ルイス姉、次はお兄さんか女将さんかナナリー姉を探してね?」


「これが・・・お昼御飯・・・労働の対価・・・?」


「ルイス姉の為です、覚悟を決めました!・・・いただきます!」


「食べないと駄目なのですか?」


ぐぅ~・・・


「アリスちゃん、お腹が鳴っているじゃないですか、私の分も食べていいですよー?」


「うう、本当にごめんなさい。」


【見た目は悪いけれどそれなりなんだよ・・・モグモグ。】


「マオ、もーにんぐって、あのすごい簡単なヤツよね?」


「ルイス姉の・・・欠点です・・・。」


「不味くは無いですが・・・美味しくもないです・・・。」


「ヘファさん、ハムサンドが食べたいのです!」


「アリスちゃん、目の前に沢山ありますよー?」


「本当に、ごめんなさーい!」


何とかモーニングと言う食べ物らしい物を食べ終わった。


皆ぐったりしている。

おーい、午後も仕事だぞー?

大丈夫か・・・?

とは言っても、半分は俺が食べたんだよね。

ルイス、これに懲りて厨房に立っちゃ駄目だぞ?


・・・だが昨日の事はうやむやに出来ようだ。


そう思った俺は宿を出ると商業ギルドへと向かうのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


午後、サーラの様子を見に商業ギルドへと向かう。


カーン!カーン!


最近のギルドは活気があって良いね。

今日はアリシアさんは休みかな?

カウンターで挨拶を済ませると、サーラの様子を見に行く。


「待ってて下さいね!ヘファ師匠!必ず作り上げて見せます!」


お、良い感じじゃないか。

作業用に作ったツナギ姿のサーラを後ろから見ている。


「貴方との愛の力で!」


サーラさんや、君もそう言う・・・。


カーン!カーン!


ハンマーの音が響き渡る。

不純な動機なような気はするが良い音を出すじゃないか。

これは声を掛けなくても大丈夫かな?


「あ!ヘファ師匠!」


【や、やあ、サーラ。調子は良さそうじゃないか。】


他に行こうとしたら見つかってしまった。


「ええ、やる気が出て止まらないんです!これも愛の力です!」


【・・・や、やる気が出るのは良い事だ。】


「見ていて下さいね!ヘファ師匠!」


カーン!カーン!


うん、良い音だ。

心地良くなってきた。

そう言えば昨日ろくに寝てないな。

ちょっと休憩室へ行こうかな。


【サーラ、その調子で頑張ってね。】


「はい、ヘファ師匠!」


カーン!カーン!


しばらくその心地良い音は響いていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


昨夜はあまり眠れなかったので休憩室で仮眠をとっていると足元がもぞもぞとする。


ん?

何かデジャブ!?

視線を下に向けるとシーツに膨らみが、そしてマイサンが気持ち良い!

まさか!?

慌ててシーツを捲る。


【・・・サーラさんや、一体何をやっているのかね?】


「ヘファ師匠の寝顔を見ていたら我慢が出来なくなってしまって・・・。」


【いや、時間をくれるって言う話じゃなかったっけな?】


「ヘファ師匠、その時間は短くする為にあるんですよ?」


【短くしすぎだから!】


「そう口で言ってもこちらは正直ですよ?」


【駄目だって、はうっ、こら、やめなさい!】


「大丈夫です、ちょっとだけ、さきっちょだけですから!」


【それは男の言う事ですよ!】


「今だけでも良いじゃないですか。」


【あふん!ちょ!待って!】


・・・大変に気持ちが良かったです。


その後、サーラは鍛冶仕事に戻って行った。

あれは一線を越えていないのだろうか?

若い女の子の考える事はおっさんには理解できん。


・・・謎だらけだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


特効武器が三十本じゃあ不足かなと思いギルドで更に二十本のロングソードを作り上げた。


悪魔特効を作る為の希少素材、悪魔の爪が21個しか無かった為だ。

それでも合計して五十本。

少ないけれど無いよりましだと思ったから。


カーン!カーン!


サーラが真剣な眼差しでそれを見ている。

二十本作り終わった。

さて、錬成しますかね。


【ちょっと、エギエネスシティへ行ってくるよ。】


「お供します、ヘファ師匠!」


【今日の作業は?】


「すべて完了しています!」


ほほう、思ったより早かったな。

もう少し課題の数を増やしてもよさそうだ。

サーラと外に出ると路地に入り呪文を唱える。


【・・・7th ゲート・トラベル!】


サーラはスキップしながら入って行く。

何故にスキップ?

その後を追う様にゲートへと入り魂の金床の前に到着する。


「ヘファ師匠、今日も教えて頂いてよろしいですか?」


【もちろん、経験を積んでくれたまえ!】


「はい!」


俺が座るとサーラが昨日と同じように足の間に入ってくる。

・・・なんかすごく密着してくるんだが?


「ヘファ師匠、手の位置が違いますよ?」


【そ、そんな事は無いぞ?】


「先日はもっとこっちでした・・・んっ。」


いやいや、そこは貴女の胸の位置だから!

っく、手の感触で頭の中におっぱいが!

何を言っているんだ。

冷静になれ!

これから練成するんだぞ!


「ヘファ師匠、先日はもっと近くでしたよ?」


っく、誘惑になんか・・・。

・・・。

負けた。

がっしりとその柔らかい物を味わう。


「・・・どうですか、ヘファ師匠?」


【いけない子だね、サーラ。こんな広場で、人に見られたらどうするんだい?】


「んっ!そんな事を言われても!」


【声の抑えられない子には、お仕置きが必要だと思わないかい?】


「ヘファイストス様・・・好きです。」


こうして二つの膨らみをじっくりと味わってしまった。


その後は何事も無かったかのように武器を練成をした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


サーラをギルドに戻し課題を追加する。


俺は来るべき怠惰さんとの決戦を前に貴族屋敷へと向かう。

打ち合わせをしておかないとね。

だが出陣準備の為に肝心な二人がいなかった。


「ヘファイストス様、追加報酬はよろしいのですか?」


「ああ、爺さんによろしく伝えて下さい。いつもありがとうって。」


「お手が空いているのならばそれは御自分でお伝え下さいませ。その方が旦那様も喜びます。」


「分かりました。ついでに様子を見て来ますよ、爺さん達はどこに?」


ステファンさんに追加の二十本を確認してもらって屋敷を出る。

北門の外だと言う構築している陣地へと向かう。

ここに来るのは久しぶりだな。

来た門を出てしばらく進むと見えて来た。


本陣はあそこのでっかい天幕なんだろうけどな・・・。


皆さん懸命に働いていらっしゃる。

なんかウロウロしてるだけって言うのも悪いな。

と、言う訳で構築を手伝う。


「若いの、それは東に運んでくれ!」


【分かりました!この木材を全部運ぶんですか?】


「量を見て驚いたのか?全部だ、君達も頼むぞ!」


「「「ヘーイ!」」」


「街を守る前に俺達が戦えなくなりそうだぜ。」


「そう言うな、ドリュカス様とレガイア様に街の皆の為だ、頑張ろう!」


「それを言われちゃあな、仕方ねえ、張り切るとしますか!」


【じゃあ、バックパックに入れますね!】


「この量に大きさだ、入らないだろう?」


「ちげえねえ!冗談言ってないでとっとと運ぶぞ、坊主!」


【冗談じゃないんだけれどな・・・。】


そんな人達の目の前で木材をバックパックへと入れる。


「す、すげえな坊主!どんどん頼むぜ!」


【お任せを!】


全て入れ終わると東の現場に行き陣地の構築を手伝う。


「坊主のおかげで早く片が付いたぜ。次は北の柵らしいぞ!」


【行きましょう!】


「行くぞ!」


「「「応よ!」」」


同じように木材をいれて移動し柵を作る。

しばらく作っているとレガイア様が陣中見舞いに来たようだ。


「・・・構築が早いと思ったらヘファイストス殿、こんな所で何をやっているのだ?」


【いや、手が空いていたので手伝いを・・・。】


「「「ええ!?この坊主、いや、お方がヘファイストス様!?」」」


「そなた達、知らないで手伝わせていたのか・・・。」


「どうか、は、伯爵様には御内密に・・・。」


「分かったから作業を進めよ!」


「「「かしこまりました!」」」


作業員の兄ちゃん達は蜘蛛の子を散らすように作業に戻って行った。


「ヘファイストス殿、父上の所へ行って作戦の詳細を詰めると良い。」


【分かりました、後方の大きい天幕ですね?】


「そうだ、気を付けていかれよ。」


【はい!】


「ふう、あの御仁にはいつも驚かされるな。」


そう言うレガイアさんは困った顔で微笑んでいた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


爺さんと話し終えるといつもの宿屋に戻る。


そろそろ、夕飯時だったからだ。


【ただいま、女将さん!】


「どこ行ってたんだい小僧!厨房は良いからアレを何とかしな!まったく、もったいない!」


【何かあったんですか?】


「行けば分かる!さっさとお行き!」


【イェス・マム!】


皆の所へ行くと元気が無い。

どうしたのだろうか?

・・・って、机の上のこれは!?


「あ!お兄さん!お願いだから晩御飯ぐらいは美味しい物をお願い!」


「そうです・・・約束のかれーを食べたいです・・・。」


「ヘファさん、御情けを!」


「美味しい物を食べたいのです!」


「皆、ちょっと良いかしら?」


「「「何ですか、ルイス姉?」」」


「私達、贅沢に慣れすぎたと思うのよ。皆、あの頃を、寄り添っていた頃を思い出してみて?」


「御昼御飯なんか食べられなかったわよね。」


「服も・・・こんな上等な物はありませんでした・・・。」


「そうですね、寝床も石畳の上でしたし。」


「雨が降ると、とっても寒かったのです。」


「そう、あの頃はこんな生活が出来るとは思っていなかったわ!」


ぐっと拳を握るルイス。


「そうね、お兄さんとの出会いが私達を変えてくれたのよね!」


「そうですね・・・ヘファさんには・・・感謝しかありませんね・・・。」


「あのひもじい生活に戻るのは嫌です!」


「お腹がいっぱいなら幸せなのです!」


「そうよ!皆、あの頃から比べればずいぶんと良い暮らしが出来ているじゃない?」


「「「そうよね・・・。」」」


「ルイスさん、お話は分かりましたが、このテーブルの上のいっぱいのハムサンドはどうするおつもりですかー?」


「・・・。」


ナナリーさんに言われるとルイスが黙る。


「ルイスさん、練習をしたい気持ちは良く分かりますが、さすがに多すぎませんか?」


「・・・。」


更にサーラにも言われて黙る。


【あのー、ルイスさんや?あれからも練習したのかい?】


「てへっ!」


【可愛く言っても駄目だよ!だから女将さんが怒っていたのか!】


「だって仕方が無いじゃない!美味しく出来るように練習したかったのよ!」


【逆切れしたって駄目だ!どうするんだよこのハムサンドもどきの山!】


「逆?む、難しい事を言っても駄目よ!さあ皆、食べて頂戴!」


「「「はーい・・・。」」」


こうして晩御飯もルイスの作ったハムサンドを皆で食べる。


明日は美味しい物を作ってあげよう・・・。

ここまで読んで下さって、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

大変に励みになります!

皆様に感謝を!

それでは 次話 強欲と言う女の子(仮 で、お会い致しましょう!

お疲れ様でした!

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